「立て籠りに爆弾ですか…
それも人質全員に爆弾をつけているなんて
正気の沙汰ではありませんわね」
『気をつけて下さいね、白井さん
犯人は能力開発の仕事をしている人で
特に能力における脳波の研究をしていたようです
同僚から話を聞いたところによると
最近「女神」と呼ぶ人に夢中で
「女神の全ては俺のものだ」と……』
「それは確かに危険すぎて
近づきたくもありませんわ…」
ビルの屋上から屋上へと瞬間移動する白井
事件発生から30分以上が経つ
犯人の要求で風紀委員に連絡が遅れ
いまこうして白井一人で現場に向かっている
本来なら警備員の出番だが現場到着まで時間がかかり
白井に現場状況を確認してもらうために向かわせている
『そうですよ
ですからくれぐれも勝手に行動するのは』
「分かってますわよ
お姉様ではあるまいしそんな軽率なことはしませんわ」
『……前科はありますよね』
「ケンカを売ってますの初春??」
20階のビルから飛び降りた白井は
そのビルの中間辺りで瞬間移動を使い
二位階建てのビルの屋上に移動した
そのまま走り端にたどり着く辺りで瞬間移動
そんな風に移動を続けながら現場に向かっている
しかしそんな白井の横を何かが
超特急で通りすぎていったのだが
「な、なんですのさっきのは!!!?」
『どうしたんですか白井さん??』
相当驚いているのかなかなか返事が返ってこない
どうしたものかと電話の向こうにいる白井に
声をかけようとしたのだが、
「…………鳥人間ですわ」
『はい??』
とんでもない言葉が返ってきたのだった
(こんなこと…してる場合じゃないのに!!)
未だに操られている佐天により拘束されている御坂
なんとか力付くで抜け出そうとするが
食蜂が操る際に脳のリミッターを外したのか
信じられないほどの力で押さえられているのだ
「力業」ならすぐにでも抜け出せるが
そんなことを友達にできるわけがない!!!
…………まぁ、一部を除くが……
しかしこのままだとお店に入った食蜂が、
別にどうなろうが知ったことではないのだが
万が一、いや、食蜂だからありえそうなのだが
人質が危険な目に合うことだけは止めないと
(……ごめん佐天さん!!!
あとでちゃんと償いするから!!!!)
これ以上ここに留まると助ける可能性が減ってしまう
御坂の頭上からバチバチと電撃が流れ
軽い電気ショックで気絶させるしか……
「大丈夫ですよ
あなたのお友達を傷つけなくても」
その言葉が聞こえたとき
御坂の口元を押さえていた手が緩んだ
とっさに振り向いた御坂は地面に倒れ行く佐天を
しっかりと両手でその体を支えた
どうやら気絶しているようで、夢見ているようで
なんだか幸せそうな表情をしている
佐天のあとに続くように残り操られた人達も
バタバタと操り人形の糸が切られたように倒れていく
「これは催眠系能力…
でもこれって……」
催眠系能力にしては手際が良すぎる
大人数を眠らせたとするならそれはもう
level5相当の能力者じゃないと出来ない
しかし周りを見渡しても誰もいない
ただ御坂達の近くにはタオルと飲料水が置いてある
不自然に置いてある物に気をとられて
気づかなかったがお店の扉の向こうに
うっすらと人影が、それも白い頭部が見えたような…
「あ~~ん」
「あ、あ~~ん……」
ここは立て籠りが起きている現場なのか??
現在大勢の人質がいるなかで
丸いテーブルで向かい合ってケーキを
まるでバカップルのように食べている
それは犯人と、犯人が指名した食蜂だった
食蜂がフォークで切り取ったケーキを
頬をピクピクとさせながらも笑顔で
犯人の口へとケーキを運んでいる
(どうして私がこんなことをしないといけないのよ!!!)
人質を取られているとはいえ
なぜこんなことをしないといけないのか
本来ならちょちょいと能力を使って
自分に関する記憶を全て消したあとに
トラウマになりそうなものを複数植え付けるのだが
犯人の頭にあるあの脳波を観測する機械があるため
少しでも脳波に異常があると犯人も人質も自分も
このお店ごと吹っ飛んでしまう
チャンスを伺ってこうして言う通りにしているが
そろそろ限界が近くなってきた
いっそうケーキを刺しているフォークで
思いっきり喉を突いてしまいたいと思うが
自分の手でそんなことをしたくない
するにしても自分が操っている人ならいいが
(あぁ~もう~!!!
こんなにイライラしたのはいつ以来かしら!!!!!)
これが終わったら外に御坂を一通りいじって
そのあとに派閥の子達で楽しまないと
いやもっともっと色々やらないと…
「何を考えているの女神??
僕以外のことを考えているなんて酷いな」
「そんなこといっても私だってずっと
ひとつのことだけを考えるなんて無理よ」
「何言ってるの女神?
さっきもいったけど今の僕は君の上に立っている
僕の言うことは絶対なんだよ
どうやらまだ立場が分かってないようだね
仕方ないな、ちょっとお仕置きしようかな」
すると犯人は立ち上がり人質のほうへ向かう
そして人質達の中から髪の長い女性を選んだ
その女性を無理矢理立ち上げると
食蜂に向けてポケットにいれていたボタンを見せながら
「今すぐに僕に服従しないと
この女に着いている爆弾を爆発させるよ」
「そんな強迫力に私が従うと思うのかしら??」
「ごめんごめん、間違えたよ
………君の前でこの女を爆死させて
嫌ってほど死の恐怖を刻んであげるよ
それでも足りないなら今度は一気に殺さずに
手・足・肩・頭とゆっくりと見せつけるのもいいね
そしたら君はきっと進んで喜んで
僕のために、僕の女神に、僕の土台になってくれるよね」
正直恐怖した
少しだけだがこの犯人のことは調べた
それでもこんなに異常なことをいう人物ではない
何のにこの犯人はただちょっと逆らっただけで
人質をこうも簡単に殺すというなんて
こうなったら一刻の猶予もない
食蜂はとっさにバックからリモコンを取り出して
「逆らうの??
分かってないな、女神、分かってないよ」
「分かってないのはどちらかしら??」
そう犯人は勘違いしている
このリモコンを向けているのは犯人ではなく…
「私はそちらに用事力があるのよ☆」
食蜂が向けているのは犯人の隣にいる人質
いくら手足が縛られても目隠しされても
体当たりぐらいは出来る
バランスを崩したその瞬間に残りの人質を使い
ミルフィーユのように犯人の上に重ね……
バチッ!!
「えっ!!?」
「まさか僕が自分だけ能力対策していると思ってたの??
人質の体に取り付けられている爆弾にはね
君が使う能力の電磁波を遮る電磁波を飛ばしてるんだよ
もちろん完璧じゃないけど至近距離ではないかぎり
50%の確率で洗脳を防ぐことは可能なんだ
研究者はね50%の可能があれば
使ってみたいものなんだよ
いや成功して良かった、本当に良かったよ
君を手に入れるためにこの賭けに出て
………………本当に、良かったよおおおぉぉ!!!!!!!!」
まさかそんな能力を防ぐものがあるなんて
いやよく考えれば分かっていたはずだった
呼び出した時点で能力を防ぐものがあってもいいと
どうして、どうして、どうして分からなかったのか
……簡単だ、自分の能力に酔っていたのだ
いくら犯人に使えなくても人質に使えたから
どうにか出来ると考えていた
だからこんな場面で50%の確率を引けなかった
犯人がスローモーションで
手元のボタンを押すのが見える
どう走っても間に合わない
いや、やめて…だめ……
「あっ、すみません。
爆弾ですけど止めさせてもらいました。」
「うわっ!!!!!!
だ、誰だてめぇ!!!!!!!!」
気づいたときにはそこには人質の女はおらず
代わりに幸の薄そうな男が立っていた
いや、そんなことはまだどうでもいい
どうして爆弾が爆発しない!!!!
確かにボタンを押したのに、何度も押してるのに!!!
するとその幸の薄そうな男の後ろから、
「うるせェんだよ。
……ッたく、いきなり呼び出しやがって
なンでこンな茶番劇に付き合わないといけないンだ??」
「それはこっちの台詞よ
なんで私が人質役をしないといけないのよ」
「もし犯人に狙われたとき女性を選ぶかと
それにシズ姉は綺麗ですから
きっと選んでくれると思いまして」
「な、な、な、なに言って………」
「でも見事に役に立ちませんでしたねてーとん」
「ふざけんなてめぇ!!!
呼び出しておいてなんだそれは!!!!
それならそこの第一位も同じだろうがああぁ!!!」
「無視してん」
「アァ!!?
気づいてねェのかお前はよ
すでに人質の爆弾全部取ってるだよ
どこかの能無しと一緒にするンじゃねェ」
「喧嘩なら買うぞ第一位」
「買ってみろよ第二位」
「ブ・チ・コ・ロ・シ・決・定・ね」
な、なんの冗談だ……
第一位、第二位、それにあれは第四位……
どんな悪夢なんだ…これは………
人格破綻者達がが集まるなんて…あり得ない…
「もう、皆さん喧嘩しないでくださ」
「時崎さ~ん!!!!!!私のナイト様ああぁ!!!!!
やっぱり素敵です~~!!!!!!!!」
「操祈さん、大丈夫でしたか??」
「はい!!もう時崎さんが来てくれただけで
私はもう大丈夫ですよ!!!!」
僕の女神が幸の薄そうな男に飛び付き
その幸の薄そうな男の胸元でスリスリと
まるでマーキングをしているように………
………ふ、ふ、ふ、ふざけ
「ふざけんぎゃぁふんぎっがぁ!!!!!!」
「爆弾がないならこっちのものよ…って、
な、なんなのよこれは!!!!!」
キレていた犯人を容赦なく電撃が走る
爆弾に電流が流れなければと思いっきりやったようだ
「あらお外で待ってて良かったのよ☆」
「食蜂あんたよくも………っておい、
なんであんたがここにいるのよ時崎!!!!!!」
「さっき声かけましたけど聞こえませんでしたか??」
「やっぱりあんたかぁ!!!
さんざんバカにした借りを…ここで返してやる!!!」
その言葉にケンカを始めそうな3人が
その幸の薄そうな男の方を見る
「そゥだな、俺も借りを返しておくかァ」
「いいな、俺もやらせろよ」
「たまにはお灸をすえないとね」
「私の獲物に手を出すんじゃないわよ」
「大丈夫ですよ時崎さん
私は絶対力的に味方ですから☆」
「皆さん、仲がいいのは認めますが
お店のなかで暴れたらいけませんよ」
「「「誰のせいだと思っている!!!!!」」」
「時崎さん、かっこいいです!!!!!!」
信じられないことが起きている。
誰も考えもしなかったことがいま起きている。
学園都市level5 その選ばれた七人の内五人が
一人のlevel0の周りに集まっている
一時停止 時崎 一
この男が学園都市にもたらすのは
幸福か不幸か、希望か絶望か、光か闇か
そのたどり着く運命はまだ誰も知らない……