現金ドロップ型ダンジョン、"守銭奴の森"へようこそ! 作:非対称ジメチルヒドラジン
毒ガスの有効性を痛感した俺は、この儲けた金を投じて、本格的な毒ガス戦に備える為の準備を開始した。
まずは化学防護服。5000円の使い捨て用を3着購入。どうやらガスマスク内蔵型らしい。吸入缶は塩素ガスに対応した物を別口で買う。合わせて2万円ナリ。
そして漂白剤。こちらも大量に。
量が量なので業者から直接、安く仕入れる事にした。
つまり箱買い。3日後くらいに届くはず。
最後にガラス瓶。ドレッシングの容器のアレを100個単位で注文しておしまい。案外安かった。100本入りで8000円。
どうせなのでワインの空き瓶も注文しておいた。
火炎瓶もあったほうが心強い。
高圧洗浄器を改造して火炎放射器にするのも夢がある。
しかし事故ったら大惨事になりそうだ。
恐ろしいのでやっぱりそれは遠慮しとく。
商品が届くまで暇なので、ガレージの奥から電ノコを引っ張り出して、ベニヤ板シールドの改良を。
覗き窓を開けて、ちょうどその穴にハマる大きさに切ったアクリル板を挿入。瞬間接着剤をベタ塗りしてしっかりと固定すれば、"ベニヤ板シールド改一"の完成。
これなら安全に視界を確保できる。
次。
ガレージのガラクタ置き場に置いてあった、個人用打ち上げ花火を数本回収した。2年前のヤツだ、そのうち使おう使おうと言ってたのに遂には使わなかった可哀想な子。
火薬は湿ってないかしら?
もし使えるなら、こちらで悪用させて頂きます。
更に捜すと、花火の発射筒がピッタリと収まるサイズの鉄パイプを発見。もちろん、やる事はただ一つ。
パイプにドリルで穴を開け、導火線の通り道を確保。
ここに通した導火線に、ライターで着火すれば数秒後に花火が打ち出される。
さらにグリップと肩当てを付けたら緑のスプレーで塗装。乾いた所に塩ビ管を切っただけの、無倍率の手抜きスコープをポン付けしたら完成。
これぞ"携行式花火砲"。射程距離は約25m。だいたいそこらへんの距離で激しく音を立てて爆発する。さっきみたいな狙撃兵相手にはもってこい、"ベニヤ板シールド改一"と組み合わせれば確実に無双出来る。ガスの効かない敵に対する最終兵器だ。
通販の物品が届くまでの間、俺はさらなる構想、戦術を練って時を過ごす事にした。
結局、物品は全て3日後に届いた。
一つ一つ梱包されたガラス瓶を丁寧に取出し、漂白剤を注ぎ込んでいく。間違いの無いよう、塩素系漂白剤の入った瓶には赤のビニールテープを、酸素系には青のビニールテープを貼り付けていく。
漂白剤が先に尽きた。だが最終的にガラス瓶84本、つまり毒ガス爆弾42セットという驚異的な本数を用意出来た。
戦争だぁ。総力戦だぁ。
それらを台車に乗せて風呂場の前まで運んだら、防護服を身に纏い、花火砲とその予備砲弾を入れた真空パックを背負う。最後に斧を手に持ったら、風呂場へと突撃する。
ドアを開け、中にはいると景色が一変した。
森だ。女神像だ。いつもの場所だ。
先に防御陣地を設営。
女神像にシールドを立て掛けて、
その後ろに台車を止める。
「お願いしまーす」
[ピロリろリーン♪襲撃レベル2、スタート!]
そんな声と共に、
モンスターの大群が押し掛けてきた。