Cross World   作:星の塵

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あらすじ

フリスクとまどかの二人は、一つの不思議な出来事を体験することになった。
まどかを選んだ剣を狙い、襲いかかって来た青年アバンスと決闘することに。
剣の心得が無いまどかの敗北は必至かと思われたのだが、この剣から流れ込んで来た記憶を頼りに勝利を得た。
フリスクはこの光景と、アバンスの戦闘後の妙な倦怠感、まるで力を抑えたかのような...から、この剣に一つの名を付けた。
...『封印の剣』と...
そして、あの勇者たちも、動き出していた...



第六章 陰陽師と歌姫

僕...イレブンはバロン王国を出て、二日経つ。

新たな仲間セシルは本当に真面目で、優しい人みたいだ。

野営の時も、僕に任せずに、機材の設置や火起こしを積極的に手伝ってる。

僕も負けじと全力で作業をするけど、追い付けない。

こういうのは、僕よりも慣れているのかも知れないな。

...そんなわけで。

今は川に沿って歩いている。

なぜなら。

地図もコンパスも、宛にならなくなったこの世界でも、共通することがあるんだ。

町や国は、川や海の近くに出来やすいこと。文明を発展させる際に、どうしても必要になってくるのが、水。そして食料。

それらを比較的容易に入手できるのが、川や海なんだ。

なので、川に沿って歩いていけば、町にたどり着けるかもしれない、という訳なんだ。

そんなわけで、僕たちは進む...

 

 

「魔の牙には裁きの雷を与えん、ライデイン!!...セシル!!」

「分かった、バイブレイ・スラッシュ!!」

僕の放ったライデインが、オークやボムといった敵を焼き焦がしていく。

上手くかわした敵も、セシルの「バイブレイ・スラッシュ」でまとめて切り裂かれていく。

僕たちの勝利だ。

「よし、やったなセシル!」

「素晴らしかったよ、イレブン!」

お互いを称えあい、お互いの絆が深まるのを感じる。この感覚が、僕はとても好きだ。

「...ぐるるるぅぅ」

うめき声が聞こえた。

先ほど倒した筈のオークみたいだ。

そのオークは僕たちに一矢報いんと襲いかかってくるかと思いきや。

...走って逃げていったんだ。

「...いいのかい?見逃して。」

「良いんだよ。僕たちは急がないといけないし、それに...」

「それに?」

「もう敵意がない生き物を...倒す気にはなれないよ。セシルだって、そうだろう?」

「ハハ...そうだね。彼らだって生きている。」

「さあ、急ごう。食料も無限じゃない。」

「よし、それじゃあ行こう!」

こうして、僕たちの絆は深まっていく。

 

 

「あっ、あれは!」

「どうしたんだセシル?」

「一人の男の人が...襲われてる!」

「なんだって!?急いで助けに行かないと!!」

「分かってる...行こう!!」

見た所、敵はデンデン竜。それも三体。この世界には敵ごとにランクが分けられているらしく、こいつはCランク。国の正式部隊の兵士一人から二人分に相当するらしいんだ。これはユニークスキル『取戻者(トリモドスモノ)』の権能、『森羅万象』の受け売りなんだけどね。

僕たちは急いでその男の人の元へ向かう。

たどり着くまでに、そう時間は掛からなかった。

 

 

「うぬう...この状況は一体...。」

その男、矢部野ピコ麻呂は困惑していた。

あの『テラカオス異変』から二年。

EDF(地球防衛軍)の一員として、共に戦った三十二人の勇者たちと共に世界中を飛び回り、テラカオスや仲間の一人である高町なのはの心に巣食っていた魔王やその残党たちを追討していったのはもはやいい思い出。

異変から一年後には、全員元の世界へと、仲間との別れを惜しみながら帰っていった。仲間の中でも最も堅物である、海馬でさえも目頭を暑くさせていた。

しかし、元の世界に帰ったあと、こなたは遊戯の世界にちょくちょく遊びに行ったり、谷口となのはなどもかなり仲が良さそうだ。ロックマンとミクは、先ほど述べた者たちよりも絆が深まり、お互いにある恋愛感情にそれぞれ気づきつつある程にまで、交流が深まっていた。

海馬に至っては、自らの力だけで幻想入りを果たしてしまい、海馬ランドの建設許可も取り付けた程だった(かなり交渉は難航したようだが)。

その他の者たちも、戦いが終わった後も交流を続けていた。

こういった異世界同士の交流の恒常化に伴い、彼らの世界同士で、それぞれの世界の国際機関同士で公式に条約を作り、異世界交流を許可、及び貿易や戦争などに至るまで、異世界同士で通用するルールを作ろう...という意見が大多数を占めるようになった。

この話はトントン拍子で進み、更になのはが所属している組織『時空管理局』とピコ麻呂たちが臨時で所属していた『地球連合軍(EDF)』の統合を行い、地球だけではなく、あらゆる世界や宇宙までもを守る組織にしていこう...という話まで持ち上がった。

そして。

こうしてピコ麻呂たちの世界の国際組織、国際連合の元で、新たに『異世界交流基本条約』の締結と、それに伴い新たに発足する『時空守護軍(TGF)』の結団式が執り行われることになり、あと二日...というタイミングでこれである。

あの謎の地震と光によって、こんな場所に飛ばされた。

また新たな魔王が出現したのではないか、テラカオスが復活したのではないか...など、疑問は深まるばかり。

しかし、今は。

「この者たちを何とかせねば、先に進めんようじゃ。...うん?あれは...」

遠くから走って来る者たちがいた。

「無事ですか!?」

「助けに来ました!」

助けに来てくれた人の様だ。

ピコ麻呂はその者たちのことを、何故か心強く感じたのだった。

 

 

「無事ですか!?」

「助けに来ました!」

そう言って、僕たちは黒い変わった服を着ていた男の人の前に立った。

そして戦いが始まろうとした、その時。

「わしにもやらせてくれんか?腕にはそれなりに自信があるのじゃ。」

そう男の人が言った。

「本当ですか?無理しないで...

セシルがそう言うが、その男の人は構わずこう言った。

「そういえば名前を聞いておらんかったな。お主ら、名は?」

「僕は、イレブンだけど...」

「セシル。セシル・ハーヴィー...」

僕たちはその男の余裕の態度に思わず呆然としていた。そして。

「わしは矢部野ピコ麻呂。人はわしを...

 

...陰陽師と呼ぶ!」

 

そういった瞬間。

その男...ピコ麻呂の手に光が集まった。そして。

「成仏しろよ!」

その声と共に、手から光が放たれた。

その瞬間に...デンデン竜の一体が、消し炭と化していたのだ。

 

 

その後。

戦いは終始優勢のまま僕たちが勝利した。

セシルが全員に「マイティガード」をかけ、その防壁と僕のメラゾーマとピコ麻呂の「どーまんせーまん」により圧勝をおさめた。

「よし、勝てたな。お主ら、礼を言うぞ。」

「ピコ麻呂さん、強いんですね。その魔法は一体どこで...」

セシルがそう言うと、ピコ麻呂は、

「魔法、と呼ぶか。...やはりここは異世界か。近くに町はないかのう?」

「僕たちも今探しているんですけども...」

「...あれは!セシル!ピコ麻呂さん!町が見えたよ!」

「分かった。お主ら、なにか知っている事があるのじゃろう?あの町の宿で、話そうではないか。」

「分かりました。行きましょう、ピコ麻呂さん。」

 

「着いたな...」

「うむ。ここならしばらく、休めそうじゃ。」

ここはとても小さい村で、建物の数から人口は200人も居ないみたいだ。襲撃の痕もあるが、宿屋はあった。

しかし、気になる点があった。

そんな村なのに、やけに人が多い。

しばらく村の中を歩いていると、人だかりと綺麗な歌声が聴こえて来た。

「何か行事とか、やっているのかな?」

「分からぬが、ひとまず行って...む!?この歌声...まさかそなたもこの世界に...!」

セシルがピコ麻呂に訪ねると、ピコ麻呂はこう答え、歩く速度を速めた。僕たちも、後に続く。

 

「メ〜ルト溶けてしまい〜そう〜好きだな〜んて...」

特設された会場から響く歌声。

その声の主の名は、初音ミク。VOCALOIDと呼ばれるロボットであり、ピコ麻呂と共に戦った、32人の勇者のうちの一人である。

彼女もまた、あの謎の光と地震によってこの結合した世界にやって来た。

 

 

彼女は、同じく勇者の一人であるロックマンと共に買い物をしていた。

ロックマンは誰に対しても優しく、EDFの仕事も誰よりも率先して行う。阿部さんに対しては、かなり厳しい態度をとっている様だが。

ミクは『テラカオス異変』の後、傷ついた人たちの手当てや、PTSD(いわゆるトラウマ)に陥ったEDF隊員たちの心のアフターケアなどに献身的に力を入れていた。

そんな二人は、かつてニコニコ市場に共に買い物に行ったことをきっかけに、何かと一緒に行動することが多かった。

タイガーモス号、ニコニコ世界の古城エリア。四天王の内の一将、技巧の将を食い止める役も、この二人が真っ先に請け負った。

数々の苦難を乗り越え、二人の絆は誰よりも深い物となっていたのだ。

それぞれの世界に帰った後も、彼らはちょくちょくお互いの世界に遊びに行ったりしていた。また、Dr.ワイリーの企みを共に阻止したり、ミクのライブにロックマンとの共演を実現させたりなど、お互いにとって結構重要なことにも関わってきた。

そして今回も共に買い物に行こうとした矢先に...あの謎の光と地震が起き、ミクはこの結合した世界にたどり着いたのだった。

 

彼女がこの世界で見た、初めての見た人の表情。

それは「絶望」である。

突如現れた何度も見知らぬ魔物や悪霊などの襲撃が続き、生きる希望すら失いかけている、村の人たち。

「私に出来ること...そうだ!」

自分には歌がある。その歌で、この村の人たちを助けたい...そう思ったのだ。

彼女の歌声は、村の中でもすぐさま評判となった。やがて周辺の地図を作っていた人たちにも評判が集まり、この村の周辺にあった村の人たちも集まってきた。

そして、今に至るのである。

 

 

「ミクよ、ミクで間違いないな!?」

彼女の歌が終わった後、ピコ麻呂はステージの上にいる長い髪の女の子にそう声をかけた。どうやら知り合いみたいだ。

「ピ...ピコ麻呂さん!?どうしてあなたが...」

その女の子は、ステージから降りてそう言った。

「恐らくだが、お主と同じじゃ。あの光と地震を体験したのじゃろう?」

「はい、その通りです...そこのお二人の名前は?」

「僕の名はイレブン。ピコ麻呂さんとはさっきそこで出会ったんだ。」

「僕はセシル。セシル・ハーヴィーだ、よろしく。君は?」

「私は初音ミクです。VOCALOIDで、歌を歌うことが得意です。ピコ麻呂さんとは共に戦った仲間なんですよ。」

初音ミクと名乗ったこの女の子。共に戦ったと言っているが、戦いの心得なんて、全くなさそうに見えるんだ。

「どういうことなんだ、ピコ麻呂?」

「うむ...話すと長くなる。お主らにもわしらに話すことが山ほどあるのじゃろう?一度、情報交換といこうではないか。」

こうして僕たちは宿屋の部屋を借り、情報交換を行うことになった。

 

 

「僕から話してもいいかな?」

「構わぬ。話してみるがよい。」

そう言って、僕はこの結合した世界に来るまでの顛末と、この世界の真実。そしてユニークスキルなどのこと。セシルとの出会いなんかも話した。

「なんと...そのような事態になっていたとは...」

「そんな...世界がつながってしまったなんて...」

二人とも、びっくりしていた。

そりゃあ、いきなりこんな話をしたら、びっくりするのも当然かな。

「それにしても勇者、か。まさか他の世界にもまだこのような存在がいたのか...二人とも凄まじい神力を秘めておるな。」

「そこまで誉められた者じゃないよ。勇者が生まれると、因果が巡り魔王も生まれる。それを理由に、一時期大国に追われていた時期もあったからね。今も、その考え方をしている人もたくさんいる。」

「なるほどのう...辛いこともたくさんあったのじゃろう。よくぞ耐えたものじゃ。それに負けず乗り越えたお主こそ、正に勇者じゃ。」

「そう言ってもらえるなんて・・・ありがとうございます。」

僕とピコ麻呂さんはそう言葉を交わした。

その後、セシルも同じようなことを話した。

「光の戦士か...イレブンとは少し違った力を感じるな。しかしその本質は、全くと言っていい程変わっていない。」

「そう...かも知れないですね。ですが、僕がイレブンを守り、イレブンが攻撃する...という戦いが多かったです。僕は仲間を守ることが、今の使命だと感じています。」

「いい心意気じゃな。...さて、そろそろわしらのことも話そうかの...」

 

 

聞いて、びっくりした。

なんと、二年前にピコ麻呂とミクを含めて、三十二人で数多の世界を守る為に世界を越えて戦ってきたらしい。

そして、数多の世界を救った彼らは、今や勇者的存在になっている、とのことだった。

そして、その上でこう言った。

「魔王は、まだ生きておる。今までは我々の仲間の一人が、その者の心に巣食う魔王の意識を抑えていただけで、その者の心から逃げ出した今、このような所業に及ぶのにも、納得できる。本来の魔王は残虐非道な性格だからな。」

ピコ麻呂さんの世界にも、魔王がいるのか...と内心で呟き、そして、

「もしかして、その魔王が今回の黒幕だと見ているのですか?」

と質問した。

「その通りよ。奴とは元より決着を着けねばならんと思っておる。」

僕たちの目的。それはそれぞれの仲間と合流し、黒幕を倒すこと。...だったら。

「だったらピコ麻呂さん...一つ、提案があります。」

「...!お主ら、まさか...。」

「その通りですよ。僕たちも、魔王を倒すのに協力します。」

僕の提案に反応したピコ麻呂さんを見て、セシルが続けた。

「僕たちは今、散り散りになった仲間達を集めています。ピコ麻呂さん達がいてくれればとても頼もしいし、利害も一致しています。魔王を倒すためにも、僕たちと一緒に来てくれませんか?」

ピコ麻呂はしばらく僕の顔を正面から見据えて、その後、

「成る程のぅ...分かった!これからはお主らと共に行くとしよう。よろしく頼むぞイレブン、セシルよ。...ミクよ、異論はないな?」

「ありません!よろしくお願いします、イレブンさん、セシルさん!」

「ありがとう、ピコ麻呂さん、ミクさん!こちらこそよろしくお願いします!」

こうして僕たちは、二人の新たな仲間を得た。僕たちの旅はより賑わいを増して、続いていくんだ。

 

 

ステータス

 

個体名 矢部野ピコ麻呂(登場 新・豪血寺一族、ニコニコRPG、MMDDFF)

種族 仙人

職業 陰陽師...陰陽術を扱う者。魔法や回復もできる。(ピコ麻呂は回復術を扱えない。)魔導書と杖を扱える。

称号 安倍晴明の再来

加護 胡散臭き陰陽の紋

魔法 異界魔法〜陰陽系統...光 「世界の言葉」がない世界の魔法の一種。「どーまんせーまん」や「うううううううううう」などの魔法を扱える。

精霊魔法〜水流系統 「世界の言葉」がある世界の魔法。精霊を呼び出し、魔法を行使させることに長ける魔法。詠唱が短く、魔力消費が少ないのが利点。

ユニークスキル『信頼者(タヨレルモノ)』...超直感、軍勢鼓舞、解析鑑定

 

超直感...何かの悪意などをコンマ0.01秒程の速さで察知できる。暗殺などを防ぐのに有効。

軍勢鼓舞...自分の指揮下にある者全てに補正をかける。集団戦で有利。

 

耐性 呪い無効、聖魔攻撃耐性

 

呪い無効...呪いや怨念による影響を無効化する。

 

プロフィール

 

ある世界において名を馳せる陰陽師。『三十二人の勇者』の一人であり、筆頭。時空管理局と彼が臨時で所属していたEDFの統合機関、TGFのリーダーになるのではと言われていた。今も生きているグランドソードの魔王とは、因縁の相手である。性格は真面目で、ルールに厳しい。

 

 

個体名 初音ミク(登場 VOCALOIDⅡ、ニコニコRPG)

種族 メタロイド...人間の意思と姿を持った鋼の人形。ロボットとも言う。

職業 歌姫...歌を歌うことにかけては天才。仲間を癒したりする。剣と銃を扱える。

称号 電子の歌姫

加護 電子の加護

魔法 なし

ユニークスキル『独唱者(ウタウモノ)』...多重結界、治癒増幅、精神操作

 

治癒増幅...指定した対象の自然治癒能力を上げる。

精神操作...相手の精神を意のままに操ることができる。相手を発狂させることも可能。

耐性...物理攻撃耐性、状態異常無効

 

物理攻撃耐性...物理攻撃によるダメージを軽減する。

状態異常無効...あらゆる状態異常を無効化する。

 

プロフィール

 

ある世界で名を馳せる歌姫。歌を歌うことに優れたロボットにしてシステム、「VOCALOID」の二代目である。

『三十二人の勇者』の一人。沢山の兄弟姉妹がいる。勇者として戦う以前から異世界人との繋がりがある。性格は慈愛溢れる性格だが、天然な面もみられる。ロックマンとは恋人の関係にある。

 

 

 

 





あとがき

皆様お久しぶりです、星の塵と申します。
久しぶりに投稿した訳ですが、今回のCross Worldは如何でしたでしょうか。
今回はPixiv版の第七章と第八章をまとめたもので、内容に大きな変更点はありません。

この作品では『ニコニコRPG』について扱っておりますが、ツクールMVリメイク版を正史としています。よって原作とは大きな違いが存在していることを先にお伝えしておこうと思います。
それは、原作よりもキャラクターが多いことです。原作では『二十四人の勇者』という称号がピコ麻呂たちにはあったのですが、リメイク版では『三十二人の勇者』と増えているため、この小説でもそちらを採用しています。

さて堅苦しい話はここまでにして、あとがきを締めると致しましょう。
今回もCross Worldを最後まで見て下さり、本当にありがとうございました。
面白いな!...と思った方は是非とも、感想や投票をよろしくお願いいたします。
そして最後に、イレブンやフリスク、その仲間たちが皆様の決意を満たし続け、皆様の心に留まり続けることを切に願い。
今回はここで、指という名の筆をおかせて頂きます。

皆様、見て下さり本当にありがとうございました!
次回も気長にお待ち下さい!!
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