欧我
「えーと、どこだっけ…?」
ある晴れた昼下がり、欧我は森の中をさまよっていた。
晴れていると言っても、辺りはうっそうと茂る木々に囲まれて日光は地面まで下りてこない。なので、辺りは薄闇に包まれている。
鞄からメモを取り出して確認する。
薄暗いので、にとりさんから頂いたキュウリの懐中電灯が大活躍だ。
前よりも光の強さが弱まったような…。まあいいか。
ここは魔法の森。
森の中は人間にとっては最悪の環境で、化け物茸の胞子が宙を舞い、普通の人間が呼吸をするだけで体調を壊してしまう。森は、地面まで日光が殆ど届かず、暗くじめじめしているので、茸が際限なく育つ。 ここの茸は人間にとって食用に堪えうる物もあるが、見た目はあまりよろしくない。また、比較的幻覚作用を持つ茸が多い。
この茸は近くに居るだけで魔法を掛けられた様な幻覚を見る。
また、この茸の幻覚が魔法使いの魔力を高めると言う事で、この森に住む魔法使いも多い。
今俺が目指している魔理沙さんの家も、この森の中にある。
しかし、さっきから森の中をさまよっているにもかかわらず、体調はすこぶる快調だ。
幻覚も現れない。
もしかして、これも地霊温泉の取材の直前に飲んだ永琳さん特製の薬の効果なのか?
すげぇ、月の頭脳!
欧我
「やっと着いた…。」
目の前には、西洋風の小さな一軒家が建っていた。
家の周りの木々は切り倒され、まぶしい光が降り注いでいる。
屋根にはでかでかと『霧雨魔法店』と書かれた看板が設置されている。
そして近くに建つ看板にはこう書かれていた。
「なんかします」
なんかってなんだよ。
まあいいや、魔理沙さんはいるかな?
俺がここに来た理由。
それは霊夢さんに頼まれたからだ。
「最近神社に現れない魔理沙が心配になったから様子を見てきて頂戴。ついでに食料も買ってあげてね。」だそうだ。
まあ、日ごろからお世話になっているからいいんだけどね。
欧我
「魔理沙さーん!」
応答なし。
いないのかな?
その後も何回も呼びかけたりドアをノックしたりしたが、家の中からは何も聞こえなかった。
ためしにノブをひねってみると、スーッとドアが開いた。
家の中にいるのかな?
欧我
「勝手にお邪魔しまーす!」
部屋の中は、一見何に使うのか理解できない物がいたるとことに散乱していた。
よくこんな所に住めるよな。
ん?
耳を澄ますと、家の中のどこかから咳が聞こえる。
魔理沙さんはいるのかな?
欧我
「魔理沙さん!?」
その部屋には、ベッドの上で横になっている魔理沙さんの姿があった。
熱があるのか、顔が赤くなり、だらだらと汗をかいていた。
まさか…。
魔理沙
「お、欧我か。わりぃな、風邪を引いちまった。」
欧我
「やっぱり!大丈夫ですか?とにかくじっとしていてください!」
俺は慌てて部屋を飛び出した。
その後…。
欧我
「ほら、腋を見せなさい!」
魔理沙
「自分で測れるから。」
熱を測ったり、
欧我
「乗せるよ。」
魔理沙
「つめたっ!?」
冷たい水をしみこませたタオルをおでこに乗せたり、できるだけの看病を行った。
少し落ち着くと、魔理沙さんから台所を借り、調理に取り掛かった。
食材や調味料を買っておいてよかった。
調理器具も大方そろっているし。
風に効果があるのは野菜のビタミンCや卵に生姜。
これらを摂りやすく調理するには…。
鍋に水や白出汁、麺汁に少しの塩を入れて沸騰させ、そこにご飯を投入。
ふっくらとしてきたら溶き卵を流し込み、風邪に効くとされる生姜を入れ、刻んだ葱を散らせばあっという間に完成!
特製、卵雑炊!!
欧我
「さあ、食え。熱いから気を付けてね。」
魔理沙
「お、美味そうだな!サンキュー!」
魔理沙さんは雑炊の入った器を受け取ると、スプーンですくって口の中に入れた。
魔理沙
「うめぇ!美味いよこれ!」
欧我
「そう、よかった。」
喜んでくれてうれしかった。
やっぱり、俺には料理の才能が…?
いや、それはわからない。
さて、食器とかを片付けないとな。
ベッドのそばに置かれた椅子から立ちあがり、部屋を出て台所に向かった。
魔理沙
「すー…」zZZ...
落ち着いたのか、魔理沙さんはすやすやと寝息を立てている。
良かった、この調子ならすぐ回復するだろう。
でも、さっきから動き続けていたら眠くなってきた。
森の中をさまよっていたから、疲労がたまっていたのかな?
少し寝よう。
仮眠、とってもいいよね?
欧我
「…ん?」
ああ、寝ていたのか。
魔理沙さんのベッドにもたれ、毛布にくるまれ…え?毛布?
魔理沙
「お、起きたのか。」
欧我
「魔理沙さん?熱は?」
その時、部屋に魔理沙さんが入ってきた。
え、さっきまでベッドで眠っていたのに。
魔理沙
「ああ、欧我の看病のおかげでずいぶん楽になったよ。ありがとう。」
そっか、よかった。
魔理沙
「ところで、私に何か用があってきたのか?」
欧我
「あ…。」
そうだった。
何かをするためにここに来たんだった。
でも、何だったっけ?
看病に集中していたら、忘れちゃった。
欧我
「いや、なんでもないです。何か用事があったような気がしますが、忘れちゃいました。」
魔理沙
「そっか。」
その後、魔理沙さんはベッドの中に戻り、2人で笑いながら語り合った。
後日、元気になった魔理沙さんが、食料がたくさん入った袋を持って博麗神社を訪れた。
台所に置かれていたそうで、自分のものじゃないからどうするか迷ったが、看病をしてくれたお礼として俺にくれるらしい。
その袋を見て、俺が魔理沙さんの家を訪ねた理由を思い出した。
この食料は魔理沙さんに送るものだったのに…。
まあいいや、俺も食料が必要だからな。
ありがたくいただくことにしよう。
と思ってたら、霊夢さんにすべて横取りされてしまいましたとさ。とほほ…。
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どうも、作者の戌眞呂★です。
番外編、いかがでしたか?
番外編と言っても、俺が書きたかった短い物語をただ書いただけですが。
その物語を楽しんでいただけたら幸いです。
また番外編はやると思います。
その時も、温かい目で見てください。
これからも、よろしくお願いいたします!
さて、次は人間の里で開かれる夏祭りが舞台です。
いつものように、文さんと取材に訪れた欧我は、そこでいろいろな人に出会います。
では、次の話をお楽しみください。
それでは、失礼いたします。
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