まっすぐ空を飛んでいると、大きな湖に出た。
なみなみと水をたたえた湖には霧がかかり、湖の全体を眺めることはできなくなっている。
そして、その湖の畔に建つ豪華絢爛な洋館。洋館は全体的に紅い色調をしており、なぜか窓の数が少ない。
建物の周りは高い塀で囲まれ、まるでそこだけ隔離されたかのようだ。
洋館のてっぺんには巨大な時計台があるが、残念ながらこの場所からは文字盤を読むことができない。
パシャッ!
「すげぇ…。」
湖畔に立つ巨大な紅い洋館…
これはすごい絵になるなぁ。
「おーい、欧我ぁ!」
写真を撮っていると、ようやく魔理沙さんが追いついたみたいだ。
ほとんど一直線だったから、ノンストップで飛ばし過ぎたのかな?
「魔理沙さん、あれが紅魔館ですか?」
「そうだぜ。」
「素晴らしいですね!あんな建物は初めて見ました!でも、それにしても…」
どうしたんだろう。俺の吐く息が白くなっている…。
この場の気温が、下がっている?
「なんか、寒くないですか?」
「いいや、別に寒くはないぜ。」
魔理沙さんがそう言った直後、
「来たな人間!あたいと勝負だぁ!」
目の前に大きな青いリボンを頭に付け、氷のような羽の生えた少女が現れた。
「…え?俺?」
「ん?あんた誰?まあいいわ。震え上がるがいい、あたいの真の力に!」
「まあ誰でもいいか。一枚撮らないと!」
そう言ってカメラを構えた。
「おい、チルノ!別にお前と戦いに来たわけじゃないぜ。」
「げぇっ!魔理沙!?ってか、こいつは誰なのよ!」
魔理沙さんの発言から、その少女の名前はチルノということが分かった。
ってか、俺を指さしてこいつ呼ばわりとは…。
それにしても、この子は妖怪なのかな?
見た感じだと、小さい体と背中の羽。妖怪というよりも妖精に近いような。
それに、俺の周りだけの気温を低下させるって、かなりの凄技だ。
もしかして…天才だったりする?
「知らねぇの?文の号外に載っていただろ?」
「号外…?なにそれ。」
「前言撤回。」
俺は思わず吹き出してしまった。
号外の意味が分からないとは…。
「あっ、今あたいをバカにしたでしょ!?もう許さない!」
「もしかして、怒らせちゃった?」
「欧我、離れていろ。幻想郷での攻撃手段を見せてやる。」
魔理沙さんの発した声に頷くと、2人から距離を取ってカメラを構える。
攻撃手段を持っていない自分には、この戦いを見て学ぶ必要がある。
「いくよ!アイシクル・フォール!!」
チルノちゃんが両腕を広げると、その周りに氷の塊が現れる。
そして、それらを魔理沙さん目がけて放つ。
「へっ、それはもうくらわねぇぜ!」
そう言って右手を掲げると、そこに魔方陣が現れ、大量の星形の光弾が放たれた。
それらは氷の塊を次々と蒸発させ、チルノちゃんに迫る。
チルノちゃんは光弾の隙間を飛んで躱し、さらに氷の塊を作り出す。
「これが、この幻想郷での戦い方…。」
すげぇ…。
無数の弾がまるで膜のように広がるさま、弾の輝き、そしてわずかな隙間を縫ってまるで舞うように飛び回る姿に心を奪われ、気が付いたらすぐ近くでバトルに見とれていた。