貴方は誰かを殺してる
「朝日の中で」
キノとユーリとレジーは、昇る朝日を見つめていた
あたりが一面雪景色であり、猛烈に眩しい朝日だった
世界を銀色に染めながら、太陽はゆっくりと地平線からのぼり、さらなる高みを目指しているかのようなだった
防寒着を着込み、キノは自動装填式スナイパー・パースエイダー「フルート」を背負い、ユーリはヤタガラスの上に腰かかり、レジーはエレノアの中から窓を開け、片腕を出していた
そしてキノの股がっているところから
エルメス「うん、いい天気だね」
エルメスの声がした
キノ「そうだね、エルメス」
キノは言い返した
ユーリ「…幻想的だな」
ユーリがそう言うと、
レジー「同感です」
レジーもそう言った
キノ達の前に、3人の人達がいた
3人とも女性で、20代から30代だった
やはり防寒着を着込み、サングラスをして、太陽を見ている
3人は泣いていた
サングラスの下から、滝のような涙を流していた
時折それを外して、タオルで顔中を吹いていた
「うぅ…」
「あぁ…」
「うっ、うぅ…」
3人の嗚咽が、雪に吸い込まれて消えていくように感じた
エルメス「でもさ」
エルメスがなにか言おうとして
キノ「お静かに、エルメス」
キノはエルメスの方へ振り向かず、声だけでそれを制止した
そして、キノはずっと、朝日を見ていた。
ユーリとレジーも、ずっと見ていた。
3人の泣きじゃくる女性たちの後ろから、黙って見ていた。
「関連の国」
広い大地を、2台のモトラドと1台の車が走っていた
2台のモトラドの内の1台は銀色の燃料タンクを光らせ、もう1台は真っ黒のボディで、もう1台とは逆に光を吸い込むかのような見た目をしていた。
1台の車の方は、銀色のボディに、特徴的なヘッドライトがあり、中々のエンジン音を大地に轟かせていた
黒いモトラドに股がっている、背が高く、長い銀髪を鈴の着いた青いリボンでひとまとめにしている男、ユーリ。
車を運転している長い黒髪の見目麗しい女性、レジー。
茶色のコートとゴーグル付きの耳垂れの長い帽子を被った幼い少女、キノ。
3人組は皆、サングラスをつけていた。
エレノアの後部座席には、旅荷物がこっちゃりと載っていて、整理整頓がかなりされていなかった。
寝袋やテント、水や燃料缶などの荷物の中に、象でも殺せそうな大口径ライフルタイプのパースエイダー が無造作に突き刺さっている。
大地には、土と草と木々と、丘があった。
世界は広大だが、低い丘が連なるため地平線は見えない。時期が春であるため、葉は青々と茂っていた。
空は綺麗に晴れており、太陽の日差しは強かった。
ヘビのようにうねって続く道は、トラック1台がやっとほどの狭さだ。
左右を潅木に挟まれた、少し赤みがかかった茶色の土の色が、途切れることなくどこまでも続いている。あちらこちらに大きなくぼみがあり、そこ輪を通過する際、小さな車は揺れに揺れた。
キノ「あの、お師匠様。疑う訳じゃありませんが、この道を通る人などいるんでしょうか?」
舌を噛まないように、揺れが収まった後にキノは言った。
レジーは涼しげな表情を崩さずに答える。
レジー「さあ?この先にあるのは、あまり普段から人が行かない国だとは聞いていますが」
ユーリ「こんな道じゃそうだろうよ。今が乾季だからまだいいが、雨期だったら泥沼だぞ…まぁせっかくいくんだから、そこで何か儲け話があるといいがな。その国の特産物、何か知ってるか?」
レジー「ええ。陶磁器だそうですよ」
レジーの答えに、エルメスが酷くつまらなそうに呟いた
エルメス「そりゃーダメだろうねー」
エルメスは顔がないため表情が分からないが、声の様子で、肩を竦めたかのように思えた。
陶磁器は壊れやすいが故に輸送が厄介である。余程の名器でもない限りは高値も期待できない。つまり、輸出入するには効率があまりにも悪かった。
キノは、
キノ「まぁ、僕はユーリさんと一緒に美味しいものでも食べられればそれでいいです」
レジー「私がいないのが少々気になりますが…少し見ないうちに本当に生意気に育って、一体誰に似たのでしょう?」
3人の旅人達はそれぞれの思いを胸に、丘を下った先に見えてきた城壁を眺めていた。
3人が入国したそこは、とても広い国だった。
城壁ははるか遠くまで走って、先端は全く見えない。国の中を太い川がゆったりと流れて、畑の緑が、四角い絨毯のように広がっていた。
国内の道を淡々と走り、旅人御一行は1番栄えている中心部に入った。と言っても平屋でレンガと木造の家屋がたくさん並ぶ、実にのどかな街だった。
商品があるメインストリートを走らせると、余所者はそれはそれは目立った。質素な服を纏った住人たちが一斉に、手にカゴをもって集まって来た。中身は野菜や果物だった
それらは新鮮で、美味しそうではあったが、
ユーリ「悪いがどいてくれ。買い物なら後でちゃんとするから」
ユーリは邪魔な住人達を、ヤタガラスのエンジンを吹かし、腹の底に響くような重々しい音を出して追い払った。
泊まれる場所を見つけて、3人はそこにエレノア、ヤタガラスを預け、歩きで通りへと出た。
先程通り抜けたメインストリートに戻り、レジーは客を見て回った。ユーリとキノは、果物をかじりながらそれに続いた。
暇そうな住人達や子供達が、物珍しそうに後ろに着いてきた。
レジーやキノの太腿の位置で光る大口径のハンドパースエイダーや、ユーリの左腰に下げられた自動式のパースエイダーを見て、子供達が面白そうに、指で二人を撃つ仕草をしていた
ユーリが、
ユーリ「お前達、本物でやっていると、もう死んでるぞ。5回くらいな」
子供達に言ったが、今ひとつ伝わっていないようだった。
レジーはいくつかの店を覗いて見たが、売っているのは食料と、簡単な雑貨、衣類など。
そして噂の陶磁器に行くと、確かに見事な出来の品が並んでいて、熱心に店の人は購入を勧めてきた。しかし、レジーは買わなかった
キノ「まぁ、よく出来ているとは思うですけどね」
キノはそう言うと、とても薄く作られた磁器を指で弾いて、綺麗な高音を響かせた
エルメス「わぉ、いい音するね」
店巡りもおおかた終わった頃、相変わらず住人達に囲まれている3人に、
老人「旅人さん、ちょいと、よろしいかな?お聞きしたいことがあるんじゃが」
1人の老人が話しかけた。齢で80はいってそうな、老人だ。脇に、お供だろうか、中年の男性が控えていた。
レジー「なんでしょうか?私に分かることでしたら」
レジーが言うと、老人は自分の店に3人を案内した。
かなり広い店だった。老人は自分が店主だと言った。店で売っているのは、ほかの店と同じく見事な陶磁器だったが、
老人「実はこれなんじゃが……旅人さんは買ってくれないかのう?」
作業員の男達が2人の足元に運んだのは、大きな木箱だった。ひっくり返したら机ほどになりそうなほど大きな木箱の中に入っているのは、たくさんの石だった
白くて、やや透明な石だ。形や大きさも歪だ。小さいのは指先ほど、大きいのは拳程。そんな石が、大きな木箱の中にザラザラと入っていた。何百、何千個あるのかも分からなかった。
ユーリ「これ、水晶か?」
ユーリが呟いた。
女性は床に静かにしゃがむと、箱に手を伸ばして、それをひとつ掴んだ。金平糖のお化けのような、薄くピンク色が乗った、乳白色のいびつな石だった
レジー「……」
レジーは9秒程それを眺めて、そしてポイッと放って、箱に戻した。石と石がぶつかり合い、ちいさな音がした。
エルメス「ねぇおっちゃん、これ、この国の中で取れるの?」
エルメスの質問に、老人が答えた
老人「そうなんじゃが、ワシらには必要のないものじゃ。焼き物を作るために、川からキメの細かい泥を取るのじゃがその時に振るいにかかるのがそれなんじゃ」
キノが頷きながら、
キノ「なるほど、それは確かに邪魔でしょうね。しかし、ならば捨てればいいんじゃないですか?」
老人「それがのう、川に捨てると、下流で採っている人が怒るんじゃ。また振るわなければならんしの。しかし道に捨てると、裸足の人から足が痛いと苦情が来る。当然畑に捨てる訳にも行かんし、いつ畑になるか分からん国土に捨てるのも叶わん。城壁の外まで捨てに行くのは億劫じゃ。だから、こうして集めて保管しているんじゃ。まだ倉庫がいっぱいになるほどあるんじゃ」
ユーリ「…そうだな。なら、綺麗に加工して、アクセサリーにでもしたらどうだ?他の国ではそうしている」
ユーリの言葉に、老人は首を横に振った。
老人「ワシが若い頃はそうしていたが、そのうちに国民全員に行き渡ってしまった。売れなくなると加工も面倒になって、今じゃ誰もやりたがらないし、ほしがらんのじゃ。せめて、アンタ達が買って、国の外に持ち出してくれると助かるんじゃが」
キノ「そうなると、多分旅人や商人もあまり欲しがらないと思いますよ。高値も期待できませんし、近くに国があればまだ良かったんですが…」
キノが正直に言うと、老人は肩を落とした。
老人「やはりそうか……どうしたもんかのう……」
すると、先程から黙っていたレジーが、先程までと変わらない表情のままで
レジー「私に、1つアイデアがあります」
ユーリとキノとエルメス。店主の老人。そして従業員の男達。
全員の注目を浴びながら、レジーは淡々と語った。
レジー「誰もこの石を欲しがらないのは、それに価値が無いからです」
エルメス「まそうだよね」
エルメスが相槌をうった。レジーは気にせずに続けた
レジー「それならば価値を作ればいい。簡単な話ですよ」
老人「価値を、作る、じゃと?」
老人が首を捻った
レジー「えぇ、この石は《単なる綺麗な石》ではなく、《持っていると幸運がやってくる力のある石》としてしまうのです。この国では昔からそういう伝統があることにして、売り出すのですよ」
老人「……?」
ぽかんとしている老人や従業員へと、レジーが説明を続ける
レジー「その際は、国中の皆の協力が必要なのは言うまでもありません。もし売れたら、国に寄付するなどして、還元しましょう」
老人「し、しかしじゃ」
老人が口を挟んだ。
老人「それは…お客を騙していることになる…。まるで、穴のあいた茶碗を売るようなものじゃ…。実際この石に、そんな力なんぞありはしない…」
レジー「そうです。力はありません。でも、人間には《思い込み》という力があります。手に入れた人が、『大変にいいものを手に入れた!これから自分には運気が巡ってくる!』と信じていると、それはその人の自信につながります。そして、自信に満ちた人の行動は得てして成功に繋がるのです。例え理由が嘘でも、治った体は本物です。ですから人を騙しているか否かは、買った人の考え方次第と言ってもいいでしょう」
老人「…」
ユーリ「…まぁ、レジーの言ってることはあながち間違っているわけじゃない。『そんなのが信じられるか!』って奴はそもそも買いはしないさ。『そんな石を信じてみたい』人が買うわけだから、問題はないだろう。騙しているという罪悪感など、持つ必要は無いし、持つ意味もない」
老人「…」
キノ「売る時は、どうせならつける値段はなるべく高い方がいいです。いくら余っているからといて言って安くしてしまうと、『そんなの効果ないんだろう』と高を括られてしまいます。値段が高いと、『そんなに高価なのは、皆が欲しがるからだろう。皆が欲しがるくらいなら、きっと石に力があるのだろう』と思われるのです。少しずつ、高く売るのがコツだと思いますよ」
老人「…」
エルメス「付け加えるなら、石はこのままでいいよ。無理に磨いたり、形を整えなくても結構だと思う。『自然の中の形が1番力が強い』とでも言っとけば、加工の手間も費用も押えられるしね。それと、これほど大量にあることはなるべく秘密にしといた方がいいよー。この国でも珍しい石なんだと言い張るのさ。一度にたくさん買おうとするやつがいても『それだかしかない』と言う。希少性が高価なことの理由付けになるからね」
老人「む、むう…」
老人は唸った。周りの従業員達も、呆れているのか関心しているのか分からない表情だった。多分両方なんだろう
レジーは、
レジー「ただ、これを実行するかしないかは最終的には貴方方次第です」
老人「むう……ご意見、確かに伺った。ひとまず、ありがとう。なにかお礼がしたいのじゃが、何かあるじゃろうか?」
老人の言葉に、レジーは、
レジー「では、記念に石を4つ頂ければ」
そう言って、箱の中から1つを取り上げた。あまり大きくない、コイン程の大きさの石でした。
ユーリ(…あのレジーが…たったあれだけ…?あれだけで事足りるほどの価値が、水晶ごときにあるとは思えないが…)
キノ(同感です…)
ユーリとキノがそんなことを思っていたが、レジーはそんなことなど知るよしもなかった
老人「そんなので、いいのか?」
レジーは頷いた。そして、
レジー「私はありふれた石も嫌いではありませんよ。…この国の思い出に」
3人の旅人は、その国に宿泊して翌日に出国した。
結局買ったのは自分達の食料だけだった。それも干し肉以外は生鮮食品であるため、数日以内に食べてしまえる量だけである。
再び、でこぼこ道を2台のモトラドと、1台の車が走る。
ユーリ「結局、儲け話などなかったな」
ユーリがそう言うと、
レジー「いいえ、大変に儲かりましたよ」
レジーがそんな言葉を返した。
それを聞いたキノは怪訝そうな顔をし、
キノ「その石のことですか」
レジーがジャケットの内ポケットから取り出した、例の石に気づいた。丁寧そうに、布に包まれていた。
ユーリは前を向いて、ハンドルを握りながら言った。
ユーリ「あの国の者達は、言う通りにできるのだろうか」
レジー「実直な店主は無理でも、まわりの従業員達はできるかもしれませんね」
エルメス「なるほどー…次に来た旅人か商人が、『素直に幸運を信じる人』な事を祈ってよう」
エルメスがそういうと、一旦話は終わったと思った
しかし、レジーが終わらせなかった
レジー「気づいていないのですよ。あの国の人達も…そして、貴方達も」
キノ「…気づいて、いない?」
エルメス「なになに?あの国にとんでもない秘密があったとか?」
ユーリ「そんなものは感じなかったが…なんだ?あの国に、何か気になることでもあったか?」
ユーリ達はそれなりに驚いて、聞き返した
レジーは、石を持った右手を前に出して、フロントガラス越しに入り込む太陽の光に、石を鈍く光らせた。
そして、
レジー「これ、ダイヤモンドの原石ですよ」
ユーリ「…」
キノ「…」
エルメス「…」
ユーリ「…悪い、今、なんて言ったんだ?」
キノ「…ユーリさん、僕は疲れてるかもしれません…」
エルメス「あっはは!お師匠様も面白い冗談いうね!あれがダイヤモンドだなんて、それじゃあんなに大量に木箱に入ってるわけないじゃない。ダイアモンドはとても希少なんだから」
レジー「これも、あの木箱に入っていたのも、全てダイヤモンドだと言ったのです。一体何カラットあったのか、想像もつきません。もはや、何キログラムと言うべきでしょうか」
キノ・ユーリ・エルメス「………」
2人と1台は、しばらく走ったあと、尋ねた
ユーリ「戻らないか?」
レジー「戻りません」
レジーは即答した。
キノが口をへの字にして、
キノ「言ってくれればいいのに…」
エルメス「そうだよー!なんで言ってくれないのさ!」
レジー「自分で気づけなかった貴方達が悪いのです。たくさんあるからこれは水晶だと、勝手に思い込んだのでしょう?ユーリも、勉強になりましたか?」
ユーリ「厳しいな…だがまぁ、勉強にはなった。しかし、それならそうで、もっと大量に貰ってくれば良かったんじゃないか?まだ荷物には空きがあっただろう?」
レジー「私の仕事としては、これで十分ですよ。これを、ダイヤモンドを宝石として扱っている大きな国に持っていけば、数年分の路銀になるでしょう」
キノ「それならあの箱ごと貰ってくれば良かったんじゃないんですか?」
エルメス「僕もそう思うけどな〜」
キノとエルメスの言葉に、レジーは少し溜息を吐きました
レジー「では逆に聞きますが」
レジーは2人に尋ねた
レジー「そんな大量の原石を持っていったら、高く買い取ってくれると思いますか?」
キノは考え、やがて首を横に振った
キノ「いいえ…買い叩かれます。それに、どこの国で手に入れたのかと追及してくるでしょうね。殺されることになっても不思議ではありません」
レジー「だからひとつでいいのです。見つけた場所も、旅の途中のどこだか分からない川のほとりだとでっち上げます」
エルメス「なるほどね〜納得。さすがはお師匠様だね」
エルメスが感心したかのようにそう言った
レジーは無言のまま、何がわかったのか、その発言をまった
ユーリ「次にあの国に来た旅人が、もしダイヤモンドだと気づかなければ…あんな『幸運をもたらす石』などインチキだと思って買わない。まあ中には縁起担ぎに大金をつかえる奇特なやつや、本気で信じてしまう奴もいるかもしれないがな」
レジー「そうですね」
ユーリ「だが、目が利いてあれがダイアモンドだと分かれば…今のレジーのように、暴落しない程度に買って、出処は秘密のまま売り捌くはずだし、それを繰り返す。結果、あの国の者達は儲かるし、商人や旅人はもっと儲かる。しかも、大量の原石が一気に買い叩かれることも無い。ダイヤモンドに目がくらんで、あの国に押し入ったりする不埒な輩も防げる…」
レジー「そうです。もちろん、空気を読めない誰かが全てをばらしてしまう可能性も少しはありますが」
キノ「それは、どうなることやら、ですよね」
キノが、あの国の未来を思いながら、空に向かって呟いた。そして、
ユーリ「それにしても」
ユーリが楽しそうに微笑みながら言った
ユーリ「ダイヤモンドって、あるところにはある物なんだな。猛烈に高い金を払って、恋人やフィアンセに送っている男共が知ったら、悶絶するだろうさ」
その言葉に、レジーは冷たく言い放った。
レジー「知らなければ、それまでですよ」
しばらくして、3人の旅人は森の中に着くと、野営の準備をし始めた。その時、
レジー「ユーリ」
ユーリ「ん?なんだレジー。飯ならまだ出来ていないぞ」
レジー「違います。……これを」
そう言ってレジーが渡したのは、3つの、あのダイヤモンドの原石だった
ユーリ「……なんだ?くれるのか?」
ユーリは手のひらに乗った3つの小さな原石を見ながらレジーに聞いた
レジー「ええ、そうですね。1つはあげます。しかし、2つは未来に渡してもらいます」
レジー「出来れば、指輪として送ってくれると嬉しいものですが」
ユーリ「……?そうか。まぁお前も女だものな。綺麗な装飾品でも欲しくなったか。…しかし」
ユーリは懐に原石を収めながらレジーに尋ねる
ユーリ「何故3つ渡した?この大きさなら指輪を作るのはひとつでも足りているが…」
その言葉を聞いたレジーは、少し間を開けてから、答えた
レジー「…キノの分ですよ。あの子にも、できれば送ってあげてください」
珍しく神妙な顔をしながら答えるレジーに、ユーリは疑問を持ったが、持ち前のレジーへの忠誠心と絶対的な信頼が、それを捨てた
ユーリ「…そうか。わかった。指輪をふたつ、作ればいいんだな。そしてお前たちに渡す」
レジー「そうですが…本当にその意味が分かっているんでしょうか?そんな端的に言われては、少し複雑な気分です…あぁ、あとそれと」
レジー「渡す時は、まず私に渡してくださいね」
ユーリ「……?意図もそうだが、渡す順番にも意味があるのか……?まぁわかった。そうしよう」
レジー(……意味、分かっていませんね、これは……まぁいいです。貰えさえすれば、それで私達のモノになりますから…)
レジー「…全く、キノも私に感謝して欲しいものです」