ダンガンロンパPRISON   作:M.T.

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第5章 非日常編⑤(???編)

VOTE

 

【超高校級の資産家】財原天理 4票

 

【超高校級の知能犯】方神冥 2票

 

【超高校級の工学者】入田才刃 0票

 

【超高校級の不運】景見凶夜 0票

 

【超高校級の絶望】神座ゐをり 0票

 

【超高校級の幸運】狛研叶 0票

 

【超高校級の栄養士】栄陽一 0票

 

【超高校級の詩人】詩名柳人 0票

 

【超高校級のマドンナ】白鳥隥恵 0票

 

【セキセイインコ】翠 0票

 

【超高校級の曲芸師】朱雪梅 0票

 

【超高校級のダンサー】羽澄踊子 0票

 

【超高校級の生物学者】日暮彩蝶/【超高校級の人狼】暁裴駑 0票

 

【超高校級の侍】不動院剣 0票

 

【超高校級の喧嘩番長】舞田成威斗 0票

 

【超高校級の看護師】癒川治奈 0票

 

【超高校級の国王】ラッセ・エドヴァルド・シルヴェンノイネン 0票

 

 

 

『うぷぷぷ!!お見事大正解ーーー!!!【超高校級の看護師】癒川治奈サンを刺殺…もとい毒殺したのは、ウザさMAXクソゴミクレイジーサイコシリアルキラー、【超高校級の資産家】財原天理クンでしたー!!』

「あ…」

天理クンは、絶望したような表情で投票結果を見て、声を漏らした。

 

「…ははっ、嘘でしょ…最悪…」

『フッフッフ。ちなみに今回、財原様と栄様だけは方神様に投票していました!』

『全く。状況的には、財原クンが犯人以外あり得ないでしょ!一体何を考えているんだろうね?』

「は…?なんで…」

「そうだよ。栄君、散々あれだけ財原君の事を嫌ってたくせに、なんで俺に投票したのかなぁ?」

「確かに、ソイツはクソ野郎でクズ野郎だ。…けど、今回ばかりはどう考えてもテメェが悪いだろ!こんなの、実質テメェが癒川ちゃんを殺したようなモンだろうが!!テメェは財原以上のクソ野郎だ!!だからテメェに投票した。文句あるか!?」

「栄クン…」

「ふーん、そっか。他のみんなは?」

「神座サン!コイツに投票しろって言ったのに…なんで俺に…!」

「確かに知能犯は人間の屑よ。だけど、資産家が実行犯だっていうのも事実でしょ。だったらまずは看護師を殺した資産家が裁かれるべきなんじゃないかしら。」

「なんでだよ!俺は、コイツに利用されただけなんだよ!!し、詩名クン!!」

「…君、今まで自分が何してきたかわかってるのかい?君が利用されていたとしても、方神君がどれだけクズだとしても関係ないよ。君には同情の余地なんてなければ、助ける義理も無いんだよ。オイラは、君が日暮君や翠君にした事、まだ怒ってるからね。」

「あれれ?財原君って人望がないんだね。まあ、あれだけ最低な事ばっかりやってきたから当然か。」

「こ、狛研サン!なんで俺に…」

 

「…ごめん。どうしても真実をねじ曲げたくはなかった。」

「ッ…!!」

ボクは、うつむいて声を振り絞った。

もちろん、自分で暴いた真実に嘘をつきたくなかったっていうのはある。

だけど、ボクが天理クンに投票した最大の理由は…

「ぎゃははははははははははははははははは!!!そりゃそうなるよね!!だって、みんなにとっては、君を生かす選択をするメリットなんて1ミリも無いもんね!!あーあ、かわいそうに!!」

「…どういう意味?」

「狛研さん、別にシラを切らなくてもいいよ。なんで君がそこの成金を見捨てたのかは、ちゃんとわかってるつもりだからさ。君は、自分の感情とリスクを天秤にかけた結果、財原君を殺す決断をしたんでしょ?」

「どういう意味だって聞いてんだよ!質問に答えろ!!」

「だってさぁ、よく考えてみてよ。最多票を集めた一人だけを処刑するっていうルールは、俺がモノクマと協力していた時の暫定ルールだ。でも裁判が終わった今、俺とモノクマの協力関係は抹消されたんだよ?つまり、そのルールが適応される保証はどこにもない。早い話、財原君を助ける選択をしたら、自分達が処刑されるリスクを背負う事になるんだよ。残念だったね、財原君。君が世のため人のために生きる聖人だったなら、もしかしたらみんな君のために命を懸けていたのかもしれなかったんだけどね。君には、みんなが命を懸けてまで助けるだけの価値が無かったんだよ。」

「ーーーーーー!!!」

「それにしても、みんな酷いよね!もしかしたら暫定ルールがまだ適応されてて、俺を処刑するチャンスだったかもしれないのに!口では仲間が大事だの復讐だの言っておきながら、結局最後は自分の命惜しさに財原君を見捨てたんだ!いやぁ、君達が清々しい程のクズで助かったよ!本当にありがとう!」

「クズはテメェだろ!!」

 

「…ねえ、栄君。良かったね。財原君に惑わされたバカが君一人だけでさ。」

「あぁ!?どういう意味だコラァ!!」

「もし他の誰かが俺に投票してたら、君は死ぬところだったんだよ?」

「あっ…」

陽一クンは、ようやく自分の置かれた立場を理解した。

そして、自分が助かった事への安堵からか、ほっとため息をついた。

「ぎゃはははははははは!!なーんだ、君だけは良心を持っていると思っていたのに…結局は君も自分の命惜しさに他人を蹴落とすクズだったんじゃん!いやあ、楽しいなあ!!本当にみんなクズばっかりで、俺は心底嬉しいよ!」

 

「黙れ!!!」

 

ボクは、証言台を叩いた。

「か、叶…?」

「よくもボクの家族を…治奈ちゃんを…絶対に許さない!!」

「絶対に許さない、か。ふふふ、面白い事を言うんだね、君は。許さないなら一体どうするっていうのかなぁ?あ、そうそう。せっかくだし、君にいくつかいい事を教えてあげようか?」

「…え?」

「さっきも言った通り、俺が家族を殺されて復讐の道を歩んだっていうのは、君や今回死んだ女の気を引くための真っ赤な嘘さ。ある人の話を少しアレンジしてはいたけどね。物語には嘘は付き物だろ?」

「…。」

「俺は、何の不自由もない割と裕福な家庭で育った。…でも、俺の父親は俺が幼い頃に俺が殺した。いや、違うな。死ぬように仕向けたんだ。」

「は…?」

「きっかけは大した事じゃなかった。ある日ふと思ったんだ。『この世界はなんてつまらないんだろう』ってね。確かあれは5歳くらいの時かな?俺は、自分の置かれている境遇の物足りなさに気づいたんだよ。そして、その物足りなさの原因を、あらゆる実験を通して見つけようとした。その実験のひとつとして、俺は試しに屋敷の使用人を唆して父親を殺させてみたんだ。」

「テメェ、一体何の話を…」

「実験は成功だった。父親を殺させたにもかかわらず、俺は誰にもその事に気付かれず、父親を直接殺した使用人だけが裁かれた。俺は気が付いたんだ。俺の人生に足りないもの…それは、他人の運命さえも自在に支配できるという圧倒的な立場…そして、それを他人に突きつけるという快楽だったんだよ!俺は、それから裏社会で組織を作り上げ、洗脳した社会のゴミ共を利用して何人も殺してきた。知り過ぎた探偵にバカな元婦警、闇オークションで取引されるガキ共、そしてとある暴力団に出入りしていた女とそのガキ…何人も何人も何人も殺してきた!!でも、俺が直接手を下した事は一度もなかった。だから誰も俺を裁けない!!安全圏からゴミ共に石を投げて都合の悪い事は全部他人に押し付けて、俺だけは絶対に傷つかない!!最高、最高、最っっっっ高!!!俺は選ばれた人間なんだ!!他の誰でもない…俺だけが、この世界の神にふさわしい!!!」

「コイツ、イカれてやがる…!」

「あなた、最低よ。」

「イカれてる?最低?ははは!いいねぇ!最高の褒め言葉だよ!」

 

「…。」

「あれれ?狛研さん、どうしたの?もしかして、ビビって言葉も出ない?じゃあ、特別にもう一つ教えてあげる。」

「やめて!叶の前でそんな事言わないで!叶も、こんな奴の言う事になんか耳を貸しちゃダメよ!」

「黙りなよ神座さん。俺は今狛研さんとお話してるんだからさぁ!」

「ッ…!!」

「…君の両親の事故と、あの女の弟の突然の病死…」

 

 

 

 

 

あれは全部俺の仕業だ。

 

「ッーーーーー!!?」

「そんな、テメェが狛研ちゃんの家族と癒川ちゃんの弟を殺したのか!!」

「そうだよ。だって、狛研さんのご両親ってば、俺の正体に気づいちゃったんだもん。それでさぁ、言われたよ。『まだ子供だからいくらでもやり直せる。だから今すぐに自首しろ』ってな。マジでふざけんなって感じだよな。自首なんかしたら俺のお楽しみがなくなっちゃうじゃんか。ムカついたからつい殺しちゃったよ。」

「テメェ…!」

「あ、そうそう。あの女の弟はアレだね。あの女の母親が、とある暴力団の頭と繋がっててさ。それで色々と面倒だったから、薬物中毒に見せかけて殺したんだよね。弟はまあ…ついでだね。だって、お母さんと離れ離れにしちゃかわいそうでしょ?」

「…。」

「あれ?どうしたの狛研さん。ショックで放心しちゃった?ははははははははははは!!いいねえ、その表情!親を殺した敵が目の前にいるのに殺せない絶望感に満ちた顔!!何度でも言ってやるよ。俺が、君の両親を、殺したんだよぉお!!!」

「うわぁああああああぁあああああああああぁああああああああああああ!!!」

 

ゴッ

 

ボクは、方神の証言台まで駆け寄って、全力で方神を殴った。

方神は、殴られた衝撃で数メートル吹っ飛ばされた。

「ッて…!クッソ、口の中切れてんじゃねえか…この馬鹿力が…!」

「叶…?あなた、一体何を…」

「…ろす。」

「…?」

「殺す…殺す殺す殺す殺す殺す!!よくもボクの家族を…殺してやる!!」

「ぐっ…!?」

ボクは、倒れた方神の首を絞めた。

「ッーーーーー!!!」

「ぐっ…、お、おい…いい、のか?俺を、殺せ…ば…君が、クロに…なって…おしおき…され、る…ぞ…」

「黙れ。お前だけは絶対許さない。絶対に殺す…!!」

「やめて叶!!そんな事をすればあなたまで死んでしまうわ!そんなの、犬死によ!」

「うるさい!!外野は黙ってろ!!ボクは、コイツを殺して復讐するんだ!!」

「ははっ、いいねぇ…その、憎悪に満ちた顔…!俺はなぁ…能天気なカス共がそういう表情で死んでいくのを見るのが大好きなんだよ!!」

「もうお前の声なんか聞きたくない…死ね!!」

「ぐっ…!?」

ボクが絞める力を強くしようとした、その時だった。

 

「やめろ!!」

 

「ッ!!?」

ボクは、陽一クンに引き剥がされて羽交い締めにされた。

「栄養士…!」

「陽一クン!?」

「やめろ狛研ちゃん!!冷静になれ!!」

「ゲホッ、ゴホッ…危うく殺されるところだったよ。ありがとう栄君。」

「うるせェ!!口閉じてろクズ!!…くっ、なんつー馬鹿力だよ!この子、ホントに女子か!?」

「うわぁあああ!!離せ!!離せよ!!」

「なあおい狛研ちゃん!目ェ覚ませって!!これ以上はオレ保たねえぞ!」

「何するんだよ、離してよ陽一クン!!離してくれないとコイツを殺せないじゃないか!!」

「嫌だ!!絶対に離すもんか!!両腕ちぎれたって体が半分なくなったって絶対離さねェぞ!!オレは、君が…これ以上クラスメイトが死ぬ所なんて見たくないんだよ!!」

「ふざけんな!!ボクは、コイツを殺すんだ!!コイツを殺して、復讐するんだよ!!そうでもしないと、お父さんとお母さんが報われないじゃないか!!!」

「聞け!!そんな事をして、狛研ちゃんの両親が喜ぶと思うか!?コイツを殺して狛研ちゃんまで死んじまったら、両親を悲しませる事になるんだぞ!!復讐なんてしたって、誰も幸せになんてなれねぇんだよ!!」

 

「うるさい!!…そんなの、ボク自身が一番よくわかってんだよ!!」

「狛研…ちゃん…?」

「復讐したって幸せになれないなんて、そんな事でお父さんとお母さんが喜ぶわけないって事なんて…そんなの、わかってんだよ…!でも…それでも…やっぱりコイツが許せないんだ…!ボクは、コイツを殺さないと気が済まないんだよ!!」

「狛研ちゃん…」

「うっ、うぅう…うぁああああぁあああああああぁああああああああぁあああああああ!!!」

ボクは、めいっぱい泣いた。

今まで押さえ込んでいた感情が一気に爆発して止まらなくなった。

 

「あーあ、臭いなぁ。こういう展開、俺は一番嫌い。」

『ねぇ、オマエラの拭けば拭くほど臭くなる牛乳雑巾くらいくっさい茶番劇にはもう飽き飽きなんだけど。オマエラは今回の主役じゃないんだから、ちょっと黙っててよ。はやくおしおきしろよって天からの声がうるさいので、そろそろアレいっちゃいましょっか。今回の主役の財原クンには、華やかに散って貰いましょう!!』

「ッ…!?いやっ!!死にたくない!誰か助けて!!今までの事は全部謝るし、お金ならいくらでもあげる!なんでもするからぁ!!」

「ホンットに往生際悪いね。今まで散々人の命を弄んできたくせに、自分だけ助かろうだなんて都合が良すぎるとは思わないの?」

「も、元はと言えばオマエが俺を利用したから…!オマエのせいで俺は…!!」

「言い訳なんて聞きたくねぇんだよ。お前は負けたんだから、さっさと退場しろよ。もう敗者さんに用はありませーん。」

「うっ…」

「どう?希望が絶望に変わった気分は?」

「お、俺は…」

「あーあ、君がこんなにみっともないと思わなかったなぁ。何が【超高校級の資産家】だよ。最期の最期に情けないね全く。君には少し期待してたんだけどなぁ。俺の買いかぶりだったかな?」

 

「…ねえ、()()()。」

「ッ!?」

「『天理』…万物を支配する天の原理、か。ふふっ、なんて傲慢な名前なんだろうね。自分が世界のルールだとでも言いたいのか。」

方神は、天理クンの髪を掴んで耳打ちした。

「…君に不相応な名前だよ。」

「あ…」

天理クンは、それを聞いた瞬間に放心して抜け殻のようになった。

「ぎゃはははははははははははは!!!素晴らしい!!俺は、世界一の資産家を屈服させて殺したんだ!!これを世界に公表すりゃあ、ビッグニュースになる事間違いなしだぜ!!でも、誰にも俺は裁けない!!誰も俺を殺せない!!なぜなら俺は『運命』に守られているから!!【超高校級の知能犯】なんてチンケな才能じゃない。天に選ばれ、運命すらも支配する才能…俺を阻む者などいない!!俺様こそが、【超高校級の勝者】なんだ!!あーっはっはははははははははははははははははははははははははははははははは!!!」

 

『さてと、ではそろそろ時間も押してる事ですし?始めましょうか、アレ。』

「ッ、いやだ!!やめて!!頼む、金ならいくらでもやる…なんでもするから許して!!」

「なんでもするって言ったら、俺は死ねって言っちゃうけど?」

「うっ…た、頼む!!もう処刑は十分だろ…?お願いだからもう許して!!」

『ダーメ。もう投票でキミがクロって事は決まっちゃったの!救済も酌量もパードゥンもありません!ほら、諦めてさっさとやっちゃうよ!』

「やだやだやだぁああ!!!死にたくなぁあああああああい!!!」

天理クンは、慌てふためいてその場で暴れ出した。

でも、なんか床の叩き方が不自然なような…

…!もしかして、モールス信号?

 

 

 

『安心しろ。キミの復讐は俺が引き受けてやる。』

 

 

 

…!?

復讐…?

天理クン、一体何する気…!?

 

 

 

『それでは!【超高校級の資産家】財原天理クンのために!スペシャルなおしおきを用意しました!』

 

「いやだぁああああああああああああぁあああああああああああああああああぁああああああああ!!!」

 

『ではでは…おしおきターイム!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴポッ

 

「…なーんちって。」

 

天理クンは、いきなり血を吐いて倒れた。

「ゲホッ、ガハッ…!!」

「天理クン…!?天理クン!!ねえ、しっかりしてよ!天理クン!!ッ…!?何これ、すごい熱…」

「ハァ…ハァ…へへっ、ちょっと効くのが遅かったかな?…プッ。」

天理クンは、口から何かを吐き出した。

それは、血塗れの銀色のリングだった。

「…!!」

さっきの違和感の正体はこれだったんだ。

さっきの天理クンの右手には、いつも中指にはめていた指輪が無かった。

天理クン、指輪を飲み込んでいたのか…

「知ってる?右手の中指の指輪って、ギャンブル運が上がるんだってさ。まさかこんな形で助けられる事になるとはね。やっぱ願掛けって大事だね。」

 

「ッ!!?おい、なんだこれは!!こんなの、計画に無いぞ!!どうなってるんだ!!」

「言った事なかったからね。…方神。キミ、まんまと罠に嵌ったね。」

「は…!?」

「俺がキミの正体に気づいてないと思った?キミが知能犯って事くらい、最初から知ってたよ。だから殺す事にした。全ては、キミを殺す為だけに俺と癒川サンが描いたシナリオだったんだよ。」

「お前とあの女がだと…!?あり得ない、いつからだ!!いつから組んでたんだ貴様ら!!」

「嘘でしょ?恋人のクセに、自分の彼女が寝返った事も把握してなかったんだ。引くわー。…俺と癒川サンが組んでたのは、景見クンが死ぬ前からだよ。もちろん俺は、癒川サンが弟の死の真相を知るために内通者になったって事は知ってたから、方神への復讐を手伝ってやるって言ったら喜んで協力してくれたよ。『あの子の敵を討てるのなら私は命だって差し出す』ってね。もちろん、癒川サンが栄クンを襲ったのも、キミの彼女のフリをしたのも、そして彼女が殺されたのも全部俺との打ち合わせ通りなんだよ。」

「そんな、あり得ない…!お前は確かに毒を喰らって、俺が解毒剤を飲ませたはず…!」

 

「ああ、そうそう。あのナイフ、実は最初から毒なんて塗ってなかったんだよ。」

「…は?」

「俺は打ち合わせ通りただのナイフで癒川サンの肩を切り付けて、介抱するフリをして監視カメラに映らないように傷口に毒を流し込んだだけだよ。そしてその後、テメェにバレないようにナイフに毒を塗ったってわけ。俺は、初めから毒になんて侵されてねェんだよ。変な勘違いをしてくれてありがとう。」

「そんな…じゃあ、あの解毒剤は…無駄だったって事か…!?」

「いや、全くの無駄だったわけじゃない。お前には、わざわざ作って貰ってたんだよ。俺を殺す毒をな!!」

「毒…!?お前、何を…」

「忘れたのか?モノキソールωは、特定の条件下では猛毒になるってクマちゃんが言ってただろ。」

「まさか…急性珀銀中毒…!?」

「ビンゴ。俺はあらかじめ珀銀製の指輪を飲み込んでいて、お前が俺に飲ませた解毒剤のせいで中毒にかかって今瀕死の重体だ。…つまりだ。」

 

 

 

「俺が今ここで死ねば、実行犯のテメェがクロとして処刑されるんだよ!!」

「ッーーーーーーーーーー!!?」

「はっはははははははははははははははははは!!!いやぁ、哀れだねぇ。皮肉とはまさにこの事だよ。俺、言ったよね?癒川サンに解毒剤を飲ませてやってほしいって。でもそれを無視してキミが俺に解毒剤を飲ませたんだ。俺がわざわざ唯一全員が生き残り、かつキミが勝てる方法を教えてやったってのに…キミはそれを自らドブに捨てたんだよ。」

「バッ、バカな!!あり得ない!!わざわざ俺を殺すためだけに自分を殺させたってのか!?なんのためにそんなクソみてェな事したんだよ!?」

「なんのために…?ははっ、笑わせてくれるじゃない。俺ってさぁ。色々と小難しい事言ってっけど、実は根は結構単純でさぁ。行動一つ一つに大した理由なんて無いんだよね。なんで俺がこんな事したのか教えてやろうか?…ガキ臭い腹いせだよ。」

 

 

 

「要は、テメェの事が大っっっっっっっ嫌いなんだよ!!とっととくたばれゴミ野郎!!」

「は…?」

「今どんな気分かって?最高に決まってんだろ?テメェを道連れにして、クソゲーをメチャクチャにして、そんな大それた事をしでかした俺は苦しい思いをする事もなく楽に死ねるんだからよ。俺の死に方を自由に決めていいのは俺だけだ!ざまあみろ!!おしおきなんざクソ食らえだ!!」

「ふざけんなクソ!!才能じゃ俺の足元にも及ばないくせに、調子に乗んな雑魚が!!」

「あ、そうそう。癒川サンから伝言頼まれてるから伝えておくよ。キミに伝えてほしいってさ。」

「あ…?」

 

 

 

「『地獄に堕ちろクソ野郎』…だってさ。ギャハハハハハハハハハハハハハ!!!かわいそうに、彼女から随分と嫌われた彼氏がいたモンだなぁ!!」

「テメェ…!」

「ねえ、楽しかった?安全圏から石を投げるのは。自分は手を汚さずに人を殺して場を支配した気になって、最高にエクスタシー感じたでしょ?でも、これでキミも殺人犯の仲間入りだ。希望が絶望に変わった気分はどう?ねえねえ、今どんな気持ち?どんな気持ち?」

「うるせェ!!黙れクズが!!クッソ、なんなんだよテメェは!!あああああああああ、醜い!!こんなやり方、美しくない!!こんな、セオリーも戦略も才能も美学も運命さえも、全てを無視したやり方…正気じゃない!!完全に狂ってんだろテメェ!!!」

「かもな。」

「!?」

「言ったろ?人生を本気で楽しめる奴は正気じゃないってな。別に周りがどうとか、正しいかどうかとかどうでもいい。俺は、自分が楽しく生きられりゃあそれでいいんだよ。そのためならなんだって利用するし、それを邪魔するルールなんてねじ曲げてやる。確率も法則も、時に運命さえも支配して、俺が最も望む未来を強引に掴み取る。それが俺の【超高校級の勝者】としての才能だ!!」

「ッ…!!」

「どうした?そんな、雑魚に噛み付かれたみたいな顔してよぉ。なあ、【超高校級の敗者】さん?」

「ぐっ…き、貴っ様ぁああああああああああ!!!」

 

「ッ、ゲホッ、ゴホッ…!ハハッ…さすがに喋りすぎたか。これ、思ったより死ぬの早いかも。…ヘヘッ、最期に…テメェのダセェ死に様を見られそうにないのが心残りかな。まあでもいっか。『囚われのマリアのための交響曲』の続きは見届けられたしな。」

「天理クン!もういいよ、喋らなくて!これ以上仲間が死ぬなんて、ボクは嫌だ!」

「ゼェ…ゼェ…どうせ生き延びたって、おしおきを受けるだけだよ…だったら潔く死んでやるよ。短い間だったけど楽しかったぜ。」

「そんなの、わからないじゃないか!とにかくこのまま死ぬなんてダメだ!!」

「狛研サン…最期にこれだけは伝えておくね。俺は、キミの事を誰よりも信頼していたし、クラスメイトとしても、友達としても、一人の女の子としても、キミは俺にとって誰よりも大切な人だった。」

「そんな…これから死ぬみたいな言い方やめてよ!キミは【超高校級の勝者】なんだろ!?死ぬ運命くらい、ねじ曲げてみせろよ!」

「…じゃあ、俺が生き残ったら俺とデートしてくれる?」

「え…?」

「俺、遊園地とか行きたいなー。あと甘い物とかも食べたいなー。いろんなアトラクション乗ったりとかー、あ、でも歩き疲れるのはパス。それで一緒に写真撮ったりして…」

「うん、いいよ。一緒に行こう。」

「…()。」

 

 

 

 

 

 

「大好きだよ。…ありがとう。」

「何言ってんの。ここから出たら、一緒に行こうよ。その後はみんなでパーティーでもしようか。陽一クンにご飯作ってもらってさ。」

「狛研ちゃん。」

「天理クンはいっつも遅刻するから、ちゃんと時間通りに来てよね。今度また遅刻したら許さないから。」

 

 

 

「…ソイツ、もう死んでるよ。」

「え…」

ボクは、天理クンの顔を見た。

天理クンは、ボクの腕の中で冷たくなっていた。

ボクにはわかる。天理クンはもう手遅れだ。

ボクが抱えていたのは、さっきまで天理クン()()()死体だ。

でもその顔は、不満や迷いが一切無いかのように、満面の笑みを浮かべていた。

 

「ふざけんなクソが!!よくもこの俺様を散々コケにしてくれたな!!何笑ってやがる、気持ち悪いんだよテメェ!!テメェなんざ切り刻んで家畜の餌にしてやるァあああああああああああああああああ!!!」

「無駄だよ方神君。その前に、君はまず裁かれるべきなんじゃないのかな?ねえ、モノクマ。」

「はっ…!?」

『おっと、そうですね。財原クンがおしおき前に死んじゃったのが想定外すぎてワタワタしてたよ。おかげでうるさい原のおしおきシーンが見られなかったじゃん!おしおきはよって天の声がうるさいからちゃっちゃとやっちゃうよ!まあ、今回犯人は投票するまでもないだろうけど、一応投票してもらおっか。めんどくさいから捜査と学級裁判はナシでいいかな?』

『今回は、特別ルールはナシですよ。もし外せば犯人以外の全員がおしおきとなります。』

「ちょっ、ふざけんな!!何を勝手に…」

『それじゃあ始めよっか!投票ターイム!』

『必ず、一人一票投票してくださいね。もし投票しなかったら、校則違反とみなしておしおきします!』

「ざけんじゃねえ!!おい、ゴミ共!!俺に投票したら殺すからな!!」

「…。」

証言台にボタンが現れた。

ボクは、迷わず方神に投票した。

 

『うぷぷ、全員投票し終わったようだね?ではでは…結果発表ー!!』

『皆様の運命や如何に!?』

 

 

 

モニターにVOTEと書かれたスロットが表示され、ドラムロールと共にボク達の顔のドット絵が描かれたリールが回転する。

リールの回転が遅くなり、ついに止まった。

 

リールには、方神の顔が3つ並んでいた。

スロットからは、ボク達の勝利を祝福…いや、嘲笑うかのように、ファンファーレと共に大量のメダルが吐き出された。

 







新しい試みに挑戦してみました。
ライアーゲーム大好きなのでちょっと影響受けちゃいました。
こういう展開があってもいいじゃない。
あ、財原クン死にかけの割には元気すぎじゃね?っていうマジレスはナシでお願いします。
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