Cross World   作:星の塵

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あらすじ

軍事大国バロン王国にたどり着いたイレブン。彼はここで、今の世界の現状を分かりやすい形で知ることとなった。また、どうやら仲間はこの国にはいないことも。
彼は意を決し、王城に出向くことにした。その結果、彼は現国王、セシルと運命の出会いを果たす。
イレブンがかつて「勇者」と呼ばれる存在ならば、 彼は「光の戦士」と呼ばれる存在であった。
そして翌日、すっかり意気投合し出発の時。
「行こう、セシル。」
「当てにしてるよ、イレブン。」
「ああ、任せてくれ!」
彼らは歩み続ける。大切な仲間の為に。そして、全ての世界の為に...
彼らの胸には、そう「信念」が宿っていた。
そしてこの世界ではまた一つ。彼らの知られざる所で。
「決意」の物語が始まっていた...。




第三章 決意と円環

 

君は、「奇跡」を信じるか?

意見は分かれるかも知れない。しかし大抵の人の答えはNO、だろう。

 

 

ある世界。そこは一見普通で、特筆すべき所も無い世界だ。

しかしその世界の裏では、それぞれの「願い」の為に壮絶な闘いが繰り広げられていた。そしてそこでは幾多の血が流れ、絶望の感情が渦巻いていた。

真実へと辿り着いたある者は、「運命」を変える為に、そしてその者が守りたい者の為に真の闘いへと身を投じる。

しかしその者を嘲笑うかの如く、世の理は現実を突きつける。

それでもその者は不屈の心で抗った。諦められなかった。...しかし結末は同じ。

これが、「運命」だと、言わんばかりに。諦めろと言わんばかりに。

それでも...その者は闘った。諦めなかった。

その者の中には、間違いなくある(ソウル)が宿っていただろう。

 

やがて、そんな世界に変革の光が差そうとしていた。

それは過去、そして現在の悲劇が全て無と帰し、未来を繋ぐ。「奇跡」とでも言うべき、そんな光だ。

しかし「等価交換」という、どの世界でも不変にして絶対である理からは逃れられない。それを願い、導いた者はその光を、「奇跡」を生んだ代償を払うこととなる。それはその者にも分かっていた。覚悟していた。

この時、その者にも。間違いなくある(ソウル)が宿っていただろう。

 

しかし、どうやら世界というのは物語を光の中に完結させてやるほど甘くはないようである。

その者が生み出す光の中。その中に間違いなく侵食していった別の光があった。

それこそ...

 

 

さて、話が長くなった。ここで最初の質問とはちょっと変わった質問をしよう。

 

 

君は...君たちは「決意」を、信じるか?

 

 

これは、勇敢に進む者たちの「信念」の物語とやがて交わる、少年たちの「決意」の物語である。

 

 

「う、うーん...」

僕はフリスク。ニンゲンの町で暮らしていた、そこらへんにいそうな子供に過ぎない...けど...

これはどういう状況だろう?

僕はニンゲンの町で暮らしていた、と言った。つまり、前は違うという事なんだ。

僕は...地下でモンスターたちとしばらくの間、過ごしていたんだ。

モンスターたちは、アボット山の地下にニンゲンたちに封印されていたんだ。

僕はアボット山の地下に落ちた、という訳なんだ。

僕だって、最初は警戒したけどすぐに気づいたんだ。

モンスターたちは、皆優しいんだって。

だから、僕は彼らが好きになった。そして、この地下から出してあげたい、モンスターとニンゲンが共に仲良く暮らせる世界を見てみたい...って思ったんだ。

僕には、「決意」という力が人よりもたくさん宿っているらしい。運命を変えようとする力...生きたいと思う力...それが「決意」。

パピルス、サンズ、アンダイン、アルフィス、メタトン、アズゴア父さん、トリエル母さん、フラウィー...いや、アズリエル。そして、地下に囚われているモンスターたちの為に、僕は、「決意」を抱き続け、進み続けた。

だけど...僕はあの時、僕の友達、アズリエルを...救うことができなかったんだ。

アズリエルは今、あの地下の中で...魂《ソウル》を持たず、意思のみを持つお花、フラウィーとして生き続けている。

地上に上がる時、アズリエルがフラウィーになる前に、僕は彼を迎えに行った。一緒に行こう、って。そしたら彼は、寂しそうに首を振ったんだ。

責任を感じてるからなのかも知れない。

もう十分救われたんだ、とも言っていた。

違うよ、救われてない...って言おうとしたけど、その時には彼は目の前から消えていたから、よく分からない。

だから彼にも...あの朝日を見せたかったな。

今でも、彼を真に救えなかったことを後悔してるんだ。

......。

 

 

 

今はそんな感傷に浸っている場合ではなかったね。

話を戻そうか。

今僕は、洞窟の中にいる。地下じゃない。

あの地震と光のあと、僕は若干浅い、洞窟の中にいた。草も生えている。

しかし、その回りの光景の中で最も異質な存在感を放っている物があったんだ。それは...

 

 

綺麗な服を着た、桃髪の女の子だった。

 

 

身長は145ぐらいかな?あちこち傷だらけだが、今はまだ、大丈夫そうだ。あちこちに装飾がある。こんな派手なのを着て、よく恥ずかしくないな、と思った。

...って!観察してる場合じゃない!

すぐに行動に移らなきゃ!

「大丈夫?起きれるかい!?」

「う、ううっ!?あ、あああぁぁぁぁっ!!」

「!!?」

明らかに異常な状態だ。うなされているというか、苦しんでいるみたいだ。

今、自分は何も持っていない...訳ではないけど、この局面では使えないものばかりだ。

ならば、彼女の持ち物で、役に立ちそうな物はないかな...?

よく見ると、彼女の胸の部分に埋め込まれている宝石の様な物があった。

「!?...これはヤバい...!!急がないと!」

僕なら分かる。あの宝石みたいな物の正体は...

 

この子の、(ソウル)そのものだった。

 

その得体の知れない(ソウル)は、ドス黒く淀み形状も少し歪んでいた。いやそもそも何で普通誰も見ることの出来ない(ソウル)が、こんな形で「普通」に見ることができるんだ...!?意味が分からない、ハッキリ言って異常だ。

それにこの場所。僕にはサッパリ見覚えはない。あの地下にこんな場所なんて無かったハズだ。もしかしてこの子が関係してるのか?それすらも分からない。ああもう!分からないことだらけじゃないか...。

...そういえばこの子からは、さっきから不思議な何かを体中から感じていたけど、一言で言えば...

トリエル母さんが使っていた、「魔法」の力に近い。

この子は、もしかして自分の魂を削って「魔法」を使って戦っていたんだろうか...?

魂を削れば、その影響で人が誰しも持っている「決意」も、どんどん壊れてしまうんだ。そして壊れた「決意」はそのまま精神を汚してしまう...だとすれば納得できる。

この子の決意は、まるで建物が古くなったなり地震に見舞われたなりでボロボロになったかのような、今までにない壊れ方をしていた。

この子は、限界まで魂を削ったんだろう、このまま何もしなければ、もうすぐ死んでしまう。でも、このまま黙って見過ごす訳にはいかない。

 

...だったら、こうするしか無い!

 

 

ズオオォォォォォォッ!!

「(う、ヴゥゥッ...まだ、まだだっ...!!意識を、意識を保てっ...!持ってくれっ...!!)」

そんな音がした後、この子は遂に大人しくなった。

「ハァッ...ハァッ...ハァッ...!!」

荒療治で、こんなの初めてだけど...上手くいって良かった...。

彼女が持っていた(ソウル)は、ドス黒い姿から、一点の曇りも歪みも無い桃色の形状になった。...その形状もおかしいんだけどね、僕からすれば。(ソウル)って基本、そんな形じゃないんだ。

何をしたかのか、って?

答えは簡単、自分の「決意」をこの子の(ソウル)に注ぎこんで、補強しただけ。これは、人よりもたくさん「決意」を持っている僕だからこそ、できることだ。

...最も、彼女の(ソウル)の損傷は酷く、かつその性質も脆くなっていたから、その補強もしなくちゃいけなかった。その結果、「決意」の放出量はとんでもないものになってたんだ。

下手すれば、自分が死にかねなかった。だけど、やっぱりこの子を捨て置ける訳、無いじゃないか...!!

 

僕の治療が終わったあとびっくりしたのが、彼女の服が、光をたたえたあとジャパンの学生服になった。

ということは、彼女は日本人なのかな?考えていても始まらない。

「おーい、大丈夫かい...?」

「......。」

反応は、無い。一応、脈は正常だ。トリエル母さんに脈の測り方なんかも、教えて貰ってたんだ。

その時。

 

「ヴぅっ...目眩っ...。ダメだっ、意識が...。」

 

やっぱり...やっぱり、無理しすぎてた...みたい、だ...。

 

 

 

「...夫?」

あれから、何分たったんだろう。何時間だろう。よく、分からないや...。

「大...夫?...きて...起...。」

誰かが、呼んでる?誰、だろう...。トリエル母さん、じゃないな...。

「...大丈夫?起きて、起きて!」

いや、この声は。もしかして...!

 

 

 

目を覚ますと、あの子が座ってこっちを見ていた。

「...いつ、目を覚ましたんだい?」

「さっき、かな。でも...」

次の言葉を言うのを躊躇しているのかな...?

そんな事を思っていると、

「私...なんでここにいるの?私は、私はあの時...。」

あの時?

...やっぱり訳アリか。

「よく分からないけど...とにかくキミが助かって良かったよ。」

「助けて、くれたの...?」

「困ってる誰かを助けるのは、当たり前じゃないか。...キミ、名前は?」

「...見滝原中学二年の、鹿目(かなめ)まどか。あなたは?」

「僕はフリスク。そんじょそこらにいる、ただの子供だよ。よろしくね。」

「う、うん...。」

 

この出会いが、必然かあるいは偶然かは、分からない。そして今、僕たちがどんな状況に陥っているのかも、分からない。分からないことだらけだ。

だけど、それでも...

僕は、目の前のまどかの命を救うことはできた。まずはそれを素直に、喜ぶぐらいは許される、よね?

 

 




あとがき

ども、星の塵です。
今回も、Cross Worldを見て下さり、ありがとうございます。
今回から別陣営、フリスク編です。この作品はイレブン編とフリスク編、そして途中で差し込まれる外伝で構成していく予定です。皆様、どうかよろしくお願いいたします!
今回のテーマは「願い」です。
自分の解釈では、「願い」というのは「決意」の形成における重要なモノであると考えています。
皆様はどう思いますでしょうか。ここら辺の話題は結構複雑で解釈もそれぞれで違いますからね。
皆様の意見を聞いてみたいものです。

さて、そろそろあとがきを締めさせて頂きましょう。
今回もCross Worldを最後まで見て下さり、本当にありがとうございました!
本当に少しずつですが、心の何処かで応援してくださる方が増えてきたように思います。
それを支えに、これからも頑張っていきたいと思います!
そして、この作品が面白いと思ったのなら、ぜひ感想をよろしくお願いいたします!
イレブンやフリスク、その仲間たちが、皆様の心に留まり続け、皆様の決意を満たし続けることを切に願い。
今回はここで、指という名の筆を置かせて頂きます。
皆様、次回もまたお楽しみに!
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