GOD EATER 2 ‐刃と命で護るもの‐   作:金科玉条

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ずいぶん遅れた更新ですが
今回はリツガとナナの出会いです
ちなみにリツガとは漢字で律牙と書き、律――つまり法の牙で悪、つまりアラガミを裁くという意味合いが込められています
誰もそんなこと聞いてないって?そうですね、すみませんでした(てへぺろ


3:新人邂逅

――彼は、無防備になることが、嫌いだった。

ジュリウスのように颯爽と、いかにも強く生きて行けたらいい、とは思う。

だが、彼は存外、自分の外側にあるものに対して強く警戒し、怯えて、しかしその怯えを誰にも見せない。

会ったばかりの青年を引き合いに出すことに抵抗を感じて思考を中断すると、リツガは立ちあがった。

そろそろ、偏食因子が馴染むころだろう――と、自身で見当をつけたのである。

早く自らの武器を振りまわしたくて仕方がないだけ、とも言えるが。

「戦えば、世界を護れるのだからな…それはまあ、戦うしかないだろう」

ひとりごちて、エレベーターへ足を向ける。その時、先ほど試験会場ですれ違った女性――イロハである――が入ってきた。

「あ、こんにちは…いや、初めまして?」

「…ん、ああ、初めましてだな」

酷くおざなりに挨拶を交わして、再びすれ違う。お互いに、どこか自分と似たものを感じ、それゆえに何か言葉を交わすのが億劫で仕方ない――と思った。

初対面に等しいというのに、何故そう思うのかはやはりわからなかったけれど。

「碧染リツガだ」

「あたしは汐華イロハ」

「よろしく」

「よろしくね」

そのまま、目を見合わせる事もなく、リツガはロビーへ、イロハは大樹の根元へ、それぞれに去っていった。

 

 

 

「あ、お疲れ様ー!」

ロビーへ戻ったリツガを迎えたのは、やけに露出の多い大胆な服装をした少女――と言えばわかりやすいだろうか。

サラシ、と呼んで差し支えない布で胸元を覆い、その上に小さなベストを羽織っただけの、よく言えば活動的な、悪く言えば――いや、悪くも無いのだが、目のやり場に困る――と思いつつ、屈託のない笑みに引き寄せられて、リツガは向かいに座った。

「君もブラッドの新入生…じゃなくて、新入りの人だよね?」

「ん…?ああ、碧染リツガ、先ほど適合試験を通過したところだ」

「私はナナ!同じく、ブラッドの新入りです!よろしくねー!」

元気よくそう言って彼女が振り上げた左手には、リツガの今まで見たことのないものが握られていた。

コッペパン――であろうことは、想像がつく。

問題なのは、それに挟まれている種々雑多な具材であった。

こんにゃく、大根、果てはタコの足らしきものまでもが、一本の串に刺し貫かれ、長いコッペパンに挟まっていたのである。

しかし、威勢よくかぶりついているあたり、それはおそらく食べ物なのだろう。

(…これは突っ込んだら負けだろう)

「よく食べるな」

おでん、と言う奴ではないだろうか…なぜ、パンに挟まっているのだろう…

疑問を飲み込んで、それだけ呟いた。

「そうかな?結構、これでフツ―だよ?」

どちらかというと“そーかな”に近い発音で、彼女はなぜか得意げに話しだした。

「それにさ、『ゴッドイーター』は食べるのが仕事だから、これも仕事の一環みたいなものなんですよ!……でしょ?」

でしょ、と同意を求められても困るのだが…と言わないうちに、ナナと名乗った少女は謎のおでんパンをがつがつと平らげてしまった。その早さと異様さに声を失っているリツガへ向けて、ナナが微笑む。

「あ、そうだ…お近付きのしるしに…」

ごそごそ、と大きなズタ袋を探るナナに、リツガは少しと言わず、かなり嫌な予感を覚えた。

「はい、どうぞ」

すっ、と差し出されたのは無論、大きなコッペパンにちくわとタコと卵と大根、そしてコンニャクを挟んだ奇妙奇天烈な食品である。

「お母さん直伝!ナナ特性のおでんパン!すっごく美味しいから、よかったら食べてよー!」

…やっぱり、おでんパンだったのか。

受け取ってしげしげと眺めていると、突然、ナナが慌てたように立ち上がった。

「おっと、私そろそろ訓練の時間だから…行ってきまーす!」

誰にともなく――いや、リツガに向けて、なのだろうが、元気よく告げると、袋を担いで小走りに去る。取り残されてなお、おでんパンを見つめていたリツガに、ナナが少し離れて呼びかける。

「残したら、あとで怒るからねー!」

そうして、今度こそ走り去ったナナを見送り―――

「…これ、案外いけるな」

独立機動支部、または移動要塞の名を持つフライアのロビーで、碧染リツガはひとり、得体のしれないおでんパンをほおばるのだった。

「…ちょっとアンタ、何食べてんのよ」

唐突に背後から声をかけられるまで、リツガはおでんパンに集中していた。声をかけたのはもちろん、汐華イロハである。

「なんなのそれ、おでんなの?パンなの?」

「これはおでんパンだ」

「どっちかにしなさいよね」

「私ではなくナナに言って貰いたいね」

「7?」

溜息をついて額を押さえ、リツガは立ち上がった。

「香月ナナ、私たちと同じブラッドの新入生だそうだ…後で挨拶でもしておくといいだろう」

「…ふーん…女の子か」

「それでは、私は訓練に行ってくるのでな」

「せいぜい頑張んなさいよ」

右手を上げて挨拶の代わりにすると、リツガは背を向けて歩き出す。

「女の子…か」

意味深な笑みを浮かべて、イロハはソファーに座りこむと、暫くの間腕を組んでにこにことしていた。




前回も妙な文で終わってしまいました
今回もまた微妙な感じです
ちなみに次回は極東支部でのエピソードを少し
また新しい子が出てきます。うちの子可愛い
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