地霊殿の中は、動物が放し飼いにされている割にはきれいに掃除がされており、なぜか動物たちの姿を見ることはできなかった。
たくさんいるのなら、1匹ぐらい現れてもよかったのに。
黒に、赤色または紫色の市松模様に彩られた床や、ステンドグラスがとても美しく、まるでおとぎ話の世界に来たような感覚になる。
お燐さんに案内され、さとりさんの部屋の前に着いた欧我達。
欧我
「ここが、さとりさんのいる部屋…。」
お燐
「そうだよ。じゃああたいはこの後仕事があるからね。」
お燐さんはそう言うと後ろを向いて歩いて行った。またあとで会えるかな?写真を撮りたいんだけど。
まあいいや、今はこっちだ。
文
「準備はいいですか?」
欧我
「はい。イメージできてます。」
文
「にとりさんと小傘さんも手筈通りにお願いします。」
にとり
「はいよ。」
小傘
「うん!」
準備はバッチリだ。
後は、やりすぎないように加減を調節しなければ。
でないと、後が怖い…。
文さんは一人一人の表情を確認すると、頷き、ドアをノックする。
中からどうぞという声が聞こえた。
思っていたよりも、若く、幼さを秘めた声だ。
そして、何ともかわいらしい…。
文さんがドアを開ける。
ドアの向こうには、まるで書斎のような部屋が広がっていた。
部屋の壁際には大きな本棚がずらっと並んでおり、たくさんの本が整然と並んでいる。
部屋の右手にはローテーブルと、その左右に向き合う形でソファが2つ。その上に乗っている花瓶にはきれいなバラが活けられている。
そして、デスクに座ってこちらを眺めているのが…
わぁお!
かわいい…。
薄紫のボブに真紅の瞳。
フリルの付いた水色の服やスカートも似合っているし、低めの身長や子供っぽい見た目も…。
「ようこそ、地霊殿へ。私が古明地さとりよ。よろしくね。」
さとりさんは椅子から腰を上げると、俺たちの前に来て挨拶をしてくれた。
その仕草がもう…。
文
「毎度おなじみ、清く正しい射命丸文です。今日は、地霊温泉の取材に来ました。ついでに、さとりさんの取材をしてもよろしいでしょうか。」
さとり
「ごめんなさいね、私は写真に撮られるのが好きではないので、私の取材はお断りします。」
そう言うとさとりさんは右目を閉じ、じっと文さんを見つめている。
まさか、心を読んでいるというのか?
左胸のところに浮かぶ赤い目で。
さとり
「あら、今度はスピードで勝負するつもり?でも、そんなことをしたって無駄よ。」
文
「ううっ…!」
文さんの反応を見て、今の発言は図星だったようだ。
そして今度は小傘ちゃんの方を向いた。
さとり
「あら、あなた今私を驚かそうとしたでしょ?ひどいことするわね。私のペットに向かってやらないでください。」
小傘
「もー!なんでわかるの!?」
さとり
「そしてあなた。あなた今この第三の目を分解して解析しようと思っているでしょ。」
にとり
「ひゅい!?」
ことごとく3人の心を読み、正確に当てていくさとりさん。
『心を読む程度の能力』とは、本当の事だったんだ…。
凄い…。
さとり
「さて、ここまで来た人間の心はどうなっているのかしら?」
欧我
「は・・・はい?」
わ、さとりさんが俺の前に来た。
間近で見ても…。
さとり
「…っ!?」
すると、突然さとりさんは顔を赤くして目をそらしてしまった。
わぁ、ますます…。
欧我
「どうしたのですか?」
さとり
「いえ…別に。でも…。」
口元に手を当て、目をそらしたまま体を震わせるさとりさん。
そして、そのままボソッとつぶやいた。
さとり
「私のことが…好きって。かわいいって…どういうことよ?」