本人からメッセージをいただいております。
羽澄「今日、アタシの誕生日なんだよね。なんか、アタシの誕生日ってPOPの日らしいよ。え?なんでかって?909がPOPに見えるかららしいよ。なんか日本POPサミット協会の顧問?が言い出したとかなんかで、記念日になったんだってさ。アタシ、色々ダンス踊ってっけどやっぱポップスが一番しっくりくるんだわ。だからアタシの誕生日がこういう記念日っつーのはちょいテンアゲなんだよね。」
VOTE
【超高校級の知能犯】方神冥 4票
【超高校級の資産家】【超高校級の勝者】財原天理 1票
【超高校級の工学者】入田才刃 0票
【超高校級の不運】景見凶夜 0票
【超高校級の絶望】神座ゐをり 0票
【超高校級の幸運】狛研叶 0票
【超高校級の栄養士】栄陽一 0票
【超高校級の詩人】詩名柳人 0票
【超高校級のマドンナ】白鳥隥恵 0票
【セキセイインコ】翠 0票
【超高校級の曲芸師】朱雪梅 0票
【超高校級のダンサー】羽澄踊子 0票
【超高校級の生物学者】日暮彩蝶/【超高校級の人狼】暁裴駑 0票
【超高校級の侍】不動院剣 0票
【超高校級の喧嘩番長】舞田成威斗 0票
【超高校級の看護師】癒川治奈 0票
【超高校級の国王】ラッセ・エドヴァルド・シルヴェンノイネン 0票
『うぷぷぷ!!お見事大正解ーーー!!!【超高校級の資産家】および【超高校級の勝者】財原天理クンを毒殺したのは、爽やかなイケメンアナウンサーの皮を被った悪魔、【超高校級のアナウンサー】穴雲星也クン…もとい、【超高校級の知能犯】方神冥クンでしたー!!』
『いやはや、それにしても財原様、まさか複数才能持ちでいらっしゃったとは…多才ですねぇ。』
ボクは、平然と投票結果を見ていた。
こうなるのは、わかり切った事だった。何も動揺する事じゃない。
…ただひとりを除いては。
「ふざけんなクソがぁあああああああああああああああああああああ!!!」
「おい…テメェら、俺に投票するなっつったよなぁああ!!?なんで俺に投票したんだ!!」
「うるせェ!!オレ達が誰に投票しようと勝手だろ!!オレ達は、散々悩んでここまで来たんだ。テメェにとやかく言われる筋合いはねェよ!!」
「黙れクソ!!ブッ殺してやる!!」
「無駄だよ。君はこれからおしおきで死ぬんだよ。」
「そんなわけあるか!!俺は【超高校級の勝者】だぞ!!俺は、いつだって勝者であり続けてきた!!こんな所でこんな雑魚共に負けて死ぬなんてあり得ない!!俺の辞書に敗北なんて言葉は無ェんだよ!!」
「何言ってるの、あなた。」
「くっ…なんでこうなるんだよクソが!!俺がどれだけ戦略を練って、無能なゴミ共を洗脳してここまで来たと思ってる!!それをあんな雑魚の小細工で…!!」
「どれだけ嘆いても、あなたが資産家を殺して裁きを受けるという結果は変わらないわ。あなたには、運命をねじ曲げる才能なんて無いのよ。」
「黙れクソブスチビが!!」
「方神、お前は、今までそうやってお前に嵌められて裁かれてきた人達や、お前の策のせいで犠牲になった人達の気持ちを考えた事あるか?そうやって人の命を弄んできたから当然の報いを受けた。それだけの話だろ。」
ボクは、いたって冷静に方神を諭した。
もう、コイツには怒りすら抱かない。
ボクの心にあるのは、軽蔑の念だけだった。
「ピーピーピーピーうるせェんだよカス共がぁああああ!!!貴様ら、さっきはよくも俺様をコケにしてくれたな!!テメェらが俺を見捨てるというのなら、俺だってテメェらなんていらねェ!!テメェらまとめて全員ブチ殺してやる!!」
「方神…」
「おい、狛研ィ!!」
「ッ!!」
「ただの幸運の分際で、よくも俺様を侮辱してくれたな!!テメェの父親といい、テメェといい…テメェの一族は揃いも揃って目障りなんだよ!!俺が今ここで根絶やしにしてやらぁああああああああああああああああ!!!」
方神は、隠し持っていたナイフを持ってボクに突進した。
「…。」
方神の前に、ゐをりちゃんがボクを庇うようにして立ちはだかった。
「ッ!!」
「ゐをりちゃん…!」
「絶対に殺させない。叶の事は、私が守る。」
「なんで…だったらテメェを殺してやる!!」
「別にそれでもいい。だけど、叶だけは絶対に守ってみせる。」
「なんで…コイツは、ただの幸運だぞ!!守る価値なんてねェだろうが!!」
「価値とか才能とか関係ない。叶は、私にとって大切な人だから。だから叶には生きていてほしいの。」
「ッ…!!じゃ、じゃあテメェだ詩名!!雑魚でチビのくせに調子に乗りやがって…テメェが一番目障りなんだよ!!」
「…。」
陽一クンが、柳人クンの前に立ちはだかった。
「オレはもうこれ以上誰にも死んでほしくない。どうしてもコイツを殺すっていうんだったら、オレを殺していけ。」
「栄君…」
「あ゛ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!なんでだよ!!なんでこうなるんだよ!!テメェら、なんでそんな価値のないヤツは庇うくせに、価値のある俺の事はのけ者にするんだよ!!ふざけんなよゴミが!!」
「何言ってんのコイツ。」
「頭おかしいよね。」
「…ねえ、方神。ボク、キミの事はもっと恐ろしいヤツだと思ってた。圧倒的で絶対的な才能を持っていて、本当に他人の運命すら支配できるんじゃないかって思った事すらあったんだよ。でも、キミがこんなに弱いヤツだなんて思わなかった。…かわいそうに、道を踏み外しさえしなければもっと幸せに生きられたはずなのに…気付いてあげられなくてごめんよ。」
「やめろ…俺をそんな目で見るな…!俺は、お前らになんて同情されたくない…!」
「ボクは、キミを許さない。キミには、正直ボクの家族が受けた苦しみの百倍以上の苦しみを与えないと気が済まない。」
ボクは、方神の胸ぐらを掴んだ。
「お、おい…まさか殺す気か…!?やめろ、それだけは…!」
「…でもね、ボクはキミを殺さない。キミなんて、殺す価値も無い。」
「なんで…」
「ボクはキミの事をこれからもずっと許さない。だけど、ボクはキミを殺さないし、殺したいとも思わない。」
「だって、キミは『いらない』から。」
「あ…あああ…お、俺が…いらない…?」
「そうだよ。天理クンに負けて、みんなに当たり散らしてるキミなんて、誰も必要としてないんだよ。キミは、ここにいる誰よりも価値が無い人間だ。…何度でも言うよ。キミは、負けたんだよ。」
「お、俺が…負け…?」
「あぁああああああぁああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
方神は、けたたましい声で叫んでその場で暴れた。
頭を何度も床に叩きつけて、血が滲むぐらい頭を掻き毟った。
全身にじんましんが出て、顔を真っ青にして、あり得ない量の汗をかいていた。
『うっわ、壊れたw事実を受け止めきれなかったんだねぇ。おお、あわれあわれ。』
『フッフッフ。もうおしおきの準備はできているのですが、このまま醜態を晒させて絶望に堕とすのもまた一興…気が済むまで見届けましょうかねぇ。』
「嘘だ!!嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だぁあああああああ!!!俺は【超高校級の勝者】だぞ!!俺の人生に敗北なんてあり得ない!!俺が負けるわけがない!!!俺様は、選ばれた人間なんだ!!!」
『なーに言ってんの、【超高校級の勝者】なら、キミがさっき毒殺したじゃん!ホント、ボケてんじゃないの?大丈夫?病院行った方がいいんじゃないの?』
「そうだ、俺はまだ負けてない!!財原だって、本当はまだ生きてるんだろ!?この前だって、死んだフリしてたもんな!!」
「方神…お願いだから現実を見てよ。」
「今から助ければまだ間に合うかもしれない!!おい、起きろ!!起きろっつってんだろクソが!!」
方神は、天理クンの死体を何度も蹴った。
…そんな事をしたって、生き返るわけないのに。
「ハコガミ、もう諦めろ。ソイツはとっくに死んでるよ。」
「おいモノクマ!!珀銀中毒の治療薬は!?薬をよこせ!!」
『珀銀中毒は不治の病だよ。治療薬なんてありません!それに、たとえあったとしても死んだ人間に薬あげても無駄でしょ。』
「じゃ、じゃあ蘇りの技術は!?お前ら、知ってるんだろ!?コイツを生き返らせろ!!」
『無理だよ!何をもってそんな戯言を言ってんのかは知らないけど、一度死んだ人間が生き返るわけないでしょ!3歳児でも知ってる常識だよ!それともオマエはものすごくバカなの?』
「くっ…お、おいクソ女!!どこにいんだよ!!さっさとこの成金を治しやがれ!!こんな時に何やってんだよ!!治せっつってんだろボンクラがぁあ!!」
「方神、治奈ちゃんを呼んでも無駄だよ。治奈ちゃんならキミが天理クンを使って殺したでしょ。」
「ッ…!!じゃあ、じゃあ…!」
『フハハハハハハハハ!!なーにバカな事やってんですか!!アナタが財原様を殺し、今からおしおきされる…これはもう確定事項なんですよ!今更アナタが何をしようと覆るわけないでしょう!!財原様になら結果すらも歪める才能があったんでしょうが、アナタには無理だったようですねぇ!!』
「ぐぅうううううう…!!!」
「いい加減認めなよ。このゲームは、天理クンの勝ち逃げだ。キミは、どうやったってあの子には勝てない。キミは、負けたんだよ。」
「いやだぁあああ!!俺が負ける!?そんなのあり得ない!!いやだ、いやだいやだいやだ!!負けたくない、負けたくなぁあああああぁあい!!!」
方神は、自分が負けているという事実に耐えられず、全身を掻き毟った。
「何言ってんだコイツ。とっくに負けてるっつーの。」
「ふざけるな!!こんなの不正だ!!俺は、負けてなんかない!!財原だって癒川だって、本当は生きてるんだ!!俺をコケにしやがって…アイツら後で絶対ブッ殺してやる!!」
『何言っちゃってんの?そんな事できるわけないじゃん。オマエがあの二人に勝つ事は永遠に不可能なんだよ。だって、二人はもう死んじゃってるんだもんね!』
「嘘だ!!俺を誰だと思っていやがる!!俺が負けるわけがない!!俺の勝利は約束されてんだよ!!俺は、勝つために生まれてきたんだ!!俺があんな雑魚共に出し抜かれて負けるなんて、あっていいわけがないんだよぉおおおおおおおお!!!」
『だーかーらー、何度も言わせないでよ。【超高校級の勝者】はさっきキミが殺した財原天理クンただ一人なの。キミは、ただの【超高校級の知能犯】。それ以上でも以下でもないの!あ、それとも何?財原クンみたく二つ目の才能が欲しいんだったら、【超高校級の敗者】とでも呼んであげよっか?』
「俺が敗者だと!?侮辱するのもいい加減にしろ!!あんな雑魚が勝者なわけないだろ!!俺様こそが本物の勝者なんだよ!!!」
『あーあ、もううるさいね全く。弱い犬はよく吠えるとはまさにこの事だよ。これ以上長引かせると天の声がうるさいし、そろそろアレいっちゃいましょっか、アレ。』
「はっ…!?おい、まさか…俺をおしおきしようっていうのか!?」
『それ以外に何が考えられるんです?』
「ふざけんなテメェら!!話が違うじゃねえか!!何のために俺がお前らと組んだと思って…」
『話が違う?何言ってんの?ボク達は、キミのゲームに乗っかってあげる事には承諾したけど、別におしおきを免除するとは一言も言ってないよ?あーあ、キミを泳がせておけばもっと視聴率稼げると思ってたのに…興醒めだよ!』
『とほほ…ワタシ達は、どうやらアナタを買いかぶりすぎていたようですねぇ。こんな事なら最初から協力なんてするんじゃありませんでした。』
『ホントだよ!ちょっと下手に出てあげたらすーぐイキり倒してさ!調子に乗りすぎなんだよオマエ!』
『アナタにはほとほと愛想が尽きました。目障りなので、早く地獄に堕ちてくださいな。』
「黙れクソがぁああああ!!!俺は、ここにいる誰よりも強くて賢い…選ばれた人間なんだぞ!!俺は、そこら辺の砂利共じゃあ足元にも及ばない…圧倒的な価値を持った存在なんだぞぉおおぉおおお!!!」
『ふーん、あっそ。じゃあ聞くけど、オマエは一体自分の力で何を成し遂げたっていうの?』
「えっ…」
『財原クンみたいに投資や起業で成功した?癒川サンみたいに難病に苦しむ人を救った?景見クンみたいに自分の運命に抗おうと努力した?白鳥サンみたいに憧れの人に近づくために自分を磨いた?羽澄サンみたいに世界中を沸騰させるダンスを披露した?日暮サンみたいに色んな動物を絶滅の危機から救った?暁サンみたいに自分の手で人を殺した事はあった?舞田クンみたいに自分の正義のために全力で戦った?朱サンみたいに世界中で注目されるような芸を披露した?不動院サンみたいに高みを目指して修行に打ち込んだ?入田クンみたいに工学者として功績を残して賞を取った?ラッセクンみたいに一国の王として国民を導いてきた?』
「テメェ、何を言って…」
『まだあるよ。栄クンみたいに栄養学でアスリートを五輪優勝に導いた?詩名クンみたいに世界中の人々を感動させる詩歌を作った?神座サンみたいに自分の命を懸けてまで友達を守ろうとした?はたまた、狛研サンみたいにみんなを元気づけて、裁判で真相を暴いた?』
「俺は、あんな雑魚共とは違う!!愚民共の運命を支配して、俺の思うままに動かしてきた!!俺は、この世界で最も神に近い存在なんだぞ!!」
『オマエが自慢してる事ってさ、全部他の人にやってもらった事だよね?ボク、知ってるよ。キミが【超高校級のアナウンサー】としてスカウトされたのだって、自分の部下を利用して印象操作をしたり代役をやらせたりしたからだよね?キミ自身は、大した才能が無いくせにさ。』
「俺は、誰よりも才能が…」
『この際だからハッキリ言っておくよ。キミは、自分の力で何かを成し遂げるのが怖いんでしょ?そんな事したら、『負ける』かもしれないからね。だから自分の手を汚さずに人に全部やってもらって、それを自分の才能だと勘違いする事でしか自分を大きく見せられないんでしょ?』
「違う!!俺は、雑魚共とは次元が違うんだよ!!」
『…ねえ、キミさぁ。今まで何をしてきたの?』
「は…?」
『まだわかってないみたいだね。キミは、自分の力で何かを成し遂げてない時点で既に凡人以下なんだよ!もう負け犬に用はないからさっさと消えてよね!』
「い、いやだぁあああああああああ!!!負けるのは嫌、負けるのは嫌だぁああああああ!!!死にたくない、俺はこんなところで死ぬわけにはいかないんだよぉおおおおおおおおお!!!」
方神は、みっともなく逃げた。
エレベーターに乗ろうと扉を叩くが、扉はビクともしない。
『あーあ、みっともないね全く!じゃあそろそろ時間も押してるしいっちゃいましょっか!それでは!【超高校級の知能犯】方神冥クンのために!スペシャルなおしおきを用意しました!』
「いやだ、いやだいやだいやだいやだいやだ!!!…ッ!?」
ボクは、方神と目が合った。
「おい…何見てんだテメェ…やめろ、その哀れむような目を向けるな…!そんな目で…」
『ではでは…おしおきターイム!!』
「俺を見るなぁあああああぁあああああああああぁあああああああああああ!!!」
クマさんはハンマーを取り出すと、せり上がってきた赤いボタンをピコっと押した。
ボタンの画面に、ドット絵の方神が連れ去られる様子が表示された。
GAME OVER
ハコガミくんがクロにきまりました。
オシオキをかいしします。
方神は、ロープのようなもので首を絞められ、そのまま上へと登っていく。
上へ上へと上がっていくと、突然ロープが止まり、岩肌に設置された足場に立たされる。
ふと下を見ると、下は腐った肉や汚物が蓄積し、巨大なミミズやゴキブリのような生き物がうじゃうじゃと住み着く沼になっていた。
風が下から上へと舞って、鼻を突き刺すような悪臭が立ちこめる。
方神は、顔を青くしながら立ちすくんだ。
ふと上を見ると、崖の頂上は雲で覆われていて、所々光が差して輝いている。
そこで文字が映し出される。
罪を謳って謳って雲の上
【超高校級の知能犯】方神冥 処刑執行
方神が立っている足場が崩れ始める。
方神は、身の危険を感じて咄嗟に近くの足場に乗る。
するとさっきまで乗っていた足場が汚物の沼に落ち、腐って融けた。
方神は恐怖で足がすくんだが、足場は崩れるのを待ってはくれなかった。
また足場が崩れ、方神は次の足場に乗り換える。
少しずつではあるが、足場の面積がだんだん狭くなっていく。
しだいに足場が崩れるスピードが速くなっていき、足だけでは間に合わなくなった方神は、手を使って足場を掴もうとした。
足場を掴んだ時、方神は手に違和感を覚えた。
手で掴んだ足場は、鋭い荊棘で覆われ、ひとりでに方神の手に巻きつき棘で彼の手を容赦なく刺した。
方神は、手の痛みで怯んで手を離そうとした。
しかし、下を見てすぐに足場を掴み直した。
方神は、荊棘の足場で手足をズタズタにされても、止まる事なく足場を使って崖を登り続けた。
しかし、どれだけ上に進んでも頂上に全く近づけない。
雲は次第に上へと上がっていき、近づくどころかむしろ遠ざかっているようにさえ思える。
方神は、それでも上へと登り続けた。
体感的に10時間ほど登った頃、方神は疲れて少し休んだ。
すると、手に何かが這う感触がした。
ふと見ると、手にはサソリやら蜘蛛やらがわらわらと湧いて方神の手に毒を注入していた。
方神は悲鳴を上げて手に湧いた毒蟲を払った。
しかし時すでに遅し、手に侵食した毒は確実に手を蝕んでいた。
死に至るほどの量ではなかったが、毒のせいで足場を掴むたびに手が痺れて激痛が走る。
方神は、これ以上登り続ける事に耐えられなくなる。
しかし、下は肉が腐って融けるほどの悪臭が漂う汚物と巨大な蟲の沼で、落ちたら終わりなのは明確だった。
方神は気持ちを奮い立たせ、また登った。
体感的に数日が経った。
方神は少しずつやつれ、元気がなくなっていた。
しかし不思議な事に、何故かまだ身体は動くようだ。
そして、上に登れば登るほどなぜか最初の方に負った怪我は治っていく。
方神は、ただひたすら上を目指して登り続けた。
そして、休もうとすると今度は足場の温度が一気に上がり、方神の手を灼いた。
方神は思わず手を離し、すぐに次の足場を掴んだ。
方神は、終わりの見えない道をただひたすら進み続けた。
少しでも休もうとすると足場に仕掛けられたトラップが発動し、方神にダメージを負わせた。
不思議な事にどれだけ怪我をしても数時間登るごとに治り、他の刺激を得る事や眠る事すら許されなかった。
どれだけ近づいたのかも分からず、ただ体感的な時間だけが過ぎていく。
数週間、数ヶ月、数年…
数百年、数万年、数億年…
体感的な経過時間が天文学的数字になった頃、方神はついに人格が崩壊した。
ずる休み防止用のトラップにももはや反応しなくなり、おしおきを受ける前の記憶が完全に薄れた。
自身の目的も正体も才能も全てを忘れ、ただただ崖を登り続けるという機械的な作業を繰り返すだけの廃人と化した。
目の焦点は合わず、清潔感のあった髪は汚らしく散らかり、少し開いた口からは涎と一緒に言葉にならない声がブツブツと漏れていた。
服は色あせてボロボロになり、靴は擦り減って原型を失い、手足の爪は全て剥がれて指は腫れ上がって変形している。
方神は、今の自分のみすぼらしい見た目などお構いなしに登り続ける。
そして方神はついに頂上まで辿り着く。
重い体を持ち上げ、頂上に足を踏み入れようとした、その時だった。
グンッ
急に身体が重くなり、方神はずり落ちそうになった。
方神は、ふと自分の身体を見た。
その瞬間、彼は失った記憶を全て取り戻した。
そして、思い出した。
今自分の身体を掴んでいるのが、かつて自分が殺したはずの級友である事を。
財原は、血塗れの姿で方神にしがみつき、崖から方神を引き剥がそうとする。
方神は、財原を振り落とそうとするが、財原の掴む力が余計に強くなる一方だった。
二人が崖で揉み合いになっていると、崖の上から人が集まってくる。
集まってきたのは、癒川や彼女の弟、狛研の両親…かつて方神が殺したはずの者達だった。
癒川は、方神に優しく微笑みかけたかと思うと、握っていた石を思い切り方神目掛けて投げた。
それに続くように、崖に集まってきた人々が次々と石やゴミなどを投げる。
投げられた石やゴミは財原の身体をすり抜け、方神だけに直撃した。
方神は、投げられた石やゴミで全身ボコボコに変形した。
ゴミが止んだかと思うと、今度は天使の格好をしたモノクマとモノベルが現れ、方神の顔を思い切り踏み潰した。
方神は、崖から手を離し、真っ逆さまに落ちていく。
どこまでも、下へ、下へと堕ちる。
上を見ると、モノクマやモノベルと一緒に、財原と癒川が手を振って堕ちていく方神を笑顔で見送っていた。
方神の表情は、絶望に満ちていた。
そして…
落ちた。
方神は、沼の中で腐りながら融けていき、最後は骨だけになって沼の水面に浮かんでいた。
『イヤッホォオオーイ!!エクストリィイイイイム!!いっやあ、最高だね!!』
『フッフッフ。これでようやく目障りなクズが消えてくれました。さあさあ皆様。憎き知能犯が処刑されたのですから、もっと喜んでください。』
「ふざけるな!!キミ達、人の命を弄んで、何が楽しいの!?」
『あれ?狛研サン。なんで怒ってんの?キミの両親を殺したヤツが処刑されたんだよ?もっと喜んで音頭とかパラパラとか踊り出してもいいんだよ?おっと失礼。それは羽澄サンのジョブかw』
「確かに、ボクは方神の事が憎かった。だけど、こんな事をして一体何になるっていうんだ!!」
『うーん、そうだなぁ。強いて言うなら、ボクはもっとキミに絶望して欲しいんだよ。』
「絶望だって!?冗談じゃない!!ボクは、どんなにつらくても絶対に絶望しないって決めたんだ!!」
『絶対に絶望しない、か。何を今更…それ、1週目からキミがずっと言ってきた事だよね?』
「は…?」
『『立ち止まってもいい。どんな時でも、前を向いて生きろ。そうすれば、きっと幸せになれるから。』…か。』
「…え?」
『うぷぷぷ、笑わせてくれるじゃない、全く。キミが幸せになれる未来なんてあるわけないのにね。キミが歩む未来は、絶望…ただそれだけだよ。』
「どういう意味!!?」
『おっと、喋りすぎちゃったかな。まあいいや。いずれ話そうと思ってた事だしね。』
「おい、テメェら一体何を言って…」
『フッフッフ。生き残った皆様に朗報です。皆様はこれから、一切コロシアイをしてはいけません。』
「は!?コロシアイをすんなだと!?」
『おや、どうしたんです栄様?もしやアナタは、まだコロシアイを続けたかったのですか?だったら最初から素直に誰かを殺しておけば良かったのに!』
「違げェよ!!どういう風の吹き回しだって聞いてんだよ!散々オレ達にコロシアイを強制しておいて…どういうつもりだテメェら!!」
『フッフッフ。単刀直入に申し上げますと、皆様に参加していただく学級裁判は、次が最後でございます。』
「コロシアイをしちゃいけないのに、まだ裁判があるの?」
『おや、察しが悪いですねぇ。最終裁判の議題は、今までの議題とは全く違います。』
「もしかして…」
『おっと、勘のいい狛研様は既に気付かれたようですね。そうです。最終裁判の議題…それは…』
『ワタクシ達を陰で操っている黒幕の正体でございます。』
「く、黒幕の…正体だと…!?」
『今から3日間、この学園について調べる時間を差し上げます。その間に、アナタ達にはワタクシ達の正体、自分達の正体、そしてなぜ自分達がここにいるのかという問題について情報を集め、学級裁判で議論していただきます。』
『見事黒幕を当てる事ができたら、なななんと!ボクを裏で操っている黒幕が自ら生身で登場しちゃいまーす!!』
「うるせェ!!そんな事どうでもいいんだよ!!」
『あら冷たい。サプライズのつもりだったのに…』
『フッフッフ。栄様は相変わらずお口が悪いようで。これが俗に言うツンデレというヤツですかねぇ。』
「違うわドアホ!!」
『じゃあ、そういうわけで、ボク達はもう眠いからそろそろ戻るね。あ、メダルならオマエラの手帳にプレゼントしてあげたよ。それじゃ、まったねー!』
『フッフッフ。ご機嫌よう皆様。』
二匹は上機嫌で去っていった。
「…どうする?」
「黒幕を見つけろだなんて、急に言われたって…」
「どうすればいいのか…わかんないよね…」
「…みんな、絶対に諦めちゃダメ。真実を解き明かして、みんなで一緒にお家に帰ろう。今まで犠牲になったみんなのためにも…!」
「…おう!」
「そうだね。」
「そうね。」
ボク達は、真実を暴くために戦い続ける。
どんなに絶望的な結末でも、絶対に希望を捨てたりしない!!
第5章 されど罪人は敗北を知る ー完ー
ー才監学園生存者名簿ー
【超高校級の工学者】入田才刃
【超高校級の不運】景見凶夜
【超高校級の絶望】神座ゐをり
【超高校級の幸運】狛研叶
【超高校級の資産家】【超高校級の勝者】財原天理
【超高校級の栄養士】栄陽一
【超高校級の詩人】詩名柳人
【超高校級のマドンナ】白鳥隥恵
【セキセイインコ】翠
【超高校級の曲芸師】朱雪梅
【超高校級の知能犯】方神冥
【超高校級のダンサー】羽澄踊子
【超高校級の生物学者】日暮彩蝶/【超高校級の人狼】暁裴駑
【超高校級の侍】不動院剣
【超高校級の喧嘩番長】舞田成威斗
【超高校級の看護師】癒川治奈
【超高校級の国王】ラッセ・エドヴァルド・シルヴェンノイネン
ー以上4名ー
《アイテムを入手した!》
Chapter.5クリアの証
『ガラス玉の髪飾り』
癒川の宝物。弟が幼稚園の工作で手作りしたプレゼント。癒川の弟との思い出が詰まっている。
『珀銀の指輪』
財原がいつも付けていた指輪。とある国の大富豪に、高級チョコのお礼にプレゼントしてもらったものらしい。金と自分以外何も信用しなかった彼だったが、自分を奮い立たせるために、願掛けのつもりでいつも右手の中指に付けていた。
『メガネ』
方神がいつも付けていたメガネ。人を都合よくコントロールするために常にあらゆる人間に変装していた彼だったが、唯一お気に入りのメガネだけはいつも持ち歩いていた。
【???の独房】
もうすぐだ…
もうすぐで計画が達成される。
全ては計画のためだ。キミにはもっと絶望してもらわないとね。
第6章 断罪のエンドロール
To be continued…