謎の地震と閃光により、世界が結合するという、とんでもない事態となった。
そんな中イレブンは、『世界の言葉』を聞く。それによるとイレブンは新たな力、『ユニークスキル』を得たとのこと。
彼は『ユニークスキル』の発現に困惑したが、それでもそれを物にしてみせることを決意。
仲間との合流と黒幕の撃破に向け、森を抜けた彼の足は麓の町へと動き出す。
その正面から、朝日がイレブンを照らしていた...。
ここはバロン王国。
イレブンの世界のデルガタール王国と同じく、軍事大国である。
人口は3500万人。主要産業は飛空挺の生産だ。しかし、今はそのような状況が終わろうとしていた。
この国の現国王、セシル・ハーヴィの手によって。
彼が推進しているのは、軍縮政策だ。
彼は『光の戦士』である。そんな彼は、かつて仲間たちと共に大いなる闇、『完全暗黒物質』ゼロムスを打ち倒しているのだ。
彼と、その妻ローザによって国は再び元通りの平穏を取り戻そうとしていた時に...
世界の結合は、起こったのだ。
僕はようやく、町についた。遠目からみた時にも感じたけど、かなり大きな町だ。大きな城もある。かなり戦時の時を意識した造りだ。ここなら、もしかしたら誰か1人ぐらいはいるかもしれない。
衛兵に聞くと、ここはバロン王国という国らしい。王国だったのか!
だが。
「やっぱり国中混乱してるな...」
そんな中で、ようやく今日の宿を取ろうとしたが...
どうしよう?
全く別世界の人に、僕の世界の言葉が通じるのか?そして、支払いはゴールドで大丈夫なのか!?
そんな不安の中で交渉してみたのだが...
「ああ、あんたさん、大丈夫じゃ。その得体の知れない銅貨16枚(16ゴールド相当)で大丈夫じゃよ。」
「いいんですか?」
「構わんよ。この国では80ギルに相当しそうなものじゃし...何より、あんたさんみたいな訳ありが、あの光と地震のあと増えたからのう。」
「そうですか、ありがとうございます!」
やった!
通じた、よかった!...んん?
「...何で通じたんだろう?」
僕はそう思い、新たに手にいれたこのユニークスキル...「取戻者」を起動する。
使うのはまだ慣れないが、なんとか権能の一つ、「森羅万象」を使って調べると。
(解析系統のスキルを持つ者は、意味ある発音、理性ある発音は、自らが判る言語として認識される)
と出た。
「そうなんだ...まずは辺りを調べてみるかな。」
宿を出ると、様々な会話が聞こえてくる。
「俺達、本当に大丈夫なのか!?」
「焦んなって焦んなって!!...まぁ俺も不安で仕方ないけどよ...。」
「×××様...私たち、大丈夫ですよね...?」
概ね今の状況に対する不安の声ばかりだ。そんな中だけど、食料を買おうと思う。幸いにも、所持金は減っていなかった。
僕は市場に向かう。そこには、宿の前よりも混乱の色が見受けられた。しかしそんな中でも、商売を根気よく続ける人達も一定数いる。
「すみません、これはいくらですか?」
この国の物の価値はまだよく分からない。だけどさっきの宿の話から、僕の世界の『ゴールド』よりも『ギル』の方が価値は低いし、出費は少なく済むかも。
「...んん?なんだいその見たこともない銅貨は。まぁいいか、この銅貨30枚でパンと野菜の1セットとしよう。...それでどうだ?」
「ありがとうございます!助かります!」
「いいってことよ!『アレ』以降本当にお前さんみたいな訳ありが増えたからなぁ。臨機応変にいかんとな!」
パンと野菜を入手できた。僕がとった宿では、ご飯は出ない。自費で調達するしかないのだ。だから余計にありがたく感じる。
その後は町全体の散策にでかけた。本当にいないのか?この町には...。
そう思ってあちこちを探したが、とうとう見つからなかった。
...もしかしたら、この国には、いない...!?
そんな思いはあったのだが、気づくと夜になっていたので、宿に戻って寝床についた。
そうして、この世界の二日目は過ぎ去った。
そして次の日。三日目である。
「どうしよう...仲間はどこだろう?」
これだけの大きな国なら、一人ぐらいいそうなものだが、やはりここにはいないようだ。
...しかし、ここで何の収穫も無しには終われない!
「...こうなったら、あの手を使うか...。」
僕はそう言って、歩き始める。
目的地は、王城だ。
「止まれ!」
「貴様、何しにここへ来た!」
城に入ろうとする。しかし予想通りというか何というか、2人の門番の兵士がそれを阻む。
「国王様に会いたい!頼む、通してくれ!」
「会いたいだと?この状況でよくそんな口をきけたものだ!」
「どうせ貴様は、この混乱に乗じて国王様を暗殺しようとしているのだろう!そうだろう!?」
僕は本心からの言葉を兵士に伝えたつもりだったのだけど...気が立っている。これでは会うどころの話では無い。だけど...伝えるしか無いんだ!
「暗殺なんてするなら...正面から来てないっ!信じて欲しい!僕は仲間の動向を知りたい!そして協力してくれる人が欲しいんだ!!」
「「むっ...。」」
さすがに狼狽えたようだ。2人はお互いに相談しあっている。そして...
「...分かった。その思いに免じて信じよう。但し!国王様の許しがあるまで城内には入れさせん!分かったか!」
「...!ありがとう!」
やがて、門番の1人が城内に入っていった。
「私に会いたいと申す者がいる?」
そう言うのは、バロン国王、セシル・ハーヴィ。 「はっ!その者は仲間を探しておるそうで、国王様のお力を借りたいと申しておりますが...このような時に来るなど、あなた様のお命が奪われかねません!!」
近衛兵はそんなことを言っているが、
セシルはこの時、何かを感じていた。
混乱したこの国に何かをもたらしてくれるような、そんな気配を感じ取っていたのだ。
そして彼には、それ以上に心配な事があった。
ここで動かなければ、いつまでも今のままだ。そう考えて...
「会おう。その者を玉座の間へ!」
「なっ...宜しいのですか!?」
「国王として命ずる。早くその者を連れてくるがよい!」
「はっ!!」
その運命の出会いは、間近に迫っていた。
バロン王城。
デルガタール王城とは違い、やはり実戦向きの堅牢な城のようだ。
あの城を見慣れてしまったせいか、中も少し地味に感じた。
自分でも無茶だと思っていたけど、王様が寛容なのか、忙しい筈なのに意外と早く通して貰えた。
そして。
今目の前に立っているのがこの国の国王。
セシル・ハーヴィ、その人だ。
「皆の者、一旦下がるのだ。」
その言葉で、周りの兵士が部屋から一斉に退出する。
そして彼は、気が抜けたかのように深いため息をついた後、
「...そんな縮こまらなくていいんだ。」
「は、はい。」
そんなやり取りをした。
この人、実は気さくな人柄なのかなと考えていると、
「では改めて。初めまして、僕はセシル。セシル・ハーヴィだ。セシルと呼んでくれ。君は?」
ここは相手に合わせよう。
「初めまして、僕はイレブンだ。」
「イレブンか...とてもいい名前だね。」
こうして僕達は、握手しあった。
そして、これが僕にとって、この世界で初めての...運命の出会いとなったのだ。
「ひとまず、場所を変えよう。ここじゃ兵士たちが聞いたらいけない事もあるだろうから。」
そのあと、セシルは小声で、
「(僕はまだ、国王となって日が浅いんだ。こういうのはまだ苦手だからね...)」
と言った。
僕はセシルに、かなり親近感を抱く。もしかしたら僕と同じで、あまり王位継承を望んでなかったのかも知れない。
「座ってくれ。」
「失礼します...」
ここは、セシルの私室。バロン城の中では珍しく、かなり豪華な部屋だった。
僕は改めてセシルを見る。
身長が僕よりもかなり高く、178センチ位だろうか。(ちなみに僕は162センチ。)
鎧は白と淡い青色で、髪は白。
責任感が強そうにみえる、そんな感じがした。
そして、僕は自分の身の上を語る。
自分は今回の件でこの結合した世界にきたこと。
元の世界では「勇者」と呼ばれていたこと。
そして、この町に来た経緯を。セシルも、自分の身の上を語ってくれた。
「世界の結合については、あの『世界の言葉』から聞いたよ。ほら、突然脳内に響いてきた...」
「僕にも聞こえたよ。ちなみにセシルは何処かに飛ばされていた、なんてことは起きてないようだけど...もしかして僕だけなのかな?」
「うーん、よく分からないな。何にせよ情報が圧倒的に足りない。もっと何か情報はないのかい?」
そんな会話がしばらく続いたあと...
いよいよ本題だ。
「それで、仲間を探していると言っていたね。」
「ああ、今回の件で仲間とはぐれてしまって...」
「なるほど。奇遇にも僕と同じみたいだね。」
うん?もしかして...
「僕も今回の件で、仲間が三人、行方が分からなくなっている。世界の結合の影響で、僕が知っている国の位置も掴めなくなったんだ。...僕はこれから、ローザにしばらく国を預けて、仲間たちを探しにいこうとしたところに...」
「同じ目的を持った僕がきた、という事でいいのかな?」
僕がそう言うと、セシルは頷きながら、
「僕たちは同じ志を持っている。そして君となら何でもやれる気がするんだ。だから、僕と一緒に来て欲しいんだ!」
何だって!?それは...!
「...!願ってもない話だ!よろしくお願いするよ、セシル!」
「ああ、こちらこそよろしく頼むよ、イレブン!」
こうして、セシルがこれから先の旅に加わることとなったのだ。
そしてその日は、城内で一夜を過ごすこととなった。
「君の実力、試させて貰うよ!」
「来い!セシル!」
夜の8時頃、セシルから呼び出された。なんでも、訓練に付き合って欲しいとの事。
セシルの剣も、僕の剣も訓練用の剣だ。
「へぇ...二刀流なんだね、イレブン。」
「その方がやり易いからね。」
そう言葉を交わし、そして。
「でりゃあぁぁぁぁぁ!!」
「はあぁぁぁぁぁぁ!!」
お互いの剣がぶつかり合う!
ガン!ガン!ギン!
端から見れば、お互いに互角だろう。まぁ実際そうなんだけど...やはり、やりにくかった。
「(一撃一撃が重いっ...下手すれば折られるっ!)」
だが僕は、ある弱点を見つけることができた。それは...
「隙あり!僕の勝ちだ、イレブン!」
「それはどうかなっ?」
そう、僕はセシルの剣撃の衝撃でフラついた...ように何とかみせかけたのだ。
するとセシルは思った通り、その隙を逃さずに追撃する。
「そこだっ!!」
僕はセシルの攻撃を予測して、その攻撃線上から反れる形でスライディングをして背後に回った。
「!しまったっ!!」
「これで、僕の勝ちだ!!」
ガンッ!!
鈍い音と共に、セシルの胴に一本入った。
「負けた!負けたよ、今回は君の勝ちだ。...勝てたと思ったんだけど...早計だったみたいだね。」
「こっちだって、危なかったよ。攻撃速度なら、間違いなく僕が上だろうけど...攻撃力は間違いなくセシルが上だ。剣が折られるかと思ったよ。でも、『あの時』勝負を急いだのが、君の敗因かな?」
「そうだね、僕の今後の反省点だ。...次は負けないぞ。」
「今後も、こうやってお互いを高めあっていきたいものだね!僕だって、今後の勝ちを譲るつもりはない!」
「「アッハハハハハハッ!!!」」
すっかり仲良くなれて良かった。
そして、気づいたら10時になっていた。僕たちは急いで、ベッドへと転がりこんだ...。
翌日。
城の中で旅の準備を整え、出発しよう...という時に、セシルの妻、ローザが駆けこんできた。
「セシル...やっぱり行ってしまうのね。」
「ローザ...すまない、しばらく城を空ける事になる。待っていてくれるかい?」
「どうしても?私、あなたのことを思うと不安で不安で...!!」
「...すまない。でも、カインやリディア、エッジが心配なんだ。この状況を何とかするには、あの三人が必要なんだ。だけど、ローザまで国を出たら誰がこの国をまとめるんだ?それに...セオドアはどうするんだ?」
「!!...それは...。」
「大丈夫だ、すぐに戻ってくる。」
「...わかった、信じるわ。あなたを...私の大切なセシルを。絶対に、戻ってきてね...!!」
それにセシルがゆっくり頷くと、僕達は城を出る。
新たな仲間も加わった。そして準備も整った。
「あなた!私の事はもう大丈夫、バロンは任せて!」
強いな、ローザは...
そんな呟きが、セシルから聞こえてきた。
さあ、出発の時だ。
「行こう、セシル。」
「あてにしてるよ、イレブン。」
「ああ、任せてくれ!」
その足は、まだ見ぬ世界へと歩み始める。大いなる使命のために...。
キャラクター紹介・ステータス
個体名 セシル・ハーヴィ(登場 ファイナルファンタジーⅣ)
種族 仙人
職業 パラディン(聖なる力を宿した騎士。 回復魔法にも精通し、魔法に強く、馬を駆るのも得意。槍と剣を扱う。)
加護 クリスタルの加護
称号 光の戦士
魔法 異界魔法〜結晶系統・・・回復、補助(世界の言葉が適用していない世界の魔法。その中でも、ケアルやメテオなどを指すようだ。)
ユニークスキル 『
聖魔反転・・・自らの攻撃に含まれる聖属性を魔属性にすることができる。また、逆も可能である。あらゆる敵に対応することができる。
法則操作・・・魔法を発動するのに欠かせない「魔素」を操作できる。魔法での戦いで圧倒的有利をとれる。
エクストラスキル 魔力感知(一章を参照)
耐性 状態異常耐性 聖魔攻撃耐性 精神攻撃耐性(一章を参照)
バロン王国の現国王。即位から1年経過している。現在20歳。温厚だが、気を背負い込みやすい性格。元々は前国王の元でバロンの最大戦力とも呼べる飛空挺団『赤き翼』の隊長を務めていたが、前国王の命令で各国のクリスタル強奪に関与していたが、耐えきれずに離反。それ以降、クリスタルを巡る戦いに身を投じ、最終的には戦いの中で出会った仲間と共に『完全暗黒物質』ゼロムスを葬りさることに成功した。
あとがき
ども、星の塵です。
今回もCross Worldを見て下さり、ありがとうございます。
今回のテーマは「追加」です。
作品を盛り上げる為に、Pixiv版では無かったシーンを入れてみました!
主に、イレブンとセシルの友情の始まりを意識して書いたつもりです。
どうでしょう、上手くできてますでしょうか。
それではあとがきを締めさせて頂きましょう。
今回もCross Worldを最後まで見て下さり、本当にありがとうございました!
この作品が面白い、と思ったら、忌憚無い感想や評価を是非お願い致します!
そして、イレブンやその仲間たちが、皆様の心に留まり続け、皆様の決意を満たし続けることを切に願い。
今回はここで、指と言う名の筆を置かせて頂きましょう。
皆様ありがとうございました!次回もお楽しみに!!