新たに栄君、朱さん、財原君、入田君が仲間に加わった。
さすが【超高校級】…みんなキャラが濃いな…
僕、正直ここで生きていける気がしないよ…
ガチャ
「ここは…」
お、また誰か出てきたな…
…今度は女の子か。
その子は、ピンクがかった赤い髪の毛をサイドテールにしていて、ザクロ色の瞳を持った子だった。
白と紺を基調としたセーラー服を着ていて、上にクリーム色のカーディガンを羽織っていた。
「わっ、13人も…人がいた、よかったぁ。」
「あ、また誰か来たよ!今度は女の子かぁ。はじめまして!ボクは狛研叶!【超高校級の幸運】さ!よろしく!」
「はじめまして。私、【超高校級の侍】不動院剣と申します。」
「あのね、わたしは【超高校級の生物学者】っていうんだよ。こっちは、お友達の翠ね。」
「你好!ワターシは、【超高校級の曲芸師】朱雪梅ですヨー!」
「えっと…」
女の子は、オロオロしていた。
多分、みんなが一斉に自己紹介したから、誰にどう返せばいいのか分からなくなってるんだな。
「うーん、みんな。ちょっとこの子が困ってるみたいだから、とりあえず一回静かにしてあげよっか。」
穴雲君は、みんなを黙らせた。
「さ、みんなに自己紹介してくれるかな?」
「…わかりました。私は、
【超高校級の看護師】…聞いた事あるな。高校生とは思えないほど医学に詳しくて、大震災の時も現地の医者の手伝いをして、多くの人の命を救ったらしい。噂によると、死後1分以内なら、どんなに大怪我を負った患者でも蘇生する事が可能らしい。…見た目は普通の女の子なんだけど、やっぱり【超高校級】ってだけあって、人間離れしてるなぁ。
「やっぱり、治奈ちゃんも希望ヶ峰の新入生だったんだね!これから、仲良くしようね!」
「あ、はい…よろしくお願いします…」
「ピィ!」
「あ…」
「翠が、よろしくって言ってるよー。はるなちゃんすごいね。翠がここまでわたし以外に懐いたの、はるなちゃんが初めてだよ。」
「そう、なんですか。」
癒川さんは、翠ちゃんに懐かれて嬉しそうにしている。
なんか、微笑ましい光景だな。
「あの…」
「ん?なんだい?…あ、ごめん。僕の自己紹介がまだだったね。僕は【超高校級のアナウンサー】穴雲星也だよ。よろしくね、癒川さん。」
「穴雲さん、先程はありがとうございました。」
「いいって。僕は、当然の事をしただけだし。」
「いえ、本当にありがとうございました。」
癒川さんは、深々と頭を下げた。
「いいって言ってるんだけどなぁ。」
「なあなあ、そろそろオレが自己紹介してもいいか!?オレは、【超高校級の栄養士】栄陽一っつーんだ!よろしくな、癒川ちゃん!」
「はい、よろしくお願いします。栄さん。」
「なあ、ところでよ。癒川ちゃんって、どんなタイプが好みとかある?」
おいおい。
初対面でいきなりその質問かよ。
ちょっとは自重するって事を覚えなよ、栄君…
「えっと、ごめんなさい。よくわからないです…」
「またまた〜!ねえ、好きなタイプ教えてよ!あ、もしかして、オレ?」
「アチョー!!」
ベシッ
「べしょアッ!!」
栄君は、朱さんに思いっきりビンタされた。
「ワターシ、ヘンタイ、ユルサナイ!大丈夫ですか、治奈サン!」
「はい…」
「なあ、次は俺の番か?俺は、舞田成威斗!【超高校級の喧嘩番長】だ!」
「はい、よろしくお願いします。舞田さん。」
「ん?順番的には、次はアタシ?アタシは、羽澄踊子。【超高校級のダンサー】ね。」
「羽澄さん、ですか。よろしくお願いします。」
癒川さんは、二人に向かってペコリとおじぎをした。
…礼儀正しい子なんだな。
「あの…人違いだったら申し訳ないんですけど、もしかしてあなたは、シルヴェンノイネン王国の国王陛下ではありませんか?」
「…小娘、貴様、私の事を知っているのか。」
「はい、写真を見ただけですけれど…お会いできて光栄です。」
「フン、小娘よ。貴様は、他の奴らと違って気が利くな。特別に、俺の正妻にしてやってもいいぞ。」
「いえ…国王陛下の正妻なんて、私にはもったいないです…私、全然礼儀作法とか、詳しくないですし…」
「…そうか。」
「プッ、フラれてやんの。」
「黙れダークパープル。貴様には極刑を下してやる。」
「そっちこそお黙りロングパスタ。国王だからって、いきなり初対面の女の子を口説くなんて、いい趣味してるじゃない。」
「あの…あなたは?」
「何よ、ロングパスタの事は知ってるくせに、私の事は知らないのね。私は、【超高校級のマドンナ】白鳥麗美よ。」
「白鳥さんですか。よろしくお願いします。」
「次は僕ちゃんの番だな!?僕ちゃんは、【超高校級の工学者】入田才刃様なのだ!!」
「入田さん、よろしくお願いします。」
「んー。次は俺かなぁ。やあ、はじめまして癒川サン。俺は【超高校級の資産家】財原天理ね。ヨロシク。」
「財原さん、ですか。よろしくお願いします。」
「ねえ、ちょっと聞きたいんだけどさ。癒川サンって、ドルとポンドどっちが好み?」
「え、好み、ですか?」
「やっぱ、使いやすさで言ったらドルだよねー。でも、1ポンド硬貨のデザインも捨てがたいんだよなぁー。」
「はあ…」
おいおい、いきなり何マニアックなトーク始めてるんだよ財原君。
「あ、そうそう。最近のお気に入りは、やっぱルピアかな。まあ、マイナーだからほとんど使わないんだけどさ。あ、もし良かったらいい通貨とか株とか紹介してあげるけど。好みとかある?」
なんでこの人通貨や株を女の人みたいに言うの?
…やっぱり、この人は変人だよ。
「…。」
「ん?癒川サン。彼が気になるかい?彼は、景見凶夜クン。【超高校級の不運】ね。…さて、話の続きをしようか。」
「はぁ…」
それだけ?
僕の紹介軽すぎない?
「ふんふ〜ん♪」
今度は、男の子が楽器を弾きながら出てきた。
ライムグリーンの髪に、開いているのか開いていないのかわからない細い目の男の子だ。
羽根つきの緑色の帽子に、緑を基調とした服、そして抱えているリュートはまさに吟遊詩人を彷彿とさせる。
何より特徴的だったのは、彼が日暮さんや入田君よりもずっと背が低い事だ。
「オイラは風の妖精。自由気ままに旅をして、行く先は誰にもわからないのさ〜♪」
その子は、いきなりリュートを弾いて歌い始めた。
「わあ、君、歌が上手なんだね!ボクは【超高校級の幸運】狛研叶さ!よろしくね!」
「ねえ、きみ、お名前は何ていうのかな?わたしは日暮彩蝶。【超高校級の生物学者】だよ。翠がね、きみの歌を気に入ったみたいなんだ。きみの歌、もっと聴かせてくれるかな?」
「オイラに名前なんてないさ、ただ風に揺られてさまようだけ〜♫」
「何コイツ。名前聞かれてんのに答えないなんて、どういう神経してるのかしら。はぁ、聴いてんの!!?」
白鳥さんが、その子の耳元で思いっきり怒鳴った。
「おっと、すまないね。今、捗ってたんだ。オイラは、一度スイッチが入ると、歌に浸っちゃうクセがあるんだよね。」
「なんだ、そのウザすぎる癖は…」
「ウザいって、ひどいなぁ。」
「あの、君。君も、もしかして希望ヶ峰の新入生なのかな?」
「も、という事は君達もか。そうさ。オイラは、【超高校級の詩人】として希望ヶ峰にスカウトされた、
【超高校級の詩人】か。聞いた事あるな。彼は歌いながら世界中を彷徨う旅人で、旅行先で歌や詩を残し、それが現地の人達の間で話題になったとかいう…詩や和歌、俳句など、色々なジャンルの韻文の創作を得意とし、彼の作った詩は必ず国語の教科書に載るらしい。噂によると、かの有名なラッパー、フィリップ・ジェイソンも、彼の影響を受けたとか…
「何よコイツ!私を無視するなんて…私の魅力が通じないっていうの!?」
「悪いね。オイラは、盲目なんでね。生憎、君の魅力とやらはさっぱりわからないのさ。」
え、詩名君って、目が見えないの?
それは初耳だったな。
「やあ、君は?」
詩名君は、僕の方に顔を向けた。
「あ、僕は景見凶夜。【超高校級の不運】です。」
「へぇ、不運ねえ。ま、人生なんてものは、空模様のように気まぐれさ。そんなに暗くならずに、気楽に生きるんだね〜♪」
「は、はぁ…」
「はじめまして、私は【超高校級の侍】不動院剣と申します。」
「ワターシは、【超高校級の曲芸師】朱雪梅ですヨー!雑技団の団長ヤテまーす!」
「不動院君に朱君ね。よく覚えておくよ〜♪」
「次は僕の番かな?僕は【超高校級のアナウンサー】穴雲星也だよ。よろしくね、詩名君。」
「僕ちゃんは、【超高校級の工学者】入田才刃様なのだ!!」
「俺は、舞田成威斗!【超高校級の喧嘩番長】だ!」
「ふんふん、穴雲君に入田君に舞田君か〜、さすが希望ヶ峰。面白い才能ばっかりだねぇ〜。」
「アタシは羽澄踊子。【超高校級のダンサー】ね。」
「ブフッ、おい。詩名っつったっけ?お前、入田よりちっせえじゃんwww」
「うるさいのだ!!おい、栄!オマエも自己紹介するのだ!」
「悪りい悪りいw俺は、【超高校級の栄養士】栄陽一だよ。」
「【超高校級の看護師】癒川治奈です。よろしくお願いします。」
「ふぅん、栄君に癒川君ね。それから、その近くにいる2人は?」
「私は、【超高校級のマドンナ】白鳥麗美よ!覚えておきなさい!」
「やれやれ、貴様も俺を知らぬとは…【超高校級の国王】ラッセ・エドヴァルド・シルヴェンノイネンだ。」
「白鳥君にラッセ君かぁ。あと、今オイラの目の前にいる君は?」
「ようやく俺のターンか。俺は、【超高校級の資産家】財原天理だよ。よろしく。」
「…へぇ、財原君、ねェ…君、なんか臭くないかい?」
「え、そうかなぁ。俺、一応風呂には毎日入ってるんだけどなぁ。」
「…君、本当に自分でわかっていないのかい?」
「うーん。なんでそんな事を言われてるのか、心当たりがまるでないなあ。」
「…そうか。今のは、オイラの思い過ごしかな。忘れてくれ。」
「まあ、忘れてくれって言われたら、あんまり詮索はしないけどね〜。」
臭い…?
どういう事なんだろう。
確かに、財原君は、他のみんなとは少し違うような気がするけど…
ガチャ
「…あ。」
部屋から女の子が出てきた。
綺麗なロングヘアーの黒髪で、深紅の瞳と、薄気味悪く感じるほどに白く美しい肌を持った子だ。
ピンク色と紺色の、明治から大正にかけての女学生のような服装で、どこか浮世離れした雰囲気を醸し出している。
「…む。」
その子は、僕の方に駆け寄ると、僕の顔を覗き込んできた。
「…?」
とても可愛らしい女の子の顔が0距離にあるので、思わず恥ずかしさで顔が火照ってしまった。
「あ、えと…」
「……………名前。」
「へ?」
「……………名前。」
もしかして僕、名前を聞かれてるのか?
「あ、えっと、僕は景見凶夜だよ。」
「……………才能。」
え、才能も?
「才能って言っていいのかはわかんないけど…一応、【超高校級の不運】って呼ばれてるよ。」
「…不運。」
女の子は、満足したのか、一歩引いた。
「君は?」
「…‥……‥…
神座さんは、それだけ言うと、噴水の方に走っていった。
…なんか、変わった子だな。
「ねえねえ!キミも、希望ヶ峰学園の生徒なのかい?」
「…………。」
「わーい、やっぱりだー!あ、ボクは狛研叶!【超高校級の幸運】さ!よろしくね!君の名前はなんて言うんだい?」
「………………神座ゐをり。」
「へー!ゐをりちゃんっていうんだー!面白い名前だね!」
「………幸運。」
「あれ?また誰か来たね。今度は女の子か。わたしは【超高校級の生物学者】日暮彩蝶だよ。こっちは、お友達の翠ね。」
「ピィ!」
「……………生物学者………翠。」
「はじめまして、ええと…」
「神座ゐをりちゃんだって。」
「はじめまして、神座殿。私は、【超高校級の侍】不動院剣と申します。」
「………………不動、院……………侍?」
神座さんは、嬉しそうに不動院君の着物の袖を引っ張った。
「………………。」
「あ、もしかして、私の着物がお気に召したのですか?」
「………。」
「そうですか、そう言って頂けると嬉しいですね。」
「………。」
「なんなのだ!!この子供は!!ここには、希望ヶ峰学園の生徒しかいないはずなのだ!!こんな子供がいちゃダメなのだ!!」
「いやいや、入田クン。キミも十分子供じゃないか。」
「なんだと!?オマエ、財原とか言ったな!オマエ、僕ちゃんを子供扱いするとはいい度胸だな!!」
「あーあー、悪かったよ。ホラ。今ハンカチで作ったライダーマンマスクやるから。それで機嫌直してよ。」
「わーい、ライダーマンマスクなのだー!」
「ほーらやっぱり子供だ♪」
「なんだとー!!?」
「君達、喧嘩はその辺にしておこうか。色々と収拾つかなくなっちゃうからさぁ。はじめまして、神座さん。僕は【超高校級のアナウンサー】穴雲星也だよ。よろしく。」
「俺は【超高校級の資産家】財原天理だよ〜。」
「僕ちゃんは、【超高校級の工学者】入田才刃なのだ!!」
「……………放送員……………資産家……………工学者。」
「ねえ、ゐをりちゃんさ、さっき希望ヶ峰の生徒だって言ってたよね!?だったら才能があるんでしょ!?ねえ、教えて!?」
「……………。」
神座さんは、そっぽを向いた。
「言いたくないみたいだね。これ以上の詮索はよそうか。」
「えー…」
「ハイハーイ!次はワターシの番ですネ!?ワタシは、【超高校級の曲芸師】朱雪梅デスよー!ヰヲリサン、でしたっけ?ヨロシクですよー!」
「おっしゃ、次は俺だな!俺は【超高校級の喧嘩番長】舞田成威斗だ!!」
「わーおかわい子ちゃん!!オレ、【超高校級の栄養士】栄陽一っつーんだよ!ねえ君、今度一緒にお茶しな「アチョーーーー!!」
「……………曲芸師…………喧嘩番長………………栄養士…蹴られた。」
「ねえ、そろそろアタシ言ってもいい?アタシは、【超高校級のダンサー】羽澄踊子だよ。とりまよろ。」
「この流れでいくと、次はオイラだね。オイラは、【超高校級の詩人】詩名柳人さ。」
「………………舞踊家…………………詩人。」
「何よあなた。私に何かご用?」
「………………名前。……………才能。」
「ちょ、なんなのよあんた!いきなり初対面の相手に顔を近づけて質問するなんて、失礼だと思わないのかしら!?そんなに知りたいなら、先にあんたが名乗りなさいよ!」
「…………………神座ゐをり……………才能……言い、たくない………」
「何よそれ。…まあいいわ。私が誰か教えてあげる。私は【超高校級のマドンナ】白鳥麗美よ。」
「………美女。」
「フン、おいどけダークパープル。次は俺の番だ。」
「どけって何よ、どけって!」
「俺は、【超高校級の国王】ラッセ・エドヴァルド・シルヴェンノイネンだ。」
「………国王。」
「あの…私、癒川治奈っていいます…【超高校級の看護師】です。」
「………看護師。」
「うんうん、自己紹介は終わったみたいだね。…これで全員かな?」
「うん!そうみたい。部屋のネームプレートが全部で16枚だったし。多分、それで全員なんだと思うよ!」
叶さん…いつの間に調べたのか。
「あの…ところで、さっきからずっと言おうと思っていた事があるのですが…」
癒川さんが、何かを言いたそうにしていた。
「…私達の首に付いているこれ、一体なんなのでしょうか?」
…あ。
そういえば、何か違和感があると思ったんだ。
首を触ると、細いリングのような物が付けられている事がわかった。
「なんだ、これは…」
「わ!ホントだ!何これ!?首輪?」
「あれ?どうなってんだ!?クッソ、取れねェ!!」
栄君が、自分の首輪を強引に外そうとした、その時だった。
『ああ、ダメダメ!それ、無理に外そうとしたら爆発しちゃうよ!』
いきなり、ダミ声が建物内に響き渡った。
「なんだ、この声は…!?」
僕達が、今の声の音源を探していた、ちょうどまさにその時ー…
『うっぷぷぷぷぷぷぷぷ!!はじめまして、
いきなり、噴水の中から白黒のクマのぬいぐるみが飛び出してきた。
「わっ、あぁああああああああ!!?で、でたぁああああああ!!」
「ぬいぐるみがしゃべったぁああ!!?な、なんなんだよこれ!!」
『ちょっと、いくらなんでもオマエラビビりすぎでしょ!魔法少女がぬいぐるみと喋るところは何の抵抗もなく見てるくせにさ!』
「あ、確かに。」
叶さん?何納得してるの?
『まあ、小難しい話はこれからするとして…とりあえず、おはようございます!!オマエラ!!』
ぬいぐるみが、僕達に向かってあいさつをしてきた。
「んー…おはようございます?」
「ピィ。」
「翠がおはよう、だって。」
「おはようございます。」
「早安!」
叶さん、翠ちゃん、不動院君、朱さんがあいさつを返した。
『あれ?なんか少なくない?オマエラ、3人と1匹しかいなかったっけ?あいさつをされたら返事をしましょうって小学校で習わなかったの?』
それどころじゃなくて、状況がよく飲み込めてないんだよ…
「うるせェ!!今はそんな事どうでもいいんだよ!!テメェ、一体ナニモンなんだ!!なんで俺達はここにいんだよ!!答えろ!!」
『ちょっと、舞田クン!一度にたくさん質問しないでよ!混乱するからさァ!』
「ねえ、今、舞田クンって言ったよね?君は、もしかして僕達の事を知っているのかい?」
『うん。まあ、知ってるも何も、オマエラをここに連れて来たのはボクだからね。』
「はぁあ!?テメェがオレ達をここに連れてきただと!?おい、どういう事だ!ちゃんと説明しろ!」
『あー、もう!うるさいなぁ全く!やっぱり、ボク一匹じゃ限界があったクマね。ここで、助っ人を呼んじゃいましょう!看守長〜!!』
ぬいぐるみが叫ぶと、噴水の水が左右に割れた。
『フフフ…フハハハハハハハハハハ!!ようやくワタクシの出番ですねぇ。』
水の柱の間から、またぬいぐるみが出てきた。
今度は、さっきのぬいぐるとは少し違うようだ。
大きな牙が剥き出しになっていて、身体にトラの模様があった。
まるで、サーベルタイガーだ。
『全く、アナタという方は…だから、最初に二匹で説明しようと言ったではありませんか。』
『いいじゃん!ちょっと先に出て、みんなをビビらせてやろうと思ったんだよ!』
二匹は、ヒソヒソと内緒話を始めた。
…全部丸聞こえだ。
何がしたいのかなぁ、このぬいぐるみ達は…
「…ねえ、アタシらは一体何を見せられてるの?」
『おっと、ごめんごめん!自己紹介が遅れたね!ボクはモノクマ。この才監学園の、学園長なのだ!』
『そしてワタクシは、看守長のモノベルと申します。以後、お見知り置きを。』
「さ、才監学園…?なんだよそれ…!」
「それに今、看守長って言ったよね?どういう事なのかな?俺達、希望ヶ峰学園の入学式に出ようとしてたはずなんだけどなぁ。」
『ご説明しましょう!アナタ達は、本来希望ヶ峰学園の生徒として、輝かしい学生生活を謳歌する予定でした。…しかーし!!アナタ達は全員、とある重大な問題を犯していた事が判明したのです!それで急遽、この『才能矯正監獄学園』、略して『才監学園』に編入する事になったのです!』
「才監学園…?」
『希望ヶ峰学園は、表向きは本科と予備学科の二つの学科があるって事になってるんだけど、実はそうじゃないんだな!あんまり知られてないけど、実は一度問題行動を犯した希望ヶ峰学園の生徒用の学科があるんだよ。それがこの『才監学園』、通称『【超高校級】の刑務所』です!』
【超高校級】の…刑務所…?
「わたし達が問題を起こしたって、どういう事なの?そもそも、わたし達はまだ入学すらしてないはずだよね?」
『おや、記憶にございませんか。あんな大問題を起こしておいて、記憶に無いなんて…滑稽ですねぇ。ワタクシの口からは、おぞましすぎて言える事ではないのですがねぇ。』
『オマエラには、その罪を償うため、ここで秩序正しい生活を送ってもらいます!』
「あはは、あくまで教える気はないみたいだね。じゃあ、この際問題についてはいいや。俺達は、どうやったらここから出られるのかな?」
『うぷぷ、安心してください?ここから出られる方法は、二つあります!』
「二つ、ですか。」
『一つは、刑期を終えてここを出る方法です。アナタ達はその瞬間『釈放』され、晴れて希望ヶ峰学園の本科生に戻る事ができます。』
「ふうん。…で、その刑期って、具体的にどれくらいなのさ?」
『うぷぷ…まあ、一番軽い問題で1ヶ月ってとこかな。でも、オマエラの場合、起こした問題が問題だからなぁ。ちょっといつ出してあげられるかはわかんないかなー。』
「そんな、何よそれ…じゃあ、一生ここで過ごす事になるかもしれないって事!?いつまでもこんな場所で待ってられるものですか、もう一つの方法ってのは!?」
『うぷぷ、こっちは確実だし、すぐにでもここから出る事ができるよ。その名も、『退学』ルール!』
退学ルール…?
『いくら刑務所だからって、秩序を破った行動を取られると、学園の評判に響きますからねぇ。そんな救いようのない生徒には、もう希望ヶ峰学園から出て行ってもらいましょう!…というルールです。』
「秩序を破るって…一体、何をすればいいんだい?」
『うぷぷ…それはね…』
『…人を殺す事だよ。』
…。
…。
…。
…は?
『刺殺射殺撲殺絞殺扼殺焼殺毒殺圧殺斬殺爆殺なんでもいいよ!とにかく、仲間のうち誰かを殺したら、オマエラはこの才監学園から出られるって事!』
「はぁ!?なんだよそれ!そんな事、できるわけないじゃん!」
「そんな事言って、何が目的なのかな?」
『うぷぷ、だってさ…【超高校級】という『希望』同士が殺し合う、『絶望的シチュエーション』…最高だと思わない?』
「どこが最高なんだ!!最低だろうがよ!!」
「僕達に殺人犯になれっていうのかい?君達が約束を守る保証もないのに?」
『…全く、やかましいですね!とにかく、殺せばいいんですよ。』
「チッ、話にならねぇ。…おい、お前ら。ちょっと下がってろ。」
舞田君は、ポキポキと拳を鳴らしながら二匹に歩み寄った。
「俺に難しい話はわからねぇ。…だからよ、拳で語らせてもらうぜ!!オラァアアアアアアアアアアア!!!」
舞田君が右の拳を振りかぶって、二匹に突進した。
『キャー!学園長と看守長への暴力は、ルール違反だよ!?』
『全く、愚かですねぇ。思い知りなさい!』
モノベルが叫んだ瞬間…
ピピピピピピピピピピピピピピピ…
「あ?」
舞田君の首輪から音が鳴った。
『フッフッフ、ワタクシ達からの、心ばかりのプレゼントですよ。』
「なんなんだよこの音は!?」
「ねえ、まさかとは思うけど、爆発するパターンじゃないよね!?」
「えぇえ!?ちょ、待って!ここにいたら巻き添えになるじゃない!」
「はぁああああ!?おい、ふざけんな!!クソッ、外れろ!!」
『フン、無駄な足掻きですねぇ!その首輪は特殊製で、つけた本人じゃないと外せないんですよ!』
「なんだそのクソみてェな仕掛けは!!クソが!!」
「…やむを得ません。舞田殿、そこから動かないでください。私が爆発する前に斬ります!」
どうしよう…!?
このままだと、舞田君が…
…あれ?
どういうわけか、叶さん、財原君、入田君、神座さんの4人は全く慌てるそぶりを見せなかった。
「おい、バカ侍!そんな事しなくても、爆発なんてしないのだ!」
「…え?」
「これ、ただの音だよ。」
『うぷぷぷ!さすがは狛研サンと入田クン!いやあ、舞田クンがあまりに生意気な態度を取るから、ちょっと脅かしてあげたんだよね!今回は警告音だけで許すけど、気をつけてよね!』
「…。」
あの舞田君が腰を抜かしていた。
本当に死ぬと思っていた緊張から解放されて、身体が急に疲れたんだろう。
「テメェ…!脅かしやがって、本当に爆発すんのかと思ったじゃねえかよ!!」
『フッフッフ、騙されるアナタ達が悪いんですよ!』
「成威斗クン、大丈夫かい?」
「…あ、ああ…」
「あはは、本当に悪趣味だねぇ。」
…機械に詳しい入田君ならともかく、なんで叶さんと財原君は、首輪が爆発しないってわかったんだろう。
『フフフ、モノクマ&モノベルは、この才監学園のいたる所に設置されております。もしルール違反をしたら、首輪がドカーン!!…ですよ。』
「要は、キミ達には逆らわない方が得策って事だね。」
『そういう事!財原クンは理解が早くて助かるよ!』
「ところで、この首輪は一体なんなのかな?」
『それは、才監学園の首輪型生徒手帳です!どうせ誰か失くすだろうと思って、首輪という形にさせていただきました!それは、収監生活を送る上での重要な情報や、ルール違反のおしおきを兼ねています!』
『手帳の情報は、前にあるボタンを押す事で見る事ができます。』
『それじゃあ、まったねー!』
『フッフッフ、アナタ達を絶望のどん底へと誘って差し上げましょう!』
モノクマとモノベルが去っていった。
「クソッ、なんだったんだアイツらは!!」
「あはは。いやぁ、びっくりしたね。」
「ねえ、とりあえず、生徒手帳とやらを確認しないかい?」
「そ、そうだね…」
穴雲君の提案で、みんなが自分の手帳を確認した。
「わっ!」
ボタンを押すと、目の前に画面が現れた。
僕は、生徒手帳の『校則』という項目を確認した。
1.生徒達はこの才監学園だけで共同生活を行いましょう。共同生活の期限はお教えできません。
2.夜10時から朝7時までを『夜時間』とします。夜時間は立ち入り禁止区域があるので注意しましょう。
3.就寝は学園内に設けられた個室でのみ可能です。他の場所での故意の就寝は居眠りとみなし罰します。
4.希望ヶ峰学園及び才監学園について調べるのは自由です。特に行動に制限は課せられません。
5.学園長ことモノクマと、看守長ことモノベルへの暴力を禁じます。監視カメラの破壊を禁じます。その他、学園内のシステムを故意に乱す行為を禁じます。
6.仲間の誰かを殺したクロは『退学』となりますが、自分がクロだと他の生徒に知られてはいけません。
7.なお、校則は順次増えていく場合があります。
「あれ?」
6番の校則は、どういう意味なのかな?
「うーん…誰かを殺したのがバレたら、殺されるんじゃね?」
え!?
急に恐ろしい事言わないでよ財原君!
あと、しれっと心を読まないで!
「うーん…あのクマさん達の目的が何かはまだわかんないけど…とりあえず、探索でもしてみない?」
「そうだね、じゃあ、グループ分けを決めようか。」
叶さんと穴雲君が、みんなを仕切った。
…コロシアイ収監生活か。
僕には平穏は訪れないのか…
ー才監学園生存者名簿(50音順)ー
【超高校級のアナウンサー】穴雲星也
【超高校級の工学者】入田才刃
【超高校級の不運】景見凶夜
【超高校級の???】神座ゐをり
【超高校級の幸運】狛研叶
【超高校級の資産家】財原天理
【超高校級の栄養士】栄陽一
【超高校級の詩人】詩名柳人
【超高校級のマドンナ】白鳥麗美
【セキセイインコ】翠
【超高校級の曲芸師】朱雪梅
【超高校級のダンサー】羽澄踊子
【超高校級の生物学者】日暮彩蝶
【超高校級の侍】不動院剣
【超高校級の喧嘩番長】舞田成威斗
【超高校級の看護師】癒川治奈
【超高校級の国王】ラッセ・エドヴァルド・シルヴェンノイネン
ー以上16名+1匹ー