遊戯王IS〈インフィニット・ストラトス〉   作:LAST ALLIANCE

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相変わらず暑い日が続いていますね……そんな中での投稿となります。

次回以降のデュエルは純一君+aが解説していくスタイルにしていきます。
この話の次はデッキレシピを記し、番外編を記します。

※9/9 次回予告を変更しました。



TURN17 超光速の奇襲!!【Kozmo】VS【シムルグ】★

 学年別クラス対抗デュエルトーナメント初日。この日は各学年の1回戦の試合が行われている。開催されているのはIS学園に3つあるアリーナ全て。その中でも超満員のお客さんで賑わっているのが第2アリーナ。

 何故なら1年生の部の試合がそこで行われており、第1試合の1年5組と6組の対戦が要注目試合として取り上げられているからだ。

 今行われているのは1番手同士の対戦。黒田純一と徳川蘭。『デュエル・ストラトス』の広告塔で、大会優勝経験者で影響力と勢いのある人物の試合を見逃すなと言わんばかりに、第2アリーナは超満員のお客さんで賑わっている。

 

・1ターン目

 

 この試合の先攻は純一。1試合目の先攻・後攻は、デュエルディスクに搭載されているじゃんけん機能に勝利した側が決められる。2試合目以降は試合に負けた側が先攻・後攻を選ぶ権利が自動的に与えられる事となる。

彼が使用する【Kozmo】デッキは何度も対戦した経験がある因縁の相手。時には勝利し、時には敗れた過去のあるデッキの1つ。当然使い方を把握しており、零児とのデュエルでは元環境の力を見せ付けた。

 今回の【Kozmo】デッキは零児とのデュエル後、この大会に向けて調整した対大会用の構築となっている。9期で日本と海外の環境に君臨していた【Kozmo】の力が、ついにIS学園で発揮される瞬間がやってきた。

 

「僕の先攻! スタンバイフェイズ。メインフェイズ入ります」

 

「ど、どうぞ!」

 

「大丈夫!? 手が震えているけど大丈夫!?」

 

「大丈夫です!」

 

「OK……では行きましょう。《Kozmo-エメラルドポリス》を発動したいです。何かありますか?」

 

「無いです。発動OKです」

 

 純一が発動したフィールド魔法によって、第2アリーナの風景が瞬く間に近未来的な都市の風景に書き換えられていった。

 リアルソリッドビジョンシステムによって、都市の喧騒が聞こえて来る。その臨場感にプレーヤーのみならず、観客も魅了されていく。

 

「凄い! フィールドが都市になった! 本物みたい!」

 

「これ凄いよね! 流石リアルソリッドビジョンは違うな~って感じだよ! では続けて……《Kozmo-フェルブラン》を通常召喚したいです。何かありますか?」

 

「効果発動まで大丈夫です!」

 

「では《Kozmo-フェルブラン》を通常召喚します」

 

「可愛い~♪」

 

 純一のフィールドに現れたのは小さなブリキのロボット。《Kozmo-フェルブラン》。【Kozmo】デッキの墓地肥やし要員であり、不確定ではあるもののサーチ要員でもある。

 『スター・ウォーズ』シリーズに登場する“R2-D2”を彷彿とさせる見た目に、蘭は思わず黄色い声を上げてしまう。

 

「カードを2枚セットしてエンドフェイズに移ります。500ライフポイントを払い、《Kozmo-フェルブラン》の効果を発動します。デッキから《Kozmo》カードを3種類見せます。その中からランダムに1枚選んで下さい。選んだカードは手札に加えて、残りのカードは墓地に送ります」

 

「了解です!」

 

「《スリップライダー》、《ダーク・エルファイバー》、《ダークシミター》の3枚の中から選んで下さい……さぁどうぞ!」

 

 《Kozmo-フェルブラン》の頭から投射機のような物が出現すると、黒い宇宙戦艦、灰色と黒色の“剣”の見た目をした宇宙船、仮面を付けた漆黒の魔女の3種類の映像が映し出された。

 

 

《Kozmo-フェルブラン》

効果モンスター

レベル1/光属性/サイキック族

ATK/0 DEF/0

《Kozmo-フェルブラン》の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):フィールドのこのカードを除外して発動できる。

手札からレベル2以上の《Kozmo》モンスター1体を特殊召喚する。

この効果は相手ターンでも発動できる。

(2):自分・相手のエンドフェイズに500LPを払って発動できる。

デッキから《Kozmo》カード3種類を相手に見せ、相手はその中からランダムに1枚選ぶ。そのカード1枚を自分の手札に加え、残りは墓地へ送る。

 

 

 

「(多分セットカードのどれかは蘇生系カードかな? 《リビデ》や《戦線復帰》とは思うけど……)え~と、右側のカードを選びます」

 

 相手に選ばせて手札に加えるカードの効果処理の場合、デュエルディスクでは使用者の目の前に裏側表示のカードの映像が複数枚出てくる仕組みとなっている。

 このデュエルの純一はカードショップで対戦するモードとなっており、好青年でカードの効果を読む時も相手に聞き取りやすくする等、真面目さと誠実さを兼ね揃えているが、内心は闘争心で燃えている。

 

「右側ですね……これは……《ダークシミター》でした。これを手札に加えます。残りの《スリップライダー》と《ダーク・エルファイバー》は墓地に送ります。ターンエンドです」

 

「見た感じ《Kozmo》モンスターやカードが多い……さては【Kozmo】デッキ?」

 

「その通り。僕が使っているのは“魔の9期”に海外で大暴れし、来日後も環境に上り詰めた元環境デッキ。大会に出てた頃に激戦を繰り広げた因縁のデッキ! 元ネタは『スター・ウォーズ』だけに、【Kozmo】の力を見せてやろう!」

 

「何と!? 元環境デッキ……うぅっ! 頑張るしかない!」

 

 

 

黒田純一

LP:8000→7500

手札:2

フィールドゾーン:《Kozmo-エメラルドポリス》

EXモンスターゾーン:なし

メインモンスターゾーン:《Kozmo-フェルブラン》

魔法・罠ゾーン:セットカード×2

 

 

 

・2ターン目

 

「これ強いぞ純一君! 先攻1ターン目で《フェルブラン》と《エメラルドポリス》は強い! しかも手札には《ダークシミター》がある!」

 

「そう言えば、1組との合同授業で織斑先生と対戦した時もこんな感じでしたね……」

 

「そうなの!? 見たかった……!」

 

「次は蘭さんのターンね。どんなデッキを使うんだろう?」

 

 ピットの中で純一のデュエルを見守る5組の面々。安定した初動に俊介は一人盛り上がる一方、ナタリアは1組との合同授業の事を思い出して苦笑いを浮かべた。

 1組との合同授業で一通りのデュエルディスクの操作を学習したが、この時純一は千冬とデュエルを行った。その時は純一が激戦の末に千冬を下した。

 その合同授業では講師の俊介はいなかった為、彼のデュエルを観る事が出来ず、一人悔しがっているその横で、神楽は蘭の動きに注目していた。

 

「私のターン! ドローフェイズ、ドロー! スタンバイフェイズ。メインフェイズに入ります」

 

「どうぞ!」

 

「手札から鳥獣族モンスター1体を捨てて、《神鳥(シムルグ)の来寇》を発動したいです。大丈夫ですか?」

 

「【シムルグ】デッキ……良いでしょう! 通します」

 

 蘭の使用デッキは【シムルグ】。鳥が大好きな蘭に純一が薦めたデッキ。その理由は安く作れて、比較的簡単に使う事が出来る為。デッキ構築のアイディアは純一が提供し、実際の構築や回し方は講師の大樹が教えた。

 【シムルグ】は鳥獣族モンスターを中心としたデッキであり、メインとなるモンスターは風属性だが、一部のモンスターは闇属性を必要とする混合デッキでもある。

相手の魔法・罠ゾーンを吹き飛ばし、大型モンスターをアドバンス召喚して勝負を決める事が主な戦術となっている。

 

「手札の《烈風の覇者シムルグ》を捨てて、デッキから《雛神鳥シムルグ》と《ダークネス・シムルグ》を手札に加えます」

 

 

神鳥(シムルグ)の来寇》

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

(1):手札から鳥獣族モンスター1体を捨てて発動できる。

デッキから《シムルグ》モンスター2体を手札に加える(同じ属性は1体まで)。

(2):墓地のこのカードを除外して発動できる。

手札の鳥獣族モンスター1体を相手に見せる。

このターン、そのモンスター及び自分の手札の同名モンスターのレベルを1つ下げる。

 

 

「相手フィールドにモンスターがいて、自分フィールドにモンスターがいない時、このカードはレベル4モンスターとして特殊召喚する事が出来ます。手札の《こけコッコ》を特殊召喚したいです。ここまで大丈夫ですか?」

 

「問題ないです」

 

 蘭のフィールドに現れたのは鶏の姿をした可愛らしいモンスター。その登場に女子生徒を含めた女性達は黄色い歓声を上げる。

 

 

《こけコッコ》

チューナー・効果モンスター

レベル5/風属性/鳥獣族

ATK/1600 DEF/2000

(1):お互いのフィールドにモンスターが存在しない場合、このカードはレベル3モンスターとして手札から特殊召喚できる。

(2):相手フィールドにモンスターが存在し、自分フィールドにカードが存在しない場合、このカードはレベル4モンスターとして手札から特殊召喚できる。

(3):表側表示のこのカードはフィールドから離れた場合に除外される。

 

 

「《雛神鳥シムルグ》を通常召喚します。効果発動まで良いですか?」

 

「どうぞ!」

 

「このカードが召喚に成功した時、《雛神鳥シムルグ》の効果を発動します。このターン、私は通常召喚に加えてもう1度、自分メインフェイズに《シムルグ》モンスター1体を召喚出来ます。なので《招神鳥シムルグ》を通常召喚します」

 

 下級《シムルグ》モンスター達を使って展開と下準備を行う蘭に対し、純一は妨害を一切行わずにただ見守るだけだった。

 IS環境ルールで手札誘発効果を持つモンスターカードが軒並み使用禁止に追いやられている事もそうだが、《エフェクト・ヴェーラー》をナタリアのデッキに入れた為、代わりに《古聖戴サウラヴィス》を投入している。

 《古聖戴サウラヴィス》は自分モンスターを対象とする効果を無効にする手札誘発効果を持っており、主に防御札として活躍が望まれる。

 

 

《雛神鳥シムルグ》

効果モンスター

レベル1/風属性/鳥獣族

ATK/0 DEF/1600

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。

このターン、自分は通常召喚に加えて1度だけ、自分メインフェイズに《シムルグ》モンスター1体を召喚できる。

(2):このカードが墓地に存在し、相手の魔法&罠ゾーンにカードが存在しない場合に発動できる。このカードを守備表示で特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。

この効果の発動後、ターン終了時まで自分は鳥獣族モンスターしか特殊召喚できない。

 

 

「《招神鳥シムルグ》が召喚に成功した時、効果を発動します。デッキからこのカード以外の《シムルグ》カード1枚を手札に加えます。ここは……《神鳥(シムルグ)の霊峰エルブルズ》にします」

 

 続いて蘭のフィールドに現れたのは橙色で王冠を被った鳥の姿をしたモンスター。ここまで理想的な展開を行う蘭に対し、純一は何処で妨害しようか考えている最中だ。

 

 

《招神鳥シムルグ》

効果モンスター

レベル2/風属性/鳥獣族

ATK/1000 DEF/1000

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。

デッキから《招神鳥シムルグ》以外の《シムルグ》カード1枚を手札に加える。

(2):このカードが墓地に存在し、相手の魔法&罠ゾーンにカードが存在しない場合に発動できる。このカードを守備表示で特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。

この効果の発動後、ターン終了時まで自分は鳥獣族モンスターしか特殊召喚できない。

 

 

「私は《こけコッコ》、《雛神鳥シムルグ》、《招神鳥シムルグ》の3体の鳥獣族モンスターをリンクマーカーにセット!」

 

 蘭がリンク召喚の準備に入る事を告げると、《こけコッコ》、《雛神鳥シムルグ》、《招神鳥シムルグ》の3体の鳥獣族モンスターがそれぞれ緑色の光に変わっていく。

 3体の鳥獣族モンスターが3つの緑色の光に変わると、天空に周囲八方向に矢印のついた正方形のリングが出現し、その中に3つの光が吸い込まれていく。

 そしてリングの左下と下と右下の部分の矢印が光り輝いた瞬間、リングの中央から緑色に輝く神鳥が現れた。王の名を冠する神鳥。《王神鳥シムルグ》が舞い降りた。

 

「召喚条件は鳥獣族モンスターを含むモンスター2体以上! 神鳥の王よ、最果てにある霊峰より飛び立ち、世界に烈風を巻き起こせ! リンク召喚! 現れろリンク3! 《王神鳥シムルグ》!」

 

 

《王神鳥シムルグ》

リンク・効果モンスター

リンク3/風属性/鳥獣族

ATK/2400

【リンクマーカー:左下/下/右下】

鳥獣族モンスターを含むモンスター2体以上

このカード名の(3)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

このカードはリンク素材にできない。

(1):このカード及びこのカードのリンク先の鳥獣族モンスターは相手の効果の対象にならない。

(2):このカードが戦闘で破壊される場合、代わりに自分フィールドの《シムルグ》カード1枚を破壊できる。

(3):自分・相手のエンドフェイズに発動できる。

使用していない自分・相手の魔法&罠ゾーンの数以下のレベルを持つ、鳥獣族モンスター1体を手札・デッキから特殊召喚する。

 

 

「来たな《王神鳥シムルグ》!」

 

 その力を目の当たりにしても純一は動じる事はなく、むしろ楽し気に獰猛な笑みを浮かべている。それはデュエルが好きで好きで仕方がない只の『遊戯王OCG』プレーヤーの本性だからか。

 

「バトルフェイズに入ります。《王神鳥シムルグ》で《Kozmo-フェルブラン》に攻撃します!」

 

「ならば攻撃宣言時にフィールドのこのカードを除外し、《Kozmo-フェルブラン》の効果を発動!」

 

「な、何ですって!?」

 

「手札からレベル2以上の《Kozmo》モンスター1体を特殊召喚! そっちがエースモンスターで来るなら、こっちもエースモンスターで応じようじゃねぇか!」

 

 近未来的な都市に響き渡るのは超速で飛行する宇宙戦闘機のスラスター音。その音が徐々に大きくなっていく。こちらに近付いているかのように。

 純一は手札の1枚のカードを右手に持ち、狂気なのか歓喜なのか分からない笑みを浮かべながら、高らかに叫んだ。

 

「宇宙の遥か彼方より飛来する侵入者よ、暗黒の剣となりて全てを殲滅せよ! 出撃の刻だ、《Kozmo-ダークシミター》!」

 

 現れたのは《Kozmo-ダークシミター》。白と灰色を基調としたカラーリングに、コクピット両側に取り付けられた主翼が特徴な宇宙船。

 その圧倒的な威圧感と存在感は【Kozmo】デッキにおけるエースモンスターだからか、それとも巨大な宇宙船だからか。

 

 

《Kozmo-ダークシミター》

効果モンスター

レベル8/闇属性/機械族

ATK/3000 DEF/1800

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを破壊する。

(2):このカードは相手の効果の対象にならない。

(3):このカードが戦闘・効果で破壊され墓地へ送られた場合、墓地のこのカードを除外して発動できる。デッキからレベル7以下の《Kozmo》モンスター1体を特殊召喚する。

 

 

「こ、これが【Kozmo】デッキの切り札……!」

 

「応よ! 《Kozmo-ダークシミター》は召喚・特殊召喚に成功した場合、フィールドのモンスター1体を破壊出来るんだけど……」

 

「《王神鳥シムルグ》とこのカードのリンク先の鳥獣族モンスターは相手の効果の対象にならないので、対象に取る破壊効果は使えない!」

 

「そこなんだよね~まぁ取り敢えず、対象に取れない攻撃力3000のモンスターを立てただけ良しとするか。さぁどうする?」

 

「ちょっとすみません、効果確認しますね……攻撃力3000で相手の効果対象にならない……戦闘・効果破壊されたらレベル7以下の《Kozmo》モンスターをリクルート……強い! と言うか今は突破無理! バトルフェイズは中断してメインフェイズ2に入ります。先程手札に加えた《神鳥(シムルグ)の霊峰エルブルズ》を発動します。今はまだ何もないです」

 

「ならば《神鳥(シムルグ)の霊峰エルブルズ》を発動した時、チェーンしてリバースカードオープン! 《リビングデッドの呼び声》!」

 

 

《リビングデッドの呼び声》

永続罠

(1):自分の墓地のモンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。

そのモンスターを攻撃表示で特殊召喚する。

このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは破壊される。

そのモンスターが破壊された時にこのカードは破壊される。

 

 

「自分の墓地のモンスター1体を攻撃表示で特殊召喚します。《Kozmo-スリップライダー》を攻撃表示で特殊召喚します。ここまで大丈夫ですか?」

 

「はい、大丈夫です!」

 

「では《スリップライダー》の効果を発動します。このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、フィールドの魔法・罠カード1枚を破壊出来ます。なので……《神鳥(シムルグ)の霊峰エルブルズ》を破壊したいです」

 

 純一のフィールドに現れたオレンジ色の小型戦闘機。その戦闘機が聳え立つ霊峰にレーザー・キャノン砲から砲撃を撃ち込むと、その風景はまるで幻想のように儚く消えた。

 

「通します……《エルブルズ》はキープしたかったですけど、そうはさせませんよね……」

 

「【シムルグ】デッキは《エルブルズ》が良い仕事をするので、それを妨害しないと後々きつくなるから……」

 

 

《Kozmo-スリップライダー》

効果モンスター

レベル5/光属性/機械族

ATK/2300 DEF/800

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

(2):このカードが戦闘・効果で破壊され墓地へ送られた場合、墓地のこのカードを除外して発動できる。デッキからレベル4以下の《Kozmo》モンスター1体を特殊召喚する。

 

 

「カードを1枚セットしてエンドフェイズに入り、《王神鳥シムルグ》の効果を発動します」

 

「通します!」

 

「使用していない自分・相手の魔法&罠ゾーンの数以下のレベルを持つ、鳥獣族モンスター1体を手札・デッキから特殊召喚します」

 

「僕が使っていないのは3ヵ所、蘭さんが使っていないのは4ヵ所なので、合計してレベル7以下の鳥獣族モンスター1体を手札・デッキから特殊召喚出来ると……」

 

「なのでここは……《ダークシミター》の攻撃力が3000あるし、耐性持ちだからなぁ……どうしよう。そうだな……《ダーク・シムルグ》を特殊召喚します」

 

 蘭のフィールドに現れたのは黒くて巨大な神鳥。《ダーク・シムルグ》。【忍者】や【アロマ・コントロール】デッキ等で使われているカード。

 

 

《ダーク・シムルグ》

効果モンスター

レベル7/闇属性/鳥獣族

ATK/2700 DEF/1000

(1):このカードが手札に存在する場合、自分の墓地から闇属性と風属性モンスターを1体ずつ除外して発動できる。このカードを特殊召喚する。

(2):このカードが墓地に存在する場合、手札から闇属性と風属性モンスターを1体ずつ除外して発動できる。このカードを特殊召喚する。

(3):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、このカードの属性は“風”としても扱う。

(4):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手はカードをセットできない。

 

 

「懐かしいカードだな!? ちょっと効果確認しますね……セットが出来ないか……困ったなぁ……」

 

「それに《王神鳥シムルグ》の効果と噛み合っているんです。《王神鳥シムルグ》が戦闘で破壊される場合、代わりに自分フィールドの《シムルグ》カード1枚を破壊出来ます。つまり身代わりになれます」

 

「う~ん……戦闘破壊せず、対象に取らない除去でないときついと言う事か……」

 

「そう言う事です。これなら流石に2ターンはもつはず……ターンエンド!」

 

 

 

黒田純一

LP:8000→7500

手札:1

フィールドゾーン:《Kozmo-エメラルドポリス》

EXモンスターゾーン:なし

メインモンスターゾーン:《Kozmo-ダークシミター》、《Kozmo-スリップライダー》

魔法・罠ゾーン:セットカード×1、《リビングデッドの呼び声》

 

 

 

徳川蘭

LP:8000

手札:2

フィールドゾーン:なし

EXモンスターゾーン:《王神鳥シムルグ》

メインモンスターゾーン:《ダーク・シムルグ》

魔法・罠ゾーン:セットカード×1

 

 

 

・3ターン目

 

「徳川さんのデッキは【シムルグ】か……強さでは【Kozmo】が上かもしれないけど、展開力なら【シムルグ】の方が上だな。今の盤面は純一君にとって嫌な流れになっている」

 

「? どうしてですか?」

 

「徳川さんのフィールドにいる《王神鳥シムルグ》は耐性持ちだし、今は《ダーク・シムルグ》がいるから、戦闘破壊を1度は凌げる状態にある。それに早めに除去しないと、エンドフェイズ毎にデッキから強力な鳥獣族モンスターを召喚され続けてしまう……」

 

「そ、それは大変です!」

 

「先に《王神鳥シムルグ》を除去しないときつい展開になる……だが《王神鳥シムルグ》は効果対象にならない耐性持ち。となると対象に取らない除去か、戦闘破壊しか突破方法はない。さて純一君はどうするか……」

 

 今の状況は純一にとって嫌な展開になっている。お互いに良い手札で良い初動が出来たのだから。ましてや今の純一は少なからずプレッシャーを受けている。

 しかし、5組の誰もが信じている。純一は必ずこの盤面を引っ繰り返す事が出来る事を。そしてこのデュエルを制すると。

 

「僕のターン! ドローフェイズ、ドロー! スタンバイフェイズ。メインフェイズに入ります。ではメインフェイズ開始時! 《強欲で金満な壺》を使いたいです」

 

「どうぞ!」

 

「ではEXデッキのカードを6枚裏側表示で除外し、2枚ドローしたいので除外するカード6枚を好きに選んで下さい」

 

「……この6枚でお願いします!」

 

「はい! では2枚ドロー! このカードを発動した後、ターン終了時まで僕はカードの効果でドロー出来ません」

 

 《強欲で金満な壺》で除外するEXデッキのカードはデュエルディスクがオートシャッフルした後、相手がデュエルディスクの画面で選ぶ仕組みとなっている。

 ちなみに《強欲で金満な壺》で除外した裏側表示のEXデッキのカードは、《強欲で金満な壺》発動した側のプレーヤーだけが見る事が出来る。

 

 

《強欲で金満な壺》

通常魔法

(1):自分メインフェイズ1開始時に、自分のEXデッキの裏側表示のカード3枚または6枚をランダムに裏側表示で除外して発動できる。

除外したカード3枚につき1枚、自分はデッキからドローする。

このカードの発動後、ターン終了時まで自分はカードの効果でドローできない。

 

 

「続けて《封印の黄金櫃》を発動します。何かありますか?」

 

「その魔法カードの効果って何ですか?」

 

「デッキからカード1枚を除外します。発動後2ターン目の僕のスタンバイフェイズに、除外したカードが手札に加わります」

 

「う~ん……2ターン後だから良いかな? 通します」

 

 

《封印の黄金櫃》

通常魔法(制限カード)

(1):デッキからカード1枚を選んで除外する。

このカードの発動後2回目の自分スタンバイフェイズに、この効果で除外したカードを手札に加える。

 

 

「デッキから2枚目の《Kozmo-ダークシミター》を除外します。続いて《Kozmo-エメラルドポリス》の効果を発動します。除外されている自分の《Kozmo》モンスター1体、今除外したばかりの《Kozmo-ダークシミター》を手札に戻したいです」

 

「つまり疑似的なサーチ……恐ろしい! 通します!」

 

「OK。《ダークシミター》を回収し、そのレベル分100LPを失います。《ダークシミター》のレベルは8なので、800ポイントのLPを失います」

 

 

《Kozmo-エメラルドポリス》

フィールド魔法

(1):1ターンに1度、除外されている自分の《Kozmo》モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に戻し、自分はそのモンスターの元々のレベル×100LPを失う。

(2):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。

手札の《Kozmo》モンスターを任意の数だけ相手に見せ、デッキに戻してシャッフルする。その後、自分はデッキに戻した数だけデッキからドローする。

(3):フィールドゾーンのこのカードが効果で破壊された場合に発動できる。

デッキから《Kozmo》カード1枚を手札に加える。

 

 

「《Kozmo-グリンドル》を通常召喚します。効果は今は使わないです。そして……リバースカードオープン! 《Kozmo-エナジーアーツ》!」

 

 

《Kozmo-エナジーアーツ》

通常罠

《Kozmo-エナジーアーツ》は1ターンに1枚しか発動できない。

(1):自分フィールドの《Kozmo》モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを破壊し、相手のフィールド・墓地のカード1枚を選んで除外する。

 

 

「コ、《Kozmo-エナジーアーツ》!?」

 

「効果を発動します。自分フィールドの《Kozmo》モンスター1体を破壊します。ここは《Kozmo-スリップライダー》を破壊し、相手のフィールド・墓地のカード1枚を“選んで”除外します」

 

「で、でも《ダーク・シムルグ》と《王神鳥シムルグ》は相手の効果の対象にならない!」

 

「残念なお知らせです。《Kozmo-エナジーアーツ》は相手のフィールド・墓地のカード1枚を“選んで”除外する、対象に取らない除去カードです。なので……ここは《ダーク・シムルグ》を除外します」

 

「あっ、あぁ……《王神鳥シムルグ》を守ろうと出したのに……」

 

 純一の右手から迸る【Kozmo】のエネルギーがオレンジ色の小型戦闘機を破壊しながら、蘭のフィールドにいる黒くて巨大な神鳥―《ダーク・シムルグ》を消し去っていった。

 

「そして《スリップライダー》が破壊されたので、《リビデ》も効果で破壊されます。そして効果破壊された《スリップライダー》の効果を発動します。このカードが戦闘・効果で破壊され墓地へ送られた場合、墓地のこのカードを除外し、デッキからレベル4以下の《Kozmo》モンスター1体を特殊召喚します。これにチェーンは?」

 

「チェーン? これ以上やられっぱなしはさせません! リバースカードオープン! 《ハーピィの羽根吹雪》!」

 

 

《ハーピィの羽根吹雪》

通常罠

自分フィールドに《ハーピィ》モンスターが存在する場合、このカードの発動は手札からもできる。

(1):自分フィールドに鳥獣族・風属性モンスターが存在する場合に発動できる。

ターン終了時まで、相手が発動したモンスターの効果は無効化される。

(2):魔法&罠ゾーンのこのカードが相手の効果で破壊された場合に発動できる。

自分のデッキ・墓地から《ハーピィの羽根帚》1枚を選んで手札に加える。

 

 

「《ハーピィの羽根吹雪》 だと!?」

 

「このカードは自分フィールドに鳥獣族・風属性モンスターが存在する場合に発動出来ます。今、私のフィールドには《王神鳥シムルグ》がいるので発動出来ます。このカードを発動したターン終了時まで、相手が発動したモンスターの効果は無効化されます!」

 

「成る程。【シムルグ】は魔法・罠に対しては強いけど、モンスター効果には弱いと言う弱点を埋めてきたか……良いでしょう。でも僕にはバトルフェイズがある! バトルフェイズ!《Kozmo-ダークシミター》よ、《王神鳥シムルグ》を殲滅せよ!」

 

 透明化して姿を消していた《Kozmo-ダークシミター》が突如として姿を現すと、《王神鳥シムルグ》に向けて超スピードで突進。

 両翼から伸長した2門のレーザー・キャノン砲から無数の赤いエネルギー弾が撃ち込まれ、全身に喰らった《王神鳥シムルグ》は苦痛に満ちた声を上げながら消滅していった。

 

「《王神鳥シムルグ》は戦闘破壊されますが、この時墓地の《烈風の覇者シムルグ》の効果が発動します。このカードが墓地に存在し、自分の鳥獣族モンスターが戦闘で破壊された時、このカードを手札に加えます!」

 

「続けて《Kozmo-グリンドル》でダイレクトアタック!」

 

「クゥッ!」

 

 尖った耳に茶色の道着を来た女性―《Kozmo-グリンドル》がレーザー・ブレードを振るい、『打鉄』を身に纏う蘭を攻撃する。

 戦闘ダメージを受けた蘭の『打鉄』に衝撃が走り、ライフポイントと言う名前のシールドエネルギーが削られていく。

 

「メインフェイズ2は特にやる事ないので、このままターンエンドします」

 

 

 

黒田純一

LP:8000→7500→6700

手札:3

フィールドゾーン:《Kozmo-エメラルドポリス》

EXモンスターゾーン:なし

メインモンスターゾーン:《Kozmo-ダークシミター》、《Kozmo-グリンドル》

魔法・罠ゾーン:なし

 

 

 

徳川蘭

LP:8000→5600

手札:3

フィールドゾーン:なし

EXモンスターゾーン:なし

メインモンスターゾーン:なし

魔法・罠ゾーン:なし

 

 

 

・4ターン目

 

「あぁ~蘭の布陣が崩された……!」

 

「あれは仕方ないよ。無理やりにでもどかせた純一君が凄い……でも蘭さんだってここからリカバリー出来ればまだまだいける!」

 

 1年6組の面々がいるピット。出場メンバーと臨時担任の榊原菜月、そして講師の長尾大樹がモニターで試合を観戦しながら、蘭の行動に注目している。

 蘭としては《王神鳥シムルグ》を維持しながら、エンドフェイズに次々と強力な鳥獣族モンスターを展開したかった。しかし、純一によってそれを返しのターンでいきなり阻まれる形となった。

 しかし、ライフポイントはまだ半分以上残っている。ここから展開し直したい。まだ【シムルグ】デッキの真価を発揮出来ていないのだから。

 

「私のターン! ドローフェイズ、ドロー! スタンバイフェイズ。メインフェイズ入ります。ではメインフェイズ開始時、今引いた《強欲で金満な壺》を使いたいです」

 

「トップゴーキンか……強いなぁ……通すよ」

 

「ではEXデッキのカードを6枚裏側表示で除外し、2枚ドローしたいので除外するカード6枚を好きに選んで下さい」

 

「じゃあこの6枚で」

 

「はい! では2枚ドロー! このカードを発動した後、ターン終了時まで私はカードの効果でドローが出来ません。行きます!このカードが墓地に存在し、相手の魔法・罠ゾーンにカードが存在しない場合、墓地の《雛神鳥シムルグ》の効果を発動出来ます。このカードを守備表示で特殊召喚します」

 

「通します」

 

 先程は純一の猛攻に押されていた蘭だったが、《強欲で金満な壺》を発動した後は息を吹き返して反撃の下準備を行う。

 観客達も純一と言う絶対王者に挑むチャレンジャーを応援しており、その声援が蘭の背中を後押ししている。

 

「続けて《招神鳥シムルグ》も同じように守備表示で特殊召喚します。この効果を発動した後、このターンが終わるまで私は鳥獣族モンスターしか特殊召喚出来なくなります。更に効果で特殊召喚した《雛神鳥シムルグ》と《招神鳥シムルグ》は、フィールドから離れた場合に除外されます」

 

「了解!」

 

「更に……さっきは発動前に破壊された《神鳥(シムルグ)の霊峰エルブルズ》を発動します。2番目の効果。手札のレベル5以上の鳥獣族・風属性モンスター1体を相手に見せて発動出来ます。このターン、自分は鳥獣族モンスターを召喚する場合に必要なリリースを1体少なく出来ます。なので手札の《烈風の覇者シムルグ》をアドバンス召喚するのに必要なリリースを1体少なくしたいです」

 

 蘭が発動したフィールド魔法により、彼女のフィールドがまるで田舎風景とも言える、巨大な霊峰が聳え立つ風景へと変わっていく。

 

 

神鳥(シムルグ)の霊峰エルブルズ》

フィールド魔法

このカード名の(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):フィールドの鳥獣族・風属性モンスターの攻撃力・守備力は300アップする。

(2):手札のレベル5以上の鳥獣族・風属性モンスター1体を相手に見せて発動できる。

このターン、自分は鳥獣族モンスターを召喚する場合に必要なリリースを1体少なくできる。

(3):自分フィールドに鳥獣族・風属性モンスターが存在する場合に発動できる。

鳥獣族モンスター1体を召喚する。

 

 

 

「と言う事は1体リリースで出てくるのか……!」

 

「《招神鳥シムルグ》をリリースし、《烈風の覇者シムルグ》をアドバンス召喚します!」

 

 現れたのは黄金の王冠を頭に被り、所々に金色の装飾が施された神鳥。《烈風の覇者シムルグ》が蘭のフィールドに姿を現した。

 

 

《烈風の覇者シムルグ》

効果モンスター

レベル8/風属性/鳥獣族

ATK/2900 DEF/2000

このカード名の(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):アドバンス召喚したこのカードは相手の魔法・罠カードの効果の対象にならない。

(2):魔法・罠カードの効果が発動した時、自分フィールドの鳥獣族・風属性モンスター1体をリリースし、相手フィールドのカード1枚を対象として発動できる。

そのカードを持ち主のデッキに戻す。

(3):このカードが墓地に存在し、自分の鳥獣族モンスターが戦闘で破壊された時に発動できる。このカードを手札に加える。

 

 

「私が風属性のモンスターのアドバンス召喚に成功した場合、墓地にいる《ダークネス・シムルグ》 の効果が発動します。このカードが手札・墓地に存在し、自分が闇属性・風属性のモンスターのアドバンス召喚に成功した場合、《ダークネス・シムルグ》 を特殊召喚します!」

 

「おお~! マジか! 一気に持ち直した!」

 

 蘭のフィールドに黒色と灰色の羽毛に、頭に王冠を被り、身体に装飾が施された神鳥が降臨した。《ダークネス・シムルグ》 。《烈風の覇者シムルグ》がかつて捨てた己の闇と伝承では言われているとか何とか。

 瞬く間に攻撃力2900の最上級モンスターを2体展開した蘭に、純一は唸りながらフィールドを見ている。

 

 

《ダークネス・シムルグ》

効果モンスター

レベル8/闇属性/鳥獣族

ATK/2900 DEF/2000

このカード名の(1)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが手札・墓地に存在し、自分が闇属性または風属性のモンスターのアドバンス召喚に成功した場合に発動できる。このカードを特殊召喚する。

(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、このカードの属性は“風”としても扱う。

(3):魔法・罠カードの効果が発動した時、自分フィールドの鳥獣族・風属性モンスター1体をリリースして発動できる。その発動を無効にし破壊する。

 

 

「今、《烈風の覇者シムルグ》と《ダークネス・シムルグ》 の攻撃力って上がっているんだよね?」

 

「うん。《神鳥(シムルグ)の霊峰エルブルズ》の効果で、フィールドの鳥獣族・風属性モンスターの攻撃力・守備力は300上がっているよ? だから今攻撃力3200になっている」

 

「それは困ったな……《Kozmo-グリンドル》の効果を発動します。フィールドのこのカードを除外し、手札からレベル5以上の《Kozmo》モンスター1体を特殊召喚します。手札の《Kozmo-ダークシミター》を特殊召喚します」

 

「《Kozmo-ダークシミター》が2体……!」

 

「《Kozmo-ダークシミター》の効果を発動します。このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、フィールドのモンスター1体を破壊します。では……《烈風の覇者シムルグ》を破壊したいです」

 

「破壊されます……」

 

 《Kozmo-グリンドル》の姿が消えると、純一のフィールドにもう1機の《Kozmo-ダークシミター》が姿を現す。

 《Kozmo-ダークシミター》が撃ち出した無数の赤いエネルギー弾。それにより、《烈風の覇者シムルグ》は効果破壊されていった。

 

「で、でも私にはバトルフェイズがある! せめて1体だけでも! バトルフェイズに入ります! 攻撃力3200の《ダークネス・シムルグ》で、《Kozmo-ダークシミター》を攻撃!」

 

「《Kozmo-ダークシミター》は戦闘破壊されますが、効果を発動します。このカードが戦闘・効果で破壊され墓地へ送られた場合、墓地のこのカードを除外し、デッキからレベル7以下の《Kozmo》モンスター1体を特殊召喚します。ここは……《Kozmo-スリップライダー》にしましょうか」

 

「ま、また《スリップライダー》が……」

 

 《ダークネス・シムルグ》の突進により、剣を象った形をした黒くて灰色の宇宙船が破壊されていった。

 しかし、その破壊がトリガーとなり、近未来都市から新たにオレンジ色の小型戦闘機がフィールドに飛来してきた。

 

「《Kozmo-スリップライダー》の効果発動! 《神鳥(シムルグ)の霊峰エルブルズ》を破壊!」

 

「これで攻撃力が元通りに……ターンエンドです」

 

 

 

黒田純一

LP:8000→7500→6700→6500

手札:2

フィールドゾーン:《Kozmo-エメラルドポリス》

EXモンスターゾーン:なし

メインモンスターゾーン:《Kozmo-ダークシミター》、《Kozmo-スリップライダー》

魔法・罠ゾーン:なし

 

 

 

徳川蘭

LP:8000→5600

手札:3

フィールドゾーン:なし

EXモンスターゾーン:なし

メインモンスターゾーン:《雛神鳥シムルグ》、《ダークネス・シムルグ》

魔法・罠ゾーン:なし

 

 

 

・5ターン目

 

「純一……強い」

 

「えぇ。デッキテーマもそうだし、何よりプレイングが機械みたいに正確。アニメのような派手さはないけど、相手が展開したい時に的確に妨害して来る。こりゃたまった物じゃないわ……かんちゃん勝てそう?」

 

 試合の様子はアリーナの観客席にいる人々しか観る事が出来る訳ではない。『カードターミナル』IS学園店に設置されている大型モニターでも観戦する事が出来る。

 楯無と簪の更識姉妹は午後に試合を控えており、午前中は試合観戦する余裕があった。そこで純一の試合を観ているが、経験者の彼女達は改めて純一の強さを思い知った。

 デッキが強い事もそうだが、デッキテーマの事を把握しており、何処でどのように妨害すれば展開が止まるのかを理解している。だから純一は強い。

 それは大会に出場して色んなデッキと戦ったり、情報を得て分析したりした結果。要は勝つ為の、強くなる為の努力を積み上げてきたから。

 

「(《ダークネス・シムルグ》 は魔法・罠カードの効果が発動した時、自分フィールドの鳥獣族・風属性モンスター1体をリリースすると、その発動を無効にして破壊するんだよな……さてと。どう来るかな?)僕のターン! ドローフェイズ、ドロー! スタンバイフェイズ。メインフェイズ入ります。《Kozmo-ドロッセル》を通常召喚します」

 

「通します!」

 

「《Kozmo-エメラルドポリス》の効果を発動します。除外されている自分の《Kozmo》モンスター1体、《Kozmo-ダークシミター》を手札に戻したいです。これにチェーンは?」

 

「え~!? と言う事はまた手札から飛んでくるんですよね?」

 

「うん。それを無効にして破壊するとそっちのモンスターが1体減って守り薄くなるし、《エメラルドポリス》は効果破壊されると、デッキから《Kozmo》カード1枚を手札に加えられる。さぁどうする?」

 

「……どっちにしてもそっちの得にしかならない! じゃあ除外されている《ダークシミター》を手札に戻してどうぞ!」

 

「除外されている《ダークシミター》を手札に戻し、800ライフポイントを失います。では試合を終わらせに行きますか……バトルフェイズに入ります」

 

 純一の目が猛禽類の如く細められ、獲物を狩るハンターの物となった。この試合を終わらせると言う宣言が第2アリーナに静かに響き渡り、観客の誰もが息を呑む。

 それは蘭も同様であり、観戦用のモニターで観ている人々も同じだった。時が止まったと言う錯覚を感じながら、誰もが純一の次の行動を見つめる。

 

「《Kozmo-ダークシミター》で《ダークネス・シムルグ》 を攻撃します」

 

「《ダークネス・シムルグ》は戦闘破壊されますが、墓地の《烈風の覇者シムルグ》の効果が発動します。自分の鳥獣族モンスターが戦闘で破壊された時、このカードを手札に加えます!」

 

「《Kozmo-スリップライダー》で《雛神鳥シムルグ》に攻撃します」

 

「破壊されます!」

 

「《Kozmo-ドロッセル》でダイレクトアタックします」

 

「ライフで受けます!」

 

 先ずは蘭のフィールドにいる神鳥達を殲滅していく。黒くて灰色の剣を形をした侵入者が漆黒の神鳥を、オレンジ色の小型戦闘機が可愛らしい見た目の緑色の神鳥を戦闘破壊し、道を切り拓く。

 《Kozmo-ダークシミター》と《Kozmo-スリップライダー》が切り拓いた道を、《Kozmo-ドロッセル》が駆け抜ける。左手に持ったレーザーガンが蘭が身に纏う『打鉄』のシールドエネルギーを削った瞬間。その瞬間が【Kozmo】怒涛の連続攻撃の幕開けだった。

 

「相手に戦闘ダメージを与えた時、《Kozmo-ドロッセル》の効果が発動します。デッキから《Kozmo》カード1枚を手札に加えます。手札に加えるのは《Kozmo-ダーク・エルファイバー》! そして《ドロッセル》の効果発動! フィールドのこのカードを除外し、手札からレベル4以上の《Kozmo》モンスター、《Kozmo-ダークシミター》を特殊召喚!」

 

「また、攻撃力3000の《Kozmo-ダークシミター》が!?」

 

「《ダークシミター》の効果発動! 攻撃し終えた《ダークシミター》を破壊!」

 

「えっ!?」

 

「《ダークシミター》の効果発動! このカードが戦闘・効果で破壊されて墓地へ送られた場合、墓地のこのカードを除外し、デッキかららレベル7以下の《Kozmo》モンスター1体を特殊召喚! 現れろ、《Kozmo-フォアランナー》!」

 

「攻撃力2800……」

 

 蘭を含めた観客達は理解出来なかった。何故自分のモンスターを効果で破壊したのか。【Kozmo】を知っている人達は瞬時に理解したが、それ以外の人はそうではない。

 蘭は純一を見るが、純一は不敵な笑みを崩さない。まるでこの行いが正しいと、最善であると確信しているように。

 《ダークシミター》が破壊された事をトリガーとして、円盤のような形をした宇宙船―《Kozmo-フォアランナー》が姿を現した。

 

「まだ僕のバトルフェイズは終わっちゃいない! 《Kozmo-フォアランナー》でダイレクトアタック!」

 

「キャアアアアァァァァッ!!!!!」

 

「止めだ! 《Kozmo-ダークシミター》でダイレクトアタック!」

 

「私のライフポイントは0……負けました」

 

「ガッチャ! ありがとうございました!」

 

「第1試合1本目の勝負は黒田純一選手の勝利!」

 

『ウオオオォォォォォォーーーーーーーーーーーーーー!!!!!』

 

 【Kozmo】特有の連続攻撃によって蘭のシールドエネルギーが0となった瞬間、純一の勝利が確定した。観客の雄叫びにも似た歓声に応える純一と、純一の勝利を喜ぶように拍手を送る蘭。観客達は拍手喝采を送り、大声で声援を送る。

 こうして1年5組と6組の第1試合は1本目を5組が先取し、一歩リードを広げて第2試合を迎える事となった。

 

 

 

「どう言う事よ!? 話が全然違うじゃない!」

 

「IS学園の優秀な生徒なら1ヶ月あれば、大会優勝経験者を倒せるんじゃなかったの!?」

 

 黒田純一の勝利は観客達に喜ばれているが、女性権利団体の面々は決してそうではなかった。何故なら彼女達は純一の勝利を嫌がっており、純一の存在を心底憎んでいるから。

 純一率いる5組の優勝を阻止すべく、IS委員会の女尊男卑派と組んで一夏達専用機持ちに“特殊スキル”を使用出来るようにさせた。純一と『カードターミナル』の許可を得ず、純一潰しと言う目先だけの感情で行った行為だった。

 そこまでやる理由は純一の実力が高いと聞いていたから。『エキシビジョンデュエル』で魅せた輝きは物凄かったから。彼女達は恐れている。黒田純一と言う存在が自分達を含めた世界を喰らい尽くす事を。

 だからこそ純一を潰そうと躍起になっている。IS学園は倍率1万を超えるほどの超名門校。そこに入学出来た時点で優秀な生徒である事に変わりない為、たかがカードゲームぐらい、1ヶ月練習すれば経験者を凌駕出来ると信じていた。

 しかし、現実は違った。徳川蘭は僅かな戦闘ダメージを与えただけで、黒田純一の前に敗れ去った。確かに《王神鳥シムルグ》をリンク召喚し、《烈風の覇者シムルグ》と《ダークネス・シムルグ》の2体をフィールドに揃える等、初心者にしては健闘はした。それは事実であり、純一も内心舌を巻いていた。

 それでも結果は敗北と言う現実を突き付けられた。つまり幾らIS学園の生徒が優秀でも、1ヶ月練習したぐらいで大会優勝者に勝てる程、『遊戯王OCG』は甘くないと言う事になる。それが余計に女権団体の面々を苛立たせていた。

 

「こうなったらなりふり構わずあいつの優勝を阻止するまでよ! 明日の試合、明日の試合で反則負けにさせるなり、どうにかして赤っ恥をかかせるのよ!」

 

 しかし、女性権利団体の面々は知らない。自分達が現場監督を行ったこの大会が失敗に終わり、IS学園とIS委員会がまたとんでもない事になる事を。

 その原因を作ったのが黒田純一を排除する名目で、自分達が考えた企みだったと言う事をこの時の彼女達は知らなかった。

 

 




ここまで呼んで下さり、大変ありがとうございます。
今回も後書きとして裏話・裏設定を書いていこうと思います。

・安定した初動

 同じような動きしかしないと揶揄されそうですが、それだけこの動きが強いと言う事になります。

・召喚口上

 元ネタを使ったり、自分で考えたりしています。我ながらセンスがないな……

・強さの種類

 純一君はソリティアで制圧するより、確実にアドを稼ぎながら一気に攻め込む事を得意とするタイプです。確実に相手の妨害をしつつ、自分の展開を通す。【メタビート】を好む設定にしています。


次回予告

1年5組と6組の試合。初戦は純一が蘭とのデュエルを制し、5組が準決勝進出に向けて王手をかけた。
しかしここでまさかの事態が発生し、急遽1年1組と7組のデュエルが行われる事に。
1番手の一夏とアンナの対戦は途中でとんでもない事に!?

TURN18 想定外の結末!? 【カオスライロ】VS【ダイナレスラー】
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