笑わない妹と夢見る頂点へ   作:イチゴ侍

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誘われるメンバーと俺

 

 

「……というわけで、Roselia総出で夏祭りに行くことになった。異議のある者ッ!」

「異議なーしっ!」

 

 友希那とお出掛けをした次の日、Roseliaの練習があり今は休憩中である。そこで、昨日友希那やリサと話した通りみんなで夏祭りに行こうという話をしているのだが、頑なに首を縦に振らない2人がいた。

 

 

「りんりんも行こうよ〜ぜーったい楽しいから!」

「あこちゃん……でも、人が多い……」

 

 燐子は言わずもがな、人が多い所に苦手意識を持っているため夏祭りに自分は行きたくないとの事だ。

 

「紗夜も行こうって〜」

「私は行きません」

「ええ〜屋台の食べ物だってたくさんあるのに」

「あ、ああいうのはあまり好まないので」

「……ポテトだってあるのにな〜」

「んぐっ……と、とにかく! 私は行きません」

 

 一方、Roseliaの要塞こと紗夜もまた、絶対に意思を曲げてくれない。

 

「このままじゃ埒が明かないな」

「二人抜きで行く……なんて事はしたくないからな〜」

「やっぱりダメかな、みんなで夏祭り行くのは」

「ええぇ!!あこ、みんなで行きたいな……」

 

 どうしたものか、Roseliaの親睦を深めるため……なんて理由は通じないだろうな、現にみんな仲いいし。 この2人が動いてくれるには"やむを得なく行かなきゃいけない"そんな理由がないとダメだ。でも夏祭りにやむを得なく行かなきゃいけない、そんな理由なんて存在するのだろうか────、

 

 

 テレレレッテレー♪ (某RPGレベルup音)

 

 

「この流れ……どこかで……」

「あれ、秋也さんまだこの通知音なんですか?」

「ど、ドラ○エ」

「この通知音じゃないと心が躍らないんだよ」

「……もう何も言わないわ」

「さてさて、誰からかな〜……んーと、なになに……"Roselia出演オファーのお知らせ"だってさ」

 

 まったく、最近の迷惑メールは進化したな。人気バンドグループの名前まで使って送ってくるのか、てっきり「私のこと忘れちゃった?」とか「これ、私のLI◯EのIDです♡ 追加してね☆」とか、まず知らないし、どなた? だし、生憎友だちは妹と親とメンバーしかいらねぇし(友だちがいない訳じゃないぞ )だから心底迷惑メールにはうんざりだ。

 

 

「ほんと凝ってるよな〜「夏祭りのステージで演奏してほしい」だってさ! よくもまぁこんな的確に今欲しいオファーの メールを送れるもんだ」

「に、兄さん……」

「秋也さん それってもしかして本当の事なのでは……」

「くそ! こんな迷惑メール削除してやる!」

 

 俺がこんなにも迷惑メールに殺意を持つ理由、それは以前俺が妹の事を考えに考えていた時の事だ。

 

 急にメール通知が来て、中身を見ると「お兄ちゃん 私のエッチなとこ見て……ここから見れるよ」という文章の下にURLを貼った物が来た。

 そのメールのせいでそれから妹をエッチな目で見てしまったのだ。その時俺は俺に失望した。 妹は絶対にエロい目で見ないと、心に深く刻みつけたというのに見てしまった。

 

 その元凶となったあの迷惑メールを俺は絶対許さねぇ! というわけで迷惑メールは全て削除だァ……。

 

 

「ちょ、誰かあのトラウマ状態の秋也さんを止めて! 絶対そのメール迷惑メールじゃないから!」

「フハハハハ、さぁ! ゴミ箱の力で迷惑メールを絶版にしろぉ!」

「Roseliaの皆さん〜おめでとう! 夏祭りステージに出演するんだってね」

 

 その時、削除のボタンまであと少しだった俺の人差し指は止まった。借りているスタジオのオーナーさんこと、まりなさんだ。そしてそこで気づく、夏祭りステージ出演、演奏してほしい。

 ……つまりこのメールは本物ッ!? 

 

 

 ◇

 

 

「あぶねぇ、もうすぐで削除して闇に葬る所だったぜ……」

「兄さんはせっかちなのよ。もう少し周りを見て」

「まぁ、トラウマになったらどうしょうもないのは分かるけどねぇ〜」

「えーと、秋也さんのトラウマってどんなものなんですか?」

 

 俺たちの会話を聞いていて疑問に思ったあこは、俺のトラウマについて聞いてきた。流石に内容が内容のため、純粋で無邪気なあこに教えるわけにはいかないだろうと思い、近くにいた紗夜にアイコンタクトで"何とかしてくれ"と伝える。

 

 

「宇田川さんには早いわ……」

「あこちゃんは……そのままのあこちゃんでいて……!」

「ええ〜気になるな」

「まぁまぁ俺のトラウマについてはこの辺で……それで本題に入ろうか」

 

 こほん、と一拍置いて再びメールに目を通す。よく見ればきちんと下に町内会の会長さんの名前が入っていた。これは伏せておこう、また友希那に「だから兄さんは……」なんて言われてしまう。

 

 しかし、俺の携帯に来たメールの内容をまりなさんが知っているのだろうか? 

 

 

「あ、そうそう。会長さんが『秋也君にお知らせを送ったのに返事がなかなか帰ってこなかった』ってスタジオに連絡が来てたよ」

「あ……悪い事しちゃったな。もしかしてその時、お知らせの事聞いたんですか?」

「そう。もし秋也君が気づいてなかったら教えてくれ〜ってね」

 

 納得がいった。連絡は見ていたのにそれを迷惑メールだと勘違いして削除しようとしてた自分を殴りたい。いや、やっぱ痛いから嫌だ。

 返信遅れた申し訳なさもあって、これは参加せざる負えないな。

 

 

「さぁ、2人とも……これで逃げ場はなくなったぞ 」

「…………はぁ、仕方ありませんね。Roseliaでのステージとあっては行かないわけにはいきませんから」

「なーんて言ってるけど紗夜、結構楽しみにしてたり〜?」

「そ、そんなことありません! あくまで仕方なくです」

 

 これで要塞は堕ちた。祭りに行ったら紗夜にはネオアームストロングサイクロンジェットアームストロングポテトでも買ってあげよう。きっと喜んでくれるだろうな、形とかはともかくとしてね。

 

 

「それで、燐子はどうだ?」

「わ、私は……」

「りんりんも行こうよ! あこも秋也さんもみんなもついてるから大丈夫! ぜーったい楽しいから、ね?」

「もしそれでも無理だったら、ステージ始まるまで自宅待機でもするしさ」

 

 こういう言い方は少しずるい気もする。この提案に頷ける性格では無いことを知っての上で、俺は燐子に案を差し出した。 これはある一種の誘導尋問だと思う。

 

「い、いえ……私も、一緒に……お祭り行きます」

「やったー! りんりんありがとう!」

 

 多少の罪悪感もありながら俺は、きちんと礼を口にする。ほんの少しキザな台詞も混ぜてな。

 

「ありがとう。燐子はちゃんと守ってやるからな!」

「ひゃっ…………くすぐったい、です」

 

 つい癖で俺は、燐子の頭を撫でていた。サラサラの黒髪が非常に手触りがよく心地よかった。あの感触は友希那のにも引け劣らず……。

 

「兄さん、燐子の頭を堪能できて良かったわね」

「あーきやさーん?」

「……あ、あの……友希那さん? 全然祝福の感情が見られないのですが……あと、リサ様……もっとピュアピュアなスマイルを……」

「秋也さん、気をつけてね?」

「あ、はい」

 

 嫁と妹に尻に敷かれている兄夫です。

 

「さて、夏祭りで演奏する曲を決めましょ」

「まぁまぁ友希那、曲決めもいいけどさ、まずは浴衣買いに行かなきゃ!」

 

 浴衣で思い出した。そういえば友希那と約束してたっけか、これは俺も同行の流れですね。 てか、これってもしかして……Roselia全員で行く流れですかね? 女子5人に男1人ですか、胃もたれ起こしそう……。

 

 

「秋也さんはもちろん来るよね!」

「いや、俺は……」

「ね?」

「イエス! マム!」

 

 尻に敷かれる兄(ry

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