慌てて女湯のある方を向く。
女湯の方で何が起こったというのか!?
その上空には、黒い毛むくじゃらの物体が浮かんでいた。他にも2つの物体がある。
あれは…?
こいし
「あれは近くに潜む妖怪だね。よく悪さをするんだ。」
欧我
「妖怪だって!?」
見ていると、毛むくじゃらの妖怪が下に向かって粉状のものを散布し始めた。
その途端、女湯から文さんたちの声が途絶えた。
一体どうしたというの!?
「やっぱり、お前の痺れ粉はよく効くな。」
痺れ粉!?
「だろ?さあ、誰を連れ去る?」
連れ去るだって!?
「おっ、あの黒髪の女とかはどうだ?」
黒髪?
今女湯にいる人の中で黒髪は…一人しかいない!
欧我
「文さん!?」
欧我は腰にタオルを巻くと、上空へ向かって飛びあがった。
上空でにとりさんの能力を真似、水で巨大な足の形を作り出す。
次にチルノちゃんの能力でその水を凍らせた。前3本、後ろ1本の巨大な爪のある、まるでドラゴンの足のような形になった。
そして、妖怪目がけ足とともにキックを繰り出した。
欧我
「仮魔『ストライクエンド』!!」
猛スピードのキックは見事に命中した。
弾き飛ばされ、地面と激突し分厚い氷に押し潰された2体の妖怪。
しかし、その内の1体にはギリギリで避けられてしまった。
「だ、誰だお前!?」
文
(欧我…。)
欧我
「お前ら…。」
その妖怪に向かって、怒りをぶつける。
よくも…。
俺の…。
欧我
「俺の文に、手ぇ出そうとしてんじゃねぇよ!!」
さっきのキックの時と同じ要領で手に氷のグローブをまとわせ、思いっきり拳を叩きこんだ。
吹っ飛ばされた妖怪は遠くまで飛んで行き、そして星になった。
欧我
「ふぃ~。」
大きく息を吐き、気持ちを静める。
まったく、ひどいことをする妖怪もいたもんだ。
女湯に現れて自由を奪い、人をさらっていこうなんて最低な行動だ。
欧我
「皆さん、大丈夫で…」
後ろを振り返り、皆の状況を確認しようとした途端、俺は動きを止めた。
ここは、女湯だ。
目の前には竹垣がある。
と、言うことは、後ろには湯船がある。
痺れ粉によってみんなの体は動かない。
つまり…。
欧我
(振り返っちゃダメだ!振り返っちゃダメだ!振り返っちゃダメだ!振り返っちゃダメだ!…)
自分に何度も言い聞かせて、視線を前に戻す。
ふと下を見ると、腰に巻いていたはずのタオルはいつの間にか無くなっていた。
欧我に1つの危機が訪れた。
今、俺は女湯に何も身に着けていない状態で立っている。
急いで男湯に戻らないと!!
慌てて飛び上がろうとした途端、聞き覚えのある声によって呼び止められてしまった。
「欧我さん…」
欧我
「さ、さとりさん!?」
入り口のドアから顔を出し、欧我をじっと見つめているさとりさんと目が合ってしまった。
今はイメージをしていない。
つまり…。
さとり
「だましたのですね…」
欧我に、第2の危機が訪れてしまった。