遊戯王IS〈インフィニット・ストラトス〉 作:LAST ALLIANCE
第一回目はモンスターの種類。通常モンスターと効果モンスター。
この小説を読んでいる皆さんは『遊戯王』知っているかは分かりませんが、なるべく理解出来るように頑張っていきます。
前回投稿した日のUAが物凄い事になりましたが、日頃のご愛顧や感謝を込めてUAが5,000を達成したら特別編を記そうと思います。
そこでアンケートをご用意しますので、もし小説を読んだらご協力頂けると嬉しいです。
ちなみに7月の制限改訂ですが、全然ダメージはなかったです。
それより何故ドラグーンを禁止にしなかったのかが分かりません。
「皆さん。初めまして! 今日から『遊戯王OCG』の授業を担当します、今村俊介と言います! 私は『遊戯王』を始めたのが皆さんと同じくらいの歳だったので、初心に帰って楽しく分かりやすく教えていきたいです」
1年5組の2時間目の授業。『遊戯王OCG』の第一回目。担任のナターシャも教室の後ろで授業を受けている。どうやら教員も受けるように言われたのだろう。
5組の担当は今村俊介。年齢は25歳くらい。『カードターミナル』の新人3年目。仕事も出来て人柄も良く、IS学園に派遣された講師組の中で最年少。
「このクラスの“チューナー”は黒田純一君ですが、彼とは『カードターミナル』に入社してからの付き合いなので、こうして彼がいるクラスに来れたのも何かの縁だと思います。皆さん、私の説明が至らない時が多々あるかと思いますが、その時は純一君に聞いて下さい。私も気を付けますが、彼に伝えてもらえるとこちらもやりやすいです」
“チューナー”と言う役職は講師と生徒達の調整役。主な仕事は生徒達の勉強をサポートする事。『遊戯王』と言うカードゲームはルールを覚えたり、デッキを構築するのに正解と言う物が存在しない。分からない事で悩む生徒の為に“チューナー”と言う役職を持つ人間がサポートする仕組みとなっている。ちなみにクラスや学年関係なく。
とは言っても講師のように授業を行う訳ではなく、あくまで講師と生徒の補助を行う事がメインの仕事である。授業の補助を行うが、あくまで補助止まりだ。
「では授業に入っていきます。先ず『遊戯王』を知っている人、若しくは今やっている人、『デュエルリンクス』してるって人どれくらいいますか? 手を挙げて下さい。……ありがとうございます。大体3分の1ですかね。残り3分の2が知らないと。OKです。では知らない皆さん目線で説明をしていきます」
「先ず『遊戯王』と言うカードゲームは大きく分けて、3種類のカードがあります。メインで戦うモンスターカード。展開の補助を行う魔法カード。相手の妨害を行う罠カード。この3種類のカードを使うカードゲームです。デッキは40枚~60枚までです。なので39枚や61枚では駄目です。デッキの枚数きちんと数えて下さいね? そして相手のライフポイントを先に0にした方が勝ちます。最初のライフポイントは8000です。今回はモンスターカードに重点を置きながら説明します」
教壇の上に立っているのは眼鏡をかけた短髪の青年。教科書とカードを手にしながら、初心者の人向けの説明を行っている。
純一は『遊戯王OCG』のルールやカードの種類はフリー対戦の中で学んでいた為、大体は知っている。ターンの進め方も同じだ。それでもしっかり話を聞いている。
一度学んだ内容を聞いている為、この授業は復習にしかならない。しかし、勉強において復習はとても大切な事だ。何しろ、純一は去年の春から今年の秋にかけて『遊戯王OCG』から離れていた。理由は高校受験とIS学園での日々。自分が知らない間にルールや裁定が変わるのは日常茶飯事。だからこそしっかり聞いている。
「先ず皆さんがご覧になっている3枚のカードがありますね? 《エルフの剣士》、《暗黒騎士ガイア》、《ブラック・マジシャン・ガール》です。先ずカードの一番上に黒く印字されている文字がありますね? これがモンスターの名前です。その隣に“地”とか“闇”と書いてあるのが見えるでしょうか? これはモンスターの属性です。特定の属性をサポートするカードがあったり、ある特定の属性を持つモンスターを素材にして召喚するモンスターもいるので必ず覚えて下さい。テキストの上に種族が書いてありますが、こちらも大事になるので覚えて下さい」
生徒達が見ているのは3枚のモンスターカード。《エルフの剣士》。《暗黒騎士ガイア》。《ブラック・マジシャン・ガール》。全て武藤遊戯が使用したカード。その絶妙なチョイスに純一は苦笑いを浮かべる。
「先生、質問があります! 属性は全部で幾つありますか?」
「おっ、早速質問をしてくるなんて中々素晴らしいです! では純一先生、質問にお答え下さい」
「私ですか!? はい、お答えします。属性は地、水、炎、風、闇、光の6種類に分かれます。中には神と言う属性を持つモンスターがいますが、大抵はこの6種類に分類されます」
「ありがとうございます! 皆さん、分からない事があれば遠慮なく質問して下さい! 純一先生が答えてくれますよ~?」
「無茶ぶりは止めて下さいね……」
5組の『遊戯王』の授業。新人の俊介を純一が支えるスタイルになっているが、実質的に俊介が純一に無茶ぶりをしている為、純一が振り回される事になっている。
しかし、今の所女子生徒達には好評である為、暫くはこのスタイルを維持していこうと俊介は考えている。
「次にモンスターの名前の下に幾つか星マークがありますが、これはモンスターの“レベル”になります。この3枚のカードで言うと、《エルフの剣士》がレベル4、《暗黒騎士ガイア》がレベル7、《ブラック・マジシャン・ガール》はレベル6になります。レベル4までのモンスターは手札から普通に召喚出来ますが、レベル5以上になるとアドバンス召喚と言う召喚方法を使わないとフィールドに出せません。アドバンス召喚は自分フィールドのモンスターを墓地に送って、手札から召喚するやり方です。フィールドのモンスターを墓地に送るのは“リリース”と言います。レベル5・6は1体、レベル7以降は2体リリースしなければいけません。なので今皆さんが見ているカードの中だと、《暗黒騎士ガイア》は2体リリースしないとフィールドに出せないモンスターで、《ブラック・マジシャン・ガール》は1体リリースしないとフィールドに出せない事になります」
「これは少し余談になりますが、中には神のカードのように自分フィールドのモンスターを3体リリースしないとフィールドに出せないモンスターもいます。そういう場合は、モンスターのイラストの下に書いてある文字……テキストって言うんですけど、このテキストに召喚条件として書いてあります。有名なのは【三幻神】と言うカードです。《オシリスの天空竜》、《オベリスクの巨神兵》、《ラーの翼神竜》の3枚です。もし皆さんにお見せする機会があれば、お見せしたいです。はい……」
「次に移ります。テキストの下に“ATK”と“DEF”が書いてありますが、これは“攻撃力”と“守備力”になります。そしてこれがちょっと大事になるんですが、《ブラック・マジシャン・ガール》だけカードの色が違うのが分かりますか? 《ブラック・マジシャン・ガール》のカードの色がオレンジっぽい色になっています。これは“効果モンスター”と言って、魔法カードのような特別な効果を発揮する事が出来ます。今の『遊戯王』ではこの効果モンスターが活躍しています」
「では《エルフの剣士》や《暗黒騎士ガイア》は何なのかと言うと、“通常モンスター”と言います。特別な効果は持たないけど、攻撃力と守備力が効果モンスターに比べて高めに設定されています。黄色いモンスターカードです。中には墓地にいる時みたいに、特定の条件や状況で通常モンスター扱いになる効果モンスターもいます。それは後々授業で説明していきます。通常モンスターは何の効果もない、プレーンな状態なので“バニラ”と呼ばれる事があります。他のカードゲームでも同じように呼ばれているので、別に『遊戯王』に限った話じゃありません。今カードの色がバニラっぽいからそう呼ばれているんじゃないかと思った人、正直に手を挙げて。はい。正直でよろしい。実は僕も同じ事を思ってた時がありました!」
純一が苦笑いを浮かべながら自分の失敗談を話すと、クラスは笑いの雰囲気に包まれて至る所で笑い声を挙げる生徒がいた。
やはり授業になると堅苦しい雰囲気になってしまう為、真面目の中に笑いを仕込む事で受け手を飽きさせない工夫を凝らしている。
「モンスターカードの説明はここまでにして、次はモンスターの表示形式について説明します。先ず表側で縦向きにしてあるのが攻撃表示。横向きにしているのが守備表示となります。例えばお互いのフィールドに《エルフの剣士》と《暗黒騎士ガイア》がいるとします。自分が《暗黒騎士ガイア》を攻撃表示で召喚したと仮定します。そして相手フィールドの《エルフの剣士》に攻撃宣言をしました。攻撃表示同士のモンスターのバトルになります。この場合、どちらが勝ちますか? では今度は生徒さんに振ってみましょうか……え~と、村松朱里さん!」
「はい。《暗黒騎士ガイア》の攻撃力が2300で、《エルフの剣士》の攻撃力が1400なので……《暗黒騎士ガイア》が勝ちます」
「正解です! バトルの結果は《暗黒騎士ガイア》の勝利で、負けた《エルフの剣士》は戦闘破壊されて墓地に行きます。そして《エルフの剣士》を召喚したプレーヤーが戦闘ダメージ……今回だったら2300から1400引いた数字の900ポイントのダメージを受けます。最初は8000ライフポイントがありますが、そこから900引いたら7200になります。では《エルフの剣士》が守備表示だった場合どうなるかと言うと、守備力が1200なので当然戦闘破壊されますが、プレーヤーは戦闘ダメージは受けません。ではこの逆パターンはどうなるか。守備力2100の《暗黒騎士ガイア》に、攻撃力1400の《エルフの剣士》で攻撃したらどうなると思いますか? お答え下さい、ナターシャ先生!」
「わ、私ですか!? え~と……今までの説明から察すると、先ず《エルフの剣士》は戦闘破壊されません。ただ差分の戦闘ダメージは受けると思います」
「おお~! 凄い! 大正解です! 攻撃力が低いモンスターが守備力の低いモンスターを攻撃すると、攻撃力が低いモンスターは戦闘破壊されません。ただ攻撃力と守備力の差分の戦闘ダメージ、謂わば反射ダメージを受ける事となります。私の授業は誰に来るか予測不能なので、真面目に受けて下さいね?」
純一がクラス一丸となって実力を挙げつつ、頂点を取ると宣言した以上、それに応えるべく俊介も説明は分かりやすくしながら、純一に説明や無茶ぶりをさせたり、担任のナターシャに振る等、とにかく楽しみながら覚えさせるスタンスを取っている。
そのおかげか、生徒達は真剣に授業を聞いている。大半は純一の説明を聞きたいが為なのかもしれないが。
「ちなみに相手フィールドにモンスターがいない時に攻撃する事も出来ます。これはダイレクトアタックと言います。この場合は攻撃したモンスターの攻撃力分の戦闘ダメージを受ける事となります。なので如何に自分フィールドにモンスターを維持させるか・より強力なモンスターでフィールドを制圧出来るかが重要になります。おっと、チャイムが鳴ったので今日はここまでにします。次の授業では魔法カードと罠カードの説明をしますので、予習をお願いします。もちろん復習もお願いしますが、分からない事があれば純一君に聞いて下さい。後は授業の要望があればまぁ、常識の範囲内であれば極力応えるようにします。何分教師みたいな仕事をするのは初めてなので、まだ不慣れな所がありますが……」
「俊介先生、ありがとうございました! また次回もよろしくお願いします!」
この授業の後、俊介はこのように語っていた。“大勢の女子生徒の前で授業するなんて拷問に近い仕事で正直しんどかったです。でも純一君がいた事と、皆真面目に聞いていた事もあって思っていたよりもやりやすかったです。純一の宣言通り、このクラスがてっぺん取れるように私も全力でサポートします”との事。
『カードターミナル』のインストラクター、今村俊介。彼を講師に迎え、純一と言う最強にして唯一無二の切り札を迎え入れた1年5組。純一の宣言の下、IS学園における最強クラスの称号を手にするべく、その一歩を刻み始めた。
ーーーーー
「ここが新しく出来たカードショップですか……」
「『カードターミナル』は品揃えが良く、カードも良心的な値段で手に入る。正にカードゲームの宝箱って所だ。入ろう」
『はい!』
その日の放課後。純一達はIS学園の中に新設されたカードショップに足を運んだ。『カードターミナル』IS学園店。そこは学生割引が適用されるだけでなく、店員達で作ったオリジナルデッキが良心的な価格で販売されている。
純一はナタリア、比奈、神楽の3人と共にカードショップに入店した。出迎えたのは今村俊介。純一のいる5組を受け持っている講師だ。
「いらっしゃいませ!……って純一君か! おめでとう! 君がこの『カードターミナル』IS学園店のお客様第1号だ。さぁお嬢様方も一緒に写真を」
何と純一が『カードターミナル』IS学園店のお客さん第1号だった。それを記念してスタッフの皆と写真を撮った後、俊介は純一に要件を尋ねる。
今回純一が来店したのはカードを買う事以上に、ナタリア達に安くて強いデッキの作り方を教える事が主な理由だ。
「そう言えば純一君はどうしてここに? ISの訓練は大丈夫?」
「今日は専属コーチの楯無さんが生徒会の仕事で来れないので、“『遊戯王』の勉強したり、皆に指導して良いよ”と言われました」
「成る程。それなら大丈夫だね……それで今回は何を教えるんだい?」
「安くデッキを作る方法を伝授しようかと」
「あ、それ良いね! 実は我々も学生さんに向けてデッキの作り方だったり、汎用カードの紹介をまとめた冊子を作ろうとしているんだ。是非純一君にお手伝いしてもらいたいけど良いかな?」
「私で良ければ喜んで。それと完成したら一冊下さい。何分ここ1年以上『遊戯王』から遠ざかっていたので、カードの知識の遅れを取り戻したくて」
「もちろん! おっと、君には君の仕事があるんだ。さぁ私に遠慮せずにやってくれ」
対戦コーナー。そこはデュエル用の長机とイスが設置されているデュエルスペース。そこで純一は持参したカードファイルを机の上に置き、ナタリア達の前で開く。
純一と反対側で座っているナタリアと比奈の表情は何処か強張っていた。目の前にいるのはIS学園の男子生徒ではない。歴戦の『遊戯王』プレーヤーだからだ。
神楽は全く動じずに楽しそうな笑みを浮かべる中、純一はナタリアと比奈に向けて安くて強いデッキの作り方を教え始める。
「はい。では安いデッキを作る方法をお二人に伝授するよ?一番はデッキを渡して使い方を教えれば良いんだけど、それだと自分の為にならないから今回はやり方を教えて自分で実行させる。自分でデッキを作っていく内に、カードの知識を深める事が出来るようになるからね」
「純一君は普段どんな感じでデッキを作っているの?」
「僕の場合? そうだね~新しいパックやストラクの情報を見て、これ作ろうと思った物を作っている。後はテーマに関連するカードを集める。それだけだ」
「まぁそんな物だよね~ちなみに安く作るコツって何かあるの?」
4人の中で経験者は純一と神楽の2人。神楽は純一に質問をしながら彼から有力な知識を引き出させ、純一は少しでも役に立つ情報を話している。
2人は先日のエキシビジョンデュエルの打ち上げで同席し、意気投合した仲。既に親友とも言える仲となっていた。
「先ずテーマを選ぶ所からだね。今回のように安くて強いデッキを作るとなると、今流行しているテーマや人気な物は避けた方が良い。昔のテーマや過去に環境入りしていたテーマが良いかな?」
「環境?」
「どんなカードが強いか、どんなカードが大会で使われているか等をまとめて指している言葉だ。大会で優勝したいなら環境を制しろと教えられた。それくらい大事なんだ。環境を把握する事は」
環境。それは“どんなカードがあるのか”、“大会ではどんなカードが使われているのか”、“どんなデッキが大会で大多数を占めているのか”等をまとめて指している言葉。
大会で勝ち抜く為には環境を把握し、その上でデッキ構築を行いながら対策をしなければならない。
環境は常に変化している。新しいカードが出たり、制限やルールや裁定が変わったり、新しいコンボやシナジーが見つかったり等。
「過去に環境入りした事があるって事は当時から相応の強さを持っているって事になる。幾らIS環境になったと言っても、結局物を言うのはデッキパワーとプレイングと運だ。それなら強いデッキを作り、使い方を体に染み込ませるくらい覚えればどうと言う事はない」
「昔のテーマって探すの大変ですし、それに昔環境入りしてたデッキを作ろうにも、それなりのお値段をするんじゃないですか?」
「ナタリアさんの言う通り。でもショップによってはテーマをまとめ売りしている所もあるし、フリマアプリだとテーマのまとめだけではなく、構築済みデッキや複数枚のセット出品も良心的なお値段でされているから、IS環境のルールさえ守れば良い感じのデッキを作れると思う」
「成る程~今の時代ってショップに行く以外に、オークションやフリマアプリとかありますよね~」
「はいはい! ところでどういうテーマが安く組めそうな感じですか? 純一さんから見て、このテーマはIS環境に来る!みたいに思える所とか……」
比奈の質問に純一は少しの間考え込む。実はまだ大会が開催されていない為、環境を予想しようにも誰がどんなデッキを使うのかがさっぱり分からないからだ。
予想なら何とでも言えるが、あまり無責任な事は言いたくない。純一は自分の中で考えをまとめると、ゆっくりと話し始める。
「正直こればかりは予測出来ない。僕のように経験者がいれば初心者もいるし、『デュエルリンクス』をやっている人もいるから、このテーマが来る!と言うのは分からない。ただ『ストラクチャーデッキ』で言うなら【マシンナーズ】かな? 安く組めそうなテーマか……こういう場合、やる事が単純な物が来るんだよね。一番はあれかな? 【スキドレビート】」
『【スキドレビート】?』
純一はカードファイルから《スキルドレイン》と《神獣王バルバロス》の2枚のカードを引き抜き、それらをテーブルの上に置きながら説明を始める。
ナタリアと比奈の目は不思議そうではあるものの、何処か楽しそうにも見える。気が付けば、カードショップに来店した女子生徒達もギャラリーとして集まって来ていた。
「《スキルドレイン》は1000ライフポイントを払うと発動出来る永続罠カードで、フィールドのモンスター効果を無効にする効果を持っているんだ。現代『遊戯王』は効果モンスターが主流だから、これをメインデッキに入れておくと、まぁ色んなデッキにぶっ刺さるんだよねこれが。効果聞くとデメリットに感じるかもしれないけど、あくまでフィールドで発動する効果を無効にするだけだから、手札や墓地で効果が発動するモンスターが主役のデッキに入れると、相手の動きを封じながら自分は展開出来るから相性は良いと言えば良いね」
「その……手札や墓地で効果が発動するモンスターが主役のデッキって何がありますか?」
「何があったかな? ……例えば、【暗黒界】とか【インティクイラ】、後は【竜星】とかかな? それと、《スキルドレイン》と相性が良いカードの代表例はこの《神獣王バルバロス》ってカードなんだよ。このカードはレベル8モンスターで、普通に出すなら自分フィールドのモンスターを2体リリースしないとフィールドに出せないんだ。これは今日の授業で教わったよね? 二人共OK?」
「はい! でもこれと《スキルドレイン》がどうして相性良いのですか?」
「このカードはリリースなしで通常召喚出来るんだ。だから自分フィールドのモンスターを2体リリースしなくても、普通にフィールドに出す事が出来る。ただ攻撃力が3000あったのが1900に落ちちゃうけど……それを《スキルドレイン》でモンスター効果を無効にさせると、攻撃力が元々の3000になるんだ。この高火力で殴って勝つデッキなんだ」
【スキドレビート】は《スキルドレイン》と言う永続罠カードを使い、相手の使う効果モンスターを無効化しつつ、有利に戦闘を進めるデッキ。
デメリットを負うものの、本来必要になるコストを軽減して行える妥協召喚モンスターを展開し、《スキルドレイン》でモンスター効果を無効にさせながら高火力モンスターによるビートダウンによる戦術がメインとなっている。
「おお~! 成る程! 《スキルドレイン》はモンスターのデメリット効果も無効に出来るんですね! 高火力のモンスターを展開して、相手のモンスター効果を無効にしながら攻撃して勝つ。単純で分かりやすいです!」
「ただ弱点はある。《王宮のお触れ》と言う永続罠カードがあるんだけど、このカードを発動されると《スキルドレイン》に限らず、フィールドの全ての罠カードの効果は無効化されてしまう。後は魔法・罠カードを破壊するカードにも弱い。永続罠カードを使っているデッキの宿命だけどね。後はモンスターを破壊する手段が戦闘破壊しか無いから、除去手段が少ない事かな? 戦闘破壊されないモンスターを出されたらけっこう詰むよ?」
「う~ん……そうなると別の手段で除去しないとですよね? 《スキルドレイン》をメインギミックに据えず、サブに据えるくらいの感じが良さそうですかね?」
「そうだね。だから《スキルドレイン》と相性は良いけど、使わなくても大丈夫なようにしておいた方が無難と言える。他にお勧めのテーマは【妖仙獣】かな? メインデッキの大半はノーマルカードで組めるし、パーツその物も安く組めるから。このテーマは鎌鼬を元ネタにしているだけあって、次々とモンスターを召喚して相手のカードを吹き飛ばし、ターンの終了時に手札に戻る。フィールドにモンスターが残らないから破壊されにくいけど、守りが手薄になるから魔法・罠カードで守らないといけなくなる。そこは構築のセンスとプレイングが物を言うだろうな……」
「今までの説明から考えると、やる事が単純でノーマルカードで出来るデッキが安上がりで出来るって事ね。他に何かコツってあるの?」
「コツか……そうだね。先ずレアカードが少ないテーマを選ぶ事。『遊戯王』に限らず、他のカードゲームでもそうだけど、高いカードって大抵レアカードが多いんだ。予算を抑える意味でも、レアカードの採用は抑えたいね。中には安いレアカードがあるけど、そこは市場価格を調べないと」
神楽の誘導質問に丁寧に答えていく純一。その言葉をメモ帳に書き留めていく女子生徒達。後で実践したり、クラスの皆に教えるつもりだろうか。
「それから再録情報を抑える事も大事だね。と言うのも安いカードって再録が多かったり、ここ最近再録されたカードの比率が高いんだ。再録されるカードが入るパックと言えば、アニメに登場するキャラがテーマになっている『デュエリストパック』や『デッキビルドパック』、『ストラクチャーデッキ』にも再録カードが入る。公式サイトや公式Twitterをまめにチェックした方が良いね」
「再録されるって事はそれだけ需要があるって事ですよね~昔高かったカードが安く手に入るって良い事ですし、他にはありますか?」
「他か……そうなるとエクストラデッキかな? エクストラデッキはメインデッキとはまた別のデッキで、融合・シンクロ・エクシーズ・リンクモンスターの特殊な召喚方法でフィールドに出すモンスター達を集めた物。15枚まで用意出来るけど、別にエクストラは無理やり用意する必要はない。メインデッキだけで使えるデッキは沢山あるから問題ない。ただエクストラデッキを使うデッキで言うと、最初は必要最低限で良い。最初は少なめにして、後から少しずつ足していく感じで良いかな? エクストラデッキのカードも比較的高いからね」
「と言う事は……“やる事が単純”で、“再録が多かったり、再録されたカードで作る”デッキが安上がりで済むって事?」
「そうなるね……まぁ実際にやるかどうかは人それぞれだから僕は何とも言えないけど、こういうテクニックを教えるのが僕の仕事だ。以上! 安いデッキを作る方法でした!」
純一が伝授した安くデッキを作る方法。それを聞いていた女子生徒達は一斉に散開し、ストレージコーナーでカードを見る等、早速行動を開始し始めた。
それに気付いた純一はあちゃ~と言う顔を浮かべた。5組のクラスメートを対象にした筈が、何時の間にかクラスや学年を越えてしまった。それでも全体のパワーアップに繋がれば良い。そう思って割り切る事にした。
ーーーーー
「ただいま戻りました~」
「お帰りなさい、純一君」
カードターミナルIS学園店で要件を済ませると、純一は寮部屋へと戻った。1組から5組に移籍するに辺り、寮部屋も変更となった。
ルームメイトは一夏から更識楯無に変わり、何気に初めての女子生徒との寮部屋になった為、毎日がドキドキとなっている。
更識楯無。IS学園2年生で生徒会長。現役のロシア代表操縦者。裏工作を実行する暗部に対する対暗部用暗部の“更識家”の当主。更識家当主が代々襲名する“楯無”を高校2年生の女子が務めている。これも女尊男卑の世の中ならではである。
楯無の本名は更識刀奈。彼女が純一の新しいルームメイトになったが、純一は彼女とはIS学園に入学した頃からの付き合いである。
楯無はISに関する知識や経験が圧倒的に乏しい純一の師匠となり、彼に色々な事を教えている。“更識さんのおかげで今の自分がいる”と純一が誇らしく語る程、楯無には本当に助けられている。
今回ルームメイトになった理由は文化祭での襲撃事件。いつまた何処で襲われるか分からない為、学園最強のIS操縦者の楯無が護衛役となった。純一は“人格に少々問題あるけど、それ以外は頼れるお姉さん”との事。
「かんちゃんから聞いたわよ? 今日移籍した5組で学園のてっぺん取る!って宣言したでしょ?」
「あれ? 4組に丸聞こえでしたか?」
「丸聞こえだったみたいよ? おかげで授業が一時中断したみたいだし……」
「知らなかった……明日謝ってきます」
「そう気にする事ないわよ。良いじゃない。てっぺん目指すって宣言するの……男気があって如何にも番長って感じがするから。もしかして純一君はIS学園の番長になりたいって事?」
「そんな訳ありませんよ。ただ僕がいる以上、クラスの皆に過剰なプレッシャーを与えたくないですし、デュエルを観戦しに来る方々が皆を批判しそうだったので、だったら僕が皆を引っ張って強くさせて行こうじゃないかって決意しただけです」
純一がこの日の1時間目にIS学園の最強を目指すと宣言した理由。それは新しく来た5組の皆を守る為。自分が来た事で女子生徒や教職員、観戦客が思うに違いない。
―――黒田純一を擁しているのだから最強に決まっている。
もし自分が勝っても、他で勝てなくては意味が無い。特にクラス対抗戦のような団体戦では。自分が勝って、他が負けたら自分以外のクラスメートが責められるかもしれない。それだけは避けたい。
だったら自分が中心になって皆を強くさせれば良い。皆が強くなって結果を残せば誰も文句を言えなくなる。そう考えた上で最強を目指すと宣言した。
「そっか……そこまで考えていたのね。何か私馬鹿らしい事考えていたわ……」
「何を考えていたんですか?」
「実は今度の学年別クラス対抗デュエルトーナメントの優勝賞品を考えていたのよ。織斑君と同部屋になる権利や交際する権利にしようかなと思っていたけど……」
「物凄くどうでも良くて草生えますよ。それに優勝したクラスに何もメリットがない事について」
「止めて! 草生やさないで!」
「……冗談ですよ」
あたふたしている楯無とニコニコと微笑んでいる純一。楯無はミステリアスで掴み所の無い性格をしており、強引かつマイペースな言動で容赦なく他者を振り回す時がある。
純一も最初はそうだったが、次第に傾向と対策が分かって来たのか、このようにカウンターを喰らわせる場面が次第に増えてきた。
「そう言えば放課後に5組の子達に安くデッキを作る方法を教えていたんですけど、けっこうギャラリーいましたね。『カードターミナル』の人達と一緒に実戦的なテキスト作ろうと言う話もしましたし……」
「それ良いわね! でも大丈夫? 純一君って進学補習もあるし、ISの訓練や勉強もあるし……」
「まぁその辺は上手くやりますよ。多少睡眠時間削ってでも仕事をします」
「純一君。人の事言えないけど働きすぎは良くないわよ? まだ社会人になっていないのに、ワーカーホリックになるのは止めてね? これでも私は更識家の当主を務めているから、心理学だったり、そういう勉強はしているのよ?」
「分かりました。その辺は相談しながらやっていきます」
一人っ子で兄弟姉妹がおらず、内心羨ましがっていた純一。彼の思いを汲み取り、まるで実の姉のように接している楯無。
その楯無には心を開きながら時には窘めたり、時に甘えたりしている。楯無の言葉に微笑みながら答えると、テキストとノートを開いて勉強机で自主学習を始めた。
ここまで呼んで下さり、大変ありがとうございます。
今回も後書きとして裏話・裏設定を書いていこうと思います。
・授業で取り扱う範囲
基礎から応用まで幅広く取り扱いですが、デュエルの内容をしっかりとした物にしたいです。それに小説と言う事もあって、『遊戯王』を知らない人でも理解出来るように複雑なコンボは極力使わないようにします。と言うより作者が書けない……
・通常モンスター=バニラ
時々専門用語が出ますが、きちんと説明していきます。なので普段「こういう言葉ってどういう意味で使っているんだろう?」と思っている方でも分かるようにします。
・何故担任の先生も授業受けているの?
これは現時点では答えられません。取り敢えず理事長からの指示と言う事で。
・安いデッキの作り方
・昔のテーマや光るカードが少ないテーマを選ぼう。
・戦術が比較的シンプルな物を選ぼう。
・エクストラを用意する時は先ずは必要最小限にして後々足していこう。
今回紹介した一例です。これを踏まえて色んな人がデッキを作る場面を記そうと思います。他にも良いやり方があれば教えてください。
・寮部屋の変更
ルームメイトは一夏君から楯無さんへと変更になりました。純一君の師匠で護衛役。文化祭での襲撃事件の様子も記したいと思います。時期が来たら。
次回は魔法・罠カードの種類と説明を行います。
そして各クラスの様子を出来るだけ記したいと思います。
原作だと一夏君とその周りを軸にしていますが、この小説ではなるべく全てのクラスに光を当てていきます。
次回をお楽しみに! LAST ALLIANCEでした!
皆さん。よろしければ感想・高評価・お気に入り登録の方よろしくお願いします。
あたたかい感想や前向きなコメント、アドバイスやモチベーションが上がるような応援メッセージや高評価もよろしくお願いします。