ダンガンロンパPRISON   作:M.T.

17 / 72
今日は詩名クンの誕生日です。
本人からメッセージをいただいております。

詩名「やぁ♪今日は、オイラの誕生日なのさ。実は、この日は楽器の日って呼ばれてるんだけど…なんでか知ってるかい?これは、『芸事の稽古の習い始めは6歳の6月6日からにする』という昔の慣わしにちなんで、全国楽器協会が定めた記念日なんだってさ♬芸事の記念日…普段から弾き語りしてるオイラにとっては、自分の誕生日がそんな日だっていうのは、ちょっと嬉しいねぇ♫」





第2章(非)日常編②

全員が食堂に集まって、報告会を開いた。

「じゃあ、それぞれ探索の結果を報告してくれないかな?まずは入田君達から。」

「む!?僕ちゃんがトップバッターか!?ははは!おい、穴雲!よくわかってるじゃないか!一番こそ、僕ちゃんにふさわしい順番なのだ!!」

「フツーの映画館だったぜ?奥が鏡張りになってたけどな。」

「おい、舞田!!僕ちゃんの出番を取るな!!」

「鏡張り?ああ、奥行きがあるように見せるためか。」

「何そのセコい発想。」

「っと、あとはアレだな。映画用のアプリが追加されたぜ。それで映画が見られるらしい。」

「あ、ほんとだ。新しいアプリが入ってるね。」

「部屋は全部で8部屋です。上映時間中は、その部屋で他の映画を見る事が出来ないので仲良く使うように、との事です。」

「剣、お前、めっちゃはしゃいでたよな。ハイカラがなんとかって…」

「そ、それは忘れてください!」

「…………侍、顔………真っ赤…。」

「…うぅ。」

剣クンがはしゃいでた…?

なんか、見た目からは想像できないんだけど。

でも剣クンって、男の子だけど笑ったり慌てたりするとかわいいよね。

「うんうん、なるほどね。他のみんなは?そうだな…栄君。報告してくれる?」

「おう!っとなぁ、すげェ広かったぜ。フツーの生物室の10倍の広さはあったな。」

「顕微鏡とか人体模型とか、色々ありマシタ!」

「あとはあれだ。デケェ水槽があったよ。」

「お魚がいっぱいいて可愛かったんだぁ。」

「ピィ!」

「美味そうな魚がたくさんいたぜ。食いたかったらいつでも獲って捌いてやるぜ!焼き魚に刺身に寿司…活け造りもイケるぜ!」

「よういちくん!お魚さん達がかわいそうだよ!!」

「ギィ!!ギィギィ!!」

「わっ、おい!やめろ!!冗談だっつうの!!」

陽一クン、翠ちゃんに襲われてるなぁ…

彩蝶ちゃんと翠ちゃんは、大好きなお魚を陽一クンに捌かれたくないんだね。

「いや、思いっきり魚捌いて食いたいって顔に書いてあるけど。」

「うっ…」

「あはは…ええっと、じゃあ次は癒川さん。報告してくれるかな?」

「はい。今回開放された研究室は、羽澄さん、朱さん、日暮さん、不動院さんの研究室です。」

「マジ!?アタシの研究室!?やった!後で見にいこ!」

「ワタシの研究室ですカ!?楽しみでス!」

「先程は、狛研殿の所為で研究室をゆっくり見られませんでしたし、後で改めて拝見しましょうかね。」

「ねえ、かなえちゃん。わたしの研究室見たんでしょ?どんな感じだった?」

「えっとね、葉っぱとかがいっぱいあったよ。あと、ペットフードも。あ、そうそう。確か翠ちゃん用のお家もあったかな。」

「ホント!?よかったね翠!後で研究室行こっか!」

「ピィ!」

「なるほどね。報告ありがとう。じゃあ、そろそろ僕も報告しようかな。図書室は、かなり広かったよ。読みたい本は、アプリで注文するんだって。そうしたら、図書室にあるボックスに本が入れられるから、それを取りに行くだけでいいんだってさ。」

「本の種類は色々あるよ。漫画とか参考書とかもあるし…もちろん、そっち系の本もね♪」

「君は黙ってて!!」

「へーい。」

「?そっち系の本?なにそれ?」

「えっとだね、それは…」

「あー!あーあーあー!!」

星也クンが、大声を出して天理クンの発言を遮った。

…急にどうしちゃったんだろ?

天理クンが何を言ったのか、すごい気になるんだけど。

「フン、下衆め。」

ラッセクンは、二人を呆れたような目で見ていた。

「フフフ、なるほどな。後で手帳をチェックしておくか。」

「君、本当に下心丸出しだよね。」

「……………?」

陽一クン、なんか嬉しそうじゃない?

なぜか鼻血垂れてるし。

今ので何を納得したんだろうか。

え、もしかして、わかってないのボクだけ?

ちょっと、ボクだけ仲間外れなんてやだよー!

誰か、天理クンが何を言おうとしてたのか教えてよー!!

「うんうん、報告は終わったみたいだし…そろそろお昼休憩にしようか。」

「賛成ー!」

「…勝手にしろ。」

 

 

◇

 

 

陽一クンが作ってくれたご飯を、みんなで食べた。

やっぱ、陽一クンのご飯はおいしいね!

陽一クンの料理をおかずの炊飯器10杯分くらいご飯食べれちゃうよ!

さてと、ご飯は食べ終わったし、これから何をしよっかな?

…あ。

陽一クンが、暗い面持ちで研究室に入った。

「陽一クン…」

「…あ、狛研ちゃん…」

「どしたの?」

「…いや、この部屋で景見が死んじまったって思うと、入りづらくてよ…」

「…そっか。でも、せっかく研究室があるんだから入ろうよ。…まだ、凶夜クンの弔いもできてないし。」

「そ、そうだな…」

ボクは、陽一クンと一緒に研究室に入った。

「…え。」

研究室の中は、綺麗に片付いていた。

床には、凶夜クンの死体どころか、血の一滴も落ちていなかった。

まるで、凶夜クンがここで死んでいたという事実を否定するかのように、部屋の中の何もかもが元通りになっていた。

「どうなってんだコレ…?誰か掃除したのか…?」

「…多分。」

ボクは、後ろに目をやった。

「…キミがやったんだろ?」

後ろには、ベルさんが立っていた。

『フッフッフ。如何にも。景見様のご遺体は、ワタクシ共で片付けさせていただきました。いつまでもご遺体を放ったらかしたままでは、学園生活に支障をきたすと思いまして。ささやかながら、ワタクシ共からの清掃サービスです。』

「テメェら…!景見の事を何だと思ってやがる…!」

『はいはい、臭い台詞はもう聞き飽きました。そんな事より、せっかく清掃して差し上げたのですから、少しは感謝していただきたいものです。』

「…もういい。早く陽一クンの研究室から出てけよ。」

『おや。随分と嫌われたものですねェ。この研究室を提供して差し上げたのは、ワタクシ共なのですが。…まあいいです。存分に、健全で陰惨たる習慣生活を楽しんでくださいな。ワタクシはこれにて失礼しますよ。』

ベルさんは、笑いながらどっかに行った。

「あ、コラ!待て!!」

「…陽一クン。あんな奴追いかける事ないよ。それよりも。」

ボクは、凶夜クンが死んでいたあたりの床に目をやった。

「…ごめんね。せっかく約束してくれたのに。助けてあげられなくてごめん。ボクは…いや、ボク達は、キミの分まで生きるから。」

ボクは、膝をついて手を合わせた。

「…。」

陽一クンは、瓶に水を入れて、中に花を挿した。

それを、テーブルの上に置いた。

「オレにできる事はこれくらいしかねェけどよ。…景見。オレは、絶対に生き残ってこんな所から抜け出してやるから。オレ達の事、見守っててくれ。」

「…陽一クン。」

「おっと、悪い。暗くなっちまったな。オレ達がこんなんじゃ、景見も浮かばれねェよな!さてと、今日の晩メシの下ごしらえしねェとな!」

「…うん。じゃ、ボクはそろそろ行くね。」

「おう!」

ボクも、凶夜クンの事を思い出してちょっとしんみりしちゃったな。

明るいのがボクの取り柄だもんね、もっと元気出さなきゃ!

その方が、きっと凶夜クンも喜んでくれるよ!

 

《栄陽一の好感度が1上がった》

 

 

◇

 

 

さてと、せっかく4人の研究室が開放されたんだし、ちょっと様子を見に行こうかな?

まずは、剣クンのところに行こーっと!

ボクは、剣クンの研究室を見に行った。

「…剣クーン!いるー?」

「…はい。…おや、狛研殿。貴女でしたか。」

剣クンは、研究室の中から顔を出した。

手には、なんでかわかんないけど竹刀を持っている。

「あ、剣クンいたぁ!ねえ、ちょっとお話しようよ!」

「はい。私で良ければ、話し相手になりましょうか。」

「やった!」

「あ、その前に、少し片付けをしてきてよろしいですか?」

「いいよー。」

「ありがとうございます。少々お待ちください。」

そう言うと剣クンは、中に入っていった。

何分か経った頃、剣クンはまた顔を出した。

「では、中へどうぞ。あ、くれぐれも部屋の中の物には触らないでくださいね。」

「はーい!!」

「…触ったら冗談抜きで1時間正座ですからね。」

「わ、わかってるって…」

剣クンは、ボクを研究室の中に入れて、お茶とお菓子を出してくれた。

なんか、白と黒のようかんっぽいお菓子だった。

まるでクマさんとベルさんみたい!

「どうぞ。」

「わーい、ありがと!…ねえ、ところで、さっき竹刀持ってたけど、あれは何をやってたの?」

「…ああ、剣の修行をしていたのですよ。ここに来てから修行が出来ていなかったもので、腕が鈍っていたので…」

「ふーん。いつもの刀じゃないんだね。」

「普通、稽古の時は真剣は使わないのですよ。まあ、真剣道となれば話は別ですが。」

「そーなんだ。あ、そうだ!」

「はい、何でしょう?」

ボクは、この前ガチャでゲットした短刀を見せた。

「これ、この前ガチャでゲットしたんだけどさぁ、ぶっちゃけ使い道に困ってて…ちょっと短いけど、剣クンいる?」

「!!?」

剣クンは、いきなり立ち上がってボクの手を掴んできた。

「狛研殿!!その刀、よく見せてください!!」

「えっ!?あ、うん…」

剣クンは、興奮気味に刀を隅々まで見ていた。

「この模様は…間違いありません…本物です…!!こんな所でお目にかかれるとは…!」

「え、何?どしたの?」

「これは、光雪左文字と呼ばれる名刀で、かつて富丘重国という武将がこの刀で天を斬り裂いたという逸話で有名な短刀です!!そしてこの特殊な鍛錬法が生み出した美しい刃の模様は、まさに芸術品です!!こんな名刀、私が受け取ってしまってよろしいのでしょうか…!?」

わぁ…すごく喰いついてくるね。

剣クンって、刀が大好きなんだね。

ところで、やっぱり剣クンって、感情がむき出しになってる時が一番かわいいね。

「いや、いいよ。ボクには刀の価値なんてわかんないし。剣クンが持ってた方がいいんじゃない?」

「…ありがとうございます!大切に保管しておきます。しかし、貰いっぱなしでは私の気が収まりません。何かお礼をしなければ…!」

「いいよ、お礼なんて。お腹が膨れるわけじゃないし。ボクは、剣クンと話がしたかっただけなんだからさぁ。」

「そういう訳には参りません。何かお礼をさせてください!!」

「…そうだな、じゃあ、ボクはキミに色々と聞きたい事があるんだけど…答えてくれるかな?」

「はい!聞きたい事がございましたら、何でも仰ってください!!」

「じゃあ早速聞くけど…」

「はい。」

「剣クンは、なんで【超高校級の侍】になったの?」

「そうですね…強いて言うなら、私が不動院家の者だったから…でしょうか。私の家は、大名の一族ですので。明治維新以降は、世間の目もあって、俗世間に出る事は少なくなったそうですが…」

「へー。他にやりたい事とかはなかったの?」

「ええ。士族の家で暮らしてきた事もあってか、家を継ぐ以外の選択肢はありませんでしたね。幼い頃から、父の跡を継ぐ事だけを目標に剣の腕を磨いてきましたし。日々修行を重ねていたら、いつの間にか【超高校級の侍】と呼ばれていた…それだけの話です。」

「そっかぁ。」

「ですが、この才監学園に閉じ込められた事で俗世間の物に触れる機会を得た事は、大変嬉しく思っております。先程の映画館も、新鮮な感じがして、感動を抑え切れませんでした。」

「剣クンって、映画館行った事ないの?」

「ございません。テレビ?という物の存在も、この前初めて知りました。」

「ふーん。」

「他に何かご質問は?」

剣クンは、左手で扇子を扇いだ。

「そうだなぁ。えーっと…あれっ?」

「…どうなさいましたか?」

「剣クン、左利き?箸とかは右手で持ってたけど…」

「…あっ。失礼しました。幼い頃から矯正されてきたのですが…今でも気を抜くと左手を使ってしまう癖が直っていないみたいです…」

剣クンは、顔を赤くしながら慌てて扇子を右手に持ちかえた。

「いや、別に全然いいんだけどさぁ…右手だと生活しづらくないの?」

「…コホン。少し不便ではありますが、もう慣れましたね。」

「そうなんだ。」

剣クン、ホントは左利きだったんだ。ちょっと意外だったな。

ボク、この5日間でみんなの事を知った気になってたけど…意外とみんなの事をちゃんと知らないんだなぁ。

「ねえ、剣クン。」

「はい、なんでしょうか。」

「前から気になってたんだけど…いっつも背負ってる刀あるじゃん。あれは何?」

「ああ、鬼津正宗の事ですか。私の父が、亡くなる前に私に譲ってくれた名刀です。父の形見ですので、何処へ行く時も必ず持ち歩くようにしております。」

「お父さんの形見かぁ。ボクと同じだね!」

「おや、そうなのですか?…もしや、その帽子が…」

「そうだよ!これは、お父さんの帽子なんだぁ〜。ねえ、剣クンは、お父さんの事好きだった?」

「はい。厳しかったですが…私は、父を親として、そして師として尊敬しておりました。」

「そっかぁ。」

「私は、どうしてもここを出なければなりません。不動院家の名誉のため、そして私を待ってくださっている家臣達のためにも、私がここで倒れる訳には参りません。」

「そうだよね!みんなで一緒にここを出ようって約束したもんね!」

「狛研殿…私の話を聞いてくださって、ありがとうございました。」

「いいよいいよ!ボクが聞きたくて質問したんだからさぁ!」

「ですが、私が話してばかりでは…」

「いや、ホントにいいから!ボク、自分の話するより人の話聞く方が好きだから!」

「左様ですか…」

「そうなの!ところで、このお菓子おいしいね。」

「はい。私のお気に入りで…って!?狛研殿!?何をなさっているのですか!?」

「はぇ!?」

「懐紙まで食べないでください!それは食べ物ではありませんよ!今すぐ吐き出してください!!」

「ん?え、嘘!?ゴメン、話に夢中で気づかなかった!道理で紙の味がすると思った!」

「普通触った時点で気付くでしょう!!何故全部食べてしまうのですか!!」

「ホントに気づかなかったんだって!」

 

 

◇

 

 

「…全く、貴女という方は…」

「えへへ、ごめんね?」

「…はぁ。」

「あ、じゃあボクそろそろ行くね!」

「はい。」

「あれ?」

キレイな黒い引き出しが視界に入った。

「ねえ、これ…何が入ってるの?」

「あ、それは…」

「えーい!ご開帳ー!!」

ボクが引き出しを開けると、中に簪が入っていた。

「…え?」

 

バンッ

 

剣クンは、引き出しを勢いよく閉めた。

「…狛研殿、部屋の中の物には絶対に触るなと約束しましたよね?」

「あ、ご、ごめん…ちょっと興味本位で…」

「まあ、貴女には色々とご恩があるので、今回は無かった事に致しましょう。」

「あの、剣クン…これは…」

「…母の物です。気を病んで屋敷に篭るようになってから、母の部屋にあった物の一部は私が保管しておりましたので。それだけの事です。」

「そうなんだ…」

「狛研殿、この度は私に贈り物を下さった上に、私の話を聞いていただきありがとうございました。またお話する機会がございましたら、またいらしてください。」

「うん。じゃあ、また食堂で会おうね!」

ボクは、剣クンの研究室を後にした。

 

《不動院剣の好感度が1上がった》

 

 

◇

 

 

さーてとっ!剣クンからお話聞けたし、何して過ごそっかなぁ〜!

「…あ。」

ウォレットにメダルが何枚か入ってるし、娯楽室で遊ぼうっと。

 

 

◇

 

 

【娯楽室】

 

「…あ。」

既に先客がいたかぁ。

「いぇーい!!ガッポガッポだぜー☆」

「天理クンじゃん。何してんの?」

「あ、狛研サンじゃーん!今ねェ、スロットで遊んでんの。でも、今日はカモがいねェからつまんねーなぁ。」

「カモ?」

「栄クンの事だよ!アイツ、俺に勝てない事わかってるくせに何回もチャレンジしてくるもんねー。アイツは、俺のギャンブル用のお財布なんだー。」

「へぇ、そうなんだぁ。」

 

 

◇

 

 

【食堂】

 

「えっきし!!」

「わぁあ!?汚あっ!?陽一、料理中にクシャミなんて信じられないデス!」

「わ、悪い…」

「大丈夫ですか?」

「あ、ああ…」

「きっと誰かが栄君の噂をしてるんだね。」

「マジか!?いやぁ、かわいい娘がオレの噂してんのかなぁ。へへへっ。」

「…陽一、顔汚いでス。」

「朱ちゃん!?そんな汚物を見るような目で見るのやめて!?」

 

 

◇

 

 

【娯楽室】

 

「ねえ、天理クン。」

「ほにゃ?」

「そのスロットって、メダルいっぱい稼げるの!?」

「ん?ああ、まあね。俺はこれで1500枚稼いだよ。」

「そんなに!?」

「1枚で遊べるし、勝った時に稼げる金額も大きいからオススメだよ。ちなみに、賭ける枚数が多ければ多いほどいろんな特典がつくし、一回あたりに稼げる枚数も多くなるよ。」

「へぇー!ねえ、ちょっとやってみていいかな!?」

「どーぞお好きに。」

「やった!」

ボクは、天理クンがオススメしてくれたスロットで遊んでみた。

メダル一枚で遊べるんだね。

よーし、この機会にたっぷり稼ぐぞー!

「コイン入れたら、そこのレバーが引けるようになるから引いてみそ。」

「うん…わっ!回った!ねえ、このクルクル回ってるのはどうすればいいの?」

「そのまま放っとけばいいんだよ。そのうち止まるから。」

「へー。」

そういえば、裁判の時もこんな感じのスロットが出てきたっけ?

スロットのリールの回転が遅くなって、止まった。

「あーあ、残念でした。」

「え、どゆこと?」

「見てみ。ここに、得点表があるでしょ?その柄の並びは得点表に載ってないから、メダルは一枚も貰えないんだよ。」

「えぇえー!?何それ!せっかくメダル入れたのに、損しちゃったって事!?」

「まあ、ギャンブルってそういうもんだからねぇ。損をするリスクも考えなきゃ。」

「そんなー!」

「まあしょうがねーよ。ああ、言い忘れてたけどそのスロット、勝ったらすごい稼げるけど、その代わり勝率そんなに高くないから。一番貰えるメダルが少ないやつでも、出るのは5%以下だぜ。」

「えぇー!それ、早く言ってよ!」

「でもまあ、勝率が5%もあるなら割と良心的な方じゃない。こんなのより勝率低いギャンブルなんて、ざらにあるからね。」

天理クンは、頭をボリボリ掻きながらヘラヘラ笑っていた。

「そうなんだぁ。…あーあ、もっとやりたかったのに…もうメダル全然無いよ…」

「あーあ、しょうがねーなぁ。俺がメダルを貸してやるよ。」

「え、貸すって…そんな事できんの!?」

「うん。ほら。ウォレットにボタンがあるでしょ?それをタッチすれば、好きな枚数貸せるんだよ。」

「へぇー!ねえ天理クン、ホントに貸してくれんの!?」

「もちろん。困った時はお互い様だろ?で、貸してやるから何枚欲しい?」

「やった!ありがと!えーっと、じゃあねえ…100枚くらい貸して!」

「おっと、いいの?そんなに借りちゃって。ちゃんと返せんの?」

「へ?」

「言ったじゃん。貸すって。借りたって事は、返す義務が発生するの知らないの?ちゃんと110枚にして返してネ☆」

「なんで10枚増えてんだよ!」

「利子ってモンを知らねーの?物を借りた時は、それにちょっと上乗せして返さなきゃいけないの。と、いうわけで、ここから出るまでにちゃんと110枚返してね。」

「えぇ〜!無理だよ!110枚も返せないってー!」

「そっかぁー…でも、俺は優しいから今回だけ特別サービスしてあげる。」

「ホント!?」

「うん。ちゃんと払ってくれたらメダル100枚あげるよ。」

天理クンは、ニヤニヤしながらズボンのベルトを外し始めた。

「…体で♡」

「うん、いいよ。」

「え?」

「あ、ちょうど夕ご飯の時間だね。乗って。運んであげる!」

「あのー…狛研サン?」

「最近運動不足だったからちょうどいいや!さーてと!走るぞー!!」

ボクは、天理クンをおんぶして走った。

 

 

◇

 

 

【食堂】

 

「お待たせー!!」

「ふにゃあ〜。」

「おう、来たか狛研ちゃん…って、狛研ちゃん、なんで財原の野郎をおんぶしてんだよ?」

「だって、天理クンが、メダル貸して欲しかったら体で払って言うから。今お支払い中なの!」

「…あのさ、狛研さん。体で払うの意味間違えてるよね。」

「へ?そーなの?」

「…まあ、君は知らなくていい事だよ。さてと、ご飯にしよっか。」

「はーい!…ねえ、天理クン。」

「ほにゃっ?」

「約束は守ったからちゃんと100枚貸してね!」

「うーん…俺的には約束守ったうちには入らないんだけどなぁ…まあでも、俺にとっちゃはした金同然だし100枚くらいあげるよ。」

「わーい!」

ラッキー!

天理クンにメダル貰っちゃった!

やったね!

これでたくさん遊べるよー!

 

 

◇

 

 

【娯楽室】

 

さーてとっ!

ご飯食べてお腹いっぱいになったし、お風呂ももう入ったし、もう一回遊ぶか!

…あ、そうだ。

たまにはガチャで遊んでみよっかな。

最近、金欠ならぬメダル欠で全然遊べてなかったし。

この前、ガチャで何引いたっけ。

えーっと、金ピカの拳銃でしょ?それからペンダントに、剣クンにあげた短刀に…

うーん、全部遊んで消耗するか誰かにあげるかしちゃったなー。

とりあえず、天理クンにメダルいっぱいもらったし、一回引いてみよっと。

今度は何が出るかな…?

おっ。

なんかよくわかんないけど、靴が出てきたよ。

黒くてピカピカしたぺたんこ靴だ。

こんなの、よくガチャガチャの中に入ったなぁ。

うーん。微妙にサイズ合わないし…誰かにあげよっかな。

 

…うん?

向こうで何かやってるな…

何やってんだろ。

「…ふぅ。こんなもんかな。」

「お前すげェな星也!!」

「そんな事無いよ。」

「フン。」

「さすがです。」

「……………。」

星也クン、成威斗クン、ラッセクン、治奈ちゃんにゐをりちゃんかぁ。

珍しい組み合わせだなぁ。

「みんな、何やってんの?」

「あ、狛研さん。実はね、みんなでダーツをやってたんだ。」

「そうなんだぁ。」

「叶!あのな、星也のヤツ、すげェ上手いんだよ!!」

「ちょっと、やめてよ舞田君。僕なんて全然凄くないから。」

「あのな、コイツ、マジでスゲェから!ホントに!」

「フン、まるで自慢みたいだな。貴様が凄いわけではなかろうに。」

「いいじゃねえかよ!仲間にすげえ奴がいるっつーのは、俺は嬉しいぜ?」

「フン、カマキリの卵は脳味噌までおめでたいようで何よりだ。」

「まあまあ…」

そんなにすごいんだ…

「ふーん。ねえ、星也クン。ちょっとやってみせてよ。」

「えぇ…恥ずかしいから、一回だけだよ?」

「わーい!」

星也クンは、ダーツの矢を持って、的から数メートル離れた所に立った。

星也クンは、目を細めて狙いを定めた。

そして、放った。

星也クンの放った矢は、的のど真ん中に当たった。

「わ!ホントだ!すごーい!!」

「そんな…まぐれだよ。」

「まぐれで10回連続真ん中に当たるかよ!」

10回も!?

星也クンってすごいんだねェ。

「…ねえ、ボクもやってみていい?」

「どうぞ?」

「やった!よーし、真ん中に当てるぞー!!えいっ!!」

ボクは、矢を的めがけて投げた。

矢は、真ん中より少しズレた所に当たった。

「あっれー!?なんで!?ちゃんと真ん中狙ったのに…」

「うーん、狛研さん。構える時に手首に力が入り過ぎてたからじゃないかな?構える時に力を抜くだけで、かなり良くなると思うよ。」

「へえ、そうなんだ。ありがとう星也クン。やっぱ、上手い人は詳しいんだね。」

「いや、僕なんて全然凄くないから…」

星也クンは、照れながら言った。

上手いのは事実なんだし、そんなに謙遜しなくていいのに。

「ねえ、狛研さん。ダーツやるのは、これが初めて?」

「え、うん。初めてだけど…なんで?」

「だったら、多分僕より才能あるよ。普通、初心者は的にすら当てられないのに…ほとんど中心じゃない。」

「え、そうなの!?」

「マジか!?叶、お前天才だってよ!!やるなぁ!!」

「フン。」

「えへへ…」

なんか、褒められると照れちゃうなぁ…

よーし、もう一回投げてみよーっと!

ちゃんと星也クンのアドバイス通り、最初は力を抜いて…

「えいっ!」

 

トスッ

 

「んなっ…!」

今度は、的のど真ん中に当たった。

「わーい!当たったー!!」

「叶!!お前すげェな!!」

「さすがです、狛研さん!!」

「……………。」

「えへへ…」

「二回目で真ん中に当てるなんて…君は間違いなく天才だよ。」

「フン、まぐれだろ。」

すごいみんなに褒められちゃったよ…

やっぱり、すごいって言われるのって、ちょっと恥ずかしいけど嬉しいね。

 

 

◇

 

 

【独房】

 

あー、あの後調子乗ってすごい遊んじゃったよ。

ホント楽しかったなー。

 

…凶夜クン、隥恵ちゃん。

キミ達がいたら、多分もっと楽しかったよね。

コロシアイさえ無ければ、今頃16人でもっと楽しく過ごせてたはずなのに。

もうキミ達は、ボク達のところに戻ってきてはくれないんだよね。

あの時、みんなでここから出ようって約束したのに…

止めてあげられなくて…助けてあげられなくて本当にごめんね。

 

…あーあ。

あの時、いつでも前向きでいようって決めたのに。

どんなに頑張って楽しく振る舞ったって、どうしても二人の事を思い出すと、つい泣きたくなっちゃう。

やっぱり、二人が死んじゃって、前向きになんてなれないや。

お父さん…あの時ボクに、どんな時でも前向きでいろって言ってくれたけど…

…たまには、泣いたっていいよね?




※注意
作中に登場した刀は、会津正宗と江雪左文字がモデルで、実在しない刀です。
交流イベント中に出てくるプレゼントは、どれも超高級品という設定ですが、どれも現実には存在しません。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。