地霊温泉を目指し、道を進む欧我達。
文
「それで、取材はうまくいきましたか?」
欧我
「まあ、できましたが…。」
欧我に元気はなかった。
イメージは、もちろん解除している。
小傘
「人をだますのは、やっぱりいい気持ちはしないよね。」
そうなんだよな…。
もう罪悪感でいっぱいで…。
あんなさとりさんを見ると…。
文
「大丈夫ですよ。いいですか?新聞記者は嫌われてなんぼなんですよ。」
欧我
「俺、写真屋なんだけどな…。」
道を歩きながら、地霊殿へ向かうまでの道中で行った作戦会議を思い返す。
~~~~~
文
「…というわけで、今回の取材が成功するかどうかは欧我にかかっていますよ。」
文さんからされた、さとりさんの能力とその攻略法。
正直、ものすごく不安なんだよね…。
文
「何をしても読まれてしまうわ。だったら逆に考えるのよ、読まれちゃってもいいさ!とね。」
欧我
「つまり、俺がさとりさんを好きという感情をわざと読ませてペースを握ろうというのですね。」
文
「そうよ!」
欧我は大きなため息を漏らす。
欧我
「好きになれるかな?そんなにいきなり。」
文
「大丈夫よ、欧我の思い込みがあればうまくいくよ。」
欧我
「思い込みじゃなくて、イメージですよ。想像する力、すなわちイマジネーション。」
そう言えば「イマジネーション!!」ってどっかの車掌さんが叫んでいたな。
まあ、取材のためにはやるしかないか…。
欧我
「わかりました、やってみます。でも、その代わりひとつ条件があります。」
文
「なんですか?」
欧我
「この取材が終わるまで、文さんのことを嫌いになります。それでもいいですか?」
さとりさんに演技だと悟られないためには、余分な感情を残してはならない。
この場合は、文さんが大好きだという感情。
この感情があれば、いくらさとりさんが好きというイメージをしてもばれてしまう危険性がある。
文
「いいですよ。新聞記者は嫌われてなんぼですから。にとりさんや小傘さんも、この事は思い出さないでください。いいですね?」
にとり・小傘
「「うん!」」
~~~~~
欧我
「取材はできました。地霊温泉の取材の許可は下りました。でも、さとりさんのことを新聞に載せるのには最後まで反対していました。」
文
「そうよね…。まあ、これだけでも大収穫といったところかな。」
欧我
「あー、罪悪感が…。」
そんな俺の背中を小傘ちゃんがポンポンと叩いた。
小傘
「師匠。そんな気持ちも、温泉できれいさっぱり流しましょ?」
欧我
「ありがとう。」
俺は笑顔でお礼を言った。
まあ、気持ちを切り替えよう。
小傘ちゃんの言った通り、きれいさっぱり水に流そう。
道を歩いていると、だんだんと辺りに硫黄の臭いがうっすらと感じられるようになった。
温泉が近い。
欧我
「あれ?前に誰かいますよ?」
目の前に建つ温泉の建物の前、そこに誰かが立っているのが見えた。
頭に角を生やした高低差のある2人。
その姿を確認した途端、顔から血の気が引いて行く文さんとにとりさん。
それもそのはず。
前に立っているのは、鬼の萃香さんに勇儀さんだ。
勇儀
「お前ら、取材は無事に済んだみたいだな。」
欧我
「はい。ところで、何故お2人がここに?」
欧我の質問に、勇儀さんは頭をかきながら答えた。
勇儀
「あれ、言っていなかったっけ?後でそこに行くって。」
あ…。
そう言えば言っていたね。
萃香
「文ににとりに小傘、私たちと温泉でゆっくりと話そうか。欧我には悪いけどね。」
そりゃあ、男女別れないといけないからな。
さあ、目一杯楽しもう!
…ってか、文さんたちもっと笑顔になってよ。