叶さん、白鳥さん、ラッセ様、日暮さんの4人が部屋から出てきた。
正直、みんなキャラが濃すぎて、僕はどうしたらいいのかわからない。
お願いだから、誰かこのカオスな場をどうにかして…
ガチャ
「…おや、ここは一体…」
和服を着た男の人が、部屋の中から出てきた。
叶さんと同じかそれより少し長いくらいの黒髪で、黒い瞳を持った人だ。
とても落ち着いた雰囲気で、和服も青系の色で統一されている。
そして、何故か黒い布で包まれた筒状の物を背負っている。
僕やラッセ様より背が高くて、顔もどこか色気のある美人顔だ。
僕は、思わず声を漏らした。
「…綺麗。」
その人は、懐から扇子を取り出すと、パタパタと仰いだ。
動作一つ一つが洗練されていて、とても美しい。
その人は、僕達に気がついて、こっちに向かってきた。
「おや、私の他にも人がいましたか。はじめまして、皆さん。」
その人はパチンと扇子を閉じ、懐にしまうと、深く頭を下げて挨拶をした。
「ねえねえ、キミもここに連れてこられたの!?ボクは、狛研叶だよ!希望ヶ峰学園の新入生で、【超高校級の幸運】なんだ!よろしくね!!」
叶さんは、真っ先にその人に食いついた。
「フン、なんだ。俺以外にも男がいたか。」
あれっ?
ラッセ様?僕をカウントするの忘れてませんか?
「…俺はラッセ・エドヴァルド・シルヴェンノイネン。【超高校級の国王】だ。」
「あっ、結構イケメン…は、はじめまして。私は白鳥麗美。【超高校級のマドンナ】と申しますの。よろしくお願いしますね。」
おい。
思いっきりキャラ変わってるよ、白鳥さん。
でもツッコんだらロクな目に遭わなさそうだし、言わないでおこう。
「はじめまして、わたしは日暮彩蝶。【超高校級の生物学者】だよ。こっちは、わたしのお友達の翠。よろしくね。」
その人は、髪を手でかき分けると、話し始めた。
「…はじめまして、皆さん。私は
「ふぅん、つるぎくんっていうんだ。よろしくね。」
「まあ、ここまで来ればそのパターンでしょうけど…あの、あなたも、希望ヶ峰学園の新入生なのかしら?」
「はい。私は、【超高校級の侍】として希望ヶ峰学園にスカウトされました。」
【超高校級の侍】…!?
聞いた事あるな。確か不動院家は、平安時代から続く名門の家系で、数多くの超人を輩出してきた一族だ。その中でも【超高校級の侍】不動院剣は、不動院家の最高傑作とも呼ばれていて、世界一の剣豪とも噂されている。大震災の時も崩れた建物を真っ二つにして多くの人を救い、有名になってたな。…噂だと、居合でライフルの弾丸をも真っ二つにできるらしいけど…もうそれ、人間じゃないよね。
あれ?じゃあ、背中に背負ってるのって、もしかして…
「ねえ、剣クン!もしかして、背負ってるのって、刀!?」
「はい。我が愛刀、鬼津正宗です。近年は世間の目がありますからね。こうして、布で包んで隠しているんです。」
「へー!カッコいいね!!」
「ありがとうございます。…ここで出会えたのも、きっと何かの縁です。よろしくお願いしますね、皆さん。」
不動院君は、ゆっくりとイケメンスマイルを浮かべた。
…良かった、まともそうな人だ…!
「フン、今の世の中で、まだ侍が存在していたとはな。20以上年前に子孫諸共滅んだ絶滅種じゃなかったのか?」
おいおい…ラッセ様。自分が王様だからって、言い方がキツすぎやしませんかね?
「…まあ、否定はしません。20年以上前に世界が絶望に満ちてからは、武士の子孫を名乗る者はほとんどいなくなってしまいましたからね。希少価値、という褒め言葉として受け取っておきましょう。」
うわああ…イケメンだ…!
いいなぁ、僕も不動院君みたいになれたらなぁ。
「すごーい!!本物の侍に会えるなんて、ボクってやっぱめっちゃラッキーだね!!仲良くしようね、剣君!」
「はい、こちらこそよろしくお願いします。」
「あ、あら不動院さん。こんなところで本物のお侍様に会えるなんて、私嬉しくて感激しておりますの。よろしくお願いしますね?」
「はい、よろしくお願いします。白鳥殿。」
「あのー、ところで、不動院さんってお強いんですよね?私、あなたに守っていただきたいなー、なーんて…」
「ご安心ください。白鳥殿に何かあれば、私がお守りします。」
「ありがとうございます♡」
おい、白鳥さん。
思いっきりキャラ変わってるよ。
僕達の前では、そんなにお上品な口調じゃなかったよね?
語尾にハートまでつけちゃって…
…この人、割と面食いなんだな。
「おい、ダークパープル女。貴様、その侍に媚を売ろうったって無駄だぞ。俺達は、お前の本性を知ってるんだからな。お前は、ルックスだけの下品で凶暴な腹黒女だ。」
「不動院さん、あちらの方の妄言は無視してくださいな?あの方は、虚言癖と被害妄想が激しいんです。」
「は、はあ…」
おいおい、不動院君が困ってるよ。
二人とも、お互いの足引っ張り合うのやめようよ…
「煩いぞダークパープルめ。国王に喧嘩を売るとは、いい度胸だな。」
「何よあんた!今、不動院さんと話してるんだから邪魔すんじゃないわよロングパスタ!!」
ああ、もう白鳥さんの中ではラッセ様のあだ名はロングパスタで固定なんだね。
小国とはいえ国王様相手にロングパスタって…白鳥さんって、悪い意味で度胸あるなぁ。
「もう、最悪!あんたのせいで、不動院さんの中での私の第一印象が最悪じゃないの!」
白鳥さん、安心してください。
不動院君はもう、別の事に興味が移っています。
「そのインコは翠殿というのですね。私は不動院剣と申します。以後お見知り置きを。」
「ピィ!」
「つるぎくん!翠は、つるぎくんとお友達になれて嬉しいって言ってるよ!」
「それは何よりです。翠さん、よろしくお願いしますね?」
「ピィピィ!」
「えへへ、つるぎくんよろしく、だって!」
不動院君は、叶さんや日暮さん、翠ちゃんと楽しそうにおしゃべりをしていた。
…それに比べて。
「あんた、黙ってなさいよ!!ロングパスタ!!」
「国王に対して黙れだと?貴様には重い処罰が必要なようだな。ダークパープルめ!」
なんだ、あの地獄絵図は。
同じ空間で、温度差が大きすぎでしょ。
ガチャ
「んあ?んだよ、どこだここは?」
部屋から、また一人出てきた。
今度は、大柄でいかつい男の人だ。
黒髪のリーゼントヘアーで、学ランを羽織っていて、サラシにドカンといった特徴的な格好だ。
逞しい胸板には、傷痕がいくつもついていた。
さらに、サングラスの向こうからは銀色の瞳が覗いていた。
絶対あの人ヤンキーだよ。
ヤンキーと言えば、お母さんがああいうのとはつるんじゃダメって言ってたなぁ…
とりあえず、関わらないのが得策かな…
「…あぁ?」
「ヒッ…!」
ヤバい、どうしよう…
今、完全に目をつけられたよね!?
「何見てんだテメェ…オイ!」
ヤバいヤバいヤバい!!
マジでどうしよう!?
ちょっと視界に入っただけなのに…
僕って、やっぱり本当にツイてないよぉ…!
そうだ、褒めちぎれるだけ褒めちぎっておこう!!
そしたら、機嫌が直ってくれるかもしれないし…
「え、ええとですね!?その、あなたの格好がものすごくカッコ良かったもので、つい見惚れてしまいました!!ホント、男らしくてイカしてます!!すごくエネルギッシュです!!」
「…テメェ。」
その人は、威嚇するような声でボソリと呟き、僕の方に右手を伸ばしてきた。
ヤバい、どうしよう!?怒らせちゃったよ!!
これ、絶対殴られるよね!?
…南無三…!
「わかってくれるか、なァオイ!?いやー、そこまで褒められちまうと、なんか照れんな!」
…は、はは…
よ、良かった…助かった…
「お前とは、なんか気が合いそうな気がするぜ!俺は、
「か、景見凶夜です…ちょ、【超高校級の不運】って呼ばれてます…」
「そうか、凶夜か!!よろしく頼むぜ、相棒!!」
あ、相棒…
「…ふぅ。」
「あれ?おい、どうした凶夜?大丈夫か?」
「あ、はい…」
なんか、緊張が解けて急に力が抜けちゃったみたいだ。
それに、なんか変な汗がどっと出たな。
「ねえねえ、君、成威斗クンっていうの?ボクは狛研叶!【超高校級の幸運】だよ!よろしくね!」
「私は、不動院剣と申します。【超高校級の侍】です。」
「わたしは日暮彩蝶だよ。【超高校級の生物学者】なんだ。こっちは、お友達の翠ね。よろしく。」
「お前ら、【超高校級】って…もしかして、お前らも希望ヶ峰の生徒なのか?」
「も、という事は、貴方もなのですか?」
「ああ、俺は新入生だけどな。俺は舞田成威斗。【超高校級の喧嘩番長】だ!!」
【超高校級の喧嘩番長】…聞いた事あるな。確か、不良の巣窟って呼ばれてる『天下一中学校』の元番長で、他校のライバル達をなぎ倒して手下にして、県内一のヤンキーとしての伝説を築いたって言われている…噂によると、鉄パイプで頭を100発殴られても立っていられるとか、金属バットで電柱をへし折れるとか、学ランの総重量が100kgあるとか…とにかく、不動院さんと同じく、この人も人間じゃないんだよなぁ。でも、手当たり次第に喧嘩を仕掛けてくるっていうイメージだったけど…意外といい人っぽいな。
「叶に剣に彩蝶に翠か!よろしくな!!」
「成威斗クン!!なんか、アツいね!!漢って感じだね!!ファイトって感じだね!ボク、そういうの大好きだよ!!」
「わかってくれるか叶!!?」
うわぁ…あの二人、メチャクチャ波長が合うじゃん。
もう、僕じゃなくて叶さんが相棒の方がいいんじゃないかな。
「剣!なんか、お前は俺と同じものを感じるな。お前とは仲良くやっていけそうな気がするぜ!!」
「舞田殿、実は私も同じ事を考えておりました。貴方からは、武士の魂と近しい物を感じます。」
「おお、そうか!!」
「ねえ、ないとくん。翠が怒ってないから、きっときみは心がきれいなんだね。わたし、きみと仲良くなりたいな。」
「おう!!今日から俺達はダチだ!!」
「あらあら。随分と大きい人間がいるんですね。でも、声がうるさすぎて鼓膜が保たないから、黙っててくれるかしら?」
「うおっ、すげえ美人…あ、アンタ、名前は?」
「はじめまして。私は白鳥麗美。【超高校級のマドンナ】よ。」
「し、白鳥さんか。よろしくお願いします…」
舞田君、なんで敬語になってるの。
…まあ、白鳥さんはすごく美人だもんね。
見惚れるのも無理ないよ。
…中身はアレだけど。
「舞田君、声が大きいので静かにしてくれないかしら?」
「は、はい…」
チョロいな。
舞田君って、もしかして割と単純…?
「おい、そこのデカいの。俺を無視するとは何事だ。」
「あ、悪い。…と、お前は誰だ?」
「…はぁ、全く…これだから日本人は。俺の事を知らない奴が多すぎるだろう。…俺はラッセ・エドヴァルド・シルヴェンノイネン。【超高校級の国王】だ。よく覚えておけ。」
「へえ、お前国王だったのか。よろしくな!」
「触るな!俺は王族だぞ。貴様のような奴と馴れ合う気はない。早く俺の視界から消えろ。下衆が。」
「おい…テメェ、今なんつった…?」
「下衆だと言ったんだ。俺は、何も間違った事は言っていない。貴様のような男は、とても下品で不愉快だ。まずそのカマキリの卵のような頭をどうにかしろ。今にも孵化した幼虫が湧いてきそうで不愉快極まりない。」
ラッセ様、無闇に喧嘩ふっかけるのやめましょうよ…
わざわざ敵を増やすようなマネをして、何がしたいんですかあなたは…
「テメェ…言いやがったな!!?歯ァ食いしばれやコラァ!!」
「ほう、暴力か。どうやら、貴様の脳ミソの出来はミジンコ並みのようだな。」
「うるせェ!!ブン殴るぞテメェ!!」
「ちょっと、やめてくださいよ…舞田君…!」
「止めるな相棒!!コイツは今、俺をバカにしやがった!!国王だろうとなんだろうと関係無え!!ブン殴ってその腐りきった根性、叩き直してやる!!」
「ダメですって!!落ち着いてください!!」
「そうだよ!やめてよ二人とも!翠も、やめてって言ってるよ!」
「ギャギャギャギャ!!」
「二人とも、ダメだよケンカなんかしちゃ!一回落ち着きなよ!」
「やめなさい、お二人共!!」
「…ここでケンカを止めれば、みんなの私への高感度アップは間違い無しね!…もうやめて舞田君!私、あなたが暴力を振るうところなんて見たくないの!」
…聞いてないな。
白鳥さんの渾身の演技も耳に入らないくらい、頭に血が上っているらしい。
どうすんだこれ…誰にもこの二人を止められないのか…?
ガチャ
「…あっ。」
部屋のドアが開いて、女の人がこっちを覗いているのが見えた。
「…えーっと…待って?これ、どういう状況?目が覚めて、ちょっと状況を確認しようと思って部屋の外に出たら、外がメッチャ修羅場なんだけど…もしかしてアタシ、今出ていかない方が良かったりする?」
女の人は、ブツブツと独り言を言っていた。
「あぁ?」
舞田君が、覗いている女の人に気づいたらしい。
「おい、お前何覗いてんだ!!隠れてねぇで出てこい!!」
「ちょっと、なんなのよぉ!!変な所に連れてこられたと思ったら、いきなりヤンキーに怒鳴りつけられて…何もしないから、そんなにすごむなよ!」
女の人は、ビクビクしながら部屋から出てきた。
その人は、ミカン色の髪の毛を肩につくくらいの長さのツインテールにして、前髪をヘアピンで留めていた。
瞳は明るめの茶色で、少しキツめの顔立ちだった。
その人は、制服を着崩していて、右手にはシュシュをつけていた。
ヤンキーの次はギャルか。
…ギャルと言えば、中学生の時、財布の中身をカツアゲされたなぁ。
僕って、なんでああいう類の人達に狙われるんだろ。
「って!?ヤンキーの他にも、6人もいんじゃん!!何これ!?どうなってんの!?」
「ねえ、キミ、お名前は?ボクは狛研叶!希望ヶ峰学園の新入生で、【超高校級の幸運】って呼ばれてるんだ!よろしく!」
「わたしは、日暮彩蝶っていうんだ。【超高校級の生物学者】なの。こっちは、お友達の翠ね。」
「え、待って!?【超高校級】!?え、どうなってんの!?アンタらも!!?」
「え!?アンタらも、って事は、もしかしてキミも!?」
「ああ。アタシは
【超高校級のダンサー】か。確か、踊ってみた動画で一躍有名になった、今をときめく若手ダンサー…だっけ。その国の伝統的な踊りから、流行りのダンスまで、なんでも完璧に踊れるらしい。噂によると、CGのキャラクターに踊らせるような、どう考えても人間じゃ踊れないような動きの速いダンスも、完璧に踊って世界中を沸かせたんじゃなかったっけ。
「踊子ちゃんね、よろしく!」
「ねえ、そこのアンタは?」
「ぼ、僕ですか…?か、景見凶夜です…【超高校級の不運】って呼ばれてます…」
「ふぅん、カナエにアゲハにキョウヤね。よろしく。」
「は、はい…」
「ところでさ、アンタの【超高校級の不運】って、なんなの?」
「ああ、そのままの意味です。僕は、生まれつきことごとくツイてないので、そう呼ばれているんです。ツイてないって事以外は、みんなみたいな才能とか全然無いので、希望ヶ峰の生徒を名乗っていいのかどうかは微妙ですけど…」
「へぇ…アンタも苦労してきたのね。そんな死んだ魚みたいな目してないで、元気出しな。」
「は、はい…ありがとうございます…」
「そうだ、ちょっと踊ってみなよ。いい気分転換になるよ。」
「ぼ、僕は踊れないんで…」
「そうなんだ。…ま、そのうちいい事あるから気にすんなって。」
「はい…」
なんか、ギャルだからって無意識に避けてたけど…
案外いい人なんだな。
「次は私の番ですかね。はじめまして、私は不動院剣と申します。【超高校級の侍】です。以後お見知り置きを。」
「え、待ってヤバい!クッソイケメンなんだけど!目元とかヤッバ!え、しかも侍!?何それ!マジエモみMAXじゃん!いやぁ、マジテライケメンだわツルギ!」
「え、えも…?てら…?」
羽澄さんは、ありえないくらいテンションが上がっていた。
不動院君も、聞き慣れない単語のオンパレードに困惑している。
…羽澄さんって、面食いなんだな。
あれ?なんかデジャヴ…
「よっしゃ、次は俺の番だな。俺は、【超高校級の喧嘩番長】舞田成威斗だ!!」
「ヒッ…!?」
「お、おい。そんなにビビるなよ。さっき怒鳴った事なら、悪かったよ。イライラしてたから、ついキツく当たっちまったんだよ。もういきなり怒鳴ったりしねえから、そんなにビビんなよ。」
「そ、そんなの信用できるかよ…!アタシは、あの時ボコられるんじゃないかと思ってすごいビビったんだからな!?」
まあ、舞田君の見た目で謝られても、説得力が無いよね…
「悪い!!俺は、女とはケンカしねえって決めてんのに…つい怒鳴っちまった!!本当にごめん!!」
舞田君は、いきなり頭を下げて謝り始めた。
「は!?え、ちょっと待ってよ…いきなり、そんなメッチャ謝られても…逆に困るってゆーか…」
羽澄さんも、いきなり舞田君が土下座なんかしたもんだから、すごい慌てふためいてるよ。
そりゃあ、さっきまで自分が怖がってた相手がいきなり土下座してきたら、普通びっくりするよね。
「もういいよ!ビビりすぎたアタシが悪かったから!そんな謝んなよ!」
…舞田君って、喧嘩っ早いイメージだったけど…自分に非がある時はちゃんと謝るんだな。
「ちょっと、何よあなた。そのふざけた格好と態度は?生きてて恥ずかしくないのかしら?」
「うわっ!今度はめっちゃ美女!!え、神並に可愛いんだけど!!?ねえ、もしかしてアンタ、【超高校級のマドンナ】白鳥麗美じゃない!?」
「あら。やっと私を知ってる人に会えたわ。あなた、下品で不愉快な女だと思ってたけど…ちゃんと知っておくべき事は知ってるのね。」
「なんか、こんな可愛い子にそんな事言われると照れるな…よろしくな、レイミ。」
おっ、珍しく白鳥さんが煽ってこないな。
良かった。また喧嘩にならずに済んで。
「おい、そこのミカン頭。貴様、そこのダークパープルの事を知っているなら、当然俺の事も知ってるよな?」
「え、ミカン頭ってアタシの事?…やー、ごめん。ちょっと知らないかなぁ。」
「…そうか。だったら教えてやる!俺は、ラッセ・エドヴァルド・シルヴェンノイネン。【超高校級の国王】だ!シルヴェンノイネン王国の国王だぞ!」
「ごめん。どこそこ?アタシ、地理ニガテだから、メジャーな国10コくらいしか知らないんだわ。ゴメ!」
「羽澄殿。
「そうなんだ。ありがとツルギ。」
「フン、侍。貴様、時代遅れな格好をしているくせに、世界地理はちゃんと勉強しているんだな。感心したぞ。」
「恐縮です。」
不動院君は、扇子で顔を仰いだ。
ホント、カッコいいなぁ…
ガチャ
「うーん、ここはどこなのかなぁ。まるでわからないや。」
部屋から、また男の人が出てきた。
「…あっ。」
出てきたのは、不動院君と互角の美形男子だった。
でも、不動院君が中性的な美少年なら、この人は男顔の美形だな。
その人は、焦げ茶色の髪に、少し紫がかった青い瞳の美少年だった。
その人は、ライトグリーンのタートルネックの上に、グレーのジャケットを羽織っていて、おしゃれな雰囲気だった。
「やあ、はじめまして!ボクはボクは狛研叶!【超高校級の幸運】さ!よろしくね!」
「私は、不動院剣と申します。【超高校級の侍】です。」
「わたしは日暮彩蝶だよ。【超高校級の生物学者】なんだ。こっちは、お友達の翠ね。よろしく。」
「おう!!俺は、舞田成威斗!!【超高校級の喧嘩番長】だ!!」
「やっば!こっちもイケメン!あ、アタシは羽澄踊子。【超高校級のダンサー】だよ。よろしく!」
「お、結構イケメン…私は、白鳥麗美よ。【超高校級のマドンナ】。よろしくね。」
おいおい、みんな矢継ぎ早すぎでしょ。
部屋から出てきたばっかりで、いきなり一斉に自己紹介されたら混乱するって。
「うんうん、狛研さんに不動院君に日暮さんに翠ちゃんに舞田君に羽澄さんに白鳥さんね。みんな、面白い才能だねえ。すごく興味深いなぁ…」
え、嘘でしょ!?
今ので全員把握できたの!?
そういえば、昔の歴史の教科書に載ってた聖徳太子って人が、10人が同時に喋ったのを全部聞き取ったらしいって昔お父さんが言ってたけど…まさかね。
「ねえ、キミの事も教えてくれるかな?」
「うん、いいよ。僕は
【超高校級のアナウンサー】か…聞いた事あるな。確か、高校生にして朝のニュース番組『めざますテレビ』の人気アナウンサーで、話題の面白さとか、誰に対しても神対応な所とかが注目されているんだっけ。週刊チューズデーに掲載されてた『女性会社員が選ぶ、最近注目している男性アナウンサーランキング』で毎回トップ3なんだよな。噂によると、彼が出演てからは『めざますテレビ』の平均視聴率は50%を超えたとか…
「ねえ、そこの君。名前を教えてもらってもいいかな?」
「あ、えと…景見凶夜…です…。」
穴雲君から放たれる、輝かしいイケメンオーラに、ついたじろいでしまった。
「景見君…ね。君は、確か【超高校級の不運】だっけ。テロリストに人質にされたり、飛行機の墜落事故に遭ったり、雷が頭上に落ちたり…もはや生きているのが奇跡って言われる程の不運に見舞われた、『奇跡の不運』だよね?僕は今まで色んな【超高校級】に取材をしてきたけど、君みたいな面白い才能を持った人は初めてだよ!君の事、もっと教えてくれないかな!?」
穴雲君は、グイグイと僕に聞いてきた。
普段は神対応だけど、一度スイッチが入っちゃうと途端にベラベラと喋りだすんだね。
「え、えっと…僕、自分の才能が嫌いで…こんな呪われた気質のせいで、周りの人にも迷惑をかけたし…僕自身、人生で一度も『生きていて良かった』って思えた事が無いんです。だから、あんまり『不運』の話はしないでいただけるとありがたいです…」
「あ、ごめんね。傷つけるつもりじゃなかったんだけど…そうだね。今のはデリカシーが無さすぎたね。ごめんね、景見君。」
「いえ…穴雲君は、悪くないんです。悪いのは全部僕で…」
「そうやって卑屈になるのは、君の悪い癖だよ。そうやっていじけてたって、運が良くなったりはしないんだからさ。幸運は、自分で見つけないとダメだよ。」
「…は、はい…」
幸運を自分で見つける、か。
多分、それを自然とできてるのが、叶さんなんだよな…
僕も、叶さんみたいになれたら、世界の見え方も全然違ったのかな。
「穴雲さぁん!私の事も、取材してくれないんですか?」
「えっ…」
「私、穴雲さんに取材されたいですぅ。私の事、好きなだけ根掘り葉掘り聞いてほしいな、なーんて…」
「うーん…嬉しいけど、君への取材はまた今度にしておこうかな。僕に興味を持ってくれてありがとう。」
わあ…白鳥さんがフラれた…
こんな光景、あっていいのかなぁ?
穴雲君は、早速叶さんに質問をしていた。
「狛研さんは、抽選で希望ヶ峰学園にスカウトされたんだよね?…でも、君からは、何か特別なものを感じるんだよね。君は、何か幸運に関する才能を持ってるのかな?」
うんうん、そうなんだよね。
叶さんからは、何か不思議なオーラを感じるんだ。
「んー…才能っていうのかよくわかんないんだけど、ボクの周りではラッキーな事がよく起こるんだ!だから、それが才能って事なんじゃないかな?」
「…両親が幼い頃に交通事故で死亡、さらには引き取られた先の家ではネグレクトを受け、最終的に施設に預けられた…これほど不幸な人生を歩んでいて、なんで君は自分がラッキーだって言えるのかな?」
えっ?
「…。」
「おっと、これ以上聞くのは野暮かな。ごめんね、ちょっと詮索しすぎたみたいだ。忘れてくれ。」
「全然気にしてないよ!ボクは、今のボクが幸せならそれでいいもん!」
「ははっ、君は本当に明るいね。」
なんか、二人とも楽しそうだな。
「そうだな…あと気になるのは…」
穴雲君は、ラッセ様の方に歩いていった。
「あの、あなたは、シルヴェンノイネン王国の国王様ですよね?」
「…なんだ貴様。この俺を知っているのか。」
あ、ちょっと嬉しそうだな。
自分の事を知ってる人に会えたからかな?
「当然です。あなたほど若くして王位に就き、そしてこれほどまでに国を発展させた国王はいませんからね。…是非とも、政策についてのお話や、即位された時のお話を伺いたいのですが。」
「ほう…貴様、俺に興味があるのか。フフッ、良かろう。貴様には、特別に俺の話をしてやろう。」
ラッセ様は、嬉しそうに語り始めた。
なんか、さっきまで笑った顔を見た事がなかったけど…普通に笑ったりとかするんだな。
…これで9人か。
なんか、どんどんキャラが濃くなってくなぁ。