ARIA the Weigh anchor〜その 暁色の 素敵な出会いに   作:リリマル

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続きました!設定ガバガバなのはご勘弁を!!
(´;ω;`)ブワッ


Navigation.1〜その 旅立ちの 水平線に

From:五月雨さん

 

Sub:ご報告です!

 

『 こんにちは!ご無沙汰をしてしまってごめんなさい、お元気にされていますか? 実はビックリすることがあったんです!それで、急いでご報告しなければと思いこのメールを作っています!』

 

 

〜〜〜〜〜〜

 

 

「お休み…ですか?」

 

「えぇそうなんです。昨晩、大本営から通達が届いて」

 

 鳶が天高く舞い、穏やかな波が砂浜に押し寄せては引いていく。その海岸線から一本の橋が伸び、陸地から対して離れていない場所にある島につながっている。その島の外洋側は防御壁やトーチカが立ち並んでおり、島の最高部にはキャンドルのようなタワーが一つ立っている。そのタワーの最上階にある『指揮司令室』にて、ここ『湘南鎮守府』の提督は、手に持った紙をペラペラと振りながらにこやかにデスクの前に立つ五月雨に話しかけていた。

 

「まぁ平たく言えばボーナスと、今後の試験的な意味合いも含んでいるとは思いますけどね。艦娘みんなへの」

 

「私達への?」

 

「そ。お疲れ様っていう、ね」

 

そう言うと、提督は窓から眼下に広がる海岸線に目を落とす。

 砂浜では子供たちが遊び、海の中にも多くはないが人々がサーフィンをしたりボート遊びをしている。漁船が何隻も行き交い、漁港は活気に溢れている。数ヶ月前まで見られなかった光景だ。

 

「平和ですねぇ…」

 

「ええ、まったく」

 

五月雨も窓際に立ち、並んで笑顔で海を見下ろしている。そう、世界の海は平和を取り戻していた。

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

『ご存知の通り、私達と深海棲艦の皆さんとの戦争が終わり数ヶ月が経ちました。大本営の中で暗躍していた悪い人たちが、漸く憲兵隊の皆さんの活躍で一掃されたおかげで、やっと和平条約が結ばれ世界中の海が開放されたんです!

思い返してみれば、私達の鎮守府だけが戦いたくない深海棲艦の皆さんを匿っていたと思っていたのに、私達のせい(おかげとは言えません)で日本中の鎮守府が同じ状況なのがわかり、そこからはあっという間でした!日本中の鎮守府が一斉蜂起し、憲兵隊の皆さんと協力して大本営の中にいた悪い人たちを捕まえ、深海棲艦の皆さんと協力して好戦派の深海棲艦さんたちとの最終決戦。そして和平交渉。

大昔にあった、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律等をなんだか良い感じにして、深海棲艦の皆さんの求めるキレイな海を取り戻す為に、世界は動き始めました!』

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

「ともあれ、世界の海が結果的に段々とキレイになって泳いだりできるようになったのも、何度も言うけど艦娘(みんな)のおかげには変わらないからね。改めてありがとう、五月雨。みんな」

 

「そんな、やめて下さい提督!誰よりも頑張ったのは提督だって、私知ってますよ!?」

 

「いやいや、だって…」

 

「いえいえ!でも…」

 

 そんな風に二人は謙遜しあってやいやいと言葉をかわしている。いつまでも終わりそうにないやり取りを続ける二人を、応接用のソファに座りジトッとした目で見ながら煎餅をバリバリとかじって雑談に興じている人影があった。

 

「…もう撃つこと無くなるだろうし手持ちの残弾叩きこんでいいクマ?」

 

「だめよ球磨さん。…雷が撃つ(やる)わ」チャキッ

 

「それおしぼりだよね?なんか物騒な音したけど…おしぼりだよね?」

 

「え?おしぼりは投擲兵器でしょ?」

 

「何それこっわ。駆逐艦神拳クマ?」

 

「提督〜、五月雨ぇ〜。いい加減に話を進めてくれないと、砲弾とおしぼりがあなた達を襲うわよ〜」

 

「「ごめんなさい!」」

 

 陸奥にそう笑顔で()され、窓際で謙遜しあっていた二人も慌ててソファに駆け寄ってくる。那珂に必死に止められていた球磨と雷も軽く舌打ちをしながらどっかと席に着いた。

溜息を吐きながら那珂が脇に立つ二人に矛先を向ける。

 

「もー!那珂ちゃん苦労人のリーダーポジじゃないんだからね!?プンプン!」

 

「「すいません那珂ちゃんさん…」」

 

「許しました!」

 

「切り替えが早い…さすがアイドル…」

 

ふくれっ面を向けられた五月雨と那珂ちゃんの会話を、苦笑いをしながら聞いていた提督は改めて手元の資料に目を落とした。

 

「提督、それで私達にボーナスってどういう事?」

 

「ええっとですね、要するに…」

 

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

 

『それで実は、私達お休みを頂いたんです!提督は、りんごみがき?とか呟いていましたが、とにかく!大本営が特に激務だったり功績を上げた鎮守府から優先的に、施設の全面修復の名目を兼ねてということになったそうです!しかも私達は横須賀鎮守府に程近いので、そのお休み第一陣に選ばれたんです!』

 

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

 

提督が一通り今回の制度について説明すると、その場に居合わせた五月雨と雷以外の面々は、顔を見合わせてしまう。

 

「現金支給とは別にもし旅行でも行くなら、交通費くらいは基本大本営が全部持ってくれて?」

 

「なにかしたい事があれば面倒くさい手続きや申請は特別待遇で通してくれてクマ?」

 

「」

 

「那珂…那珂!?死、死んで…」

 

「無いよ!ちょっとビックリしちゃっただけだよ!」

 

「白目向いてたわよね?」

「シーッ!雷ちゃん!シーッ!」

 

「今回はとにかく艦娘の皆の希望を極力聞こうっていう前提ですからね。やっとある意味普通の人並みの権利と自由が認められた皆が、どんな事をしたいのかっていうのを知りたいのもあるんでしょう。今回は僕たち前線の軍人たちもおこぼれに預かるわけですし、後陣のために制度を調整するための試験でもあるので、痒いところに手が届かないかもしれませんが、自分でかくならご自由にっていうね」

 

提督の説明と、巡洋艦組の話を聞いていたよく分かっていない二人もようやく合点がいったようで破顔している。

 

「じ、じゃあ!例えばドームツアーやりたいって言ったら…」

 

「会場の調整くらいはしてくれるかもしれません」

 

「あの…予約の取れないケーキ屋さんに行きたいとかも?」

 

「なんとかしてくれるでしょう。お店の人も多分陸奥なら喜んで」

 

「あ、あらあら///」

 

「提督〜、温泉行って寝てるとかでもいいクマ〜?」

 

「軍幹部用の保養所貸し切るくらいしてくれるとおもいますよ」

 

そんな説明に、キャッキャとハイタッチをしたりガッツポーズをする3人を優しい笑顔で見ている提督と五月雨は、腕を組み悩んだ顔をしている雷に気づく。

 

「雷?何もすぐに決めなくてもいいんですよ?」

 

「そうね〜、暁たちにも相談しなくちゃいけないけど、こんな風に長いお休みなんてしたこと無いからよく分からないわ」

 

「そうですよね、私達戦いっぱなしでしたし…」

 

「…ね〜。でも五月雨は考えることないじゃない。どうせ提督と行くんでしょ?」

 

「行く?」

 

キョトンとした顔をしながら雷の顔を見たあと、隣に立つ提督の顔を見る五月雨に、雷は苦笑してしまう。

 

「五月雨」

 

「はい!提督!」

 

穏やかな笑みを浮かべ、元気に返事をする五月雨の手を取りながら語りかける提督。その二人の手には、揃いの指輪が光っている。

 

「一緒に旅行に行きませんか?その、新婚旅行も兼ねて…僕の実家のある所まで」

 

「…っ!はいっ!」

 

五月雨は一瞬驚いた表情をしたが、すぐに晴れやかな笑顔に戻り提督の手を強く握り返した。

 

 

「まったく、見てられないわねあの二人は」

 

「なんだか打算的なこと言ってた自分が恥ずかしいよ〜」

 

「アイドルが打算的じゃなくてどうすんだクマ」

 

「あー!今球磨ちゃんは全宇宙のアイドル好きを敵に回したよ!?」

「深海棲艦の次は更にやべーもん敵に回したクマ!?」

 

「ふふふ、そういえば提督、提督の実家ってどこなの?」

 

その雷の質問に、そういえば提督の実家とか聞いたことなかったなと、その場にいた全員が二人の会話に注目する。

 

 

 

「え?あぁえ〜っと、『城ヶ崎村』っていう小さい村なんですよ」

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

 

『というわけで、私は今提督たちと一緒に出発前の船の中からこのメールを出しています。また落ち着き次第改めてご連絡させていただきます。それでは!』

 

 

 五月雨はふぅっと息を吐き出すと、携帯端末をカバンの中にしまった。窓から外に視線を向けると、港のスタッフたちが出発に備え勾留ロープや荷物用台車などを片付けているところが見える。いよいよ出発の時間が近づいていた。

 

「五月雨?連絡はもう良いんですか?」

 

廊下側の席に座る男性が、五月雨に声をかける。メールを打つ五月雨に気を使い、雑誌を読んでいたようだ。白い服に黄色のラインが入った服を着た女性が表紙の雑誌をしまうと、グッと伸びをする。

 

「はい!とりあえずのご報告は済みました」

 

「いや〜、それにしてもまさか五月雨があっちの人とお知り合いだとは思いませんでしたよ」

 

「知り合いというより、文通相手。みたいなものです。私も、提督の出身地が向こうだなんて知りませんでした!」

 

そういわれ、ジャケットにパンツ姿という私服の提督はポリポリと頬をかいた。

 

「まぁ偏見が結構ありますからね、向こう出身者は。此方では…」

 

「も〜、そんなの私達には関係ないんですから教えてくれればよかったのに〜」

 

「ははは、ごめんなさい」

 

 

♪ピンポ〜ン

『Ladies and gentlemen。大変お待たせいたしました、間もなく…』

 

「あ、提督!いよいよですよ!私ドキドキしてきました!」

 

「僕もかなり久しぶりですし、緊張してきました…」

 

そういう提督の肘掛けに置かれた手に、五月雨はそっと自分の手を重ねる。

 

「大丈夫ですよ提督!私達なら海の果てでも、宇宙の果てでも!」

 

そんな五月雨の言葉に提督は苦笑しながら返す。

 

 

「果てじゃなくて、目的地は火星(アクア)ですけどね」

 

 

『〜本日は地球(マンホーム)宇宙防衛軍第849基地発〜ネオヴェネツィア・マルコ・ポーロ国際宇宙港行き特別チャーター機をご利用いただきありがとうございます。当機のフライト時間は〇〇時間を予定しております。快適な宇宙(そら)の旅をお楽しみください。なお〜』

 

 

「でも良かったんですか?五月雨」

 

「?」

 

「いやその…」

 

そう呟きつつ、提督は後ろをそっと振り返る。

 

 

 

「だっだっだっ大丈夫なのだな!?本当に!こんな鉄の塊が空を!しかも宇宙まで!?」

 

「大丈夫よ長門。この宇宙船は熱核パルスエンジンで「核だとぉ!!?」痛たたたた砕ける!第三指が砕ける!」

 

 

 

「レディだって!ねぇ聞いた!?レディだって!!」

 

「「「うるさい長女(あかつき)」」」

 

 

 

「」

 

「あの…姉さん…那珂ちゃんが真顔のまま凄い静かなんですけど…」

 

「ん〜?色々キャパオーバーしてるのよ。それより神通!この後ずっと宇宙だよ!ずっと夜戦できるよ!」

 

 

 

「くま〜… 」

 

「にゃ〜… 」

 

 

 

提督たちの後ろに居並ぶは湘南鎮守府の面々。目的地がアクアだと聞き、交通費は大本営持ち!?なら行く!!と結局全員が付いてきてしまったのだ。そのためスペースシップを丸々一隻貸し切り、翌日宇宙港から早々に出発の手はずが整ってしまった。

 

「いえまぁその、せっかくの新婚旅行でしたのに…」

 

「もちろん二人きりの時間も楽しみですけど…みんなで宇宙旅行なんてそれこそもう二度と行けないかもしれないじゃないですか!」

 

「…五月雨がそう言ってくれること、心から嬉しく思いますよ」

 

そう言いながら、提督は手のひらを上に向け五月雨の手を握る。自分達はこれで良い。こんな風にやってきたのだ。自分の故郷にも、その姿を見てもらおうじゃないか。そう微笑みながら提督の耳にアナウンスが聞こえた。

 

 

『それではまもなく当機は発進いたします。そして本日は我らが英雄たる艦娘の皆さまが貸し切りとの事。それに敬意を評しまして…当機はまもなく抜錨致します。暁の水平線に、素敵な思い出が刻まれますよう』

 

 

 

 




一体メールの相手は誰なんでしょう…

湘南鎮守府は完全に架空です。ポジション的には横須賀鎮守府の予備基地のような小規模鎮守府のイメージです。ですのでこれが所属艦娘は全員です。
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