あらすじ
フリスクは迷宮第一階層にて『三十二人の勇者』の内の二人、遊戯とこなたと出会う。
そして魔法講習を受け、かなり強くなったまどかと第一階層を一通り回ったネスと合流し、遊戯とこなたを仲間に引き入れる。
そしていよいよ本番の第二階層へと足を踏み入れるのであった。
僕たちは遊戯とこなたを仲間に引き入れ第二階層に入った。目につくのは石畳の通路。正に迷宮だ。
「単純だけど何があるか分からない。注意して行かなきゃね。」
「分かった、気をつけるよ。」
「そうだよね、何があるか分からないから。」
まどかとネスは頷きながらそう言った。
「ダンジョン探索の基本ってやつだね~、私ワクワクしてきたよ!」
「おいおい油断禁物だぜ泉さん、気を引き締めるんだ。」
遊戯とこなたは最初から分かっているみたいで(こなたの空気が緩んでいるようだけど)、本当に頼もしいな。
しかし最初に会った時から思っていたけど...
「遊戯とこなたって一体どういう関係なの?」
ちょっと失礼かな...と少しばかり考えつつそう質問してみる。
「ん?そうだねぇ...あれだ、オタク仲間って感じかな?」
「...俺は自分をオタクだと思ったことは無いんだがな。でも泉さんは実際凄いんだ。俺との
「何言ってるんだよ~遊戯くん、それはオシリス抜きの話でしょー。」
...その後。
彼らの会話は熱を増していき収拾がつかなくなった。もう何言ってるか分からない。
でもデュエルモンスターズかぁ...何か面白そうだなぁ。
今度遊戯から教えてもらおうかな。
そんなこんなでしばらく歩いて第三階層。奇跡的に第二階層には敵は見かけなかったんだけど...途中で見つけた二つの宝箱には一つめに果物ジュースと
「レバ剣拾ったっ!これで勝つる!」
「あはは...」
こなたがこれを貰うと宣言し、僕は苦笑いでOKを出した。まぁ今剣をまともに使えるのはこなたぐらいだし...まどかはまだまだだろうしね。
「この剣の性能分かる人いないかな?」
こなたがそう言った。
「分からない...別に気にすることもないと思うけどね。」
「ごめんね、私には分からない...」
「フリスクの言うとおり、気にする必要はないと思うなぁ。」
僕とまどかにネスには分からない。当たり前のことだ。...ところが。
「...いや、俺なら分かるぜ。これはこの世界でいうところの
「!?...分かるのかい、遊戯?」
ネスがそう遊戯に聞いた。
「ユニークスキル、ってあるだろ。俺のユニークスキルは『
「そういや私も何か獲得してたような...確か『
「確認してみたら?精神を研ぎ澄まして念じてみればいいと思う。動いてくれ...みたいな感じで。」
僕がこなたに助言するとこなたは意識を集中させ始めた。遊戯も確認のため精神を研ぎ澄ましていく...
ステータス・キャラクター紹介(今回より既に紹介したスキルなどは省略する。)
個体名 武藤遊戯(登場 遊戯王デュエルモンスターズ)
種族 人間
職業
称号 名も無きファラオ
加護 ファラオの守護
魔法 なし
ユニークスキル『
・・・思考加速、解析鑑定、最適行動、予測演算
最適行動・・・自分が置かれている状況を分析し、最適解の道を提示する。
予測演算・・・対象の次の行動を予測し、演算する。回避や連撃を仕掛けるのに便利なスキル。
耐性 精神攻撃無効・・・精神攻撃が効かなくなる。
他の世界にも名が知れ渡っている、伝説の
個体名 泉こなた
種族 人間
職業 すっぴん
称号 つっぱしるオタク少女
加護 幸運星の紋章
魔法 なし
ユニークスキル『
・・・不測効果、精神弛緩、賢者
不測効果・・・発動対象に何かしらの状態異常を発生させる。ランダムなため賭けの要素が強いが、敵を石化させたり、発狂させたりも可能。
精神弛緩・・・発動対象の精神に干渉し、対象の感情を抑える。敵の無血制圧などに有用。
賢者・・・思考加速と詠唱破棄を兼ね備えたスキル。
耐性 状態異常耐性
『三十二人の勇者』の一人。『テラカオス異変』の解決後、元の学校がボロボロになったため別次元の『県立北高校』に友達皆とともに転校した。そこには嘗ての『三十二人の勇者』メンバーたちがいた。元々その高校出身だったという者もいれば、こなたたちと同じような理由で転校、引っ越してきた者もいた。生粋のギャルゲオタクでカードゲームにも詳しく、ゆる~い性格をしている。何故か剣術が使えるが、本人は何故だかは分からない様だ。
遊戯とこなたのスキル確認が終わったみたい。...っ!
「危ない!!」
僕は急いで『
「ふっ!!」
決意を障壁に変えて不意討ちから皆を守る。危なかった...もしもの時のための『決意操作』を応用したレーダーが無かったら大変なことになってたよ。ユニークスキル『
襲ってきたのは少し大型のコウモリが三体。レーダーによると、推定Dランクの
それでも油断はできない。戦いでは何があるか分からないから。
「すまん、迷惑かけたみたいだ。」
「確認をさっさと終わらせていれば良かったよ~、ごめんね?」
気にしないで、と答える。
「来るよ!」
「任せて、ユニークスキル『
まどかの言葉に反応してネスが囮となるように前に出る。
下位蝙蝠がネスに一斉に攻撃を仕掛ける。しかし、
「『
その声と同時にネスの体が光の膜に包まれ、レッサーバットの攻撃を難なく凌いだ後、
『PKフラッシュα!』
再度突撃してくるレッサーバットに超能力による眩しい光を放った。
そして後衛に控えたまどか、遊戯、こなた、そして僕が攻撃準備をする。っと、大切な事をいい忘れてた。
「待って皆、個人の勝手なわがままだけど...」
「何だフリスク。」
「どうしたの、いきなり?」
遊戯とまどかがそう言った。
「どんな敵でも絶対に、絶対に殺さないで欲しい。撃退か、最低でも気絶ぐらいにして欲しいんだけど...。」
ウーン、別の世界の人に聞き入れてくれるかな...?
「...そう言うだろうと思ったぜ、分かった。」
「殺されるのはゴメンだけど、殺すのはもっと嫌なんだよね。分かるよ、私も同じ...!」
「フリスクが言いたいこと、大体分かってた。大丈夫だよ。」
良かった、僕は出来るだけ彼らのLoveが上がるのは見たくないんだ。彼らの心の輝きが曇るのも。
...それじゃ!
「吹き抜ける風よ、我が敵を切り裂け!...お願い、『
「エルフの剣士、召喚!いけ、攻撃だ!!」
「あっぷっぷぇ!二段斬り!!」
まどかが習得した風魔法が、遊戯のエルフの剣士の攻撃が、こなたの剣捌きがそれぞれ命中する。どれも狙ったように急所を外している。
そして。
「...今だ、峰打ち!!」
まだ動こうとする
「よし、初勝利だ!」
「良かった...上手くいって。」
「ま、当然だよね~。」
「この調子でいこう!」
僕は今凄く嬉しい。あの地下世界は基本一人で歩いてた。でも今は違う。隣に、周りに、『いつも』仲間がいる!!
「まだまだ先は長いみたいだね。出発しよう!」
...だけどここは迷宮。浮かれずに先に進まなきゃ!
戦いを重ねるごとに皆の役割も決まってきた。ネスが囮と防御を務め、まどかは魔法攻撃、遊戯がモンスター召喚や補助カードによるサポート、こなたはトリッキーかつテクニシャンな動きで敵を撹乱し、僕が止めを刺す...こんな感じの連携が成り立つようになったんだ。
お宝も大分手に入れた。
ちなみに。
折角だし無いよりはマシということで、防具を着けていくことに決めたけど、僕が鎖かたびら、まどかがローブ、ネスがブーツ、遊戯がコート、こなたが籠手を着けることになった。
...僕やネス、こなたはあまり印象が変わらなかったけど、まどかと遊戯の見た時の印象の変わりようが凄いな。
どこかシュールにも感じる。二人とも学生服の上に、ローブ、そしてコートを羽織っているものだから...
やがて僕たちは十階層にたどり着いた。この階層の最後の部屋に、
...僕たちは今その階層守護者の部屋の前にいる。
「準備と覚悟は?」
皆が大きく頷く。
「それじゃ...行くよ!」
僕は扉を堂々と開く。
そこに居たのは...3メートル位の巨体。硬い外骨格。そして...
黒く、凶暴性を露にした蜘蛛だった。
ブラックスパイダー。
Bランクのモンスターで、人間の小さな村なら壊滅に追い込めるという強力なモンスター。
遊戯が『解析鑑定』でそう教えてくれた。
僕たちはユニークスキルを持っているけどそれでも本質は人間だ。少しでも気を抜けば殺される。
...それでもやることは変わらない!
「こっちだ!!」
ネスがブラックスパイダーを引き付ける。
「『守護』併用、『PKシールド』!!」
光の膜に包まれるネス。そしてブラックスパイダーの攻撃を防ぐ。
「『パラライシスα』だっ!!」
電気の糸がブラックスパイダーに巻き付く。ブラックスパイダーは動きを封じられた...が。
「!!ヤバいっ!」
ブラックスパイダーは何と強引に拘束を解いてしまった。
「皆、気をつけるんだ!」
「今更だねぇ、分かってるよリーダー?」
こなたがそう応じた。まどかと遊戯も問題無さそうだ。
「散開っ!!」
僕の声で皆は四方に散る。硬い外骨格の脚による一撃をかわし、それぞれ攻撃に転じる。
「当たって、『
「行けブラック・マジシャン!『
「ついてこれるかな~?『
「決意を弾丸に変化、『Justiceブレッド』!!」
全ての攻撃が脚に見事命中、敵の動きが鈍る。そこに...
「皆離れて!『PK...キアイβ』!!」
ネスの声だ!
その声と同時に、皆が退避する。
ネスが放ったのは念動波の圧縮砲。圧縮された念動波は解放時に、圧縮した分だけの爆発を産み出す。
彼を表す代名詞であり威力は強大。
広範囲殲滅PSI、それが『PKキアイ』なのだ。
ネスが放った『PKキアイβ』によって、ブラックスパイダーは再起不能状態になった。
だけど扉は開かない。まさか、殺さないと開かないとか...?
「どうしよう...」
ブラックスパイダーに
「だったら消しちゃえば良いじゃん。」
こなたが突然そんな事を言い出した。
「殺す、ってこと?そんな事...!」
「いやいやいや、消すとは言っても、『この部屋』からだよ~!」
あっ、成程!!この部屋から出せば大丈夫って事か。
「それじゃ早速移動させよう!」
ネスの声と共に、作業が始まった。
こうして扉が開いた。しかし...
「つ、疲れたよ...。トホホ...。」
「力作業は慣れてないから、あまりやりたくないんだけどね...。」
まどかとこなたがそう疲労困憊の様子でそう言った。何とかなったけど皆疲れたみたいだ。
「す、少し休憩しないか?ヘトヘトだぜ...」
「そうだね...そこの宝箱をとってから休憩しようか...。」
宝箱の中身は...幻想的な細身の手槍が入っていた。後で遊戯に調べて貰った所、
あのブラックスパイダーの外骨格から作られた強そうで美しい一品。使わないとは思うけど、迷宮で手に入れた思い出の宝物にしようかな。
それはそうとして。
一人銀貨1枚(日本円一万円、$100)で入れる絶対安全地帯...九十五階層の
「ここなら他のモンスターも出ないから、安心できるね...zzz...」
「しばらくお休み、皆...フワァァ。」
こうして僕たちはしばらくの安息を享受するのだった...。
ども、お久しぶりです。星の塵です。今回もCross Worldを読んで下さり、ありがとうございます。
何だかんだ忙しい日々が続きまして、投稿が非常に遅れてしまいました。申し訳ありません。
さて今回はPixiv版でいう所の第十七章にあたりますが、Pixiv版に比べてオリジナル技を減らしてあります。理由は展開をより自然にする為です。勿論原作の雰囲気を尊重する意味合いもあります。
さて、短いですがそろそろあとがきを締めに致しましょう。
今回も最後までCross Worldを読んで下さり、本当にありがとうございました。もし良ければ、投票機能を使って忌憚なき一票をお願いすると共に、是非とも感想をお寄せ下さい。
そして、イレブンやフリスク、その仲間たちが皆様の決意を満たし続け、皆様の心に留まり続けることを切に願い。
今回はここで、指という名の筆を置かせて頂きます。
皆様ありがとうございました!また次回もよろしくお願いいたします!