ダンガンロンパPRISON   作:M.T.

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今回は誰が死ぬのかな?

プラスちょっと編集。







第4章(非)日常編⑤

ボクは、独房で考え事をしながら時間を潰した。

そろそろ夜時間だから寝ないとね。

あ、待って。

食堂に忘れ物したかも。

一応確認しに行ったほうがいいよね?

 

 

 

 

【内エリア 2F】

 

「ーーーーー!!」

「ーーーー!」

なんだ?

騒がしいな。

この声は…ラッセクンと陽一クン?

こんな夜遅くにどうしたんだろう…ケンカでもしたのかな?

 

 

 

 

【食堂】

 

「おい、貴様…反省してるのか?」

「…ッ。うるせぇ。オレは間違ってねェぞ。」

「これで足りると思うな。貴様は帝国の和を乱したのだ。それなりの罰は受けてもらう。」

「やめてください!こんなの…あんまりです!」

 

「ねえ、みんなどうしたの?」

食堂には、ラッセクン達帝国組と、星也クンと治奈ちゃんがいた。

「…あ、狛研さん…」

「チッ、このタイミングでコイツが来たか。」

陽一クンは顔を腫らして座り込んでいて、星也クンはその場に倒れ込んでいて、治奈ちゃんは髪を短く切られていた。

「…え、ちょっと待って。何これ。どうなってるの?三人とも、どうしたの?なんでこんな事に…」

「貴様は鬱陶しいから呼ばなかったというのに…」

ラッセクンは、不機嫌そうに言った。

「…何があったのか話して。」

「…。」

ラッセクンは、無言で睨みつけてきた。

 

「あ、あの…私が話します…」

治奈ちゃんが手を挙げて言った。

「治奈ちゃん、でも…」

「狛研さん。私ならもう大丈夫です。それに、こうなったのは私の責任でもあるんです…だから…」

治奈ちゃんは、話し始めた。

「…狛研さんと情報管理室の前で別れた直後の事です。」

 

 

 

 

数時間前

 

「まだたくさんやる事があるから、部屋に戻らないと…」

「ぐっ…」

その時、よろめきながら廊下を歩く栄さんの姿が見えたんです。

それはもうボロボロで…私、見ていられませんでした。

「あの、栄さん…どうなさいましたか?」

「あ、癒川ちゃん…いや…ちょっとハデに転んでよ。」

「いや、転んだってレベルの怪我じゃないじゃないですか。」

「あ、アレだ…階段から落ちて…」

「この建物、階段はありませんよ。手当てしますから、正直に話してください。」

「…。」

 

 

 

 

「はい、終わりましたよ栄さん。」

「…悪いな、癒川ちゃん。」

「それで、一体何があったんですか?」

「…。」

「あ、すみません…別にどうしても話したくなければ…」

 

「…いや、話すよ。オレは、不本意とはいえ君の秘密を知っちゃったしな。」

「栄さん…」

「実はな、オレ達の“国”には、あるルールがあってよ…」

「ルール?」

「ああ…ラッセは、オレら3人にポイントをつけてるんだよ。何かいい事をしたらボーナスポイント、逆に悪い事をしたらマイナスポイントってな。それで、その日一番ポイントが高かった奴はボーナスを、逆に一番低かった奴はペナルティを喰らうんだ。」

「そのペナルティって、まさか…」

「ああ。…ったく、恐ろしい奴だよラッセは。アイツ、オレ達を徹底的に管理して、コロシアイを起こさせない気でいるんだよ。どうしてもペナルティを喰らいたくないっつー心理を利用してな。…やっぱ、人の上に立つ奴って、そういうトコブッ飛んでんのかな。」

「…。」

「確かに、アイツの言う事を聞いてれば、確実にコロシアイのリスクを回避できると思う。…けど、もうこんな事続けんの、正直言って限界だよ。みんながお互いに足を引っ張り合ってよ…オレ達の関係って、こんなんじゃなかっただろ…!」

「栄さん…」

「オレだって、まさかこんな事になるなんて思ってなかったんだよ…!クソォ…!なんでこんな事になっちまったんだよ…!!」

「栄さん、それは辛かったですね。…話してくれて、ありがとうございます。」

「…悪いな、癒川ちゃん。オレの愚痴を聞いてもらっちまってよ。」

「そんな…栄さんは悪くないじゃないですか。またいつでも相談してくださいね。私でよければ話、聞きますから。」

 

「…ありがとう。…ところでさ、癒川ちゃんって聞き上手だよな。まるでカウンセラーみたいだよ。」

「え、あ、そうですか?その、患者さんの体だけでなく、心もケアするのが私達の仕事なので…一応カウンセリングの勉強もしてたんですけど…それが役に立ったなら良かったです。」

「そっか。…なあ、癒川ちゃんって、なんでここまでオレに良くしてくれんの?」

「私は、あなたを殺そうとしてしまいましたから…こんな事で罪が無かった事になるなんて思ってませんが、せめてあなたの役に立ちたいんです。」

「…そっか。なあ、癒川ちゃん。この際、穴雲とじゃなくてオレと付き合わねェか?オレ、君の罪ならどんな罪でも受け入れるぜ。(キリッ」

「え、それとこれとは話が別ですよね?」

「ですよねー。」

「…ふふっ、栄さんは面白いですね。」

「そ、そうか?」

「栄さん。ありがとうございました。少し元気が出ました。」

「お、おう。」

 

栄さんのお話を聞いて、少し他愛ない話をしてから部屋を出た、その時でした。

「おい。」

「…え?」

国王陛下が、部屋の前で立っていたんです。

「んなっ…なんでテメェがここに…!」

「不服か?…貴様ら、今すぐ食堂に来い。話がある。」

「は、話って…」

嫌な予感はしていましたが、ここで反対する意味もないと思い、私達は食堂に向かったんです。

でも、まさかあんな事になるなんて思ってなかったんです…!

 

 

 

 

【食堂】

 

そこには、すでに他の帝国組の皆さんもいました。

「それで、なんだよ話って。」

「…とぼけるな。おい料理バカ。小娘に、俺達が決めたルールを話しただろ。」

「え…!?いや、話してないけど…なあ?」

「あ、はい…」

「シラを切っても無駄だ。…俺が何の裏切り対策もしてないとでも思ったか?」

「ッー!!?」

「…貴様に盗聴器を仕掛けさせてもらった。毎日ポイントが最下位だから、念のため仕掛けておいたのだが…やはり、貴様を疑っておいて正解だったようだな。…全く、あれほど外部の奴らに俺達の情報を漏らすなと釘を刺したのに…残念だよ。」

「ッ…!!」

「…どういうつもりだ、貴様。俺に従うと決めたんじゃなかったのか?」

「ラッセ…」

「…弛んでるんじゃないのか?貴様ら。今自分がどういう状況に置かれているのか、わかってるのか?俺の言う通りにすれば命は保証すると言ってるんだ。なぜ言われた事もまともにできない?」

「そんな…おかしいですよ、こんなの…!皆さんを恐怖で縛って一体何になるっていうんですか!!この際だからはっきり言いますけど…あなた、異常ですよ!?」

「貴様は黙っていろ小娘。俺からしてみれば、こんな人の命がかかった状況で甘い事を言っていられる貴様らの方が異常なんだよ。」

「テメ…」

「貴様らはいいよな。普段から何も考えなくても周りの人間がなんとかしてくれるのだからな。俺は、一国の王だ。国民全員の命を預かる身として、常に国民達の事を第一に考えなければならなかった。誰かに責任を押しつけて、能天気な事をほざいている貴様らにはわからんだろうな。」

「ッ…」

「貴様ら、本気で人の命について考えた事なんてないんだろ?だから全員で協力してここを出るなんて甘い事が言えるんだ。」

 

「…まあいい。ルールを破ったんなら、罰を受けてもらう。」

「なっ…!」

「やめてください!栄さんは悪くないんです!無理に聞いた私が悪いんです!」

「違う!オレが全部喋っちまったからこんな事に…」

「煩いぞ貴様。少し黙れ。罪人に発言権があると思うな。…貴様ら二人もよく見ておけ。秩序を乱すとこうなるって事をな。」

そう言うと、国王陛下は私の髪を引っ張ったんです。

そして、机に置いてあったハサミを手に取りました。

「ッ…!?いやっ…!」

「おい、やめろラッセ!!やりすぎだろそれは!!」

「なんだ。文句があるのか。だったら、最初からルールを破るな。せっかく貴様らを徹底的に管理する事でコロシアイのリスクをなくそうとしていたのに…貴様らのせいで死人が出たら、どう責任を取るんだ?」

「…ッ!」

「自分の行動に責任を持たないからこうなるんだ。これは見せしめだ。よく見ておけ。」

 

ジャキンッ

 

「ーーーーあ、ああああ…」

「これに懲りて二度と俺達に関わろうと思うな。」

「ッー!!テメェ…!!やりやがったな!!」

 

ゴッ

 

「ガハッ…!?」

「…ようやく分かったよ。なぜ貴様が毎日ポイントが最下位なのかがな。…貴様、この二人を庇ってたんだろ?最下位の者は罰を受けるからな。貴様はわざと最下位になって、この二人が罰を受けないようにしていたのだ。余計な事をしやがって、もう貴様はこの国には要らん。」

「ガッ、ゲホッ…テメェ…!」

 

「何?何の騒ぎ?…治奈!?おい、治奈!!何があった!?しっかりしろ!!」

「星也さん…私…」

「どうしたんだ、その髪!誰にやられた!?」

「チッ、タイミング悪いな。貴様が来たか、メガネ。」

「…あなたがやったんですか?」

「ああ。その女が秩序を乱したのが悪い。罰するのは当然の事だろう?」

「ふざけるな!!国王だからって、こんな事をして…」

 

ゴッ

 

「がっ…」

「星也さん!!」

「少し煩いな。今はこの罪人を裁いている最中なのだから、邪魔をするな。」

「ゲホッ、テ…テメ…」

「まだ刑罰は終わってないぞ。貴様は、俺達を脅かしたんだ。それなりの覚悟はできているんだろうな?」

 

 

 

 

「…と、いうわけです。」

「…!!」

「おい、なんだその目は。…まさか、俺に怒りを向けているのか?だとしたらとんだ見当違いだぞ。俺はコイツらを罰しただけだ。何も間違った事はしていない。」

「…謝れ。」

「…は?」

「二人に謝れ。どんな理由があっても、女の子の髪を勝手に切って、友達に手をあげる事が悪い事じゃないわけないでしょ。早く二人に謝って。」

「黙れ。なぜ俺が貴様らの言う事を聞かなければならない?」

「…キミ、いい加減にしろよ。ボク、本気でキレるよ。」

「どいつもこいつも、少し寛容な態度を取ってやった途端に調子に乗りやがって…俺を誰と心得ている。」

「そんなのどうだっていいよ。ボクは…」

 

「なんか盛り上がってるね。俺も混ぜてよ。」

「…天理クン!」

「ゲホッ…テメ、今更来て何の用だ…」

「ん?いや?たまたま通りかかったから様子見に来たんだよ。だって、みんなの事が心配なんだもの!」

「…ハッ、嘘つけ。」

「それより、栄クン。大丈夫?手当てした方がいいんじゃない?それから、穴雲クンもノビてるけど、このままじゃよくないよね!?ねえ、癒川サン!早く二人を治してあげたら?」

「…ホント空気読まねェのなお前。」

「てか、その髪どうしたの?イメチェン?あ、違う?」

天理クンは、ニヤニヤしながら言った。

「へー、違うんだ。…じゃあさ。」

 

「誰がこんな事したの?」

「…え?」

「俺さ、来たばっかで何も状況わかんないからさ。誰か説明してよ。」

「ッ…」

治奈ちゃんは、しぶしぶ天理クンに事情を説明した。

「へー、なるほどね。…ははっ、国民想いの理想の王様だって聞いてたのに…実際は随分と独裁的じゃん?なぁ?ラッセ陛下ァ。」

「黙れ。貴様には関係ない。」

「まあ確かにそうだねー。でもさ、見せしめに髪切るとか…さすがにやりすぎだよね?悪い事したら謝んないと。」

あれっ?

なんか天理クンがまともな事言ってる…

ホントこの子何考えてるかわかんないよね。

「まあでも、安心しなよ。俺は、ラッセクンだけが悪者だとは思ってないから。」

「…何が言いたいんだい?」

「いるだろ?二人が罰を受けるのを近くで見てたっつーのに、何もしなかったクズが約2名よぉ!」

「…ッ!!」

天理クンは、柳人クンとゐをりちゃんを睨みながら言った。

「ひどいよねー、全く。クラスメイトが酷い目に遭ってるのに助けないなんてさぁ。下手したら実行犯のラッセクンよりドクズだよねー。どんだけ神経腐ってたらそんな非道い判断ができるのかなぁ?」

天理クンは、少し顔を下に向けて首筋を掻きながら見上げるようにして睨みつけた。

…機嫌が悪い時のクセなのかな?

「ゲホッ、やめろ…二人は関係ねェ…」

「へー、優しいね栄クンは。コイツらを庇うんだ?」

「うるせェ…テメェにだけは言われたくねェよ、クソ野郎…!」

「あーあ、嫌われちゃった。それじゃ、俺はお呼びじゃないみたいだからもう帰ろうかな?」

 

『解散!?していいわけないでしょー!!』

 

食堂に聞き飽きたソプラノヴォイスが響き渡る。

クマさんとベルさんがいきなり登場した。

『って、あれれ?これは一体どーいう状況なのかな?なんか、ちょっと見ない間にすっごい修羅場になってない?』

『アナタ達、全員でここを脱出するんじゃなかったんですか?フッフッフ、このザマは一体なんでしょうねェ。誰が見ても笑えますよコレは。』

「…貴様ら、何の用だ?」

「もう夜時間過ぎてるんですけどー。迷惑だなー。」

『夜時間には登場しないって誰が言ったの?っていうか、オマエラ反応悪くない?え、何?不感症なの?』

「うっせぇ。…で?何しに来たんだよ。」

『まあ、ちょっとした報告だよ。実は、ボク達今ちょっと機嫌が悪くってさぁ。』

「キミ達の機嫌なんてどうでもいいんだけど。」

『おっと、そんな事言っていいの?これはオマエラに関する事でもあるのに?』

「…どういう事だ?説明しろ!」

 

『実は、ゲームが何者かに乗っ取られかけてるんだよ!全く、ボク達の神聖なゲームを邪魔しようなんて、許せないよね!』

『フッフッフ。その方は、我々が見つけ次第早急におしおきに取り掛かりますが、それまでは皆様も十分に注意してください。それでは、また明日!』

『うぷぷ、まったねー!』

 

「ゲ、ゲームが乗っ取られかけてるって…そんな事急に言われても…」

「あーあ、面白い事になっちゃったね。」

「…フン。」

「頭が追いついてこれないよね…」

「…う?」

「あ、星也さん!良かった、気がついて…」

「治奈…!それに、みんなも…あれ?僕、何してたんだっけ。」

「順を追って話すよ。とりあえず、席に座って安静にしててよ。」

「うん。聞かせてくれるかい?」

 

 

 

 

「…なるほどね。誰かがゲームを乗っ取ろうとしてると…」

「なあ、これってチャンスなんじゃねェの!?ソイツがゲームを乗っ取ってるうちに、脱出できたりとかは…」

「リスクが高すぎるよ。ソイツが僕達の味方だって保証はどこにもないだろ。むしろ、ゲームに便乗して僕達を殺そうとしてる敵かも…」

「…チッ、リーダー面しやがって。いちいち癇に障る男だ。」

「お言葉ですが、僕はまだあなたの事を許してはいませんよ。よくも治奈と栄君を…いくら罰とは言え、やっていい事と悪い事とあるでしょう。」

「黙れ。俺は何も間違わん。貴様と同じ空気を吸うだけで不愉快だ。今日は帰らせてもらう。」

 

「はっはっはっは、いやぁ、キミ達そんなにケンカが楽しい?でも、そんな事より今やるべき事があるんじゃないの?」

天理クンは、ニヤニヤしながら二人の会話に水を差した。

「…貴様にだけは言われとうない。」

「そうだよ。オイラは、まだ君が翠君にした事を許してないからね。大体、さっき言ってたゲームの乗っ取りの話だって、君が一番怪しいだろ。」

「………資産家、みんな…を………混乱、さ…せた…………」

「うるさいなぁ。自分達は癒川サンと栄クンを見捨てておいて、偉そうな口叩くなよ。それから、乗っ取りの事に関してだけど、そればかりは俺じゃないから。」

「嘘をつくな。だったら、なぜ貴様が毎回事件の犯人を把握していた?」

「あー、あれね。…その前に、ひとついい事を教えてあげよっか?」

「何?」

「いわゆる予知能力者ってのは、何も未来を見てるわけじゃない。世の中っつーのは、規則性の連続なんだよ。予知なんてのは、所詮その規則性を読み解いた時に導き出される確定した必然なのさ。」

「何が言いたい?」

 

 

 

「このゲーム、実は元ネタがあるんだよ。」

「…は!?」

「浅野蘭馬が書いていた小説、『囚われのマリアのための交響曲』に出てくる作者オリジナルのカードゲームにね、『囚われのマリア』っていうのがあるんだよ。まあ、原作の設定では、元ピアニストの死刑囚が親友と一緒にやったゲームって事になってるんだけどね。絵札とエースとジョーカーを入れた計17枚でやるゲームで、親が持ってる本命の札を当てるっていうルールなんだけど…これ、実は死刑執行の時に押すスイッチをモデルに作ったゲームなんだって。」

「じゃあ、キミがスペードのジャックがどうのこうのって言ってたのは…」

「作中で捨てられたカードの順番だよ。クマちゃんは、俺達をゲームのカードに見立てて、次々と俺達を殺してるって事。多分、目的は断罪とか?あはは、わかんね。」

「そんな…」

「っていうか、さっきからテキトーな事言ってんじゃねえよ!!俺達が断罪だと!?ふざけんな!!」

「テキトーじゃねえし。そもそもこのルール自体、『囚人のジレンマ』を参考にしたものだし、この建物の構造も、キューバのプレシディオ・モデーロに使われてたパノプティコンだし、首輪で囚人を管理する所とかセキュリティとかも最近の拘置所とか刑務所とかで使われてるヤツに似てるし、このゲーム自体が刑務所をモチーフにしてるっていうのは間違い無いよね?まあ、本来の目的は、このゲームを主催してるクマちゃんにでも聞いてみれば?」

「でも、全部たまたまだろ!?だって、今までのみんなは、自分で…」

「でもさぁ。明らかに、動機の渡し方とか不自然だよね?まるで、特定の誰かに殺人を起こす事を期待してるみたいじゃん。」

「確かに…」

「それとさ、やっぱり黒幕は狛研サンの事を意識してるっぽいよね。わざわざ狛研サンのお父さんの小説を元ネタにしたり、秘密にあんな事書くなんてさぁ。ね?」

「わっ。」

天理クンは、ボクに肩を組んできた。

それから、聞こえるか聞こえないかくらいの声で何かを言った。

 

 

 

 

 

ーえ?

今、なんて…

 

天理クンは、いつものあっけらかんとした表情に戻って、大袈裟な身振り手振りをしながらわざとらしく発言した。

「そういうわけだから、みんな断罪されちゃわないように気をつけよーね!」

「待って。」

「ん?どしたの穴雲キュン?」

「…ひとつ聞かせて。君は一体何が目的なの?」

「だから、言ってるだろ。俺はゲームが楽しめればそれでいいの。…っと、これじゃあ答えになってねぇか。…俺は、『その先』が見たいだけだよ。」

「その先…?」

「実は、今言った小説、未完のまま作者が死んでるんだ。その小説自体も、作者が死んだ事で呪いの小説って呼ばれるようになって、今ではほとんどの書店で扱われてないんだよね。だから結末がどうなったのかは誰にもわかんない。だからこそ俺は、このゲームで最後まで生き残って、その結末を見たいんだよ。はい、説明終わり。」

「本当にそれだけなの…?」

「さぁね。気になるなら力尽くで聞き出してみる?なーんてね。」

そんな…お父さんの小説が、ゲームの元ネタ…?

そんな小説の話なんて、聞かされた事ないよ…

「見るからに怪しいだろお前よ…」

「やっだなー、俺は誰よりも清い存在だよ?心の中を見透かされない程にね!にししっ。」

「頭おかしすぎて何考えてんのかわかんないだけだろ。気色悪いんだよテメェ。」

「にゃはは、褒められた。」

 

「そんな生産性のない話より、今後の話をするぞ。」

「ラッセ、テメェ…!」

「俺達の中に、ゲームの乗っ取りを考える奴がいる可能性がある以上、俺は誰も信用ならん。そこでだ。今日は複数人で同じ部屋で就寝し、互いを見張るというのはどうだ。」

「…チッ、今更リーダーぶってんじゃねェよ。」

「いや、でも一理あるかも…黒幕や乗っ取り犯も、さすがに就寝中は隙が生まれるだろうし…」

「穴雲、テメェはなんでそんなに落ち着いてんだよ!!コイツが何をしたか…」

「わかってるよ。それは今でも許せないと思ってる。でも、感情に任せて判断を誤ったらそれこそ終わりだ。今は、陛下の提案の妥当性を冷静に考えないと。」

「…でも、グループ分けはどうすれば…」

「じゃあ、帝国組と普通組で一人ずつっていうのはどう?」

「…そうだね。その方が安心かな。」

 

結局、ボクはゐをりちゃんと一緒に寝る事になった。

「…あの、幸運………」

「何?」

ゐをりちゃんは、ボクの服を引っ張った。

ゐをりちゃんは、心なしか落ち込んでいるように見えた。

「………私、看護師………栄養士…罰、受けてる時………何もでき…な、かった………ごめん、なさい…」

「うーん。天理クンは、何考えてるかよくわかんない子だからね。あの時なんであんな事言ったのかはわかんないけど…ゐをりちゃんは悪くないよ。だって、自分のリーダーに逆らうって、すごく勇気のいる事だもん。それでも悪いと思ってるなら、明日2人に一緒に謝りにいってあげるよ。」

「…ありがとう。」

ゐをりちゃんは、うつむきながら言った。

「…あ、待って………美術室、忘れ物……した、かも………」

「あ、そうなの?じゃあ一緒に取りにいこっか。」

「………うん。」

 

 

 

 

【美術室】

 

「ゐをりちゃん、あった?」

「………うん、良かった…見つ、かって……」

ゐをりちゃんが忘れ物を持って美術室を出ようとした、その時だった。

 

 

 

 

ドヒュッ

 

 

 

「え?」

「危ない!!」

 

ドスッ

 

「ゐをりちゃん、大丈夫!?怪我は!?」

「……………幸運…あの、怪我………」

「大丈夫。かすっただけ。…それより。」

ボクは、何かが飛んできた方の壁を見た。

壁には、矢が刺さっていた。

「…矢!?なんでこんなところに…」

身体に変化がないって事は、幸い毒矢じゃなかったみたいだ。

かすったっていっても結構痛いけどね。

「……………。」

矢が飛んできた方向を見ると、ボウガンが構えられていた。

…誰かが、意図的にゐをりちゃんを殺そうとした…!?

誰が、何のために…!?

「…幸運、私…今、狙われた………よね?」

「…うん。誰がやったのかわかんないけど…」

「また、狙われる……………かな……」

「大丈夫。ボクが守ってあげるから。…じゃあ、そろそろ部屋に戻ろうか。」

「………うん。」

「あ、待って。その前に、これ…治奈ちゃんに何とかして貰った方がいいよね?また狙われたらやだし、ちょっと付き合ってくれる?」

「……………うん。」

「ありがと!じゃあ一緒に行こっか。」

それにしても、危なかったぁ…

あとちょっと気づくのが遅かったら、ゐをりちゃんは…

それに、あの矢がもし毒矢だったら今頃ボクは…

…いや、もう考えるのはよそう。

これ以上不安を増やしても、いい事なんて無いからね。

さてと、とりあえず今は治奈ちゃんに怪我を治して貰ってっと。

 

 

 

 

ピーンポーンパーンポーン

 

『オマエラ、死体が発見されました!!内エリア1階にお集まりください!!』

 

 

 

 

 

…え。

そんな…

嘘でしょ…!?

また死人が…!?

今度は誰が…

「……………。」

「ゐをりちゃん!ボク達も行くよ!」

「………!」

「何してるの!?早く行かなきゃ!!」

「…あっ、ごめん………」

ゐをりちゃん、どうしたんだろう…

さっき殺されかけた事で、まだ気が動転してるのかな?

…いや、今は気にしてる場合じゃない。

それより、急いで1階に行こう。

 

 

 

 

【内エリア 1F】

 

「みんな…!」

ボク達が1階に降りると、天理クンと陽一クンと才刃クン以外の全員が既に揃っていた。

「狛研さん…!」

星也クンは、青ざめた顔でこっちを見た。

ボクは、星也クンの肩を掴んで聞いた。

「今回は誰が殺されたの!?」

「…。」

星也クンは、悔しそうに目線を逸らしながら扉を指差した。

 

 

 

 

 

「ーーーーーーーー。」

 

扉は半開きになっていて、少しだけ中の様子が見えた。

少しだけ開いた扉からは、血が流れ出て床に溜まっていた。

そして、扉からは血の気が引いて真っ白になった小さな手がのぞいていた。

ボクは、恐る恐る()()()の顔を見た。

 

「ーーーーーうっ!?」

 

思わず不快感を覚えて後ずさりした。

その子は、口から血を流して、生気のない目をボク達の方に向けて横たわっていた。

その目は、まるで深い海の底に沈んでいるかのようにどこまでも暗く、そして静かだった。

 

嘘だ…

そんな、なんで…!

一緒にここを出ようって約束したじゃん…

この子だって、まだやりたい事がいっぱいあったはずなのに…

まだちゃんと仲直りだってできてなかった。

外に出たらやりたい事をいっぱいやらせてあげたかった。

…それなのに。

どうしてキミが…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【超高校級の工学者】入田才刃クンは、そこで死んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー才監学園生存者名簿ー

 

【超高校級のアナウンサー】穴雲星也

 

【超高校級の工学者】入田才刃

 

【超高校級の不運】景見凶夜

 

【超高校級の???】神座ゐをり

 

【超高校級の幸運】狛研叶

 

【超高校級の資産家】財原天理

 

【超高校級の栄養士】栄陽一

 

【超高校級の詩人】詩名柳人

 

【超高校級のマドンナ】白鳥隥恵

 

【セキセイインコ】翠

 

【超高校級の曲芸師】朱雪梅

 

【超高校級のダンサー】羽澄踊子

 

【超高校級の生物学者】日暮彩蝶/【超高校級の人狼】暁裴駑

 

【超高校級の侍】不動院剣

 

【超高校級の喧嘩番長】舞田成威斗

 

【超高校級の看護師】癒川治奈

 

【超高校級の国王】ラッセ・エドヴァルド・シルヴェンノイネン

 

ー以上8名

 

 

【挿絵表示】

 

 




おお、カオスカオス。
犯人予想大歓迎なり。
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