「くそっ!
これからどうする…」
火災報知器を鳴らしてスプリンクラーを動かしため
学生寮の周りには野次馬が集まっていた
こんな集まった場所で再び襲撃されたら
他の人たちを巻き込む
さらにインデックスを
そのままにするわけにはいかない
人が集まった場所に留まるわけにもいかず
路地裏に逃げ込んだのだが
こんな汚い場所に、地面に触れさせるわけにも
「だい、じょうぶ。だよ?
止血してもらったし、いた、みも、そんなにないから」
「なにが大丈夫だ!!
顔色が明らかに悪いだろうが!!!」
「落ち着いてください
僕の能力で止血はしましたが
傷口を塞いだわけではないです
痛みは、脳に伝える電気信号を止めました
これで痛みからは逃れますが血液が足りずにいます
でも、どうにかして傷口を塞がないといけません」
時崎は傷口から溢れてくる血液を停止させ止血した
だがそれは傷口を塞いだのではないため
解除すればまた出血する
そして血液の凝固によるものも
外気と触れるわけではないため固まることもない
そう一時停止はその場しのぎの止血なのだ
さらに痛み止めに関しては
刺された部分の細胞は壊れると、
その細胞から「発痛物質」 が出てきて
この物質が知覚神経の末端
(自由神経終末)に 達すると、
その刺激は今度は電気信号という形に変化し て、
「脊髄」と「視床」という部分を経て、
大脳皮質の 「体性感覚野」に届く
こうして人は「痛み」を感じることが出来るのだが
その電気信号を止めると、人は「痛み」を感じない
痛みを感じなければ良いことに聞こえるが
痛みがなければ怪我も病気も感じることは出来ない
その痛みがあるからこそ体を守っているのだ
それでもこうして麻酔程度の停止なら
ショック死を避けることができる
でも、それでも、インデックスを助けられない
リミットを伸ばすことは出来ても
迫り来る死を止めることは出来ない
「くそ、インデックスを病院に
連れていくわけにもいかねぇし」
「そうですね、IDを持ってないと
入院したとたんに情報が漏れるはずです」
正直、そんな情報なら時崎にかかれば
一切外部に漏れない自信はある
病院関係者、入院患者、その他関係全てに
「この三人の記憶を留められない」ようにし
ネットや防犯カメラは全て停止させれば
手術させることは簡単だろう
しかしこれだけの範囲を停止させるなら
能力のコントロールは難しく
その手術に関する機械さえも止める恐れがある
そうしたら手術も難しくなるだろう
病院についてからインデックスにかけた能力を解除し
時崎だけ病院外にいたとしても
内部と違い範囲が広くなるため全て停止が難しい
この「難しい」がある時点で
インデックスを治療させるのは適切ではない
「おい、インデックス!!
魔術ならその怪我を塞ぐようなものはないのか!!!」
「……ある、けど
君には……無理
たとえ、私が術式を教えて……、
君が完全にそれを真似した所で……痛っ
君の、「君達の」能力がきっと邪魔をする」
上条はその右手を見た
こうして魔術師から右手で、幻想殺しで助けたのに
肝心な所で足を引っ張るなんて…
そして時崎もそれを理解していた
ざっとしか魔術に関することは教えてもらえなかったが
それでもこの一時停止がどんな風に作用するかを…
あの魔術で作った炎剣を「止めた」ということは
魔術にある「工程」「結果」「効果」「副作用」などを
この原石である一時停止は
止めてしまうのではないかと…
ならば治療に使う魔術さえも
止めてしまうのではないか?
もちろん故意にすることはないが
上条と同様、一時停止は周りにも影響を及ぼす
だから存在感がなくなったり、見つけられなかったり
これらは無意識に作動している一時停止が原因
だからその魔術さえも止めてしまうなら
それが善意であろうとも…止めてしまうなら……
分かっていたがやはり
この「一時停止」は「万能」ではない
どんな攻撃も、どんな一撃必殺だとしても、
どんなものでも止めてしまう一時停止は
こういうとき「無力」になってしまう
必要としないときに無条件で発動してしいる能力は
本人の意思に関わることなく「作用」するからだ
「く、そ!
またかよ……またこの右手が悪いのかよ……ッ!!」
どうしようもない
いまここにいる二人では助けられない
ならば他の誰かを呼べばいいのではないか??
ここにはあー君が、操祈さんもいる
自分以外なら助けれることが……
「君の右手でも、君の能力でもなくて
『超能力』っていうのが、もうダメなの
魔術っていうのは……、
君達みたいな『才能ある人間』が
使うためのモノじゃないんだよ…。
『才能ない人間』が……、
それでも『才能ある人間』と同じ事がしたいかって…、
生み出された術式と儀式の名前が、……魔術
『才能ある人間』と『才能ない人間』は…
……回路が違うの……。
『才能ある人間』では……『才能ない人間』のために
作られた魔術を使うことは…できない……」
「なっ……」
『超能力者』は薬品や電極を使い
普通の人間とは違う脳の回路を無理矢理に拡張している
だから違うのだ、だから助けられない
学園都市にいる学生たちは全員
能力開発の『時間割り(カリキュラム)』を受けている
いくらlevel0とはいえ一般人とは作りが違う
「ち、くしょう……
そんなのって、あるか。
そんなのってあるかよ!
ちくしょう、何なんだよ!何で、こんな……ッ!!」
いくらlevel0「無能力者」でも
それはすでに一般人とは違っている
無力であるから、魔術が使えるわけではなく
無力であっても、化学に染められた時点で
「無力(一般人)」と「無力(無能力者)」は異なっている
「……僕はまだ「時間割り(カリキュラム)」を
受けてませんが、やっぱりこの原石(能力)があるから」
「……うん、その原石はよく…分からないけど
……『才能ない人間』が『才能ある人間』に
憧れを…抱いたのが、その原石なんだよ…
科学とは違う、能力かもしれないけど…
それでも、それは……私たち『才能ない人間』からは
『才能ある人間』と同じ、だから、ごめん、なさい」
「……いえ」
そう言葉を出せることしか出来なかった
肝心なことがなにも出来ない
止血しても傷口を塞げない
病院にいっても状況が、この原石が邪魔をして
魔術を使おうにも、能力を持っているため使えない
と、下を向いていた上条が不意に顔を上げ
「おい、確か魔術ってのは『才能ない』
一般人なら誰でも使えるんだったな?」
「……え?うん」
「さらに『魔術の才能がないとダメ』
なんてオチはつかねーだろうな?」
「大丈夫、だけど……方法と準備さえできれば…
あの程度、中学生だってできると思う
……確かに手順を踏み間違えれば
脳内回路と神経回線の全てが
焼き切れることになるけど……
私の名は『インデックス』だから、へいき。問題ない」
上条の言葉の真意が分かり時崎はほっとした
どうやらこの人はこの子を救えるだろうと
根拠なんてものはないが、はっきりと分かる
いまの上条の目は、あの時妹達を救おうとした
あー君の目とよく似ているから
「………あの先生、
この時間でもう眠ってるなんて言わねーだろうな」
「寝てても起きてもらうしかありません
その時は僕がキチンと警察に連行しましから
思う存分やってください、ツン条」
「おい、こら
なんで起こすのに警察沙汰になってるだよ!!
それに誰がツン条だぁ!!!!
まるでツンデレみたいに聞こえるだろうが!!!!!」
「さすがあー君と並ぶ逸材ですね
それでは「とんま」でいきましょう」
「さっきよりひどくなってませんか!!?
「とんま」って「間抜け」って意味だよな!!!」
「さぁ、本屋ちゃんは僕が運びますから
とんまは道案内をお願いします」
「ちくしょう……」
「ありがとうございました~!!!」
コンビニ定員の特徴ある言葉を聞くことなく
片手にはビニール袋を持っており
その中には大量のコーヒーが入っている
早速その中の一つを手に取り蓋をあけ口をつける
独特の苦味が口のなかで広がり喉を通る
はぁ、とため息のように息をだし周りを見渡すと
足元には半殺しになっている不良達
コンビニのガラスも無惨に割れ商品も散乱している
こんな状況にも関わらず
コンビニの店員はコーヒーを買ってくれた
髪の白いその少年に感謝していた
強盗に現れた不良達はレジからお金を奪い
その場から立ち去ろうとしたとき
コンビニに入ってきた少年に激突
不良達はその少年からも金目の物を奪おうとしたが
「………ま、まさかテメェ…第一位なのか……」
「ハァッ、そンなことも知らずに向かって来たのかァ
……ッて、こんなこと前にもした気がするなァ…」
また溜め息をつき、もう一度コーヒーを飲む
今朝に現れた、いや、毎回来ていた時崎が
どういうわけだがもう日を跨ぐ時間になっても
いっこうに現れない、見えないではなく
一方通行の前に姿を現さないのだ
まぁ、いなくても全然いいのだが
時崎が来るといえば必ず来ていた奴が
連絡もなく来ないなんてあり得るだろうか…
……まぁ、どうでもいいのだが……
と、気づけば3本目コーヒーを
飲んでいることに気づいた
これは、本当に、面白くない
いままで熱中するほどとは言わないが
自分が気づかない行動をするなんてなかった
これも時崎が現れてからだ
良くも悪くもアイツが現れてから……
「おうおう、本当に牙を抜かれてやがるな」
「アァ??」
闇の向こう、こっちに向かってくる者がいる
初めはまた不良かと思ったが
直感が、経験が、ただ者ではないと感じた
その歩き方に特徴があるわけではない
感じたままでいうなら、オーラが違うのだ
それを見たことがある
深く関わらなかったがそれを、「闇」を見たのだ
「確かにいまの第一位様なら
その座を引きずり落とそるかもな」
「なんだァ、テメェは??」
「はっ、雑魚には興味ないってか
なら教えてやるよ…これでな!!」
すると何かが、その男の背中から現れ
それが一方通行に向かって伸びてくる
だが、そんな一直線の攻撃なんてなんの脅威にも…
「ッ!!?」
しかし一方通行は回避へ体が動いていた
自分でもビックリするほどに瞬間的に
落ちてくるそれは一方通行の肩を掠めた
そう、掠めたのだ。
反射出来るはずなのにそれが肩を掠めた
すぐに体勢を立て直し
それが伸びてくる人物を見た
暗闇の中、月明かりがその人物を照らし出した
そこにはホストのような容姿をした人物
「さぁ、自己紹介しておこうか
level5 第二位 未元物質(ダークマター)
垣根 帝督(かきね ていとく)だ、よろしくな最強」
「……なるほどなァ……」
そう、この男が第二位
一方通行の後ろにいる二番目の男
別に順位は強さではないと知っているが
それでも第一位と第二位とでは差がある
つまりは第二位は、垣根 帝督は
その差を埋めるために、ここに来た