遊戯王IS〈インフィニット・ストラトス〉   作:LAST ALLIANCE

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今回は授業として、魔法・罠カードの説明と種類について説明していきます。
それと一緒に各クラスがどういう事をしているのかを簡単に記しました。
どうしても主人公がいるクラスにスポットがいきがちになるので、たまにこうして触れようと思います。

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まだまだ投票の方を受け付けているので、投票していない方はご協力の方をお願いします。


TURN09 魔法と罠の説明と種類 動き出す生徒達

「はい! 皆さんおはようございます! 今日は『遊戯王』の授業、2回目となります! 前回はモンスターカードとその種類について勉強しましたが、今回は魔法・罠カードとその種類について勉強したいと思います! 前回皆さんから受け取った要望を踏まえ、純一君と協力して“初心者向けの実戦テキスト”を作成する事になりました。完成したら報告します。皆さんのお役に立てればと思います。皆さん大丈夫ですか? 予習と復習はバッチリですか?」

 

『はい!』

 

「了解です。では授業を始めましょう! では教科書を開いて……」

 

 『遊戯王OCG』の授業の2回目。今回は魔法・罠カードとその種類をテーマに据えている。前回の授業の反響を踏まえ、実戦的な内容をまとめたテキストを作成する事となった。色んなデッキに使える汎用カードを紹介したり、デッキの作り方をまとめたり。

 時間やカリキュラムの都合上、どうしても講師が全員に教えられるのは基礎的な所に限定されてしまう。実戦的な話は実際に大会に出て優勝経験もある純一を交え、自学自習してもらう事となった。

 

「先ず魔法カードとは何なのかについて説明します。魔法カードは皆さんが見ているこの緑色のカードです。このカードの名前は《増援》と言います。この魔法カードは通常魔法と言います。名前の隣に“魔”と書いてあって、その下に黒い文字で“魔法カード”と書かれてあります。下に黒く小さい文字で効果が書かれています。テキストですね。では使い方を説明しますので、デュエルフィールドを展開します」

 

 講師の今村俊介がプレイマットを広げてデュエルフィールドを整えると、それが全員の目に写った。

 それを確認すると、純一が事前に用意していたデッキを取り出して教壇に移動する。俊介は横に移動しながら説明を続ける。

 

「通常魔法を使う時は魔法・罠ゾーンと書いてある場所で使います。魔法・罠ゾーンに魔法カードを置いて発動を宣言します。そしてテキストを読み、相手に自分がこれから何をするのかを伝えて下さい。伝えたら効果処理を行います。一連の処理が終わったら、使い終わった魔法カードは墓地と言う場所に置いて下さい。汎用カードの紹介は後にするとして……まぁ言葉で言っても分からないと思いますので、純一君に実演してもらいましょうか。ではお願いします」

 

「はい! では行きます。手札から魔法カード、《増援》を発動します」

 

 

《増援》

通常魔法(制限カード)

(1):デッキからレベル4以下の戦士族モンスター1体を手札に加える。

 

 

「先ず純一君は魔法カードを魔法・罠ゾーンに置いて発動を宣言しました。魔法・罠ゾーンが全部埋まっていると魔法カードは使えません」

 

「効果を発動します。デッキからレベル4以下の戦士族モンスター1体を手札に加えたいです」

 

「続いてテキストを読み、相手に自分がこれから何をするのかを伝えました。相手に確認したのはカードの発動に対して妨害してきたり、発動を無効にしてくる事があるからです。ちなみにデッキからカードを手札に加える行動を“サーチ”と言います。では通された設定で進めて下さい」

 

 サーチ。それはデッキに眠っている状態のカードを一定条件下で探す事。或いはカードをデッキからドローせずに選択して手札に加える事。

 ちなみにサーチ等の行為で自分のデッキを触ったら自分でデッキをシャッフルした後、相手にカットしてもらわないといけない。好きなカードをデッキトップに持ってくる等の不正行為を防ぐ為にも。

 

「私は……《聖騎士アルトリウス》を手札に加えます」

 

「これで一連の処理が終了となります。そうしたら使い終わった魔法カードを墓地に送って下さい。これが通常魔法の使い方となります。では次に魔法カードの種類の説明をしながら使い方を紹介します。次は装備魔法です。純一君。今手札に加えたモンスターを召喚して下さい」

 

「はい。手札から《聖騎士アルトリウス》を通常召喚します」

 

 

《聖騎士アルトリウス》

通常モンスター

レベル4/光属性/戦士族

ATK/1800 DEF/1800

聖騎士団に所属する聡明な青年騎士。

導かれるかの如く分け入った森の中、ついに運命にたどり着く。

そして青年は大きな一歩を踏み出すのだ。

――これは全ての始まりであり、大いなる叙事詩である。

 

 

「装備魔法はその名前の通り、モンスターに装備する魔法カードです。カードの右上の“魔法カード”の隣に太い十字架型のアイコンがあるのが特徴です。装備したモンスターの攻撃力・守備力を上昇させたり、特定の効果を与えたり、色々な効果があります。装備魔法は基本的に1体のモンスターに装備されます。ここで大事なのが発動条件です。“装備魔法を装備出来るモンスターがいる事“と、”装備魔法のテキストに記された条件を満たしているかと言う事“です」

 

「装備魔法を発動する時は装備するモンスターを指定して下さい。では純一君。実演をお願いします」

 

「はい。手札から装備魔法、《天命の聖剣》を発動します。このカードを《聖騎士アルトリウス》に装備します」

 

 

《天命の聖剣》

装備魔法

戦士族モンスターにのみ装備可能。

このカード名の(3)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):《天命の聖剣》は自分フィールドに1枚しか表側表示で存在できない。

(2):装備モンスターは1ターンに1度だけ戦闘・効果では破壊されない。

(3):フィールドの表側表示のこのカードが破壊され墓地へ送られた場合、自分フィールドの戦士族の《聖騎士》モンスター1体を対象として発動できる。

その自分の戦士族の《聖騎士》モンスターにこのカードを装備する。

 

 

「これで《聖騎士アルトリウス》は1ターンに1度だけ戦闘・効果破壊されなくなりました。装備魔法は通常魔法と違って発動しても墓地に送られません。発動したらフィールドに残り続けます。これは永続魔法も同じ事が言えますが、フィールドから離れて墓地に送られると、効果は適用されなくなります」

 

「先生! 質問です! 装備魔法や永続魔法はどうやったらフィールドから離れますか?」

 

「例えば魔法カードを破壊する効果を持つカードを使われた場合です。装備魔法の場合は装備したモンスターがフィールドから墓地に送られると、装備魔法も一緒に墓地に送られます。戦闘破壊されたり、効果破壊されたりした時とか。次は永続魔法を説明します。“魔法カード”の隣に∞のマークがあるのが特徴です。発動後もフィールドに残り続け、フィールドから離れるまで効果を発揮し続けます。ただ効果を発動する時に破壊されると、効果を使えないまま破壊された事になるのでご注意を」

 

「汎用カードだと、先ず装備魔法では、自分フィールドの表側表示モンスターの数だけ800ポイント攻撃力を上がる《団結の力》だったり、自分フィールドの魔法・罠カードの数だけ500ポイント攻撃力を上げる《魔導師の力》が有名です。《団結の力》はモンスターを大漁展開するデッキと、《魔導師の力》はモンスターの数が少なめで魔法・罠カードで戦うデッキと相性が良いです。どちらを採用するかはデッキと相談して決めましょう」

 

「永続魔法だとお互いの墓地へ送られるモンスターは墓地に行かず、ゲームから除外される《次元の裂け目》が有名でしょうか。現代『遊戯王』は墓地を使うデッキが大半なので、墓地を封じられると、かなり展開に苦しむ場合があります。ただ自分のモンスターも除外されるので、除外をメインギミックに使うデッキに入れるべきです。後は1ターンに1度自分のモンスターが戦闘・効果破壊されたら1枚ドロー出来る《補給部隊》が有名です。自分でモンスターを破壊して展開するデッキと相性が良いです」

 

 1年5組の大半が初心者デュエリストである為、汎用カードの紹介はとても有り難く思われている。その為、純一と俊介は適宜紹介するようにしている。

 紹介される度に必ずノートに記す程、全員が熱心に授業を聞いている。模範的なクラスと言えるだろう。

 

「次は速攻魔法の説明に入ります。”魔法カード“の隣に稲妻のようなマークがあるのが特徴です。速攻魔法は今まで紹介した魔法カードとは違い、相手のターンでも効果を発動出来る魔法カードです。罠カードに近い性質を持っています。基本的に魔法カードは自分のターンにしか発動出来ませんが、速攻魔法は条件を満たしていれば相手ターンにも使えます。ただ相手ターンに使うには魔法・罠ゾーンに裏向きにして置いてからになります。裏向きにして置く行為を”セット“と言います。カードをセットする時は”カードを〇枚セット“と宣言して下さい」

 

「相手ターンに速攻魔法を発動するタイミングの例として、相手がモンスターを召喚したり、魔法・罠カードをセットか発動しようとした時等が挙げられます。魔法カードはセットしたターンに発動する事は出来ますが、速攻魔法だけはセットしたターンに発動する事は出来ません。罠カードに近い性質と言う事もありますが……と言う訳で純一先生。汎用速攻魔法を教えて下さい!」

 

「速攻魔法で汎用カードと言われると、やっぱり《サイクロン》が一番有名ですね。フィールドの魔法・罠カードを1枚破壊するシンプルな効果ですが、相手が罠カードをセットしたターンの終了時に、あらかじめセットしてあった《サイクロン》を使うと、セットしたターンには使えない為、相手が伏せた罠カードを除去する事が出来ます。これが“エンドサイク”です」

 

「おお~! 他には何かありますか?」

 

「デッキに2枚しか入れられない準制限カードなんですけど、《超融合》が強いですね。手札を1枚捨てると、自分と相手フィールドのモンスターを融合素材にして融合召喚出来る超強いカードです。しかもこのカードの発動に対して魔法・罠・モンスターの効果は発動できないので、妨害される事もないので起死回生の一手や追撃にも使えます。ただどの融合モンスターを出すかは大会でどんなデッキが使われているか、どんなモンスターが入っているか、自分のデッキで融合召喚出来るモンスターは何なのか等を把握しないといけません」

 

「ありがとうございます! では次にフィールド魔法の説明に移ります。フィールド魔法はフィールドゾーンに置いて発動する魔法カードの事で、発動した後もフィールドゾーンに残ります。一度発動したフィールド魔法を墓地に送り、新しく発動したいフィールド魔法を発動する事も出来ます。これを“フィールド魔法の張替え”と言います。方位磁針のような細い十字型のアイコンが目印です」

 

「昔はお互いのフィールドに1枚ずつ発動出来なかったんですけど、何年か前のルール変更で自分のフィールドに1枚ずつ発動出来るようになりました。フィールド魔法の特徴はフィールドと言う名前の通り、自分や相手が効果を受けたり、効果を使える事です。汎用カードなんですが……意外と少ないんですよ」

 

「9期に入って頭がおかしいくらい強い効果持ちのフィールド魔法が増えましたけど……大体フィールド魔法ってテーマ専用だったりするんですよ……強いて言うなら《チキンレース》ですね。1000ライフポイントを払うと相手のライフポイントを1000回復させたり、デッキから1枚ドローが出来たり、カードを破壊する効果の3つから選べます。そして相手よりライフポイントが少ないプレイヤーが受ける全てのダメージは0になるのですが、ドローカードとして割り切って使って下さい」

 

 フィールド魔法で有名なカードと言えば、《竜の渓谷》や《ユニオン格納庫》、《ドラゴニックD》等が挙げられる。

 しかし、どんなデッキにも入るフィールド魔法と言えば、《チキンレース》や《幻魔境》ぐらいしかない。フィールド魔法を使いたいのならば、フィールド魔法を使う専用のデッキを構築しないといけない。

 

「最後は儀式魔法。これは儀式モンスターを儀式召喚する為に必要な魔法カードです。“魔法カード“の隣に炎を模ったアイコンをしています。詳しい説明は儀式召喚の時にまとめてします。では……まだまだ時間があるので罠カードの説明に移ります」

 

「はい。では罠カードの説明を始めます。紫色っぽい罠カードは魔法カードと同じで色々な効果を持っています。名前の横に“罠”と言うマークがあります。相手を妨害したり、自分の展開を優位に進めたり等。魔法との大きな違いは、相手ターンに効果を発動できる事です。ただ相手の出方に応じて発動する為、使いどころを見極めないといけません。少し使うのが難しいです。使い方は魔法・罠ゾーンにセットする事。セットした次のターンから、条件を満たせば使う事が出来ます」

 

「種類は3つあります。通常魔法と同じで使い切りの通常罠。永続魔法と同じアイコンを持っていますが、相手の行動や展開を妨害したり、じわじわと相手にダメージを与えるといった効果が多い永続罠。そして最後。これが魔法カードと大きく違います。相手が発動した効果を無効にしたりするカウンター罠。左向きの矢印っぽいアイコンが特徴です。名前の通り、相手の行動に対して発動しますけど、大抵発動するのにコストが必要になります」

 

「罠カードは魔法カードより種類も少ないですし、説明する事もそこまでないです。実際のデュエルで説明する事の方が多いですが。今日説明する分はここまでです。残り時間はデッキ制作やデッキ診断等の時間にしますので、分からない事があれば私や純一君に聞いて下さい」

 

 今回のテーマの説明が終わった為、後は自主学習の時間となった。この時間を利用してデッキを構築したり、構築したデッキを診断してもらう等、個人がスキルアップに当てる時間となる。

 講師の俊介が教室中を回りながら生徒達に話し掛ける中、純一はナタリアからデッキ診断を頼まれる事となった。

 

「純一君! この前教えてもらったコツを踏まえ、デッキを作ってみました!」

 

「おっ、早速作って来たんだ! 偉い! 何デッキかな?」

 

「【インティクイラ】デッキです!」

 

「【インティクイラ】デッキね……どれどれ」

 

 ナタリアからデッキを受け取り、丁寧に中身を見ていく純一。【インティクイラ】は『デュエルリンクス』に実装されており、『デュエルリンクス』をしているナタリアには作りやすいテーマの一つだったようだ。

 メインデッキとエクストラデッキを一通り見終えた後、純一は率直な感想と強化案をナタリアに提示していく。

 

「うん。だいぶ良い感じに出来ているね。デッキ作ったの初めてだよね? にしても凄く良く出来ているよ」

 

「ありがとうございます! 何かアドバイスがあればお願いします」

 

「そうだね……メインデッキは回してみてからの感想を聞いてからになるけど、エクストラデッキが《インティ》と《クイラ》しかないのが気になるな。レベル6とレベル8シンクロが出せるから、もう少し種類を増やしても良いと思う」

 

「どんなモンスターが良いのですか?」

 

「先ず《スキルドレイン》が搭載されているから、《スキルドレイン》と相性が良いモンスターを選ぼう。それに安く手に入る事を考えると……《スターダスト・ドラゴン》のように《スキルドレイン》の影響が及ばない墓地効果を持つモンスターや、《レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト》のように打点が高い上にモンスター効果が強いモンスターを選んだ方が良いかな? それとチューナーがいるから、リンクモンスターの《(クリストロン)水晶機巧-ハリファイバー》は入れても良いね。制限カードだから1枚しか入れられないけど、あるのとないのとでは大違いだ。一時期めっちゃ高かったけど、再録されたおかげで今では本当に安く手に入るようになったんだ。だからこの前再録情報は必ずチェックするように伝えたんだ」

 

「はい! 今日の昼休みにカードショップに行って探してきます!」

 

「ナタリアさんは勉強熱心で良いね。これから開催される学年別クラス対抗トーナメントは、代表候補生には出場義務がある。それまで僕も出来るだけ教えるようにするよ。なんたってこのクラスの柱だから、副代表兼参謀として貢献出来るように頑張るよ!」

 

「ありがとうございます!」

 

 純一がアドバイスしたのはエクストラデッキの充実。現状《太陽龍インティ》と《月影龍クイラ》しかない為、よりオールラウンドに動けるように他のシンクロモンスターやリンクモンスターの投入を推奨した。

 お調子者の様に明るくも物腰柔らかく、それでいて謙虚で礼儀正しいナタリアの人となりに純一は魅入られ、気が付いたら恋心のような物を抱いていた。

 

「純一さん! 次は私のデッキを見て下さい!」

 

「あいよ~!」

 

 次は白井比奈が純一にデッキ診断を依頼した。比奈の所に歩み寄り、彼女からデッキを受け取って1枚ずつカードを見ていく。

 普段の温和で優しい目をしているが、実際はデュエリスト・『遊戯王』プレーヤーの目であり、剃刀のような鋭さも併せ持っている。

 

「成る程ね。【巨神竜】デッキか。ストラク3箱で作ったまんまだね……」

 

「はい……取り敢えず作ってはみたものの、そこから先が思いつかなくて……」

 

「僕が作った時は【青眼】を混ぜたな~と言うかその方が安定してた。比較的だけど。エクストラは随時足すとして、先ずは【青眼】関連のカードを足してごらん。それだけでけっこう変わると思う。他にドラゴンのテーマで組めそうな物があったら、僕の方からお勧めするよ」

 

「は~い!」

 

 その日の授業は他にもデッキ構築のお手伝いや質問に答えたりして終わった。次の時間は効果モンスターの種類と紹介となる。まだ儀式・融合・シンクロ・エクシーズ・リンクモンスターには入らない為、今の内に予習するように伝えられた。

 純一の場合は授業の予習・復習以外にも、実戦テキストの編集もある為、『遊戯王』関連は大忙しとなっている。

 

ーーーーー

 

 さてここまで1年5組を中心に見てきたが、他のクラスの様子を見てみよう。先ずは1年1組。かつて純一が在籍していたクラスで、今は彼の親友の織斑一夏がクラス代表兼チューナーとして頑張っている。

 純一が1年5組に移った日の朝礼。千冬に許可を取り、一夏は教壇に立って皆に向けて自分の思いを伝えながら宣言した。

 

―――俺の親友で、皆にとって大切な仲間だった純一は他のクラスに移った。でも純一は俺達と共に過ごした大切な仲間だ。今、純一は新しいクラスで自分の知識や経験を伝えて馴染もうと頑張っている。俺達も純一に負けないように頑張ろう。一緒に目指そうぜ、てっぺんって奴を!

 

 一夏の宣言によってクラスは一つにまとまり、5組に勝るとも劣らない団結力を見せるようになった。1組で『遊戯王』の授業を担当している押村良樹もとても楽しく、やりやすそうに授業をしている。

 また、授業後に必ず質問してくる一夏には親切丁寧に教えたりしているが、この日の放課後は一夏にとって大事な作業を行っていた。

 それはデッキ構築。実は純一が【Kozmo】デッキを構築していた時、一夏は箒達に振り回されてそれどころではなかった。それに加えてISの授業や訓練に追われ、IS環境用のデッキを作る事が中々出来ないでいた。

 そして今回ようやく講師の良樹と共にデッキを作る事となり、どのようなデッキを作ろうか相談している所だ。

 

「織斑君はどんなデッキを作りたいんだい?」

 

「う~ん……IS環境で強くて、普通のフリー対戦でも強いデッキが良いです」

 

「成る程ね。そうなると……織斑君は復帰勢だし、それなりに動かし方がシンプルで強いテーマが良いね。【ライトロード】はどうかな?」

 

「【ライトロード】……ですか?」

 

「君のお姉さん、織斑先生がやっていた頃にあったテーマだったかな? 昔に比べて遥かに安く作れるし、ややこしいコンボもそんなにないね。モンスターを出しながら墓地を肥やして大きなモンスターを出す。そして攻撃して勝つ。シンプルでしょ? それに改造しがいがあるから、自分で好きなように出来る」

 

 【ライトロード】は2008年に登場したテーマで、《ライトロード》モンスターで墓地を肥やした後、《裁きの龍》を特殊召喚してフィニッシャーとする事が基本戦術。

 単体のカードパワーが高く、ギミックも柔軟性が高い為、他のテーマと混合させやすく、数多くの派生デッキが登場している。

 

「あ、そうそう。実は純一君と協力して汎用カードやデッキの構築について、実戦的なテキストを配る事にしたんだ。今は作っている最中だからもう少し待っていてくれ」

 

「純一が……やっぱり凄いなぁ」

 

「今村君から聞いたよ。講師の手伝いをしてくれるだけでなく、デッキ診断やデッキ構築の手伝いもしてくれると。それに5組に馴染んで、今ではクラス副代表兼参謀と言う重役を任されているって。しかも皆の前でてっぺん取るって宣言したから、クラス全体がまとまっている。一筋縄じゃ行かないね……」

 

 純一の現状を聞いた一夏は溜息を付くしか無かった。純一は自分が思っていた以上に上手くやれていた。クラスに溶け込んで重役を任せられ、『遊戯王』の授業では講師と共に授業を行い、自分の経験や知識を役立てている。

 一夏も上手くやれている。純一がいなくなった後のクラスをまとめ上げつつ、授業を真面目に受けながら研鑽に励んでいるからだ。その努力は皆が理解して認めている。

 1年生のクラスの中で1組と5組が抜きんでている。それは一夏と純一と言うカリスマがいるからかもしれない。

 

「織斑君。だからと言って自分を卑下する事はない。君は強い。間違いなく強い。必要以上に背伸びすることはないし、自分を信じて前に突き進めば良い。そうすれば必ず良い事が訪れるから」

 

「はい!」

 

「それに今はチャンスだ。純一君は仕事や勉強に追われてデッキ触れていないと言っているし、フリーデュエルの回数もそこまでこなせていない。今の内にデッキを完成させて回し方を覚えれば、ここぞと言う時に必ず役立つ。さぁ【ライトロード】デッキを作っていこう!」

 

「お願いします!」

 

 押村良樹。現在『カードターミナル』の本部で動画作成担当を務めているが、元々は敏腕店長として長年活躍してきた。教え方は分かりやすく、1組の女子生徒からは“まるでダンディーなおじさん”ことまダおと呼ばれている。

 一夏と一緒に【ライトロード】デッキを考えている姿は、単純に『遊戯王』が大好きな男性の姿をしていた。

 

ーーーーー

 

 1組のクラス代表で皆の憧れの象徴の一夏は、純一に追い付き追い越さんとばかりに奮闘しているが、1年2組の様子は一体どうなのかを見てみよう。

 放課後。『カードターミナル』IS学園店のデュエルスペース。そこではツインテールがトレードマークの少女―凰鈴音と、茶髪のショートヘアに黒縁眼鏡をかけたオタクっぽい見た目の少女―三沢リサがカードを触りながら話をしていた。

 

「どうでした? 新しいデッキは」

 

「えぇ。大体のパーツは揃ったわよ! ただ……思っていたより安く作れたのが意外だったわ」

 

「あはは。そのデッキは比較的安く作れますよ? レアカードがそんなにないので……」

 

「5000円以内で組めたのが驚きだったわ……」

 

 リサは鈴に付き合う形で『カードターミナル』IS学園店に来ていた。と言うのも、鈴が【戦華】デッキを構築したいと言い出し、そのサポート役として付き添いとしてやってきた。

 【戦華】デッキは鈴の出身国こと中国で有名な『三国志』をモチーフにしており、獣戦士族で統一された《戦華》モンスターを中心としたビートダウンデッキ。

 自軍の効果の発動をトリガーとしたり、敵軍の数を参照したりとフィールドを広く見る力が必要となる、中々テクニカルなデッキとも言える。

 

「おっ、鈴も来ていたのか」

 

「ラウラじゃない。どうしたの?」

 

「うむ。実はデッキ診断を受けて、それを踏まえてカードを買ってきた所だ」

 

「あたしはリサと一緒にデッキを作ろうとしていた所。そっちは何デッキを作ろうとしているの?」

 

「【列車】デッキだ。ただIS環境ルールに引っ掛かって使えないカードがあるから、どうしようか悩んでインストラクターの人に相談してきた」

 

「あ~成る程。《スペリオル・ドーラ》とかのエクシーズモンスターですね……」

 

 鈴とリサの所にやってきたのは1年3組のクラス代表・副代表コンビ。ラウラとシャルロットの2人。彼女達もデッキ構築・強化に必要なカードを買ってきたみたいだ。

 ラウラは3組の授業を受け持っているインストラクター、小林健次郎に【列車】デッキを診断してもらい、そのアドバイスを踏まえてカードショップに足を運んできた。

 

「それでどうするの? 【列車】デッキって基本エクシーズして戦うテーマでしょ?」

 

「小林先生がね、【マシンナーズ】と混ぜたらどうかってアドバイスしてくれたんだ。ストラクで強化されたし、相性が良いって」

 

「【マシンナーズ】? あたしのクラスでもストラク買っている人多かったな~人気なのかしら?」

 

「昔から人気ですしね……確かに【列車】と種族と属性が一緒ですから、サポートも受けられますし、ランク10エクシーズの何枚かが使用禁止になったこの学園なら勝ち上がれるかもしれないです」

 

「それで今さっきランク10エクシーズや【列車】のデッキパーツを買ってきた。【マシンナーズ】のストラクにも一部【列車】のデッキパーツが入っていたが……」

 

「ならあたし達も手伝うわ! こういう時は助け合いよ!」

 

「私も付き合います!」

 

 こうして鈴・リサ・シャル・ラウラの4人で【列車マシンナーズ】デッキを構築し始めた。その様子をカードショップにいたスタッフが優しく見守っていた。

 何れクラス・タッグ・個人でデュエルする時は来る。その時は当然敵となる。しかし、日常生活では共に同じ景色を見て過ごす仲間。そんな青春をスタッフ達は懐かしんでいた。

 

ーーーーー

 

 その頃。純一が一番警戒している更識簪が在籍している1年4組。上田詩織の寮部屋には3人の女子生徒が集まっていた。

 一人は上田詩織。眼鏡をかけ、黒髪を後ろでポニーテールにまとめたおとなしげな雰囲気を出している少女。もう一人は更識簪。セミロングの青い髪に癖毛が内側にハネていて、眼鏡の見た目をした外部ディスプレイをかけている。もう一人はクールな雰囲気を放つ少女。櫻井香澄。

 簪と香澄は詩織のデッキ作りに手伝っていたが、彼女が購入した『ストラクチャーデッキ』を見て何か思いついた。

 

「【魔導書】デッキ?」

 

「うん。このデッキにパーツが何枚か入っているし、前に比べて安く作れるようになったからどうかなって……」

 

「強いの?」

 

「まぁまぁ強いって感じかしら?」

 

「うん……2013年に出たパックに収録された《魔導書の審判》……今禁止カードだけど、あれは本当に頭おかしいレベルで強いって聞いた」

 

 詩織が購入したのは『ストラクチャーデッキR-ロード・オブ・マジシャン-』の3箱。その中身を見ていた簪と香澄は《魔導書士 バテル》、《グリモの魔導書》、《ヒュグロの魔導書》、《トーラの魔導書》を見てある事を考えた。

 

―――かつて環境デッキだった【魔導書】デッキを作らせてみよう。

 

 簪と香澄も考えていた。IS環境を制するのは昔環境で活躍したテーマで、デッキ・カードパワーが強いデッキである事を。

 それに加え、これから開催される学年別クラス対抗戦で一人でも多くの実力者を確保しておきたい。来るべき決戦に備えて。

 

「そもそも【魔導書】って何するテーマなの?」

 

「簡単に言うと、【魔導書】は《魔導》モンスターと、《魔導書》魔法カードで構成された魔法使い族のテーマで、《魔導書》魔法カードはサーチ・蘇生・除去等の色んな効果を持っている。《魔導書》魔法カードでデッキを回して、モンスターを展開して攻撃するのが基本戦術かしら?」

 

「実際に作ってみないと分からないね……純一や講師の人にも聞いてみよう。協力してくれるし」

 

 【魔導書】。かつて環境を席捲してきた【征竜】と激闘を繰り広げてきた元環境テーマデッキ。今では【征竜】が息していないと言っても良い時代に、《魔導書の審判》と言う頭のおかしい禁止カードが出てしまったが、《ルドラの魔導書》が代わりになっている。

 全盛期ほどではないが、今でも汎用性と改造しがいの高さがあるデッキの一つ。上田詩織と言う女子生徒。ダークホースとなりそうだ。

 




ここまで呼んで下さり、大変ありがとうございます。
後書きですが、今回は特に記す事がないので省略します。

次回は効果モンスターの種類について授業と言う形で触れつつ、学年別クラス対抗戦のメンバーを決める予定です。

次回をお楽しみに! LAST ALLIANCEでした!

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