笑わない妹と夢見る頂点へ   作:イチゴ侍

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情熱抱く幼馴染みと俺

『アタシは……最後まで友希那の覚悟を見守るって決めたんだ』

 

 ある日、幼馴染みは一人の親友のために決意をした。 隣に並び立つ事が出来ないのであれば見守ることにしよう……。しかし、幼馴染みは悩む。親友の覚悟、それは果たして本当に正しいものなのか。本当に自分のやりたい事なのか。

 

 そんな中、一つのバンドに出会う。それは親友のしたい事を現実にしてくれるであろうグループ。もし、その手助けが出来るならと幼馴染みもまた加入する。 幼馴染みは情熱を抱く。親友に釣り合うように、隣にいれるように……。

 

 幼馴染みはまた、一度手放したベースをその手に取る。

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

「お、友希那、秋也さんおっはよー!」

 

 学校へ向かう朝はいつも、隣に住む幼馴染みの今井(いまい)リサと待ち合わせをして通学している。

 

「おはよリサ」

「おーっす、今日もリサは可愛いな〜」

「ふふ、ありがと秋也さん」

 

 んー。昔から何度も朝の挨拶として言っているせいか、ここしばらくは反応が薄い……。もう少しレパートリーを増やすべきかな〜、

 

 

「兄さん、いい加減やめて」

「あ、はい……」

 

 妹に釘を刺されました。これは俺なりのスキンシップでだな……と弁解しようものならきっと絶対零度の視線で凍らされるだろう。辞めておこう。

 

 

「あっははは〜ほんと、秋也さん友希那には勝てないみたいだねぇ?」

「余計なお世話ですよぉ〜だ」

「そんな事より、早く行かないと遅刻するわよ」

 

 俺とリサのやり取りを尻目にそそくさと一人歩いていってしまう友希那。そんな妹の後ろ姿を眺め、俺とリサは同時に苦笑した。

 

 

「で、友希那の笑顔は見れた?」

「いんや、全然だ」

「そっか〜。でもRoselia(ロゼリア)で歌いきった時とかちょっと口角が上がってること多いよ?」

「……えっ、そうなの?」

 

 俺聞いたことないよ。え、なに……俺よく練習見に行ったりするけど全然そんな場面に出くわした事ねぇぞ……。

 

「そ、それまじ?」

「マジマジ。まぁ、いっつも秋也さんいない時に見るかも」

「俺、嫌われてんのかな……」

「それはないと思うんだけどなー」

 

 うぅ……まさか俺の知らないところで俺が求める笑いとは違うけど、友希那が笑ってる所を見せているなんて……。お兄さん心底落ち込んでるよ。もう叫んじゃうよ? BLACK SHOUTだよ。

 

 

「ま、いつかちゃんと見れる機会が来るって! だからそんなに落ち込むことないって……ね?」

「うぅ、今はその優しさが辛いよ」

「あはは……」

 

 肩をガクッと落とし前かがみに歩く俺をよしよしと慰めてくれるリサ。傍から見れば俺が年上だなんて思わないだろうな……むしろリサの方が年上にも見えてしまう光景だ。

 

「随分と仲良さそうね。兄さん」

「ゆ、友希那!? さっきまで前にいたのに、いつの間に後ろに……」

「もしかして友希那〜嫉妬?」

「……そんなわけないじゃない」

 

 そこまで堂々と言われるとかなり心にグサッと来るよ……。また更に落ち込みが増していると……ん? 何やらリサとの距離がかなり近いのですが……。

 

「そう? ならアタシ、秋也さんと付き合おっかな〜! ねぇ〜秋也さん!」

「リ、リサさん!?」

 

 なんと突然、俺の右腕に抱きつくリサ。色々と柔らかいものが当たって……あぁ、なんかいい匂いしてきた。こ、これが女……! 

 

 しばらくの間、くっついたり離れたりを繰り返していると、友希那が口を開いた。

 

 

「リサ、いい加減にして」

 

 ちょ、リサ姉さん うちの妹ガチトーンで今喋ったよ! これやばい奴だって。なのにリサの奴なんか企んでるような笑みを浮かべてるよ。

 

 

「どうしたの 友希那(うーん、これはかなり効果があったみたいだね〜。てか友希那怖いよ……)」 「早く兄さんから離れて。あと、兄さんは鼻の下伸ばさないで」

「そ、そう言われてもな……」

 

 この感触味わって自分から離れる奴がどこにいる! そいつはきっとやられ慣れてるか、女に興味ないね。のホモかのどっちかだ。それに下手に離れようと手を動かしでもしてみろよ! おっぱいをもっと味わう事になるぞ! おっぱいを! (大事な事なので以下略)

 

 そんな葛藤を繰り返しているとリサは、さらに抱きつく力を強めてきた。

 

 

「むふふ、じゃあ行こっか────秋也(・・)?」

「お、おおう……」

 

 おっほぉ……やばい。呼び捨てにされてめちゃくちゃ背筋がこう……ぶるぶるって震えた。今日は一日幸せだな。俺は遂に考える事を放棄し、片手に花を添えて学校へ……、

 

 

「…………」

「ゆ、友希那……?」

 

 友希那はそっと俺に近づくと、リサが抱きつく右腕とは反対の左腕に抱きついてきた。俺は完全に思考が追いつかなくなっている。

 

「行きましょ、兄さん」

「へっ……あ、うぇ?」

「ふふっ、友希那も素直じゃないなー」

 

 こうして、俺は両手に花の状態で学校へと着いたとさ。めでたしめでたし……。

 

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