キノとユーリとレジーの旅   作:黒アライさん

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再会の森

間違いを正すことが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

必ずしも正しいとは言えない

 

 

 

 

 


 

ある日の事だった。

 

季節は秋に差し掛かり、森の中ではいっそう紅葉の葉が地面に積もっていた。もうすぐ昼に差しかかる時刻の時、そんなときも小さな小動物達は、迫り来る冬の季節に備えて、いそいそと自分の食料をかきあつめていた。

 

その森の中で、自然とはかけ離れた音と振動がきこえてくる。

 

それは、とある旅人達によるものだった。1人は身体は小柄で、耳垂れの着いた帽子を被り、ゴーグルをはめ、背丈にあっていないぶかぶかの茶色のコートを羽織り、風と共にたなびかせながらモトラド(原動機付き二輪車のことを言う)に跨り、森をかけていた。もう1人は、相方と比べると結構な身長差があり、長く綺麗な銀髪を、木々の間に差しかかる光を反射しながら風で揺らしている。服装は黒いコートに、相方と同じ耳垂れ付きの帽子とゴーグルをつけ、モトラドで進みながら、薄水色のシャツを風でたなびかせていた。

 

 

 

エルメス「ねぇねぇユーリ」

 

ユーリ「なんだ?エルメス」

 

エルメスと言うモトラドが、ユーリという青年に聞いた。

 

エルメス「次の国、どういうところなの?なんか特別なこととかあんの?」

 

そんなエルメスの問いに、ユーリは自分のモトラドである、ヤタガラスを運転しながら素っ気なく答える。

 

ユーリ「さぁな、情報を集めてみたが、いかんせんその国について知っている奴が異常に少なかったからな。わかったことは、そこまで文明は高くないこと。そして…医療技術がないということだ」

 

ユーリのその言葉に、キノは首を傾げた

 

キノ「?ない、とは?」

 

ユーリ「文字通りないのさ、人を治すという技術が。そもそも、治すということすら知っているかどうか怪しいな」

 

エルメス「へー、そんな国もあるんだねぇ。さぞかし生きづらいんだろうなぁ」

 

2人の旅人とモトラドは、そんなことを口掴みながら、森の中で少し広い場所に出てきた。

 

ユーリ「ちょうど良い、今日はここらで野宿だな」

 

ユーリはそう言うとその広めの広場の端にヤタガラスをスタンドでたてかけた。キノも同じようにヤタガラスの隣にエルメスをスタンドでたてかける

 

ユーリ「キノ」

 

キノ「はい、分かりました」

 

キノはそう返事すると、手馴れた手つきでエルメスから野宿用の毛布などを取り外し、すぐそばに置くと、火を起こすための手頃な木を探すために森の中を歩いていった

 

ユーリ「…さて、それじゃあ俺は、なにか食い物でも探すとするか」

 

ユーリはそう言いながら黒いコートを脱ぎ、ヤタガラスのハンドルにかける。そして薄青色のシャツの袖をまくり、ラフな格好でエルメスに尋ねる

 

ユーリ「エルメス、近くに川は?」

 

エルメス「ないね、手頃な食料だと、今の季節なら栗っていう木の実が結構床に落ちてると思うよ」

 

ユーリ「…栗、か。食ったことないが、上手いのか?」

 

ユーリはそう言いながら、ヤタガラスのサドルを、その下側に着いているスイッチを押しながら上にあげた。するとサドルが箱の蓋のように片方だけ持ち上がり開いた。その中には様々な物資が綺麗に収納されていた。

 

エルメス「さあ?食べたことなんてないから分からないよ。でもまあ、不味くはないんじゃない?」

 

ユーリ「…携帯食料よりはマシであることを祈ろう…」

 

ユーリは肩をすくめながら、サドルの中からちょっとした調理器具を出してきた

 

エルメス「…ユーリってさ、ほんとに几帳面だよね。旅に調理器具持ってくるなんて、大規模な商人たちぐらいだと思うよ?」

 

ユーリ「飯は栄養の補給と共に、心を潤してくれる。いつまでもこんなクソ不味い栄養だけの固形物食ってたんじゃいざってときにやる気が出ない」

 

ユーリはそんな悪態をつきながら、自分も野宿用の毛布などを取り出していく。すると、手頃な木材を手に入れてきたキノが戻ってきた。

 

キノ「ユーリさん、戻りました」

 

ユーリ「もう戻ってきたのか。悪いな、今から準備するところだ」

 

キノ「いえ、気にしないで下さい。いつもはボクが手間取ってるんですから」

 

キノはそう言いながら広場の中央に拾ってきた木枝を置いていく。

 

そして置き終わった木枝の中央に、枯葉を乗せ、その上にほんの少しばかりのガソリンをかけ、懐からマッチを取り出した。

 

チッ…チッ…シュボッ!

 

マッチを二、三回マッチ箱の側面に擦り付けると、マッチ棒の先端から勢いよく火が現れた。

 

そしてキノはマッチ棒を指先で弾くようにして置いてある木枝に向かって飛ばした。

 

すると、綺麗にガソリンのかかった枯葉のところに入り、そして流れるかのように引火し、あっという間に焚き火が出来た。

 

エルメス「ほんと、慣れたもんだね」

 

キノ「そりゃあ、これをしてきたのは昨日今日の事じゃないからね。嫌でも慣れるよ」

 

キノはそう言いながら予備の木の枝を使ってガサガサと焚き火の中を弄り、火が効率よく回るようにしかけた。

 

その傍で、ユーリはパースエイダーを片手に森の中へ入ろうとしていた。

 

ユーリ「それじゃあ少し言ってくる。わかってると思うが「数時間たって来ないようならここからすぐに離れること、決してユーリさんを探そうとしないこと、ですよね。分かっていますよ」…ならいいが」

 

そのまま去っていくユーリの背を見つめ、完全に去るのを見届けると、キノは焚き火の前に座り、もうすぐで完全に日が暗くなる中、エルメスに唐突に変な事を語り始めた

 

キノ「ねぇエルメス」

 

エルメス「なんだいキノ」

 

キノ「昨日ね、少し…いやだいぶ…いやすごく、変な夢を見たんだよ」

 

エルメス「随分盛るね。一体どんな夢を見たの?キノが変って言うぐらいだからとても変なんだろうね」

 

エルメスは冗談混じりにそんなことを言うが、キノは至って真面目に答える

 

キノ「…僕は昨日夢の中で、この景色を、この今の現状を見た」

 

キノは焚き火を細長い木の枝で弄りながらそういった。後ろに居たエルメスは、随分と盛られたによってはそこまでの衝撃がなかったようで、それほど驚きもせず答えた

 

エルメス「あぁ、予知夢ってやつ?それともデジャブって言うのかな?人間にとっては稀に見るものらしいよ」

 

キノ「そうだね、それは僕も聞いた事があるし、前に見た事もある。でも、例え夢の中だとしても、嫌で…とても恐ろしかったんだ」

 

キノは声色を変えずにそう言いながら空を見上げる。エルメスはキノの後ろにいるため、表情を見ることは出来なかったが、珍しくキノがほんの少し身震いした

 

エルメス「…へぇ、キノが恐ろしいなんていうとはね。正直ココ最近で1番驚いたよ。でもどうして?ただこの景色を、この現状を見ただけの夢に、そこまで恐怖することなんてないと思うけど?」

 

キノ「確かにそれだけじゃ怖がることなんでない。でもほんとに恐ろしかったのはその後だ。この夢には、まだ続きがある」

 

エルメス「続き?」

 

キノ「うん。この後はね…」

 

 

 

 

 

 

パァンッ!

 

 

 

 

 

キノ「ッ!」

 

 

キノがそこまで言い淀んだ時、結構遠くから1つの銃声が聞こえた。音からしてユーリのパースエイダーであるバンシィの音だった。そして立て続けに発砲音が鳴った。

 

エルメス「うわ、ドンパチやってるね。この銃声、ユーリかな?襲われちゃってるのかな」

 

キノ「…りだ」

 

エルメス「え?何だって?」

 

キノ「夢の通りだ。僕は昨日の夢で、この事も見た」

 

キノは腰のホルスターにつってあるリボルバー式パースエイダーのカノンのグリップを握りながら、ユーリの銃声が聞こえた方とは真逆のところを見る

 

エルメス「…なるほど、じゃあ、この後来る奴らのことも知ってるのかな?」

 

エルメスがそう言うと、遠くから地響きのようなものが聞こえてきた。そして、それはだんだんと大きくなっていく。どうやらキノ達の方面えと向かってきているようだ。

 

キノ「数は?」

 

エルメス「大型四輪駆動車が1台、モトラド2台ってとこかな。どうすんの?…っていうか、これからのことも夢で知ってるんなら、どう動くかも決まってるのかな?」

 

キノ「まぁね。それじゃあ、僕の夢を信じて、動くとするよ」

 

キノはそう言って、横にあった焚き火を蹴り壊し、あかりを消した。もうほぼ日が落ちている時刻である為、視界はほとんど暗く染まった。

 

 

 

 

 

…………

 

 

 

 

 

 

「おい、明かりが消えたぞ。どうする?」

 

「ならヘッドライトを消すぞ。互いに見えない状況になるが、ここ周辺の地形の情報は俺達の方が詳しい。この森の中でのそれは、覆すことの出来ない決定的差だ。そこを上手く使うぞ」

 

大型の四輪駆動車に乗った5人の男達と、2台のモトラドに乗った男達は、先刻、この森に入った2人のモトラド乗りの旅人を襲い、荷物を奪う為、ずっとタイミングを見計らっていた。

 

ガサッ…ガサッ…

 

山賊達は車から降り、各自それぞれの自動装填式アサルトパースエイダーを持ち、ゆっくりと音を立てずにキノ達のところへ向かう。慎重に、焦らずに、じっくりと時間をかけ、念入りに当たりを見回しながらキノ達の火の消えた焚き火の跡を見つけた。

 

しかし…

 

「…何の気配も感じないな。おい、どうする?」

 

「いや、よく見ろ。モトラドが置いたままだ。ということはまだ近くにはいる。それにまだ向こうではこいつの相方が撃ち合ってんだ、むざむざ見殺しにするとは思えねぇ。…いや、まさかそっちの方に加勢に行ったのか…」

 

山賊達が小声で相談しており、どう動くか決めかねていた。

 

その時だった。

 

ガサッ!

 

「ん?なんの音『ザシュッ!!』

 

『それ』は、木の上から1人の男目掛けて飛び、着地すると同時に男の喉元をかっさばいた。

 

キノ「まず1人」

 

キノはそう言いながら右腿に吊るしてあるホルスターからリボルバー式パースエイダー「カノン」を取り出し、流れるように2発撃った。

 

バァンバァンッ!!

 

その2つの銃弾は2人の男の頭部に目掛けてまっすぐに飛んでいき、そして貫いた。あまりのとっさの出来事に、山賊達は反応が遅れ、まともに対応することができなかった

 

「うわ!うわぁぁ!!」

 

バババババッ!!

 

1人の男が、自分の真後ろで3人の仲間が殺されたことによる恐怖なのか、半狂乱になりながらキノのいる方向にデタラメに銃を連射した。

 

しかしキノは冷静に、傍に落ちている死体を盾にしながら男に目掛けて突っ込み、山賊の集団の懐に潜り込んだ。

 

キノ(そのパースエイダーでこの至近距離なら、僕のカノンの方が強い!)

 

キノは姿勢をできる限り低くしながら滑り込み、山賊の股下を潜り抜けると同時に1発。男の顎から脳天を一点に貫いた。そして残った山賊達がキノに振り返ろうとした瞬間に1発。山賊のうちの1人の頭を正確に撃ち抜いた。

 

しかし、そこで残った2人のうちの1人の男が、思い切った行動をした。

 

「ッんのガキがァァ!!」

 

ブンッ!

 

キノ「!?」

 

男は手に持っていたパースエイダーをキノに向かって《投げた》。

 

これには少しキノも驚いたが、キノの、今まで積み重ねてきたユーリとレジーの訓練と、殺し合いの経験が、キノの体を動かした。冷静に、されど無駄がなく、その投げられたパースエイダーを避けた

 

だが

 

「うぉぉぉぉ!!!」

 

男はナイフを片手にキノに体当たりをしてきた。流石のキノも接近戦となれば体格の良い男の方が強い。キノはまだパースエイダーを避けた時の体制のままで、対応するのに遅れた。

 

ドゴッ!

 

キノ「ふぐっ!?」

 

キノの小さな体では男の巨大な体を受け止めることなどできなかった。男の体当たりを、腕で無理やり防ぎながらも突き飛ばされ、硬い地面に叩き付けられた。その時に手に持っていたカノンを手から離してしまった。男はそれを見逃すはずもなくすかさずキノにトドメを刺そうとするが、

 

キノ「ッんの!!」

 

バンッ!

 

男「イギッ!?」

 

キノは即座に後腰に吊ってあるもうひとつの自動装填式ハンド・パースエイダー「森の人」を抜き、狙いはとにかく体のどこかに当たれば良しとしてとにかく撃った。

 

その弾は男の太腿に直撃し、男は悲鳴を上げながら倒れ込む。しかし…

 

「このぉ!!」

 

バァンッ!!

 

ガキンっ!

 

キノ「うわっ!」

 

最後の1人である男がキノに向かってハンド・パースエイダーを撃った。だが、運良くキノは森の人に銃弾が当たった為、傷を負うことはなかったが、森の人は手から弾かれてしまった。

 

「動くんじゃねぇ!!指1本でも動かしてみろ!足から順に撃ってやるからな!!」

 

キノ「……」

 

キノはそう言われると、ピタリと動きを止めた。手元にパースエイダーがない時点でいくらキノと言えども分が悪すぎていた

 

「…へへ、そうだよそれでいいんだよ…じっとしてろよ」

 

男はそう言い、キノに銃口を向けながら太腿を撃たれて唸り続けている男が無事かを確認した。そして再びキノに振り向いた

 

「…このクソッタレのガキが…よくもまぁこんだけ殺ってくれたもんだぜ…キッチリ落とし前つけてもらわねえとなぁ…」

 

男はそう言いながらジリジリと距離を詰めていく。

 

 

 

 

 

 

その時、ずっとだんまりだったエルメスがしゃべり出した

 

エルメス「なるほど、キノが言ってた1番恐ろしい夢ってのはこのことだったのか。そりゃ恐ろしいよね、納得納得」

 

「…あん?」

 

男は急に喋り出したエルメスに向かって振り向くが、エルメスはその男に向かって一言、《忠告》をした

 

エルメス「今からの天気は〜星空の見える晴れた夜空のち〜」

 

 

 

 

 

エルメス「銀色の車が横から降ってくるでしょう〜」

 

エルメスがそう喋った後の数秒後、森がざわめきだした。そして、森から出るとは思えない重々しい何かの音が、だんだんと近付き、

 

 

 

ドゴォン!!

 

男「へ?」

 

キノ「…あ」

 

グシャッ…

 

横から急に銀色の車が飛び出してきた。その拍子に、太腿を撃ち抜かれ、うずくまっていた男の頭は踏み潰され、キノに銃口を向けていた男ははね飛ばされ、ビクビクと体を震わせたのちに、動かなくなった

 

ガチャ…

 

その銀色の車からドアをあけ、現れたのは、長く美しい黒髪と、茶色いジャケットを羽織った…

 

「久しぶりですね、キノ。気分はどうですか?」

 

キノ「…最悪ですね、お師匠様

 

 

 

 

レジーであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




人物紹介

レジー

原作通りの服装をしており、車は昔から乗っていた黄色いボロボロの車ではなく、ユーリがずっと昔から改修していた、現代で言うFORD MUSTANG “ELEANOR。通称《エレノア》に乗っている。


キノとユーリが旅に出たあと、レジーは自分のカノンがキノに持っていかれたことと、久しぶりに旅をしたくなったという理由で家を飛び出し、ガレージに残っていたユーリが改修した車、エレノアに乗り、まずは2人を探す旅に出ていた。持っている武器はとりあえず、ユーリの拳銃の予備である、今のユーリが持っているものと同じパースエイダーを2丁持ち出している。レジーはそれぞれ《レイ》《ヴァジュラ》と呼んでいる。
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