現金ドロップ型ダンジョン、"守銭奴の森"へようこそ! 作:非対称ジメチルヒドラジン
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風呂に入った。そう、俺は風呂に入った筈だった。
幻覚を見ているのだろうか?ここには浴槽は無い。
あるのは広大な森林だけだ。
そして明らかな人工物、そう、灰色の女神像が仁王立ちしていた。何やら意味有りげだ。
俺は一糸纏わぬまま、その女神像に近づいて、
意味も無く触れてみた。
[ピロリろリーン♪襲撃レベル1、スタート!]
機械音声で、確かにそんな声が聞こえた。
すぐに、森の中から醜悪な小鬼が出て来た。
緑色の皮膚に一本のツノ、体長は俺の腰の高さほど。
そして手には、何やら痛そうな棍棒が握られていた。
下劣な笑みを浮かべながら、小鬼はこっちに近づいてくる。奴は俺を殴りに来ている。見ればわかる。
小鬼はすぐそこまで来て、俺に棍棒を振り上げた!
ヤベッ!回避!
すっぽんぽんのまま緊急回避。
咄嗟の横飛び!
瞬間、すぐ横に、鈍い棍棒の音がした。
子鬼は地面に棍棒を叩きつけた!
危なかった。あれは喰らいたくなかった。
「コノヤロ!」
とっさの蹴り。踵落し。
小鬼の背中にクリーンヒット!
「ウゲッ!」
小鬼が衝撃で、地面に打ち付けられる。
ちゃーんす♪
棍棒を奪い取り、小鬼の背中にフルスイング!
仕返しじゃ!
グギッ!
何かが折れる音がした。同時に小鬼が動かなくなる。
息も入れぬ間に、子鬼は消えていった。
光の粒子となって、不思議な事に消え行ったのだ。
奪い取った棍棒も消えていた。
女神像に近づいてみる。一連の不可解な現象の原因はコイツにある気がしたからだ。
[kill数はゴブリン1体、払い出しは100円なり!またの挑戦をお待ちしております!]
女神像の台座の窪みから、白銀色の100円硬貨が出てきた。自販機のお釣りのアレみたいだった。
隠せない困惑。
だが俺はこれまでの出来事を総合的に考慮して、
この100円を着服する事にした。
気がつくと、俺は普通の風呂場に居た。
相変わらずすっぽんぽんで。
だがこの手は確かに、例の100円玉を握っていた。
交錯する思考。直ぐに俺は全てを理解した。
これは一大ビジネスちゃんすだ。
悪いがひと儲けさせてもらう。
笑いが止まらなくなった俺は、準備の為、風呂場から飛び出し、服を着替えて、そしてホームセンターにすっ飛んで行った。
それにしてもあのゴブリン野郎、
丸腰を襲うとは卑怯なり。
ウヒャヒャ、タコ殴りじゃ。
痛そうな武器をいっぱい買ってきてやる。
あのクソゴブリン野郎め、震えて眠れ。
あ、財布の中の金で足りるかしら?
そんな悪い事を考えながらも、
直ぐにホームセンターに到着した。