ダンガンロンパPRISON   作:M.T.

34 / 72
7月7日は狛研ちゃんの誕生日です!
本人からメッセージをいただいております。

狛研「わーい!ボクの番だー!あのね、今日はボクの誕生日なんだー!そういえば今日は七夕だけど、七夕って言ったら願い事だよね!願い事が叶う日が誕生日なんて、ラッキーなボクにピッタリだね!…え?何?ラッキー7だから誕生日にしただけで、特にそういうの考えてなかった?なにそれー!!まあいいや!みんなは何か願い事した?叶ったらすっごくラッキーだね!」


第3章 非日常編④(おしおき編)

VOTE

 

【超高校級の侍】不動院剣 9票

 

【超高校級の???】神座ゐをり 1票

 

【超高校級のアナウンサー】穴雲星也 0票

 

【超高校級の工学者】入田才刃 0票

 

【超高校級の不運】景見凶夜 0票

 

【超高校級の幸運】狛研叶 0票

 

【超高校級の資産家】財原天理 0票

 

【超高校級の栄養士】栄陽一 0票

 

【超高校級の詩人】詩名柳人 0票

 

【超高校級のマドンナ】白鳥隥恵 0票

 

【セキセイインコ】翠 0票

 

【超高校級の曲芸師】朱雪梅 0票

 

【超高校級のダンサー】羽澄踊子 0票

 

【超高校級の生物学者】日暮彩蝶/【超高校級の人狼】暁裴駑 0票

 

【超高校級の喧嘩番長】舞田成威斗 0票

 

【超高校級の看護師】癒川治奈 0票

 

【超高校級の国王】ラッセ・エドヴァルド・シルヴェンノイネン 0票

 

 

 

『うぷぷぷ!!お見事大正解ーーー!!!【超高校級の喧嘩番長】舞田成威斗クンと【超高校級の曲芸師】朱雪梅サンを殺した殺意MAXイカレクレイジーサイコパスシリアルキラーは、ななななんと!みんなを守る正義の味方のカックイイお侍様のフリをした極悪非道の魔女、【超高校級の侍】不動院剣クン…もとい、不動院剣サンでしたー!!いやぁ、不動院サンは女の子だったんだね!意外〜!』

『フッフッフ。今回は、クロの不動院様も含めて全員満場一致で不動院様に投票してい…ませんでした!神座様だけは、自分に投票していました!全く、何を考えていらっしゃるんでしょうかねぇ。』

 

 

「…。」

剣ちゃんは、少し俯いたまま黙っていた。

「なあ、モノクマ。不動院…あ、えっと…不動院ちゃんは、なんで男のフリをしてたんだ?」

『うっぷぷ!知りたい?では、舞田クンに送った彼女の秘密とセットで全部話しちゃうよー!…いいよね、不動院サン?」

「…どうぞ。もう反論する気もございません。」

『あらそう?じゃあ発表します!』

クマさんは、モニターのスイッチを入れた。

モニターに、映像が映し出される。

 

 

 

 

 


 

 

 

【超高校級の侍】不動院剣クンの秘密!

 

不動院剣は、女である。

 

 

 


 

 

 

 

 

「…。」

「…そんな、う…そ………」

ゐをりちゃんは、剣ちゃんの秘密を見て驚いていた。

「…神座殿、今まで騙していて申し訳ございませんでした。ですが、そこに書かれている事は事実です。…これが証拠です。」

剣ちゃんは、着ていた着物を半分脱いだ。

彼女の胸には、サラシが巻かれていた。

「…マジかよ。」

「…ご納得いただけましたか。」

剣ちゃんは、俯いたまま着物を着直した。

「…何回も聞くようだがオマエ、なんで女のクセに男のフリなんてしてたんだ?黙ってないで答えろ不動院!」

「…。」

『うっぷぷぷ!みんな、なんで不動院サンが今までみんなの事を騙して、男のフリをしてたのか気になるよね?それじゃあ、VTRスタート!』

 

 

 

 

 


 

 

 

画面に、子供の落書きのような絵が映し出される。

多分、描かれているのは剣ちゃんだ。

そこでクマさんのナレーションが入る。

 

 

◇

 

 

昔々、ある所に一人の若き名家の当主がおりました。

彼の名は、不動院宗定。彼には、産まれたばかりの可愛らしい一人娘がおりました。

彼は、娘に剣という名前を付け、たいそう可愛がりました。

そして数年後、彼の奥様が、男の子を身篭りました。

本来なら、その子供が不動院家の跡継ぎとなるはずでした。

 

しかし彼の奥様は流産し、それから間もなくして彼自身も病床に伏し、お亡くなりになりました。

代々、不動院家の跡継ぎは、本家の血を継ぐ男子のみと決まっていました。

しかし、正統な不動院家の当主の血を継ぐのは、遺された一人娘のみ。

不動院家が滅亡するのを恐れた宗定は、苦渋の決断を下しました。

彼は、自分が亡くなった後は娘を男として育てるようにと家臣たちに遺言を残し、そのまま息を引き取りました。

 

彼の一人娘である剣サンは、幼い頃から男として育てられてきました。

彼女は女である事を許されず、男を演じる事を強いられました。

さらに、亡くなった前当主の奥様は、息子を流産してから気が触れてしまい、娘にきつく当たるようになりました。

それでも剣サンは不動院家の跡継ぎとして、剣の腕を磨き、女としての人生を捨て、男として…侍として強く逞しく生きてゆきました!

その生き様が世間から評価され、【超高校級の侍】と呼ばれるまでに至りました。

しかーし!剣サンは、周囲から抑圧され、当主にならなければならないというプレッシャーのせいで性格が大きく歪んでしまいましたとさ!

でめたしでめたし!

 

 

 


 

 

 

 

「…。」

『これが不動院サンの秘密だよ!どう?みんな、これで満足?』

「そんな…じゃあ不動院ちゃんは、自分の家のために男のフリをしてたって事かよ!?」

『フッフッフ。そうなりますねぇ。不動院家は、平安時代から代々続く名門…その一族を後世に遺すためには、こうするしかなかったと考えたんでしょうねぇ。全く…娘に無理矢理男のフリをさせるような親からは、碌な子供が生まれてこないという事でしょうね。親子揃って、本当に頭のおかしい連中ですよ。』

クマさんとベルさんは剣ちゃんを煽ったが、剣ちゃんは聞いていない様子だった。

「…ねえ、剣ちゃん。色々聞きたい事はあるけど…まず聞かせて。キミはなんで、成威斗クンを殺しちゃったの?」

「…ごめんなさい、皆さん。私…」

剣ちゃんは、下を向いていた顔を上げた。

その顔は、今までの剣ちゃんからはとても想像できないような、女の子らしい表情だった。

それだけじゃない。

前髪は乱れて、顔は紅潮していた。

そして彼女は言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「我慢できなかったんです。」

 

その顔は、笑っていた。

 

 

 

 

 

 

「…つ、るぎ…ちゃん?」

「狛研殿、貴女の推理は殆ど完璧でした。…ですが、ひとつだけ違う事があります。」

「違う事…?」

「私が舞田殿を殺したのは、口封じの為ではございません。」

「えっ…?」

「確かに、私は舞田殿に秘密を知られ、それを伝えられました。ですが、それはどうでも良い事でした。彼は私に自分の秘密を話してくださり、私の秘密を誰にも言わないと約束してくださいましたから。」

「じゃあ、なんで…」

「…私は、多分舞田殿に恋をしていたのだと思います。私は物心ついた時から男として育てられ、女である事を許されませんでした。舞田殿は、私が初めて一人の男性として好きになった方なのです。」

「何を仰っているのですか!?意味がわかりません!舞田さんの事が好きだったなら、どうして殺してしまったんですか!?」

「…簡単な話です。」

剣ちゃんは、頬を赤らめて、恍惚とした表情で語り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「誰にも奪われたくなかったからですよ。」

 

 

 

…え?

 

「私は、出会った時から舞田殿の事を想っておりました。しかし、不動院家の当主としての立場上、彼に想いを伝える事を躊躇っておりました。伝えても、彼が私を女として見てくださらないであろう事は、わかり切った事でしたしね。でも、彼が他の方と仲良くしているのを見ると、どうしても許せなかったんです。だから、殺す事にしました。」

「はぁ!?なんだよそれ!!意味わかんねェよ!!」

「私は、舞田殿に変な虫がつくのが許せなかったんです。他の誰かに奪われるくらいなら、いっそこの手にかけて差し上げようと思ったまでです。そうすれば、彼は永遠に私の心の中で生き続ける。もう、誰にも奪われなくて済む。…ああ、何度この時を待ちわびた事か。私は、私を縛る全てしがらみから解放され、ようやく彼と一つになれるのです。私は今、最高に幸福な気分です…!」

剣ちゃんは、壊れた目を見開いて、不気味な笑みを浮かべた。

その表情は、狂気や殺意が入り混じったような、悪意の塊とも言えるような表情だった。

「なっ…それだけの理由で舞田を殺したってのか!?頭おかしいだろお前!!」

「なんと言われようと構いません。これで私は舞田殿と永遠に一緒になれるのです。…朱殿には申し訳ない事をしましたが、私達の恋路を邪魔した罰です。私の舞田殿に気安く近づき、仲良くなろうなどと調子に乗っていらしたのが間違いだったんですよ。」

「そんな…!」

「ふざけんな!!じゃあなんで僕ちゃん達を殺してまで生き残ろうとしたんだ!?」

「…まあ、どのみち私は早く舞田殿に会いたいので、裁判が終われば結果がどうであれすぐに死ぬつもりでしたよ。ですが、せっかく彼の世へ行くのです。どうせなら、賑やかな方がいいでしょう?これは、今まで亡くなった方に会いたいという皆さんへの、私からの親切心でもあるんですよ。」

「はぁ!?ふざけんな!!何が親切心だ!!オレはテメェを許さねェ!!」

「許さないなら、どうしますか?私を殺してみますか?いいですよ栄殿。私達の邪魔さえしなければ、貴方も大歓迎です。どうです?共に奈落へ落ちてみますか?」

「…クソッ!!」

「誰になんと言われようと、私の舞田殿への愛は揺ぎません。ふふふ、なんて素敵なんでしょう。」

 

 

 

「ははっ、くっせェなぁ。今更メスの顔しやがってよ。ホントキモチ悪いねキミ。」

天理クンは、剣ちゃんを見下ろすようにして言った。

「ねえ、不動院サン。それって、本当に愛なの?」

「…は?」

剣ちゃんは、急に真顔になった。

「愛って、要は自己犠牲だよね?今の不動院サンは、どっちかっつーとむしろメンヘラじゃん。」

「何が言いたいんです、貴方は。」

「まだわかんない?俺が言ってんのは、キミの言う愛は全部キミの自己満足なんじゃねーのって事。どうなの?」

それを聞いた剣ちゃんは、また笑顔に戻った。

「…自己満足?愚問ですね。私は、舞田殿の事だけを考え、彼だけの為に死ぬ覚悟で今まで生きてきました。それを愛と呼ばず、何と呼ぶというのでしょうか?人を愛した事が無い癖に、知った風な口を利かないでください。」

「…あはは、オマエやっぱ頭おかしいから死ぬしかないね。」

「貴方にだけは言われたくないです。…さてと、お喋りはこの辺でいいですかね。学園長、もういいです。おしおきとやらを始めてください。」

『え、もういいの?みんなに遺言とか遺してもいいんだよ?』

「いいですよ。どうせ皆さんも、直ぐに私の後を追う事になるでしょうし。早く舞田殿に逢いたいのです。早く始めてください。」

『あ、そう?じゃあ遠慮なく… それでは!【超高校級の侍】不動院剣サンのために!スペシャルなおしおきを用意しました!』

 

剣ちゃんは、ぶつぶつと独り言を言っていた。

彼女の心はもう完全に壊れていた。

ボク達は、何も言葉をかけてあげられなかった。

「お待たせして申し訳ございません、舞田殿。今度こそ、沢山愛して差し上げますからね。そうだ、次会う時はきちんとお粧しして参りますね。楽しみにしていてくださいな。…ふふふっ、ははは…」

 

『ではでは…おしおきターイム!!』

 

 

 

「あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!」

 

 

剣ちゃんの乾いた笑い声が、裁判場に響き渡った。

 

クマさんはハンマーを取り出すと、せり上がってきた赤いボタンをピコっと押した。

ボタンの画面に、ドット絵の剣ちゃんが連れ去らせる様子が表示された。

 

 


 

 

GAME OVER

 

フドウインさんがクロにきまりました。

 

オシオキをかいしします。

 

 

 

不動院は、首をロープのような物で縛られ、上に引き上げられた。

上へ上へと引き上げられ、ついには闇へと消えた。

場面が切り替わり、桜並木が映し出された。

両サイドに桜の木が立った砂利道を、大名の格好をしたモノベル馬が駆けていく。

モノベルが持っているロープには、不動院が縛られており、不動院は馬で引きずられていた。

桜吹雪が舞い、城が映し出される。

そこで文字が現れる。

 

 

 

此処ハ宴 絶望ノ宙

 

【超高校級の侍】不動院剣 処刑執行

 

 

 

モノベルは、城の前に着くと膝をついた。

目の前では、将軍の格好をしたモノクマがふんぞり返り、左手に大きな盃を持ちながら高笑いしている。

そして、モノクマが指を鳴らすと、家来モノベル達が、大きな釜を持ってやってきた。

釜の中には油が入っており、モノベル達が火をおこすと途端にグツグツと煮え始めた。

今度は、モノベル達が大きな木のまな板を持ってきた。

 

すると、不動院を引きずっていた大名モノベルは、不動院をまな板の上に縛りつけ、巨大なノコギリを取り出した。

モノベルは、不動院の左肩にノコギリを当てると、勢いよく引き始めた。

顔に血飛沫が飛び散っても、モノベルはお構いなしに不動院の肩を切断する。

出来るだけ苦しむように、注意深くゆっくりとノコギリを引き続けた。

切断された腕からは血が吹き出て、骨を削る音が鳴り響いた。

不動院は、腕を切られる痛みにむしろ快楽を覚えていた。

その表情は、絶望に染まっているように見えた。

左腕が無くなると、次は右腕、左脚、右脚と切断していった。

 

四肢が無くなると、今度はモノベルは不動院を釜の中に放り込んだ。

煮えたぎる油の中に飛び込んだ不動院は、全身を灼かれる痛みに叫び声を上げるが、外にいる仲間達にその声は届かない。

油の熱は肌を灼き、高温の湯気は気道を蝕み目を抉る。

断末魔を上げるその顔は、わずかに微笑んでいた。

それを見て不機嫌になったモノクマは、再び指を鳴らす。

 

すると、モノベル達は巨大な刀を持ってきた。

モノクマは、刀を抜くと大きく振りかぶり、勢いよく不動院の首を刎ねた。

血飛沫が桜吹雪と共に舞い散り、首は宙を舞う。

家のしきたりや自分の才能との葛藤、報われない恋心…彼女を縛っていた全てのしがらみから解放されたかのように、どこまでも空高く、どこまでも自由にーーー。

彼女の濁りきった瞳には、晴天の空と満開の桜が映る。

 

その顔は、まるで恋する乙女のような表情だった。

 

 

 

ーーーそして落ちた。

首が落ちた先には、ちょうど台があった。

その台には、捨札が立て掛けてあった。

それを見た商人モノクマと女郎モノベルは、クスクスと笑っていた。

 

 

 


 

 

 

『イヤッホォオオーイ!!エクストリィイイイイム!!いやー、サイッコーだねぇ!!全く、何が愛だよ。結局はただのかまって欲しいだけのメンヘラだったんじゃん!オマエには凄惨な死がお似合いだよ、このゴミクソサイコパス殺人鬼が!!』

『フッフッフ…フハハハハハハハハハハハ!!!いやはや、あのキ●ガイは一体何をほざいていたのでしょうかねえ。…まあ、もう死んでるのでどうでもいいですけど。さあ皆様、もっと喜んでください!!皆様のお仲間を殺した殺人鬼が死んだんですよ!?そこは、乾杯でもするところでしょうよ!!』

「うるせェ黙れ!!…クソッ、舞田…朱ちゃん…不動院ちゃん…!」

「ぐっ…無理なのだ!!こんなの、僕ちゃんもう限界なのだ!!」

「ホント、君達っていい趣味してるよね。虫唾が走るよ。」

「そんな…不動院さんが…いやっ、こんな事って…!」

「…不動院さん、ごめん。止めてあげられなくて。舞田君も朱さんも、守れなかった…」

「…フン。色恋に狂った奴は何をするかまるでわからんな。アイツも例外ではなかったという事か。」

陽一クンは、クマさんとベルさんに対して怒りをぶつけていた。

才刃クンは、相変わらずおしおきで気分を悪くしていた。

柳人クンは、クマさん達に嫌悪感を抱きながら皮肉を言った。

治奈ちゃんは、その場で泣き崩れて立ち上がれずにいた。

星也クンは、悔しそうに謝罪の言葉を呟いた。

ラッセクンは、呆れたようにモニターから目をそらした。

 

「……………侍……なん、で…私………あなた…の、事…信じて、た……の…に………」

「…神座さん。」

ゐをりちゃんは、目から大粒の涙を流していた。

…ここに来てできた一番の友達に裏切られて、その友達があんな残酷な方法で殺されちゃったんだもん。

そりゃあ、泣きたくなるよね。

ゐをりちゃんも、ここに来ていろんな気持ちが溢れてきちゃったのかな。

 

『さーてと、じゃあ3回目の裁判を頑張って切り抜けたオマエラには、ご褒美のメダルをプレゼントしちゃいます!』

『フッフッフ。お見事でしたよ皆様。今回は2人も死人が出たのに、よくあんな短時間で真相に辿り着けましたね。…尤も、今回の犠牲者が全員バカだったのが大きいんでしょうけど。』

『それじゃ、ボク達はこれからおしおきシーンを肴に一杯やるので、邪魔なオマエラはとっとと出てってください!』

『いやー、これが最高なんですよええ。今夜はお酒がおいしいですよ。』

「ふざけやがって…クソ野郎共が!!」

「…下衆共が。こんな事をして、一体何が目的だ。」

ラッセクンは、クマさん達を睨みながら、吐き捨てるように問いかけた。

『あれれ?ラッセクン、庶民には興味ないんじゃなかったの?なんでそんな事聞くの?』

「勘違いするな。俺は、祖国の民以外の奴の命に興味は無い。ただ単に貴様らの事が嫌いなだけだ。…いいから質問に答えろ。国王命令だ。」

『わーお生意気!…でもまあいいでしょう。さすがに目的までは教えてあげられないけど、裁判を頑張ったご褒美にちょっとしたヒントをプレゼントします!』

「…ヒント?」

『そうです。実はね、このコロシアイ…』

 

 

 

『全国に生中継されてるんだよ!』

「…はぁ!!?」

『え?何?気づいてなかったの?もー、オマエラ鈍すぎ!実は今まで、監視カメラでオマエラの言動を余すところなく録画して、それを全部地上波に垂れ流してたんだよ!オマエラの愚行を、余すところなく全てね!』

『いやはや、おかげで視聴率はバッチリですよ。中には、誰が勝ち残るのか予想して多額のお金を賭けてくださる方もいらっしゃってねぇ。本当、潤いまくりですよ!』

「そんな…私達の苦しむ様を晒して、お金を稼いでたって事ですか!?…最低です!!」

『へー。随分とまあ偉そうな事言うじゃない。汚いおっさんに身体を売ってお金をジャンジャン稼いでたオマエがさぁ!!』

「ッ…!」

「やめろ!癒川さんは関係ないだろ。」

「そうだぞ!テメェら、それ以上癒川ちゃんを悪く言ったら許さねェぞ!!」

『ほう。許さないならどうしますか?ワタクシ共を殴りますか?別にいいですよ?アナタの頭がトマトのように潰れても宜しいなら、ですが。』

「くっ…」

『はいはーい、じゃあもう言いたい事は大体言ったし、これから一杯やるってのにいつまでもいられちゃ邪魔なので、小汚いドブネズミはさっさと神聖な裁判場から出てってください!』

「言われなくてもそうするよ!!テメェらの顔なんざ、いつまでも眺めてたくねェんだよ、クソが!!」

そう言うと陽一クンは真っ先にエレベーターに乗り込んだ。

陽一クンに続いて、ボク達もエレベーターに乗った。

そして、星也クンの提案で、みんなで一度食堂に集まった。

 

 

◇

 

 

【食堂】

 

「…狛研さん。大丈夫?」

「…うん。」

 

 

剣ちゃんが死んだ。

ボク達の目の前で、あまりに残酷な方法で。

剣ちゃんだけじゃない。

成威斗クンと雪梅ちゃんも死んだ。

二人とも、本当は生きたかったはずなのに。

自分勝手な理由で、二人の未来は剣ちゃんに奪われてしまった。

ボクは、正直未だに剣ちゃんを許せない。

これからもずっと許せないと思う。

でも、その本人すらもうこの世にはいない。

ボクは…ボク達は、こんな理不尽な現実を受け入れなきゃいけないのか。

 

 

 

「…クククッ。ブフッ…プククッ…アーッハッハハハハハハハハハハハ、ギャハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」

ただ一人、天理クンだけは高笑いしていた。

「テメェ…何がおかしくて笑ってんだ!!」

「えー、だってこんなくっさい茶番劇タダで拝めるんだぜ?そこはフツー笑うとこっしょ!はー、おっかし!ブフフッ…やべっ、思い出したらこみ上げてきて…やべ…ツボった、誰か助けて…プッ、ギャハハハハハハハハハハ!!!」

陽一クンは、天理クンの胸ぐらを掴んだ。

「ふざけやがって!!このイカレ野郎が!!こんな根性の曲がった奴、ブン殴ってやる!!」

「キャー栄クンこーわーいー!暴力反対ー!」

「ちょっと、やめなよ栄君!」

「うるせェ!!止めるな穴雲!コイツは、不動院ちゃんの事を笑いやがったんだ!!殴らねェと、オレの気がおさまらねェよ!!」

「は?意味わかんない。なんで不動院サンの事を笑っちゃダメなの?」

「何っ…!?」

「だってそうじゃん。オマエらさぁ、肝心な事忘れてると思うけど…不動院サンは舞田クンと朱サンを殺した犯罪者なんだよ?それも、自分勝手な理由で快楽殺人を犯した立派な殺人鬼!どこに同情の余地があるってゆーのかなぁ?」

「うるせェ!!大体、さっきから思ってたけどよ…テメェはなんで、いっつも裁判の時に余裕そうなんだよ!?まさか、毎回クロを把握してるんじゃねェだろうな!!?」

「はぁ?何訳のわかんない事言ってんの栄クン。」

 

 

 

 

「…そんなの、全部知ってるに決まってんじゃん。」

 

…………………………は?

 

 

 

「…今、なんて言ったの?」

「だ、か、らぁ!俺は、今までの裁判で、誰がクロだか事前に知ってたって言ってんの!」

「なっ…じゃあ、なんで今までそれを知ってて裁判中に言わなかったんだい?」

「だって、言ってもぜってー信じて貰えねェし?それに、スリルは長続きした方がゾクゾクするでしょ?」

「なるほどね、正気じゃないね。」

「ありがと。最高の褒め言葉だぜ。…あ、そうそう。実は俺、誰がクロかだけじゃなくって、次に誰が殺されるかも知ってるんだぁ。」

「なっ…んだと!?」

「じゃあ、ヒントをあげるね。次に死ぬのは、ハートのキングだよ。」

ハートの…キング…?

「じゃ、俺は喉渇いちったから部屋戻るね?キンキンに冷えたコーラが飲みてーなー。っつーか浴びてェわw」

「待って。」

「ほにょ?なんだい穴雲キュン?」

「…ひとつ聞かせて。君は一体、何が目的なんだい?」

「目的?別に大した事じゃねェよ。」

 

 

 

 

 

「俺はただ、『囚われのマリアのための交響曲(シンフォニア)』を奏でたいだけだよ。」

 

「…え?」

「おっと、これ以上は何を聞かれても何も言わねーぜ?オマエらは、まだ真相に辿り着くには早いからねー。ほいじゃ、お先に失礼しやーっす。」

そう言い残すと、天理クンはそそくさと帰っていった。

「…クソッ、なんなんだアイツ。人の事をバカにしやがって。」

「栄君。無闇に挑発に乗らない方がいいよ。彼は、ああやって僕達の心をかき乱して楽しんでるだけなんだから。」

「チッ、じゃあどうすればいいってんだよ…!」

 

「…なあ、オマエラ。この機会だから、僕ちゃんからひとつ言いたい事があるんだが。」

「なんだ子供。言ってみろ。」

「…僕ちゃんは、もうここから出るのをやめる。」

「えっ?入田君?どういう事だい?」

「…だって、外に出たいと思うから殺されるんだろ…?だったら、ずっと閉じこもっていれば少なくとも殺される事はないだろ。」

「そんなの無理だよ。ねえ入田君、考え直して。僕らと一緒に、外に出ようよ。」

「うるさい!!偉そうな事を言っておいて、誰一人守れなかったオマエが言っても説得力が無いんだよ!!」

「入田君…」

「とにかく、僕ちゃんはもう部屋に篭る!こんな危ない連中に命を預けられるか!それに、狛研(黒幕)が一緒にいるってのに普通に過ごせるオマエラがどうかしてるのだ!!とにかく、僕ちゃんはもう一歩も部屋の外には出ないし、オマエラとなんて関わりたくない!!止めてもムダだぞ!!」

「才刃クン、待って…!」

才刃クンは、ボク達の制止を振り切って部屋に閉じこもった。

「才刃クン…」

 

「…フン、あのチビのように愚かな行動に出ようとは思わんが、俺も同じ事を考えていた。」

「ラッセクン…?」

「確かに、こんな無能メガネを頼るような奴は馬鹿だ。仲間を信じるとかなんとか言って死んでいった奴等を、俺は今までごまんと見てきた。コイツには、人の命を預かるという覚悟が足りてないんじゃないのか?」

「何が言いたいのかな?」

「…貴様ら、いつまでこんな無能を頼っている気だと言っているんだ。国王としての経験を積んでいる俺なら、貴様らを多少は導いてやれる。…貴様らはどうしたい?愚民共。」

「ラッセクン。星也クンは、みんなのために頑張ってくれてるじゃない。今更星也クンを裏切れないよ。」

「私も狛研さんに賛成です。何があっても、私は穴雲さんを頼りたいです。」

 

「悪い、みんな。オレはラッセにつくわ。」

「…陽一クン?」

「確かに、穴雲はオレ達の頑張ってくれてるよ。それに、ラッセは正直ムカつくし、従うのは癪だよ。…けど、やっぱり今まで死んじまったみんなの事を思うと…本当に穴雲の言う事ばっか聞いてていいのかなって思っちまうんだよ。ひょっとして国王のコイツなら、これ以上犠牲を出さずにオレ達を導いてくれるんじゃねェかってな…」

「オイラも、国王様につくよ。日暮君の事を思うと、正直今のまま穴雲君に従うのに疑問が残るからね。経験を積んでる国王様なら、もっとマシなやり方でオイラ達を導いてくれるはずさ。」

「……………放送員……侍、二人…を、殺す…の、止め………られ、な…かった…私、もう………放送員、信じ………られ、な…い………」

「そういうわけだ。俺達は俺達のやり方でやらせてもらうぞ。」

そう言うと、ラッセクンは3人を連れて食堂を出て行った。

…どうしよう。

才刃クンが部屋に閉じこもっちゃったし、ラッセクン達とも仲間割れしちゃった…

ボク達は、これからどうすればいいんだろう…?

 

 

 

 

 

 

 

第3章 恋は儚し堕ちよ乙女 ー完ー

 

 

 

ー才監学園生存者名簿ー

 

【超高校級のアナウンサー】穴雲星也

 

【超高校級の工学者】入田才刃

 

【超高校級の不運】景見凶夜

 

【超高校級の???】神座ゐをり

 

【超高校級の幸運】狛研叶

 

【超高校級の資産家】財原天理

 

【超高校級の栄養士】栄陽一

 

【超高校級の詩人】詩名柳人

 

【超高校級のマドンナ】白鳥隥恵

 

【セキセイインコ】翠

 

【超高校級の曲芸師】朱雪梅

 

【超高校級のダンサー】羽澄踊子

 

【超高校級の生物学者】日暮彩蝶/【超高校級の人狼】暁裴駑

 

【超高校級の侍】不動院剣

 

【超高校級の喧嘩番長】舞田成威斗

 

【超高校級の看護師】癒川治奈

 

【超高校級の国王】ラッセ・エドヴァルド・シルヴェンノイネン

 

ー以上9名ー

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

《アイテムを入手した!》

 

Chapter.3クリアの証

 

『サングラス』

舞田の宝物。喧嘩した時にできたヒビが入っており、仲間との思い出が詰まっている。

 

『鈴の髪飾り』

朱の宝物。雑技団を立ち上げた時に妹から貰ったもの。朱の家族の思い出が詰まっている。

 

『簪』

不動院の宝物。母親から譲って貰った。付けた事こそなかったが、不動院にとっては大切な母親の形見だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

【???の独房】

 

へー、スペードのジャックはアイツだったんだぁ。

 

まあそれはわかりきった事なんだけど。

 

次の生贄は、ハートのキングかぁ。

 

ふふふっ、コロシアイが楽しみだなぁ。

 

 

◆

 

 

【???の独房】

 

本当にこんな所にいていいのだろうか。

 

外に出てやるべき事があるんだ。

 

そのためにはまず、なんとしてでもアレを集めないと…

 

 

 

 

 

第4章 絶望よ亡者たちのために

 

To be continued…

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