欧我スト
文
「欧我ー!取材行かないのー?」
欧我
「いかなーい。」
8月に入ったばかりのある日。
欧我が…引きこもりました。
私や小傘さんの呼びかけには応えるものの、一向に部屋から出てきません。
襖を開けようとしても、まるで襖が固まったかのようにびくともしない。
にとりさんから、欧我に頼まれて鍵を取り付けたと聞いたのは閉じこもってから2日が経過してからの事でした。
今日で、閉じこもってから3日が経過しています。
具合が悪いのか、それとも取材に行くのが嫌になったのでしょうか…。
霊夢
「知らないわよ。」
文
「あややや!?」
予想外というか、半分予想通りな返答が返ってきて私は霊夢さんの方を向いた。
霊夢
「それよりも、何故私に相談なんかするの?ほかに適任ならいくらでもいるでしょう。」
文
「そうですが…。」
魔理沙
「おーい、霊夢いるか?」
アリス
「あら、文もいるのね。」
そんな私たちの前に、魔理沙さんとアリスさんがやってきた。
アリスさん…。
そうだ!
引きこもる前日、欧我はアリスさんの家に魔理沙さんと一緒にお邪魔したのよね!
アリスさんたちなら何かを知っているのかもしれない。
魔理沙
「お、どうした?元気がないじゃないか。」
文
「実は…。」
私は欧我が引きこもってしまったこと、3日間も出てこないこと、そしてそれに対する不安を話した。
魔理沙さんたちは私の話を黙って聞いてくれた。
魔理沙
「なるほど、欧我がストライキをね。」
文
「はい。アリスさんは何か知っていることはありますか?欧我はストライキの前日にアリスさんのお宅をお邪魔しているのですよね?」
アリス
「そうよ。でも、普段と変わったところなんかなかったわよ。ねえ、魔理沙。」
魔理沙
「そうだぜ。」
文
「そうですか…。」
一体何があったというのでしょうか…。
もしかして、私のことが嫌いになったというの?
私の口を突いて出るのは、大きなため息ばかりだった。
霊夢
「はぁ、仕方ないわね。こうなったら無理やり引きずり出すしかないわよ。」
えっ!?
霊夢さんの予想外の発言に、私は驚いて顔を上げた。
でも、もうそれ以外に方法はないのかもしれない。
アリス
「そ、それは止めようよ!いくらなんでも!」
魔理沙
「そうだぜ!欧我のためにもよくないぜ!な、文もそう思うだろ?」
アリスさんと魔理沙さんはそう言っている。
でも、私は、もう襖を破壊してでも部屋に入って話を聞かないと、これ以上進展はしないだろうと思う。
欧我には悪いけど、ここは心を鬼にして。
文
「はい、霊夢さんの言うとおりにします。欧我を部屋から引きずり出します。」
霊夢さんたちを引き連れ、私は自分の家へと帰ってきた。
そこには、縁側に座ってうつむいてばかりいる小傘さんがいた。
小傘さんも、欧我を部屋から連れ出すために、何度も呼びかけてくれた。
写真撮影に行こうと言っても、欧我はいかないと言うだけで部屋から出てこなかった。
小傘
「あ、文さん…。」
小傘さんの目は、涙が滲んでいた。
霊夢
「さて、欧我の部屋はどこ?」
霊夢さんの問いかけに、小傘さんは黙って部屋の方を指さした。
部屋の襖には、『ストライキ』と書かれた紙が貼られている。欧我の直筆だ。
霊夢
「ストライキって、ふざけないで。みんな心配しているのよ!」
しかし、部屋の中から返事はなかった。
霊夢さんは私の方を向いて頷いた。
その目は、これから襖を破壊すると語っていた。
私はただうなずく。
欧我、ごめんなさい。
霊夢さんは弾幕を2、3発襖に向かって放つ。
弾幕が当たった襖はバラバラにはじけ飛び、もくもくと煙が舞った。
でも、弾幕の当たった個所には大きな穴が開いていた。
その穴から欧我の部屋の中を見ることができた。
欧我は部屋の真ん中に座り、驚いた表情でこちらをじっと見つめていた。
良かった、具合が悪いというわけではないようね。
床には布や綿、針や裁ちばさみなどの裁縫用具が散乱し、欧我の手の中には水色の物体が握られていた。
これは一体…?
霊夢
「欧我、今まで何をやっていたの?」
霊夢さんの問いかけに、欧我は黙っていた。
そして顔を床に向ける。
そこには、バラバラになった襖の残骸があり、まだ煙が立っているものもあった。
その残骸に近寄り、残骸の中から何かを拾い上げる。
それが何かが分かった時、私は目を見開いた。
文
「それは…私のぬいぐるみ!?」
私を基にしたぬいぐるみだ。
しかし、そのぬいぐるみは弾幕が当たった影響で黒く焦げている個所があった。
そのとき、欧我が手に持っていた水色の物体が何かも分かった。
これもぬいぐるみだ。しかも、これは小傘さんを基に作られたものだ。
小傘
「欧我、これってもしかして!」
アリス
「ごめんね文、小傘。ずっと黙っていて。これは私たちだけの秘密にしていたの。」
その様子を離れたところから見ていたアリスさんが話し始めた。
ある日、魔理沙に連れられて欧我が家を訪ねてきたわ。
そこで欧我に相談を受けたの。
大好きな文に何かプレゼントを渡したいって。
欧我の希望では自分で作ったものがいいって言っていたわ。
で、私が提案したのはぬいぐるみよ。
そう、今欧我が手に持っているものがそれよ。
必要な材料と道具を一式貸し与えて、それを使って今まで作っていたの。
サプライズで驚かせようと意気込んでいたけど、隠すのにストライキ以外にもっと方法はあったでしょう。
文
「そんな…。」
じゃあ、ずっと部屋に閉じこもってぬいぐるみを作っていたの?
私たちのために?
私は欧我のもとに近づいて行った。
欧我は、ぬいぐるみを持ってうつむいたままだった。
私は欧我からそのぬいぐるみを取り上げる。
文
「ありがとう、かわいいぬいぐるみよね。」
欧我
「でも…壊れちゃった。完成していたのに。」
私のぬいぐるみは黒く焦げちゃっている部分もあるが、完成度が高く、かわいくデフォルメされていた。
そして、初めて作ったのにしっかりと作られている。
文
「いいのよ、私はその気持ちだけでうれしいわ。」
そして優しく欧我を抱きしめた。
文
「ありがとう。じゃあ、私からも欧我へお返しのプレゼントよ。」
欧我
「え…?」
欧我のほっぺにやさしく手の平を添わせた。
文
「受け取ってくれますよね?」
笑顔でそう言うと、欧我と唇を合わせた。
霊夢
「まったくもう、いつまでやっているのよ。」
アリス
「いいじゃないの。今は二人だけにしておきましょう。」
魔理沙
「そうだな。」
次の日、ぬいぐるみはアリスさんによって修復され、欧我からプレゼントとして贈られた。
あんなことがあってサプライズとはならなかったけど、これは私の大切な宝物になった。
え、襖の修理代ですか?
もちろん、博麗の巫女さんに請求しましたとも。
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どうも、作者の戌眞呂★です。
このたび、この小説のお気に入り登録者数が50人を超えました!
今現在(4月1日18時55分)ではお気に入り登録者数は59人です!
まさか、こんなにも多くの人に読んでいただけるとは思いませんでした。
本当に、ありがとうございました!
この場をお借りしてお礼を申し上げます。
なので、番外編として『お気に入り登録者50人突破記念』と題して2、3話ほど本編とは関係ない小話を書きたいと思っています。
それよりも、欧我と文さんとの恋愛関係はどうですかね?
恋愛ものを書くのは初めてなのでうまく書けているか不安があります。
しかし、この調子で書き続けていくのでこれからもよろしくお願いします!!
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