小さい頃の話だ。
まだ俺が俺の名前を覚えていた頃
この能力はいろんなものを傷つけた
人や物、その人の心さえも傷つけた
そしていつの日かこの能力は
世界そのものを敵に回し
本当にすべてを滅ぼしてしまうかもしれなかった
だがある日、あの時、
俺と同じ目をしたヤツを見つけた
自分の能力で孤立し誰も助けてくれない
その能力が自分の人生を変えてしまっていると
だからだろうか、その時俺は…
「……なにしてるんだ、てめぇ……」
「……僕が、見えるんですか??」
話によるとコイツは能力のせいで
誰にもその記憶に「自分」という存在を留められない
そしてその能力は「自分」の姿までも消してしまう
言ってしまえば「存在しない」のと同じ
だからそいつは人通りの多い場所で
それも道のど真ん中で体育座りをしていた
誰かに気づいてもらうために…
しかし誰もがコイツの周りを避けて
それも誰もが無意識に避けている
誰も気づかない、誰も知らない
コイツは俺よりも、誰よりも、孤独だった。
……………………………
「……生きてやがッたか…」
研究所の前
そこにはついさっき車の爆発で死んだはずの
いや、本当は死んでいるとは思っていなかった
だがあれだけやれば近づかないと
もう2度と俺の目の前に現れないと思ったが
そういえばあの時もしつこく付いてきたな
「死ぬわけにはいきませんから」
「テメェの用事は終わッたンろうが
だッたら……」
「あーくん
あの時、あーくん言ってくれました
「だったらその能力を制御できるようにすればいい
例えできなくても俺が見つけてやる」って」
「ンなこといッてねェ」
しかしその目は真剣にこっちを見ている
そんなこと覚えてねえのに…
「だから僕は世界を見てきました
この世界全体を見れば何が分かるかと思って
僕が知らなければそれは「ないもの」と同じ
だからいろんなことを知ろうとしました
僕を知ってもらうんじゃなくて
僕が周りを知れば僕を見てもらえると
そして僕はこの能力をある程度使えるようになった
僕が知れば知るほど、僕の存在が、能力が見えてきた
見てくださいあーくん
僕はいまここにいます
だけどあーくんはあの日から何も変わってない
強すぎたその能力は全てを傷つける
だから……」
「うるせェんだよオオオォォォォ!!!!!!!!」
そんなこと分かってるんだよ
だからこそ俺はここにいるだろうが!!
だいたい世界を見てきたから能力を制御できただぁ
そんな単純な力じゃねぇんだよ!!!!
「……もう、分かってるんだろが、
これから始まる実験もことも……
そこをどけ、俺はいまから「無敵(レベル6)」になる」
「必要ありません」
「なンだと…」
「いまの僕ならあーくんの「友達」になれます
だからそんなものいりません」
友達…だと……
それが、そんなものが、
「俺を止める理由になるッてのかアアアァァ!!!!!!」
強く地面を踏みしめると
そこからアイツに向かい亀裂が入る
そしてアイツ足元に亀裂がきた瞬間に
地下にあった配管が破裂したように爆発した
さっきはどうやって避けたのか知らないが
今度こそは確実に……
だが、アイツはソコに立っていた
足元の周りはアイツを守ったように無傷であり
その足元から一定距離以降は地面が抉れている
まるで自動的にその身を守ったような…
(何をしやがッた……
あの跡は「俺には似た能力」なのか……
それなら………)
今度はその防御をはっきりと見るために
足元にあった石ころを蹴りベクトル操作を行い
銃弾を放たれたようなスピードで
アイツの額にぶちこんでやった
だがその石ころはアイツの額で止まり
石ころはその場に落ちた
(………なるほどなァ…それなら)
これではっきりした
アイツは俺と同じように
自動的に防御する能力を持っている
しかしそれの能力はいったいなんなのか
俺と同じベクトルなのか、
何かを身に纏っているのか、
いずれにしても俺に勝てる能力なんぞ
「これならどゥだアアアァァ!!!!!!!」
一方通行は一気にアイツに近付き
直接アイツに攻撃することに
体の一部にでも触れれば
あの華奢な腕も細い体も吹き飛ばせる
それにどんな能力が防御してようが
俺と同じ防御なら簡単に突破できる
三メートル、一メートル、二十センチ、三センチ
そして一瞬で殺せる範囲に入った
手がアイツに触れる寸前まできた…が、
その手は届かなかった。
別に逃げられたわけではない
別に避けられたわけではない
なのに、その手は届かなかった。
僅か一ミリ、たったその距離が
アイツの体に触れれる距離が届かない
そこで止められたのだ
その何かに止められたのだが
その何かに触れているはずなのに
その何かが分からないのだ
こうして届かない間にも
学園都市一の頭脳で解析しているが
どうしてもこの能力が分からない
そして何かに触れているといったが
触れているというより、その場で止まっている
「………何を…しやがった……」
「教えますよ、僕の能力を、
あーくんが実験をしなくていいことを
そしてあーくんが、僕の友達であること」
「絶対能力進化実験(レベル6シフト)だァ??
ハッ、全くもッて興味もわかねぇな」
「………………はっ??」
どういうことなのかさっぱり分からないという表情
そこにいた研究者も
実験のためにそこにいた妹達も
もう何が起きているのか状況が掴めない
「な、なにをいっている…
レベル5を越えたレベル6だぞ、無敵だぞ!!!
貴様を変えるかもしれないこの実験を」
「うるせェンだよ
こッちはヤル気なんてねェ
……オイ、そこのお前」
「わ、私ですかと、
ミサカは動揺を隠しきれずに返事をしてしまいました」
「この実験は凍結だ
後は勝手に生きろ」
「ちょっ、ちょっと待ってください!!
そんなことをいってもミサカ達はこの実験のために」
「うッせェな
その実験が終わッたンだ
生き方が分からねェならとにかく生きろ
そうすれば……チィッ、いいことをあるだろうよ…」
「…………………」
まさかあの一方通行が慰めてくれた…
本人はそんな気はなくとも
あの言葉が出る時点で何もかもおかしい
誰もが何が起きているのか分からない中、
「信じられません
もっと気の効いた言葉を言えないんですか??」
「よし、やっぱりテメェは潰したほうがいいな」
「そういうのは一回でも攻撃を
当てたときにいうものですよ」
「そうかそうか、ならここで潰してやる!!!!」
「はいはい、そういうのは外でやりましょう」
「子供扱いするんじャねェ!!!!!!」
突然に現れた男に驚く研究者だが
それより、もっと驚いたのは
あの一方通行があんな風に遊ばれているなんて
何が起きたのか分からないが
それでも分かったことはあるそう原因はきっと、
そしてマイクをオンにして妹達に向けて
『………何をしている??
まだ一次実験は終わってない
実験体なら実験体らしく実験を続けろ
そして絶対能力進化の邪魔をするあの男を、殺せ』