幻想郷文写帳   作:戌眞呂☆

78 / 157
勝負の結果

  

にとり

「遅いねー。」

 

 

そう言うとスプーンで器に残った氷をすくう。

 

やっぱり暑いときにはかき氷だよね。

 

 

文

「大丈夫でしょうか…。」

 

 

ふと隣の文を見ると、さっきから氷にスプーンを突き刺してばかりでちっとも食べようとしていなかった。

かき氷がほとんど溶けてきたというのに。

 

欧我達がいなくなってからというもの、ずっとこんな調子だ。

 

 

すると、不意に文が顔を上げた。

 

私も反応を起こす。

 

 

なぜなら、欧我の声が聞こえたからだ。

 

 

 

 

 

 

欧我

「あの、下ろしてくださいよ。恥ずかしいです。」

 

 

小傘

「あははっ、師匠だらしないわね。あんなに意気込んでいたのに。」

 

 

勇儀さんの肩に担がれ、意気消沈の俺を見て、小傘ちゃんは可笑しそうに笑い声をあげる。

 

まあでも、小傘ちゃんが無事でよかった。

萃香さんがやけに落ち込んでいるのが、少し気になるけど。

 

 

勇儀

「まあ、あいつらのところまで戻ったら下ろしてあげるよ。それまでは我慢しな。」

 

 

欧我

「これ、結構スタミナを使うんですよね…。」

 

 

ああ、だんだん疲れてきた。

一定の温度を維持するのにも神経を使うんだよね。

 

はぁ…。

 

 

そんな状態のまま、大通りに続く路地を抜けた。

 

文さんは、そばのベンチに座ってこちらを見つめていた。

そして、俺の姿を確認するなり…。

 

 

文

「欧我ー!」

 

 

ベンチから飛び上がって、こっちに向かって走ってきた。

 

ようやく勇儀さんから解放され、文さんを抱きしめる。

 

 

欧我

「ただいま帰りました。」

 

 

文

「よかった…心配していたんだから。」

 

 

抱き合う2人を見て、勇儀さんが言った。

 

 

勇儀

「抱き合っているところ悪いが、欧我との勝負は私の勝ちだ。」

 

 

にとり

「そっか…。」

 

 

文

「でもいいです。こうして無事に帰って来てくれて。」

 

 

勇儀

「まあ待て。私は勝ったが、萃香の方は小傘が勝ったそうじゃないか。鬼は約束を破らない。だから、ここを通ってもいいぞ。」

 

 

勇儀さんの発言を聞き、途端に笑顔になる文さんとにとりさん。

 

小傘ちゃんは、俺たちに向けてピースサインを繰り出す。かわいらしいウィンク付きで。

 

 

勇儀

「私たちは無事に取材が成功することを祈るよ。そういえば、地霊温泉の取材だったよな?私たちも後でそこに行くから、またみんなで宴会をやろう!」

 

 

そう言うと俺たちに手を振り、一言も発しなかった萃香さんを連れて路地の奥に消えていった。

 

勇儀さん、ちょっと豪快だったけど、優しいお姉さんみたいな感じでよかったな。

 

…あ、写真を撮ってない!!

 

しまった…。

 

 

 

ふと文さんの顔を見ると、少しひきつっているようだ。

 

にとりさんも、なんか絶望と言うかそんな雰囲気を醸し出している。

 

 

欧我

「どうしたのですか?宴会ぐらい楽しくいきましょう。」

 

 

文

「欧我…。鬼の宴会をなめたらとんでもないことになるわよ。」

 

 

欧我

「はぁ…。」

 

 

小傘

「ま、私は楽しみだけどな。さっそく行きましょう!温泉でのんびりするよー!」

 

 

そんな2人をよそに、小傘ちゃんは楽しそうにスキップをしながら歩き出した。

 

俺たちもその後に続いて歩き出した。

 

 

 

 

 

10分後、4人の目の前に巨大な洋館が現れた。

 

ついに、地霊殿に到着した。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。