遊戯王IS〈インフィニット・ストラトス〉   作:LAST ALLIANCE

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秋らしく涼しくなってきましたね。約1ヶ月ぶりの投稿になります。
話の展開をどうするか悩んでいたり、最新パックで組みたいテーマがあってその構築をしていたりで投稿が遅くなってしまいました。すみませんでした。

今回は1組と7組の対戦となりますが、最後は書いていて辛かったです。



TURN18 想定外の結末!? 【カオスライロ】VS【ダイナレスラー】

「やりましたね純一君! 先ずは1勝!」

 

「最後の連撃が凄かったです!」

 

「ありがとう。今回のデュエルは初戦と言う事もあって、正直緊張してたけど、やっていく間に慣れていったよ」

 

「これで私は気持ちに余裕を持って挑めます! 必ず勝利してきます!」

 

「そう気張らなくて良いよ。落ち着いて行こう。練習通りやれば必ず勝てる」

 

「はい!」

 

 学年別クラス対抗デュエルトーナメント初日。第2アリーナでは1年5組と6組の第1試合が行われている。今は選手交代も兼ねて10分間のインターバルが設けられており、その間観客席からIS企業等の広告や宣伝を観る事が出来る。

 今は1本目の試合が終了した後のインターバル。その間に純一は5組の面々がいるピットに戻り、汗を拭いたり、水を飲んだりしていた。

 その中で純一の勝利に喜び、【Kozmo】特有の怒涛の連続攻撃に魅せられたナタリアと比奈とハイタッチを交わし、彼女達と喜びを分かち合っている。

 その様子を観ている神楽とナターシャと俊介の3人は一安心している。先ずは純一が1勝を勝ち取る事が出来た。純一と神楽の2人で2勝を勝ち取れる計算になっているが、やはりクラス代表のナタリアが勝つと、クラスも大きく盛り上がるに決まっている。

 5組の2番手はナタリアが出る事になっている。ナタリアは初心者である為、純一が勝った事で少しでも緊張を解し、良い状態で試合に臨む事が出来るようになった。

 仮にナタリアが負けたとしても経験者であり、純一と互角に渡り合える神楽が控えている。どの道2勝して準決勝に駒を進める事が出来るようになる。このまま何事も無ければの話ではあるが。

 比奈はこの試合では出ない方針となった為、先日発売された【ドラグニティ】のストラクを購入し、【ドラグニティ】のデッキを構築している。

 試合を観戦しつつ、【ドラグニティ】のデッキを構築していているが、その収録内容の豪華さと強さに若干引いていたのは秘密だ。

 

「ナタリアさん! ナタリアさんはこちらにいますか?」

 

「あ、はい! 私です! 何かありましたか?」

 

「実は……6組が諸事情で棄権を申し出ました。これにより、1年5組の準決勝進出が確定したのでその報告に来ました」

 

『ッ!?』

 

 この大会の為に雇われた派遣スタッフが伝えた事に、5組の出場メンバーと教師陣は驚きのあまり呆然となった。

 エヴァ・ヨハンソンと永田洋子がいなくなった事で平穏を勝ち取り、団結力が上がってきた中での途中棄権。不可解としか言えないタイミングでの申し出に純一は訝しむような表情になると、派遣スタッフに申し出を行った。

 6組の所に行って直接事情を確認して来なければならない。このタイミングでの棄権申し出は明らかに何かある。

 

「すみません。6組の人がいる所に案内してもらえますか? 少々確認したい事が出来ました」

 

「あ、はい! 分かりました! こちらになります!」

 

「純一君!?」

 

「皆はスタッフさんの指示に従って! どうも嫌な予感がする……」

 

 派遣スタッフに案内される形で6組のいるピットに到着した純一。そこで彼が目にしたのは俯きながら涙を流している蘭、亜依、大喜多育江の3人と、彼女達を慰める榊原菜月と、怒りで震えている長尾大樹の姿だった。

 一体ここで何が起きていたのか。状況が分からず混乱する純一の存在に気付いた大樹は、純一の所に歩み寄って悲嘆の思いを吐き出す。

 

「これは一体……どうしてこうなったんだ?」

 

「純一君……これが! これがIS学園のやり方なのか!?」

 

「長尾先生……一体何があったんですか!?」

 

「君が悪いとは言わない。君は全力を出してデュエルを行って蘭さんに勝った。それは事実だ。でもIS委員会の役員共は俺達が指導した生徒達の思いや頑張りを踏み躙った!」

 

 大樹の話によると、先程IS委員会の役員を名乗る2人の女性が来て、蘭、亜依、育江の3人を散々罵倒したとの事。

“お前達はIS学園の優秀な生徒なのに黒田純一に負けた”、“IS学園の面汚し”、“お前達のせいでIS学園の看板に泥を付け、イメージを悪化させた”等と心にもない事を強く言われ、その剣幕と言葉に耐え切れず、3人は泣き出してしまった。

 試合を終えた蘭はともかく、試合を控えている亜依と育江は精神的にダメージを受けてしまい、試合云々を言っていられる場合ではなくなった。

 その為、菜月と大樹はスタッフに6組の棄権を申し伝え、それが対戦相手の5組に先程伝えられた。以上が事の顛末だった。

 

「長尾先生。そいつらは恐らくIS委員会の役員じゃありません。IS委員会は何が何でもこの大会を成功させたがっています。僕のいるクラスが優勝しようがしまいが、そんな事はどうでも良い。とにかく何事もなくこの大会を成功させ、ISとIS学園のイメージアップを狙う。それが奴らの考えです」

 

「じゃあ誰が……一体何の為に?」

 

「女尊男卑を掲げる女性権利団体の連中でしょう。奴らは心底僕の存在を気に入らず、何かあれば排除しようとしています」

 

「だが奴らはIS委員会と癒着していると噂では聞いている。どうしてこんな事を? これがバレたらIS委員会のやり方に反対したと見なされ、切り捨てられる可能性もあるのに……」

 

「分からないです。もしかしたらIS委員会の中でも派閥争いがあって、過激派と見なされている連中が今回の大会の運営等に関わっているのかもしれません」

 

「そうか……済まなかったな純一君。でも俺はこの出来事を受けて一つ決めた事がある。例えこの大会がどうなろうと、俺はIS学園の講師を辞めて『カードターミナル』に戻る」

 

「ッ! そんな……」

 

 純一は『カードターミナル』のスタッフの中で年齢が近い大樹とは付き合いが長く、一緒にフリー対戦をしたり、次期環境や禁止改訂について語り合った事もあった。

 そんな大樹は仕事を最後まで投げ出さず、コツコツと頑張ってIS学園の講師に選ばれるまでとなった。それを知っているだけに、大樹の突然の告白には純一も言葉を失うしか無かった。

 

「確かにこの学園の生徒は優秀だ。授業をしている時は凄く楽しかったし、自分がカードゲームを始めた時の気持ちを思い出す事が出来た。でもね純一君。それを差し引いてもこの学園は異常だ。代表候補生としての義務を放棄し、責任感を持たない生徒や教師としての仕事を放棄している教師がいたような学園は果たしてまともだと言えるか?」

 

「長尾先生。先生の仰りたい事は僕も同じように考えていますし、気持ちも分かります。しかし……!」

 

「俺の目から見てもIS学園は最早公正な教育機関として機能しているとは思えない。IS委員会、引いては女尊男卑の世の中にとって気に入らない奴を排除しようとする。学校の虐め問題と同じだ。都合が悪い事が起きると隠蔽したりする。それを平然と行える連中が上層部にいる学園の何処が公正な教育機関と言えるんだ?」

 

「それは……」

 

「純一君。悪い事は言わない。事態が悪化する前に『私立鳳凰学院』に転校するんだ。俺も平等院財閥から話を聞いている。君の事は弟のように可愛がってきたけど、君までISの犠牲者になるのは俺には我慢出来ない」

 

 大樹は不運だったとしか言えない。担当を受け持ったクラスが学級崩壊を起こしているようなクラスで、問題が解決して大会に挑んだと思ったら、訳の分からない連中に好き勝手されてしまった。そして自分が大切に思い、指導した生徒達に辛い思いをさせてしまった。

 全ては自分の力不足だと痛感した大樹だったが、IS学園の闇を見た事で講師を辞めて、IS学園から去る道を選んだ。『カードターミナル』に戻り、お客様相手にしながらカードに囲まれる仕事に戻る道を。

 

「悪いな。君はこれから審判の仕事があるんだったな。俺はもう少しこの学園にいる。まぁフリー対戦でも何でも付き合うよ」

 

「長尾先生……」

 

 純一は自分のクラスの試合が終わった後、審判としての仕事がある。『カードターミナル』から頼まれた仕事であり、本人は決して断る訳には行かなかった。

 大樹に促される形で第2アリーナに向かっていく純一だが、彼の心は晴れなかった。どうしてこうも事態が悪い方向に進んでいるのか。それを考えるだけで辛くなる。

 

 

 

 さて学年別クラス対抗デュエルトーナメント初日だが、1年生の部の第1試合が6組の棄権と言う結果となり、1年5組は実質純一の力で勝利したと言う事になる。

 もしこれが棄権でなければ嬉しかっただろうが、この異常としか言えない事態に観客だけでなく、IS学園の生徒や教員達ですら驚きと戸惑いの声が相次いだ。

 特にナタリアの出身国、スペインの要人は純一のおかげでパワーアップしたナタリアの奮闘を心待ちにしていただけに、彼女の試合が無くなった事で落胆と驚きを示し、IS委員会に問い合わせる程だった。

 

「何だよ……純一君が試合して勝ったら戦意喪失か? 一体何がどうなっている?」

 

「話によると、控えている2人が体調不良になったとか何だとか……俺もよく分からないよ」

 

「純一君のデュエルを見せられてやる気を無くしたのか? 全くだらしないな! ISさえあれば何でも出来るって思っていたんじゃないのか?」

 

「いや、確か6組は女尊男卑を掲げる代表候補生と担任に虐げられていたらしい……ISを動かせる思い上がりはないと思うな」

 

「と言う事はあれか? IS委員会だか何だか知らないが、上からの圧力って奴で棄権させられたのか?」

 

「その可能性はあるな……或いは別の何かがあったのか。何れにせよ、きちんとした説明を行わない限り、俺達は納得出来ない」

 

 第2試合は1年1組と7組の試合。“世界初の男性IS操縦者”の織斑一夏がいるクラスが試合を行う為、IS委員会は純一には負けるもののそれなりに盛り上がると信じていた。

 しかし、一般客は織斑一夏のデュエルはどうでも良かった。黒田純一のデュエル見たさにわざわざ高いお金を払ってチケットを購入し、わざわざ仕事を休んでIS学園まで足を運んでいた。純一以外の試合に興味あるのはIS関係の連中と政府要人だけ。

 第1試合で純一が出場し、大会優勝経験者の実力を見せ付けながらも、対戦相手の蘭も健闘した。事実、純一の試合を観戦していた『遊戯王OCG』のプレーヤー達は口を揃えてこう言っていた。

 

―――蘭さんが先攻を取っていたら純一君に勝てた可能性もあった。

 

 純一もデュエルディスクに搭載されている記録機能で見返すと、蘭の初手の良さに驚き、先攻を取られていたら危なかったと冷や汗をかいた。

 改めて先攻を取った事と、1ターン目で《ダークシミター》を手札に持っていた事が勝因だったと振り返っていた。

 

「あれ? 何か違うぞ? 5組の2番手同士の対戦なのに、どうしてその次のクラスの対戦になっているんだ?」

 

「何か6組が棄権したそうだよ? 理由はよく分からないけど……」

 

「えっ? 一体何がどうなっているんだ? 俺達の知らない所で何が起きているんだ?」

 

 こうして学年別クラス対抗デュエルトーナメントに不信と疑念が渦巻く中、1年生の部では第2試合の1年1組と7組の試合が始まった。1組の1番手は一夏で、7組の1番手はアンナ。観客達は戸惑いながら2人を観ている。

 審判を純一が務め、両者が不正をしないように目を光らせる中、一夏は緊張しながらも先攻を選んでデュエルを開始させた。

 

 

 

・1ターン目

 

 はい、皆さん。お久し振りです。マスター・ユウギです。今回は大会が動画配信されていると言う事で、実況と解説を交えながらお送りしたいと思います。

 やあやあ皆さん、どうもこんにちは! 古のデュエリスト、篠ノ之束で~す! 私もつい最近復帰しましたけど第7期、今から10年前で知識が止まっています! 非常に覚える事が多くて大変です!

 今回は束博士と一緒に織斑君とアンナさんのデュエルを観ながら、過去の歴史について振り返ったり、カード効果を説明したりします! ではよろしくお願いします!

 

「俺の先攻! スタンバイ。メイン入ります。先ずは《光の援軍》を発動!」

 

 いっくんは【ライトロード】デッキか~懐かしいな~私がやっていた頃は環境入りしていたけど、そもそも初登場は第5期の『LIGHT OF DESTRUCTION』で、けっこう古くからある由緒正しいテーマなんだよね~

 確か《オネスト》が表紙だったんですよね? その後2008年9月の制限改訂で、【ライトロード】の切り札の《裁きの龍(ジャッジメント・ドラグーン)》が準制限カードになった程、環境どころか『遊戯王』に大きな影響を与えたテーマですよね。

 私が覚えているのは、第6期に出た『EXTRA PACK Vol.2』で出た《光の援軍》かな? あの時はそこまで規制を受けていなかったし、新規サポートカードを貰って大暴れしてたな~私はそれにアンデットモンスターを入れて、【アンデライロ】を使っていたよ。

 あ~ありましたね! さて一夏君が発動したのは今話に出た《光の援軍》! かつて制限カードだった経験もある程、当時の【ライトロード】にとって強力なサポートカードです!

 

 

《光の援軍》

通常魔法

(1):自分のデッキの上からカードを3枚墓地へ送って発動できる。

デッキからレベル4以下の【ライトロード】モンスター1体を手札に加える。

 

 

「自分のデッキトップからカードを3枚送り、デッキからレベル4以下の【ライトロード】モンスター1体を手札に加える! 俺が手札に加えるのは《ライトロード・アサシン ライデン》!」

 

 一夏君はチューナーモンスターの《ライトロード・アサシン ライデン》をサーチしましたが、シンクロ召喚狙いでしょうか? 恐らく手札には自力で特殊召喚出来るモンスターがいるとは思いますが……

 ちなみに3枚墓地に落ちたのは《超電磁タートル》、《裁きの龍(ジャッジメント・ドラグーン)》、《ゾンビキャリア》……ちょっと弱いね。

 いや《超電磁タートル》と《ゾンビキャリア》が落ちたのは良いです! 墓地で効果を発動するカードなので、これで正解です!

 

「俺のフィールドにモンスターが存在しない場合、このモンスターは手札から特殊召喚できる! 現れろ、《フォトン・スラッシャー》!」

 

 

《フォトン・スラッシャー》

特殊召喚・効果モンスター

レベル4/光属性/戦士族

ATK/2100 DEF/0

このカードは通常召喚できない。

自分フィールドにモンスターが存在しない場合に特殊召喚できる。

(1):自分フィールドにこのカード以外のモンスターが存在する場合、このカードは攻撃できない。

 

 

「続けて《ライトロード・アサシン ライデン》を通常召喚! 俺のデッキの上からカードを2枚墓地へ送り、この中に《ライトロード》モンスターがあると、このカードの攻撃力は相手ターン終了時まで200上がる!……まぁこの効果はどうでも良いんだけどな」

 

 

《ライトロード・アサシン ライデン》

チューナー・効果モンスター

レベル4/光属性/戦士族

ATK/1700 DEF/1000

このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分メインフェイズに発動できる。

自分のデッキの上からカードを2枚墓地へ送る。

この効果で墓地へ送ったカードの中に《ライトロード》モンスターがあった場合、さらにこのカードの攻撃力は相手ターン終了時まで200アップする。

(2):自分エンドフェイズに発動する。自分のデッキの上からカードを2枚墓地へ送る。

 

 

「俺はレベル4モンスターの《フォトン・スラッシャー》に、レベル4チューナーの《ライトロード・アサシン ライデン》をチューニング! 終焉の闇と開闢の光が交わりし時、大いなる混沌より全てを統べる魔龍が解き放たれる! 現れろ、《混沌魔龍 カオス・ルーラー》!」

 

 何このドラゴン!? 私初めて見たよ!? 名前からして《カオス》モンスター?

 そうですね……このSモンスターは第11期になって発売された初めてのパック、『RISE OF THE DUELIST』で登場したSモンスターで、まぁ実質【ライトロード】強化と言えます。打点も高いですし、効果が強いです。

 

 

《混沌魔龍 カオス・ルーラー》

シンクロ・効果モンスター

レベル8/闇属性/ドラゴン族

ATK/3000 DEF/2500

チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードがS召喚に成功した場合に発動できる。

自分のデッキの上からカードを5枚めくる。

その中から光・闇属性モンスター1体を選んで手札に加える事ができる。

残りのカードは墓地へ送る。

(2):このカード以外の光・闇属性モンスターを1体ずつ、自分の手札・墓地から除外して発動できる。このカードを墓地から特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。

 

 

「S召喚に成功した《カオス・ルーラー》の効果発動! デッキトップからカードを5枚めくり、その中から光・闇属性モンスター1体を選んで手札に加え、残りを墓地に送る!」

 

 さて《カオス・ルーラー》の効果でいっくんのデッキトップから5枚カードがめくられたけど、マスター・ユウギさん、いっくんはどれを使えると思う?

 めくられたのは《亡龍の戦慄-デストルドー》、《混沌帝龍(カオス・エンペラー・ドラゴン)-終焉の使者-》、《BF-精鋭のゼピュロス》、《ソーラー・エクスチェンジ》、《おろかな埋葬》の5枚です。この中なら 、《混沌帝龍(カオス・エンペラー・ドラゴン)-終焉の使者-》でしょうか。

 

「俺は《混沌帝龍(カオス・エンペラー・ドラゴン)-終焉の使者-》を手札に加え、残りを墓地に送ってターンエンド!」

 

 

織斑一夏

LP:8000

手札:4

フィールドゾーン:なし

EXモンスターゾーン:なし

メインモンスターゾーン:《混沌魔龍 カオス・ルーラー》

魔法・罠ゾーン:なし

 

 

 

・2ターン目

 

「1ターン目から攻撃力3000のSモンスターを出すとは流石ですわ! しかし、私も負けていられません! 私のターン! ドローフェイズ、ドロー! スタンバイ。メイン。では私のデッキの力をお見せしましょう!」

 

 さて後攻のアンナさんなんですが、今回の大会がIS学園の学園行事に初登場となるスイスの代表候補生。普段はお淑やかなお嬢様だが、勝負事になるとキャラが変わると7組の担当講師の方からプロフィールを預かってきました。

 

「先ずは……そうですね、先にこのカードを使いましょう。《化石調査》を発動します。デッキからレベル6以下の恐竜族モンスター1体を手札に加えたいです」

 

「【恐竜】デッキか……良いよ」

 

 《化石調査》……今は準制限に指定されている超強力なカード! 【恐竜】デッキにおける《増援》枠です!

 えっ!? このカードの登場は6期だけど、今準制限に指定されているって事は【恐竜】は物凄く強くなったの?

 なりました。9期の最後に発売されたストラク、『恐獣の鼓動』のリメイク版で環境入りして世界大会を制覇する程に。あの時は【恐竜竜星真竜】と言う3つのテーマの混合デッキとして使われていましたが、2017年10月の制限改訂で準制限になりました。

 へぇ~と言う事はジュン君も当然そのデッキと対戦して、このカードの強さを知っている訳か。それじゃ私の知らないカード達を勉強する為に拝見しましょう。

 

「《魂喰いオヴィラプター》を手札に加えます。そして手札から《ワールド・ダイナ・レスリング》を発動し、そのまま《ロストワールド》に張り替えます」

 

「なっ!? 発動した意味があるのか!?」

 

「本当は《おろかな副葬》で《ワールド・ダイナ・レスリング》を墓地に落としたかったけど、手札になくて……でも墓地効果が使えるようになりました!  それを今から教えてあげます。相手フィールドのモンスターの数が自分フィールドのモンスターより多い場合、このカードは手札から特殊召喚出来ます。《ダイナレスラー・パンクラトプス》を特殊召喚!」

 

「まさか……【ダイナレスラー】デッキ!?」

 

「その通り。正確には《ダイナレスラー》を軸にした【恐竜族】デッキですけど」

 

 出ました《ダイナレスラー・パンクラトプス》! こちらも準制限に指定される程の超強力なカードです! 

 えっ!? これ強くない!? 打点2600で《サイバー・ドラゴン》みたいな特殊召喚効果持ちで、相手ターンにも除去効果使えるんだよ!? 

 そうなんですよ~しかも自分フィールドの《ダイナレスラー》モンスター1体をリリースして発動する効果なので、自分を対象にしても発動出来るんです。色んなデッキに出張出来る事もあって準制限カードになっちゃいました……

 

 

《ダイナレスラー・パンクラトプス》

効果モンスター(準制限カード)

レベル7/地属性/恐竜族

ATK/2600 DEF/0

このカード名の、(1)の方法による特殊召喚は1ターンに1度しかできず、(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):相手フィールドのモンスターの数が自分フィールドのモンスターより多い場合、このカードは手札から特殊召喚できる。

(2):自分フィールドの《ダイナレスラー》モンスター1体をリリースし、相手フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。

この効果は相手ターンでも発動できる。

 

 

「ここで《ロストワールド》の2番目の効果を発動します。恐竜族モンスターが召喚・特殊召喚された場合、1ターンに1度、相手フィールドに《ジュラエッグトークン》1体を守備表示で特殊召喚します」

 

「えっ? 良いのか? 俺のフィールドに《トークン》を特殊召喚しても」

 

「良いんですよ? ここからが【ダイナレスラー】の本領なので」

 

 

《ロストワールド》

フィールド魔法

(1):恐竜族以外のフィールドのモンスターの攻撃力・守備力は500ダウンする。

(2):1ターンに1度、恐竜族モンスターが召喚・特殊召喚された場合に発動できる。

相手フィールドに《ジュラエッグトークン》(恐竜族・地・星1・攻/守0)1体を守備表示で特殊召喚する。

(3):相手フィールドにトークンがある限り、相手はトークン以外のフィールドのモンスターを効果の対象にできない。

(4):1ターンに1度、フィールドの通常モンスターが戦闘・効果で破壊される場合、代わりにその数だけ自分の手札・デッキの恐竜族モンスターを破壊できる。

 

 

「先に使いましょうか。手札の《幻創のミセラサウルス》を墓地へ送って効果を発動します。このメインフェイズの間、私のフィールドの恐竜族モンスターは相手が発動した効果を受けません。なので《エフェクト・ヴェーラー》は無意味になりました」

 

 《エフェクト・ヴェーラー》は相手フィールドの効果モンスター1体を対象として発動できる効果なので、《幻創のミセラサウルス》の効果で発動しても意味が無くなりました。

 9期に入ってからストラクのリメイクが大部分だと思うけど、だいぶ恐竜族強化されたんだな~これ昔使っていた人大歓喜だよ!

 

 

《幻創のミセラサウルス》

効果モンスター

レベル4/炎属性/恐竜族

ATK/1800 DEF/1000

《幻創のミセラサウルス》の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分・相手のメインフェイズにこのカードを手札から墓地へ送って発動できる。

そのメインフェイズの間、自分フィールドの恐竜族モンスターは相手が発動した効果を受けない。

(2):自分の墓地からこのカードを含む恐竜族モンスターを任意の数だけ除外して発動できる。

除外したモンスターの数と同じレベルの恐竜族モンスター1体をデッキから特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したモンスターはエンドフェイズに破壊される。

 

 

「相手フィールドのモンスターの数が自分フィールドのモンスターより多い場合、墓地にある《ワールド・ダイナ・レスリング》を除外して効果を発動します。デッキから《ダイナレスラー》モンスター1体を特殊召喚します。《ダイナレスラー・システゴ》にします」

 

「成る程! 《トークン》を俺のフィールドに特殊召喚したのは、《ワールド・ダイナ・レスリング》の墓地効果を使う為だったのか!」

 

「その通り! 《ダイナレスラー》モンスターの一部は共通効果で、“相手フィールドのモンスターの数が自分フィールドのモンスターより多い場合”とテキストで記されているので、【ダイナレスラー】と相性が良いんですよ」

 

 ここ最近のカードってフィールドに出して効果を使った後、墓地から除外して発動出来る効果持ちが多いの? 例えば《ネクロ・ガードナー》がその切っ掛けみたいな所はあったけど……

 そうですね……《ブレイクスルー・スキル》や《ギャラクシー・サイクロン》みたく、汎用魔法・罠でもそのような効果持ちのカードがあります。

 

 

《ワールド・ダイナ・レスリング》

フィールド魔法

このカード名の(3)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドに《ダイナレスラー》モンスターが存在する場合、お互いのプレイヤーはバトルフェイズにモンスター1体でしか攻撃できない。

(2):自分の《ダイナレスラー》モンスターの攻撃力は、相手モンスターに攻撃するダメージ計算時のみ200アップする。

(3):相手フィールドのモンスターの数が自分フィールドのモンスターより多い場合、墓地のこのカードを除外して発動できる。

デッキから《ダイナレスラー》モンスター1体を特殊召喚する。

 

 

「特殊召喚に成功した《ダイナレスラー・システゴ》 の効果を発動します。デッキから《ダイナレスラー》モンスター1体か、《ワールド・ダイナ・レスリング》 1枚を手札に加えます。ここは……2枚目の《パンクラトプス》にします」

 

「でもターン1制限で特殊召喚は出来ないぞ?」

 

「そうなんですよね……フィールドにいる《パンクラトプス》の効果を発動します。自分フィールドの《ダイナレスラー》モンスター1体をリリースし、相手フィールドのカード1枚を破壊します。これは相手ターンでも発動出来るフリーチェーン効果です。なので……《ダイナレスラー・システゴ》 をリリースし、《カオス・ルーラー》を破壊したいです」

 

「お、俺の《カオス・ルーラー》が~!」

 

 ありゃりゃ……折角出した《カオス・ルーラー》が……でも次のターンで光・闇属性モンスターを1体ずつ、自分の手札・墓地から除外すれば蘇生出来るんだよね?

 そうなんですけどね……果たして一夏君に次のターンがあるかどうかが問題なんです。まだアンナさんのメインフェイズは終わっていませんし……

 

「このターン私はまだ通常召喚をしていませんでした。さっきサーチした《魂喰いオヴィラプター》を通常召喚して効果を発動します。このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、デッキから恐竜族モンスター1体を選んで手札に加えるか、墓地へ送ります。ここは《ダイナレスラー・カポエラプトル》を墓地に送ります」

 

 

《魂喰いオヴィラプター》

効果モンスター(制限カード)

レベル4/闇属性/恐竜族

ATK/1800 DEF/500

《魂喰いオヴィラプター》の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。

デッキから恐竜族モンスター1体を選び、手札に加えるか墓地へ送る。

(2):このカード以外のフィールドのレベル4以下の恐竜族モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを破壊する。

その後、自分の墓地から恐竜族モンスター1体を選んで守備表示で特殊召喚する。

 

 

「《魂喰いオヴィラプター》の効果を発動します。このカード以外のフィールドのレベル4以下の恐竜族モンスター1体を破壊し、私の墓地から恐竜族モンスター1体を守備表示で特殊召喚します。織斑君のフィールドの《ジュラエッグトークン》を破壊し、今墓地に送った《ダイナレスラー・カポエラプトル》を守備表示で特殊召喚!」

 

「レベル4恐竜族モンスターが2体……! まさか……!」

 

「織斑君の墓地に《超電磁タートル》がいるからここは……良し! 私は《魂喰いオヴィラプター》と《ダイナレスラー・カポエラプトル》でオーバーレイ! 2体のレベル4恐竜族モンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築! エクシーズ召喚! 現れろ、ランク4! 《エヴォルカイザー・ドルカ》!」

 

 こ、これがエクシーズ召喚……同じレベルのモンスターを複数体揃えて行う召喚方法……初めて見た! 凄い凄い!

 アンナさんがエクシーズ召喚したのは《エヴォルカイザー・ドルカ》と言って、素材を1つ使う事でモンスター効果の発動を無効にして破壊する効果持ちなんです。初登場したのは2012年の『EXTRA PACK』でした。

 へぇ~海外から来たんだ。海外からたま~に強いカードやテーマが来るんだよね……例えば【Kozmo】や【彼岸】とか。

 

 

《エヴォルカイザー・ドルカ》

エクシーズ・効果モンスター

ランク4/炎属性/ドラゴン族

ATK/2300 DEF/1700

恐竜族レベル4モンスター×2

(1):このカード以外のモンスターの効果が発動した時、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。その発動を無効にし破壊する。

 

 

「私はまだ動けますよ……墓地の《ダイナレスラー・システゴ》 と《幻創のミセラサウルス》をゲームから除外し、 《 究極伝導恐獣(アルティメットコンダクターティラノ)》を特殊召喚!」

 

 

究極伝導恐獣(アルティメットコンダクターティラノ)

特殊召喚・効果モンスター

レベル10/光属性/恐竜族

ATK/3500 DEF/3200

このカードは通常召喚できない。

自分の墓地の恐竜族モンスター2体を除外した場合に特殊召喚できる。

(1):1ターンに1度、自分・相手のメインフェイズに発動できる。

自分の手札・フィールドのモンスター1体を選んで破壊し、相手フィールドの表側表示モンスターを全て裏側守備表示にする。

(2):このカードは相手モンスター全てに1回ずつ攻撃できる。

(3):このカードが守備表示モンスターを攻撃したダメージステップ開始時に発動できる。

相手に1000ダメージを与え、その守備表示モンスターを墓地へ送る。

 

 

「バトルフェイズ! 先ずは《エヴォルカイザー・ドルカ》で攻撃!」

 

「墓地にある《超電磁タートル》の効果……」

 

「X素材を1つ取り除き、《エヴォルカイザー・ドルカ》の効果を発動します! 《超電磁タートル》の効果を無効にして破壊……おっと墓地にいるので破壊出来ませんね。攻撃は通ります!」

 

 あちゃ~いっくん、これは厳しい展開だね。《エヴォルカイザー・ドルカ》の効果は後1回使えるけど、手札に《バトルフェーダー》や《冥府の使者ゴーズ》がないとワンターンキルされちゃうよ~!

 【ダイナレスラー】と言うより、【恐竜族】が強いんですよね……流石9期最後で超強化されたテーマだけあります……

 

「続けて《パンクラトプス》で攻撃!」

 

「ライフで受ける!」

 

「止め! 《 究極伝導恐獣(アルティメットコンダクターティラノ)》でダイレクトアタック!」

 

 1年生の部2試合目。1年1組と7組の1本目。織斑一夏とアンナ・シュナイダーのデュエルは予想外の結末を迎える事となった。

 何と、『遊戯王』経験者で純一の対抗馬として期待されていた一夏が、初心者のアンナに敗北してしまったからだ。しかも後攻1ターンキルと言う形で。

 まさかの1ターンキルを成し遂げたアンナに観客達はどよめくも、勝利を祝福するように歓声と拍手を送り、アンナはそれに応えてからピットへと戻っていった。

 

 

 

「いや~綺麗な後攻1キルだったね……」

 

 選手交代も兼ねた10分間のインターバル。審判の純一は困ったような表情を浮かべながら、今もなお呆然と立ち尽くしている一夏に声を掛けている。

 一夏は信じられなかった。まさか初心者相手に負けるなんて。しかも後攻1ターンキルを許してしまうと言う形で負けたなんて。その現実を受け入れられず、その事実に打ちのめされていた。

 IS学園に入学してからこれまで数々のバトルをこなしてきた。代表候補生と戦った事もあったし、無人機と戦った事もあった。その時は勝った事もあったし、それなりに競い合ったりしてきた。負けた事はあったけど、ここまで一方的にやられた事はなかった。

 それなのに。それなのにこれは一体どういう事なのか。自分は経験者な筈なのにどうして初心者にこうもあっさりとやられたのか。1ターンキルをされたのか。

 

「一夏。よく覚えておけ。これが『遊戯王』の大会だ。大会常連者でもカジュアル勢に負ける事もあれば、大会に初めて出た人に負ける事もある。その逆もまた然り。最後まで何が起きるか分からない。それがデュエルの面白さであり難しさだ」

 

「まぁそう気を落とすな。この大会は団体戦。2番手と3番手で勝てば良い。次は箒だったな。ほら、そろそろ戻ろうよ。次の試合の人に迷惑かけるからさ。……一夏?」

 

 純一は一夏を励ますように肩を叩きながら退場を促すが、一夏は俯いたままその場から動こうとしなかった。

 その様子を見ていつもの一夏らしくないと感じたのだろう。純一が一夏の顔を覗き込むと、その時異常事態が発生した。

 

「ガァッ!?」

 

 純一の胸を横一文字に斬り裂いたのは、一夏が纏うISこと『白式』の主武装。刀剣型近接武器の雪片弐型。その薙ぎ払いによって、純一の胸から夥しい量の血飛沫が舞い散り、彼の視界と第2アリーナの地面を真っ赤に染め上げていく。

 胸部から伝わる激痛に顔を歪ませつつ、景色が霞むのをこらえ、純一は意識を失いながらも一夏に向けて手を伸ばす。それは自分を突然攻撃してきた親友を思いやっての事なのか。或いはまだ死にたくないと言う意思表示からなのか。

 




ここまで読んで下さり、大変ありがとうございます。

次回予告

純一が斬られた事で、学年別クラス対抗デュエルトーナメントはまさかの中止の事態になった。発生した事件によってIS学園は世論の逆風に晒される事になる。
職員会議で明らかになる事件の概要と真実。果たして純一と一夏の運命は!?

TURN19 動乱の始まり 起こるべくして起きた悲劇
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