現金ドロップ型ダンジョン、"守銭奴の森"へようこそ!   作:非対称ジメチルヒドラジン

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第7話

黄色く重い霧が風に流され、森の奥深くへと流れ込む。塩素ガスはあらゆる生命体に著しい損害を与える。

 

 

地を這うように迫りくる黄色い霧に呑まれ、悶苦しみながら死んでゆく魔物たちの姿が想像できる。植物にも、動物にも例外は無い。呑まれた暁には、最早死を待つ以外の術は無し。

 

しかし、かえってそれは好都合。

キルカウントが入るたび俺の懐は潤っていくのだ。

あのゴブリンが変なトリガーを引いてしまった。

へへへ、連帯責任だ。ざまーネーゼ。

遠くへと遠ざかる毒霧を、俺はただ見つめるだけで良かった。

 

森の中を散歩しながらふと考えた。

あ、もしかしたら。

 

森林火災を引き起こせば、

前代未聞の大金を入手出来るんじゃ....

 

 

花火砲の着火用ライターを、近くの木に近づけた。

 

 

「アチュ!」

 

風が吹いて火が思わぬ方向に曲がり、

思わず指を火傷しそうになった。

 

コノヤロやりやがったな。

許さん。

 

だが火はついた。

線香のように白煙を上げて枝は燃えた。

煙が顔に降りかかる。

 

ガスマスク越しに見る木の燃焼。

もういっちょ行ってみよう。

 

 

枯れ葉を足で掻き集めて、火種を投下。

直ぐに大きな火となった。

 

その火は木の幹を炙り、黒く焦がす。

火がつくのも時間の問題だ。

 

んじゃあさらにもう一丁。

 

 

花火砲の後ろから、小型の打ち上げ花火の筒をセット、蓋を閉じてロックする。

 

片膝を立て、いわゆるロケットランチャーを構えるような体勢で狙いを付ける。目標はあの燃えそうな落ち葉の溜まり場。そこそこ遠いので火を放つのがめんどくさいのだ。花火砲は有効に使う。

 

 

導火線にライターの火を近づけ、

火がついたら両手で構える。

 

ジジジじーと導火線の燃える音。

手抜きスコープの中心を落ち葉の溜まり場に合わせ、そのまま保持。

 

 

 

ドオオンッ!

 

爆音。強烈な反動。飛び散る火花。

花火は地面にバウンドし、ダイレクトヒット。

 

パーン!という音と共に、

落ち葉が宙に吹き上げられた。

 

 

 

 

多分火がついた。放火成功。

まあ後は放っておこうではないか。

第ニ射を撃つまでもない。

 

 

女神像の元へと戻り、宣言する。

 

「精算お願いしまーす」

 

 

[kill数はゴブリン439体!払い出しは43,900円なり!またの挑戦をお待ちしております!]

 

 

「は?」

 

無意識に声が出た。

オイオイ、ウソ言ってんじゃ無いよ。

あの森の中に、

一体どれくらいの生物が居ると思ってんだい?

 

塩素ガスの総攻撃で5000体は死んだだろうに。

森の中に居るはずの上玉を、俺が金をかけた

塩素ガスで大量虐殺したはずじゃんかよ。

 

その結果がコレ。赤字だ。まるで釣り合わない。

10000円ほどの赤字だ。

手間賃も考えるともっと酷い。

 

んなわけありますかいな。

ゼロが2つ抜けてますぜ。

 

そう必死に訴えたが、女神像はうんともすんとも応えない。ふざけんじゃないわよ。

 

怒り心頭のまま出された金を毟り取ったら、俺はそのまま家に戻された。

 

 

初めての赤字。

まさか黒ゴブリンで上げてから落とすとは。

悪ドイ商売だ。

 

調子に乗ってると政府にチクってこの世界を軍事侵略させっぞコノヤロー。

 

 

10000円の大赤字を喰らい、ガクンとうなだれた。だがこのままでは終われない。敗因を探るべく、俺は頭をフルで回転させて、まずは様々な仮説を立てる事にした。

 

 

 

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