遊戯王IS〈インフィニット・ストラトス〉   作:LAST ALLIANCE

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今回も授業形式で、効果モンスターの種類について取り上げていきます。
そして次章取り上げるクラス対抗戦に向けて下準備を行う様子も記しました。
授業形式も後2~3回くらいで最後にデュエルの進め方をしたら、一度皆さんにも解ける『遊戯王OCG』のテスト(難易度は低め~普通?)を用意します。
感想では答えを記さず、解いた感想を教えて頂ければ幸いです。

アンケートにご協力して頂いて本当にありがとうございます。
まだまだ投票の方を受け付けているので、投票していない方はご協力の方をお願いします。


TURN10 効果モンスターの種類 クラス対抗戦に向けて

「はい! 今日も『遊戯王』の授業を始めていきます。今回は効果モンスターの種類について取り扱います」

 

 1年5組。1時間目の授業は『遊戯王』の授業で、何時ものように講師の今村俊介が純一と共に『遊戯王』の事を皆に教えていくが、今回のテーマは“効果モンスターの種類”。

 この頃になると女子生徒達も『遊戯王』カードに触れる回数が多くなり、中には『遊戯王』にのめり込む人も増えてきている。

 

「一番最初の授業で効果モンスターを取り扱いましたが、実は効果モンスターにも様々な種類があります。今日はそれを勉強していきます。口頭で説明しても分かりにくいかと思いますので、例の如く皆でカードを見ながら勉強していきましょう。先ずはデュアルモンスター。こちらのカードを見て下さい」

 

 

《ダークストーム・ドラゴン》

デュアル・効果モンスター

レベル8/闇属性/ドラゴン族

ATK/2700 DEF/2500

(1):このカードはフィールド・墓地に存在する限り、通常モンスターとして扱う。

(2):フィールドの通常モンスター扱いのこのカードを通常召喚としてもう1度召喚できる。

その場合このカードは効果モンスター扱いとなり以下の効果を得る。

●1ターンに1度、自分フィールドの表側表示の魔法・罠カード1枚を墓地へ送って発動できる。フィールドの魔法・罠カードを全て破壊する。

 

 

「種族名の横に“デュアル”と記載されているのがデュアルモンスターです。デュアルモンスターの共通効果は“フィールド・墓地だと通常モンスター扱いになる”事です。手札とデッキでは効果モンスター扱いとなります」

 

「な、何だかややこしいですね……」

 

「慣れれば大丈夫だと思います。そしてデュアルモンスターの共通効果はもう一つあって、二回召喚する事が出来る事です。その時初めて効果モンスターとなり、モンスター効果を発動する事が出来ます」

 

「う~ん……それだと普通に効果モンスター使った方が良くないですか?」

 

「そうです! 折角の通常召喚権を使ってもう1度召喚するより、別のモンスターを召喚して展開した方が合理的です!」

 

 ナターシャや女子生徒の言葉は至極最もであり、クラスの大半の女子生徒達も同意するように頷いた。

 言いたい事が分かる純一も苦笑いを浮かべるが、折角のデュアルモンスターの利点を説明しない訳には行かない。ここで俊介から説明役をバトンタッチする事にした。

 

「確かに言う通りです。一理あります。ですがデュアルモンスターにも利点があります。それは墓地だと通常モンスター扱いとなる事です。例えばこの《竜の霊廟》と言う魔法カードと相性が良いです」

 

『《竜の霊廟》……?』

 

 

《竜の霊廟》

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):デッキからドラゴン族モンスター1体を墓地へ送る。

この効果で墓地へ送られたモンスターがドラゴン族の通常モンスターだった場合、さらにデッキからドラゴン族モンスター1体を墓地へ送る事ができる。

 

 

「簡単に言うと、デッキからドラゴン族モンスターを2体墓地に送れます。制限カードの《おろかな埋葬》は1体しか墓地に送れませんが、《竜の霊廟》は条件付きですけど2体墓地に送る事が出来ます。デッキからドラゴン族モンスターを1体墓地に送り、それが通常モンスターだった場合、追加でデッキからドラゴン族モンスター1体を墓地へ送る事が出来ます。なので今皆さんが見ている《ダークストーム・ドラゴン》を墓地に送った後、デッキから更に追加でドラゴン族モンスターを1体墓地に送る事が出来ます。例えば《アークブレイブドラゴン》を追加で墓地に送った場合、次のターンのスタンバイフェイズに、《アークブレイブドラゴン》のモンスター効果で《ダークストーム・ドラゴン》を墓地から特殊召喚する事が出来ます」

 

 

《アークブレイブドラゴン》

効果モンスター

レベル7/光属性/ドラゴン族

ATK/2400 DEF/2000

(1):このカードが墓地からの特殊召喚に成功した場合に発動できる。

相手フィールドの表側表示の魔法・罠カードを全て除外し、このカードの攻撃力・守備力は、この効果で除外したカードの数×200アップする。

(2):このカードが墓地へ送られた次のターンのスタンバイフェイズに、《アークブレイブドラゴン》以外の自分の墓地のレベル7・8のドラゴン族モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。

 

 

「これが《竜の霊廟》と《アークブレイブドラゴン》のコンボです。デッキにドラゴン族が入っていたり、デッキが【ドラゴン族】主体なら是非使ってみてください。他には先日のエキシビジョンデュエルで使用した《銀龍の轟砲》ですね。墓地の通常ドラゴン族モンスターを特殊召喚する効果の速攻魔法なのですが、これも相性が良いです。皆さんもデッキを構築する時、テーマだけで組むのではなく、種族や属性でどんなカードと相性が良いのかを考えると、より強いデッキが作れます」

 

「はい。デュアルモンスターの説明はここまでにして、次は“リバースモンスター”の説明に移ります。リバースモンスターはデュアルモンスターに比べてかなりシンプルです。では代表的なカード、《メタモルポッド》を例に取ってみましょう」

 

 

《メタモルポッド》

リバース・効果モンスター(制限カード)

レベル2/地属性/岩石族

ATK /700 DEF/ 600

(1):このカードがリバースした場合に発動する。お互いの手札を全て捨てる。

その後、お互いはデッキから5枚ドローする。

 

 

「裏側表示から表側表示になった時、リバースモンスターはモンスター効果を発揮します。反転召喚したり、相手モンスターが攻撃した時とか。後はカードの効果でリバースされた時も。リバースモンスターを主体にしたデッキは意外にそう多くありません。【シャドール】に【クローラー】、【サブテラー】ぐらいでしょうか」

 

「次は“スピリットモンスター”の説明に移ります。共通効果として召喚・特殊召喚されたターンのエンドフェイズに手札に戻ります」

 

『えっ!?』

 

 

《阿修羅》

スピリットモンスター

レベル4/光属性/天使族

ATK/1700 DEF/1200

このカードは特殊召喚できない。

召喚・リバースしたターンのエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。

このカードは相手フィールド上に存在する全てのモンスターに1回ずつ攻撃をする事ができる。

 

 

「使いづらくないですかそれ?」

 

「でも相手ターンにはフィールドにいないから、相手の除去効果を持つカードを腐らせやすく出来ます。その分守りは罠カードや手札誘発効果を持つカードで固めないといけません。正直使いにくいので、中級者くらいになってから使った方が良いと思います。では次に“トゥーンモンスター”の説明に入ります」

 

 

《トゥーン・デーモン》

トゥーンモンスター

レベル6/闇属性/悪魔族

ATK/2500 DEF/1200

このカードは通常召喚できない。

自分フィールド上に《トゥーン・ワールド》が存在する場合のみ特殊召喚できる(レベル5以上はリリースが必要)。

このカードは特殊召喚したターンには攻撃できない。

このカードは500ライフポイントを払わなければ攻撃宣言できない。

相手フィールド上にトゥーンモンスターが存在しない場合、このカードは相手プレイヤーに直接攻撃する事ができる。

存在する場合、トゥーンモンスターを攻撃対象に選択しなければならない。

フィールド上の《トゥーン・ワールド》が破壊された時、このカードを破壊する。

 

 

《トゥーン・サイバー・ドラゴン》

トゥーン・効果モンスター

レベル5/光属性/機械族

ATK/2100 DEF/1600

(1):相手フィールドにモンスターが存在し、自分フィールドにモンスターが存在しない場合、このカードは手札から特殊召喚できる。

(2):このカードは召喚・反転召喚・特殊召喚したターンには攻撃できない。

(3):自分フィールドに《トゥーン・ワールド》が存在し、相手フィールドにトゥーンモンスターが存在しない場合、このカードは直接攻撃できる。

 

 

「先生! どうして2枚のモンスターカードを出したんですか?」

 

「“トゥーンモンスター”は2種類あります。1つ目は《トゥーン・ワールド》が発動している状態でしか召喚出来ないタイプ。《トゥーン・ワールド》は1000ライフポイントを払って発動出来る永続魔法なんですが、効果は特にありません。発動条件だけしかテキストに記されていません。例としてはこちらの《トゥーン・デーモン》。2つ目は《トゥーン・ワールド》が発動していなくても召喚出来るタイプ。《トゥーン・サイバー・ドラゴン》みたく」

 

「何だか話だけ聞くと、《トゥーン・サイバー・ドラゴン》の方が強そうに聞こえるのですが」

 

「《トゥーン・サイバー・ドラゴン》の方が後に出て来ましたから……“トゥーンモンスター”の共通効果は2つあって、“召喚・反転召喚・特殊召喚したターンには攻撃できない”事です。『遊戯王』だと召喚したターンに直ぐに攻撃出来るのですが、《トゥーン》モンスターは1ターン待たないと攻撃する事が出来ません。これは少々デメリットになりますが、条件付きではあるものの直接攻撃が出来る事が大きな強みです。相手モンスターを無視して、相手プレーヤーに直接攻撃出来るのは大きいです。【トゥーン】デッキを使う人って実はそんなにいません。もし使いたいなら専用の構築が求められます」

 

「最後は“ユニオンモンスター”です。こちらのモンスターは【マシンナーズ】のストラクを買った人ならご存知のカードだと思います」

 

 

《マシンナーズ・ギアフレーム》

ユニオン・効果モンスター

レベル4/地属性/機械族

ATK/1800 DEF/0

(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。

デッキから《マシンナーズ・ギアフレーム》以外の《マシンナーズ》モンスター1体を手札に加える。

(2):1ターンに1度、以下の効果から1つを選択して発動できる。

●自分フィールドの機械族モンスター1体を対象とし、このカードを装備カード扱いとしてそのモンスターに装備する。

装備モンスターが戦闘・効果で破壊される場合、代わりにこのカードを破壊する。

●装備されているこのカードを特殊召喚する。

 

 

「“ユニオンモンスター”は装備魔法みたく、自分の他のモンスターに装備する事が出来ます。装備魔法と違う所は一度召喚してからでないと、装備する事が出来ません。召喚権を使う事がデメリットですが……はい。効果モンスターの種類は以上になります。ここはテストにも出るので、きちんと復習して下さいね?」

 

「次の時間からいよいよお待ちかね! 儀式・融合・シンクロ・エクシーズ・ペンデュラム・リンク召喚を教えていきます。それが終わったら実際のデュエルの進め方を教えます。引き続き予習復習の方をお願いします」

 

 ちなみに『遊戯王』の授業もテストがある。ただ内容自体はそこまで難しくない。ややこしい効果処理を回答する等のインストラクター向きではなく、本当にプレーヤーとして覚えるべき必要最低限の知識を問われる内容となるからだ。

 そして次回の授業の内容を聞かされた時、女子生徒の間から歓声が上がった。いよいよ多彩な召喚方法を教わる段階となったからだ。純一と俊介はお互いに苦笑いを浮かべていた。

 

ーーーーー

 

「さてここからは何時ものように自習時間に充てたいのですが、今回は再来週に行われる学年別クラス対抗戦とそのルールについて説明したいと思います。先ず学年別クラス対抗戦なのですが、その名の通りクラス対抗戦なのでクラスが一丸となって、クラスが一つのデッキを使うデュエリストとなって挑む大会となります」

 

『おお~!』

 

「出場登録するメンバーは4人で、試合に出るのは3人となります。残る1人は補欠みたいな感じでしょうか? 後は突然のアクシデント等で当日出れなくなった選手の代わり扱いになります。ルールなんですが、3対3の団体戦となります。先に2本先取したクラスの勝利となります。これは実際の『遊戯王』の大会と変わりません」

 

「えっ!? そうなんですか!? 純一君本当?」

 

「はい。アニメみたいに1回勝負じゃないんですよね……」

 

 アハハと笑っている純一。実は彼も大会に初出場するまで、デュエルは1回勝負と思い込んでいた。しかし、予習している時に3本勝負で2本先取と言う事を知って驚いた。ナタリアの質問を聞いて昔を思い出したのは言うまでもない。

 学年別クラス対抗戦は団体戦。『遊戯王』の大会でもある形式の一つで、現実でも調べればきちんと開催されている。ルールは公式大会に則り、3本中2本先取したチームの勝利となる。

 登録メンバーは4人となっているが、出場メンバーは3人。1人は不測の事態に備えての予備戦力だが、敢えて参謀を投入して作戦会議を行う事も可能だ。

 

「大会では公式のリミットレギュレーションとIS学園のリミットレギュレーションを採用します。なので公式大会での禁止・制限・準制限カードを確認しつつ、市場での平均価格が1000円以上するカードを入れないように気を付けて下さい」

 

「今村先生。市場価格が1000円以上するカードの禁止の件ですが、市場価格って毎日のように変動しています。昨日まで1000円しなかったカードが当日になって1000円以上に跳ね上がる事もありますし、その逆もまたあります。その場合ってどうしますか?」

 

「あ~良い事聞いてくるなぁ。流石純一君だ」

 

 純一の質問は大会出場者目線の内容。市場価格が1000円以上するカードは原則禁止となっているが、当日になって禁止に指定されたり、若しくは解除されたりする場合もある。

 そのような時はどのように対処するのか。カードを入れ替える事は可能なのか。その時間があるのか。盲点だった所に来た為、俊介は少し考えてから答える。

 

「その件は授業が終わってから講師の皆で相談して決めます。恐らくですが、試合がある日の1時間目の授業をデッキ調整の時間にするので、その時に市場価格を調べてデッキの中身を随時入れ替えてもらうかなと思います。決まったら直ぐに報告します」

 

「分かりました。ありがとうございます」

 

「そして今回は特別レギュレーションを設けました。『遊戯王』では1つのデッキに同じカードは3枚まで入れる事が出来ます。リミットレギュレーションで指定されている禁止・制限・準制限のカード以外は。ですが、今回は同名カードのデッキ投入を制限します。出場登録者の4人で1チームになると先程説明しましたが、同名カードは全てのデッキで合わせて3枚まで入れる事が出来ます。つまり皆さんは4種類のデッキを構築してもらう事になります」

 

 学年別クラス対抗戦の特別ルール。それは同名カードの投入制限。普通ならば1つのデッキに3枚まで同名カードを投入する事が出来るが、今回は1つのチームで同名カードを3枚まで使用出来ない縛りが課せられた。

 これによって、各チームは4種類の異なるテーマデッキの構築を義務付けられた。種族や属性は重ならない事が望ましい。

 

『ッ!?』

 

「先生! もう少し分かりやすく説明して下さい!」

 

「例えば私、純一君、ナタリアさん、ナターシャ先生の4人で1つのチームだと仮定します。私がデッキに速攻魔法の《サイクロン》を入れました。そうしたら他の3人は《サイクロン》を使えなくなります。デッキに1枚しか入れられない制限カードと、2枚しか入れられない準制限カードも同じ事が言えます」

 

「先程ユニオンモンスターで例として挙げた《マシンナーズ・ギアフレーム》は、地属性・機械族で召喚された時に《マシンナーズ》モンスターをサーチする効果を持っています。《ギアフレーム》は【マシンナーズ】デッキに必要不可欠なキーカードなので、チームの一人が《ギアフレーム》を選んだ時点で、他の人が【マシンナーズ】デッキを使う事が出来なくなります」

 

「成る程……分かりました。つまり今回のクラス対抗戦ではデュエルが強いだけじゃなく、デッキの構築力だったり、クラスの団結力が問われると言う事ですね?」

 

「その通りです。なので今回の団体戦では、デッキ構築の段階からデュエルが始まると言っても過言ではありません。そして後日学年別の優勝・準優勝クラスを含めて最強クラス決定戦を行います。その時には特別レギュレーションを撤廃して、自分が使いたいデッキを使うようにさせようと考えています」

 

 俊介の説明を聞いた女子生徒達は騒然となった。純一さえいればどうにかなる。そのように思い込んでいた。しかし、今回の特殊ルールでそのアドバンテージがあまり意味を成さない事となった。それでも戦力にしては心強いが。

 純一が来たからと言って、油断や慢心は出来ない。逆に純一と言う切り札をどのように運用していくかが求められる。クラス代表のナタリアと神楽は頭の中で考えていく。

 

「でも後で行われる最強クラス決定戦って……数足りなくないですか? 1年~3年で優勝・準優勝チームを数えても6チームです。後の2チームはどうするんですか?」

 

「最強クラス決定戦は教職員チームと我々インストラクターチームが加わります。では長くなりましたが、今から本題に入ります。学年別クラス対抗戦に登録するメンバーを決めようと思います。先程も説明しましたが、学年別クラス対抗戦の登録メンバーは4人。一試合に出場するのは3人。ちなみに出場義務があるのは代表候補生の人と“チューナー”を務める人。このクラスではナタリアさんと純一君になります。ナタリアさん。純一君。よろしくお願いします」

 

「はい! このクラスの代表として恥ずかしくないデュエルをします!」

 

「了解しました」

 

「では残る2人の登録メンバーを決めましょう。我こそはと思う人は遠慮なくどうぞ。別に出なかったと言っても、成績に影響する事はありませんのでご心配なく」

 

 学年別クラス対抗戦の登録メンバーは4人で、実際に出場するのは3人。その場その場で出場する選手を選抜する事が出来る。

 出場義務があるのは代表候補生のナタリアと“チューナー”を務める純一の2人。仮に“チューナー”でなくても、クラス副代表兼参謀を務める純一は自薦していただろう。

 クラス対抗戦で求められるのは実力の高さだけではない。チームの皆と協力してデッキを構築出来るかどうかと言う団結力やコミニュケーション力、どのデッキを構築するかを考えて決める決断力等々。

 かなり特殊なルールに女子生徒達から見れば団体戦ならではの醍醐味を味わえるが、純一と言う圧倒的なアドバンテージを活かせない事に不安を感じていた。

 

「今村先生。私をメンバーに入れて下さい。純一君には及びませんが、私も嗜んでいるので何かしら役に立てるかと」

 

「四十院さん。ありがとうございます」

 

 後頭部の髪を御団子に纏めた大和撫子―四十院神楽が名乗りを上げた。彼女は時折授業の進行を円滑にする為、的確に質問をしてくる事が多い。

 と言うのも、彼女自身は『遊戯王』プレーヤーであり、その実力は純一と匹敵しているか、互角に渡り合えるレベル。

 純一をサポートする為、クラスを頂点に立たせる為、今まで隠していた実力を披露する事を決めた。これで残り一人となった。

 

「実力に自信が無くても大丈夫です。2週間あれば一般生徒相手なら勝てるように僕の方で指導します。大事なのはやる気だけです。やるかやらないか。この大会は僕が5組に来て初めての大会。これから先、どのように見られるかは皆さんの頑張りにかかってます」

 

『……』

 

「無理に頑張るなとは言いません。皆さんは皆さんのペースで、皆さんのやり方で強くなれば良いです。不安や心配があれば僕が全部消し去って見せます。だからどうか今回は力を合わせて下さい。僕はこのクラスをてっぺんにすると言いました。その言葉と思いは本物です。それに嘘をつきたくありません」

 

 ナタリアと神楽以外の女子生徒達は不安だった。純一がいるこのクラスが優勝出来るかどうかではなく、自分達が純一に付いてこれるかどうかと言う事に。

 最初に『遊戯王』の授業を行うと言われた時は戸惑った。どうしてカードゲームをやらなきゃいけないのか。どうしてカードゲームの勉強をしなければいけないのか。自分達はISの勉強をしにこの学園に入学した。なのに一体どういう事なのか。

 しかしそのような不満もエキシビジョンデュエルを観た事で消えた。ルールは分からないし、カードの事もよく分からない。でもどうしてだろう。どうして胸が躍るのだろう。台本のないぶっつけ本番だったから、多くの人を魅了出来たのだろう。かどうやったら強力なモンスターを展開し、心躍るデュエルが出来るのだろう。

 そんなデュエルをこれから自分達がやる。果たして出来るのか。不安で仕方が無かったが、自分達のクラスに純一がやって来た。

 今まで純一の事は“世界で2番目のIS操縦者”で、“見た目と実績が地味”と言う印象しかなかった。何しろ“世界で最初のIS操縦者”の一夏の影に隠れていた為、中々実力を発揮出来ず、他のクラスにも認知されなかった。

 それが『遊戯王』の授業開始に伴って大きく名を上げる事となった。そしてどういう訳かこのクラスに移籍する事となった。一体どういう人物なのか。不安と心配があったが、純一はかなり良い人でクラスに溶け込もうと努力してきた。

 しかし、『遊戯王』の授業で講師の今村俊介を支えているのを見ると、やはり純一は自分達とは別格の存在だと突き付けられた。手を伸ばしても届かない。専用機持ちの代表候補生のように。近いのに遠くに感じる。

 だからこそ躊躇してしまう。自分達が純一と共に戦って良いのか。一緒にいて良いのか。1組にいた方が良かったのではないか。今でもそう考えてしまう。でも現実を受け入れなければならない。純一は1年5組に来た。そしてクラスに来て早々にクラス副代表兼参謀と言う重役を担っている。

 その純一が手を差し伸べている。自分のペースで良い。自分のやり方で良い。だから僕と一緒にてっぺんを取りに行こう。勝ち方やデッキの作り方は全部教える。その為にこのクラスにやってきた。自分の名誉の為じゃない。仲間の為に。

 

―――戦いたい。戦いたい。私も純一君のようにドラゴンを自由自在に召喚して勝ちに行きたい! デュエルを楽しみたい!

 

 純一の思いを知った白井比奈は内心考える。自分は『デュエルリンクス』でドラゴン族デッキを使って満足していた。勝ち負けに拘らず、自分の好きなデッキを作ってはデュエルして作ってはデュエルしてきた。それで満足していた。

 でも『OCG』の世界に入った事でその先の景色を見てみたくなった。全てはあのエキシビジョンデュエルが切っ掛けだった。純一が《ブルーアイズ》モンスターを使っているのを見て、自分もあのようなデュエルがしたいと心から強く願うようになった。

 ならばどうする。強くなるしかない。デュエルするしかない。勝ち取りたくば己で掴み取れ。願いを叶えたいのならば自分で動け。決心して純一の方を見据えると、比奈は立ち上がって名乗りを上げた。

 

「純一さん! 私もメンバーに加えて下さい!」

 

「比奈さん?」

 

「純一さんのデュエルを観て私は決めたんです! 純一さんみたいにドラゴンさんと戦うデュエリストになるって! 例え道のりがどんなに険しくても、私はドラゴンデュエリストになってみせる!」

 

 比奈の真っすぐな思いを受けた純一。彼の心は揺れ動いていた。自分のデュエルは世の中に一石を投じただけでなく、クラスの仲間の心をも動かした。

 今まで自分はISの勉強をやっても、訓練をやっても、何をやっても良い結果を残せなかった。やり方が悪いのか、才能がないのか、スキルがないのか。それは分からない。

 それでも。それでも。正しい努力を続けていれば必ず良い事が起きる。世の中と言う漠然とした何かを動かすより、近くにいる人の心を動かした事の方が大きい。

 純一は心から嬉しそうにニコリと笑うと、大きく頷きながら答えた。比奈が待ち望んでいた答えを。彼なりの感謝の言葉を。

 

「ありがとう、比奈さん。その思いを確かに受け取った。今村先生。この4人で1年5組はてっぺんを取ります」

 

「分かりました。では対戦を決める抽選会の日程が決まり次第直ぐに報告します」

 

 黒田純一。ナタリア・スアレス・ナバーロ。白井比奈。四十院神楽。1年5組で学年別クラス対抗戦に出場・登録するメンバーが決まった。

 経験者の純一と神楽がナタリアと比奈をサポートする形となる、バランスが丁度良い感じで取れたメンバー構成となっている。

 

ーーーーー

 

「これより学年別クラス対抗戦に向けて、デッキ構築会議を始めます!」

 

『イエ~イ!』

 

「え~司会進行はクラス副代表兼参謀の私、黒田純一が務めます。そもそも今回皆さんに集まってもらったのかを説明しますと、約2週間後に迫った学年別クラス対抗戦。先程ここにいる4人で登録を済ませました。そしたら誰がどのデッキを使うかを決めようと思います」

 

「補佐役は講師たる私、今村俊介が担当します。今回かなりルールが特殊なんですよね~チームで同名カードを3枚までしか使えないと言うルール。例えば普通のルールであれば、4人で同名カードを3枚フル投入するとなると、合計12枚必要になりますが、今回はそれが出来ません。なので誰がどのカードを使うかが勝敗に響いてくると思います」

 

「例えば《死者蘇生》のような制限カードは皆使いたいですよね? 強いですし、どんなデッキにも入れられるので。チーム戦になるので皆同じデッキは使えないと言う事で、誰がどんなデッキを使うのか、若しくは使いたいのかを決めようと思います!」

 

 学年別クラス対抗戦まで残り後2週間を切ったある日の放課後。純一、ナタリア、神楽、比奈、俊介の5人は担任の先生であるナターシャの部屋に集合していた。

 ナターシャも一緒に参加する中、彼らは学年別クラス対抗戦に備えて会議を行う。その議題は“学年別クラス対抗戦で使うデッキについて”である。

 1クラス4人の登録メンバーで、同名カードは3枚まで使用可能。これが学年別クラス対抗戦の特殊ルール。このルールに則り、4つのテーマデッキを作りながら制限・準制限カードの中で誰がどれを使うかを決めなくてはならない。

 今回ナターシャの部屋に全員集合したのは誰がどのデッキを使うか、誰が制限・準制限に指定されたカードを使うかを決める為。

 

「はい! 今から参謀モードに入ります。今回の大会はIS学園で行われる初めての『遊戯王』の大会になるので、正直どのデッキが主流になるかは全く分かりません。ただ初心者の人でも作れて、回せるデッキ……前説明した【スキドレビート】とかそういうデッキが来るんじゃないかと思います」

 

「講師の目線で話すなら、過去に環境入りしたテーマが主流になるかなと予測してます。例えば【クリフォート】だったり、【剛鬼】だったり……ただIS学園の中で言えば、経験者ってそう多くないんですよ。1年生の中でも大体2~3割くらいでしょうかね。クラスの中には初心者しかいないって所もありますし……そう考えると、エクストラデッキから大量展開するようなデッキはあんまり来ないんじゃないかな?と。せいぜい1体~2体が限度な気がします」

 

「エキシビジョン観ていて思ったんですけど、攻撃力のラインってやっぱり3000が基準になるのかな~と考えています。それと破壊耐性が付いているモンスターが1体場にいるだけで威圧感出せますし、そういう強力なモンスターを出せるデッキが強いんじゃないかな~と思います。エクストラデッキ使うかどうかはさておき」

 

「私はやっぱり相手の妨害と言いますか、行動を制限するデッキが強いと思います。特殊召喚を封じたり、エクストラデッキからモンスターを出せなくしたり……それだけでけっこう詰むデッキって多いじゃないですか。なので私が使うならそういうデッキにしようかな~と」

 

「フィールド魔法をサーチする《テラ・フォーミング》が制限カードなら……フィールド魔法を使うデッキは極力1つにするべきだと思うわ。使うとしても専用のサーチカードで補えるなら、そのテーマを使っても良いかもしれないけど……」

 

「私はドラゴンさん一筋です! ドラゴンさんは蘇生カードも多いですし、サポートも充実しています! ドラゴンさん最強!」

 

 制限・準制限カードのリストを見ながら考えを言い合う純一達。俊介は経験者の割合の問題から大量展開するデッキは使われないと、純一は初心者の人でも扱えるデッキが主流になると予測する。

 ナタリアは攻撃力3000以上で破壊耐性のあるモンスターを使うデッキが強いと推測し、神楽は恐らく使う人が少ないであろうメタビート・パーミッション系の使用を匂わせ、ナターシャはフィールド魔法を使うデッキは1つに絞る事を推奨する一方、ドラゴンデュエリストの比奈は平常運転だった。

 

「それじゃあ次は使いたいデッキを決めましょうか。ちなみに使いたいデッキ決まっている人いますか? 僕は決まっているんですけど」

 

「えっ!? 純一さん用意していたんですか!?」

 

「気になります!」

 

「【Kozmo】です」

 

『おお~~~!!!』

 

『【Kozmo】?』

 

 純一が学年別クラス対抗戦で使うのは【Kozmo】デッキ。束にお勧めされ、弾と共に作ったデッキがようやく力を発揮する事となった。

 俊介と神楽がどよめく中、ナタリア・ナターシャ・比奈の3人は首を傾げた。そもそも【Kozmo】デッキがどういうデッキなのかを知らないからだ。

 メインデッキだけで戦えるデッキで、安上がりで構築出来る。ややこしいコンボも特に必要なく、ややこしい裁定もあんまりない。しかも元環境デッキだからそれなりに強い。

 

「【Kozmo】ならエクストラデッキ使わないですし、メインデッキだけで事足ります。ただフィールド魔法使うので《テラ・フォーミング》が必要になりますけど」

 

「【Kozmo】はこのIS環境だと強いですし、何より純一さんが使うとなるととんでもない事になりそうです。それで私は先程相手の妨害だったり、行動を制限するデッキが強いのではないかと言ったので、そういうデッキを使おうと思います。考えた結果、【墓守】や【帝王】が良いと考えましたが、環境入りしていた経験がある【帝王】を今回使おうと思います」

 

「おお~! 純一君も四十院さんも環境入りしていた超強力なデッキを使うんですね! これは心強いです! さてナタリアさんと比奈さんはどうしますか?」

 

「私は『デュエルリンクス』で使い慣れている【インティクイラ】を使いたいです。もう少し時間があったら環境入りしていた強いデッキを作る時間が取れると思いますが、今は使い慣れているデッキを極めた方が良いと思いました」

 

 純一は【Kozmo】、神楽は【帝王】と言う過去に環境入りしていたデッキを使う事を決める一方、ナタリアは使い慣れているデッキを選んだ。

 残り2週間弱。ナタリアはスペインの代表候補生である為、授業の予習・復習やISの訓練に人一倍打ち込まなければならない。また。学生寮の門限もある為、長い間外には出られない。その残された時間を考えると、新しくデッキを作るより、使い慣れたデッキを強くさせた方が良い。そう考えた。

 

「比奈さんはどうしますか?」

 

「うむ……それがですね、ドラゴンさんデッキを使いたいだけで特に考えていなかったのです……」

 

「成る程……確か【巨神竜】デッキを持っていましたよね?」

 

「はい……後【聖刻】も作り始めました。完成度はまだ低いですけど……」

 

 比奈はドラゴン族デッキを使いたいと言ったものの、具体的にどのドラゴンを使いたいかまでは口にしていなかった。

 今現在構築しているデッキは【巨神竜】と【聖刻】。ところがまだ作り立てである為、完成度はあまり高くない。

 

「比奈さんはドラゴンデッキをどうしたいんですか? 強い奴を単体で出すのか、展開しながら盤面を整えていくか」

 

「う~ん……展開しながら強いドラゴンさんを出したいです」

 

「そうしたら【聖刻】ですね」

 

「使うデッキはこれで決まりですね。僕の方でナタリアさんのサポートをします」

 

「私の方で比奈さんの【聖刻】デッキを凄い物にしましょう」

 

 ナタリアは【インティクイラ】、比奈は【聖刻】を使う事となり、取り敢えず使用デッキは一通り決まった。ナタリアのサポートに純一、比奈のサポートに俊介が入る事も決まった。

 次に決めるのは制限・準制限カードを誰が使うかどうか。俊介はナタリアと比奈の2人に制限・準制限カードの詳細が書かれている資料を渡した。

 

「では次に制限カードと準制限カードを誰がどれを使うかを決めたいと思います。純一君と神楽さんは欲しいカードってありますか?」

 

「僕はフィールド魔法を使うので《テラ・フォーミング》、サイキック族がデッキに入るので《緊急テレポート》が欲しいです。それと出来れば《ハーピィの羽根箒》と《ダイナレスラー・パンクラトプス》は欲しいです」

 

「まぁ妥当と言いますか、無難な所ですね。神楽さんは?」

 

「《増援》と《ワン・フォー・ワン》は欲しいです。後は《虚無空間(ヴァニティー・スペース)》が欲しいです」

 

「【帝王】はアドバンス召喚が主体のテーマなので、《虚無空間(ヴァニティー・スペース)》と相性良いですからね……ナタリアさんと比奈さんなんですが、この中から使えそうなカードを選んでいきましょうか」

 

 純一と神楽の要望だけ聞くと、後はナタリアと比奈の為に使えそうなカードを選び始めた。もちろん全員でカードと効果を見ながら。

 選んだ制限カードをああでもない・こうでもないと言い合いながら選んでいき、選ばれなかったカードはお互いにサイドデッキに入れる事となり、一連の会議を終えた。

 




ここまで呼んで下さり、大変ありがとうございます。
今回も後書きとして裏話・裏設定を書いていこうと思います。

・デュアルモンスター

 何か不遇なんですよね……『ウォーリアーズ・ストライクR』が出ましたが、やっぱりデュアル=不遇のイメージが拭えない(汗)

・リバースモンスター

 何気にポッドシリーズって禁止・制限多いんですよね……初期に出ている効果モンスターって割とぶっ壊れが多いと言う……(汗)

・スピリットモンスター

 《八咫烏》と言う『遊戯王』の中でも屈指の凶悪、いやカードゲームの中でも中々極悪な効果を持っているモンスターがいるんですよ……いつかどれだけ凶悪なのかを解説出来れば良いな~

・トゥーンモンスター

 ペガサスさんが使っていたイメージがありますが、構築次第では中々化けそうな予感がします。ちなみに使う人はペガサスさんの物真似をしないといけないと言う……

・ユニオンモンスター

 【ABC】のイメージが強いです。4月の制限改訂でまたダメージを受けましたが、本当に制限改訂に振り回され続けていますね……(汗)

・クラス対抗戦の特殊ルール

 2017年に行われた『遊☆戯☆王リーグ』のルールを拝借しました。クラスの皆で一致団結する必要がありますが、設定集にあったとあるクラスは……?


次回は1年6組の話を中心にしていく予定です。
次回をお楽しみに! LAST ALLIANCEでした!

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