いざ、地霊殿の中へ
欧我
「すげぇ…。」
まさか地下にこんな豪華な洋館が立っているなんて…。
思わずカメラを構える。
にとり
「欧我って、本当に写真を撮るのが好きなんだねえ。さっきから撮りまくって。」
欧我
「まあね。」
そう言うとそばにあった生垣にカメラを向けた。
もちろん、ただ珍しいからではない。
これは普通の生け垣だ。
しかし、さっきから何かの気配を感じる。
上手く言えないけど、何もいないのに何かがいる。
視線を感じるのだ。
勇儀さんたちと別れた後から、ずっと…。
現像した写真には、やっぱり何も写っていなかった。
欧我
「まあいっか。えーと、メモメモ…。」
そう言ってメモを取り出そうとした途端、文さんが説明を始めてしまった。
文
「ここ、地霊殿は地獄の中心にある灼熱地獄の真上に、まるで蓋をするかのように建てられた洋館です。ここの中庭には灼熱地獄へ通じる穴があります。ちなみに、ここの主人はサトリ妖怪の古明地(こめいじ)さとりさんです。そして館の中にはさとりさんのペットがたくさん住んでいます。」
小傘
「ペット?それって犬とか猫とか?」
文
「はい。それ以外にもカラスやライオン、ハシビロコウやコモドドラゴンなど様々ですね。」
欧我
「それってもはや動物園じゃ?」
文
「そうですね。それらが館の中で放し飼いにされています。」
欧我
「放し飼い!?」
マジかよ…。
さっき文さんが出した動物の中に肉食動物がいたぞ。
もしかして、襲われて食べられたりするんじゃ…。
「おや、お客さんかい?」
そんな4人の前に、1人の女性が現れた。
真紅の髪を両サイドで三つ編みにし、根本と先を黒いリボンで結んでいる。
それよりも目を引くのは、頭にある大きな猫耳。
椛さんや響子ちゃんみたいに、どうしてこんなにかわいい耳を持った妖怪がいるんだ。
文
「この人はさとりさんのペットの一人、火焔猫燐(かえんびょうりん)さんです。」
欧我・小傘
「「ペット!?」」
いやいや、ペットって動物とかだろ?
なのに、妖怪がペットとか。
さとりさんってそんな趣味が?
「そんなに驚かなくてもいいよ。あたいはもともと猫さ。でも、怨霊や魑魅魍魎を食べ続けた結果今の姿を手に入れたの。後、呼びにくいからあたいの事はお燐って呼んでください。」
なんだ、そっか…。
そう言えば常識に囚われてはいけないんだった。
いけないいけない。
お燐
「さあ、さとり様のところまで案内します。心の奥深くまで読まれる覚悟があれば、着いて来てね。」
そう言うとお燐さんは地霊殿の入り口まで歩いて行った。
その後に続く欧我達。
心が読まれるって、かなり不安だ…。
もしかしたらこの取材を断られるかもしれない。
でも、文さんから教えられた秘策がある。
それをうまく活用しないと…。
お燐
「それにしても、あなた人間でしょ?」
欧我
「え?あ、はい。」
お燐
「そっかぁ。ここに人間が来るなんて珍しいね。旧都はどうだった?お団子は食べたかい?」
欧我
「いいところですね。まさか地下にこのような場所があったなんて知りませんでした。お団子ですか?実はまだ食べたことなくて。」
なんか、ずいぶん気さくな方なんだね。