ダンガンロンパPRISON   作:M.T.

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タイトル元ネタは、『夜よ鼠たちのために』です。


第4章(非)日常編①

成威斗クンと雪梅ちゃん、そして剣ちゃんが死んだ。

成威斗クンと雪梅ちゃんは、訳の分からない理由で剣ちゃんに殺された。

二人とも、すごくいい子だったのに…

剣ちゃんも、もう少し話し合っていれば二人を殺すのを止められたかもしれないのに…

どうしてあんな事を…

 

 

 

『オマエラ!!起床時間です!!生活リズムの乱れは、心の乱れにつながります!!全員、今すぐ起床するように!!』

 

 

 

…んあっ。

 

クマさんのうるさい放送が鳴り響く。

そういえば、裁判が終わってみんなで食堂で話し合った後、部屋で寝たんだっけ。

…もう7時か。

食堂に行こう。

 

 

 

 

【食堂】

 

「やーん、ちょっと何コレー!!誰か助けてー!!」

「うるせェ!!黙って言う通りにしやがれ!!」

ん?なんだろう…

何かトラブルがあったのかな?

あれは…陽一クンとラッセクン、それから天理クン…?

 

「見ろ!コイツ、やっぱり持ってたぜ!!没収だ没収!!」

「あああー。俺の大事なガ●ガリ君コンポタ味がー。返してよー。」

「嘘をつくな。これ、ピッキングの道具入れだろ。」

「てへっ。バレちった。」

「ねえ、何やってんの?」

「ちょうど良かった。おい触角帽子。今すぐ壁に手をつけ。3秒以内だ。でないと、ペナルティーだぞ。」

「え、ペナ!?ちょっと待って、何の話!?」

「よし、手をついたな。おい和服。コイツの服の中を調べろ。」

「……………。」

「え、ちょっと、何!?ゐをりちゃん何やってんの!?」

「………ない。」

「…そうか。よし、通れ。」

「えぇ…何今の!?何がどうなってるんだ!?」

 

「…国王陛下が決めたルールだよ。」

「えっ…」

すでに食堂の中にいた星也クンが話しかけてきた。

「狛研さんも知ってると思うけど、ラッセ陛下は栄君達4人を手下にして、自分で作った新しいルールでみんなを統治…悪く言えば支配しようとしているんだ。…その名も、『才監帝国』。」

「『才監帝国』!?…ちょっと待ってよ!?聞いてないよ、そんな話!」

「だろうね。陛下が勝手に決めたルールだもの。僕も詳しい事はわからないけど、従わなかった人にはペナルティーを、才監帝国に貢献した人にはボーナスを与えて、ルールを守らせてるらしいんだ。才監帝国の国民じゃない僕と癒川さんは、さっきもひどく迫害を受けたよ。」

「うーん。それはひどいねぇ。」

 

「ねえ君たち。聞こえてたよ?」

「あっ、柳人クン…」

「帝国の方針に対する陰口はペナルティーの対象さ〜♪陛下に報告しておくよ〜♬」

「ちょっと、何それ!ひどいよ!」

「オイラに言われてもね。陛下が決めた事だからねぇ。不満があるなら陛下に言ってみるかい?…まあ、才監帝国の国民じゃないキミ達にはその資格は無いけどねー。」

「柳人クン!こんなの、絶対おかしいよ!キミは、こんな変なルール、なんとも思わないの!?」

「狛研さん。話すだけ無駄だよ。詩名君は、才監帝国の国民なんだから。僕らの言う事を聞いてくれるわけないよ。」

 

「そーそー。狂信者には構うだけムダってね。」

「天理クン…!」

「てへへ、俺もいきなり服装検査されちゃいましたー。アイツらなんなんだろうね、ホント意味わかんないねー。」

「君は帝国の国民にはならなかったのかい?」

「あたりめーじゃん。ダサイ勘違い帝国なんかの国民になってたまるかっつーの。あ、そうだ。いい事思いついた。」

「何?」

「あのさ、向こうは4人で国作ってるじゃん?だったら、こっちも残りの4人でグループ作って戦争すりゃあいーじゃん!ヒッキー入田は無視するとして…この際、どっちが正義か白黒ハッキリさせよーぜ。」

「ダメだよそんなの。とにかく、平和的にだね…」

「そんな事言ってっからアイツらが好き勝手やるようになっちゃったんじゃん。時には徹底的に叩き潰して自分の間違いを認めさせる事も大事だぜ?」

「うーん…」

 

「さてと、そろそろ朝飯にしちゃおーぜ。あ、そうそう。飯は、帝国の管轄だから栄クンの飯が食いたきゃメダルを払わなきゃいけないんだと。しゃーねーから自分で作るか。」

「君、メダル持ってるのに払いに行かなくていいのかい?」

「だって、いくら栄クンの飯とはいえ、帝国の飯なんて食いたくねーし。癒川サン。手伝ってよ。」

「あ、はい…」

「待って。僕も手伝うよ。」

「じゃあボクも手伝うよ。」

あらら。

結局全員で作る事になっちゃったね。

 

『うっぷぷぷぷ、オマエラ、随分と仲悪そうじゃん?全員でここを出るとか言ってたのはどうしたの!?』

『フッフッフ!ご機嫌麗しゅう皆様!!』

「モノクマ…!」

「…フン。」

『おや、いかがなさいましたか穴雲様!今日もワタクシ達に生で会えたのがそんなに嬉しいですか!?』

『うぷぷぷ!生の方がいいものといえば、性交とボク達からのお知らせって事は誰もが知ってる常識だよね!ここ、テストに出るからちゃんと勉強しなよ!』

「あっははー。さりげなく下ネタブチ込むところあたりがクマちゃんらしいねー。そいで?今回も、新しいエリアのお知らせに来てくれたんでしょ?」

『おや、さすがは財原様。物分かりが宜しいようで助かります。財原様の仰る通り、ワタクシ達は新しいエリアの説明に参りました。今回開放しましたのは、美術室、音楽室、物理室、情報管理室、それから研究室が3部屋でございます。』

「ほーん。」

『それから、今回はもう一個お知らせがあるんだな!』

「お知らせ?」

『そうです。ズバリ!動機の発表です!』

動機の発表?

随分とまた急だねぇ。

まだ新しいエリアを開放したばっかなのに。

クマさん達、一体何を考えてるのかなぁ。

『今回の動機…それはね。』

 

 

 

『お金だよ!』

「お金?」

『今、ウォレットに新しい機能を追加したから、それを見てみてよ!』

新しい機能…?

なにこれ、ランキングっていうのがあるよ。

数字が書かれてて、それが大きい順にランキングになってるね。

一番高いのは才刃クンで、231…その次がゐをりちゃんの165か。

陽一クンは160、ラッセクンは72、治奈ちゃんは60、ボクは49、天理クンと柳人クンが36で、星也クンが2か。

なんなんだろう、この数字は…

「なにこれ?」

『それは、オマエラの首にかかってる金額のランキングだよ。まあ、どっかの漫画でいう懸賞金みたいなもんだね。ランキングはポイント制で、1ポイントあたりの金額は1兆円。つまり、1兆円にオマエラのポイントをかけた金額が、オマエラの懸賞金って事!』

「い、いいい1兆円!!?マジかよ!?」

「懸賞金…まさか、今回の動機って…」

『おや、勘のいい穴雲様は気付いたようですね。そうです。もし誰かが他の誰かを殺害した場合、被害者の首にかかっていた懸賞金がそのままクロの物となります。』

「って事は、誰かを殺せばメッチャ金貰えるって事か!?」

「この胡散臭いクマちゃんが本当の事言ってるかどうかはわかんないけどね。それより俺のピッキングツール返してよ。」

「ざけんな!論点すり替えようとしてんじゃねえよ!」

「テヘッ☆まあ、とりあえずクマちゃんがくれた動機が何なのかは理解できたよね。ところで、俺達のポイントって何を基準に決まってるの?」

『それはお答えできません。』

「あっそ。」

『さてと、新しいエリアと動機の説明も終わった事ですし、ワタクシ達はこれにて失礼します。』

『それじゃあ、まったねー!!』

「あ、ちょっと待ってクマちゃん。」

『ほえ?何、財原クン。くだらない事だったらおしりペンペンだよ?』

絶対拷問レベルのヤツじゃんそれ。

「あのさー、ラッセ陛下達が、なんか帝国とか作って好き勝手やってるんだけど。こちとら不自由だし、このままだと精神衛生上良くないし…なんとかしてよクマえもーん!」

『ボクはタヌキ型ロボットじゃないクマー!その事に関してなんだけど、ボク達からは特に何もしないよ。自分で解決してね。』

「どーして?」

『まあ、ボクは、オマエラの行動に口出ししないというよりはできないんだよね。別に校則違反してるワケじゃないし。』

「えー。なにそれー。」

『まあ、帝国を作るなり戦争するなり好きにしてよ。用事が済んだからバイバーイ!』

二匹は陽気に去っていった。

 

「今回の動機はお金か…あの二匹は、ボク達を弄んで楽しいのかな?」

「全くよー。クマちゃんならこのふざけた制度どうにかしてくれんのかと思ったのによー。クマちゃんの役立たずー!ドアホー!!」

「やめなよ。敵を増やすだけだよ。」

「ほへーい。」

「さて、今回も新しいエリアの探索をするのだろう?とりあえず、時間割を決めたから見ろ。」

 

  俺、和服  10:00〜11:30 情報管理室

        11:30〜13:00 研究室

料理バカ、盲目 10:00〜11:00 美術室

        11:00〜12:00 音楽室

        12:00〜13:00 物理室

 

「なんでお前らだけ時間が1時間半ずつなんだ?」

「フン。この学園の情報を管理している部屋なら、そう簡単に調べられるものではなかろう。研究室も、3部屋あるしな。」

「…そっか。」

「あの…私達の名前が無いんですけど…」

「当然だ。帝国の国民でない者に探索などさせるわけがなかろうが。どうしても調べたくば、貴様らが誰も殺さないという事を証明してみろ。特に触角帽子と成金。貴様らには好き勝手行動させないぞ。」

「ひどいやラッセクン!」

「なんとでも言うがいい。俺は、自分の国の国民が『平和』ならそれでいいからな。俺は、そのために今できる限りの事をしているだけだ。」

「なるほどね。自分にとって敵になりうる物を排除していけば、自分だけは幸せになれるってか。負け組の発想だねぇ。」

「貴様がそうやって大口を叩いていられるのも今のうちだ。いずれ、そこのメガネに命を預けた事を後悔する事になるぞ。」

「別に穴雲クンに命を預けたわけじゃないけど。テメェなんざに命を預けるよりは100倍マシってだけだよ。いざとなったら自分の身くらい自分で守るよ。」

「…フン。そうやって戦争で大敗した奴を、俺はごまんと見てきたぞ。」

「あっそ。」

 

うーん、どうしよう。

ラッセクン達が勝手に探索を始めちゃったよ。

これじゃあ探索ができないね。

「ねえ、どうしよっか星也クン?」

「うーん。さすがに探索もせずにただ時間を過ごすのもねぇ…じゃあ、こうしないかい?帝国民のみんながまだ探索してないエリアを先に少し見ておこうよ。さすがに最初から全部のエリアを回るのは無理だろうし。」

「なるほどねー。変な事される前に先手を打つってか。穴雲クンあったまいー!」

「じゃあ…とりあえず担当分けだけど、狛研さんは癒川さんと一緒に音楽室を見に行ってくれるかい?僕は財原君と一緒に物理室に行ってくるから。」

「いいよー。」

「穴雲さん、また財原さんと一緒に探索を…?」

「癒川サン、もしかして俺に穴雲クンを取られてシットしてんの〜?このままNTR展開になったらどうしよ〜的な?」

「そ、そんなんじゃありません!!そんな、嫉妬なんて…」

「俺はノンケでも食っちゃうからねー。このまま穴雲クンとイチャイチャ…」

「君、いい加減にしなよ。」

「じょ、冗談だろー?そんな怒んなってー。」

「…見ての通り、財原君を1人にしたら何をしでかすかわからないからね。僕が責任を持って見張っておくよ。」

「そういう事ならいいんですけど…」

「それじゃあ、担当は決まった事だしパパッと探索終わらせまっせー。」

ボク達は、そのまま解散した。

 

 

 

 

【内エリア 5F】

 

「ねえ、治奈ちゃん。」

「はい、なんでしょうか狛研さん。」

「治奈ちゃんは、なんで帝国?側につかなかったの?」

「…ええと、それは…私は、穴雲さんについていきたいと思ったからです。私は、その…穴雲さんの事を、恋人として愛していますから。まあ、国王陛下のやり方に疑問を感じたというのもありますが…」

「なるほどねー。じゃあさ、治奈ちゃんはなんで星也クンの事を好きになったの?」

「へあっ!?いきなりその質問ですか!?」

治奈ちゃんったら、顔真っ赤だよ。

トマトみたいでかわいい♡

「…え、と…一目惚れ、です…。初めて会って会話をした時から少しずつ意識するようになって…それで、彼が私の穢れた過去をどうでもいいと言ってくださった時、私は一生この人についていこうと思ったんです。」

「ふーん。なんかいいね!そういうの。ボクにも現れないかなー、運命の人?ってヤツ。」

「え?景見さんではないのですか?」

「…へ?どういう事?凶夜クンはお友達だったけど。」

「…あ、そうですか。ご愁傷様です、景見さん…

「なんか言った?」

「いえ、何も。…あ、着きましたよ。」

なんか、今度は音符とピアノの絵が描かれてて、いかにもって感じだね!

それじゃ、探索いっくよー!

 

 

 

 

【音楽室】

 

「…へぇ。」

 

さすがはこの学園の音楽室だね!コンサートホールみたいな造りになってて、いろんな楽器があるよ!

「これはすごいですね…」

「柳人クンとか喜びそうだよね!…あ、見て!あっちの部屋はカラオケボックスになってるみたいだよ!すごいねー、カラオケまであるんだ!」

「…あ、そうですか。」

「ん?どしたの治奈ちゃん?急にテンション下がったけど。」

「あ、いえ…なんでもありません…」

「…もしかして、治奈ちゃんって…オンチだったりする?」

「へぁっ!!?な、なんでこういう時だけ鋭いんですか!?」

「やっぱりかー。でも大丈夫だって、オンチって練習すればほとんど治るらしいから!」

「…本当に治ったら苦労しませんよ。」

あらら。

治奈ちゃんてば落ち込んじゃったよ。

誰でも苦手な事のひとつやふたつはあるもんなんだし、そこまでしょんぼりしなくていいじゃない。

でも、調べたい事は大体調べ終わったし、そろそろ移動しようかな?

 

 

 

 

【物理室】

 

「さーて、ぶっつり室の探索いっくぜー。実におもしろーい。」

「…ねえ、財原君。」

「ほにゃっ?」

「君はなんで、僕に従ってくれているんだい?」

「勘違いすんなよー。俺は、別にキミに従ってるつもりも、命を預けたつもりもないから。俺は俺のやりたいようにやってるだけだよ。ただ、たまたまキミとは帝国の犬になりたくないっていう気持ちが同じだっただけだねー。」

「じゃあ質問を変えるよ。君は言ってたよね?お金で動かせない物はないって。僕には、お金にうるさい君が、メダルのボーナス制度を導入してる帝国側につかなかったのが不思議なんだけど。なんで君は帝国に反発してるの?」

「え?何?じゃあ何?穴雲クン、俺に裏切ってほしかったわけ?」

「そういうわけじゃなくて…ただ、疑問に思っただけだよ。」

「あっそう。んー、そうねぇ。一言で言うなら、イラッとしたからかな?」

「…と、いうと?」

「俺はね、自分が人生を楽しむ事だけにしかお金を使わない主義なの。罰金だとか、国のために何かをするとか、そういうくだらねー事にお金を浪費するのがバカバカしくてやってらんないんだよ。どう?これで満足?」

「…うん。ある意味君らしいね。…着いたよ。ここが物理室みたいだね。」

今度は、振り子と電球の絵か。

物理室らしいイラストだね。

「じゃあ、入るよ。」

 

 

 

 

【物理室】

 

「…なるほど。」

物理室には、振り子や電子回路など、実験に使ういろんな機材が置かれていた。

「ねえ、なにこれ。シーソー?」

「それは多分、てこの原理の実験のために使う機材じゃないかな?」

「ほーん。…ほにゃっ。」

「どうかした?」

「…なんか、変な紙が落ちてたんだけど。」

「紙?」

そう言うと、財原君は紙の束を見せてきた。

 

「…!?」

そこには、人体の冷凍保存技術や脳内のデータ解析、才能の移植技術などについての論文が書かれていた。

「なんだこれ…!?」

「その変な論文さぁ、最後のページ見てみてよ。脳内のデータ解析についての項目。それに書かれてる技術ってさ、当たり前のように書かれてるけど、そんな技術は今現在無いよね?」

「確かに…こんな技術があるなんて情報、一度も聞いた事ないよ。」

「じゃあ、これは一体何なんだろうね?」

「わからない…」

「…未来人からの手紙、だったりして。」

「…は?」

「なーんてね!冗談冗談!にししっ!」

…急に何を言い出すかと思えば。

相変わらず考えが読めないなぁ、財原君は。

 

 

 

 

【情報管理室】

 

「…フン、ここか。」

部屋のドアには、パソコンの絵が描かれてるな。

いかにも、といった感じだ。

「おい和服。中を調べるぞ。」

「………。」

コイツ、本当に何も喋らないんだな。

正直気味が悪い。

 

「…ほう。」

中には、やはり無数に並んだコンピュータが忙しなく作動していた。

「さすがは、この学園の情報を管理している部屋、といったところか。俺の国の軍備用の情報室にはやや劣るが、それでもこの学園の全ての情報を管理するには申し分ない規模だろうな。」

「…。」

和服は、パソコンを指差した。

「…は?これを使ってみろ、という事か?」

「…。」

「バカ言え。俺は、コンピュータの達人ではないのだぞ。下手に動かして学園側から下手に規制をかけられたりウイルスが侵入したりしたらどうする。」

「………国王…怖い、の…?」

「…余計なお世話だ。」

この女、普段は何も喋らない癖に何故こういう余計な事だけは口を出すのだ。

「…だがまあ、起動するだけしてみるか。実際にこれが使えるものなのかどうか確認しておかねばな。」

俺は、パソコンの電源を入れてみた。

「…む。」

「…?」

「チッ、やはりそう都合良く使わせてくれるわけがなかったか。見ろ。パスワードがかかってる。…こういう時に子供がいれば、解析してあわよくば学園のネットワークに侵入できたのだが。こんな時に何をやってるんだあの小心者は。」

「…。」

「フン、収穫は無し、か…行くぞ。」

「…行く、の………?」

「使えないんじゃガラクタと同じだ。もうここに用はない。」

「……………。」

 

 

 

 

【内エリア 5F】

 

「今回開放された研究室は、3部屋だと言っていたな。」

「…これで、13人…………」

「行くぞ和服。片っ端から調べていかねば。」

「…。」

「…む。まずはここか。」

白い開き戸か。

どこかで見た事あるようなカラフルなロゴで研究室と書かれているな。

…この部屋は、消去法でいくとアイツの部屋か。

「中に入って調べるぞ。」

「………。」

 

「…ほう。」

中は、どうやらニューススタジオのような造りになっているらしい。

部屋の中には、奴の出演している番組が使用しているものと思われる音楽が流れている。

後ろの大きなスクリーンには、世界各国の天気の変化を表すグラフが表示されているな。

ちゃんと俺の国のグラフもあるのが好印象だな。

…ほう、控え室のような小部屋まであるのか。庶民の部屋の癖に贅沢な造りをしおって。

ここには、ニュースで使う資料や衣装などが置いてあるな。

…ここは。

「…【超高校級のアナウンサー】の研究室だろうな。」

「…。」

「おい、どうした和服。何か気になる事でもあったか?」

「………。」

「…なんだ。」

 

和服が指を差した先には、謎の機械が設置されていた。

ボタンがひとつしかなく、透明なカバーがかかっていた。

「なんだこれは…む、開かんな。ビクともせん。どうなってるんだこのカバーは。」

「………本人、じゃ…ない、と………押せ、な…い……の…か、も………」

「…はぁ、なんだそのめんどくさい造りは。全く、どいつもこいつも調べられん物をわざわざ用意しおって。…一通り調べたし、もうここに用はない。行くぞ。」

「……………。」

 

 

 

 

「……………。」

「おい、どうした和服。何か気になる事でもあるのか。」

「………私、の…研究室………いつ、に…なった、ら………開放、さ…れ………る…の、かな…」

「フン、そんな事か。俺もまだ自分の研究室を見てはおらんぞ。そんな事でいちいちくよくよ言うな、みっともない。」

「………同じ?」

「…貴様のような小娘と同じにされるのは癪だが…まあ、そうなるな。」

「…。」

何を喜んでいるんだこの小娘は。

「…着いたぞ。」

今度は、木製のドアか。

木の棒を並べて組んだだけの粗雑な造りのドアで、羽根が装飾されている。

…好き勝手に伸び散らかした植物の蔓がうざったくて仕方がない。

【超高校級の生物学者】の研究室は3階にあったから、今度は奴の研究室か。

「調べるぞ。」

「…。」

 

「…ほう。」

中は、全体的に木でできた部屋だった。

部屋にはギターのようなもので演奏された音楽が流れており、室内なのに何故か心地の良いそよ風が吹いている。

机やベンチなどの全ての家具が歪な木で造られている。

…ハンモックまであるのか。

本棚の中には、詩や歌についての本ばかりが置かれているな。

…ここは。

「【超高校級の詩人】の研究室か。」

「……………。」

「奴には、後で研究室を見つけたと報告しておこう。用は済んだ。行くぞ。」

「………もう、行く…の…?」

「当たり前だろ。今回の目的は探索だ。それが終われば、次の部屋に行くのは当然であろうが。…ところで貴様、何をちゃっかりくつろいでおるのだ。ここは貴様の研究室ではないのだぞ。」

「………ごめん、なさい。」

 

 

 

 

「…フン、今回もハズレか。全く、何故毎度毎度愚民の研究室ばかり…」

「………。」

「…まあ、文句を言っていても仕方があるまい。おい和風。研究室が無い者同士、何か話でもするか?」

「………しりとり。」

「…は?この状況で何を言っているのだ貴様は。…りんご。」

はっ。

俺とした事が、つい返してしまった。

…だがまあ、たまにはこういうのも悪くないのかもしれんな。

「…ごま。」

「マスタード。…っと、着いたぞ。」

「…。」

今回の部屋は…ほう、両開きか。

両サイドに北欧神話の神々を模した大理石の彫刻が置かれていて、ドアもダークパープルの研究室より高級な素材で造られている。

ドアには王家の紋章がデザインされており、ドアノブは純度の高い金でできているのか。

…む。この扉、見覚えがあるぞ。

「…ほほぅ。この雰囲気は、もしや…」

「…。」

「おい和服!!早速中に入って調べるぞ!!」

「………。」

 

「ほぅ…!」

中は、金や高級な鉱石で造られた部屋だった。

揃えられている家具は全て最高級のもので、壁や天井などに宗教画が描かれている。

壁の絵は、歴代のシルヴェンノイネン王国の国王の肖像画だ。

カーペットには、我が国が生産している織物が使われており、用意されている茶菓子は全て我が国の名物だ。

そして、部屋の最奥にある玉座には、王家の紋章がデザインされているではないか!

それに、この部屋は俺の部屋と造りが酷似している。ここまで再現度が高いとは…!

「………【超高校級の国王】の…研究室………」

「ほう…素晴らしい!ここまで配慮が行き届いているとは思わなかったぞ!褒めてやろう、モノクマ!」

「………あの、国王…?」

「おいどうした和服!何をそんなに不機嫌そうにしておるのだ!俺は今気分がいい。ここにある茶菓子を食っていくといい。」

「………いらない。(プイッ」

なんだアイツ。何故拗ねておるのだ。

 

 

 

 

【内エリア 5F】

 

「クッソ…オレはなんでことごとくグループ分けに恵まれねェんだよ。詩名、さっさと探索終わらせるぞ!」

「君、すこぶる不機嫌だねぇ。神座君と同じグループじゃないのがそんなに悔しいかい?」

「うっせぇ!!なんで俺のグループは、毎回男だけか朱ちゃんが一緒なんだよ!!」

「それは日頃の行いのせいじゃないかい?まあ、オイラはどうでもいいけどね。」

「ああはいそうですか!!」

っと、ここが美術室か。

筆とパレットの絵が描かれてるし、多分そうなんだろうな。

「ここか!オラ行くぞ詩名!!」

「…君って、不機嫌になると急に言動が雑になるよねぇ。まあ、別にいいけど…」

 

 

 

 

【美術室】

 

「へーっ。」

こりゃたまげた。

部屋全体がどデケェアトリエになってんな。

彫刻とか絵とか…色々あるぜ。

へー、氷の彫刻までできんのか。

…なんで鎧とかライフルとかまであるんだよ。

これ、まさかとは思うけど実弾が入ってたりしねェよな?

はっはっは、あのクマがいくら悪趣味だからって、さすがにそれは…

 

ドォン

 

「…!?何の音だい!?」

「ひぇええええ…」

壁には穴が開いて、銃口からは煙が出ていた。

…嘘だろこれ!?実弾入ってんのかよ!?

こんなあぶねェモン置いてんじゃねえよあのクマ!!ったく、おどかしやがって…

…ん?

「どうかしたのかい?」

「この彫刻…アレだよな。『江ノ島盾子』だよな。」

「江ノ島…確か、20年以上前に世界中に絶望を伝染させた、【超高校級の絶望】の親玉…だったっけ。」

「ソイツの彫刻がなんでこんなところに…ん?」

「今度は何を見つけたんだい?」

「…これ、俺の肖像画だ…」

「…え?」

キャンバスには、モノクロで俺の肖像画が描かれていた。

それだけじゃねえ。

よく見ると、ここにいるみんなの肖像画が部屋の至るところに飾られていた。

「詩名。お前のもあるぞ。」

「…そうかい。」

ひときわ目立つのは…狛研ちゃんの肖像画だな。

他の肖像画より明らかにサイズが大きいし、丁寧に額縁に飾られている。

天井に立てかけてあって、まるで信仰の対象みてェだ。

…そういえば、入田の野郎が、狛研ちゃんがこのコロシアイの原因だって言ってたけど…何か関係あんのかな?

まだまだ、オレたちにはわかんねェ事だらけだな。

これは、ラッセ達にちゃんと報告しておかなきゃなんねェかもしんねェな。

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