ダンガンロンパPRISON   作:M.T.

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第4章(非)日常編③

「うーん…」

ボクは、独房で目が覚めた。

『フッフッフ。おはようございます!!起床時間ですよ!!アナタ達、今すぐ起床しなさい!!しないとブチ●しますよ。』

相変わらずうるさいなぁ、ベルさんは。

いちいちローテーションしなくていいから!

…そうだ、たまにはボクがみんなの朝ごはんを作ってあげよう!

ボクは、着替えを済ませて厨房に向かった。

 

 

◇

 

 

【厨房】

 

「…あ。」

「おはよう、狛研ちゃん。」

「おはようございます狛研さん。」

厨房には、陽一クンと治奈ちゃんがいた。

「おはよう、二人とも。やっぱ早いね。」

「そうか?」

陽一クンは、わかりやすく照れた。

ボクは、ダメ元で相談してみた。

「ねえ陽一クン。キミが作ってくれるご飯、すっごいおいしくって、ボク大好きなんだ!また食べたいんだけど…作ってくれないの?」

「もちろん、狛研ちゃんのお願いなら喜んで作るぜー!!…と、言いたいところなんだけど。ラッセから、狛研ちゃん達に飯を作んなって言われてんだよ。敵にやる飯は無いとか言ってよ。」

「そんなー、厳しすぎじゃない?陽一クンはそれでいいの?」

「そりゃあ、オレだって思う所はあるけどよ…でも、みんなをこれ以上コロシアイに巻き込まないためには、あれくらいの厳しさも必要だと思うんだよ。…こういう言い方しちゃあなんだけど、やっぱり穴雲はそこんとこ甘いと思う。」

「…。」

治奈ちゃんは悲しそうな顔をした。

「あ、ごめん…傷つけるつもりはなくてだな…!」

陽一クンは、治奈ちゃんをなだめつつ話を続けた。

「…けどな。理想ばっか言っててもいざって時に冷たくなれねェならクラスメイト一人守れねェって、このコロシアイを通して嫌でも思い知らされたよ。」

「…そう、ですか。」

「おっと、暗い話になっちまったな。よっしゃ!飯作るぞ!」

陽一クンは、早速朝ご飯の支度に取りかかった。

料理を、スピーディーかつ正確に完成させていく。

「わー、陽一クンすごい気合い入ってるね!治奈ちゃん、ボク達も料理しよっか!よーし、陽一クンに負けないくらい美味しい朝ご飯作るぞー!!治奈ちゃんも手伝ってよね!!」

「…はい!」

良かった、治奈ちゃんが元気になったみたい。

よーし、頑張ってとびっきりの朝ご飯作るぞー!!

 

 

◇

 

 

「狛研さん、手際がいいですね。」

「まあ、施設でみんなのご飯作ってたからね。4人分のご飯作るのなんて朝飯前だよ!治奈ちゃんも、ここに来る前はけっこう料理とかしてたの?」

「はい…うちの家は貧乏で、母親がほとんど家事をしなかったので…自分と弟の分の食事は私一人で用意してましたね。…今は自分の分だけですけど。」

「へー。大変だったんだねぇ。」

「ここに来て栄さんのお料理を食べた時は、感動しました。まるで、高級レストランのような食事で…」

「あれっ?治奈ちゃん、レストラン行った事あるの?」

「はい、一度だけ…その、私が初めて夜の仕事をした日、お相手をした方に連れて行ってもらいました。その方がたまたま気前の良い方で、ご馳走してもらった上に、新しい服とお金をたくさんいただいたんです。その時レストランで食べた料理の味が忘れられなくて…できれば、弟も連れて行ってあげたかったんですけどね。」

「…そうなんだ。」

そういえば、治奈ちゃんの弟は死んじゃってるんだっけ。

治奈ちゃん、ここに来る前はかわいそうな生活してたんだな…

「…あの、狛研さん。それ、早く火を止めた方が…」

「えっ!?あ、ごめんごめん。」

危ない危ない、話を聞いてたらうっかり焦がしちゃうところだった。

つい話を夢中で聞いちゃうの、ボクのよくないクセだね!

 

《癒川治奈の好感度が1上がった》

 

 

◇

 

 

「よっしゃ、できたー!!ねえねえ!これ、かなり完成度高いんじゃない!?」

「そうですね…頑張って作った甲斐がありましたね。」

「そろそろ時間だよね?星也クンと天理クンは来てるかなー?」

ボクは、食堂に顔を出した。

「ご飯できたよー!!」

「あ、治奈に狛研さん。おはよう。」

「おはようございます、星也さん。」

「星也クンおはよ!…ねえ、天理クンは?」

「まだ来てないよ。今日も遅刻かな。…今日は、君達が朝ご飯を作ってくれたんだね。」

「うん!今回はねー、頑張って二人で作ったんだ!割と自信作だから、どんどん食べて!」

「本当かい?それは楽しみだな。」

「ふわぁ〜。みんなおはよぉお〜。」

少し遅れて天理クンが来た。

「もう、天理クン遅いよー!今日はせっかくとびっきりの朝ご飯作ったのにさー!」

「にゃぱぱー、ごめんなちゃーい。それじゃあ、全員揃ったしご飯食べよっかぁー。」

天理クンは、席に座ると食器をカチャカチャ鳴らしながら催促した。

「…みんな君を待ってたんだけどね。」

「ふわーい。」

 

 

◇

 

 

星也クンは、ボク達が作った朝ご飯を食べた。

「お味はどうですかー?」

「…うん、すごくおいしいよ。やっぱり、今日は頑張って作ったんだね。いつもよりおいしい気がするな。」

「それは良かったです!」

治奈ちゃん、嬉しそうだな。

星也クンに褒められたからかな?

「うん、おいしいねー。俺っちも見習わなきゃですわぁー。」

「棒読みじゃないか。本当にちゃんと味わってる?」

「失礼なー。ちゃんとおいしいって思ってるよー。」

天理クンは、間延びした口調で答えた。

なんか、眠そうにして言ってるから説得力がまるで皆無だねぇ。

 

 

◇

 

 

ボクの朝ご飯、二人とも気に入ってくれたみたいで良かった!

またご飯作ろーっと。

昼ご飯までまだ時間あるなぁ…

何して時間を潰そうかな?

…そうだ、才刃クンの様子を見に行こう。

さすがに、2日も部屋から出てこないと心配だよ。

あの子、体調崩したりしてないといいんだけど…

 

 

◇

 

 

【入田才刃の独房】

 

ピンポーン

 

「才刃クン、いるぅー?」

「…。」

返事がない。

話しかけてみるか。

「ねえ才刃クン。体調はどう?ちゃんと毎日ご飯食べてる?みんな心配してるから、気が向いたら部屋から出てきてね。出てきたら、またゲームエリアで一緒に遊ぼうね。みんな、キミの事待ってるから。」

 

ポコンッ

 

《しつこい》

 

あらら…怒らせちゃったかな。

この前もご機嫌斜めだったけど…今日も機嫌が悪いのかな?

でも、チャットでもちゃんとお話できてるって事は、まだ元気って事だよね?

さてと、才刃クンが元気だって事はわかったし、そろそろ別の場所に行こっかな?

そうだ、新しく開放された美術室に行ってみよっと。

じゃあね才刃クン。

また来るね。

 

 

◇

 

 

【美術室】

 

うーん、相変わらず広いなぁ。

すごくおっきいアトリエだね、これは。

…ん?

どうやら先客がいたみたいだね。

あれは…ゐをりちゃん?

紙に何か書いてるっぽいけど…

何してるのかな?

「ゐをりちゃん!」

「………………。」

ゐをりちゃんは、一瞬こっちを振り向くと、また紙に何か書き始めた。

あうぅ…無視?ひどいなぁ…

…いや、あの子は元々こんな感じだったね。

「ねえ、何書いてるの?」

「………。」

ゐをりちゃんは、目の前に飾ってあった花を指差した。

「花の絵を描いてたの?え、見たい!見せて!」

「…………………。」

ゐをりちゃんは、嫌そうな顔をしつつも絵を見せてくれた。

 

「…へぇ。」

まあまあ上手い。

ゐをりちゃんって、絵が得意だったんだね。

「ゐをりちゃん、上手だね!よく描けてるよ。」

「………り、と………」

「なんて?」

「………ありがとう。」

ゐをりちゃんは、うつむきながら小さな声で言った。

「この花って…」

「……………水仙。」

「ゐをりちゃん、水仙好きなのかい?」

 

「………侍が、好き…だった……………」

ゐをりちゃんは、悲しそうな顔をして言った。

「…そっか。剣ちゃんが好きだったんだね。」

ゐをりちゃん、剣ちゃんの事大好きだったもんね。

あの子が死んじゃって、まだ心の整理ができてないのかな。

「………私……………侍、信じて…た………初め、て…で、きた…………友達…だった…か、ら………」

「ゐをりちゃん…」

「私、本当は…今まで………何、して…た、のか………覚え、て…ない………の……………だから、不安…だった……………でも、侍と………いる、と…安心………でき、た…侍……は、私………の、大切な…友達………だ、と…思って………た…………私、信じて……た……………のに…侍、なんで………あんな、ひどい…事……………」

 

ゐをりちゃんは、さっきとは別の紙を見せた。

そこには、描きかけの剣ちゃんの絵が描かれていた。

絵は、涙で滲んでいた。

「………描き、終わった…ら、渡そうと……………思ってた…………のに…渡せ、なかった………」

「…ねえ、ゐをりちゃん。剣ちゃんの研究室、行ってみる?」

「………え?」

「その絵、飾ってあげたら剣ちゃんも喜ぶと思うんだ。…嫌かな?」

「…でも、私………は…裏切られて…」

「本当にそうかな?ボクは、少なくとも成威斗クン達を殺す前までは、剣ちゃんがゐをりちゃんの事を友達だと思ってたっていうのは嘘じゃなかったんだと思うな。剣ちゃんだって、ゐをりちゃんを裏切っちゃった事を後悔してると思うよ。とにかく行ってあげようよ。」

「………。」

ボクは、ゐをりちゃんと一緒に剣ちゃんの研究室に行った。

 

 

◇

 

 

【超高校級の侍】の研究室

 

「ゐをりちゃん、入ろっか。」

「………。」

 

部屋の中は、整頓されていた。

部屋の綺麗さは、もはや剣ちゃんがついこの間までここにいたと言う事を疑う程だった。

ゐをりちゃんは、ちゃぶ台の上に絵を置くと、手を合わせた。

「…少しの…あい、だ…だった………けど、あなた…と、一緒に………い…て……楽し、かった………ありが、とう…」

ゐをりちゃんは、しばらく黙ったまま座ったと思うと、立ち上がって部屋を出ようとした。

「………言いたい事、伝え…られ、た………と、思う…」

 

ボクも部屋を出ようとした時、一枚の写真が足元に舞い降りてきた。

「写真…外エリアからの風で飛ばされたのかな?」

写真を拾い上げた。

写真には、笑顔の剣ちゃんとゐをりちゃんが写っていた。

…手帳で撮ったのを現像したのかな。

「…ゐをりちゃん、ボクの言った通りでしょ。やっぱり剣ちゃんがゐをりちゃんの事を友達だと思ってたのは、嘘じゃなかったんだよ。ほら。」

ボクは、ゐをりちゃんに写真を渡した。

「…うん。」

ゐをりちゃんは、少し微笑んだ。

「………幸運……………あり、がとう……これ…お、礼………」

ゐをりちゃんは、紙をくれた。

紙には、ボクの似顔絵が描かれていた。

「え、めっちゃ上手いじゃん!っていうかいつ描いたの?」

「………さっき。」

さっき!?

筆速くない!?

「よく描けてるね。ありがとうゐをりちゃん!」

「………。」

 

《神座ゐをりの好感度が1上がった》

 

 

◇

 

 

さーてと、ゐをりちゃんと話してたらお腹すいちゃったよ。

そういえばそろそろご飯の時間だよね。

今回は天理クンがお昼ご飯を作ってくれるらしいけど…

何が出てくるんだろ。楽しみだな。

 

 

◇

 

 

【食堂】

 

「ごめん、みんな待った?」

「いや、待ってないよ。」

「私達も今来たところです。」

「ごめーん、おまちどうさまー。」

天理クンは、間延びした口調で喋りながら厨房から出てきた。

デッカい何かを持ってるけど…アレ何?

「昼飯適当に作ったんでみんなでどうぞー。」

「あの…財原君。これ…何?」

「え、何って。天津飯だけど。見てわかんね?」

「いや、見てわかるけど…何この量。どう見ても50人前以上はあるよね?なんか盛り方下品だし…」

「なんか、餡が沼みたいになってますね…どうやって食べるんですかこれ。」

「作りすぎちゃった☆」

「作りすぎちゃったのレベルを超えてる気がするけど…まあいいや。冷めないうちに食べちゃおっか。」

「はーい。」

 

 

◇

 

 

「あー、おいしかった。ごちそうさまー。」

「お粗末様ですー。」

星也クンと治奈ちゃんは、変な顔でボクを見ていた。

「…え、何?二人ともどうしたの?」

「嘘でしょ…なんでアレを全部食べきれるわけ?」

「さすが狛研さん…」

「あはは、まるでブラックホールだね。」

えー?

あれくらい普通だと思うけどなー。

逆に、天理クンはお腹いっぱいになるまでご飯作ってくれるから助かるね。

「…あのさ、ちょっと疑問に思ったんだけど…財原君の作るご飯って、なんでいっつも量が多いの?」

「んー。なんか、なんでもそうなんだけど、あるものはあるだけ使っちゃおう的な心理が働いちゃうみたいでさー。卵とか調子乗って100個くらい使っちゃったよ。」

「的なって…適当すぎでしょ。もっと節約するって事を知ったらどうだい?今回ので、食材を大量に使っただろ。」

「サーセン。でもほら、俺って超お金持ちじゃん?それで許してよ。」

「なんでそれで許されると思ってるのかが謎だけど…これ以上話してもらちが開かないよね。ごちそうさま。」

んー、よくわかんないけど…湯水の如くってヤツ?

さすが資産家だねぇ。

 

 

◇

 

 

お腹いっぱいになったし、今度は何をしようかな?

暇だし、また何かして遊ぼっかな?

 

「ぶっ。」

 

いったた…

何かにぶつかっちゃったみたい。

「…なんだ、貴様か。」

「あ、ラッセクン。」

「フン、前を見て歩かないからそうなるんだ。愚図が。」

「う…」

ラッセクン、相変わらず辛辣だなぁ。

「ねえ、そういえばさぁ。ラッセクンって研究室開放されたんでしょ?ちょっとお話がてら見たいんだけど。」

「貴様、誰に向かってそんな口を利いている。俺が帝国民ですらない貴様に、素直にいいと言うと思うか?話がしたければ、それに見合う物を用意してもらおうか。交渉とはそういうものだろうが。」

「それに見合う物…かぁ。あ。そうだ。」

「どうした?」

「ラッセクンさぁ、首飾りとか好きだっけ?」

ボクは、首飾りをラッセクンに見せた。

「むっ…貴様、どこでそれを?」

「ガチャでだけど…」

「…フン、今日は機嫌がいい。特別に貴様と話をしてやろう。」

「わーい。」

 

 

◇

 

 

【超高校級の国王】の研究室

 

…わーお。

いかにも王様の部屋って感じだね。

ラッセクンは王様だもんね。

「ねー、ラッセクン。さっきあげた首飾り、あれって一体何だったの?」

「…あれは、我が先祖、シルヴェナという民族が作ったとされる工芸品で、アミュレットの一種だ。シルヴェナの地でしか採れない鉱物のみを使って作られ、その全てにシルヴェナの伝統的な模様が使われるんだ。20世紀以上前、ローマ帝国の侵略によってシルヴェナの民は滅ぼされ、彼らが遺した物の多くが邪教の道具として廃棄されたがな。…しかし驚いた。未だ、ここまで綺麗な状態で我が先祖が遺した宝が見つかるとは。」

「わー、ボク、そーいう難しい話ニガテー。…あれ?でも待って?その民族?は、滅んだんじゃないの?でも、ラッセクン、今ハッキリ先祖だって言ったよね?どゆこと?」

「…歴史上は滅んだとされている。しかし、シルヴェナの民の血は絶えたわけではない。混血を繰り返しながら世界中に散っていった。そして500年前、シルヴェナの民の子孫達がシルヴェナの地に再集結し、そこに蔓延っていた侵略者の子孫を追い出し、土地を取り返したのだ。彼らを率いたのが、我が国の初代国王、イェレミアス・エドヴァルド・シルヴェンノイネンだ。」

「…はぁ。」

 

「さてと、俺の国の自慢はこの辺にしておこうか。時に触角帽子。貴様、俺と話がしたいと言っていたな。約束通り、聞いてやろう。」

「え、いいの?」

「それ相応の物をくれるなら話すと約束したからな。」

ラッセクンって、冷たいイメージがあったけど…

案外、ちゃんと話せばわかってくれるんだね。

「ああ、うん。じゃあ、いくつか聞きたい事があるんだけど…聞いていい?」

「…なんだ。」

「ラッセクンって、なんで【超高校級の国王】になったの?」

「何故と言われてもな。俺の場合、王家の長男だったからとしか言いようがないのだが…」

なんか、彩蝶ちゃんや剣ちゃんと似た感じだね。

お金持ちってみんなそうなのかな?

「だが勘違いするな。俺は、たまたま持って生まれた権力を振りかざしてふんぞり返るような馬鹿共とは違う。俺は民を想い、彼らを尊敬しているのだ。俺は、俺の民が少しでも快適な暮らしが送れるよう、自分にできる事をしているだけだ。それが俺の場合、国王としての務めだったというだけの話だ。」

「へぇ…」

ラッセクン、そういうのちゃんと考えてるんだね。

すっごい意外。

「…貴様、俺の事をなんだと思っていたんだ。」

…考えてる事バレてた。

さすが国王様。そういう才能もあるんだねぇ。

 

「ねえラッセクン。前からずっと気になってたんだけど…頭の上の王冠は、なんなの?」

「これか。これは、国王が即位する時に先代の王から授かる王冠だ。俺も、これを父上から授かった。…俺の場合は、父上が急死したから、直接授かったわけではないがな。」

「ふーん。」

「この王冠は、シルヴェンノイネンの国王の証だ。常に肌身離さず持ち歩いている。」

「そのバッヂみたいなのは?」

「これは、王家のみがつける事を許される紋章だ。我が国の国旗にも描かれている、ノース・フェニックスが描かれているのだ。」

「ノース・フェニックスって?」

「シルヴェナの地にのみ生息する鳥だ。その希少性の高さからそう呼ばれている。」

「へー。」

 

「ねえ、ラッセクン。」

「まだ何か聞きたい事があるのか。」

「あのさ、ラッセクンは、大切な人とかここから出たらやりたい事とか…そういうのってあったりするの?」

「やりたい事か、とりあえず、長い間国を開けてしまっているから、早く国に戻って民の日常を取り戻さねばな。」

ここに来て随分と現実的だね。

「それから大切な人、か。そうだな…強いて言うなら妹だな。」

「あ、ラッセクン妹いたんだ。」

「ああ。8人いるぞ。全員母親は違うがな。」

まあ、王様だもん。それくらいいるよねー。

「なんだ貴様。リアクションが薄くないか?」

「だって、ウチは20人家族だし。施設育ちだからね。」

「…そうか。」

 

「ラッセクンの大切な人は妹かー。」

「ああ。特に、アイナは俺の大事な妹だ。」

「アイナ?」

「俺の4番目の妹だ。俺の婚約者でもある。」

「ふーん…はぇっ!!?」

「…どうした。」

「いや、どうした、じゃないでしょ!!兄妹で結婚ってどういう事!?そういうの、キンシンなんとかっていうんじゃないの!?」

「何を言っている。俺の国では合法だぞ。」

「そ、そうなんだ…」

うーん、さすがによその国の決まりに口出しするのは野暮かな?

 

「ありがとう、ラッセクン。キミと話してて楽しかったよ。」

「…そうか。」

「ねえ、また来てもいい?」

「俺の機嫌と条件次第だな。一応、前向きには検討してやらん事もないぞ。」

「検討止まりかぁー。」

「不服か?」

「うんっ。」

「…ここまでハッキリ言う奴、初めて見たぞ。だがまあ、俺と対等に話そうという、貴様のその度胸は嫌いではないぞ。」

「えへへ…じゃあ、ボクはそろそろ行くねー。」

 

《ラッセ・エドヴァルド・シルヴェンノイネンの好感度が1上がった》

 

 

◇

 

 

ラッセクンと話してたら盛り上がっちゃったね。

あの子、話してみると意外と面白いんだね。

…あー、お腹すいたなぁ。

そういえば、そろそろ夕飯の時間だっけ。

今回は、星也クンがご飯を作ってくれるんだっけか。

楽しみだなー。

 

 

◇

 

 

【食堂】

 

「来たよー。」

「あ、狛研さん。」

「ごめん、待った?」

「いえ、私も今来たところです。」

「そっか。星也クンは?」

「星也さんなら、今厨房で夕食を作っています。」

「じゃあ、気長に待とっかぁ。」

その時、厨房から星也クンが出てきた。

「ご飯できたよ。」

「早いね!?」

「まあ、割と早くから準備してたからね。…財原君はまだなのかい?」

「…そうみたいですね。」

「まあ、彼が時間をちゃんと守った事なんてほとんど無いけどね。」

 

「ふわぁああ〜。ごめんなちゃーい。遅れまちたー。」

お、言ってるそばから来たよ。

噂をすればなんとやら、ってヤツかな?

「俺もうお腹ペコペコだよぉ〜。早く食べちゃおうよ〜。」

「…だったらもっと早く来てくれるとありがたいんだけど。」

「ごめんねー?」

「あの、皆さんとりあえず席に座りませんか…?」

「そうだね。」

わーい、星也クンのご飯だー!

おいしそうだなぁ〜。

 

 

◇

 

 

うーん、おいしかった!

やっぱ星也クンも料理上手だね。

さてと、この後は夜時間まで時間あるけど…

何しようかな?

そうだ、また音楽室にでも行こうかな?

 

 

◇

 

 

【音楽室】

 

相変わらず広いなー、この音楽室は。

ん?

あれは…陽一クンと柳人クン?

何やってんのかな?

 

「やあ、陽一クンに柳人クン。」

「おう、狛研ちゃん。なんか用か?」

「いや、別にそういうわけじゃないんだ。暇潰しに来たの。…ねえ、二人とも何やってんの?」

「ああ、詩名が、楽器の弾き方教えてくれるっていうから、習ってんだよ。」

「へえ…陽一クン、楽器とか興味あるの?」

「いや、興味あるっていうか…教養として?」

「嘘つけよ、栄君。君はさっき、楽器できる男がモテるみたいな事言ってただろ?」

「ちょ、おい詩名!!なんでそれを狛研ちゃんの前で言う!?」

「だって、嘘は良くないだろ〜♪さ、栄君。練習の成果を聴かせてあげたらどうだい?」

「お、おう…」

 

陽一クンは、ピアノで猫ふんじゃったを弾き始めた。

だいぶつっかえつっかえだったけど、最後まで弾いてくれた。

「ど、どうよ…」

「陽一クン、すごいね!最後まで弾けたじゃん!」

「あ、ありがと狛研ちゃん…」

「もっと褒めてあげなよ。栄君、これでもだいぶ上達したんだよ。最初なんて、ドレミも怪しかったもんね♬」

「おい、言うな!!」

「でも、君は本当に頑張ったと思うよ。うん、えらいえらい。」

「なんでそう上からなんだよ…」

「ねえ柳人クン。柳人クンも弾いてくれる?」

「え?」

「ボク、昨日のキミの演奏気に入ったからさ。ピアノも聴いてみたいんだ。」

「フフ、お安いご用さ。ちょっと、栄君。そこ変わって。」

「え、お前も弾くのかよ。」

「ファンからの要望には応えないとね〜♬」

「ファンって…」

 

柳人クンは、椅子に座ると、目にも留まらぬ速さで鍵盤を叩き始めた。

音楽室に、綺麗な音色が響き渡る。

「…すごい。」

「ふんふ〜ん♫」

柳人クンは、鼻歌交じりで演奏を続ける。

演奏は、10分くらい経ってもまだ続く。

「…あの、詩名?そろそろ…」

「ふんふ〜ん、ふ〜ん♪」

「ああ、ダメだコイツ。完全にはかどってる。こりゃ、飽きるのを待つしかねェな。」

「このまま聴いてようよ。ボク、この曲好きだよ。」

「…だな。」

 

「…ふぅ。」

柳人クンの演奏が終わった。

気がつくと、30分くらい経っていた。

「あ、ごめんよ。かなり時間経ってたよね?ついはかどっちゃって、いつものクセが出ちゃったよ。」

「…!」

ボクは、柳人クンに拍手を贈った。

「すごいよ、柳人クン!!メッチャいい演奏だった!!」

「クッソ、これじゃあオレの演奏がヘタクソみたいになっちまうだろうがよ…おう詩名!!ムカつくくらいいい演奏だったぜ!!」

「ムカつくって…ひどいなぁ。まあ、褒め言葉と受け取っておこうかな。」

「二人とも、ピアノ弾けるなんてすごいね!なんか、二人の演奏聴いてたらボクも弾きたくなってきちゃった!ねえ、弾いてもいい?」

「狛研君の演奏か…それは楽しみだねぇ。どうぞ。」

「わーい!」

柳人クンは、席を譲ってくれた。

よーし、弾くぞー!!

 

 

 

ーーーーーー♬

 

 

 

「!!?」

 

 

◇

 

 

「ふんふん、ふ〜ん♪」

 

※$^&*%@#ーーーーーーーーー

 

「ちょ、狛研ちゃん!?ストップ、ストップ!!」

「なんだこの音…なんか、耳だけじゃなくて頭まで痛くなってきたんだけど…!!」

二人とも、どうしたのかな?

まあいいや。まだもうちょっと弾きたいから続けよっと。

ピアノって楽しいね!

 

 

◇

 

 

「あー、面白かった。…あれ?どうしたの二人とも?」

二人とも、ステージの上で伸びてた。

「うぅ…やっと終わった…」

「普通のグランドピアノなのにこんな禍々しい音色が出るなんて…ある意味才能だね…」

「二人とも大丈夫ー?どっか具合悪いの?」

「ああ、いや…狛研ちゃんの演奏があまりに素晴らしかったから、感動で震えちまって…」

「ホント!?」

「ああ。すげェいい演奏だったぜ…」

「…栄君、オイラは君を尊敬するよ。」

「そっかあ、そんなに気に入ってくれたんだったら、もう一回弾こうかな!?」

 

「「やめて!!?」」

 

「…え?」

「あ、いや…その、あんまりにも狛研ちゃんの演奏が凄すぎて、もう一回弾かせちゃうのはさすがに贅沢すぎっていうかおこがましいっていうか…」

「ふーん。」

なにそれ。

気に入ってくれたんだったらいくらでも弾いてあげるのに。

二人とも変なの!

 

「あ、そ、そうだ!もうそろそろ遅い時間じゃないかい?」

「あ、そうだな。言われてみれば、もう9時半だった!じゃあ、オレらは部屋でゆっくり寝よっかな。じゃあな狛研ちゃん。また明日。」

「おやすみ、狛研君。」

二人は、そそくさと音楽室を出て行った。

「うん、二人ともおやすみー。」

さてと、そろそろ遅い時間だし、ボクも部屋に戻ろーっと。

明日は誰と話そっかな?

 

《栄陽一の好感度が1上がった》

 

《詩名柳人の好感度が1上がった》

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