…え。
そんな、嘘だ…
こんな事って…
【超高校級の曲芸師】朱雪梅サンの秘密!
朱雪梅は、人を殺した事がある。
そんな、雪梅ちゃんが人を…?
きっと何かの間違いだ。
本人に確かめに行けばわかるはずだ。
行ってみよう。
…ごめん、星也クン。
今日だけは約束…破っちゃうね。
◇
【朱雪梅の独房】
ピンポーン
「雪梅ちゃんいるー?」
「ハイ、なんですか叶サン。」
「…あのさ。ちょっと話したい事があるんだけど…いいかな?」
雪梅ちゃんは、何かを察した様子だった。
そして、少し考えてから言った。
「…ドウゾ。お入りクダサイ。」
「お邪魔します。」
「それで、話ってナンデスカ?叶サン。」
…言わなきゃ。
雪梅ちゃんに、ちゃんと秘密の事を伝えないと。
誤解を解かなきゃ。
「…あの、さ。単刀直入に言うけど…ボク、キミの秘密を見ちゃったんだ。」
「そうですカ。それで?」
「キミが、人を殺した事があるって書いてあったんだけど…何かの間違いだよね?キミの口から本当の事が聞きたいんだ。どういう事か、説明してくれる?」
「…ウソ、ナンデそれヲ…」
雪梅ちゃんは、一瞬驚いた。
「…わかりましタ。話しマス。叶サン、アナタの手帳、書いてあたワタシの秘密、本当デス。」
「…え?」
「…今から5年前の話デス。ワタシ、王神美、憧れテ、曲芸師目指しマシタ。自分の団持つ前ハ、他の団ノお手伝い、してマシタ。ワタシ、所属してタ雑技団、ライバル、イマシタ。その子、意地悪、嫌な感じデシタ。その子、他の子イジメて、楽しんでマシタ。ワタシ、ソイツ嫌いデシタ。」
「うんうん。」
ジ●イアンタイプの子ね。
まあ、学校でも習い事でも、そういう子って1人や2人はいるもんなのかな?
「ソレデ、ワタシ、頭にキテ、仕返しシテやろうト思いマシタ。綱渡り、使うロープ、弱くナテタの、ワタシ、知テテソイツに教えマセンでしタ。デモ、それ、間違いデシタ。」
「…まさか。」
「ハイ。ソイツ、演技の最中、ロープ切れて落ちマシタ。それで、打ち所悪クテ亡くなりマシタ。」
「そんな…」
「ワタシ、ちょとイタズラしただけ、つもりだたんデス。それで、ケガしてイジメ懲りる、思いマシタ。でも、マサカ死ぬなんて思テなくテ…ちゃんとロープの事、伝えておけば良カタ。今でも、後悔シテマス。」
「ちょっと待ってよ。それ、ただの事故じゃない。別に雪梅ちゃんだけが悪いわけじゃないよ。」
「イイエ。ワタシ、アイツ殺しマシタ。ワタシ、ちゃんと言てイレバ、アイツ死ななカタ。ワタシのセイデ、アイツ死にマシタ。」
「…ボクはそんな事ないと思う。誰も、雪梅ちゃんがその子を殺したなんて思わないよ。そりゃあさ、嫌なヤツにちょっとオイタをしたくなる事くらいあるよ。でもそれってそんなに悪い事?雪梅ちゃんだって、その子の事を殺そうと思って教えなかったわけじゃないんでしょ?」
「…デモ、」
「とにかく、雪梅ちゃんは人殺しじゃないから。ボクが保証するよ。」
「叶サン…」
「雪梅ちゃん、話してくれてありがとう。今までつらかったね。もう自分の事を責めなくてもいいんだよ。」
「叶サン、ありがとうゴザイマス。ワタシ、本当はズト辛かたでス。でも、アナタ、話せて少し楽になりマシタ。
「いいんだよ、ボクは人の話聞くの好きだし…それにボク達お友達でしょ?嫌な事があったらいつでも相談してよ。」
「…ハイ。」
やっぱり雪梅ちゃんは人殺しなんかじゃなかったんじゃん。
星也クンには秘密の事について何も話すなって言われたけど…
困ってる子に一人でつらい思いをさせるなんて良くないよ。
やっぱり、ちゃんと雪梅ちゃんに話せてよかった。
「雪梅ちゃん、今日は夜遅くに突然部屋に来ちゃってごめんね。」
「イエ。ワタシも、今から秘密の事、聞きに行こうと思テタ所デス。」
「そうなの?」
「ハイ。成威斗サン、秘密、話そうと思テましタ。」
「成威斗クンに…ね。ちゃんと話せるといいね。」
「ハイ。では、ワタシ行テキマス。叶サン、今日、ありがとうゴザイマシタ。」
「うん、じゃあまた明日。おやすみなさい。」
《朱雪梅の好感度が1上がった》
◇
雪梅ちゃんは、ちゃんと成威斗クンに伝えに行ったみたいだね。
…さてと、ボクもそろそろ部屋に戻ろうかな?
「いやぁああああああああああああああ!!!」
…え?
今の、もしかして治奈ちゃんの声…?
2階からだ。どうしたんだろう?
まさか、事件に巻き込まれてるんじゃ…
急がなきゃ、助けなきゃ…!
気がつくと、勝手に足が動いていた。
止まれない。
止まるわけにはいかない。
ボクはもう、仲間が死ぬのは嫌なんだ…!!
誰も死なせない、その思いだけを胸にボクは走った。
◇
【内エリア 2F】
今の声、どこから聞こえた…!?
…あ、陽一クンの研究室が開いてる…あそこからか!?
ボクは、陽一クンの研究室の中に駆け込んだ。
「ッ…!!」
信じられない光景が目に飛び込んできた。
陽一クンの研究室の中では…
星也クンが、血を流して倒れていた。
「星也クン!!」
ボクは、星也クンに駆け寄った。
「星也クン!!ねえ、しっかりして!!何があったの!?」
返事がない。
星也クンのお腹には、包丁が深々と刺さっていた。
「…良かった、ちゃんと脈はある…治奈ちゃんは!?」
「あ、ああああ…」
治奈ちゃんは、顔を真っ青にしてその場に座り込んでいた。
その後ろでは、陽一クンが放心状態で腰を抜かしていた。
「治奈ちゃん!!星也クンがケガしてるの!!このままじゃ危ないよ、なんとかしてあげて!!」
「…ッ。」
「何してるの!!?早く助けてあげてよ!!早くしないと星也クンが死んじゃうよ!!」
「…あっ、すみません…!」
治奈ちゃんは、我に返って星也クンに駆け寄った。
そして、冷静さを欠きながらも適切な応急手当をした。
「穴雲さん…しっかりしてください!!…すみません、私のせいで…ごめんなさい、ごめんなさい…!」
「…う。」
「穴雲さん…良かった、目が覚めて…ごめんなさい、私のせいでこんな事に…」
「癒、川…さん…よかった、生きて…」
「お、おい…どうすんだよ穴雲の奴…!このままじゃマズいんじゃねえのか!?どうすりゃいいんだ癒川ちゃん…!」
「そうですね…しばらくは絶対安静ですね。栄さん、穴雲さんをお部屋まで運んでいただけませんか?」
「お、おう…」
「…それから、先程の事は本当に申し訳ありませんでした。」
「え、あ…いや、もういいよ。それより、穴雲だ。早く寝かせてやんなきゃだろ?」
「…そうですね。」
「あれ?陽一クン、ところどころ血が出てない?大丈夫?」
「ああ、これか。後で話すわ。とりあえず、今は穴雲をなんとかしよう。」
「あ、そだね…ごめん。」
ボク達は、星也クンを部屋まで運んであげた。
◇
【穴雲星也の独房】
「…一応、今できる処置は全て終わりました。このまま安静にしていれば、明日の昼には歩けるようになるはずです。」
「良かったぁ…」
「んー、まあ、これで一件落着って事でいいのかな?」
「あの…栄さん。先程は、本当に申し訳ありませんでした。私は、あなたに償っても償いきれない仕打ちをしてしまいました。ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…っ!」
「いや、確かにちょっとビックリしたけど…もういいって。終わった事なんだしよ。」
「いえ、そういうわけにはいきません。お詫びと言ってはなんですが…私の事を好きにしていただいて…なんなら、殺していただいても構いません…!それで許されるとは思っていませんが…どうか、私に重い罰を与えてください!!」
「いや、いやいやいやいや!!もういいって言ってんだろ!そんな事言うなって!」
「うーん、治奈ちゃん。とりあえず、陽一クンの手当てをしてあげようよ。ケガしてるみたいだし。」
「あっ…そうですよね。すみません…!」
治奈ちゃんは、陽一クンの手当てをした。
そうだ、今のうちに陽一クンに何があったのか聞いておこうかな?
「ねえ、陽一クン。」
「なんだ?狛研ちゃん。」
「あのさ、キミの研究室で何があったの?どう見ても只事じゃないけど…」
「…ああ、その事か。癒川ちゃん、話してもいいか?」
「…はい。私には拒否する資格がありません。真実をそのまま話してください。」
「じゃあ話すぞ。…今から数分前の話になるんだけど…」
◆
ー数分前ー
…マジかよ、これが…癒川ちゃんの秘密…?
嘘だろ…こんなの、信じられるかよ…
きっと何かの間違いだ。
やっぱり、ちゃんと本人に伝えに行こう。
本人に聞けば、きっと誤解だってわかるはずだ。
そうだ、手帳のチャット機能を使って癒川ちゃんを呼び出して話そう。
《癒川ちゃん。ちょっと今から話したい事があるんだけど…今すぐオレの研究室に来てくれるか?》
《…わかりました。すぐに向かいます。》
…これでよし。
悪い、穴雲。
約束、破っちまうわ。
やっぱり、秘密を伝えないでおくなんて…そんなの、良くねえよ。
◇
【超高校級の栄養士】の研究室
…しっかし、癒川ちゃん遅せェな…
普段はちゃんと時間を守る娘なのに…
何やってんだろ?
「お待たせしました栄さん。…ごめんなさい、遅くなってしまって。」
「いや、こっちこそ急に呼び出しちまって悪かったよ。」
「いえ、特に急用もありませんし…ところで栄さん。お話というのは…」
「…ああ、あのさ。癒川ちゃんはもうわかってると思うけど、秘密についての話だ。…オレ、癒川ちゃんの秘密を見ちまったんだ。」
「…そう、ですか。」
オレは、癒川ちゃんの秘密を本人に伝えた。
癒川ちゃんは、なんで知ってるんだ、と言いたげな表情だった。
「…なあ、癒川ちゃん。これ、何かの間違いだよな?オレ、癒川ちゃんがそんな事するような娘だとはとても…」
「全て真実ですよ。」
「…え?」
癒川ちゃんは、ちょっと気味の悪い笑顔を浮かべた。
「人は見かけによらないって言うでしょう?私、本当はあなたが思ってるような女の子じゃないんです。」
「癒川ちゃん…」
「…それで、その秘密をどうするつもりですか?誰かに密告しますか?それとも皆さんの前で声を大にして言いふらしますか?」
「そんな事するかよ!癒川ちゃんがたとえどんな娘でも、人の秘密をそう易々と言いふらしたりは…」
ドスッ
「!!?」
反射的に手が動いた。
オレの両手は、癒川ちゃんの手を掴んでいた。
…その手には、包丁が握られていた。
「…ねえ栄さん。なぜ私があなたの呼び出しに応じたのか…まだわかりませんか?」
「癒川ちゃ…何を…」
「…栄さん、私、あなたとここで出逢えて良かったです。あなたのおかげで、私はとても楽しかった。」
「栄さん、ありがとうございました。死んでください。」
癒川ちゃんは、オレの手を振り解くと包丁を構えて、突きを放った。
「ひっ…!」
ザクッ
包丁がオレの肩に刺さった。
「ッ、ぐあぁあっ!!」
オレは逃げた。
こんな所で死にたくない。
癒川ちゃんは殺意のこもった目でオレを睨みながら追いかけてきて、何度も逃げるオレを刺した。
「ぐっ、あぁああ…!!」
「逃げないでくださいよ栄さん。私、あなたを苦しませたくないんです。大人しくしてくだされば、即死させて差し上げられるのに。」
「ぐっ、癒川ちゃん…どうしちまったんだよ…!?君、そんな事する娘じゃなかっただろ…なんで…!?」
「あなたが知ってしまった秘密は、私がたとえ死んでも他の誰かに知られたくないものだったんです。それを知られてしまったのなら、もうあなたを生かす理由はありません。」
「そんな…誰にも言わないって言っただろ!?落ち着けって…」
「うるさい!!そんな嘘が通用すると思ってるんですか!?あなたは私の秘密を知ってしまった。…もう終わりです。あなたを殺して私も死ぬわ!!」
ダメだ、完全に正気じゃねェ…
もう、痛みと出血でまともに逃げらんねェ…
いやだ、オレはこんな所で死ぬなんて嫌だぞ!?
頼む、誰か助けて…
「やっと観念しましたね。トドメを刺してあげます。…死ねッ!!」
「やめろ!!!」
グサッ
…ん?
あれっ?
痛みが無い。
どこも刺されてねェ…
なんで…
「…ッ!!」
「あ、あああああ…」
「くっ…良かった、間に合って…」
穴雲が、オレを庇って癒川ちゃんに刺されていた。
腹には、深々と包丁が刺さっている。
「いや…嘘…そんな、なんで…!」
癒川ちゃんは、穴雲の傷を見て怯んだ。
「君が部屋を出ていくのを見たから…何かあると思って駆けつけて正解だった…良かった、二人とも…生きて…」
穴雲は、その場で倒れた。
「いや…嘘でしょ…私のせいで…いやっ… いやぁああああああああああああああ!!!」
◆
「…ってワケなんだ。」
「…そっか。それは災難だったね。」
「ああ。オレ、なんで穴雲がアン時あんな事言ったのかわかったよ。…オレ、甘かった。まさかこんな事になるなんて…オレの軽率な判断のせいで、癒川ちゃんを殺人犯にしちまうなんて…穴雲を傷つけちまうなんて思わなかった。ごめんな癒川ちゃん。オレ、君が抱えてるモンの重さも知らずに、軽々と首を突っ込んじまって…」
「…いえ、謝らなければならないのは私の方です。私のわがままで栄さんを殺そうとしてしまい…本当に申し訳ございませんでした。」
「あのさ…こういう事聞くのはちょっと野暮かもしんないけど…治奈ちゃんの秘密って一体なんなの?あ、別に言いたくなかったら言わなくていいんだけどさ。」
「…いえ、いずれは話さなければならないと思っていた事ですし…栄さんを殺そうとしておいてまだ秘密を隠し通そうとするなんて、まかり通るわけありませんから。…私の才能に関する秘密でもありますしね。」
「じゃあ、話してくれるかな…?」
「わかりました。…実はですね、私は、その…えっと…援助交際に手を染めていた事があるんです。」
「…えっ。」
「…私、年の離れた弟がいたんですけど…ある重病を患っていたんです。都会の総合病院に行かないと延命措置すらできず、治療には数千万円以上のお金がかかる病気でした。うちは貧乏でそんなお金ありませんでしたし、親は父親が亡くなっているので母親一人だけで…その母親も、怪しい仕事をしては稼いできたお金をほとんど私達の生活費や学費に充てず、ほとんど全てをギャンブルやお酒…怪しい薬に使ってしまうような禄でもない母親だったので、当然数千万なんて金額を用意できるわけがありませんでした。」
「じゃあ…」
「…はい。弟の治療費を稼ぐために、近所のお店を手伝ってお小遣いを貰ったり…それでも足りないので、ほぼ毎日夜な夜な街に出歩いて体目当ての男の人についていってお金を貰ったりしていました。毎日、とても怖くて気分が悪かったですが…それでもお金を稼ぐためには仕方のない事でした。そんな生活を続けて数年後、ついに弟を治せるだけのお金が貯まりました。…でも、もう既に遅かった。」
「…まさか。」
「私が、貯めたお金を鞄に詰めて病院に向かっている途中でした。弟の容態が突然悪化し、あっという間に亡くなったそうです。私は、この時大事な事を学びました。誰かが助けてくれると思ってはいけない…本当に大切なものがあるなら、自分一人で守れるくらい強くならなければならないのだと。だから私はその日から、稼いだお金を学費や教材に注ぎ込んで、必死に医学や看護の勉強をしました。もし将来私にとって命に代えても守りたい大切な人が現れた時、二度と失わないように、何があっても絶対に救えるように、努力を重ねました。そして、医者になるための勉強として地元の小さな病院を手伝っていたら、その事が話題となってスカウトされたんです。」
「…そっか。ありがとう、話してくれて。」
「…はい。話したら少し楽になりました。こんな私の話なんかを聞いてくださって、ありがとうございます。」
治奈ちゃんは、安心したのか涙を流しながら微笑んだ。
「…癒川さんは真面目だね。」
「あ、穴雲さん!?聞いてたんですか!?」
「ぼんやりとね。…癒川さん。ありがとうね。本音、話してくれて。」
「…はい。」
「そうそう。癒川さん。ずっと前から言おうと思ってたんだけど…僕ね、君の事が好きなんだ。良かったら、付き合ってくれないかな?」
「はぁ!?え!?穴雲さん、今の話聞いてましたか!?今ので私のどこを好きになるんですか!!私と穴雲さんじゃ、絶対釣り合わないですよ…!私はその、汚れてるし…」
星也クンは、治奈ちゃんを抱き寄せた。
「そんなのどうでもいいよ。僕は、君じゃなきゃ嫌なんだ。」
「…えっと、あの…本当に私なんかでいいんですか…?」
「当たり前だろ。何度も言わせないでよ。」
「…あの、私…穴雲さんを幸せにできる自信がないんですけど…それでも良ければ…」
「ありがとう。絶対に僕が君を幸せにする。」
「マジかよ!!?いきなりカップル成立かよ!!羨ましいなチクショウめ!!クッソー、癒川ちゃんはオレが唾つけてたのに…って!?なんで狛研ちゃんが泣いてんの!?」
「ううう、良かったね、治奈ちゃあああん…」
「二人とも、癒川さんと一緒に僕の事を介抱してくれたんだって?ありがとう。」
「いや、そんな…」
「じゃあ、ボク達はお邪魔みたいだから部屋に戻るね?」
「そ、そうだな。仲良くしろよ、お前ら。」
「え、もう行っちゃうの?」
「うん。明日も早いし…ね、陽一クン。」
「ああ、狛研ちゃん。」
ボクと陽一クンは、ウインクで合図をした。
「じゃ、そういうわけでおやすみ、二人とも。」
バタン
「…別に空気読まなくて良かったのに。」
「そうですね…」
《穴雲星也の好感度が1上がった》
《栄陽一の好感度が1上がった》
《癒川治奈の好感度が1上がった》
◇
なんか色々とトラブっちゃったけど、なんだかんだでみんな和解できて良かったね。
さてと、明日は朝早いし、そろそろ寝ますか。
おやすみなさーい。
◇◇◇
「うーん。」
ボクは、独房で目が覚めた。
『フッフッフ。おはようございます!!起床時間ですよ!!アナタ達、今すぐ起床しなさい!!しないとブチ●しますよ。』
あーあ、うるさいね全く。
おっと、いけないいいけない。
朝から不機嫌になっちゃったよ。
支度して食堂行かないとな。
◇
【食堂】
「おはよー!」
「おや、おはようございます。狛研殿。」
「おはよ〜♪」
「オハヨーございます!!」
「おはよ、狛研ちゃん。」
「あれ?星也クンと治奈ちゃんは?」
「あの二人は、今日は部屋で飯食うってさ。全く、イチャイチャしてて羨ましいぜ。」
「仕方ないよ。星也クン、ケガしたんだもん。」
「え?そうなのかい?」
「何かアタんですカ?」
「ああ、ちょっとな。昨日ケンカしちまったらしくってよ。夫婦喧嘩もいい加減にしろよなー。」
「夫婦?お二人はご結婚されていたのですか?」
「あーあー、違う違う!ものの例えだよ!ほら、仲睦まじくて羨ましいなーって。」
「なるほど。」
おっ、時間になったな。
「おう!おはようお前ら!」
「…フン。」
「……………。」
「…。」
成威斗クン、ラッセクン、ゐをりちゃん、才刃クンが来た。
「みんなおはよう!…あれ?才刃クン、元気ないじゃん。どうしたの?」
「…うるさいのだ。話しかけるな。」
「え…?」
才刃クン、なんか今日機嫌悪くない?
どうしちゃったんだろ。
「ほにゃあぁあ…ごめんなちゃーい。遅れまちたぁ。」
天理クンは、やっぱり集合時刻に20分遅れてきた。
「…貴様、いい加減にしろ。」
「ちぃまちぇーん。あれ?バカップルが来てねーじゃん。どしたん?」
「星也クンと治奈ちゃんの事?あの二人は、星也クンが昨日怪我しちゃったから部屋で食べるって。」
「ほーん。え、何?痴話喧嘩?」
「おい財原。からかってやるな。二人の仲に口出しは無用だ。」
陽一クンだって、散々からかってたじゃん。
「さてと、じゃあ全員揃ったし飯にすっか。」
「だねー。お腹空いちゃったよぉ〜。」
◇
うーん、おいしい!
やっぱり陽一クンのご飯は最高だね!!
「…。」
あれ?才刃クン全然食べてないじゃん。
どうしたのかな?
「ねえ、才刃クン…」
「うるさいのだ。馴れ馴れしく話しかけるな。飯が不味くなる。」
「えっ…?」
「チッ、おい才刃!!なんなんだよテメェ!!お前、今日なんかメチャクチャ感じ悪いぞ!?」
「そうだぜ入田。お前、なんか今日狛研ちゃんにだけ当たりが強くねえか?どうしちまったんだよ。」
「ふんっ。…逆にオマエラ、よくこのゲームの黒幕と一緒に楽しく飯が食えるな。」
「えっ…?」
ボクが黒幕?
才刃クンは、一体何を言ってるのかな?
「おい、それは一体どういう事だ。説明しろ子供。」
「…昨日僕ちゃんに配られたのは、狛研の秘密だった。そこには、コイツがこのコロシアイの元凶だと書かれてたんだ。」
「なっ…!」
「でもさぁ、それってクマちゃんが用意した動機でしょ?嘘っぱちかもしんねーじゃん。」
「そうだよ…ボクは黒幕じゃないよ!」
「…僕ちゃんだって、最初はそう思ったのだ。でも、コイツが黒幕だと仮定すると、全てのつじつまが合うんだ。」
「どういう事だい?」
「オマエラ、おかしいと思わなかったのか?初めて来た場所にもかかわらず、コイツは臆する事なくこの学園に馴染んだ。普通だったらもっと警戒するだろ?」
「あー、確かにねー。狛研サンは、色々と怪スィーもんねー。」
「…そうだな。俺も、子供の意見に賛成だ。触角帽子が一番怪しいと思うぞ。思い出してみろ。コイツの空気の読めない言動や喋り方…どこかモノクマに似てるとは思わんか?」
「あ、確かに…」
「それに、コイツが裁判で指名した奴は、必ず悲惨な末路を遂げる。」
「それは違うよ!!ボクはただ、事件の犯人を解き明かしてただけで…」
「言い訳か?見苦しいぞ下衆が。散々俺達を弄んでくれたんだ。それ相応の罰を受ける覚悟はできているんだろうな?」
「違うよ!!ボクは、本当に黒幕じゃ…」
「やめろお前ら!!!」
「…成威斗クン?」
「俺には難しい事はよくわかんねェけどよ…叶は、今まで俺達と一緒に過ごしてきた仲間だろ!?それに、俺達はコイツに色々と助けられたじゃねえかよ!!コイツが犯人を見つけてくれなけりゃ、俺達は今ここにはいねェだろ!!だったらまず、疑うより先に礼を言うのが筋ってモンじゃねえのかよ!!?」
「だから貴様は馬鹿なんだ。疑うという事を知らんのか。そのうち死ぬぞ、馬鹿め。」
「ああ、俺はバカだ。けどよ、それがなんだってんだ!!?俺は、死んでもダチは疑わねえ!!!」
「…チッ、じゃあ勝手に信じて勝手に死ね。馬鹿が。」
「言っとくけど狛研!!僕ちゃんはまだオマエを疑ってるからな!!」
ラッセクンと才刃クンは、食堂を出て行った。
「チッ、なんなんだアイツら。せっかく作った朝メシを残しやがってよ。」
「いや、栄君。気にするとこ、そこじゃないだろ〜♬」
「狛研殿!私は、貴女を信じていますからね。だから気を落とさず…」
「うん、やっぱこれおいしいね。」
「狛研殿!?何故この状況で食べるのですか!!?」
「えー、だって。二人が朝ご飯残しちゃったんだもん。食べなきゃもったいないでしょ。」
「だよな!?ったく、オレのメシを残すなんてアイツらどうかしてるぜ!」
「お黙りフルチン立ちションお財布料理バカ。」
「財原!テメェ、オレの事くさしすぎだろ!?」
「だってキミはフルチン野郎で立ちション野郎で俺のギャンブル用のお財布で料理バカだろ?全部事実じゃん。まあそれは置いといて。…あのさー、狛研サン。今置かれてる状況わかってる?キミ、黒幕なんじゃないかって疑われてんだぜ?」
「知ってるよ。聞いてたもん。」
「では、なぜ…」
「だってさぁ、しょうがないじゃん?ボクが黒幕じゃないって証明できる手段はないし。あの二人が一人になりたいって言ってるんだから、たまにはそっとしてあげた方がいいんじゃないかな。」
「まあ、そうだけどよ…」
「んー、じゃあそろそろ俺も行こっかな?ごちそうさまー。」
天理クンも席を立った。
「あ、そうそう。一個忠告しとくよ。…みんな、“スペードのジャック”には気をつけた方がいいよ?」
…え?今、なんて…?
「おい、財原、なんだ今の!」
「うーん、ただの独り言。じゃ、俺は研究室でトネ●ワ見てくるから。」
「…なんなんだアイツ。いきなりワケわかんねェ事言いやがって。」
「まあ、あの方のする事は読めませんから…皆さん、無視しましょう。」
「そうだねぇ。」
スペードのジャック…
天理クン、やっぱり何か知ってるんじゃないのかな?
「あの、皆さん。これから何をされるご予定ですか?」
「んー。ボクは、星也クン達の様子を見に行くよ。心配だからね。」
「オイラは、外エリアを散歩でもしようかな?暇だからねぇ。」
「……………私も、そんな感じ………」
「ワタシ、星也サン、早く回復するヨウニ、おいしい料理、作りマス!」
「いいなそれ!オレも手伝うぜ!」
「俺はとりあえず体育館で鍛えてっかな。」
「…そうですか。」
うんうん、みんなそんな感じね。
ボクはそろそろ二人の様子を見に行こうっと。
◇
【穴雲星也の独房】
「たのもー!」
「あ、狛研さん。おはよう。」
「おはようございます。」
「うん、おはよ。どう?星也クン。元気になった?」
「うん、まあね。」
「聞いて!あのさ、雪梅ちゃんが、星也クンのためにおいしいご飯作ってくれるんだって!」
「へえ、それは楽しみだね。」
「治奈ちゃん。星也クンの容態は?」
「良好です。そろそろ歩き始めても良い頃合いでしょうか…」
「あのね、癒川さんはすごいんだよ。命に関わるような大怪我も、たった半日で治しちゃうんだ。」
「そんな…大袈裟ですよ穴雲さん…!」
「昨日も、寝ずに看病してくれて…本当、いい恋人を持ったもんだよ。」
「や、やめてください…恥ずかしいですから…」
のろけるねぇ。
「なんか元気そうで一安心だよ。あ、ムベ持ってきたから置いとくね。」
「ムベ!!?随分とマイナーなところ突きますね!?普通差し入れって、リンゴとかバナナとかですよね!?」
「そう?」
「…ありがとう狛研さん。」
星也クンは、引きつった笑顔を浮かべた。
ちぇっ、おいしいから良かれと思って持ってきたのに。
「じゃあ、元気そうだしボクそろそろ行くね。」
「あ、うん。ありがとね狛研さん。」
「いいって!じゃ、また後で。」
さてと。どうしよ。暇になっちゃったな。
そうだ。みんなの研究室に遊びに行こーっと。
◇
【超高校級の工学者】の研究室
ピンポーン
「才刃クンいるぅー?」
「…チッ、なんなのだ。不審者。」
「ひどいよ〜。あ、それなにやってるの?」
「オマエには関係ない。僕ちゃんが初めて書いた論文…人工心肺に関する論文を読んでいたのだ。研究室の中を整理してたら懐かしくなってな。」
「ふーん。」
「はっ…、しまった。僕ちゃんとした事が喋りすぎてしまった。もういいだろ。早く出て行け。」
「ひーん。」
あーあ、結局話すら聞いて貰えなかったよ。
ふーんだ、じゃあ天理クンのとこ行こーっと。
◇
【超高校級の資産家】の研究室
ピンポーン
「天理クンいるぅー?」
「やあ、我が城へようこそ黒幕さん。」
「天理クンまで!ひどいよ〜!!」
「冗談冗談。ねえ、暇だからちょっと遊んでよ。」
「テレビ見てたんじゃないの?」
「もう全部見ちゃったんだもーん。ねえ、構ってよー。」
「ボクも暇だったし、いいけど…」
「わーい。」
◇
「チェックメイト。」
「わーん、負けたー!天理クン強すぎー!」
「えへへ。面白いでしょ?この巨大チェス。遊ぶ相手がいなかったからずっと遊べずじまいだったんだ。」
「そっかー。…あー、そろそろお昼の時間だね。」
「えー。もうちょっと遊ぼうよー。あと1時間だけでいいからさー。」
「ダメ。みんなを待たせちゃうよ。ほら行くよ。」
「ひーん。」
◇
【食堂】
「来たよー。」
「にゃははー。」
「おや、お二人ともいらっしゃいましたか。」
「財原。お前、今日は珍しく早いな。」
「狛研君と一緒に来たからだろ〜♪」
「……………。」
時間ぴったりにラッセクンと才刃クンが来た。
「…チッ、今回も来ているのか。この不審者は。」
「全くなのだ。せっかくの飯が不味くなる。」
「お前らなぁ、いい加減に…」
「ごめん、みんなお待たせ。」
「お待たせしました…」
少し遅れて星也クンと治奈ちゃんが来た。
「穴雲。お前、もう大丈夫なのか?」
「うん。だいぶ回復したよ。…ところで、今日は朱さんがお昼ご飯を作ってくれるって聞いてるんだけど?」
「おう、そうだったな。」
「あれ?陽一クン、雪梅ちゃんはどうしたの?それに、成威斗クンもいないけど。」
「ああ、朱ちゃんなら、メシができたから舞田を呼んでくるって言ってたけど…さすがに遅いな。何やってんだろ?」
「ボク、体育館を探してみるよ。みんなも、手分けして二人を探してくれる?」
「アイアイサー。」
◇
【体育館前】
何やってんだろ二人とも…
成威斗クンってば、まだ筋トレやってんのかな?
…んっ?
あれっ?
開かない…
まさか、鍵がかかってる?
「どうしましたか狛研殿。」
「あ、いや…体育館の鍵が開かなくって…成威斗クン、この中にいるんだよね?閉じ込められてたりとかしてるんじゃないの?」
「なっ…やむを得ません、下がっていてください狛研殿。私が扉を斬ります!!」
『わぁあああああああっと!!ストップ、ストップ!!』
いきなりクマさんが現れた。
『ったく、不動院クン!何でもかんでもすぐに斬ろうとするんじゃないよ!!この一刀両断男!!今鍵を開けるからちょっと待っててよ!』
クマさんは、ドアの前で何かをガチャガチャやった。
すると、体育館のドアが開いた。
『はいどうぞ。じゃ、ボクはこれにて退散ーっと。』
クマさんは、そそくさと帰っていった。
「…呼んでみよっか。」
「そうですね。」
「成威斗クーン。いるぅー?」
…。
返事がない。
「ちょっと、中入ってみようよ。」
「…そうですね、入りましょう。下がってください狛研殿。私が先に入ります。」
「あ、うん…」
「舞田殿?いらっしゃいますか?一体今まで何を…」
「ッーーーーー。」
「ん?どうしたの剣クン?」
「こちらに来てはなりません、狛研殿!!」
「え、一体どういう…」
「ッーーーーーーーーーー!!!」
信じられない光景が目に飛び込んできた。
…嘘だ、そんなわけがない。
さっきまであんなに元気だったのに。
そこには、天井から首を吊って動かなくなっている一つの影があった。
なんでキミが…!
【超高校級の喧嘩番長】舞田成威斗クンは、そこで死んでいた。
「そんな、成威斗クン…!」
「嘘、ですよね…舞田殿が…!」
「キャアァアアアアアアアアアアアア!!!」
「!!?」
治奈ちゃんの声…!?
一体何が…
「剣クン!そこにいて。ボクは治奈ちゃんのところに行ってくる!!」
「は、はい…承知しました…!」
今の声、女子更衣室からだよね…?
一体何が…
◇
【女子更衣室】
治奈ちゃんは、更衣室の前で腰を抜かしていた。
「治奈ちゃん!!」
「…。」
「治奈ちゃん!!一体何があったの!?」
「あ、ああああああああ…」
治奈ちゃんは、青ざめた顔で更衣室の中を指差した。
「?」
「ッーーーーーーーーーー!!!」
また信じられない光景が目に飛び込んできた。
昨日まで普通だった更衣室には、赤い色が散らばっていた。
床には、さっきまで元気だった仲間の亡骸が転がっていた。
…どうしてキミが。
【超高校級の曲芸師】朱雪梅ちゃんは、そこで死んでいた。
ー才監学園生存者名簿ー
【超高校級のアナウンサー】穴雲星也
【超高校級の工学者】入田才刃
【超高校級の不運】景見凶夜
【超高校級の???】神座ゐをり
【超高校級の幸運】狛研叶
【超高校級の資産家】財原天理
【超高校級の栄養士】栄陽一
【超高校級の詩人】詩名柳人
【超高校級のマドンナ】白鳥隥恵
【セキセイインコ】翠
【超高校級の曲芸師】朱雪梅
【超高校級のダンサー】羽澄踊子
【超高校級の生物学者】日暮彩蝶/【超高校級の人狼】暁裴駑
【超高校級の侍】不動院剣
【超高校級の喧嘩番長】舞田成威斗
【超高校級の看護師】癒川治奈
【超高校級の国王】ラッセ・エドヴァルド・シルヴェンノイネン
ー以上10名ー
平和な時間もお預けよ!
やー、ギスギスして参りました。