狛研「残忍で狡猾で最低最悪の知能犯は、キミの方だったんだよ。そうでしょ?【超高校級のアナウンサー】穴雲星也クン…いや、【超高校級の知能犯】方神冥クン!!!」
穴雲?「…。」
星也クンは、俯いたままだった。
狛研「…星也クン?」
穴雲?「…ふ。ははっ…」
「あーっはっはっはははははははははははははははははははははははははははは!!!」
星也クンは、いきなり狂ったように高笑いし始めた。
栄「なっ、あ、穴雲…!?お前、一体…」
穴雲?「…コングラッチュレーショーーーーーーーーンズ。」
星也クンは、ゆっくりと手を叩いた。
そして、口角を吊り上げながら言った。
「そうさ、僕が…いや、俺が【超高校級の知能犯】方神冥だよ。」
「「「「「ッーーーーー!!?」」」」」
方神「あっはは、あーあ。うまくやってたと思ったんだけどなぁ。最後の最後でしくったわ。おめでとう狛研さん。雑魚の分際で俺の正体を見破っちゃうなんてさぁ…実に素晴らしい!エクセレントだよ!はい拍手!」
栄「んなっ!?じゃあ、テメェがゲームを乗っ取ったのか!!」
方神「そうだよ?いやあ、本当はあのゲームでみんなの信頼関係が壊れて欲しかったんだけど…物事ってなかなか自分の思うようには動かないモンだね。」
財原「ずっと俺らの事を騙してたワケ?」
方神「まあね。」
財原「キミがそんな奴だと思わなかったなー。っていうか、名前が女みたいで気持ち悪いんだよオマエよぉ。オカマじゃん。」
方神「君の方こそ、随分と分不相応な名前だけど?」
狛研「…本当に、君が方神なの?」
方神「そうだよ。俺が、君の家族を殺したんだよ。あ、そうそう。俺の家族が知能犯に殺されたって話だけど、アレは嘘だよ。知り合いの話を少しアレンジして話しただけさ。」
狛研「ッ…!!」
ボクは、一瞬で怒りと殺意に支配されそうになった。
目の前にいるこの男が、ボクの家族を奪い、クラスメイトを殺した。
そんな奴を許しておけるほど、ボクは利口じゃない。
でも、沸騰しそうになる感情を押さえ込んで言葉を振り絞った。
狛研「…ひとつ聞かせて。なんで治奈ちゃんを殺したの?…キミ達、協力関係だったはずでしょ。」
栄「え゛っ…!?」
詩名「それってどういう事?」
狛研「…方神は、最初からクマさん達と組んでたんだよ。」
栄「はぁ!!?知能犯は個人的に動いてたんじゃねェのかよ!!それに、あのクマ公はゲームを乗っ取られたって言ってたぞ!」
狛研「それは、知能犯との繋がりを探らせないための嘘だよ。ちゃんと根拠もあるんだ。」
コトダマ提示!
【ゲームのバグ】
「これだ!!」
狛研「みんな、天理クンがゲームオーバーになったときの事、覚えてる?」
栄「ん?ああ、確か財原の野郎がゲームで失敗しやがって、おしおきをされるはずだったんだけど、結局バグのおかげでお仕置きはナシになったんだっけ。」
狛研「そうだね。でも、疑問には思わない?…なんで方神は、おしおきを免除したのか。よく考えてみれば、おしおきを免除する意味なんて全くないんだよ。バグの事を黙ってそのままおしおきすればいいだけの事でしょ?」
神座「確かに…」
狛研「こうは考えられないかな?方神は、みんなの恐怖や苛立ちを煽ってコロシアイをさせたかっただけで、本当は最初から自分のゲームで死人を出すつもりはなかったんだよ。」
詩名「どういう事?みんなを煽ってコロシアイをさせるなんて、モノクマがやってる事そのものじゃないか。」
狛研「…そこなんだ。クマさんと方神が協力関係にあったとしたら、あの不自然な行動も説明がつくでしょ?つまり、あのゲームは、クマさんが用意したシナリオのひとつに過ぎなかった。だから方神は最初から誰かを殺す気はなかったんだ。だって、コロシアイとおしおき以外で人数が減ったらゲームにならないものね。」
神座「最初からおしおきする気がなかったから、資産家が失敗した時に適当な理由をつけておしおきを免除したのね。」
狛研「そういう事。でしょ?」
方神「証拠もナシにそんな事言われてもね。物的証拠は?」
コトダマ提示!
【未送信メール】
「これだ!!」
狛研「治奈ちゃんの部屋にあったパソコンに、未送信メールが残ってたんだ。そこには、知能犯との繋がりを示唆するような内容が書かれてた。…つまり、治奈ちゃんは黒幕と知能犯の間の連絡役でもあったんだよ。」
栄「んなっ…おい、テメェ!!最初からあのクマ公共と組んでたのか!!」
方神「あーあ、これを出されちゃ認めるしかないわな。そうだよ。俺達は、初めから協力関係にあったんだ。俺は、初日にモノクマに協力を持ちかけてたんだ。ゲームを面白くしてやるから協力しろってな。…色々ヒントもあげたんだけど、思ったより気付くのが遅かったね。」
詩名「本当なのかい?」
モノクマ『うん。面白くなりそうだから手伝ってあげたよ。協力関係がないっていうのは嘘だよ。あと、入田クンが死んだタイミングで乗っ取りの事を話したのは、オマエラの不安を煽るためだよ!』
財原「クマちゃんにプライドって物はないのー?」
モノクマ『ボクは、ぶっちゃけコロシアイが盛り上がればそれでいいからね。プライド?何それおいしいの?』
栄「コイツ…!」
方神「ねえ、みんな。まだ事件の真相は暴かれてないよ?頑張って議論しようよ!」
栄「チッ、ナメやがって!」
狛研「陽一クン。悔しいけど、コイツの言う通りだ。僕達は、まず真相を解き明かさないと。みんな、どんなに小さな事でもいいから気になった事があれば言って。全ての謎を紐解いていけば、おのずと真相は見えてくるはずだからさ。」
議論開始!
神座「あの、私からひとつ質問いい?」
狛研「何、ゐをりちゃん?」
神座「…看護師は本当に11時半に死んだのかしら。」
狛研「どういう事?ファイルに書いてあるんだから間違い無いよ。」
神座「でも看護師がゲームを失敗したのは、 11時35分でしょ。どうして死亡時刻より後にゲームを失敗してるの?」
栄「はぁ!?それ、ホントか!?じゃあ、11時半に死んだ癒川ちゃんと11時35分にゲームを失敗した癒川ちゃん、二人いるって事になるじゃねえか!」
詩名「真面目に議論しようよ。ドッペルゲンガーでもあるまいし。でも、なんで神座君は、癒川君がゲームに失敗した時間を知ってるんだい?」
神座「…それは、履歴を見たから…」
ゐをりちゃんの意見に賛成したい。
履歴⬅︎ 【ゲームの履歴】
「それに賛成だ!!」
同意
狛研「ゐをりちゃんの言う通り、確かにゲームの履歴に残ってたね。11時35分ゲームオーバーって書いてある。間違いないよ。」
栄「じゃあ、ファイルの情報もその履歴もどっちも正しいんだな?だったら、やっぱり癒川ちゃんは二人いる事になっちまうな。」
詩名「…本当にそうかな?」
狛研「どういう事?」
詩名「君達さ、何か肝心な事を忘れてないかい?」
議論開始!
詩名「あのさ、その履歴って、誰がプレイしたのかまではわからないんだろ?」
狛研「あっ…うん。」
詩名「だったら、そこの方神君がゲームをプレイした可能性だってあるじゃないか。」
栄「あっ!確かに!」
詩名「つまりだ。このタイムラグの謎は、なりすましで説明がつくんだよ。」
今の柳人クンの発言はおかしい!
なりすまし⬅︎ 【指紋認証】
「それは違うよ!!」
論破
狛研「柳人クン、それはあり得ないよ。」
詩名「どうしてだい?」
狛研「ゲームをプレイするには、指紋認証をクリアしないといけないんだ。そうでしょベルさん。」
モノベル『その通りでございます。…あ、言っておきますが、生体認証も兼ねているため、死体で指紋認証をクリアしようとしても無駄ですよ。それとプレイヤー以外の方がゲームをプレイしようとした場合、画面に触れた瞬間に強制的にシャットダウンされる仕様となっております。』
栄「じゃあ、癒川ちゃんにしかあのゲームはプレイできねェって事か?」
モノベル『左様でございます。』
栄「じゃあやっぱり二人いる事になんじゃねえか!!」
狛研「…あ。わかったかも。タイムラグのトリックが。」
栄「ホントか!!?」
狛研「ねえ、ベルさん。治奈ちゃんがプレイしたゲームは、どんなゲームだったの?」
モノベル『なぜアナタに教えなければならないのです?』
狛研「少なくとも裁判中はシロとクロの公平性を保つんじゃなかったの?これじゃあ明らかにクロ側が有利だよね?」
モノベル『むう…そう言われてしまうと返す言葉がありませんねぇ。わかりました、特別にお教えしましょう。癒川様がプレイしたゲームは、制限時間以内に立体パズルを解く問題です。』
狛研「…やっぱり。」
栄「やっぱり?どういう事なんだ、狛研ちゃん?」
狛研「その鍵は、さっきの履歴にあるんだ。」
コトダマ提示!
【履歴のタイミング】
「これだ!!」
狛研「履歴に残るのは、あくまでゲームにクリアか失敗した時間だけなんだよ。開始時間や所要時間は履歴に残らないんだ。」
栄「それがどうしたってんだ?」
狛研「つまり、こういう事なんだよ。まず、治奈ちゃんはゲームを開始して画面を開いたまま放置した。その間に今回の犯人とお茶をして睡眠薬で動きを封じて殺す。そして、そのまま時間が経てば時間切れでゲームオーバーになって、その時間が履歴に残る。そうやって自分のアリバイを作ろうとしたんだ。でも、治奈ちゃんは返り討ちにあって殺された。だから、治奈ちゃんが死んだ後にゲームオーバーになるっていうあり得ない状況が発生したってわけさ。」
栄「なるほど…」
方神「おめでとう。謎がひとつ解けたね。…でも、まだ謎は残ってるだろ?」
栄「コイツ、ナメやがって…!」
謎…?もしかして、アレの事か?
コトダマ提示!
【お茶】
「これだ!!」
狛研「…みんな、謎はまだ残ってるよ。」
神座「叶…?」
狛研「治奈ちゃん達が飲んでいたお茶だ。…どうも不可解な点があってね。」
議論開始!
狛研「研究室を調べてみてわかった事なんだけど、研究室にはお茶がブチ撒けられていたんだ。」
栄「お茶ぁ?」
狛研「うん。床に赤いお茶がこぼれてた。多分、割れたティーカップの中に入っていたものだと思う。」
栄「それの何が重要なんだよ。揉み合いになったんだったらカップが落ちて中のお茶が床に散ったりするだろ。別に、これといっておかしなところは無いんじゃねえの?」
これといっておかしなところは無い⬅︎ 【バタフライピー】
「それは違うよ!!」
論破
狛研「陽一クン、あの現場は明らかに不自然だったんだよ。」
栄「なんでだ?」
狛研「だって、治奈ちゃん達が飲んでたお茶は、元々赤色じゃなかったんだからね。あれは、元々は青いお茶だったんだよ!」
神座「青い…お茶…?」
狛研「うん。バタフライピーっていってね。pHによって色が変わる特殊なお茶なんだ。酸性なら紫〜赤色、アルカリ性なら緑〜黄色っていった具合にね。」
財原「なるほどねー。つまり、紅茶には何かが混ぜ入れられてたって事?」
狛研「そうだね。」
栄「え?普通にレモンティーとかにして飲んだんじゃねえの?」
狛研「ボクも最初はそう思ったけど、お茶にレモンは入ってなかったんだ。…つまり、天理クンの言う通り、何か変な物が混ぜ入れられた可能性が高いんだよ。」
財原「変な物、ねえ。何か心当たりは?」
コトダマ提示!
【モノナミンH】
「これだ!!」
狛研「それは多分、モノナミンHじゃないかな?」
栄「モノナ…?んだそりゃ。」
狛研「クマさん手作りの媚y…ピンク色の瓶に入ってた薬品だよ。」
財原「今しっかり媚薬って言いかけたよね。…で?」
狛研「多分だけど、モノナミンHがお茶の中に溶けて色が変わっちゃったんだと思う。」
財原「なるー。でもさー、どうやってお茶にそんなヤラシー薬なんて入れたんだろうね。」
議論開始!
栄「普通にお茶に混ぜたんじゃねェのか?」
詩名「いや、カップに塗っていたという可能性も…」
神座「揮発させた可能性は…?」
ゐをりちゃんの意見に賛成したい。
揮発させた⬅︎【ピンク色のガラス片】
「それに賛成だ!!」
同意
狛研「多分、モノナミンHのビンを割って中身を揮発させたんじゃないかな?」
詩名「どうしてそう思うんだい?」
狛研「部屋にピンク色のガラス片が落ちてたんだ。」
神座「なるほどね。」
狛研「…っていうか憶測だけど多分、犯人はお茶にモノナミンHを混ぜたかったというよりは、モノナミンHを揮発させる事が目的だったんじゃないかな?」
栄「ん?どういう事だ?」
狛研「多分ね、犯人は襲いかかってくる治奈ちゃんの動きを封じるために、ビンを割ったんだよ。」
栄「えぇええええ!!?媚薬で動きを封じるとか、そんなのアリかよ!大丈夫かそれ!?R−18タグ付いたりしないよな!?」
詩名「君は何を言っているんだい?」
財原「栄クンのメタ発言は置いといて、犯人が薬をばら撒いたとしたら一個気になることがあるんだけど。」
狛研「何かな?」
財原「そんな人の動きを封じるレベルの劇薬、吸ったら犯人もタダじゃ済まないよね?自分も媚薬の餌食になる可能性の方が高いのに、犯人はなんでそんなハイリスクな事したのかな?」
狛研「それは、犯人は事前に対策をしてたからだよ。」
財原「対策?」
コトダマ提示!
【換気扇】【マスク】
「これだ!!」
狛研「犯人は、あらかじめマスクを持っていたんだ。だから薬の餌食にならずに済んだ。そして、毒と薬で治奈ちゃんの動きが鈍った所で、部屋の換気扇のスイッチを入れたんだ。そうすれば、数分後には部屋には薬が残らなくなるってわけ。…そうでしょ?」
方神「すごいや、狛研さん!カスのクセによくそこまでたどり着いたね!さ、みんなもう疑問はないかな?」
栄「コイツ…」
方神「じゃあ、俺から問題ー!今回の事件の犯人、それは一体誰だったんでしょうか!?」
それは…
ボクは、方神を指差して言った。
狛研「…キミが犯人って事でいいんだね?」
方神「うん。そうでーす。俺が犯人だよー。」
詩名「やけにあっさり認めるんだね。」
方神「だってここまでバレてるんだったら今更何しても無駄でしょ。ここで悪あがきしたところで、
詩名「正気じゃないねぇ。俗に言うサイコパスってヤツかな?」
神座「どうして看護師を殺したの…?」
方神「へー、それ、気になるんだ。…まあ、強いて言うなら用済みになったからかな?あのクソビッチにはもう少し活躍してもらうつもりだったけど…俺はゲームを十分楽しめたし、色々俺の事探ってきたのがウザかったからね。だからつい殺しちゃった!アハハっ!」
栄「もう死刑でいいだろこんな奴。早く投票始めようぜ。」
詩名「そうだね。これ以上議論する必要はないよね。」
ちょっと待って…?
まだ解明できてない謎があるはずなんだけど…
「みんな、ちょっと待って。」
栄「狛研ちゃん?」
狛研「…やっぱり、方神は犯人じゃない気がしてきた。」
詩名「さっきまで怪しいって言ってたのは君じゃないか。一体どういう風の吹き回しだい?」
狛研「うまく言えないんだけど、方神は多分誰かを庇ってるんだ。この裁判を盛り上げるためにね。…そうでしょ?」
方神「はてさて、なんの事だかさっぱり?」
狛研「この事件の不可解な点…それは…」
コトダマ提示!
【モノキソールω】
「これだ!!」
狛研「この事件には、ひとつ不可解な点があるんだ。」
神座「不可解な点?」
狛研「うん。木箱に入ってたモノキソールωがなくなってたんだ。」
栄「なんだそりゃ?」
狛研「モノトキシンαの解毒薬だよ。治奈ちゃんを毒殺したんだとすれば、解毒薬なんていらないはずだよね?最初は、自分が毒のナイフで襲われたから使ったんだと思ってたけど…でも、方神の肩の傷は偽物だったから、その可能性は消えた。…だったら、解毒薬は一体何のために使ったのかな?」
方神「くくっ…はははっ…!」
詩名「何がおかしくて笑ってるんだい?」
方神「いや、ごめんごめん。まさかここまで早くバレるとは思ってなかったからさ。さすがは狛研さんだね。」
狛研「…じゃあ、やっぱりキミは犯人じゃないんだね?」
方神「当たり前じゃん。俺があんなゴミ女を殺して処刑なんてあり得ないから。」
狛研「…!じゃあまさか、君はこの中の誰かを焚き付けてコロシアイをさせたっていうの…!?」
方神「そうなるね。…あ、そうだ。みんなには、ここまで頑張ったご褒美をあげるよ。」
方神は、何かのリモコンを取り出してボタンを押した。
すると、モニターが降りてきて何かが映し出された。
狛研「ッ!?…なに、これは…」
方神「事件当時の映像だよ。本来は見せるべきものじゃないんだけど、みんながあんまりにも健気に頑張るもんだから、ついね。」
映し出されたのは、研究室だった。
治奈ちゃん以外に、誰かがいる。
「ーーーーー。」
そこにいたのは、天理クンだった。
『ぐっ…なんだこれ…頭がグルグルしやがる…!』
『はぁ、はぁ…!っ、あ、あ…たま…が…い、たい…から、だ、が…あつい…』
『!!?おい、どうした!?おい、癒川サン…?癒川!!しっかりしろ!!』
天理クンは、治奈ちゃんに駆け寄ると急いで介抱した。
『ふふっ、おやおや。どうやら大変な事になってるみたいだね。』
方神が研究室に入ってきた。
彼はマスクをしていて、部屋に入ったらすぐに換気扇をONにした。
『穴雲クン…!?キミ、何しにここに…!?』
『別に、何しに来たっていいだろ?ただの暇潰しさ。』
『そんな事より、癒川サンがヤバいんだけど。早く治療してあげてよ。』
『おっと、そうだったね。ああ、これは毒に侵されているね。財原君、なんで治奈は毒を?』
『こっちが聞きてえよ。』
『そうだよね。ふふっ。君達は運が良いね。実は、僕は今解毒剤を持ってるんだ。』
『だったら早く…』
『でも生憎一人分しかないんだ。君か治奈のどっちかしか助けてあげられないんだけど、僕は優しいから君に選ばせてあげるよ。自分かクラスメイト、どっちを助ける?』
『は…?何を言って…』
『決断は早い方がいいんじゃない?症状から察するに、今は毒が身体に入ってから1分くらい経ってるね。毒が全身に回るのに5分、解毒剤が完全に効くのが3分…あと1分で決めないと、どっちも死ぬ事になるよ?さあ、どうする?』
『ッ…!!』
天理クンは、覚悟を決めたような表情で言った。
『…ははっ、ナメやがって…マジでふざけんなよクソが。…そんなの決まってんだろ。』
『?』
『俺の事はいいから、癒川サンを助けて。』
『どういうつもり?』
『俺さぁ、君達が思ってるよりずっと紳士なんだぜ?こういう時はまず女から助けるべきだろ。ほら、早くしろよ。』
『…プッ。』
『ははははは!君はなんて面白いんだ!自分を犠牲にしてまでその中古を助けたいんだ?』
『最低だなオマエ。俺が言うのもなんだけど。』
『ふふっ、君のその生意気なところも気に入ったよ。君は、女の方を助けたいんだね?』
『ああ、だから…むぐっ!?』
方神は、左手で天理クンの顎を掴んでマスクを外し強引に口を開かせると、青いビンの中身を無理矢理飲ませた。
『はい、解毒剤。生還できて良かったね財原君。』
『テメェ…!何のつもりだ!』
『別に、選んだ方を助けるなんて一言も言ってないだろ?この女には、悪いけどここで退場してもらうよ。もう用済みだからね。』
『用済み…?オマエ、何を言って…』
『悪いけど僕は、君に今ここで死なれたら困るんだよ。だから君を選んだのさ。それだけの話だよ。おっと、コイツなんか様子が変だね?』
『…うっ!!?ガハッ、ゴホッ…!!』
治奈ちゃんは、いきなり血を吐いて暴れ出した。
『癒川サン…?おい、癒川!!』
『あーあ、もう手遅れだね。もう解毒剤は無いし…』
『オマエ…』
『おっと、誰のせいでこんな事になったのか、わかってないわけじゃないよね?』
『…!』
『本当はわかっているだろ?治奈を殺したのはーーーーー』
方神「いかがだったかな?」
栄「そんな…これって…」
財原「…。」
神座「これは本物の映像なの?」
方神「もちろん。…さて、狛研さん。もう犯人が誰だかわかったよね?」
狛研「…。」
ボクは、もう犯人が誰だかわかっている。
でも指名したくなかった。
確かにその人はあまりいい人だとは言えなかったかもしれない。
だけど、その人は何度もボクを助けてくれたし、ボクの事を信頼してくれた。
何より、ボクの事を誰よりも想ってくれていた。
でも、最初に誓ったはずだ。
絶対に真相を解き明かす。それがどんなに残酷な結末を招く事になっても受け入れると。
そのためなら、ボク自身が非情にならなきゃいけない。
ボクは、ゆっくりとその人を指名した。
ー人物指定ー
【超高校級の工学者】入田才刃
【超高校級の不運】景見凶夜
【超高校級の絶望】神座ゐをり
【超高校級の幸運】狛研叶
【超高校級の資産家】財原天理
【超高校級の栄養士】栄陽一
【超高校級の詩人】詩名柳人
【超高校級のマドンナ】白鳥隥恵
【セキセイインコ】翠
【超高校級の曲芸師】朱雪梅
【超高校級の知能犯】方神冥
【超高校級のダンサー】羽澄踊子
【超高校級の生物学者】日暮彩蝶/【超高校級の人狼】暁裴駑
【超高校級の侍】不動院剣
【超高校級の喧嘩番長】舞田成威斗
【超高校級の看護師】癒川治奈
【超高校級の国王】ラッセ・エドヴァルド・シルヴェンノイネン
➡︎【超高校級の資産家】財原天理
狛研「…キミが犯人だったんだね。天理クン。」
財原「…は?」
天理クンは、目を見開きながら声を漏らした。
方神「いや、『は?』じゃないでしょw君、自分の立場わかってないの?」
財原「わかんねーよ。なんで俺が犯人になるわけ?」
方神「あの映像をみんなに見てもらって、まだそんな事言えるんだ?状況的に、どう考えたって犯人は君だろ?」
財原「オマエの事だからでっち上げって可能性もあり得るよな?っていうかさ、俺が犯人なわけないじゃん。」
方神「だから、状況的に言ってお前以外あり得ないだろって言ってんるんだけど。」
「なーんか眠くなっちゃいそうだなぁ。」
反論
狛研「…天理クン?」
財原「あんな怪しい映像ひとつで俺を犯人にするとか、ホントひどいよね。言っておくけど、俺が犯人だなんてあり得ないから。」
ー反論ショーダウン 開始ー
財原「そもそも、オマエら何か大事な事忘れてない?」
狛研「大事な事?」
財原「死体だったとはいえ、人を刺したら返り血が飛ぶだろ?」
栄「確かに…」
財原「でも、俺の身体を見ろよ。血なんてどこにも付いてないぜ?やっぱり、キミ達の推理が間違ってたんじゃないの?とにかく返り血がついていない以上、俺が犯人だって事はあり得ないよね?」
俺が犯人だって事はあり得ない⬅︎【陽一クンの証言②】
「その言葉、斬らせてもらうよ!!」
論破
狛研「いや、今のキミに血が付いてないからって、キミが犯人じゃないとは限らないんじゃないかな。」
財原「どういう事?」
狛研「だってキミ、捜査前にお風呂に入ってたんだろ?だったら、証拠なんていくらでも隠滅できるよね?」
栄「でも狛研ちゃん。コイツとすれ違ったとき、確かにコイツには血が付いてなかったぜ。あ、ちなみにオレが財原とすれ違ったのは、犯行時刻の7〜8分後な。」
神座「じゃあお風呂で洗い流す前から血は付いてなかったのね。」
財原「ほらみろー。」
狛研「…待って。陽一クン、確か天理クンがお風呂に行ってくるって言った時、他に何か言ってたって言ってたよね?なんて言ってたのかは覚えてる?」
栄「えっと…確か、飲み物をこぼしたから風呂に入ってくるって…確かに、服とか手とかなんか濡れてたような気がすんな。」
狛研「…わかった。天理クンがどうやって証拠隠滅したのかがね。」
ー閃きアナグラム開始ー
オ チ ャ デ ア ラ イ ナ ガ シ タ
【お茶で洗い流した】
「これだ!!」
狛研「天理クン、キミは返り血をポットに残っていたお茶で洗い流したんだ。」
栄「お茶で!?飲みモンを粗末にしてんじゃねえよ!!あ、じゃなくて…なんでお茶で洗い流したりなんかしたんだよ!?普通水だろ!」
狛研「研究室の洗面所や飲み水を使ったらバレる可能性が高いからね。それに、お茶で洗い流したんだとすればお風呂に行く口実作りも同時に出来るから…」
栄「あっ…!それでアイツあの時…」
狛研「これでトリックの証明は終わりだ。何か言う事はあるかな、天理クン?」
財原「ぐっ…まだだよ!」
議論開始!
財原「確かにトリックは今までに解き明かした事で説明できるけど、俺からは肝心の証拠が何も見つかってねぇよな!?」
方神「しつこいなぁ。証拠なんて、あの映像で十分でしょ?もう君を庇うのにもだんだん飽きてきちゃったな。」
財原「とにかく俺は、証拠が無いんだったら絶対認めねぇから。」
何か無いか…?天理クンが犯人だって言える根拠は…
財原「俺が犯人だって言える根拠は?」⬅︎ 【反撃された痕】
「これで終わりだよ!!」
狛研「天理クン、キミは方神に解毒剤を飲まされたんだよね。つまり、キミ自身もあの時毒に犯されてたんだろ?」
財原「言ってる意味がわからないな。」
狛研「…まだわからない?お茶には毒は入ってなかったから、キミは飲む以外の方法で体内に毒を入れた事になる。つまりだよ。キミの身体のどこかに、治奈ちゃんに切りつけられた痕があるんじゃないの!!?」
財原「ッ…!?」
狛研「拒否したって無駄だよ。取り押さえてでも調べるから。」
財原「その必要は無いよ。」
天理クンは、観念したかのように右手の甲を見せた。
手には、確かに切りつけられたような赤い線がくっきりと残っていた。
栄「あっ、赤い線…!じゃあテメェが犯人なんだな!?」
財原「…あーあ、最悪。なんで結局はこうなっちゃうかなぁ。」
狛研「…?」
あれ?
なんだこの違和感は。
確かに、天理クンの右手にはボクの読み通り傷があった。
…だけどそれ以前に何かが足りないような…
方神「狛研さん?」
狛研「あっ…」
もう迷っている時間はない。
これが事件の真相だ!
ークライマックス推理開始!ー
Act.1
今回の事件の発端は、ボクと犯人が、内通者の正体に気付いた事だった。
内通者は、なんと治奈ちゃんだった。
治奈ちゃんは、自分の正体に勘付いた犯人を、消火器で殴って殺そうとした。
だけどボクが犯人を庇って、頭を消火器で殴られてしまった。
犯人を殺し損ねた治奈ちゃんは、別のプランで犯人を殺す事にしたんだ。
その前準備のために、治奈ちゃんはあらかじめ睡眠薬と毒とナイフを盗んでおいた。
Act.2
そして次の日、治奈ちゃんは犯人に研究室でティータイムにするから来るように呼びかけた。
ここで、治奈ちゃんは自分のアリバイを成立させるために、ゲームを開始してゲーム画面を開いたままタブレットを隠しておいたんだ。
犯人を確実に殺すため、用意したバタフライピーに睡眠薬を盛って、モノトキシンαを塗ったナイフを懐に忍ばせておいた。
そして予定時刻に犯人が研究室に来た。
おそらく犯人は治奈ちゃんから情報を引き出そうとして治奈ちゃんの呼びかけに応じたんだろうけど…
それが、後に悲劇を招く事になってしまうんだ。
Act.3
悲劇は、犯人が来てから数十分後、ちょうど二人が研究室でお茶をしている時に起こったんだ。
治奈ちゃんと犯人がティータイムを嗜んでいると、犯人は急に眠気に襲われた。
犯人に隙ができたのを確認した治奈ちゃんは、毒のナイフで犯人を刺そうとした。
だけど、治奈ちゃんにとって予想外の出来事が起こった。
振るったナイフは、犯人に躱されてしまったんだ。
そして、瞬く間にナイフを奪われて逆に肩を切りつけられた。
Act.4
治奈ちゃんは、それでも犯人を殺すために犯人につかみかかろうとした。
だけど、それすら犯人にとっては想定内だったんだ。
犯人は、あらかじめ盗んでおいたモノナミンHを叩き割って、揮発させた。
犯人は持っていたマスクで事なきを得たけど、治奈ちゃんの方は薬が効いて動きを封じられたはずだ。
だけどここで犯人にとって想定外の事が起こった。
治奈ちゃんが、突然苦しみ出したんだ。おそらく、ナイフの毒のせいだろう。
そして、治奈ちゃんに攻撃された時に手の甲を切りつけられた犯人もまた、毒が効き始めた。
Act.5
そこへ、望まれぬ客が来た。【超高校級の知能犯】方神冥だ。
方神は、マスクを装着し、研究室の換気扇をONにして部屋の中に入った。
そして、彼は持っていたモノキソールωを治奈ちゃん…
…ではなく、犯人に飲ませた。
時が経ち、犯人は解毒剤のおかげで生還し、一方治奈ちゃんは血を吐いてもがき苦しみながら死んでしまった。
そして、おそらく方神は、犯人に裁判で勝たせる事を条件に協力するように言ったんだ。
これは、脅しにも近い取引だった。犯人は、不本意とはいえ治奈ちゃんを殺した殺人犯だ。
このままだと方神に自分の犯行をバラされて吊られるのは目に見えていた。だから、犯人は方神と協力する事を選んでしまったんだ。
Act.6
犯人と方神は、早速現場の偽装工作を始めた。
まず、犯人は治奈ちゃんの死因が刺殺だと見せかけるために死体の胸部にナイフを突き立てた。
今思えば、死体に綺麗にナイフが刺さっているのは何ら不思議な事じゃなかったんだ。だって、治奈ちゃんは死んでいたんだからね。
そして犯人は治奈ちゃんの肩の毒を洗い流すために輸血パックを破いて中の血を撒いた。
この時付いた返り血は、ポットのお茶で洗い流したんだ。
そして方神の方は、自分の肩に血を塗って怪我をしたように見せかける工作をした。
Act.7
そうして工作を終えた二人は部屋を出た。
犯人は、陽一クンと途中遭遇したものの、怪しまれる事なくそのまま大浴場に行き、証拠を隠滅した。
そして方神は、ボクの目の前で三文芝居をして架空の犯人を探すよう仕向けた。
一方で、ボクはそれまではずっと殴られたショックで気を失って、前後の記憶が消えていた。
今思えばそれは脳震盪のせいなんだけど、方神があらかじめそこに置いておいたクレハミンXのせいで、ボクが犯人だと疑われる羽目になったんだ。
Act.8
そして一方、犯人も気付いていなかったであろう変化が二つ部屋の中にあったんだ。
ひとつ目は二人が飲んでいたバタフライピーだ。
空気中のモノナミンHは換気扇を回したからほとんど無くなったけど、お茶の中にモノナミンHが溶け込んで、元々青色だったお茶が赤色になっていたってわけ。
そしてふたつ目はゲームの履歴だ。
治奈ちゃんのプレイしていたゲームの制限時間が終わって、治奈ちゃんはゲームオーバー扱いになってその時間が履歴に残ったんだ。
そのせいで、死んだ後にゲームオーバーになるという有り得ない状況が発生してしまったんだ。
「これが事件の真相だ!…そうだよね?」
「【超高校級の資産家】財原天理クン!!!」
財原「…あーあ、負けちゃった。」
詩名「やけにあっさり認めるんだね。」
財原「っていうかよぉ、方神。オマエ、話が違うじゃねえかよ。狛研サンをスケープゴートにするのを手伝ったら裁判で勝たせてくれるっつってたじゃねえか。」
方神「そんな約束してたっけ?」
財原「コイツ…」
モノクマ『うぷぷぷ。そもうクロは決まったみたいですね?それじゃあ始めよっか!投票ターイム!』
モノベル『必ず、一人一票投票してくださいね。もし投票しなかったら、校則違反とみなしておしおきします!』
証言台にボタンが現れた。
狛研「…。」
財原「…俺はまだ、」
財原「全てを諦めたわけじゃない!!」
天理クンは、乞うような目でみんなを見た。
財原「…今回のおしおきは、最多票を集めた一人だけだ。みんなも知ってると思うけど、癒川サンを殺す事を計画し、みんなの命を裏で弄んでいた【超高校級の知能犯】はコイツだった。…だから頼む、みんな方神に投票してくれ!!」
財原「俺を…殺さないでくれ!!」
狛研「ッ…!」
天理クンの顔は真っ青に青ざめて、目にはうっすら涙が浮かんでいた。
…天理クンも、本当は死にたくなかったんだ。
確かに今までにイラッとくる事は何度もあった。
それに不真面目だし、怠け者だし、いじわるだし…ちょっとエッチだし。
だけど、今思えばそこまで悪い子じゃなかったし、この子が本当にボクの事を大切に想ってくれてた事はよくわかってる。
ボクをスケープゴートにしようとしたのだって、生き残るためだ。別にやりたくてやったわけじゃない。
それに、方神はボクの家族とクラスメイトの命を弄んだ。生かす価値なんて1ミリもない。
ボクがボタンを押せば、復讐できるかもしれない。
ボクは、方神に投票しようとした。
「…あ。」
制限時間の数秒前にボタンを押した。
ボクは、恐る恐る自分の押したボタンを見た。
その瞬間、罪悪感と自分の非情さへの嫌悪感に苛まれた。
ボクが投票したのは、天理クンだった。
モノクマ『うぷぷ、全員投票し終わったようだね?ではでは…結果発表ー!!』
モノベル『皆様の運命や如何に!?』
モニターにVOTEと書かれたスロットが表示され、ドラムロールと共にボク達の顔のドット絵が描かれたリールが回転する。
リールの回転が遅くなり、ついに止まった。
リールには、天理クンの顔が3つ並んでいた。
スロットからは、ボク達の勝利を祝福…いや、嘲笑うかのように、ファンファーレと共に大量のメダルが吐き出された。
学級裁判閉廷!