「了解しました、
とミサカは拳銃をその人に……あれ??」
素直に個体1号は拳銃を時崎に向けようとしたが
そこには時崎はいなかった
研究者達も同様に時崎の行方を見失ったようだ
だが一方通行は分かっているのか
動揺せずに個体1号をじっと見つめていた
それに気づいた個体1号はそれに戸惑う
「な、な、なんでしょうか!
とミサカはこんな時どのようにしたらいいのか
分からずにただただ目線を反らします!!」
「アァ??
なにしてンだテメェ、そこにいるだろうが」
「はい、何をいっているんでしょうか、
とミサカは意味の分からないことに…」
「ダメですよ、女の子がこんなもの持ったら」
「きゃぁ!!!!」
実験のためにクローンとして産まれ
刷り込み記憶でこうして一方通行に戦いを挑む
そんなただの個体とは思えない
なんとも可愛らしい声
「か、返してください!!!
とミサカはこの異常な状況を打開するためにも
拳銃を奪い返し実験を続行させます」
時崎は個体1号から拳銃を取り上げ
その拳銃を取り戻そうと個体は手を伸ばすが
そこにあるはずの拳銃が時崎が
煙のように雲のようにふわふわと逃げていく
「返すわけにはいかないです」
厳密にいえば逃げているわけではなく
時崎の移動したあとに残る残像を追っているのだ
物凄く早く移動している訳ではない
ただ存在を消すことが出来る一時停止なら
その逆である「存在を止める」ことも出来るはず
まぁ、これこそ一時的なものなので
残像のように見せることが出来る
「なんですかこれは!?
とミサカはちょっと病み付きになる現象に
心を奪われかけていることを隠しながら
拳銃を取りかえそうと奮闘します」
まるでもぐらたたきをしているかのように
拳銃を奪い返そうとする個体1号と
そのもぐらである時崎はそれを避ける
「やっぱりあーくんは僕が見えてるんですね」
「そうだな、どういうわけだかなァ…」
「友情パワーですね」
「……いらねェなァ…」
で、そんなやり取りのなかで
まるで昔からの友達のように
楽しそうに会話をする時崎と一方通行
一方通行の場合はそうではないかもしれないが
少なくとも時崎は楽しんでいるようだ
思わず頬が緩んでいるように見えるが
周りからしたら表情を中々変えない男だと見える
ここで痺れを切らしたのか研究者の一人が
「何なんだ貴様は!!!
どうやってここに入ってきた!?
いや、一方通行に何を吹き込んだ!!!!??」
「それは、こちらの台詞です
あーくんに何を吹き込んだんですか」
「質問を質問で返すな!!!」
「別に特別なことを言ったわけではないですが…」
『二万回戦えばいいなら僕が代わりにやります
あーくんも体験したから分かると思いますが
僕に攻撃は当たりません、届くことはありません
だからあーくんが僕に勝てるまで
勝負を仕掛けてください
そしたらあーくんの望む
「無敵(レベル6)」に手が届くはずです
でも、そんなことせずに本当に欲しかった
「無敵(傷つけない強さ)」を望むなら
僕は喜んで協力させてもらいます
それに僕ならあーくんが変わらなくても
ずっと「友達」として側にいられます』
「と、お願いしただけですが」
「……なっ!!?」
それは一方通行をこの実験に引き込むための策
どうしたらこの絶対能力進化に参加するか
どのようにしたらこれに興味を持つのか
あの「木原」ぐらいしか知り得ない情報を
一方通行の持っている「闇」をどうして
どうしてこの男は知っている!!!!!
「ッて訳だ
これからは俺の不満等は全てこのバカにぶつける」
「バカじゃありません」
「十分バカだよテメェは
……ッたく、こんな形で叶うなんてな…」
「なにか言いましたか??」
「いッてねェよ
さて、こんな下らねェ実験なんざ……」
一方通行は思いっきり地面を踏みつけた
すると一方通行を中心にクレーターができ
そしてヒビが四方八方へと走り
地面から壁へ、壁へから天井へと
まるで怒りを姿へと現しているように…
「ここで終わらせてやるよ」
「はい、ここで停止(とめて)みせます」
なんだ……これは………
どうして一方通行が「あっち側」に立っている
貴様はそこにいる妹達を、モルモットを、
単価にして18万円の消耗品を、
助けるなんてそんなこと…
「そんな消耗品を助けるというのか!!
それにそんな言葉だけで実験をやめるなど
何を考えているのだアアアァァ!!!!!!」
「消耗品なんかじゃありません
彼女達はちゃんと生きてます
それに怒っているのは貴方達だけでありません」
そういって拳銃を取り合いしていた妹達の
肩を軽く叩くとまるで生気を抜き取られたように
力が入らずにその場に座り込んだ
「な、何をしたんですか、
とミサカこの状況を把握しきれずにいます」
「ちょっと手足の筋肉を一時停止させました
あーくん、この子をお願いします」
「……アァ……」
「何をするつもりですか…
まさか…戦うのならやめてください!!!」
時崎を止めようとしたがそれより先に
一方通行が個体1号を抱きかかえ
詳しくいえば肩に担ぐ形で
足が進行方向へ向くように持ち上げ
そして研究所の出口に向かって歩き出す
「下ろしてください!!いえ彼を止めてください!!!!!!
ここには暴走した能力者を止めるための機械が
どんな能力かは知りませんがこのままだと…」
「問題ねェな
それよりテメェの身を心配してろ」
その言葉に一方通行の行く先を見てみると
そこには警備ロボットが大量に出口に配置されている
時崎も心配だがこの状況は自分達も危険である
しかしこんなもの一方通行には関係ない
と、いうより暴れられると思っていたのが
それか出来なかったためか
その警備ロボットを見てニヤッと笑った
「肩慣らしにもならねェ」
「や、やりすぎなのでは…
とミサカは後方に見える警備ロボットの残骸を見て
改めて第一位のスゴさを実感しました」
研究所から出るのに時間はかからなかった
警備ロボットも全然問題ない
一方通行の後ろには空き缶を潰して
平たくしたような状態の警備ロボット積み重なってる
まるで子供のおもちゃのように蹴散らし
積み木のようにタワーが完成している
「あとはここで待ってるかァ」
「いいのですか助けなくても、
とミサカは未だに動かない体を
どうにかしてほしいとお願いします」
「あんな解析できねェ能力どうにもできねェよ」
「スーパーコンピューター並の頭脳の持ち主でも
あの方の能力は解析できないなんて…
一体何者なんですか、
とミサカはとりあえず降ろしてほしいとお願いします」
「うるせェな…テメェ……」
ホラよと手荒く個体1号を地面に落とした
おしりを強く打った個体1号はギロッと睨む
「貴方も何なんですか??
どうしてミサカを助けたのか理解しがたいです、
とミサカは無駄な抵抗だと分かりながらも
近くにあった石を一方通行に投げます」
投げられた石は一方通行にぶつかった瞬間に
ベクトル操作をされ個体1号の横を通りすぎた
その現象に驚いている個体1号に
「分かッたか
お前じャ、お前らじャ俺には勝てねェ
そして……」
すると警備ロボットの残像の向こうから
仕留め損なったロボットが誤作動を起こし
一方通行ではなく個体1号へ対象が変わった
警備ロボットは壊された残像を蹴散らし
一気に個体1号に近づいていく
逃げようとするがまだ体は動かない
思わず目をつぶろうかとしたが
それより早く一方通行が前に出て
ただその場に立ち警備ロボットが激突した
しかし被害にあったのは警備ロボットだけであり
一方通行は全くの無傷、動いてもいない
もう一度にたくさんの出来事がありすぎて
訳の分からない現象が起こりすぎて
混乱しているのだが一つだけ分かった
「テメェは黙ッて守られてればいいンだよ」
「!!!!??」
本気でこの人は助けようとしている
そしてミサカはいま何故だか
頬が熱くなっているのを感じ
さらに心臓がバクバクしているのが分かります
これは体調に異常が発生したようです
しかしどうしてだか、悪い感じがしません…
「な、なんだその能力は…
そんな能力…私は知らないぞ……」
「そうでしょうね
そしてまた忘れるんですから問題ありません」
それを最後に研究者は全員その場に倒れた
部屋はごちゃごちゃになってしまったが
一時停止は無傷である
個体1号が言っていた能力者を無力化させる
その機械さえも時崎には届かなかった
時崎はまだ生きていたパソコンに近づき
カタカタとキーボードをうち始めた
しばらく何かを検索していたようだが
どうやら一つの言葉に手が止まったようだ
『御坂 美琴の体細胞から
産まれたクローンである妹達は
薬品投与することで急速に成長させたため
ただでさえ寿命の短い体細胞クローンが
さらに短命になっている………
…………
………
……』
その画面をジィと見ている時崎
普段変わることのない表情が
どことなく辛さを、悔しさを現しているようだ