Cross World   作:星の塵

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あらすじ

32人の勇者の内の二人たる『胡散臭い陰陽師』矢部野ピコ麻呂、『電子世界の歌姫』初音ミクの二人と出会ったイレブンたち。
彼らは二人から彼らの世界をはじめとする多数の世界を巡り、人々を苦しめていた魔王の存在を知る。
魔王の悪行をお互いに経験している彼ら四人は意気投合し、共に魔王を倒すことを決意したのであった。




第七章 洞窟での攻防戦

 

「ピコ麻呂さんは元の世界で何をしていたんですか?ミクさんは歌を歌っていたと言っていましたけど。」

「わしは陰陽師。この世の悪霊や魑魅魍魎を成仏させ、世の中を平安に保つのがわしの役目じゃ。祈祷や占いも得意としておる。」

僕がそう質問すると、ピコ麻呂さんは詳しく答えてくれた。ピコ麻呂さんのあの攻撃...呪文とは違うし、セシルの世界にある所謂『白魔法』とも違う。あの攻撃は悪霊や魑魅魍魎を成仏させることに特化した技なのかも知れないな。

「気をつけて行きましょう。あの村の人たちに聞き込みをしたんですけど、この近くに魔物が蔓延る洞窟が見つかったんだそうですよ。...ほら、あの洞窟です。」

ミクさんがそう注意喚起する。

「そうだね、気をつけて行かないと...待った!!」

「いきなりどうしたんだい?イレブン?」

僕はあることに気がついた。僕の突然の焦りにも似た声にセシルが反応する。

「皆、お金を今、どれくらい持ってる...?」

「「「...!!」」」

「後少ししか残っていないみたいだ...」

「わしも、残金が残り少ないみたいじゃ...」

「私もです...」

三人ともまずい、という顔になっていた。

 

 

この世界では、全く違う世界の通貨を利用しても目利きの利く人たち、そうでない人たちも、それらを何とか自分たちの世界の通貨の価値に換算してくれる。その理由は、生きる為にはああだこうだとも言ってられないからだ。

更に、異世界の人々同士で言葉が通じなくてもジェスチャーや黒板に記号を書いて伝わるように工夫をしている者もいた。

『解析鑑定』を持つ僕もその光景を見ていて、(解析系統のスキルを持つ者は、理性ある発音は自分が理解できる言葉に変換される。また、ユニークスキルなんかを持っていると、解析系統でなくとも変換が可能になるようだ。)これはとても感心させられるコミュニケーション術だな、と思ったよ。

つまりどんな通貨でも買い物や取引が可能なんだ。逆に言えば、お金がなければ何もできない。宿屋に泊まることも、物資を買うことも。だからお金を稼がないといけない。その為には魔物を倒してお金を得るか、働くかのどちらかになる。

働いて稼ぐのは論外。何故なら僕たちは急がなければならないから。魔王を倒し、この結合世界を元に戻す。

立ち止まってなんかいられないんだ。

それに...洞窟の近くにはあの村がある。襲われる前に何とかした方がいい。

もっともっと自分たちのユニークスキルに慣れる必要もあるし、可能性はかなり低いけど魔王の情報も得られるかも知れない。

だからあの洞窟に入って、探索してみるのがいい。

その旨を仲間たちに伝えた。すると...

「分かった。そういう事なら君の提案に賛成するよ。」

「なるほどのう、資金を得るのと同時にあの村を守れる...と。イレブンよ、素晴らしい意見じゃ。」

「戦うのは怖いけど、私だってやって見せます!」

満場一致で賛成してくれたみたいだ。

「よし!それじゃ約束してくれ。どんな敵が来ても油断しないこと、そしてきつくなったらすぐに逃げること...いい?」

「分かった、イレブン!」

「了解じゃ。」

「精一杯、頑張ります!」

その返事がとても頼もしく感じられる。

「皆、死ぬなよ!それじゃあ行こう!」

こうして僕達は意気揚々と洞窟の中に入って行った。

 

 

「...むむっ!人間の気配がするぞっ!しかも中々楽しめそうな気配がっ!」

その影はワクワクした声でそう言った。

「地上に出てしばらく退屈だったが...まさかこのようなことになるとは、予想もつかなかったぞっ!」

あの謎の光と地震。そして新たな世界。

それは平和な日々でしばらく退屈していた『彼女』にとって、とても刺激的な出来事となった。

見たことのない同胞が何の躊躇いもなく次々と襲って来るのには驚いたが...そこは『彼女』自身の修行という名の建前の元、叩き潰した。(ちなみにその同胞たちは全員無事である。...が、別に操られている訳でもないので、無駄なのであった)

そしてこの洞窟で修行の続きをしていたところに、やって来たこの気配。

『彼女』の気合は十分。

勇者(ヒーロー)たる『彼女』は、その者たちをじっと待ち構える...

 

 

「来るぞピコ麻呂さん!」

「分かっておる!ぷよぷよするなぁ!」

ピコ麻呂さんが腐った死体の『ぷよぷよ』というよく分からない物を禁じた。

だがその後その腐った死体の様子が変わった。激昂し、僕たちに攻撃を当てられる状態じゃなくなったのだ。

その隙を見逃さず、ミクが歌った。

「みっくみっくにしてやんよ〜♪」

その一節を歌っただけで何やら大きく、そして透明な生物が二体程召喚され、その腐った死体に向けてパンチを浴びせ続けたのだ。

ミクさん曰く、アスキーアート・・・とやらを具現化しているのだと。

そして、腐った死体は動かなくなる。

「よし!凄いなピコ麻呂さん!ミクさん!」

「ああ、とても個性的だけどとても強い...!」

「お主たちこそ、先程の魍魎たちを凪ぎ払ってくれて助かったぞ。」

僕たちだって、負けていない。

襲ってきたCランク相当の魍魎4体を、僕のベギラゴンとセシルのエアロガで一斉に倒したのだ。

「さて、お金は...あれ?」

出てこない。おかしい。

体を譲ってみても、出てこない。

「ええ...。この世界じゃ、魔物を倒してもお金は手に入らないみたいだ。」

「ならば、この角や皮...何かに使えんか?持っていくことを提案するぞ。」

ピコ麻呂さんがそう言った。なるほど、これを町で売ったりして稼ぐのか。

「それしかないか...それじゃこの皮を...」

どうやらこの世界では倒したらお金が出てくる...なんてことがなかったので、倒した魔物から換金出来そうな物(魔物の角や爪など)を剥ぎ取ったり、身に付けている物を回収したりする事にした。

そして、更に進むと...

「扉だ。」

「大きいな。そして水の音も聞こえるぞ。」

「この先に、何があるんでしょうね?」

三者それぞれに呟いた。それを聞いて、

「皆、準備はいいかい?」

と僕は皆に確認をとった。

「大丈夫だ、イレブン。」

「気をつけて進むぞ。」

「行きましょう。」

皆、準備は万端のようだ。

「それじゃあ、行こう!」

ギギギィ...と重々しく扉が開く。

その先に待っていたのは...

 

 

「待っていたぞ...人間!」

「誰だ!!」

僕の問いに、その声の主はこう答えた。

「私はアンダイン!アズゴア王が治めて『いた』地下王国の元ロイヤル・ガード隊長...って所だな。」

アンダインと名乗ったその女騎士。

見た感じ、僕の世界にはいない魔物だ。

だけど魚人族(マーマン)であることは間違いないな。

解析鑑定も行って見た。

その結果...限りなく特Aランクに近いAランクの個体だと分かった。

特Aランクというのは、一体いるだけで小国なら国家転覆の事態に陥れるだけの力を持っているらしいんだ。

通称災厄級(カラミティ)。そんな個体が何故こんな所にいるのか...話は通じる相手ではあるようなので質問してみる事にした。

「こんな所で一体何をしていたんだ?」

「修行だよ、修行。」

あっさりと答えてくれた。

「私は平和続きの地上生活で、少し体がなまっていたんだ。そしたらあの光と地震が起こってこの場所に飛ばされた。そしたら見たことのない同胞たちが何故か襲ってきたので、叩き潰しつつ修行していたんだ...。そしたらお前たちが来たものだから、ここでの修行の総仕上げの相手として待ち構えていたというわけなのだ!」

なるほど、このアンダインもこの結合世界に迷いこんだ一人みたいだ。

ただ、ここが一種の異世界であることに気づいてないようだけど。

ただ...最後の確認はしておきたい。

この質問次第では、このアンダインを成敗する必要があるからだ。

「君は、人間にとって良からぬことをしようと考えている訳じゃないんだな?」

そう、僕らの世界では基本的に魔物や魔王は実害をもたらす絶対悪として捉えられている。

セシルやピコ麻呂さんの世界でも、そんな捉え方をしている。

だが、アンダインは目をふせて、

「...私はニンゲンはあまり好きではない。だが『アイツ』と出会ってから、心優しいヤツもいることを知る事が出来た。だからニンゲンと敵対する意思なんて、何処にもありはしないぞ。」

と、何かを思いつつそう言ったのだ。『アイツ』って誰だろう...とは思ってはいるけどね。

別に僕は人間至上主義というわけではないし、魔物と心を通わせた例も決して少なくない。

「そうか...だったら」

「だがっ!」

と、ここでアンダインは僕の発言を遮った。

「言っただろう?修行だと。ここまで来たからには付き合って貰おうか。」

......。

アンダインはかなりの武闘派みたいだ。多分だけど、強者と正々堂々と戦うのが好きみたいだ。

「...そう言われても、今僕たちは、急いでいるんだよ。早く行かないと...」

「なに心配するな。一回だけだ。」

そこまで僕たちとの勝負を望むなんて...まあ、いいや。

僕たちもこの世界での実戦経験は積んでおきたいし、ちょうどいい。

「分かったよ...で、ルールはどうする?」

「一騎討ちだ。その方が公平だろう?」

「一騎討ちか...よし。」

そう言って、僕は剣を抜く。

銀河の剣。そして天命の剣。

この世界では剣にもランクがあり、一般級(ノーマル)特上級(スペシャル)希少級(レア)特質級(ユニーク)、果ては伝説級(レジェンド)神話級(ゴッズ)まで存在しているらしい。(僕の取戻者(トリモドスモノ)の『森羅万象』の効果で判明した)

僕のこの二振りの剣は、どちらも特質級(ユニーク)。銀河の剣に至っては、伝説級(レジェンド)に限りなく近い。

普段はこれを近接戦闘で使おうと考えている。

二振りの勇者の剣はどちらとも伝説級(レジェンド)である。

これは正念場の時に使う切り札だ。

そんな訳で、アンダインと対峙する。

するとアンダインが目を光らせて、

「...おお、凄い!これが私が求めていた伝説の剣だ!なぁなぁ、私が勝ったらどちらか一本くれ!いいだろ?」

と言ってきたのだ。

それは...戦いが終わってから考えよう。

「よし、行くぞ!!」

「威勢がいいことだな、来い!!」

こうして僕は強者に挑む。

どちらが勝つなんて考えない。

ただただ、目の前の事に集中するだけだ。

 

 

「用意はいいか?」

「できてるさ!行くぞアンダイン!」

先手必勝、まずはこっちからだ。

右手には銀河の剣、左手には天命の剣。

僕は前傾姿勢を保ちながら、一気に詰めより一気に斬りかかった。

「(相手は丸腰、格闘が得意なのか...?)」

そう思った瞬間。

ガィィィィン...!!という音がした。

「(あれは...!?)」

気づけばアンダインは青色の槍を握っていた。

「動揺している暇はないぞっ!」

そう言ってアンダインは槍を振るう。

「危...ないっ!!」

今のは危なかった。

そしてすぐに取戻者(トリモドスモノ)の「解析鑑定」を発動し、敵の情報を戦いながら探る。今思えば最初から発動させて、『確率操作』でアンダインの攻撃が当たらない確率を変えればよかったな。

「喰らえ、『超・隼斬り』!!」

元々は僕の仲間の一人、グレイグの技だ。

だけどグレイグの動きを見ているうちに、出来るかもと思って練習した技なのだが...

「甘い!その程度かっ!」

放った四連撃は見事な槍捌きによって対処され、すぐに返しの三連突きが放たれる。

至近距離。普通なら蜂の巣になるのがオチなのだが...

「(『確率操作』-50%発動...よし!)」

『確率操作』によって確率を変動させた後、僕はすぐさまバックステップをとり、何とか回避に成功したようだ。

だけど... お互いじり貧だ...

 

 

「(まさか、ここまで強いなんてな...)」

正直これはドッキリか...とも思い始めたアンダイン。

実力は拮抗している。だがそれは表向きだ...というのがアンダインがイレブンに抱いた感想だ。

槍で最初の一撃を受け止めたとき、腕がかなり痺れたのだ。つまり相当の力とスピードの持ち主だ...と彼女は判断した。

そしてその剣捌きと身のこなし、これもまた厄介だ。今まで全ての攻撃をかわしているし、また攻撃も的確だ。

アンダインは少なくとも、今のままでは勝てないだろう...と思った。

だからこそ、奥の手を使うことにした。

「(絶対にあの剣を手に入れて見せる!)」

その奥の手とは...

 

 

「強いな...オマエ、名前は?」

「イレブン。かつて『勇者』だった、ただの人間!」

「成程、道理で...だが舐めて貰っては困るぞ!中々強いようだが...勝ったと思うのはまだ早いぞイレブン!!」

そう言ってアンダインは突然槍を虚空に振った。すると...

「何だっ...?体が動かない...!」

これは一体、何なんだ?剣も持てない...

「ただのニンゲンには見えるまい!その緑色になった(ソウル)が!」

(ソウル)だって...?」

「ただこれではつまらんので...イレブン、オマエにはこの槍を渡してやろう。...さあ行くぞ!」

アンダインはそう言うと青い槍を渡してきた。これは持てるみたいだ。

だけど。

動けないのであれば、間違いなく負ける...!

「喰らえ!」

アンダインがそう叫ぶと、虚空に青い槍が沢山精製され、取り囲むように飛んでくる。

既に『解析鑑定』は終了している。その結果、あの攻撃はユニークスキルによるものではなくアンダインの元の世界での攻撃手段らしい。対策としては槍で弾くこと...らしいが、あの槍の数。弾ききれるのか...?いや、それは問題じゃない。

負けても命は取られない、だけど僕の大切な天命の剣を賭けている。

それに。

ここで負ける程度では、魔王を倒すなど論外なんだ...!

「イレブンよ!負けるでない!」

「イレブン!」

「イレブンさん...!」

ピコ麻呂、セシル、ミクが、負けるな...!と応援してくれている。

僕はそれに、必ず応えてみせる!

「おぉおおおおあっ!」

僕は全力で槍を振るい、飛んできた槍を全て弾く。

「なに...!これならどうだ!」

再び槍が精製され、飛んで来る。

「負けない!せぃっ、はぁっ!」

飛んできた槍を弾き、弾き、また弾く。

いつかはチャンスが来る。そう思い態勢を整えようとした、その時...

横から爆音がしたのと同時に、僕とアンダインは吹き飛ばされた。

 

 

「痛っ...一体、何が...」

「こっちもさっぱりだ、どうなってやがる...」

僕とアンダインはお互いにそう言った。

その時土煙の向こうから怒声が聞こえた。ピコ麻呂の声だ。

「貴様は...魔王!!」

「初めましての者もいるが、久しぶりだなピコ麻呂よ。」

「ピコ麻呂を知っている...?まさかお前が...魔王か!?」

僕は巨漢の魔人に言った。

「その通り。ワシが魔王だ。」

「この結合世界は貴様が作りだしたのか!」

ピコ麻呂が問う。

「そうだとも言えるが、そうではないとも言えるな。」

「どういう意味だ...!」

セシルも加わり態勢を整える。ミクとアンダインも警戒しているようだ。

「お前たちが知る必要はない。それよりもお前たちはワシを倒したいのだろう?なのでここに直々に来てやったのだ!」

「...今の貴様にはわしらを倒せるのか?グランドソードは既に失われている。今の貴様には決定打はないはずじゃ!」

ピコ麻呂はそう言うと呪印を組み始めた。

グランドソードというのが気になったが、今はそれどころじゃない。

僕は剣を魔王に向けた。他の仲間たちやアンダインも戦闘態勢だ。

「貴様はいつから...ワシがグランドソードを持っていないと錯覚していたのだ...?」

「...!!まさか、貴様っ!」

「あれから二年も経っているのだぞ。その間に造り出すなど造作もないことよ!」

そう言うと魔王は一本の禍々しく、しかしどことなくダサく見える剣を手に取った。

あれがグランドソード、『解析鑑定』結果は伝説級(レジェンド)最上位。僕の勇者の剣と全く同じ位ぐらい。

「グランドソードよ、時空を開くがよい!」

魔王がグランドソードを薙いだ。

ズゴゴゴゴゴゴゴゴ!!という音と共に、時空の狭間が出現する。

「ヤバい...吸い込まれる!!」

「ダメです!!逃げられません!!」

セシルとミクが、焦燥気味にそう叫ぶ。

ダメだ...あれは本当にヤバい!

あれに吸い込まれたらどうなるかなんて、言うまでもない。

「念には念を込めて、前回よりも強力な物を作って正解であったな。さらばだ!」

「魔王...!貴様ぁっ!!」

このままだと死は免れない。どうすれば、この状況を...

と思った矢先に。

 

バキィィン!!という音がした。

 

その音と共に、時空の狭間は消滅する。

「話は聞かせて貰ったぜ...魔王!」

その声の方向...魔王の目の前に目を向けると、16・7歳位のツンツン頭の少年がいた。

「...!お主もこの世界に来ておったのか...!?」

ピコ麻呂が信じられないような物をみる目でその少年に聞いた。どうやら知り合いみたいだ。

「久しぶりだなピコ麻呂さん。あんたもここに来てたのか。」

「君は一体...?」

思わずセシルが尋ねるが...。

「そういうのは後だ!...魔王、てめえがこの世界を好き勝手にできると思ってんのなら...」

 

「まずはそのふざけた幻想をぶち殺す!」

 

彼は魔王に向かって、そう宣言した。

これが、魔王との戦いの始まりの合図となった。

 

 

「ほう?貴様か上条当麻...その右手、幻想殺し(イマジンブレイカー)と言ったか。聞きしに勝る厄介なその右手、さっさと切り落としてしまいたいものだ!」

「無駄口を叩いてる暇はないぜ、さっさと終わらせる!」

そう言ってその少年...上条はすぐに魔王の懐に潜り込んだ。幻想殺しとやらを警戒しているのか、放たれた拳を腕を交差させて防ぐ。

僕もそれに続くように魔王に向かう。それは他の仲間たちやアンダインも一緒だ。

「有象無象が少し増えたところで、ワシには敵わぬ!第一、一度に飛び掛かれるのは四人...うおおおおぉぉぉぁぉ!?」

同時に僕とアンダイン含む五人が上条に続いて攻撃を仕掛けるといった構図になっている。

...しかしこの魔王、えらく強い攻撃を出せるのにどこか抜けてるみたいだ。敵に言うのは何だが、大丈夫かな?

「笑止!この世界は結合世界、我らの世界とは異なることを忘れておるのか!今までの貴様のその理論は通用せぬ!」

ピコ麻呂はそう言って、槍にも見える武器を取り出した。

「穿心角よ、わしに力を!」

ピコ麻呂の魔力が膨れ上がったのを感じた。

「穿心角・突!!」

「...ふん!先程は油断したが、甘い!次元断・黒天!!」

ピコ麻呂の魔力を纏った穿心角と、魔王のグランドソードがぶつかり合う。

それだけで辺りに衝撃波が発生し岩が砕け、地下湖に大きな波紋が広がる。

「うぉぉぉっ!?」

しかしピコ麻呂は吹き飛ばされた。体格に開きもあったこともあり、魔王の力に押されてしまったみたいだ。

「ミク、ピコ麻呂の治療を!」

「はい、分かりました!」

僕はミクに傷ついたピコ麻呂の治療を任せることにした。

「行くぞ魔王!ギガスラッシュ!!」

「バイブレイ・ライト!!」

そして僕とセシルは魔王に攻撃を仕掛ける。

「そこじゃ!グランドソードよ、時空を今一度開くがよい!」

まずい!

かなり近い距離で、時空の狭間が出現し、ズゴゴゴゴゴゴゴゴ!!という音が聞こえる。

しかし、バキィィン!!という音と共に狭間は再び消滅する。

「時空の狭間は俺が防いでやる!あんたらはあいつを!!」

「「分かった!!」」

再び魔王に接近する。

「何度やったところで変わらぬよ...!グランドソードよ、時空を開けっ!」

目の前で時空の狭間が出現する。しかし、僕たちは意に介さない。

 

バキィィン!!

 

その音と共に道が開いた。

「行くぞっ!セシル!」

「分かった!」

僕の勇者の剣に力を込める。そしてセシルの持つ宝剣アルテマウェポンにも、力が込められる。その力を敵の一点に!!

「「受けてみろ!!『バイブレイ・クロスブレイク』っ!!」」

光と雷撃の斬撃が交差し、魔王を切り裂き吹き飛ばす。

「ガハッ!!...中々やるではないか...!だがこれしきで倒れる魔王ではないわぁぁぁぁっ!」

そう言って態勢を建て直した魔王は、すぐさま僕たちを大地を踏みしめ地面を揺らす。この世界に存在する技術(アーツ)、『烈震脚』だ。

「っ!しまった!」

僕がそういうのもつかの間、震央の付近にいたことで怯んだ僕とセシルに大きな拳が振るわれる。

「ヴァッ!!」

「ガァッ!!」

僕たちは吹き飛ばされるが、何とか態勢を建て直す。

と、そこに。

「私を忘れるなよっ!人の勝負を邪魔しやがって!!」

アンダインが激昂しながら一気に距離を詰める。そして槍を虚空に振り、魔王の動きを止める。

「ぬ、ぬぅぅっ!!う、動けん...!!」

そしてそこに、上条がアンダインの横にきた。

「一緒に行くぞ、えーっと...」

「アンダインだこのツンツン頭!」

それだけ言って二人は動けない魔王の懐に潜り込み、

「「そのふざけた決意をぶち壊す!!」」

と、魔王の顔面に強烈な拳を叩き込んだ。

「ぐほぉぉぉ!!」

肉と骨を打つ音と共に、魔王は再び吹き飛ばされた。だがさすがは魔王、傷ついたが余裕はまだありそうだ。

「ワシはまだまだやれるぞ!」

「よし、今度はわしの番じゃ!」

「ピコ麻呂ぉぉ...」

忌々しい目で、魔王はミクの治療が終わったピコ麻呂を睨んだ。

「貴様は、貴様だけはこの場で殺す!!今度こそ陰陽道1000年の終焉を迎えるが良い!!グランド...バスターァァァァァァ!!」

魔王の魔力がグランドソードに集中する。そしてそれを一気に解き放った。

「おい!アレはヤバいぞ!!」

アンダインの言う通り、アレはとんでもない威力だ。時空を切り裂くグランドソードの効果も相まって、直撃すれば「存在概念の消滅」は避けられない。(ユニークスキル『取戻者(トリモドスモノ)』の『解析鑑定』の鑑定結果)

「ピコ麻呂!!」

僕は思わず叫んでいた。

「(あの攻撃...なのは殿の魔力砲、『ディバインバスター』を模したものか...ならば!)」

「上条よ!!」

「分かってるぜピコ麻呂さん!」

バキィィン!!という音が洞窟の大空洞に響き渡った。しかし、今度ばかりはすぐには打ち消せない。

「これは貴様でも打ち消せまい、上条当麻!!」

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぁぁぁぁあ!!」

「無駄よ...死ねぃ!!」

「アイツらが腹を空かせて待ってんだ...!俺は、こんなところじゃ終われねえんだよ!!」

上条が魔王の極大攻撃を対処している間に、ピコ麻呂は動いていた。

「行くぞ!ミクよ!」

「分かりました!!初音ミク、行きます!」

ピコ麻呂とミクは、お互いの魔力に近しいもの(本人たちは霊力と呼んでいる)を練り、穿心角に込めた。

「行くぞ!魔王よ!!」

「何ぃ!ピコ麻呂ぉぉぉぉっ!」

魔王の後ろに回り込み、そして高く飛び上がった。

 

「「成仏させてやんよっ!!」」

 

と、強力な穿心角・突を放った。

その一撃で、魔王は戦闘不能の致命傷を負った。

 

 

魔王はここまでだろう。ピコ麻呂の攻撃が魔王にとって弱点だったのも大きい。...ここから逆転できる要素なんてどこにもないハズだ。

「ガハァッ...。まさかここまでやるとはな...確かに今のワシはあの時ほど強くはない。あの時は高町なのはの魔力も扱えたからな...」

「ここまでじゃ...!成仏するが良い!」

「しかしワシはここでは終わらぬ...!ここでワシは退散させてもらおう...。」

「逃さぬ!成仏しろよ!」

しかし一歩遅かったみたいだ。転移魔法を習得していたらしく、事前に用意しておいた術式を即座に発動して脱出したようみたいだ。

「...転移魔法とは迂闊であったな。じゃが次は逃さぬ。覚悟するが良いぞ...」

落胆したようにそう呟くピコ麻呂。

「まあいいじゃねぇか。こうやって今生きてるんだし。」

「それで今後、どうするんですか?」

ミクが僕に尋ねてきた。そんなの決まってる。

「魔王を追おう。そしてこの世界を元に戻そう!!」

「分かっておる。皆の者、行くぞ!」

セシルはアンダインと上条にこう言った。

「君たちも行くか?」

「あの魔王には勝負を邪魔されたんだ。だからワタシも行かせて貰おうっ!」

「当たり前だろ、かつての仲間を見捨てられるか!...紹介が遅れたな、俺は上条当麻。よろしく頼むぜ。」

「よろしくお願いするよ、上条。僕はイレブン。」

「僕はセシル。セシル・ハーヴィだ。よろしく。」

こうして大波乱の洞窟攻略は幕を閉じた。新たな仲間も増え、僕達の旅は続いていく。

 

 

ステータス

 

個体名 アンダイン(登場 Undertale)

種族 魚人族(マーマン)...水中での行動を得意とする種族。地上でも行動可能。

職業 魔勇者...魔物の身でありながら勇者にふさわしい力を持つ。剣と槍を扱う。

称号 魔物のヒーロー

加護 決意の紋章(フリスク)

魔法 異界魔法〜決意系統 正義...『世界の言葉』がない世界の魔法。異界魔法の中でも謎が多い。

ユニークスキル豪快者(ゴウカイナルモノ)...剛力、金剛身体、超速再生

 

剛力...自分の腕力を増強する。単純な勝負ならばこれがあるだけで勝ててしまう。

金剛身体...自分の肉体を硬質化することができる。

超速再生...負った傷や失った体の部位を魂がある限り回復することができる。

 

コモンスキル(エクストラスキルよりも下位のスキル。)...遠視

 

遠視...遠くを見ることができる。

耐性 自然影響耐性

 

自然影響耐性...自然環境による肉体的な影響を軽減できる。

 

プロフィール

 

フリスクの世界にあるアボット山の地下王国の近衛部隊、『ロイヤル・ガード』の元隊長。地下王国での人気は非常に高く、モンスターの子供たちからは英雄的扱いを受けている。性格に難があり、また立場上親友と呼べる存在が少なかったがフリスクとの交流の中で友も増えた様だ。アズゴア王を尊敬している。地上に出てからは修行不足に苛まれていたようだ。

魔王によってイレブンとのエキシビションマッチに水を差されたこともあり、イレブンと行動を共にする。

 

 

個体名 上条当麻(『とある』シリーズ、ニコニコRPGMV版)

種族 人間

職業 すっぴん

称号 幻想殺し(イマジンブレイカー)を宿す少年

加護 神上の紋章

魔法 なし

ユニークスキル なし(世界を渡っても獲得できない場合もある)

耐性 物理攻撃耐性、精神攻撃耐性、聖魔攻撃耐性、痛覚無効

 

物理攻撃耐性...物理攻撃によるダメージを軽減できる。

 

*超特異体質 幻想殺し(イマジンブレイカー)...触れることであらゆる魔法、超能力、スキル、耐性などを問答無用で無効化する。範囲は右手首より上。

 

プロフィール

 

超能力と魔術の勢力がせめぎあう世界の高校一年。『三十二人の勇者』の一人。彼の右手はありとあらゆる異能を打ち消す幻想殺し(イマジンブレイカー)が宿っている。しかし魔術的要素『運命の赤い糸』さえも無意識の内に打ち消しているため、彼は常に不幸に苛まれており本人はとても苦心している。困った人を見捨てられない性格で、行動力はずば抜けている。それ故彼は無意識の内に『上条勢力』と呼ばれる人材を多数保有しており、世界大戦を終結させ多くの人々の命を救ったり、逆に世界を敵に回して一人の少女を救ったりした。




ども、星の塵です。
今回もCross Worldをここまで見て下さってありがとうございます。
今回の内容はPixiv版で言う所の第九章、第十章、第十一章に当たります。内容自体には大きな変化はありませんが、戦闘の描写をより細かくしました。
そして今回仲間入りを果たしたのは、『Undertale』よりアンダイン、『とある』シリーズの上条当麻でした!
上条は今回『ニコニコRPGMV版』の設定が加味されています。よって原作よりも戦闘が上手いとして進めていきますので、よろしくお願いいたします。

さて、短いですがそろそろあとがきを締めると致しましょう。
今回もCross Worldを最後まで見て下さり、本当にありがとうございました。
今章は如何でしたでしょうか。是非とも忌憚なき目で評価や投票をして頂けると嬉しいです。
そして、イレブンやフリスク、その仲間たちが皆様の決意を満たし続け、皆様の心に留まり続けることを切に願い。
今回はここで、指という名の筆を置かせて頂きます。
皆様、最後まで本当にありがとうございました!次回もお楽しみに!!


...クロスオーバーって中々伸びないよね。あんまり好きじゃないのかな?書くにしても何も考えなければ敷居は低いとは思うし。
皆様はどう思いますか?後どうしたら伸びるんですかね?
...すみません、自己顕示欲の塊なモノで。

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