最近リアルが忙しくってですね?(言い訳)
「うーん…」
ボクは、独房で目が覚めた。
『オマエラ!!起床時間です!!生活リズムの乱れは、心の乱れにつながります!!全員、今すぐ起床するように!!』
毎朝毎朝うるさいなぁ、全く。
いちいちローテーションしなくていいから!
…クマちゃん達って、ヒマなの?
まあいいや。
なんかお腹空いちゃったな。
今日は、星也クンが朝ご飯を作ってくれるんだっけ。
楽しみだなー。
さてと、それまで何して時間を潰そうかな?
そうだ。お父さんの本の続きを読もっと。
◇
【食堂】
食堂には、すでに治奈ちゃんがいた。
「治奈ちゃんおはよー。」
「あ、おはようございます狛研さん…」
「星也クンは?」
「朝食を作ってくださっています。あと少しでできるそうです。」
「そっかー、じゃあ気長に待とうね。」
「そうですね。」
「じゃあ、一緒にお話でもしよっか。何をお話しよっか?」
「え、狛研さんが決めてくれるんじゃないんですか?」
「あ、そっかごめん。じゃあさ、治奈ちゃん昨日何してたの?」
「え、何…とは?」
「ほら、たとえばどこで遊んでたー、とか。」
「そうですね…昨日は、星也さんと一緒に美術室を見ていましたね。」
「そっかー。楽しかった?」
「ええ、まあ…でも、なんで急にそんな事を?」
「なんとなく。」
「…そうですか。あの、狛研さん。」
「何?」
「えっと…私の事、どう思ってますか?」
「え、どうって…治奈ちゃんは、大切なお友達だよ!もちろん、他のみんなもね!…なんでそんな事聞くの?」
「…ふふっ、なんとなくです。」
「そっかー、なんとなくか!ははっ。」
「ふふふ…」
なんとなくでそんな事聞くかぁ。
治奈ちゃんって面白いね!
「狛研さん、私、あなたとクラスメイトになれてよかったです。これからも仲良くしましょうね。」
「何を今更!治奈ちゃんっておかしいね!」
「ふふっ、それはこちらのセリフです。」
「えー!?ちょっと、それどういう意味!?ボクがおかしいって事!?」
治奈ちゃんひどいよー!
《癒川治奈の好感度が1上がった》
「…なんか、話していたら楽しくなってきましたね。」
「そうだね。ボクは、みんなとお話できて毎日楽しいよー!」
「やあ、盛り上がってるみたいだね。僕も混ぜてよ。」
「あ、星也クン。ご飯できたの!?」
「うん。待たせちゃってごめんね。今すぐセッティングするからちょっと待ってね。」
「あ、私も手伝います。」
「ありがとう治奈。じゃあ、これそっちに運んでくれる?」
「はい。」
「ボクもなんかやる事ある?」
「狛研さんは、食器を並べてくれるかな?」
「りょーかいっ!」
◇
うん、我ながら完の璧!
ホントにお腹空いてきちゃったな…早く朝ご飯食べたーい!
「ふわー、ねみぃ。あ、みんなおっはよぅー。」
遅れて天理クンが来た。
「…君、毎回遅刻してくるよね。たまには手伝おうとか思わないの?」
「思わないね、だって眠いんだもん。ねえ、そんな事より朝飯できてるんでしょ?早く食べよーよ。」
「あなたを待っていたんですが…」
「治奈、もう何を言っても無駄だよ。彼、ちっとも反省しないんだもの。」
「さーせん。」
「はぁ…とりあえず、席に着こう。早く食べないと冷めちゃうからね。」
◇
うーん、おいしい!
やっぱ星也クン料理上手だね!
「うーん、おいしいねー。ついつい食べ過ぎちゃうよー。」
「船漕ぎながら食べるのはやめようね。行儀悪いよ。」
「ごめんなちゃーい。」
「天理クン、髪はねてるよ。ついさっきまでずっと寝てたでしょ。」
「うん、起きたのは8時半だね。え、そんなはねてる?」
「うん。動かないで。…はい直った。」
「わーい、ありがとう狛研サン。」
「…あのさ、狛研さん。君さあ、財原君に甘くない?」
「そう?えへへ…なんか、施設の弟達を思い出しちゃって。ほら、天理クンって末っ子っぽいじゃん?」
「へー、じゃあ毎日ボサボサのままで来よっかな。」
「えぇ!?」
「ほらね、甘やかすからこうなるんだよ。」
「にゃははー。」
◇
あー、おいしかった。
ごちそうさまー。
あ、そうだ。才刃クンのところに行かなきゃ。
あの子、3日間もずっと外出てないんだよね。
流石に心配だよ。体調とか崩してないといいんだけど。
ちょっと様子でも見に行こうかな。
◇
【入田才刃の独房】
ピンポーン
「もしもーし、才刃クンいるぅー?」
返事がない。
でも、何か返してくれるまで声をかけてみるか。
「ねえ、才刃クン。元気?ちゃんとご飯とか食べてる?ボク達はね、さっき星也クンが作ってくれたご飯を食べたんだ、あ、そうだ。あんまりお菓子ばっか食べちゃダメだよ。それから、出てきたくなったらいつでも出てきてね。みんな待ってるから。」
ポコンッ
《いい加減にしろ》
《帰れ》
「やだ。ボク、才刃クンが来るなって言っても毎日ここに来るから。ホントは、才刃クンにやってもらいたい事もあるしね。」
《迷惑》
「迷惑でもお節介でもいいよ。ボクは、キミのクラスメイトなんだよ?放っておけないじゃない。才刃クン、明日も来るからね。明日も楽しくお喋りしようね。」
《勝手にしろ》
…お、ついにちょっとだけ心を開いてくれたのかな。
明日は、何の話をしようかな?
◇
暇だし、散歩しよーっと。
【ゲームエリア】
「あ。」
「おう、狛研ちゃん。」
「陽一クンじゃん。何してんの?」
「ああ、いや…この前、ゲームで入田の野郎に散々ボコられたからな。アイツが部屋から出てきてここに来た時、ちょっとは戦えるように腕を上げておこうと思ってよ。」
「いい考えだね、それ!ボクも、才刃クンに負けちゃったからね。打倒才刃クン目指して頑張ろ!!」
「おう!」
「じゃあまず、アレからやらない?」
「ああ、VRの格ゲーか。いいぜ。ちょうど誰かと相手したいと思ってたとこだしな。」
「わーい。」
◆
まさか、狛研ちゃんと対戦する事になるとはな。
まあでもオレもあれからけっこう練習したし、相手は女の子だ。
ここはわざとらしくないように僅差で負けてあげて、好感度アップのチャンスだぜ!
『ROUND1 Go fight』
カーン
さて、どう来るか…
ほぼ毎日ここでゲームに内蔵されてるAIと戦ってきたオレにとっては、素人の相手なんて余裕だな。
あとは、癪だがうさんくさい原に攻略法を教えて貰った事もあったし…
オレには、次の一手が全パターン読めるぜ!
だがまあ、相手は初心者だし、オレは女の子をボコるようなマネは絶対しねェ。
一発目は、大ダメージにならない程度に受けてやるか。
さあ、どこからでも来…
ゴシャッ
「ぱえっ」
え?
え?え??え、ちょっと待って。
何がどうなってんの。
なんで一撃喰らっただけでHP半分近く減ってんの?
っていうか待って。なんか思ってたんと違う。全然読めなかったんだけど。
え、あ、そっか。
オレが本気出してなかったからか。
…ちょっと狛研ちゃんの事、見くびってたようだな。
少し本気出すか。
30秒後
K.O.
『WINNER PLAYER1 PERFECT』
嘘でしょ?
え、待って。シンプルに強くね?完敗なんですけど。
てかおい財原。話が違うじゃんか。裏ワザ使えば勝てるんじゃなかったのかよ。
なんで狛研ちゃんこんな強いの?オレ、後半は割と本気出してたよ?
「やったー、勝ったー!!」
「燃え尽きたぜ…真っ白にな…」
「あー、楽しかった。陽一クンも楽しかったよね?」
「あ、うん…ハイ…」
「あ、そうだ!陽一クン、手抜いてたでしょ!当たってばっかだし、攻撃に全然キレがなかった。ひどいよー!!ボクの事バカにしてるの!?」
いや、あれで本気だったんだけど。
これ以上を期待されても困るっていうか。
「あ、あはは…狛研ちゃん、なかなかやるじゃん。初心者だからって、ついナメきってたよ。ごめんごめん。」
「もうっ!」
「ところで、ゲームのスキルってどこで磨いたの?ゲーセンに毎日通ってたりとか?」
「ゲーセンかー。全然行ってないよー。」
「ゑ?」
「いっつもみんなで遊んでる時の感覚でプレイしただけだよ!あとはアレかな。前に才刃クンと対戦した時、ちょっとコツを掴んだってのもあるのかなぁ?」
嘘でしょ?
え、じゃあそんなに今までやってたわけじゃないって事?
で、あれって…ガチモンの天才じゃねえか。
「うーん、まだ時間あるね。他にも色々あるし、どんどんプレイしちゃおっか!」
「え、いや…今日はもうこの辺に…」
「何言ってんの!才刃クンに勝つためには、練習あるのみでしょ!まだ全然プレイできてないのもあるし、陽一クンにスキルとか教えてもらいたいからね!ほら行くよ!」
「あ、はい…」
◇
30分後
「いやー、楽しかった!こんなにゲームしたの、久々だなぁ〜!」
「ゆ、指がちぎれる…っていうか、なんで狛研ちゃんはここまでやって平気なの?」
「え、これくらい普通じゃない?」
マジか。
もう、この子色々と規格外すぎるんだよな…
「陽一クン!今日は、一緒にゲームしてくれてありがとね!」
「い、いえ…こちらこそ、勉強になりました…」
「あらいけない。ボク、そろそろお昼の時間だから行くね!じゃあまた後でねー!」
「…うん。」
クソ、ちょっといい所見せて好感度上げようと思ってたのに…
ここまでうまくいかない事ってある?オレ、泣きそうなんだけど。
…まあ、本人は楽しそうだったし良しとするか。
《狛研叶の好感度が1上がった》
◆
やー、陽一クンとゲームしてたらお腹空いちゃったな!
頭使ったらお腹空くって聞いたことあるけど…本当なんだね!
今日は、治奈ちゃんがお昼ご飯作ってくれるんだっけ?
楽しみだなー。
◇
【食堂】
「ごめん、お待たせー!待った?」
「待ってないよ。僕も今来たところだから。…財原君はまだ来てないしね。」
「まあ、あの子いっつも遅れて来るもん。」
「ふわぁーあ。あー、メッチャ眠い。すごく眠い。眠すぎて逆に眠い。間を取って眠い。」
天理クンは、大きなあくびをしながら食堂に来た。
「…財原君はまた遅刻か。」
「あー、どっこいしょっと。あれ?まだメシできてねーの?ねえ、俺お腹空いたんだけどー!!」
天理クンは、ナイフとフォークをチンチンと鳴らして治奈ちゃんを急かした。
「静かにしようね。行儀悪いよ。」
「…すいません。」
天理クンが大人しくなった…
やっぱり、星也クンってちょっと怖いね。
「あ、あの…すみません、お待たせしてしまって。昼食作ったんで、良かったら皆さんで召し上がってください。」
治奈ちゃんが厨房からご飯を持ってきてくれた。
「ありがとう治奈。」
「いえ…今日は私の担当だったから作っただけで…」
「俺の分もはーやーくー!!」
「あ、すみません。今すぐ…」
治奈ちゃんは料理上手だからね。
今日の昼ご飯も楽しみだなー。
「それじゃあ、みんな揃ったし食べよっか。」
「さいですねー。」
わーい!いただきまーす!
◇
うーん、おいしかった!
やっぱり治奈ちゃんは料理上手だよね。
ついつい食べすぎちゃったよ。
…さてと、何しよっかな?
あ、そうだ。
たまには図書室に行くのもいいかもね。
◇
【図書室】
相変わらず広いねー、ココ!
いろんな本が並んでるなー。
…あ。
先客がいたみたいだね。
「やあ、星也クン。」
「…あ、狛研さん。」
「ねえ、何読んでんの?」
「ああ、ちょっと…希望ヶ峰学園についての資料をね。ほら、この才監学園とやらが本当に希望ヶ峰学園の建物かどうなのか、今の所怪しいだろ?」
「そうだね。星也クン、そういうの調べてたんだ。頭いいね!」
「…そんな、僕なんてまだまだだよ。…景見君や白鳥さん…みんなを守れなくて、国王陛下や詩名君達にも離反されちゃったしね。」
「…あのさ、このあと時間あったら、研究室見に行ってもいい?ちょっとそこで話したい事とか色々あるからね。」
「うん、いいよ。じゃあ、切りがいい所まで読み切っちゃうから、それまでちょっと待っててね。」
「はーい。」
「…。」
◇
【内エリア 3F】
星也クン、そろそろ本を読み終える頃かなー。
「お待たせ、狛研さん。」
「全然待ってないよー!」
「それは良かった。じゃあ、行こっか。」
◇
【内エリア 5F】
「ねえ、星也クンの研究室ってどこなの?」
「こっちにあるよ。ついてきて。」
「はーい。」
◇
【超高校級のアナウンサー】の研究室
「ここが僕の研究室だよ。ゆっくりしてってね。」
「…わぁ!」
うん、さすがは星也クンの研究室って感じだね!
部屋全体がスタジオみたいになってるよ。
あと、ニュースの資料とかも色々置いてあるのかな?
「ごめんね、散らかってる部屋で。」
「全然!ボクね、キミの研究室を見られてとっても嬉しいよー!」
「そっか、それは良かった。」
「あ、そうだ。いけないいけない。忘れるとこだった。」
「?どうかしたのかい?」
「はいこれ。」
ボクは、星也クンに万年筆を渡した。
「!!?」
突然星也クンの目つきが変わった。
「こ、狛研さん!!ちょっとそれよく見せて!!」
「え、あ?うん…」
「やっぱり…本物だよこれ…!まさか、こんな所でお目にかかれるなんて…!」
星也クンは、興奮気味に万年筆を見ていた。
「え、そんなにすごい物なの?そのペン。」
「ああ、これは、万年筆職人『弘野法人』が作り、かの文豪『大原小也』が愛用したとされる、世界にたった3本しかない超高級万年筆なんだよ!!この万年筆は、その名の通り一万年経っても劣化しない優れ物で、どんなペンより書きやすくて無数の種類の線が表現できると言われているんだ。その価値、一本あたり5億円以上!」
「…へー。」
「いやあ、こんな所で手に入るなんて、とんでもなく幸運だね。ありがとう狛研さん!一生大切にするね。」
「そんな大袈裟な…」
「あ、そうだ。お礼に何かしなくちゃね。何かして欲しい事とかある?」
「して欲しい事かぁ…うーん、強いて言うなら、キミの話が聞きたいかな?」
「…え?そんな事でいいの?」
「うん。ボク、キミの事がもっと知りたいんだ!話してくれるかな?」
「そういう事ならお安い御用さ。何か質問ある?なんでも答えるよ。」
「じゃあ聞くけど、キミはなんで【超高校級のアナウンサー】になったの?」
「うーん、理由かぁ。強いて言うなら、ニュースが好きだったからかな。僕、子供の頃から報道関係の仕事に就きたいと思っててね。それで色々と調べたり勉強したりしてたんだ。ああ、そうそう。中学校では、放送委員をやってたね。それが話題になって、放送局にスカウトされたんだ。それから、色々と仕事を貰ってこなしていく内に有名になって、【超高校級のアナウンサー】になったってところかな。」
「へー、子供の頃からの夢だったんだね。」
「…まあね。話したら、ガキ臭いってよく笑われるんだけどね。」
「そんな事ないよ!小さい頃からの夢をずっと追いかけるのって、すごいと思う!」
「ありがとう。君のおかげで、モチベーションが上がったよ。」
「そう?よかったぁ。」
「他に聞きたい事はないかい?」
「うーん…そうだ。じゃあ聞くけど、この学園に来てから何か気づいた事とかある?」
「え?」
「ほら、君って頭良いから、そういうのすぐ気づくんじゃないかなってさ。実際どうなの?」
星也クンの表情が急に変わった。
今までの爽やかな笑顔とは打って変わって、真剣味のある表情だった。
「…えーっとね、気付いたっていうか…少し気になる事があるんだ。」
「気になる事?」
「ああ。君を信頼できる仲間だと見込んで話すよ。実はね、ここに来る前からある人物を追ってるんだ。」
「ある人物?」
「『NOAHS』って知ってる?」
「ッえ!?」
それって、確か高校生が結成した秘密結社じゃ…
「仕事上、裏社会の重要人物を調べる事がよくあってね。裏社会と通じてれば、嫌でも聞く名前だよ。今、その会社のボスを追ってるんだ。」
「なんでそんな事…」
「…殺されたんだ。ソイツに、僕の家族を…」
「…え。」
「僕が、やっと今のテレビ局にスカウトされて夢を叶えられた、その矢先だった。僕の家族全員、事故で死んだ。でも、明らかに不自然だったから、調べたらすぐにわかったよ。みんな、『NOAHS』の奴等に事故に見せかけて殺されたんだ。目的はわからないけど…多分、【超高校級】の才能を持つ僕を消すためだと思う。」
「そんな…」
「僕は、『NOAHS』の親玉を見つけて、家族の仇を討つんだ。」
「殺すの?」
「…。」
「ボスを見つけたとして、そのあとはどうするの?その子を殺すの?ボクは嫌だよ。星也クンが殺人犯になっちゃうなんて。」
「…安心して、狛研さん。僕の目的は、ソイツを警察に突き出す事だよ。僕の家族を殺した奴と同類になんて絶対なりたくないからね。絶対に殺さないって誓うよ。…それに、殺したくても殺せないしね。」
「どういう事?」
「…ソイツは、この学園に紛れ込んでる可能性が高いんだ。偽名と偽物の才能で、正体を隠してはいるけどね。」
「それって、誰なの?」
「…わからない。何せ、全然情報が無いからね。…ただ、奴の本名と本当の才能は知ってるよ。」
「【超高校級の知能犯】
「!!?」
【超高校級の知能犯】…図書館で読んだ資料に載ってた才能…!
ソイツが星也クンの家族を殺して、この学園に紛れ込んでるっていうの…!?
そんな、みんなの中にハコガミメイが…?
「僕は、今の所財原君と神座さんが怪しいと踏んで調査を進めてるんだ。あの二人には悪いけど、悪い芽は早いうちに摘んでおかないと…あ、本人達には絶対言わないでね。」
「言わないよ。でも、二人の事を悪く言うのはどうかと思う。」
「おっと、ごめんごめん。少し危なっかしい話になっちゃったね。せっかくだし、もう少し平和な話をしようか。せっかく君とお話できるんだ。この時間は有意義に使わないとね。」
星也クンは、深刻な表情から一変して、いつもの優しい表情になった。
「さてと、何か気になる事はある?あったら喜んで質問に答えるけど。」
「じゃあさ、星也クンは、ここから出たらやりたい事とかある?」
「…そうだね。まずは、さっきも言ったけど、方神を警察に突き出す事かな。あと、仕事が溜まってるからそれもやらないといけないし…あとは…」
「治奈ちゃんとイチャイチャしたい?」
「なっ、なんで急にそういう事言うかなぁ君は!?」
星也クンが慌ててるとこ、久々に見たなぁ。
こうして見てみると、ちょっと可愛いよね。
「図星なの?」
「図星っていうか…君には関係ないだろ!」
「あるよー。クラスメイトの仲は応援したいじゃん?で、実際どうなの?」
「別に普通だよ。特に進展があったわけでもないし…」
「ふーん。でもさ、実際何したいとかはあるでしょ?」
「どこまで食い下がる気!?」
「ボク、こう見えても施設の中ではお姉ちゃんだったからね。恋愛相談なら任せなさい!」
「嫌な予感しかしないんだけど!?」
◇
「…ホント、君といるとツッコミ疲れするよ。」
「えへへ、星也クンとお話できて楽しかった!」
「…そっか。それは良かったよ。」
「じゃあね、星也クン。またお話しようね!」
「…うん。」
《穴雲星也の好感度が1上がった》
◇
【物理室】
いやー、いっぱいお話しちゃったな。
星也クンの意外な一面が見られて良かったよ。
…それにしても、【超高校級の知能犯】か。
誰だかはわからないけど、一応頭の片隅には入れといたほうがいいのかな?
そうだ、ここには確か論文があったみたいだし、他にも色々情報があるかも…
「探し物?」
後ろから天理クンが話しかけてきた。
「…まあ、そんなとこ。」
「ふーん。そうなんだー。」
天理クンは、ニヤニヤしながら顔を覗き込んでくる。
「…ねえ、さっき穴雲クンと楽しそうにおしゃべりしてたでしょ?」
「うん。」
「その前は、栄クンとゲームか。うんうん、楽しそうで何よりですわー。」
「…何が言いたいんだい?」
「嫉妬しちゃうじゃんかよー。俺以外の男と仲良くするなんてよ。」
「…は?」
「もうまどろっこしいからハッキリ言うね。」
天理クンは、いきなり詰め寄ると、ボクを壁際まで追い詰めた。
そして、手をついて言った。
「俺と付き合ってよ。」
「えっと…どこに?」
「そういう意味じゃねえよ。わかんない?」
「…あー、そっちか。え?待って。今日何日だっけ?」
「別にエイプリルフールじゃないしー、俺は別に冗談とか言ってないから。マジで俺と付き合えって言ってんの。」
「え、待って、本当?」
「俺、くだらない嘘つくの嫌いだから。本気で言ってるに決まってんだろ。」
は?え、ちょっと待って。
訳わかんない。
何をどうしたらこうなる?
天理クンってば、変なキノコでも食べちゃったんじゃない?
これは治奈ちゃんに診て貰わないと…
「逃げようとすんなよ。」
げっ。
「…で、どうなの?」
「…ボク、天理クンの事は大事なクラスメイトで、弟みたいな子だと思ってるから。それだけじゃダメ?」
「ははは、なるほどね。俺は、キミにとってはただのクラスメイトの一人で、ただの弟キャラって事ね。いやー、参ったなぁ。」
天理クンは、笑いながら左手で前髪をかき上げた。
天理クンは、いきなり顔を近づけてきた。
「俺さぁ、お願いしに来たんじゃないから。命令しに来たの。もう一回言うからよく聞け。俺と付き合え。」
「いや!!」
ボクは、天理クンを押しのけた。
「あらら、フラれちゃった。」
「ボク、ホントは付き合うとかそういうのよくわかってないけど、でも命令されるのはちょっと違う。」
「ふーん、いいんだ?俺なら、絶対キミを幸せにできるけど?」
「は?」
「俺の才能忘れた?金さえあればなんでも手に入るぜ?俺なら、絶対この先キミを不自由にはさせないけどなー。」
「うーん、幸せってお金で買えないと思う。とにかく、ボクはそういう気全くないから!」
「ぷっ、ハハハ!!」
天理クンは急に笑い出した。
「え、何?」
「いやあね、実は、さっき栄クンに腕相撲で負けてさ。その罰ゲームが、誰かに告白して来いって話だったんだよね。」
「え、じゃあ今のは…」
「もちろん嘘だよ。ちゃんと録画してあるしね。ほい録画終了っと。」
「なっ…」
「いやあ、逆にキミがフってくれて助かったわー。これでうまくいったら逆にビックリだよ。」
「なーんだ、天理クンのいじわる!」
「ハハハ、騙される方が悪いのさ。じゃ、用が済んだから俺はそろそろ行くとしますかー。」
天理クンは、一歩歩いたかと思うと、急に振り返った。
「あ、そうそう。一個言いたい事あったんだった。」
「…何?」
「!!?」
天理クンは、一気に距離を詰めると、いきなりキスしてきた。
「また口説きに行くから。今度は、罰ゲームとかそういうのナシでね。じゃーね!」
天理クンは、上機嫌で去っていった。
ぽかーん…
え、何がしたかったのこの子。
マジで意味わかんないんだけど。
カサッ
…ん?
何これ。紙?
…。
気をつけろ
敵はすぐそばにいる
…敵?
どういう事?
それに、この紙は一体誰が…
◇
【食堂】
星也クンが言ってた【超高校級の知能犯】に、紙に書いてあった敵…
何がなんだかよくわかんないや。
「狛研さん?どうかしましたか?」
「え、あ、ううん。なんでもない。」
「…そうですか。」
「はいお待ちー。メガ盛り丼だよー。」
げっ。
今日の夕飯は天理クンが担当か。
「これはまた下品な物を…」
「相変わらずすごい量ですね…」
「えへへー。そこら辺にあった材料ブチ込んだらこうなっちゃって。とりあえず席座って食べよーよ。」
天理クン、さっきあんな事があったのにあっけらかんとしてるね。
…この子が、【超高校級の知能犯】…?
いや、考えすぎか。
ダメだな、友達を疑っちゃ。
◇
いやー、つい食べすぎちゃった。
こりゃあちょっと動いて減量しないとですな。
あ、そうだ。その前にちょっと5階の散策でもしよっかな。
ガタッ
ん!?
なんか物音がした!
情報管理室の方からだよね。
行かなきゃ!
◇
【情報管理室】
情報管理室の方に入ったけど、誰もいなかった。
「…あれ?」
おかしいなぁ。確かに情報管理室から聞こえたと思うんだけど。
空耳かな?
うーん、空耳が聞こえるなんて、最近疲れてるのかなぁ。
とりあえず、何もなかったみたいだし、良しとしますか。
さてと、散歩の続きっと。
ん?
なんだ?
物陰に、人影が見える…
あれは、誰…?
「!!」
物陰は、こっちに気がついたのか、走って逃げ出した。
「待って!!」
ボクは、人影を追いかけた。
でも、物陰を見たときには誰もいなかった。
…あーあ、逃げられちゃったか。
それにしても、誰だったんだろ。今の。
すぐ引っ込んじゃったから、ちゃんと確認できなかったな。
「狛研さん?何してるんですか?」
後ろから治奈ちゃんが声をかけてきた。
「ああ、えっと…探し物。」
「…そうですか。お手伝いしましょうか?」
「いや、いいよ。自分で探せるし。」
「はぁ…」
「…あのさ、治奈ちゃん。」
「何でしょうか?」
「最近さ、情報管理室に入った人とか…逆に出てった人は見なかった?」
「ええと…見てませんね。情報管理室にあるパソコンはパスワードがかかってて使えないので、誰も入らないんじゃないかと…入田さんも、部屋に篭りっきりですし…」
「あ、そうだよね!あはは、ごめんね。変な事聞いちゃって!」
「いえ、こちらこそ、お力になれず申し訳ありません。」
「いいって。あ、そうだ。今散歩してるんだけど、一緒にどう?」
「えっと…すみません。やる事があるので。」
「そっかぁ。じゃあね、また明日。」
「はい。」
…マジで誰だったんだろ、あの影。
あああ、一回気になっちゃったらなんか気持ち悪いなぁ。
知能犯に、物陰…まだまだわからない事だらけだな。
一気に情報量が増えたので、恋愛イベントでガス抜き。