ダンガンロンパPRISON   作:M.T.

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第5章(非)日常編③

…天理クン!?

そんな…天理クンが、影の正体…?

じゃあ、天理クンが【超高校級の知能犯】…

「て、天理クン…!?」

「いやー、もう遅い時間なのに引き留めちゃってごめんね?実は、キミとちょっとお話がしたくってさぁ。人前じゃ恥ずかしくて言えない事だから、できれば監視カメラの死角で話したいなーって。」

人前じゃ言えない事…!?

まさか、知能犯か黒幕に関わる事…

 

 

 

「はいコレ。」

「…え?」

天理クンは、包み紙とリボンに包まれた何かをくれた。

「プレゼント。さっきガチャでゲットしてさ。部屋に戻ったら開けてよ。」

「…あ、ありがと。でも、それだけのためにわざわざ監視カメラの死角に?」

「だってー、人前でプレゼントなんて渡したら、視聴者のみんなに変な勘違いされちゃうでしょー?やーん、俺ってば恥ずかしいー!」

「…。」

天理クンは、わざとらしく恥ずかしがった。

「…でも、なんでボクに?」

「なんでって…そりゃあまあ、一応俺はキミの事気に入ってるからね。」

「…え?」

「言ったでしょ?今度はゲームとかナシで口説きに行くからって。」

「あ…」

そういえばそんな事あったね。

「俺、キミに喜んで貰えるかなーって思ってプレゼントしたんだよ?だから、きっとそれ、気に入ってくれるよね?」

天理クンは、いきなりボクの手を握ってきた。

…気のせいかもしれないけどさ、なんか手つきが気持ち悪くない?

「キミと二人きりって、なんか嬉しいなー。っていっても2日ぶりだっけ。」

 

…あ、そういえば。

あの時、紙渡したの天理クンだよね。

聞いた方がいいのかな?

「ねえ。」

「ん?何?」

「…あの時、なんで急にあんな事してきたの?ホント意味わかんないんだけど。」

なんであんな紙渡してきたのか…本人に直接聞かなきゃ。

 

「あんな事?ああ、勝手にチューした事?別に、あんな事誰とでもやってるよ。今更そんなに気にする事じゃないでしょ。」

「へ?」

何言ってんのこの子。

こっちは紙の事を聞いてんだけど…

「いや…あの…そっちじゃなくて…」

「え、なぁに?もしかして、あれじゃ物足りなかった?どうせ監視カメラには映らないし、今ここでもっとエッチな事してあげよっか?」

ちょっと、なんなのこの子!すっごいすっとぼけてくるんだけど!

しかも、なんか近いし手の動きがワキワキしててキモい!!

「小生意気な子には、おしおきが必要だよね?ほらほら、抵抗しないと薄い本がぶ厚くなっちゃうぞー?」

「もう、勝手な事ばっかり言って!そんな変な事ばっかり言ってると、ボクもキミの事嫌いになるよ!マジで!」

ボクは、天理クンを払いのけた。

「やめてー。俺、キミに嫌われたら寂しくて死んじゃう〜。」

「じゃあもう遅い時間だから帰るね!…あ、そうだ。陽一クンから聞いたんだけどあのゲーム、一回失敗したら最初からやり直さなきゃいけないらしいから、できれば早く始めてね。」

「うっす。」

「それじゃ、また明日!あ、今度また変な事言ってきたら許さないからね!」

「もうやんねーって。信用ないわねー。」

ホントかなぁ。

「…あ、それと。」

「まだ何か?」

「…ごめん。」

「え?何が?俺、狛研サンに嫌な事されたっけ?」

「いや、なんでもない。こっちの話。」

「ふーん。じゃあ今度こそおやすみー。」

 

《財原天理の好感度が1上がった》

 

 

 

 

あーあ。

結局何も聞けなかった。

それどころか、なんかやたらと気持ち悪い事ばっかり言ってくるし!

ホント、天理クンってサイテー!!

…でも、全然違う事で引き留められたし…

あの子の事を完全に疑っちゃったのはちょっと申し訳なかったかな。

さてと、あの子がくれたプレゼント…一体何なのかな?

変な物だったら明日一発殴りに行こっと。

 

「…お。」

ルービックキューブ?

へー、あの子がこんな物をねぇ…すっごい意外。

そうだ。ちょっと遊んでみようかな?

 

 

 

 

ー数時間後ー

 

「…できた!」

やー、ムズイねこれ。

3段でさえ難しいのに、5段とかキツすぎでしょ。

…ん?

一番上の段が開いて、中から紙が出てきた。

「…何これ?」

 

 

 

あんまり余計な事を喋るな。会話は全部筒抜けだ。

 

 

 

「…え?」

会話が筒抜け…?

一体何を言って…

 

…!

まさか、今までの情報交換の内容…全部、聞かれてた…?

だとしたら相当マズい…

…人前での発言には気をつけないと。

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「うーん。」

独房で目が覚めた。

 

『オマエラ!!起床時間です!!生活リズムの乱れは、心の乱れにつながります!!全員、今すぐ起床するように!!』

 

あーあ、毎朝毎朝うるさいなあ全く。

おかげで毎朝機嫌が悪いよ。

 

 

 

 

【食堂】

 

「…おはよう。」

「おはよう、狛研さん。今日はちょっと遅いね。」

「…ごめん、準備に手間取って。」

「ほわぁーあ。みんなほっはよぉー。」

「…あーあ、朝から嫌なモン見たぜ。」

「全くだよ。この声、食欲失せるよね。」

「……………不快。」

「にゃはは、失礼なー。…狛研サンもおはよう。」

「…あ、うん。」

天理クンは、昨日の出来事がまるでなかったかのように普通に絡んできた。

でも、その視線は明らかに突き刺すように冷たかった。

「じゃあ朝ご飯食べちゃおっかー。俺もう腹ペコー。」

「誰を待ってたと思って…」

「そんなこたぁどうでもいいじゃねーですか。さてと、早く食べないと冷めちゃうよ?俺冷飯とか嫌いなんだよねー。」

「…コイツ。」

 

 

 

 

あーおいしかった。

治奈ちゃんのご飯もおいしいけど、やっぱり陽一クンのご飯が一番だね!

あーあ、またヒマになっちゃったなー。

そうだ、まだ治奈ちゃんとゐをりちゃんのお話を聞けてなかったね。

二人を探しがてらちょっとお散歩しーよぉっと。

 

 

 

 

【春エリア】

 

「あっ。」

治奈ちゃん見っけ!

「あ…狛研さん。どうしたんですか?こんな所で…」

「ちょっとお散歩。」

「そうですか…」

「治奈ちゃんもお散歩?」

「ええ、まあ…」

「あのさ、ちょっとお話しようよ。」

「お話、ですか?是非!私、狛研さんとのお話なら大歓迎です!」

治奈ちゃんは、笑顔で応えてくれた。

ホンットかわいい!

治奈ちゃんの笑顔見たら、どんな嫌な事も吹っ飛んじゃうね!

…あ、じゃなかった。

治奈ちゃんにお話を聞かないと。

「あの、お話でしたら私の研究室でしませんか?」

「え、いいの!?」

「はい。…散らかってて申し訳ないですが。」

「わーい行く行く!ありがと治奈ちゃん!」

 

 

 

 

【超高校級の看護師】の研究室

 

「ここが私の研究室です。どうぞ、上がっていってください。」

「へーっ!」

さすが【超高校級の看護師】の研究室!

まるで病院みたい!

わーい、ベッドもフカフカだー!

なんかよく寝れそう!

「あの、狛研さん。お茶を淹れたので、宜しかったら召し上がってください。」

「わーい、ありが…え゛!?」

ちょっと待って!?

青っ!!

それホントにお茶なの!?

「…治奈ちゃん。それ何。」

「あっ、これですか。バタフライピーです。厨房にあったのを見つけたので、淹れてみたんです。青い紅茶なんて珍しいでしょう?」

「…なんか毒々しいけど…飲んでも大丈夫なんだよね?」

「はい。むしろ、アントシアニンが豊富で、美容効果があるんですよ。」

「ふーん。」

あ、おいしい。

「ふふっ、それ、面白い事が起こるんですよ。ちょっとこれを入れてみてください。」

「レモン?」

「はい、ちょっと面白い事が起こるので、見ててください。」

「うん。」

わっ!?何コレ!?赤くなった!

「これ、色が変わるお茶なんです。面白いでしょう?」

「へーっ、おもしろーい!」

「あと、昨日バターケーキを焼いておいたんですけど…食べます?」

「わーい食べる食べるー!」

 

 

 

 

はっふー。おいしかった。

「至福…」

「ふふっ、ありがとうございます。作った甲斐がありました。」

「治奈ちゃん?なんで笑ってんの?」

「いえ…狛研さんは本当に面白い方ですね。」

「へへへ、そうかなぁ。あ、そうだ。」

「どうかなさいましたか?」

 

「はい、これ。お茶とお菓子のお礼。治奈ちゃん、医学とか薬学とか興味あるんでしょ?こういう本、読んだりしない?」

「!!?」

治奈ちゃんは、席から立ち上がると、ボクの両腕を掴んできた。

「こっ、こここ…狛研さん!!!それ、よく見せてください!!」

「えっ!?あ、うん…」

「はわぁああ…ほ、本物です…!狛研さん!どこでこれを!?」

「ガチャでゲットしたんだよ。ボクは読まないから、治奈ちゃんが欲しいんじゃないかと思ってプレゼントしたんだ。…気に入ってくれた?」

「ええ、それはもう!!」

「え。その本、そんなにすごいの?」

「ええ、千年以上前に実在したと言われる薬師『草芫』が書いたとされる書物の内容を書き記した本です。彼は、当時では考えられない程高い薬学の知識と技術を持っていて、各地を転々として人々を治していたそうです。それは奇跡と呼ばれ、一説によると死んだ人間を蘇らせる事すらできたと言われているそうです。しかし、彼はある日インチキ呼ばわりされ、時の権力者に処刑されたそうです。そして、草芫の書物は、ほとんどが処分されてしまいました。…ですが、近年になってようやく彼の書物の信憑性が高い事が明らかになったんです。」

「へー。」

「ありがとうございます、狛研さん!こんな貴重な書物を頂いてしまって…何かお礼をしなくては…!」

「いや、いいよ。さっきお茶とお菓子貰ったし。」

「いいえ!あんな物では足りません!!月とスッポン…いえ、月と汚物くらいの差があります!!あんな物でお礼だなんて…狛研さんに申し訳ないです!!」

言いすぎじゃない?あのお菓子おいしかったけど。

「いや、ホントいいって。その本も、治奈ちゃんが持ってる方がいいと思うし。」

「でも、それでは狛研さんが…」

「いいからいいから。ボク、お礼ならお腹がふくれる物の方が嬉しいからさ。…そうだなぁ。そこまで言うなら、治奈ちゃんの話を色々と聞いてもいいかな?」

「え、そんなんでいいんですか?でも…面白くないですよ?」

「ボク、人の面白くない話聞くの好きだから。」

「ええと…わかりました。聞きたい事があったらなんでも聞いてくださいね。」

 

「うーん。そうだなぁ。じゃあさ、なんで【超高校級の看護師】になったのかはこの前聞いたし…【超高校級の看護師】になってみて、どう思った?」

「えっと…そうですね。一言で言えば嬉しかったです。今まで最低な事ばかりしてきた私が、人の役に立つ事ができて…看護していた患者さんに初めてお礼を言われた時、初めて生きがいを感じました。こんな私でも人の役に立てるんだって、仕事にやりがいを感じるようになったんです。」

「…そっか。」

「…私多分、ずっと誰かに認めてもらいたかったんだと思います。…私は、弟が病気で倒れてからはずっと孤独でした。母親は家の事は放ったらかしで私の事なんて見てくれませんでしたし、弟も病気で入院していてほとんど会えませんでした。…だから、その…援助交際に手を染めてしまって…。お金を稼ぐためなんて建前で、今思えばもっとまともにお金を稼ぐ方法はあったはずなんです。…でも、どんなに痛い事や気持ち悪い事をされても、独りでいるよりかはずっとマシだったから…どこの誰かもわからないような人でも、たとえ一日限りの関係でも、必要とされている事に喜びさえ感じてしまっていたんです。」

「治奈ちゃん…。」

 

治奈ちゃんは、ポロポロと涙を溢して泣き始めた。

「…ごめんなさい、私…最低ですよね。星也さんとお付き合いしているのだって、私の自己満足なんです。本当は私なんかと星也さんが釣り合うわけないのに、勝手に私の理想を押し付けて…」

「…治奈ちゃん?」

「私…本当は、おしゃれしたり、仲のいい友達と一緒にお出かけしたり、少女漫画みたいな恋をしたり、そういう普通の女の子らしい事がしたかったんです。でも、今の私にそんな資格はありません。…私なんか、本当に生きてていいんですかね。」

 

バンッ

 

ボクは、テーブルを両手で叩いて言った。

「…治奈ちゃんからそんな言葉聞きたくなかった。」

「ご、ごめんなさい…私…」

「おしゃれ…?お出かけ…?少女漫画みたいな恋…?やればいいじゃん!治奈ちゃんがやりたい事なんだから、資格なんて関係ない!自信がないならここにいるみんなで治奈ちゃんの事を全力で応援する!だから生きて!生きて外に出て、夢を叶えようよ!」

「でも、私は、穢れて…」

「そんなのどうでもいいじゃん。…って、星也クンも言ってたけど?」

「そんな、私は…」

「…それにね、治奈ちゃんは最低なんかじゃないよ。すっごく魅力的な女の子だと思う。」

「…え?」

「ボクなんて、ガサツだし、TPO?とかちゃんと考えないし、よく男女って言われるし…ボクは、治奈ちゃんが羨ましいな。かわいいし、頭も良いし、真面目だし、ちゃんとみんなの事とか考えてるし…あっ、いい所ばっかり挙げてったらキリがないね。」

「そんな事…」

「そうだ!ボク、いい事思いついた!みんなで一緒にここを出たらさ、みんなで一緒にお出かけしようよ!とびっきりかわいい服着てさ。あと、星也クンとのデートのプランも考えなきゃね。…ね、これでやりたい事全部できるでしょ?」

 

「…ふふっ、あはは…狛研さん。あなたはとってもいい人ですね。」

「えっ、そう?」

「…ごめんなさい、狛研さん。実は私、ちょっとだけあなたをからかってたんです。」

治奈ちゃんは泣き止むと、今までの涙が嘘だったかのように舌を出して笑ってみせた。

「あれっ?治奈ちゃん?」

「今話した事は全て事実ですが、泣いたのはちょっとオーバーリアクションでした。本当は当時の事、もうそんなに気にしてないので安心してください。」

えーっ!?嘘泣き!?

全然気づかなかったよ!

「なーんだ。」

「…でも、おかげで少し元気が出ました。ありがとうございます。」

「もう、治奈ちゃんってばー。すっかり騙されたじゃんか!…あれ?」

「どうかなさいましたか?」

 

「その髪留め、可愛いじゃん。どうしたの?」

「ああ、これですか。星也さんに貰ったんです。髪を整えていただいたついでに…」

「そっか。似合ってるよ。…ところで、今まで付けてた髪飾りは?」

「あれは、ブレスレットにしました。私の宝物ですから…」

「宝物?」

「はい。…弟が、幼稚園の工作で作って私にプレゼントしてくれたんです。…あの子も、生きてたらちょうど今年で10歳だったんですけどね。」

「…そっか。」

だから治奈ちゃん、才刃クンに優しくしてたんだ。

…弟クンと才刃クンを重ねてたのかな。

 

「ありがとう治奈ちゃん。お話できて楽しかったよ。」

「いえ、こちらこそありがとうございます。」

「…ねえ、あの約束…忘れないでよね。絶対生き残ろうね。お互いに。」

「…はいっ!」

 

《癒川治奈の好感度が1上がった》

 

 

 

 

やー、つい治奈ちゃんとの話で盛り上がっちゃったよ。

なーんかお腹すいたなぁ。

…そういえばそろそろお昼の時間だっけ。

食堂行かなきゃ。

 

 

 

 

【食堂】

 

「ごめん、みんなお待たせー。」

「全然待ってないよ。あと、神座さんと財原君がまだだね。」

しばらくしてゐをりちゃんが来た。

「………。」

「お、来たねゐをりちゃん。」

「……………。」

「あとは財原君だけか。…まあいつも通り遅刻だろうけど。」

「アイツ、なんで毎回遅れてくんの?遅れるくらいならいっそ来なきゃいいのによ。」

 

「ほわぁああーあ。ごみーん。待ったー?」

「…やっぱりね。」

「やっぱりって何が?俺がイケメンって話?」

「はいはい、そうだといいですね。」

「癒川サン、最近俺の扱い方雑じゃない?」

「じゃあもう全員揃ったし、ご飯食べちゃおうか。」

「賛成ー。」

 

 

 

 

あーおいしかった。

さてと。昼食べ終わったし、何しよっかな?

そうだ。新しく開放されたプラネタリウムにでも行ってみようかな。

 

 

 

 

【プラネタリウム】

 

あれ?暗い…

もしかして、もうすでに先客がいたのかな?

「誰かいるのかい?」

この声は…星也クン?

…と、隣にいるのは治奈ちゃんか。

あれ?もしかして今ボク、盛大に邪魔してる?

「あ、ごめん。お邪魔だったね。じゃあボクはこの辺で。」

「待ってよ、狛研さん。せっかくだから見てってよ。」

「でも、二人の邪魔しちゃ悪いし。」

「ははは、狛研さんってそんな事気にする人だったっけ?とにかくちょっと見てってよ。」

「いいの!?」

「うん。別に、僕達は君を邪魔だなんて思わないよ。ね、治奈。」

「はい。狛研さんなら大歓迎です。」

「わーい!」

 

 

 

 

キレイだねぇー。

ホント、人工の星とは思えないや。

「ねえ、二人とも。」

「はい、なんでしょうか狛研さん?」

「なんで今日は二人でプラネタリウムに来たの?」

「それは…」

「僕が誘ったんだよ。二人で行かないかって。ほら、最近事件やら裁判やらで忙しくて、ちゃんと二人の時間を楽しむ余裕が無かったからさ。」

「へー。でも、なんでプラネタリウム?」

「…星が好きなんだ。」

「え?」

「ほら、僕の名前…星が入ってるだろ?」

「あっ、それでか。」

「…だから、小さい頃はよく家族で星を見に行ったんだ。その時の事、思い出しちゃって…」

「そっか…」

星也クン、家族を亡くしてるからもうみんなで星を見に行く事もできないんだよね。

…よーし、だったら!

 

「はいっ!」

ボクは、二人の手を掴んで重ね合わせた。

「なっ…!?何してんの!?」

「家族で星を見られないんだったら、これからは治奈ちゃんと仲良く星を見ればいいでしょ?ほら、付き合ってるんだからもっとくっつきなって!」

「やめてよ…恥ずかしいから!」

「いいじゃん別に。部屋暗いし。誰も見てないよ。」

「狛研さん、君ねえ!そう言う問題じゃないんだよ!それに、今ガッツリ君が見てるじゃないか!!」

「あー、部屋が暗くてボクなーんにも見えないなー。」

「嘘つけ!!…全くもう、君って人は油断も隙もないね!」

「てへっ。」

「…でもまあ、おかげでちょっと元気が出たよ。ありがとう。」

「いえいえー。」

 

《穴雲星也の好感度が1上がった》

 

《癒川治奈の好感度が1上がった》

 

 

 

 

あー楽しかった。

「狛研さん。まだ夕食まで時間あるけど…君はこれからどうするんだい?」

「うーん、そうだなぁ。じゃあ夕ご飯の前にひとっ風呂浴びてこよっかな!」

「そっか、いってらっしゃい。…あ、遅刻しないでね。」

「わかってるって!どっかの天理クンじゃないんだから!」

「…もう名前言っちゃってるじゃないですかそれ。」

 

 

 

 

「ぶぇっきし!!!」

…あー、また誰かが俺の噂してんのかな。

まあ、俺ってイケメンだし背高いし天才だし超金持ちだし、まあ一言で言っちゃうと女にとっての理想の男だから?噂になっちゃうのは仕方ないよねー。

あーあ。できればわがままボディのねーちゃんが噂してくれてると嬉しいんだけどなー。

 

 

 

 

【食堂】

 

あー、さっぱりした。

割と早く着いちゃったな。

「陽一クン、なんか手伝う事ある?」

「あ、狛研ちゃん。じゃあこれ並べてくれるか?」

「ガッテン承知の助ー。」

そうこうしていると、全員集まってきた。

「……………。」

「はーん、もう俺腹減りすぎて死にそう。早く何か食わせてよ。」

「うるせぇ口閉じてろクズ。」

「ひどーい。」

「じゃあ全員揃ったし、準備も一通り終わったしご飯にしようか。」

「はーい!」

 

 

 

 

「ごちそうさまでしたっ!」

「あはは、狛研サンは律儀だねぇ。」

「だって、陽一クンがせっかく作ってくれたんだもん。ごちそうさまくらい言わないと。」

「ほわぁーあ。なんか眠くなってきちゃったねー。もう眠いし、そろそろ寝ようかな?」

「…おい、財原。」

「ん?何?」

「お前さ、随分と余裕ぶっこいてっけど、ゲームは終わったの?」

「あっ。いけねっ。忘れてた。やらねば。」

「はぁ!!?」

「ごめんごめん。俺、漫画に夢中でゲームやんの忘れてた。いやー、失敬失敬。」

「ふざけんな!もう時間がねェからさっさとクリアしろ!!」

「あいあーい。さーてと。…あれ?コレ思ったよりムズくね?うわっ、時間配分失敗した。」

「嘘だろ!?」

「安心しろって。俺はアプリゲームの神と呼ばれた男だぜ?こんなの余裕のよっちゃんよ。秒で片付けてやっから安心しろって。」

「フラグでしかねェよ…」

 

 

 

 

ー2時間後ー

 

「ぐははははー。雑魚めー。えいっ。」

「喋ってないで真面目にやりなよ。またミスするよ。」

「ごめーん。ホント、次から真面目にやるから許してよ。」

「おい、もう時間ねェぞ!!今度こそクリアしろよ!!」

「もう、心配性だなぁ栄クンは!三度目の正直って言うでしょ?」

「よく言うよ。もう10回くらい失敗してるよね?」

「じゃあ11回目の正直?ホント任せてよ。今度こそマジでクリアするか…あ、やべっ。ミスった。」

「はぁああ!?またかよ!!ミス多すぎだろ!!しかもよりによって毎回ファイナルステージの終盤でミスしやがって!お前さてはわざとやってんだろ!?」

「ごめーん。もう一回最初からだぁー。」

「おい、ふざけんな!!もうあと5分しかねェぞ!!」

「まあなんとかなるっしょ。」

「はあああああああ!!?ざっけんじゃねェ!!人の命がかかってんだぞ!!」

「別に俺以外の誰かが死のうと知ったこっちゃないんだけどねー。まあ、栄クンならまだいいけど、女子がブチ殺されたら俺のオアシスが減っちゃうからなんとか頑張ってクリアしてみるよ。」

「おい、あと3分だぞ!」

「よーし、ファーストステージクリア。なんかコツ掴んできたな。こっからはマジで任せてよ。」

「絶対失敗すんじゃねえぞ!!失敗したらボコボコにすっからな!!」

「ひえー怖。…おっ。セカンドステージクリア。」

「っていうか、本当に大丈夫かい?あと1分だけど。」

「まあ頑張るよー。俺の高橋名人並みのウルトラ16連打見せてやらー。…って、ちょっと待って。これ無理ゲーなんだけど。」

「は!!?」

「えっと…ヤバいこれ。クリアできるかなー?」

「おい!!あと30秒だぞ!!失敗したらどうすんだよ!!」

「わーやばいやばい。…あっ!!」

「『あっ』てなんだよ『あっ』て!!」

天理クンは、カタカタと身体を震わせながら画面を見せた。

 

 

 

「…ははっ…ははははは…ごめんみんな。がめおべらになっちゃったw」

天理クンの持っていたタブレットには、ゲームオーバーと表示されていた。

「…は?おい、嘘だろ…!?」

「そんな…!」

「ごめーん。手が滑った。最後の最後でやっちゃったZE☆でもまあイケメンな俺に免じて許してクレメンス。」

 

「ッ…おい!!ふざけんな財原!! お前がもっと早くゲームに取り掛かってたらこんな事になってなかったんだぞ!!どう責任取る気だテメェ!!」

「ちょっと、痛いよ。離してよ栄クン。人間誰でもミスのひとつやふたつはやらかすもんでしょ。」

「テメェ、ブン殴ってやらァ…」

「………待って!!」

 

声を上げたのはゐをりちゃんだった。

「…あの………これ、見て…………」

ゐをりちゃんは、タブレットをみんなに見せた。

 

 

 

あーらら。残念だったね、財原クン。

ルールにのっとると、キミのせいでこの中の誰か1人が死んじゃうって事になるね。

でも、キミ達に朗報です!

実は財原クンのゲームにだけ、致命的なバグがあった事がわかったのです。

 

「あ、道理で無理ゲーだと思ったわ。」

 

よって、今日のゲームは不成立となり、おしおきは執行されません!

いやー失敬失敬。

では、三日目の挑戦者を発表します!

次は…穴雲星也クン!

 

「…僕?」

 

みんなの命が大事なら、昼時間中にゲームをクリアする事!

ゲームの開始は明日の午前7時からだよ。

それじゃ、明日も頑張ってね!

 

 

 

「…ふぅ。助かったぁああ…!」

「危うく処刑されるところだったねぇ。」

「本当、心臓に悪いよ。」

「にゃははー。まさかゲームのバグに救われるとはね。ホントラッキーですわ。…あ、そのせいでゲームクリアできなかったんだから逆にアンラッキーかw」

「ッ!!!」

陽一クンは、天理クンの胸ぐらを掴んだ。

「ふざけんじゃねぇぞテメェ!!」

「…ねぇ、痛いんだけど。離してよ。」

「お前、これでもし誰かが処刑されたらどうするつもりだったんだよ。テメェ、自分が何をしでかしたのか、わかってねェわけじゃねェよな!!?テメェのせいで誰かが死ぬところだったんだぞ!!」

「そんな事言われてもねぇ。もう終わった事だし。結果的に誰も死んでないんだからいいじゃん別に。」

「結果論じゃないか。その様子だと君、いい死に方しないよ?」

「えへへ、褒められた。」

「褒めてないよ。」

「ほいじゃー俺の役目はここまでという事で。穴雲クン、明日は是非とも頑張りたまえ。」

「…君ねぇ。」

「じゃあ俺はもう寝るから。おやすみなさぁい。」

 

「…チッ、なんなんだアイツ。」

「陽一クン。気持ちは分からなくもないけど、一回落ち着こっか。」

「狛研ちゃん!!アイツは…」

「狛研さんの言う通りだよ、栄君。確かに、財原君は取り返しのつかない事をするところだったけれど…でも、そうやって毎日怒ってたら身が保たないよ。それに、疲れててピリピリしてるのはみんな同じなんだからさ。」

「…チッ、わぁったよ。」

「それじゃあ、もう10時過ぎてるし部屋に戻ろっか。」

「はーい。」

…なんかみんな、ゲームの乗っ取りの事もあってか、ちょっとピリピリしてるような気がするなぁ。

このままで本当に大丈夫かな…

 

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