遊戯王IS〈インフィニット・ストラトス〉 作:LAST ALLIANCE
第2章は『遊戯王』のカードの種類やターンの進め方を授業風に紹介しつつ、純一君達の学園生活を記していこうと思います。
前回のお話を投稿してから来た感想を元にここではっきりと記します。
IS環境の禁止カードの基準たる”平均価格が1000円以上のカード”は、トレカネット様の方で調べながら判断します。
ちなみに執筆している段階で判断するので、「あれ? このカード1000円以上していないのにどうして禁止なんだ?」と思っても、「この時は禁止だったのか」とご理解して頂ければ幸いです。
《強欲で金満な壺》が1000円以下になったので、その事にも触れていこうと思います。
では今回から1年5組に移籍する純一君。
担任のナターシャ先生(原作だとそんなに出番が無かったので口調を把握するのに必死)と、オリキャラまみれのクラスでの活躍にご期待下さい。
TURN07 新たなるクラスへ
エキシビジョンデュエルが行われてから3日後。火曜日の朝。この日は各生徒が注文したデュエルディスクや、『遊戯王OCG』の『ストラクチャーデッキ』等の商品が到着し、それぞれ受け取る日となっている。
いよいよ今日から『遊戯王』の授業が始まる事になっているが、一人学食で新聞を読みながらコーヒーを飲んでいる純一は、ここ数日の新聞に目を通していた。土曜日はエキシビジョンデュエル関連に追われていた為、帰宅してから直ぐに休んだ。その為何も出来なかった。
翌日は普段の授業の予習・復習と大学進学に向けての勉強を一日中やり、昨日は1組から5組に移籍する準備等があって、ようやく今になってエキシビジョンデュエルの反響を確認している。
―――世界で2番目の男性IS操縦者はまさかのガチデュエリスト!?
―――強靭にして無敵! 衝撃のデビュー戦は勝利に!
―――アニメのような展開! 世界中のデュエリストが震撼!
―――デュエルディスクのモニターは大会優勝経験者!?
―――カリスマも認めた真のデュエリスト!
(わぁお……思っていた以上に反響があったのか。これからは大変になるな……より一層責任感を持って行動しないと)
日曜日の新聞は至る所でエキシビジョンデュエルの話題で持ちきりだった。一面ででかでかと掲載している物もあり、自分がデュエルしている姿を撮影した写真を見て、純一は思わず苦笑いを浮かべてしまう。
まさか自分のデュエルがここまで大きな出来事として報道されていたのか。全く考えていなかっただけに、純一はコーヒーを飲むのも忘れて新聞を読んでいく。
見た事の無い新時代のデュエル。モンスターが実体化する。魔法・罠も同様だった。『遊戯王』のアニメを観た事がない人に衝撃を与え、アニメを観た人は大興奮だった。それはもう目立つしかない。更に有名動画サイトで配信されていた事もあって、沢山の人々も引き込んだ結果となった。
既にマスメディアとSNSを通じて、世界中の人々に伝わってしまった。ここまで来れば自分は最早有名人同然。話題性もあるし、これからは行動する時に慎重にならないといけない。そう言い聞かせる。
「よっ、純一」
「純一、おはよう」
「おはよう。一夏、箒。昨日は本当に済まなかった……いきなりクラス移籍になって」
「仕方ないよ……純一だって全校集会の前に千冬姉からいきなり言われたんだろう? 気持ち整理するの大変だっただろうな……」
「思いっきりIS委員会に振り回されているではないか……」
昨日は朝礼が始まる前に全校集会が行われた。『遊戯王』の授業を行うインストラクターの講師達と、講師をサポートする“チューナー“に選ばれた各クラスの生徒達の紹介があり、1年5組の”チューナー“は純一が務める事となった。
1組の純一が5組の“チューナー”を務めるのか。事情を知らない生徒達は驚いたが、その中には1組も含まれていた。
全校集会が終わった後の朝礼で千冬が皆に話した。“純一は明日から5組に移る”と。その後で日曜日の職員会議で話された内容を正直に明かした。
―――正直に言うが、IS委員会の上層部は女尊男卑の世の中を維持しつつ、ISを扱える女性デュエリストを頂点に立たせるつもりでいる。先日のデュエルで純一は一躍有名人となってしまった。企業所属で専用機持ちとなった今、奴らは全力で排除しに来る。純一の強さは学年……いや学園でもトップクラスと言っても良い。
―――文化祭の時に純一が襲撃された事は皆も知っているとは思う。委員会は否定しているが、私は奴らが指示を出したと睨んでいる。まさか奴らが実力行使に出るとは思ってもみなかった……SNSやマスメディアのおかげで少しは沈静化したと思ったが、奴らはまだ懲りていないらしい。
とても理不尽な通達だったが、純一はこれを了承した。理不尽な事を言われるのはIS学園に来てから沢山あった。もう既に慣れてしまった自分がいる。
それにこのような理不尽等、女尊男卑を掲げる連中から言われる理不尽に比べればどうと言う事はない。それに社会に出ればこのような事は幾らでもある。
(しかし『デュエル・ストラトス』の時だけはどうにかなってもらいたい物だ……もし女性権利団体が問題を起こしても見ろ。とんでもない事が起こりそうで怖いぞ……)
一方、朝食を食べ終えてのんびりしている千冬は溜息を付いていた。正直な所、千冬は女性権利団体を快く思っていない。しかし、IS学園の教師と言う立場上、強く物を言う事が出来ないでいる。
彼女が想定するとんでもない事。それは純一がIS学園を離れる事。既に『私立鳳凰学院』に転校する可能性が高いと教職員の間では話が出ている。もしそうなれば世間はおろか、世界中からIS学園に物凄いバッシングが来る未来が見えている。
既に純一がIS業界に進む気が毛頭ない事を知っている。それを女性権利団体が知ればとんでもない事になる。IS学園が割れるか、大混乱に陥るかもしれない。頼むから何も起きないで欲しい。そう願うしかない。
「それで? 相変わらず新聞読んでいるんだ……」
「あぁ。ここ数日色々あったからな……まとめ読みって奴だ」
「日曜日か……いや~この前のデュエル凄かったな~アニメを観ているみたいだったよ! 台本のないガチンコデュエル凄かったな!」
「ありがとう。やったこっちも楽しかったからね~」
「凄かったな~至る所で話題になっている。純一も有名人だな!」
昨日のクラス移籍の話を終えた純一達。彼らは土曜日に行われたエキシビジョンデュエルの話題で盛り上がる。
彼らもニュースやSNSをチェックしており、純一の大活躍を嬉しく思っていた。小学生の頃からの親友が歴史に名前を残す程の大役を果たしたのだ。喜ばない訳には行かない。
「でもな~これで何か起きそうな予感がするんだよ。何か一夏の気持ちが分かる気がするよ」
「そうだよな~確か文化祭の時に女尊男卑を掲げる権利団体が襲撃してきたもんな……」
「しかも純一を狙いに来たと言う……ピンポイント過ぎて驚いたぞ? ラウラが来ていなかったら今頃どうなっていたのか……」
一夏と箒が言っているのは文化祭の時の話。この時、女尊男卑の権利団体に雇われたIS部隊が純一を襲撃すると言う事件が起きた。
純一が一人でいる所をIS部隊が襲撃してきた。純一は専用機として受領していた『打鉄』を展開して応戦するも、自分より格上相手に多勢に無勢で追い詰められた時、ラウラが駆け付けて純一はその場から離脱する事が出来た。
その後は教員部隊と専用機持ちで瞬く間に制圧し、IS部隊を捕縛した。身元を調査した時、女尊男卑の権利団体に雇われた事が分かり、学園側も警備を強化すると共にナターシャを教師として迎え入れる等、防衛戦力の強化と見直しを行うようになった。
「あの時僕は分かった。男性IS操縦者を狙う組織や団体が多いって事を。一夏を狙わないのは織斑先生が後ろ盾だから。でも僕は違う。只の一般人だ。だから狙われたんだ」
「純一……ごめんな。俺がお前を守れるくらい強くなくて」
「一夏は何も悪くないよ。悪いのは女尊男卑を掲げる女共だ。まぁこの学園にいる女子生徒としょっちゅうトラブル起こす僕も悪いんだけどね」
「いや純一は悪くない。あれは正直私も怒りたくなる」
純一の見た目は優等生風な優男。一見学園内でのトラブルとは無縁そうに見えるが、実はかなりトラブルに巻き込まれている回数が多い。本人が不幸・不運体質である事も相まっているのだが。それを目撃している女子生徒も多く、大半が純一の味方をしている。
そのトラブルの大半は女尊男卑を掲げる女子生徒とのいざこざ。理不尽な要求や言いがかりに理路整然と反論すると、必ず相手が逆切れを起こして殴りかかってしまう。それに反撃して相手を逆に傷付けてしまう。正当防衛と言えど、女性に手を上げてしまうのは良くない。それは分かっていてもどうしようもない。
その後指導室に呼ばれて事情説明を受け、注意を受けてそこで終わりになる。ところが、そういった事を何度も積み重ねていく内に女尊男卑の権利団体のメンバーの耳に入り、今回の襲撃事件を引き起こしてしまった。
「どちらにしてもIS学園の警備には穴があるってのも分かったし、IS学園にいるからと言って安心安全って訳でもないってのも分かった。女尊男卑の思想に染まっているク〇共を排除しないと、この先もっと大変な事になるぞ? ただでさえ『デュエル・ストラトス』が今日から始まろうとしているんだ。『カードターミナル』さんから来たインストラクターさんの顔に泥を塗ってみろ。この黒田純一、『カードターミナル』さんに合わせる顔がない」
「そうだよな……あいつら尋問の時に言っていたよ。純一の事を“男性操縦者がISを扱えるメカニズムを探る為の道具”って。怒りたくなるのを必死で抑えたよ」
「酷い話だ……このまま何事もなければ良いのだが」
純一、一夏、箒の3人は溜息を付きながらこれからのIS学園生活に思いを馳せるが、この時彼らはまだ知らなかった。
これから始まる『デュエル・ストラトス』で女尊男卑の権利団体が再びやらかす事を。予想もしないような大事件が起きる事も。そして純一が重大な決断を迫られる事も。
ーーーーー
1年5組の教室。1時間目の授業が始まろうとしているのにも関わらず、女子生徒達はソワソワしていた。と言うのも、この日は転入生が来る事になっているからだ。
1時間目の授業はLHR。転入生の紹介をしつつ、注文していたデュエルディスクや『遊戯王』の商品を配る事になっている。
彼女達はその転入生が誰なのか知っている。このクラスの“チューナー”であり、1組から来る男子生徒。そして現在このIS学園にいる最強のデュエリストであり、別格とも言える『遊戯王』プレーヤー。黒田純一。
「はい、1時間目の授業を始めるわ。……とその前に、今日からこのクラスに転入生? う~ん……何と言えば良いのか分からないけど、とにかく皆が知っている人がこのクラスにやってきたわ。じゃあ来てもらおうかしら? どうぞ!」
『ワアアアァァァァァァーーーーーーーーーーーーー!!!!!』
「1年5組の皆さん、初めまして。1組から移籍してきた黒田純一です。今日から『遊戯王』の授業が始まると言う事で、講師の方と皆さんの調整役としてこれから励んでいきます。そして私がこれまで積み重ねてきた知識や経験を皆さんにお伝えしつつ、一緒に『遊戯王』を楽しんでいきたいです」
5組の担任はナターシャ・ファイルス。鮮やかで艶やかな長い金髪に左耳に認識票を思わせるイヤリングを付けた、スタイルの良い女性。
アメリカ空軍所属でISのテスト操縦者だった。本来ならば『
しかし、試験無人機となった『
今回ナターシャがIS学園で教師をしているのは、文化祭で純一が女尊男卑を掲げる権利団体が雇ったIS部隊に襲撃された事件を受け、学園の防衛強化も兼ねてやってきた。専用機は制式仕様の有人機となった『
ナターシャが合図を送ると、教室のドアが開いて一人の男子生徒が入って来た。その姿に女子生徒達は歓喜の声を上げた。
眼鏡をかけた優等生風な優男。黒田純一は歓声に苦笑いを浮かべつつも、教壇に立って目の前にいる女子生徒達に挨拶する。
「皆さんとこれから『遊戯王』の勉強をしながら一緒にデュエルする事になりますが、性別や実力関係なく楽しくデュエルしていきたいです。それに行事でクラスだったり、個人対抗戦があると思いますが、私から一つ聞かせて下さい。私と一緒にてっぺん取る覚悟はありますか? このクラスでてっぺん取りたいですか?」
『……』
「OK。不安や心配はさせません。私に任せて下さい。私が皆さんにてっぺん取らせます。だから……一緒にてっぺん取りに行くぞ!!」
『キャアアアァァァァァァーーーーーーーーーーーー!!!!!』
渾身のイケボと共に繰り出した宣言。このクラスで一丸となって学年の、引いてはIS学園の頂点にのし上がる。純一の野望を面白いと感じたのか、女子生徒達は歓声を上げながらノリ良くついて来ようとしている。
クラスを一致団結させながら溶け込もうとする純一の目論見はそれなりに上手くいったようだ。ナターシャも純一のビッグマウスに驚きつつも、面白そうに笑っている。
「ナターシャ先生、すみません!」
「いえいえ。これくらいどうと言う事はないわ。むしろ皆の前でてっぺん取るって宣言するのが凄いわ本当……では2時間目から『遊戯王』の授業が始まるから、皆が注文した物を渡すわね。名前を呼ぶから各自取りに来て。純一君、ナタリアさん。手伝ってくれる?」
「分かりました」
「はい!」
ナターシャと副担任のスコールが持っているのは、クラスの全員分のデュエルディスクや『ストラクチャーデッキ』等の商品。そして教科書。
これらを各自配っていく。手伝うのは純一だけではない。長い金髪をポニーテールにした碧眼の少女―ナタリア・スアレス・ナバーロの4人。注文書を確認しながら、女子生徒が注文したデュエルディスクと『ストラクチャーデッキ』等の商品を渡していく。
「皆受け取った? 次の時間から使うから失くさないでね?」
「先生! 時間余っていますがどうしますか?」
「では……純一君から『遊戯王』の話を聞こうかしら。始めた経緯とか、好きなカードとか」
全員に配り終えたが、時間はまだ何十分も残っている。残った時間は新しくクラスに加わった純一が話をする事に決まった。
お題は『遊戯王』の話。始めた経緯からどんな経験を積んできたか。好きなカードは何なのか。そういった事をクラスの皆に話す。
「はい。え~改めて自己紹介をさせて下さい。黒田純一です。これから『遊戯王』プレーヤーとしての自己紹介をします。先ず始めた切っ掛けなんですが、僕の家の近くにカードショップがあって、そこは書店と一緒になっている所なんです。そこで買い物をした時、ちょうど置いてあった『ストラクチャーデッキ』……僕の原点と言える『青眼龍轟臨』を3箱買ってもらって始めました。この前のエキシビジョンデュエルで使った【青眼】デッキは、『遊戯王』を始めた頃の思い出が詰まっている、僕にとっての魂のデッキと言えます」
純一が『遊戯王』を始めた切っ掛け。それは6年前の冬、カードショップで『ストラクチャーデッキ-青眼龍轟臨-』を購入してもらった事。本人曰く、“このデッキを手に取った時、ビビッと来た”との事。
3箱購入してデッキを作った後、カードショップにいては子供や大人達とデュエルしてはデッキを改造してまたデュエルして、の繰り返しだった。
「大会に出たのは【HERO】のストラクが出て、それを改造している時……だったと思います確か。店員さんから大会に出てみなよ!って誘われて出る事にしました。当日は物凄く緊張しましたが、やっている間に緊張が解けて、気が付いたら物凄く楽しんでいました。結果は3戦全勝で準決勝に進みましたが、そこで同じデッキの人にボコボコにされて負けました。はい……格が違いましたね」
「えっ? 初めての大会で勝てたの?」
「そうですね……カードショップで色んな人と対戦したり、ネットの動画を観て勉強しながらデッキを改造していたので、使い方を把握していた事が大きかったです。後は大会でどういうデッキが使われているか・どういうカードが対策になるのかといった、メタを張っていた事も理由の一つだったと思います。あ、このメタを張るって言うのは1ヶ月後に行われる学年別クラスデュエルトーナメントで詳しく話します」
「成る程。つまり傾向と対策を掴んでいたのね?」
「その通りです。テストだったり、入試だったり、どういう問題が出るのか・どういう勉強をすれば良いのかを考えさせられる事があるとは思いますが、僕は『遊戯王』を通じて学ばせて頂きました」
純一にとって初めての大会。普段行っているカードショップで開催されている小さな大会に、『ストラクチャーデッキ-HERO's STRIKE-』を3箱買って改造したデッキで挑んだ。その結果は準決勝敗退だったが、初めての大会で勝利する事が出来た。
初戦と2戦目は2-1で、3戦目は2-0で勝利した純一。しかし、準決勝では格の違いを見せつけられ、0-2で敗北した。ちなみに純一に勝った人が優勝した。
これで大会に出る事に耐性が付いたのか、純一は色々なカードショップで行われている大会に出るようになった。
「当時は『ストラクチャーデッキ』を3箱買って強化していくスタイルだったので、パックを買う事は大会に出る為の条件以外ではそんなに無かったです。自分が使っているデッキの強化カードが来た時は例外でしたが……そんなこんなであんまりカードを買わず、デッキも同じ物を使い続けていましたが、とあるカードと出会った事が僕の運命を大きく変えました」
「そのカードとは?」
「先日のデュエルでIS環境に引っ掛かって使う事が出来なかったカードなんですが、こちら《|青眼の亜白龍《ブルーアイズ・オルタナティブ・ホワイト・ドラゴン》》と言うカードです。このカードは原作漫画の新作映画、『遊☆戯☆王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONS』の前売り券特典カードとして初登場して、今でもけっこう良いお値段するのですが、僕はこれを3枚確保する事が出来ました。このカードを初めて見た時、本当にかっこ良いと感じたのですが、それ以上に効果が強くて、また【青眼】デッキ使おうと思いました。その後に出た『シャイニング・ビクトリーズ』と言うパックで【青眼】が強化されると言う知らせを聞いて、ひたすら買いまくりました。どれくらい買ったかな?……5箱は買ったと思います」
純一が見せたのは専用機に名前を付ける程、心から愛しているモンスターカード。《|青眼の亜白龍《ブルーアイズ・オルタナティブ・ホワイト・ドラゴン》》。
このカードとの出会いが純一を変えた。今までファンデッキ止まりだった【青眼】デッキを環境デッキにのし上げたこのカードは、純一に大会に出始めた頃の楽しさをもう1度教える事となった。
「強化した【青眼】デッキで僕は再び大会に優勝出来ましたし、大会に出ては連戦連勝で本当に良い思いをしていました。でもその後に強いテーマが台頭して大会で勝てなくなるのが『遊戯王』では当たり前です。仮に強いテーマが君臨していても、3ヶ月毎に来る制限改訂で主要カードが禁止になったり、制限になったりで環境から都落ちするのも当たり前なんです。【真竜】と言うテーマを使っていた時にけっこう感じました。この制限改訂と言うシステムもまた後日に話をします。以上ですかね?」
「ありがとう。ここで質問タイムにするわ。純一君に質問したい人は挙手して」
「……けっこういますね」
純一が自分が『遊戯王』を始めた切っ掛けや大会に出た時の事、思い出のカードの事を話し終えると、ナターシャが純一への質問タイムを設けた。
一斉に挙手をした女子生徒達。それを見た純一は苦笑いを浮かべる。即興の話だった為、本当だったらもう少し話したかった事もあった。しかし、それは後で随時話していけば良い。そう思って割り切る事にした。
「ナタリアさんからどうぞ」
「はい! 純一君ようこそ! 1年5組へ! 私はクラス代表でスペインの代表候補生のナタリア・スアレス・ナバーロです! 質問なんですが、純一君がアニメのキャラとデュエル出来ると言われたら誰とデュエルしたいですか?」
「歓迎ありがとうございます、ナタリアさん。う~ん……難しい質問ですね。皆さん素晴らしい方々ばかりなので一人に絞り切れませんが、強いて言うならやっぱり遊戯さんとデュエルしたいですね。個人的に原点にして頂点のデュエリストだと思っているので、一度対戦して何処まで喰らい付けるかを試してみたいです」
「ありがとうございます!」
「続いては……比奈さん」
「はい! 白井比奈と言います! 純一さんはエキシビジョンデュエルで【青眼】デッキを使っていましたが、一番お気に入りのデッキは【青眼】デッキですか?」
「そうですね……使っていて楽しいですし、大会優勝回数も多い上に愛着があるので【青眼】デッキはお気に入りの1つです。ただ初めて大会で勝てて、優勝経験もある【HERO】デッキも大切なデッキです」
身長は小柄だが、長髪で活発な雰囲気を放っている白井比奈。彼女の質問に答える純一は一つ一つの質問に丁寧に答える。
これが純一の人柄を表しており、クラスの中では少しずつ純一が“真面目で誠実な人柄”だと認識し始めている。
「次は誰が……四十院さんどうぞ」
「四十院神楽と言います。純一さんに質問があります。今回の『デュエル・ストラトス』が始まった事で何が一番変わりましたか?」
「何が一番変わったか……先ず世間の反応ですかね。今までは“世界で2番目のIS操縦者”として扱われていましたが、今では一夏君より注目が集まって、本当に有名人扱いになりました。それによって責任感が生まれましたし、5組に来る前、1組にいた時から“僕が皆を引っ張るんだ!”と言う気持ちが生まれていました。それはやっぱり自分が経験者で、知識もあるからと言う理由もあるとは思いますが……後は立ち位置でしょうか。今までは自分がISの技術や知識を教わる側でしたが、今度は自分が皆に『遊戯王』の事を教わりながら教える側になった事が大きいかなと思います。もしかしたら他にもあるかと思いますが、今の所回答出来るのはここまでになります」
「はい! ではそろそろ時間になるからここまでにするわ。皆、新しく来た仲間を大切にしながら一緒に過ごしていきましょう!」
『はい!』
気が付いたら授業が終了5分前の時間となっていた。5組は温和で優しいナターシャの下、明るい性格のナタリアを中心にまとまっている。
自分に親しそうに質問してくるクラスメートを見て、どうやらこのクラスで上手くやっていけそうと言う確信を得たのだろう。純一は笑顔を見せていた。
ーーーーー
休み時間。自己紹介兼経験談を語った純一は、5組の女子生徒達に囲まれていた。この後2時間目の授業は『遊戯王』の初回であり、皆は楽しみにしている。
やはり純一が魅せたエキシビジョンデュエルが大きかったようだ。もしかしたら自分達も出来るのではないか。いや絶対出来る筈。何故なら自分達はISを動かせる人間であり、倍率が物凄く高い入学試験を突破してここにいるのだから。
「純一君。先程は貴重なお話をありがとうございました! 私は『デュエルリンクス』をやっているのでカードはある程度分かりますが、『OCG』は初めてになるので分かる人がいると心強いです」
「確か……初期ライフが4000で最初の手札が4枚だったよね?」
「はい! それと先攻ドローなしでモンスターゾーンと魔法・罠ゾーンがそれぞれ3枚までしか使えなくてメインフェイズ2がない、本当に『遊戯王』の入門みたいな感じでしょうか」
「僕はリンクスをやった事ないから分からないけどけっこう違うんだね……ナタリアさんは何のデッキ使っているの?」
「【ライトロード】を使っています」
「良いテーマじゃん!」
ナタリアは『デュエルリンクス』で『遊戯王』に触れていて、今は【ライトロード】デッキを使用している。
【ライトロード】は主に墓地を肥やしながら戦っていくテーマであり、初心者から復帰勢まで幅広く使う事が出来る。何より使いやすく、やる事が分かりやすいのが長所。拡張性も高く、改造のし甲斐があるのも良い。
「はい! はい! 『デュエルリンクス』は私もしてるです!」
「比奈さんも!?」
「私はドラゴンさんデッキを使っているです! ドラゴンさんが大好き過ぎなんです!」
「そうなんだ……やっぱりエキシビジョンデュエルを観たから?」
「はい! 純一さんの《ブルーアイズ》さんがとてもふつくしくて、私もドラゴンさんを使ってデュエルしたい!と思いました!」
「そっか。僕なんかのデュエルでそこまで思ってくれたのは嬉しいな」
1組ののほほんさんこと本音のように、元気一杯に話し掛けてくれる比奈に釣られたのか、純一もニコニコと微笑みながら話が出来ている。
自分のデュエルが同じ学年の女子生徒の心を揺さぶった。それだけでエキシビジョンデュエルに出た意味があったと実感出来た。
「比奈さんもナタリアさんと同じで『OCG』は初めて?」
「いえ、実はルールはある程度分かっています。兄と遊びでやっていたのでデッキは強くないですが幾つかあります。ドラゴンさんデッキしかありませんが……」
「いやいや。あるのとないのとでは大違いだよ。自分の好きなデッキで楽しみながら対戦する。それもまた『遊戯王』の楽しみ方の一つだ。放課後にデッキを見せてくれるかな? アドバイスがてら、新しくIS学園に出来た『カードターミナル』に行きたいと考えているんだけどどうかな?」
「はい! 私は大歓迎です! 楽しみです! もっとドラゴンさんドラゴンさん出来るのが!」
兎のようにピョンピョンと跳ねながら喜ぶ比奈。彼女を見て苦笑いを浮かべるナタリア達と、キョトンとしている純一。
純一は知らない。白井比奈と言う人間の事を。それに気付いた神楽が純一の所に近付いてこっそり教えた。
「比奈さんは普段は落ち着いていて賢い子なんだけど、どうもドラゴンの事になるとキャラが変わるみたい。オタクっ気があるのかも」
「随分と面白い人もいるもんだな……でも嫌いじゃないな。もし機会があれば対戦したい」
「純一君は既にデッキを用意してあるの?」
「あぁ。IS環境用の新しいデッキを、そして以前大会で何度も対戦した事のある元環境デッキを用意してある。何、何れ分かるさ。何れね(さてここからどうしていくか……先ずはクラスの皆の顔と名前を覚えつつ、プレイングやデッキの作り方を教えて強くさせて行こう。幾ら僕が強くても、他が強くなければ意味が無い。先ずはそこからだ)」
含みのある笑いを神楽に見せると、純一は思考の海に沈んだ。自分のやるべき事を整理する。先ずはクラスのメンバーを覚える事。それから主要行事に出場するクラスメートにデッキの作り方やプレイング、個人に合ったデッキを紹介する事。他にも色々あるが、考えただけでもかなりある。
幾ら自分が強くても、周りがそうでなければ意味が無い。強いだけが取り柄のデュエリストではなく、強い+aが自分の目指すデュエリスト像。そのように純一は考えている。その+aを模索している最中だ。
(にしても1ヶ月後か……IS学園の授業の事を考えると、そう時間がある訳でもない。ましてや僕は他にもやる事がある。これは前よりハードになったなぁ……)
純一は険しい表情をしつつ、『遊戯王OCG』の教科書に目を落とした。その名前の通り、IS学園はISに関する授業や訓練が大部分を占めている。それに通常科目があり、『遊戯王』が加わるとなると、全員で勉強できる時間があまり確保出来ないのが実情となる。
純一の場合、進学補習を受けており、そこに『遊戯王』の“チューナー”としての仕事が加わるとなると、かなりハードな毎日を送る事となる。その状況でデッキ調整の時間を捻出するとなると、かなりタイトなスケジュールとなる。
(それに学校行事がある所、常に何かのトラブルがある。IS委員会がこれを見逃す筈がない……何とかしないとIS学園どころか、今の社会でとんでもない事が起きる)
純一が恐れているのは自分の敵と言える女尊男卑を掲げる権利団体、そしてそれらの後ろ盾となっているIS委員会が横槍を入れてこないかと言う事。
例えば観戦チケットを高額で売り付けて利益を得たり、八百長試合をさせたり、自分のような気に入らない相手の試合を無効にしたり。
もしそうなった場合、世間や社会から批判が殺到してIS学園がとんでもない事になる。自分はまだ良いかもしれない。けど問題なのはIS業界で働きたいと決めて真面目に頑張っている人達の努力が踏み躙られる事。
地頭の良い純一は分かっていた。もしIS委員会や女尊男卑を掲げる権利団体の介入があった場合、IS学園はおろか社会全体で動乱が起きる事を。
ここまで呼んで下さり、大変ありがとうございます。
今回も後書きとして裏話・裏設定を書いていこうと思います。
・チューナーとは?
予備校や学習塾のチューターと同じような物です。講師のお手伝いをしたり、生徒と講師の中継役になる等、それなりの知識や経験が求められます。普通は授業を行う事はありませんが、5組の場合は純一君も授業に参加します。
・IS委員会と女権団体の介入
あるかないかと聞かれたら、今の所は答えられません。しかし、女尊男卑思想を掲げる女子生徒によって行事中にトラブルが起きる描写は記そうと思います。
女子生徒の中にはカードゲームを授業でやる事に対して不満を持ったり、中にはやる気がない人もいるので。
・純一君のキャラ
設定集に記したとおり、普段は物静かで真面目なんですけど、熱い物を心に秘めています。自己紹介の時はインパクト勝負と言う事もあって強めに出ました。
・純一君の『遊戯王』歴
かなり現実に即して記しました。現実離れはそこまでしていない、一人の『遊戯王』プレーヤーとしてありそうな設定にしました。
・これからの小説の展開
第2章でざっくりとしたルールやカードの説明をし、第3章で学年別クラス対抗戦を記します。果たしてどのクラスが優勝するのか?
クラスの情勢や他のクラスの様子も随時記していきますので暫しお待ちを。
次回は魔法カードの種類や説明の回となります。
次回をお楽しみに! LAST ALLIANCEでした!
p.s.皆さん。よろしければ感想・高評価・お気に入り登録の方よろしくお願いします。
あたたかい感想や前向きなコメント、アドバイスやモチベーションが上がるような応援メッセージや高評価もよろしくお願いします。