幻想郷文写帳   作:戌眞呂☆

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第10章 人里の夏祭り
迷子の2人


~欧我視点~

 

 

欧我

「あ、どうもこんばんは。幻想世界の超新人、今を切り取る写真屋の葉月欧我です。」

 

 

俺は今夜、文さんと一緒に人間の里で開かれている夏祭りの取材をするためにやってきました。

数多くの出店が並んでおり、八目鰻やかき氷など妖怪や妖精が出店しているお店もあって、大勢の客でにぎわっている。

 

…んだけど、ここ、完全に人間の里の外へ出ちゃった。

輝く提灯も、家から漏れる明かりもなく、薄闇が広がるだけ。

人通りなど全くなかった。

 

 

なぜここにいるのか…。

それは、人の波に流され、文さんとはぐれてしまったのだ。

そして、気付いたらここにいた。

俺、迷子かぁ~。

 

欧我、迷子っと。

Oh my god! (おーうがまいごっと!) …くだらねぇw

 

 

くそ、懐中電灯の明かりがだんだん弱くなってきた。

にとりさんが言うには、キュウリの鮮度がいいほど強い光を放てるらしい。

しかし、残念ながら今手元にはキュウリが無い。

 

 

欧我

「…ん?」

 

 

今、見てはいけない物を見た気がする。

 

背筋を冷たいものが駆け巡る。

いやいや、そんなわけがない。ガタガタ

い、いくら何でも目の前にいる女性に足が無いからって…。

 

…ん、足?

その女性の下半身には足が無く、かわりに幽霊のような足が2本生えている。

 

これって、もしかしてもしかしなくてもあれだよな?

 

 

「あ、そこの君。」

 

 

欧我

「お、オバケだぁぁぁぁぁ!?」でたー

 

 

「うるさい!少し黙れ!」

 

 

慌てて口を両手で押さえた。

まさか、オバケに怒鳴られるなんて…。

 

 

 

 

 

~文視点~

 

 

「ああ、皆さんどうも!毎度おなじみ、清く正しい射命丸文です!」

 

 

今日は取材兼散策…まあ、デートという名目で夏祭りに来ています。

 

いろんなお店を見て回り、さあ2人で思いっきり楽しもうと思ったら、いつの間にか欧我の姿が見当たらなくなってしまいました。

どこへ行ったのでしょうか…。せっかく欧我の分のわたあめを買ったというのに。

まあ、歩いていたらそのうち見つかりますかね。

 

 

かぷっ!

 

ん~!やっぱり甘いものは最高ですね!

このリンゴ飴なんか酸味も程よくて最高です!

 

 

どたどたどた・・・

 

どんっ!

 

 

「あやややや!?」

 

 

どてっ!

 

いたたた…。

背後からいきなり突撃され、前に倒れてしまいました。

ああ、私のリンゴ飴がぁ~。

 

 

「お主、大丈夫であったか?」

 

 

「あやや、あなたは…」

 

 

私の目の前に立ち、顔を覗き込んでくる女性は灰色に近い銀色の髪をポニーテールにまとめ、頭に烏帽子を乗せている。

 

この人は確か…。

 

 

「尸解仙の物部布都(もののべの ふと)さんですね?」

 

 

布都

「おお、我の名前を知っておるのか!…それよりも、怪我は無いか?急いでいたのでぶつかってしまった。」

 

 

まったく、私のリンゴ飴を。

…いや、一旦その事は置いておいて…。

 

どうして急いでいたのでしょうか?

 

 

「怪我は無いです。ところで、どうしてそんなに急いでいたのですか?」

 

 

布都

「うむ、実はな。」

 

 

布都さんは両腕を組むと、経緯を話し出した。

 

布都さんの話をまとめるとこうなる。

屠自古さんと一緒に人間の里に、夏祭りのついでに買い物に来ていたが、ちょっと目を離したすきに屠自古さんの姿が見当たらなくなっていたのだそうだ。

 

これって、今の私たちと同じ状況ね。

屠自古さんが迷子になってしまった。

 

 

布都

「まったく、屠自古のやつ。一体どこに行ったのか?」

 

 

「知らないです。」

 

 

布都

「そうか…。お主頼む、一緒に探してはくれまいか?」

 

 

「…はい?」

 

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