イレブンたちが旅立ったころ、遠く離れた場所でもう一つの物語が始まっていた。
少年フリスクと、少女まどか。この二人の出会いが、二人に、あるいはイレブンたちに、結合したこの世界に、何をもたらすのだろうか...。
「...で、ここは何処なの?」
「わからないけど...地下洞窟みたいだね。まあ、僕にとっては、見慣れた光景だけど。」
「...えーっと、フリスク、君?」
「フリスクでいいよ。呼び捨ての方が、聞き慣れてるからね。」
歩き出した僕たちは、そんな会話をしていた。会話は続く。
「洞窟が見慣れた光景って、洞窟の中にでも住んでいたの?」
「そんなわけないじゃん。確かに、一時期地下にいたけど、今は町で暮らしているさ。...そういえばさ。」
「な...なに?」
「僕はあの光と地震の後に気を失って、ここにいたんだよ。キミもそうなのかい?」
「...私は...。」
すると、まどかは言い淀んだ。
「(私は...あの時消えた筈じゃなかったの...?)」
僕は、言い淀み悶々と悩み始めたまどかを見て、
「(これは相当な心の闇を抱えていそうだ...。解決には時間がかかりそうだよ。)」
と、くせで解決策を模索していた。相手のことも全く何も知らないくせにね。やっぱりお人好しだなぁ、と自分でも思ってる。
一方、心優しい少女まどかはというと、
「(言える筈もないよね、あの事を。誰にも背負わせたくないよ...。)」
まどかは、あの出来事を絶対にフリスクに話さないと決めた。話したら、自分の命を救ってくれたあの少年は、間違いなく重荷を背負うことになる...
そう思っての、判断だった。
それぞれが思案しているうちに、光が見えてきた。ようやく、洞窟から出られるのだ。
「外が見えてきたよ!」
「よーし、気を引き締めていこう!」
洞窟の中で、ある程度互いの事を理解することができた僕たちは、そのまま洞窟から出ようとして...
「っ!?な、なんだよこいつら!!」
僕は思わず叫んだ。
洞窟の出口に、たちふさがった者がいたからだ。
人の形をしているが、明らかに人ではないことが分かる。何故なら、体は腐り果てて、まともに生きているとは思えないからだ。
「こ、こいつらまさか...。」
「う、うん...!」
...二人はまだ、世界が結合していることを知らない。二人が目覚める前に「世界の言葉」がそう宣言したのだが...分かる筈もない。だが、ゲームがある世界に住む者たちだ、その正体を看破するのに、そう時間は掛からなかった。
「「ゾ、ゾンビだっ...!!」」
僕たちは頷く間もなく、逃亡に移った。
僕たちは人間だ。人である以上、あの姿に嫌悪感を抱かない方がおかしいのだ。
僕たちは何とかゾンビたちを撒いた。相手の足が遅いのが味方したみたいだ...。
「ハァッ、ハァッ、ハァッ...何でだよ!地下にはあんなのいなかったよ!」
「分かんないよ、私にも!」
へとへとになった僕たちは、座り込んだ。
...しっかし、浅いとはいえ、結局洞窟の奥まで進んじゃったよ。...ん?
「...!危ない、伏せ...!」
くそっ!遅かった...!!
今度は、何処からともなく、火球が飛んできたんだ。狙いは間違いなく...まどかだ!
「あ、あぁぁ...!!」
...どうやらまどかは、とっさの恐怖で火球がゆっくりに見えているみたい。何にせよ、まどかが火だるまになるのは防がなきゃ...!!
「(確認しました。個体名 鹿目まどかにユニークスキル『
その時。まどかは突然、ぎこちない動きで両手を前に突きだした。
すると。
ボゥゥンッ!!!
「あ、あれ?...」
実行した本人、まどかは思わず間抜けな声を出す。
...今、一体何が起こったんだ...!?火球を打ち消すなんて、普通じゃ出来ないよ。
僕がそんな事を考え始めた矢先、おぞましい姿をした「何者」かがやってきた。火球を放ったのはこいつらしい。
「くけけけっ。こいつ、俺の
今度は悪魔か...。悪魔と言うと、人を誘惑するだとか、高位の魔法を使うだとか、そういう認識だ。
ゾンビにしても、悪魔にしても、あの地下王国にはいなかったハズなんだけどな!本当にどうなってるんだ。
「...本当、なんなんだろここは。化け物だらけだよ。」
「悠長にしてる場合じゃないよ!どうするの!?」
まどかがそう叫ぶ。そうだよ、そんな事言って現実から目を背けてる場合じゃない。
だけど、いつも通りの戦法が使えない。後ろにいるまどかを守りつつ、目の前の脅威をすり抜けるなんて僕には無理だ。
何故なら休んだとはいえ、決意の放出のせいで体力も消耗してるし、体の動きも悪い。よく見ればセーブ場所なんて所も今まで見かけていない...。
手詰まり...?つまり、それは...。
本当の意味で、死ぬかも...!?
...嫌だ。嫌だ。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!
何も分からないまま、ここで死ぬのはゴメンだっ!!
...その時。聞こえてきた。
「(確認しました。個体名 フリスクにユニークスキル『
そして、感じた。気づいた。その瞬間、体の調子が完全に戻っていたことに。
「(行けるっ...!!)」
だから、いつものように。
悪魔に近づいて見ることにした。
「何してるの!殺されちゃうよ!」
しかし、僕は意に介さない。
そこに、悪魔の氷魔法が僕の目の前に飛来するが、
僕は、首を傾けただけでそれを避ける。
「...このクソガキがぁぁぁぁ!!」
突然近づき、そして難なく魔法を回避する僕にムカついたのか、全力で悪魔は魔法を連射した。
どうやらこの悪魔、大分沸点が低いみたいだ。まどかには目もくれてない。そのおかげで、まどかは一応安全なところまで退避できたみたいだ。これなら巻き込む心配は要らないね。
それに、体の調子が戻ったこともあって攻撃をかわすことは余裕だった。
僕はかわしつづける。近づきながら。
「こんなの、アンダインの槍より楽勝だよ!」
「凄い...」
まどかはあり得ない目でフリスクを見ていた。
自らにも戦闘経験はあるが、できればもう戦いたくない。そして、あれを至近距離でかわしきれるかと言われるとそれは無理だ、と思案して、
「(やっぱり、この子只者じゃない...。何者だろう?)」
ここにきてから、疑問は尽きない。
自分のことも、友達のことも、フリスクのことも。
だが、今は。
フリスクの戦いを、見ることしかできない。
そして、フリスクと悪魔の戦いの決着は呆気なくついた。
フリスクと悪魔の距離がほぼゼロ距離になったと同時に、フリスクは誰もが想像することができない行動をとったのだ。
それは。
「キミの上司は怒っているみたいだよ?元の場所に戻った方がいいんじゃないかなぁ?」
「は...??」
「えっ...??」
フリスクは、悪魔を口説き始めたのだ。
普通なら、通用する筈もない。
だが。
「えっ...そんな...まさか...
上位悪魔(グレーターデーモン)様がお怒りだと!?」
「そうみたいだねぇ?早くしないと、ヤバいんじゃないかなぁ?」
「嫌だ...滅ぼされるのは嫌だぁぁぁぁ!!」
しゅん!!と音がしたかと思うと、既に悪魔はいなくなっていた。
「「......」」
ちょっとした戦いの後。
僕たち二人には、驚きの感情しかなかった。
「「ユニークスキルって...何?」」
まどかは、火球を知らぬ間に打ち消した。
僕は、いつものように口説いてみたけど...まさかあそこまで効くとは思わなかったよ。
よく考えてみたら、最初からおかしかったんだ。
自分たちの住んでいた場所、いや、地球上に存在する訳がない生物だらけだった。
更に。
周りの風景は、紫色の水晶だとか、変な色の草など、現実にあるわけがないものばかりだった。
そして、脳内に響いてきた、無機質な声。何もかもが、現実離れしていた。
つまり...
僕たちが知っている言葉で表すならば。
「ここって...」
「もしかして...」
「「異世界...!?」」
その言葉しか、浮かばなかった。
僕たちはその事実を悟ると、急いで自分たちのユニークスキルとやらを確認しようとする。
しかし、方法がわからない。
色々と試してみたのだが、どれもダメだった。
そして、約10分後。
「精神を集中させてみようよ。もしかしたら...」
僕の案を、早速試してみることにした。
すると、僕の脳内に情報が流れ込んで来たんだ!
「こ、これは...!」
僕たちは自分たちのユニークスキルを確認することに成功した。そして、今の自分たちの状態、及び世界の状態までも知ることができたんだ。
キャラクター紹介・ステータス
個体名 フリスク
種族 人間
職業 すっぴん(いわゆるフリーター。特筆する部分はない。)
加護 決意の紋章
称号 決意の申し子
魔法 なし
ユニークスキル 「絶対決意」(ユルガヌケツイ)・・・決意操作、運命変更
決意操作・・・決意を操作、あるいは別の力(魔力や腕力)に変換可能。かなり万能。
運命変更・・・1日一度限り、確実に死ぬ攻撃などを受けても、死なない。
耐性 痛覚無効・・・(痛みを感じなくなる)
精神攻撃無効・・・(精神攻撃が効かなくなる)
見た目だけなら、どこにでもいそうなアメリカの男の子。年齢は9歳。現在は義母であるトリエルに養育して貰っている。
1年前、アボット山の地下に転落し、そこから彼の奇妙で壮大な地下王国での物語が幕を開ける。彼は道行く先々で沢山のモンスターと出会い、友達となった。
やがて彼はアボット山のモンスターや、今では義母のトリエルと、当時アボットの地下王国の国王であったアズゴア、そして2人の子供であるアズリエルについての真実を知ることとなり、最終的にモンスター達を地下から解放することに成功した。
学校での成績はトリエルの教育もあってか、学年トップクラスである。
個体名 鹿目まどか
種族 人間→仙人(魔法少女の時のみ)
職業 すっぴん→魔法少女(攻撃方法及び得意分野は個人ごとに違うが、契約により強大な魔法の力を得た少女。)
加護 円環の紋章
称号 魔法少女
魔法 なし→異界魔法〜円環系統・・・聖、補助(世界の言葉がない世界の魔法の一つ。)
元素魔法・・・火炎系統(世界の言葉がある世界の魔法。長い詠唱がネックだが、魔力が持つ限り自在に規模や威力を調整できる。)
ユニークスキル 「契約者」(ムスブモノ)
・・・魔力操作、多重結界、森羅万象、確率操作
魔力操作・・・法則操作の下位互換。だが魔法を扱う者の強い味方。魔素を自在に操作できる。
多重結界・・・自分の体の周りに何重にも結界を張ることができる。防御面でとても有能。
森羅万象、確率操作(二章を参照)
耐性 聖魔攻撃耐性(二章を参照)
桃髪とリボンを除けば特筆すべきこともないような中学2年の女の子。日本の群馬県、見滝原中学に通っている。学校での成績は、良くも悪くも、普通である。
ある日彼女は謎の地球外生命体、インキュベーターを保護したことから、インキュベーターから自身に「魔法少女」としての資質があることを告げられ、是非とも契約して欲しい、とも言われた。
しかし「魔法少女」の実態は、インキュベーターによる宇宙救済の為のエネルギー回収計画の一端であり、やがて彼女はその計画の中心に据えられてしまう。
様々な惨劇や理不尽を目にした彼女はついに決断し、インキュベーターと契約を結び、「魔法少女」となる。
そして、その身を高次元の存在、即ち概念へと昇華することで、過去及び現在の惨劇が無かった世界線へと導き、世界の理すらも改変したハズだったが...?
凄い。凄い、けど...
あまりにもいきなりで、感情が追い付かない!
世界が結合してたり、新しい力に目覚めたりで、もうどう反応すればいいかすらも、分からない。
隣を見ると、まどかも同じみたいだ。
それでも、この力...ユニークスキルに関しては、慎重に扱わないといけないってのは、すぐに分かった。
これくらいじゃないと、生き残れないのかも知れないし、これから先、頼りになるのは間違いない。
だけど、その力に振り回されて人やモンスターを殺めたら元の木阿弥だ。Loveが溜まってしまう。
だから、早めに把握しとかないとね。『
ようやく、洞窟を出た。ゾンビはいなくなってた。
僕たちがやるべきことはたくさんある。
まず、町を見つけよう。そして、仲間と合流して世界を結合させた奴をどうにかする。
今回の一件、多分だけど地下での出来事とは格が違う。もしもの時は...いや、そんな事は考えちゃダメだ。
こうして、僕たちの物語は続いていく。
その先に遥かな想いをのせて...
あとがき
ども、星の塵です。
今回もCross Worldを見て頂き、ありがとうございます。
現在はフリスク編ですが、外伝とかそういう扱いでは無いです。普通にフリスクとまどかはレギュラーです!
という訳で、フリスク編はあと1回で一旦切って、イレブン編に戻します。
今回のテーマは『発現過程』です。
どんなささいなことでも、『なろう』とかではすぐ力が発現します。
今回はそれを意識してみました。流行りに乗っかってばかりだと、かの悪名高い異世界ス○ホになってしまうぞ、と思われる方ももしかしたらいるかも知れませんね。
大丈夫です!何とか善処したいと思います。
ではここら辺であとがきを締めさせて頂きましょう。
今回もCross Worldを最後まで見て下さり、本当にありがとうございました!
だんだん見てくれる人が増えてきた様に思います。だからこれからも頑張っていきたいです!
このシリーズが面白い、と思った方は、是非是非感想をよろしくお願いいたします!
そして、イレブンやフリスク、その仲間たちが皆様の心に留まり続け、皆様の決意を満たし続けることを切に願い。
今回はここで、指という名の筆を置かせて頂きましょう。
皆様、次回もよろしくお願いいたします!!