「っ!?」
次の瞬間、俺の内である変化が起こる。
目の前で繰り広げられるバトルの光景が脳内でぐにゃぐにゃと形を変え、1本の鍵に姿を変える。
その鍵は、俺の記憶を閉じ込める金庫に開いた無数の鍵穴の1つに挿し込まれた。
くるり、とその鍵は回され、カチャッと鍵の開く音が鳴り響いた。
その結果解放された1つの記憶。
それは、欧我に弾幕による攻撃手段を与えた。
「俺にも、この弾を出すことができる…」
湖畔に降り立ち、足元に落ちている小石を写真に収めた。
そして現像された写真を空中に浮かべる。
そして力を込める。
「それっ!」
その直後、その写真から大量の球体の光弾が飛び出した。
次に落ちている木の枝の写真を撮る。
そして同じように力を込めると、今度は棒状の光弾がものすごいスピードで飛び出した。
写真に写す物の形によって、その写真から放たれる光弾の形やスピード、威力などの性質が変わる。
これが、俺に秘められたもう一つの能力。
『写真に写したものを光弾として実体化させる程度の能力』
「すげぇ…。」
今回、魔理沙さんとチルノちゃんのバトルが記憶を解き放つ鍵となった。
今後意外な物や刺激が鍵となって失った記憶が次々と解放されていけば、自分自身が誰で、どうして幻想郷にいるかがわかるのかもしれない。
「…うが!欧我!」
「え?」
はっとして我に返る。
目の前には、魔理沙さんとチルノちゃんがいた。
「終わったんだね。あれ?やっつけなかったの?」
「まあ、これはバトルと言うより遊びみたいなものだからな。私たちは『弾幕ごっこ』って呼んでいるが。それよりも大丈夫か?じっと写真ばかり見て。」
「写真…?」
俺の手の中には、小石と枝が写された写真が握られていた。
「ああ、これね。無くした記憶の1つを思い出すことができた。」
「そっか。じゃあ私は宴会の準備に戻るからな。お前も遅れずに来いよ。」
「うん、わかった。」
そう言うと魔理沙さんはほうきに乗って神社のある方角に飛んで行った。
その後を追いかけるチルノちゃんはなんだか嬉しそうな顔をしていた。
まあ、宴会に参加しようと思っているのかもな。
宴会は大勢いるほうが楽しいに決まっているし。
…さて、まずは大図書館へ行こう。
ここからすぐ近くにある紅魔館、この洋館の地下に、俺の目指す大図書館がある。
この洋館には、いったいどんな妖怪が住んでいるのだろうか。
大きすぎるから、おそらくたくさんの妖怪がいるだろう。
中には人を襲う妖怪もいるはずだ。
取り戻したばかりの能力でどこまで対抗できるかはわからないが、とにかく気を付けていこう。
ついでに、写真を撮りまくってこよう。