ダンガンロンパPRISON   作:M.T.

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第1章(非)日常編⑤

収監生活3日目。

…今日も疲れる1日だった。

『フッフッフ。おはようございます!!起床時間ですよ!!アナタ達、今すぐ起床しなさい!!しないとブチ●しますよ。』

…今日はモノベルかぁ。

朝から口悪いな。

8時半までまだ時間あるし、適当に時間を潰そう。

 

 

 

 

【食堂】

 

「お、おはようございます。」

5分前に着いた。

「おはよー、凶夜クン!」

「オハヨーございます!!」

「おはようございます、景見殿。」

「おはよう。」

「おはよう〜♪」

「おはようございます。」

「おはよう、相棒!!」

叶さん、朱さん、不動院君、穴雲君、詩名君、癒川さん、舞田君が返事をしてくれた。

「…フン。」

ラッセ様は、食堂の隅でふんぞり返っていた。

…栄君は、厨房にいるのかな。

時間ぴったりに、白鳥さん、入田君、羽澄さん、神座さんが来た。

少し遅れて日暮さんが来て、15分遅れて財原君が来た。

「はぁ…君ね、ちょっとは時間を守って行動してよ。」

「ふわぁ…ごめんねぇ?」

全員が揃ったので、朝食を食べた。

 

 

 

 

食事の後は、癒川さんが淹れてくれたお茶を飲んで、みんなでティータイムを満喫していた。

「うん、おいしいね。」

「それは良かったです。」

「はぁー。ホントに、幸せだねぇ。収監されてるとは思えないや。この時間がずっと続けばいいのになぁ。」

 

『そうは問屋が卸さないよ!!』

不快なダミ声が鳴り響いた。

そして、二匹のぬいぐるみが、回転しながら飛び出してきた。

『呼ばれて出てきてなんとやらー!モノクマ学園長、参・上☆』

『フッフッフ。ご機嫌よう皆様。』

「あーあ、うるさいのが来たよ。」

「皆サン、こんなウルサイぬいぐるみは無視しましょう!」

『うわっ!羽澄サンも朱サンもひっど!クマあたりとトラあたりがキツくない!?』

「フン、貴様らの茶番に付き合う気はない。…大体、俺達をここに閉じ込めてふんぞり返っているようだが、今すぐ俺を解放しないと、痛い目を見るぞ。俺を拉致監禁なんかしたら、俺の国の軍隊が動くぞ。」

「そうだよ。こんな事をして、警察が動くとは考えなかったのかい?」

『フッフッフ。軍隊に警察ですか。何をそんな物をアテにしているんですかねぇ?』

『残念でしたー!!ここへは、警察救助隊陸軍海軍空軍自衛隊だーれも、未来永劫辿り着く事すらできません!!オマエラは、何があってもコロシアイを続けられるから、安心しなよ!』

「うそ…!」

「…で?用件はそれだけ?私達に、そんな事を伝えにきたの?」

『チッチッチ!本題はまだ残ってるんだな!』

「本題?」

『…オマエラさあ、もう3日だよ!?なんで誰一人として死んでないわけ!?昨日は、コロシアイが起きたのかと思ってちょっと期待したけど、結局ガキくさい原のいたずらだったしさぁ!』

『アナタ達には、まるで緊張感というものがありませんね。外に出たいとは、少しも思わないのですか?』

「そりゃあ外には出たいけど…アタシらに殺人犯になれっていうのかよ!?」

「モノクマ!モノベル!テメェらは、俺達にコロシアイなんてくだらねェ事させたいようだが、俺達は何があっても絶対仲間を殺したりなんかしねェ!!」

 

『うぷぷ…仲間、ねえ。オマエラは、本当に16人全員が仲間だと思ってるの?』

「…え!?」

『フッフッフ。この中に、裏切り者がいるとは考えなかったのですか?』

「う、裏切り者…!?」

「そんな…」

みんなが、お互いの顔を見合わせた。

この中に、裏切り者が…!?

「フン、くだらないな。貴様は、そんな事を言ってコロシアイをさせようという魂胆なのだろう?言っておくが、俺はその程度で人を殺すほど理性のない獣に成り下がった覚えはないぞ。」

『まあ、当然そうなるよね!いきなりクラスメイトを殺せって言われても、さすがに抵抗があるよね!まだ、足りない物があったんだよ。』

「足りない物…?」

 

 

 

動機だよ!!動機が足りなかったんだ。』

 

「動機…?」

『今回アナタ達にプレゼントする動機…それはズバリ、『希望ヶ峰学園への再入学資格』です!!』

「さ、再入学…?」

『オマエラは、問題を起こしたせいでここにいるの。もう、不良生徒通り越して極悪生徒だね!本来、刑期を終えない限り、希望ヶ峰学園に再入学する事はできません!しかし、今回は特例中の特例!なんと、今回の入学生の定員に一人空きが出たのです!そこで!今回に限り、最初に誰かを殺した生徒のみをその枠に入れてあげるよ!』

「人を殺したら退学だって言ってたのに…すごく都合いいね。」

『それだけではございません!誰かを殺した生徒は、今までの罪を全て無かった事にして、希望ヶ峰学園の中でもエリートを寄せ集めたクラスに入学させて差し上げます!』

「へぇ〜。じゃあ誰かを殺せば、俺らみたいな社会のゴミでも、希望ヶ峰の優等生になれるんだ〜?」

『そういう事!…オマエラも、今頃親や友達に失望されてるかもよ?その信用を取り戻すチャンスだよ?』

『ああ、そうそう。言い忘れていましたが、実は別の学校の優等生をスカウトするという案も出ているのですよ。誰を定員の枠に入れるかは、明日の午前8時に行われる職員会議で決まります。職員会議までに犠牲者が出なければ、今の話は無かったことになりますので、もし再入学を狙っているなら早く行動した方がいいですよ?』

「なっ…!」

 

二匹が僕達に提案してきた内容。

それは、明日の午前8時までに誰かを殺した人だけが、希望ヶ峰学園のエリートになれるというものだった。

僕は、もともとこの忌々しい才能でスカウトされたんだ。

だから、誰かを殺してまで再入学したいという気持ちはわかなかった。

でも、もし誰かがどうしても再入学したいんだったら…

「再入学だと!?くだらねェ、俺達がそんなモンのために人を殺すとでも思ってんのか!?」

『うん、絶対殺すね。舞田クンにとっては関係ない話だろうけど、すでにこの中に殺人を計画してる人がいるはずだよ…うぷぷぷ!それじゃ、まったねー!』

『フッフッフ、ご機嫌よう皆様!!』

二匹は、意気揚々と去っていった。

 

「クソッ!!アイツら、好き勝手言いやがって…!」

「しかも裏切り者って…!誰なんだよ…!?」

みんな、パニック状態になっていた。

「神座!!オマエが裏切り者なんじゃないだろうな!?」

「…………?」

「やめてください入田殿!!一体何の根拠があって、神座殿を裏切り者扱いするのですか!?」

「だって、コイツは唯一自分の才能を明かしてないのだ!!それに、このご時世ネットを知らないのもおかしいだろ!?」

「……………。」

「だからって、神座殿が裏切り者だとは限りません!」

「そうだよ入田君。落ち着きなよぉ。」

みんなが裏切り者探しをしている中、栄君は呟いた。

 

「…な、なぁ…ほ、本当に、誰かを殺したら…再入学できんのかな…?」

「なっ!?テメェ、何言ってんだ陽一!!テメェ、冗談でも許さねェぞ!!」

「でも、オレ達は、元々冤罪でここに閉じ込められてんだろ!?再入学すりゃあ、無実を証明できるかもしれねェし、汚名を返上できんだぞ!?」

「なんだと!!?」

「ピィ!ピィピィ!!」

「ちょっと、やめてよないとくん!よういちくん!翠もやめてって言ってるよ!!」

「…フン、下衆が。まるで獣だな。付き合いきれん。」

「お待ちください国王陛下!!」

「止めるなメガネ。自分の身くらい、自分で守る。」

「ヒュー♪修羅場修羅場ー♫」

どうしよう…

みんなパニックになってるし、ラッセ様はどっか行こうとしちゃうし…

どうすれば…

「あ、あの…」

僕は、勇気を出して発言した。

全員が、僕の方を見た。

「…えっと…僕、この中の誰かがどうしても再入学したいんだったら、犠牲になっても…」

僕がそう言った瞬間…

 

 

 

ピシャッ

 

 

 

…え。

 

左頬に痛みが走った。

目の前を見ると、叶さんが僕を睨んでいた。

…僕は、叶さんに叩かれたのか。

「か、叶さん…?」

「命を粗末にしないで。キミが死んで一体何になるっていうの。」

叶さんは、僕の目を見て力強く言った。

「…みんなも、一旦落ち着いて。そうやって言い争ってたら、クマさん達の思うツボだよ。」

「けどよ、狛研ちゃん!この状況、どうすりゃあいいんだよ!?裏切り者がいるかもしれねえんだぞ!」

「そうなのだ!!それに、誰かが僕ちゃん達の中の誰かを殺すかもしれないんだぞ!?」

「クマさん達は、そうやってボク達が疑心暗鬼になるのを狙ってそんな事を言ったんだよ。現に、裏切り者がいるっていう証拠も、クマさん達が殺人犯を希望ヶ峰の生徒として受け入れる保証も無いじゃない。」

「それは…そうだけど…」

「ボクはね、この中に裏切り者がいたとしても、16人全員でここを出たいと思ってるよ。」

「何を甘ったれた事を言っているんだ貴様は。そんな事、無理に決まって…」

「無理でも甘くたっていいよ。ボクは、誰に何と言われようと、絶対にこの意見は変えない。でも、それを現実にできるかどうかはみんな次第なんだよ。今みたいにみんなが言い争ってたら、16人全員でここを出るなんて、本当に無理になっちゃうんだよ!だから、こういう時こそ、みんなで一致団結しないとダメなんだよ!!」

「…。」

叶さんの発言の後、しばらく沈黙が続いた。

「…っあー、ダセェ。さっきのオレ、完全にダサかったわ。オレも、やっぱりこの中の誰かが欠けるなんて嫌だよ!」

「俺もそう思ってたぜ、叶!!コロシアイなんて、そんなくだらねェ事に躍らされてる場合じゃねえよな!!」

「ったく、カナエ!アンタが言わなきゃ、アタシが言おうと思ってたんだからね?」

「わたしも、かなえちゃんに賛成!やっぱり、みんな一緒がいいよね!」

「皆さん、協力してここから脱出しましょう!」

「ワタシ達【超高校級】が揃ってイテ、できない事ナンテありませン!やりましょう皆サン!」

「私も、皆さんのお役に立ちたいです。」

「…。」

「全く!オマエラは、僕ちゃんがいないとまるでダメなのだ!!」

「うんうん、やっぱり平和が一番だねェ。」

「…フン、勝手にしろ。」

「わ、私だけ仲間外れとか、ナシだからね!?」

「俺もみんなの事大好きだよー。」

「お前、それ本当かよ嘘くさい原!」

…みんな、叶さんの意見に賛成のようだ。

 

「…狛研さん。君の意見は、完全に理想論だよね?」

そう言ったのは、穴雲君だった。

「おい、穴雲!テメェ、何言って…」

「…でも、そんな理想論だからこそ、叶えたいって思っちゃうよね。もちろん、僕は賛成だよ。協力させてくれ。」

「…もちろん!」

穴雲君…いい事言うなぁ。

 

「おい、みんな!今日の晩メシはご馳走だから、ちゃんと腹空かせとけよ!」

「じゃあ、昼は抜きでいいかな?」

「えー?それだとお腹減って逆に気持ち悪くなるでしょ?」

「じゃあ、各自で適当に何かつまむ感じでいいんじゃね?」

「そうだね、じゃあとりあえず自由時間にしよっか。6時半に、食堂に集合ね。」

 

 

 

 

自由時間になったので、僕は早速叶さんに声をかけた。

「あの…叶さん。」

「ん?あ、凶夜クン。どうしたの?…あ、もしかして、さっきの事で怒ってる?さっきは引っ叩いちゃってごめんね?」

「いや…そうじゃなくて…少し、お話しませんか…?」

「お話?いいよー。じゃあさ、とりあえずボクの部屋で話さない?」

「か、叶さんの部屋で、ですか…!?」

「え、何?マズかった?」

「いや…全然そんな事はないんですけど…」

「じゃ、早く行こうよ!」

「あ、待ってください…!」

 

 

 

 

【狛研叶の独房】

 

「ここがボクの部屋だよ。ゆっくりしてって!」

「は、はい…」

ここが叶さんの部屋…

部屋は、僕の部屋と似た感じだな。

多少は女の人用の造りにはなってるけど…

テーブルにはスナック菓子が、本棚には教科書と漫画と推理小説が入っている。

…推理小説とか読むのかな。

…ん?

浅野蘭馬…?

「あはは、ボク、推理小説とか全然読まないんだけどね。一応、お父さんの作品だから置いてあるのかな?」

「あ、あの…叶さん。」

「ん?なあに?」

「あの…これ、い、いりませんか…?」

僕は、四つ葉のクローバーのペンダントを渡した。

「え?ボクに?いいの?」

「えっと…これを渡したくて、声をかけたんです。」

「ありがとう!大切にするね!わ、四つ葉だ!ボク、四つ葉のクローバーなんて初めて見たよ!」

「き、気に入ったなら良かった、です…」

 

「あのさ。」

「へっ!?」

緊張して、つい変な返事をしてしまった。

…カッコ悪いなぁ。

「プレゼント貰った後で質問するのも悪いけど…なんでさっき、あんな事言ったの?」

叶さんは、僕に詰め寄って質問してきた。

「あ、あんな事…?」

「誰かが再入学したいなら、自分は死んでもいいとか言ってたでしょ?ねえ、なんでそんな事言ったの?ちゃんと答えてよ。」

「…だって、僕は【超高校級の不運】だから…僕の不運は、自分以外の人も巻き込む不運なんです。…僕なんて、本当は生きてちゃいけないんです。だから、ここに来る前は、何度も死のうとしました。でも、勇気がなくて、いつも失敗しました。僕が死んだって別にどうでもいいし、それで誰も不幸にならないなら、僕は殺されてもいいと思って…」

「何言ってんの?」

「…え?」

「キミが死んだって別にどうでもいい?それで誰も不幸にならない?何バカな事言ってんの?キミが死んだら悲しむ人がどれだけいるかって、考えた事ある?キミの事を大事に思ってる人の気持ちを考えた事ある?キミは、その人達の思いを踏みにじろうとしてるんだよ。その事を、ちゃんと自覚してよ。」

「…そんな人、いるわけないじゃないですか。友達なんていないし、家族も僕に関心がない…僕なんて、いない方がいいんです。」

 

「そんな事ないよ。僕は、凶夜クンが死んじゃったら嫌だよ。」

「…え。」

「言ったじゃん。ボク達はもう友達だって。友達が死んで悲しまない人がどこにいるっていうのさ?みんなで一緒に生きてここを出るって約束したでしょ?」

「…!!」

そんな事を言われたのは、生まれて初めてだった。

誰も、僕を必要としてくれる人なんていなかった。

でも叶さんは、たった3日間同じ学園で過ごしただけの僕を、友達と呼んでくれた。

こんな呪われた才能を持つ僕に、一緒に生きようと言ってくれた。

僕は、涙が溢れて止まらなかった。

「…叶さんは、なんで…そんな事を言ってくれるんですか…?」

「なんでって…別に、思った事をそのまま言っただけだよ。まあ、強いて言うなら…キミのその態度が気に入らなかったからだよ!」

「ぼ、僕の…態度が…?」

「星也クンが言ってたから知ってると思うけど、ボク、事故でお父さんとお母さんを亡くしてるんだ。だから、自分の命を大切にしない人が嫌いなの。」

「あの…叶さんのお父さんって…」

「えへへ、気になる?実はね、ボクのお父さんは、かの有名な名探偵『浅野蘭馬』なんだよ!」

「えっ、あっ、え!!?」

浅野蘭馬…

確か、10年以上前に大活躍した、世界中を旅してはありとあらゆる難事件を立ち所に解決した名探偵だよね。

その天才的な推理力と柔軟な発想力から、『現代日本版シャーロック・ホームズ』とも呼ばれた程の偉人だ。

趣味で書いたシリーズ物の推理小説『バートン伯爵のティータイム』が大ヒットして、1億部以上売れたんだよな。

確か、名門貴族のバートン家のお坊っちゃまでありながら、助手兼執事のセバスと一緒に活動をしている私立探偵のアレクサンダー・ロイ・バートン伯爵が、午後3時のティータイムまでに事件を解決するというストーリーだ。

トリックや伏線回収がきちんと作り込まれていて、かつちょっとしたギャグシーンもあって、老若男女が楽しめる名作だ。

そんなすごい人が、叶さんのお父さんだったとは…

ちょうど10年前、交通事故で亡くなったらしいけど…

「あれ?でも、苗字…」

「ああ。引き取られる時苗字変えたからね。ボクの元の名前は、浅野叶だよ。」

「そう、なんですか…」

「…お父さんとお母さんはね、事故に遭った時、ボクを庇って死んじゃったんだ。」

「えっ…」

「ボクは、生まれつき運が悪くて…よく、お父さんとお母さんにも迷惑かけてたんだ。だから、お父さんとお母さんが事故に遭ったのも、きっとボクのせいだって思った。でもね、お父さんが死ぬ前に言ったんだ。立ち止まってもいい。どんな時でも、前を向いて生きろ。そうすれば、きっと幸せになれるからって。…この帽子も、その時にお父さんに譲ってもらったんだ。お父さんが言ってくれたから、どんな逆境も前向きに考える事にしたんだ。お父さんの言葉のおかげで、今のボクがあるんだ。凶夜クンも、前向きになろうよ!」

「…強いね、叶さんは。僕は、そこまで前向きになれないよ…」

「違うよ。ボクがこうやって前向きでいられるのは、キミのおかげなんだよ?」

「…え?」

「はじめは自殺なんて考えてたキミが、みんなと仲良くしたり、ここから出ようと頑張ったりしてたから、ボクも負けてられないぞー!って思ったんだよ?」

「そんな…僕なんて、とても…」

「あ、そうだ。これあげるよ。」

叶さんは、ボクにペンダントをくれた。

さっき叶さんにあげたのは、クローバーの押し花の、金のペンダントだったけど、貰ったのは白いアネモネの押し花の、銀のペンダントだった。

「さっきくれたプレゼントと被っちゃってごめんね?ガチャを引いたら出てきたんだ。凶夜クンにあげるよ。」

「なんで僕に…」

「白いアネモネの花言葉は『希望』なんだって。キミには、もっと希望を持って欲しいからさ!」

「あ、ありがとうございます…」

「それにホラ!お揃いでしょ?」

叶さんは、手帳の機能を使っていきなり写真を撮った。

「わっ、ちょっ…勝手に撮らないでください…!」

「えへへ。…あのさ、前から思ってたけど、もう敬語使うのやめない?」

「えっ…」

「ボク達、友達同士でしょ?友達に敬語なんて、堅苦しいよ!お互い、これからはタメ口で話そうよ!」

「は、はい…」

「はいじゃなくてうん、でしょ?」

「…う、うん。」

「あはは、凶夜クンと一緒にいると楽しいね!今日は、色々話してくれてありがと!」

「…ぼ、僕も、叶さんの話が聞けてよかったよ。…あ。そろそろ夕ご飯の時間だし、食堂にいかない…?」

「あ、ホントだ!一緒に行こ!」

僕達は、二人で食堂に向かった。

 

《狛研叶の好感度が1上がった》

 

 

 

 

「お、来たなお前ら!」

今回の夕食は、穴雲君、朱さん、癒川さんも手伝ったのか。

テーブルの上には、色々な料理が並んでいた。

…ステーキに、パスタ、唐揚げ、お寿司、小籠包…ホントに色々あるなぁ。

「今日は食い放題だ!!好きなだけ食ってくれ!!」

「みんな、モノクマ達に余計な事言われて気分が落ち込んでるでしょ?だから、今日はパーティーでもして気分を盛り上げようと思ってさ。さすがに、これだけの量となると、4人で作らないと大変だったけどね。」

「おう!遠慮せずどんどん食え!残したら許さねェぞ!」

「わーい!!」

みんな、テーブルの料理を取り皿に取り始めた。

「よっしゃ!どんどん食うぞ!陽一、おかわりはあるんだろうな!?」

「もちろん!リクエストがあればソッコーで出してやるよ!」

「わー、このオムレツふわふわだね!」

「どれもマジうまそうなんだけど!?うっわー迷う!」

「…ほう。ロールキャベツに、鰊とジャガイモの炒め物まであるのか。」

「あら。パスタは食べなくていいの?」

「黙れ。俺はパスタは好まん。」

「そうよね。共食いになっちゃうもの。」

「…貴様、いい加減にしろ。」

「フライドチキンとカレーは絶対食べるのだ!」

「ふむ、寿司に田楽に冷奴…和食の種類も豊富ですね。神座殿、何が食べた…」

「イェーイ!おでんツーンツン!」

「やめなさい財原殿!!」

「……………。」

「うーん、どれも美味しそうな匂いだねぇ。目で楽しめないのが残念だよ。」

みんな、楽しそうだなぁ。

「ねえ見て凶夜クン!向こうにチーズフォンデュがあるよ!タワーのやつ!」

「う、うん…」

僕は、叶さんに誘われて、料理を取りに行った。

「…こんな感じかな。」

「凶夜クン!一緒に食べよ!」

「わっ…」

叶さんは、料理がてんこ盛りのお皿を両手に持ってきた。

「叶さん…そんなに食べれるの?」

「え?これくらい普通だよ。デザートも食べたいから、ちょっと控えめによそっちゃった。」

…これで控えめって。

叶さんって、大食いだったんだね。

「いっただっきまーす!!…んー!おいひー!凶夜クンも食べてみなよ!めっちゃおいしいよ!」

「う、うん…」

僕は、叶さんと一緒にパーティーの料理を食べた。

パーティーの料理は、すごくおいしかった。

…とてもおいしくて、涙が溢れてきた。

「…あの、叶さん。」

「何?」

「…絶対、みんなで一緒に出ようね。」

「もちろん!!約束だよ!!」

「…うん!」

「あ、じゃあボクデザート取ってくるから!凶夜クンも何か欲しい物ある?」

「あ、えと…じゃあ、小さめのケーキをいくつか…」

「オッケー!」

叶さんは、デザートのコーナーに走っていった。

 

…叶さんは、こんな僕に、一緒に生きようと言ってくれた唯一の人だ。

今まで、誰もが僕の事を疫病神みたいに忌み嫌ってきた。

誰も僕の事を望んでくれなかった。

僕も、自分なんていない方がいいと思っていた。

でも、僕を必要としてくれる人はここにいた。

叶さんが言ってくれたから、僕は生きたいって思えたんだ。

僕にとって、叶さんは希望そのものだ。

…うまく言葉にできないけど、僕は彼女の事が…

 

「お待たせ!」

「わっ…」

「ん?どうしたの?」

「な、なんでも…ないよ…」

「あはは、なんか凶夜クンって面白いね!」

「お、面白い…?」

「ボク、キミと友達になれてよかったよ。」

「えっと…僕も…」

「ホント!?」

叶さんと一緒に喋りながら、デザートを食べた。

パーティーの食事が全部なくなった頃、みんな解散して自分の部屋に戻った。

 

 

 

 

【独房】

 

…今日は楽しかったな。

パーティーなんて、参加したのは久しぶりだよ。

…それに何より、僕なんかが叶さんの友達になれた。

僕は、やっぱり生きたい。

みんなで一緒にここを出たい。

…そして、やらなきゃいけない事もできた。

今は恥ずかしくて言えないけど、無事出られたらちゃんと叶さんに伝えるんだ。

僕は君の事が好きだ。君と一緒に生きたいって。

 

 

 

スッ

 

…?

 

なんだろう、これは…

紙?

誰かが挟んだのかな?

 

…え。

 

 

 

 

【独房】

 

あー、ちょっと食べすぎちゃったよ。

陽一クンのご飯が美味しすぎて、つい調子乗っちゃった。

凶夜クンとのお話も楽しかったし…今日は、ホントに最高の一日だったなぁ。

そうだ。また陽一クンに、パーティーやりたいってお願いしてみよっかな?

ここから出たら、今日よりもっとすごいパーティーを開いて…

あ、そうだ。凶夜クンの好きな食べ物とか聞いとかないとね。

あの子、ひとりじゃ陽一クンに好みとか言い出せないだろうし…

今度のパーティーは、あの子に好きな物食べさせてあげたいな!

 

 

◇◇◇

 

 

収監生活4日目。

うーん、今日も目覚めのいい朝だね!

…って言っても、やる事特に無いし、漫画でも読もっかな。

えーっと、確か24巻まで読んだっけ。

 

『オマエラ!!起床時間です!!生活リズムの乱れは、心の乱れにつながります!!全員、今すぐ起床するように!!』

 

うーん、今日もクマさんの放送がうるさいね!

昨日はベルさんだったけど…もしかして、ローテーションしてる?

…まあいいや。

せっかく朝早く起きたわけだし、たまには陽一クンを手伝いに行こっかな!

そうだ、凶夜クンも一緒に連れて行こっと!

 

 

 

 

【景見凶夜の独房】

 

ピンポーン

 

あれ?返事がない…

いつもは、インターホンを一回鳴らしたら返事してくれるのに…

 

ピンポンンピンポンピンポーン

 

…。

寝てるのかな?

それとも、すでに別の場所にいるとか…

まあいいや、何も無理に一緒に行く事ないよね。

今日は一人で行こっと!

 

 

 

 

【食堂】

 

食堂にいたのは、陽一クンだけだった。

「おはよう陽一クン!」

「…。」

陽一クンは、なぜかボクを疑いの目で見てきた。

「陽一クン?どうかした?」

「あ、ううん!?なんでもねえよ!おはよう狛研ちゃん!」

「うん、おはよう!…って。」

陽一クンは、後頭部を押さえた。

「大丈夫?」

「あ、いや…これは、ちょっと転んで床に頭をぶつけちまって…大した事ねェよ!」

「…ならいいんだけど。」

「それより、今日の朝メシは、オリジナルの超健康メニュー考えたから、それにしようと思ってんだ!」

「へえ、楽しみ!」

「ヘヘッ。本来なら、そんなに人に見せびらかしたりはしねェんだけど…オレの次に来た狛研ちゃんには、特別に見せてやるよ!研究室に置いてあるから、一緒に見てくれ!」

「わーい!」

陽一クンが一から考えたレシピかぁ。

どんなのか楽しみだな!

 

 

 

 

【超高校級の栄養士】の研究室

 

陽一クンは、部屋の鍵を開けた。

「さっ、遠慮なく入ってくれ!…フフン、ここはオレにとってのアトリエだぜ。料理をする時は、常に情熱を持って…」

陽一クンは、天狗になって延々と研究室自慢をした。

…その時だった。

 

 

 

「ーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」

 

 

 

陽一クンは、目を見開いて顔を真っ青にしていた。

「…ん?陽一クン?どうし…」

 

「見るな!!」

 

陽一クンは、顔面蒼白になりながらも、力強く叫んだ。

「見るなって…一体何を…」

ボクは、興味本位で研究室を少し覗いた。

 

 

 

 

 

「ッ…!!」

 

ボクの目には、信じられない光景が飛び込んできた。

10年前のあの日を鮮明に思い出させるような、強烈な緋色。

わずかに匂う、思わず吐き気を催すような腥い匂い。

深く突き刺さった包丁が、照明の光を浴びて不気味なほどギラギラと輝く。

その全てが、ボクの中の何もかもを容赦なく破壊した。

 

…昨日まで、元気だったのに。

 

まるで、昨日までの出来事が虚構だったかのように。

その人は、糸が切れた操り人形のように、力無く横たわっていた。

そして、何も映さなくなった瞳を、ボクの方に向けていた。

 

…どうしてキミが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【超高校級の不運】景見凶夜クンは、そこで死んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー才監学園生存者名簿ー

 

【超高校級のアナウンサー】穴雲星也

 

【超高校級の工学者】入田才刃

 

【超高校級の不運】景見凶夜

 

【超高校級の???】神座ゐをり

 

【超高校級の幸運】狛研叶

 

【超高校級の資産家】財原天理

 

【超高校級の栄養士】栄陽一

 

【超高校級の詩人】詩名柳人

 

【超高校級のマドンナ】白鳥麗美

 

【セキセイインコ】翠

 

【超高校級の曲芸師】朱雪梅

 

【超高校級のダンサー】羽澄踊子

 

【超高校級の生物学者】日暮彩蝶

 

【超高校級の侍】不動院剣

 

【超高校級の喧嘩番長】舞田成威斗

 

【超高校級の看護師】癒川治奈

 

【超高校級の国王】ラッセ・エドヴァルド・シルヴェンノイネン

 

ー以上15名+1匹ー

 

 

【挿絵表示】

 

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