ダンガンロンパPRISON   作:M.T.

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タイトル元ネタ『フェリスはある朝突然に』です。

それから、5月12日は癒川ちゃんの誕生日です!
本人からメッセージをいただいております。

癒川「皆さん、興味は無いと思いますけど…今日は、私の誕生日です。実はこの日は、私の尊敬する偉人、フローレンス・ナイチンゲールの生誕の日でもあるんです。私が彼女と同じ誕生日なんて、なんだかおこがましい気もしますが…【超高校級の看護師】の名に恥じぬよう、精一杯努めてまいります。」







第1章 終焉(エンド)はある日突然に
第1章(非)日常編①


穴雲君と叶さんの提案で、僕達は才監学園を探索する事になった。

「って言っても、この建物結構広いよね。どうやって探索しようか。」

「マップを見たんだけど、どうやら内エリアと外エリアに分かれてるみたいだね。」

「担当分けはどうすんの?」

「そうだね…僕がざっくり決めておいたから、その分け方でいいかな?」

穴雲君は、メモ帳とペンをポケットから出して、何かを書いてからみんなに見せた。

「はい。」

 

 

 

内エリア1…僕、財原君、白鳥さん、癒川さん

内エリア2…狛研さん、不動院君、詩名君、景見君

外エリア1…舞田君、国王陛下、日暮さん、神座さん

外エリア2…栄君、入田君、朱さん、羽澄さん

 

 

 

「…こんな感じに決めてみたんだけど、どうかな?」

「わーい!同じグループだね、凶夜クン!」

「う、うん…」

叶さんと同じグループか…

そういえば、最初に僕が会ったのも叶さんだったな。

真逆の才能を持つ者同士、何か引かれ合うものがあったりするのかな。

「よろしくお願いします、皆さん。」

「ああ、よろしく。不動院君。ふんふ〜ん♪」

「あはは、白鳥サンよろしくね〜?さりげなくタッチっと。」

「ちょっと、触らないで!制服が腐るわ!」

「おいおい、俺はゾンビか何かかい?ひどいなぁ。俺、泣いちゃうよ?」

「財原君。君はちょっと気になるところがあるから、僕と一緒にいてもらうよ。」

「へいへい。」

「癒川さんもよろしく。」

「はい… 私、皆さんのお役に立てるように頑張ります。」

「おう、ラッセ!同じグループだな!!」

「気安く俺に触るな。カマキリの卵が。俺は昆虫と馴れ合う気はない。」

「なんだと!?」

「舞田君、そんな事ないわ!あなたの格好、とても素敵だと思うわ!(ダッサw)」

「そ、そうか…?へへへ…」

舞田君、完全に白鳥さんにデレデレじゃん。

なぜか、不動院君は呆れたような目で見てるし…

「…………………………。」

「ゐをりちゃん、よろしくね?」

「ピィ!」

「………………生物学者……………翠………よろ、しく…………………。」

「アタシは、この変態と同じグループ?」

「へへへ、そんな事言わず、仲良くしようぜ羽澄ちゃん!」

「アチョー!!」

「へぶぉあっ!!」

「アンタがいれば安心ね。ありがとシュエメイ。」

「ワタシ、踊子サンに何かあっタラ必ずお守りシマす!」

「朱ちゃん…俺にだけ当たりがキツくない…?オレ、今日だけで2回は殺されかけたんだけど…」

「うるさいです!!ヘンタイ、シネ!!」

「オマエラ、僕ちゃんと同じグループになれて良かったな!グループ長は、当然僕ちゃんだろうな!?」

「そうねえ。アタシ、バカだからリーダーとかそういうのあんま向いてないと思うわ。サイバ、アンタがやってくれると助かるわ。」

「えっ…」

「ワターシも、才刃サンがリーダー、いいト思イます!ワターシは、ヘンタイ成敗スルので、忙シイです!」

「朱ちゃん…思いっきり肘がめり込んでるんだけど…」

「え、えええ…なんか、そう言われると逆に調子狂うっていうか…」

入田君、自分でリーダーやりたいって言い出したくせに、何言ってんの。

「うんうん、異論がないみたいで良かったよ。それじゃあ、そうだな…昼の12時には一旦ここに集まって、報告会をしようか。」

「そだねぇ。」

「じゃ、みんな解散!」

全員が、各自の持ち場に向かった。

「じゃ、ボク達も行こうか凶夜クン。」

「あ、うん…」

僕は、叶さんに手を引っ張られて持ち場に向かった。

 

 

 

 

【内エリア 1F】

 

「ここは、ボク達がいた個室だね。」

「うん…」

部屋のドアの横には、ネームプレートとインターホンが取り付けられていた。

ネームプレートには、景見凶夜と書かれていて、その下に筆記体でKyoya Kagemiと書かれていた。

「部屋は、全部で16部屋…おや、いつの間にか鍵がかかっていますね。」

「あ、ホントだ…これ、どうやって開けんの?」

『フッフッフ。ズバリお教えしましょう。』

いきなりモノベルが現れた。

「わっ!ベルさん!」

「まーた君かい?」

「曲者!!皆さん、私の後ろにいてください!」

『フッフッフ。怖いですねェ。別に、取って食ったりしませんよ。ワタクシは、アナタ達に独房の開閉の方法を教えに来たのですよ。』

「そうなの?」

『ええ。アナタ達が、開閉の方法がわからず困っていたそうなので。その独房は、アナタ達が首につけている生徒手帳でのみ、開閉が可能なのです。景見様、試しに扉の前に近づいてみてください?』

「あ、はい…」

僕は、自分の部屋に近づいてみた。

 

ガチャ

 

鍵が開いた音が聞こえた。

『景見様、部屋を開けてみてください。』

「あ、はい…」

ドアノブに手をかけ、ドアを押すと、ドアが開いた。

「…あ。」

「わ!開いた!」

『その独房は今、生徒手帳から放たれる特殊な電磁波に反応して、自動で鍵が解除されたのです。基本的に、独房の開閉は、本人の生徒手帳でないとできないのでご注意ください。』

「…基本的には?まるで、他人の部屋に入れる方法があるみたいな言い方じゃないか。」

『フッフッフ、さすが詩名様は勘がいいですねぇ。ズバリ、その独房の収監者本人が入室を許可すれば入る事ができます。誰を入室させるかは選ぶ事ができ、入室許可を解除する事もできます。…ただし、同時に複数人の入室を許可する事はできないため、ご注意ください。』

「なるほど…」

『あ、そうそう。交友を深めるため、2階以上のにある『研究室』は、初日限定でオープンしております。明日になれば本人しか開閉できなくなってしまうので、興味があれば、是非今日中に現在解放されている研究室に向かってみては?』

研究室…?

そう言えば、マップにそんな部屋があるって説明があった気が…

『では、ワタクシはこれで失礼します。』

「ホントに、神出鬼没だねェ〜♪」

詩名君、今は歌う場面じゃないと思うなぁ。

「では、確実部屋の探索を行いましょうか。何かまた新たに見つかるかもしれません。」

「そう、ですね…」

「じゃ、凶夜クン!ボクは、自分の部屋見てくるから!」

「あ、叶さん…」

行っちゃった。

ホント、マイペースな人だなぁ。

僕も、自分の部屋を調べてみようかな。

 

 

 

 

【景見凶夜の独房】

 

部屋は、割と広くて開放感のある空間だった。

まるで高級ホテルのように快適な空間だが、部屋がコンクリートでできていたり、窓には鉄板がはめられていたりと、どこか監獄を思わせるような雰囲気だ。

クローゼットの中の服は、どれも僕のお気に入りの服だ。

それと、掃除用のコロコロも入っていた。

大きな本棚もあり、中には教科書や僕の好きな小説や漫画、そして自殺マニュアルなどが置かれていた。

僕の家のベッドや勉強机に似ているベッドや机が置かれていて、割と馴染みやすい。

独房を思わせるような雰囲気と、我が家を思わせるような雰囲気が混在していて、なんだか不思議な空間だった。

さらに、テレビの前に置かれている低いテーブルには、白い箱が置いてあった。

箱を開けると、中に桜餅が入っていた。

一緒に入っていた紙には、『ご自由にお食べください』と書かれていた。

「…。」

ここに置いてあるから、どう考えても怪しいけど…

おいしそうだし、食べてみたいな。

…どうせ何か入ってても、僕が勝手に死ぬだけだしね。

僕は、桜餅を一つ食べてみた。

…普通においしい。

どうやら、毒は入っていなかったようだ。

って、何をやってるんだ僕は。

みんなが探索してるってのに、こんな事してる場合じゃないよ。

その他には、特にこれといってめぼしい物がなかったので、部屋を出た。

 

 

 

 

「あ、凶夜クン!」

部屋を出ると、すでにみんな集まっていた。

「叶さん…もしかして、僕が一番最後だった?待たせちゃって、ごめんなさい。」

「構いませんよ。私も先程出てきたばかりですから。」

ホントイケメンだなぁ、不動院君は。

…それにしても、なんかちょっと上機嫌じゃないか?

「ねえねえ、聞いて凶夜クン!剣クンの部屋、和室だったんだって!」

「フフ、独房とは思えないほど快適でしたよ。置いてあったお茶やお菓子も美味しかったですしね。」

なるほど、それで上機嫌だったのか。

なんか不動院君って、本当に機嫌が良い時の笑顔がちょっと可愛いんだな。

って、何を考えてるんだ僕は。相手は男の人だよ?

これじゃあまるでそっちの気があるみたいじゃないか。

…僕は別にアブノーマルじゃないし。

「全く、独房じゃなくてゲストルームの間違いじゃないのかな〜♬」

詩名君は、またリュートを弾き始めた。

この人も、ホントマイペースだなぁ。

「ねえ、部屋の探索終わったけど、どこ行く?」

「そうですね…2階が開放されているようなので、行ってみましょう。」

僕達は、2階の探索をする事にした。

 

 

 

 

【内エリア 2F】

 

2階にあるのは、倉庫、食堂、娯楽室、浴場だった。

それから、どうやら研究室が3部屋あるようだった。

「浴場と倉庫と食堂の探索は、穴雲君達がやってるからね。オイラ達は娯楽室と研究室の探索をしようか。」

「…そ、そうですね。」

僕達は、まず娯楽室に向かう事にした。

 

 

 

 

【娯楽室】

 

娯楽室には、ボウリングや卓球、ビリヤードなどのゲームが置いてあった。

部屋の隅には、自動販売機と、違う種類の謎の機械が2台置かれていた。

一つは、叶さんが使っている箱型の白い機械だ。

もう一つは、金色のガチャガチャのようなものだった。

なんだ、あの機械は…

「ねえ、見てこれ!」

叶さんは、コインのようなものを僕に見せてきた。

「コイン…?これ、どうしたんですか?」

「そこに両替機っていうのがあったから、ちょっと色々触ってみたの!そしたら、コインがジャラジャラ出てきたんだ!」

「へ、へぇ…」

ちょっと色々触ってみたって…

叶さん、ちょっと後先考えなさすぎじゃないかなぁ…

「このコインさあ、どうやって使えばいいのかな?」

「さ、さぁ…」

『うぷぷぷ!ズバリお答えしましょう!』

今度はモノクマが出てきた。

…ホントに神出鬼没だなぁ。

「貴方、どこから湧いて出たのですか!?」

『ひどいなぁ、不動院クン!クマをゴキブリかなんかみたいに言わないでよ!』

「別にどっちでもいいさ。…で?狛研君が持っているというコインは、一体何なんだい?」

『うぷぷぷ、それは、モノクマメダルです!』

「モノクマメダル?」

『ここにある自販機で飲み物を買ったり、モノモノマシーンで遊ぶのに必要なメダルだよ!』

「モノモノマシーンって、もしかしてこのガチャガチャの事かい?」

『ザッツライ!そのモノモノマシーンでは、普通のルートじゃ手に入らないような変わりダネがゲットできるよ!メダル一枚あれば一回引けるから、ちょっと試しに遊んでみなよ!』

「じゃあ、ボクちょっと引いてみよっかな?」

叶さんが、ガチャを引いた。

「わっ!なんか出てきた!…鉄砲?」

叶さんが引いたのは、金ピカのリボルバー式の拳銃だった。

『うぷぷ!それは、6連変わりダネリボルバーだよ!中身は全部で6種類あって、何が出るかはお楽しみのビックリ銃だよ!気になる殿方にでもあげてみるといいよ!』

「へー、おもしろーい!」

叶さんは、次々とガチャを引いた。

「わぁ、ホントにいろいろ出てくるね!…あ、メダルがなくなっちゃった。そうだ、さっきの両替機で…あれ?メダルが出てこない。」

『そりゃそうだよ!狛研サンは、さっきので『ウォレット』のメダルを全部引き出しちゃったんだから!』

「『ウォレット』?」

『オマエラの持ってる手帳に、『ウォレット機能』があるでしょ?それは、モノクマメダルを管理するための機能なのだ!両替機を使って、『ウォレット』の中のメダルを好きなだけ引き出せるって事!最初は、特別に一人につき10枚入ってるから、10枚までは換金できるよ!』

「そっかー、じゃあボクはもうガチャガチャで遊べないんだね。」

『ウォレット機能』か…まだ確認してなかったな。

あとでちゃんと確認しておかないと…

「なるほど、ATMみたいなシステムだね〜♪」

「えーてぃーえむ?詩名殿、それは一体なんなのですか?」

マジか…不動院君、ATMも知らないのか。

「簡単に言っちゃうと、自分の口座にあるお金を引き出したり預けたりする機械の事だね〜♬」

「なるほど、ありがとうございます詩名殿。」

「ねえねえ、ところで気になったんだけど、柳人クンって、目が見えないんでしょ?手帳の操作とか、どうしてるの?」

「ああ、手帳の音声ガイド機能を使ってるのさ♫この手帳、すごく優秀でね。脳波を測定して、勝手に開きたいアプリを起動してくれるようになってるのさ♪」

「へえ、便利だね!」

「あぷり…?なんでしょうかそれは…」

不動院君、アプリも知らないのか。

もしかして、携帯とか持ってないのか?

このご時世、それでよく今まで生きてこられたな…

詩名君は、不動院君にアプリの説明をしていた。

「なるほど、アプリケーションとは、そういうものなのですね。」

「ま、詳しい事が知りたきゃ入田君あたりに聞いてくれ。彼の方が、オイラより詳しいだろうからさ♬…さて、そろそろ娯楽室の探索も終わったし、研究室にでも行ってみようか?」

「そうですね…」

 

 

 

 

僕達は、研究室と書かれた、錆びた鉄のドアの前に立った。

「…ここは?」

「うーん、誰の研究室かまではわからないね。とりあえず、中に入ってみようよ。」

「あ、はい…」

僕は、ドアを開けてみた。

中は、薄暗い部屋だった。

全体的に暗い色合いで、壁にはなぜか血塗れのカラスや黒猫の絵や燃えた鳥が空から落ちる絵が飾られていた。

棚の上に置いてある市松人形は目や腕などが欠けていて、全部で13体いる。

よく見ると髪の長さが全部違い、服装も死装束だ。

その隣には、地球儀…ではなく、金星の模型があった。

その模型には、鉈が刺さっていた。

…なるほど、棚の上の人形や模型は、『13日の金曜日』を表しているのか。

あとは、不気味なタイトルの映画や推理小説が置かれていたり、自殺用と思われる色々な種類の薬品や拷問器具などが置かれていた。

極め付けは、部屋の奥に置いてある、黒い百合の絵が描かれたギロチンだった。

さらに、部屋に置かれた壊れかけの古い蓄音機から流れる短調の曲が、部屋の不気味さを強調している。

…こんな陰惨な雰囲気の研究室に似合う才能なんて、一つしか思いつかない。

「うわぁ…まさに地獄絵図ですね。」

「ここ、誰の研究室なんだろうね?」

「…あの、多分僕の研究室だと思います。」

「え、凶夜クンの?すごーい、トップバッターじゃん!」

「確かに、『不運』っぽい研究室ではありますね…」

うっ…

「あ、ええと…別に景見殿の悪口を言ったわけではありませんよ!?こんなのは、ただの決めつけです!気にしないでください!」

僕の暗い心象を察した不動院君は、慌てて僕をフォローした。

「別にいいですよ。事実ですし。本当、僕に合った部屋だと思います。この部屋は、僕の今までの人生をそっくり表したような部屋ですよ。」

「あはは、景見君。君って、ホント笑っちゃうくらい卑屈だよねぇ♫」

うぅ…事実すぎて返す言葉が見つからない…

「詩名殿。景見殿に失礼ですよ。」

「おっと、ごめんよ景見君♩」

…それにしても、本当にある意味よくできた部屋だな。

ここまで『不運』を一つの部屋に詰め込まれて見せつけられると、もう逆に尊敬の念すら覚えるよ。

でも、こんなのが僕の人生だって知られたら、絶対叶さんに嫌われちゃうだろうなぁ。

「…ねえ凶夜クン!この部屋はよくないね!ボク、この部屋キライ!さ、次行こ次!」

「え、ちょっと!?叶さん!?」

叶さんは、いきなり僕の手を引いて僕を部屋の外に連れ出した。

「まーったく、あんな部屋にいたら息が詰まっちゃうよ。」

叶さんは、背伸びをしながら言った。

「叶さん…なんでまた急に…」

「うん。ボクね、あの部屋にいてすごく居心地が悪かったの。だって、完全に凶夜クンの事をバカにしたような部屋だったじゃない。ボク、凶夜クンは、あんな雰囲気の子じゃないと思うよ。」

「叶さん…」

「ほら、元気出して!まだ研究室は2つもあるんだから!早く次行こ次!」

「あ、はい…」

叶さんは、次の研究室の方へと走っていった。

 

 

 

 

「今度は、誰の研究室なんだろうね?」

「さ、さぁ…」

今度は、さっきの錆びたドアとは違い、清潔感のあるドアだった。

「では、開けますね。狛研殿、下がっていてください。」

「あ、うん。」

こういうところで気を遣えるところがホントイケメンなんだよなぁ、不動院君は。

部屋の中は、さっきとは打って変わって、カラフルな色合いだった。

まず目に留まったのは、そこに置かれている食材の数々だった。

リンゴやトマトなどのメジャーな食材から、トリュフやキャビアなどの高級食材、さらにはそもそも食べられるのかすらわからないものまであった。

部屋は、全体的に巨大なキッチンのようになっていて、ほとんど全ての調理法ができるような造りだった。

本棚には、料理のレシピや栄養学についての本が置いてある。

さらには、部屋の奥には体重計や血圧計など、健康状態を自動で測ってくれる機械がいくつもあった。

計測結果は、部屋に設置されたタブレットで見られるようになっているらしい。

この研究室に合った才能は、多分あの人だろうな。

「ふむ…恐らく、【超高校級の栄養士】の研究室でしょうか。」

「チェッ、またボクの研究室じゃないのかぁ。いいなあ、凶夜クンと陽一クンは!ボクも、早く自分の研究室見たいよー。」

叶さんの研究室か…僕もちょっと見てみたいな。

きっと、僕の研究室なんかとは比べ物にならないくらい、素敵な部屋なんだろうな。

「まあ、狛研殿。そう焦らず。まだ二部屋しか見ておりませんから。むしろ、最初に研究室を確認できた景見殿が、運が良かったのです。」

「そっかぁ、凶夜クンがラッキーだったんだね!」

「へえ、【超高校級の不運】がラッキーって、なんかおかしいね♫」

「詩名殿。今はそういう事を言う場面ではありません。」

「おっと失礼♬」

初っ端からみんなにあんなこの世の終わりみたいな研究室を見られたって事自体、僕にとってはアンラッキーなんだけど…

栄君の研究室はこんなにちゃんとしてるのに、なんで僕の研究室はあんなに地獄絵図だったんだ。

…まあ僕自身、実力で希望ヶ峰学園に入れたわけじゃないから、文句を言える立場じゃないんだけど。

「わぁー!すごいね!見てこれ!流しそうめんに使う竹筒まであるよ!ボク、流しそうめんやってみたい!」

「狛研殿、ここは栄殿の研究室ですよ。あまり迂闊に触らない方がいいと思います。」

「わかってるって。」

叶さんは、絶対わかってない返事をした。

「わぁ、いろんな種類の包丁があるね!わ、これとかカッコイイ!…そうだ!」

叶さん、今度は何をする気だ…?

叶さんは、両手に柳刃包丁を持ち、口にもう一本包丁を咥えながらこっちを振り返った。

みへ(見て)はんほぉうぅ(三刀流)!!」

叶さん!?何やってんの!?

不動院君の話、まるで聞いてないよね!?

っていうか危なくて見てられないからやめてよ!

「ちょ、何をなさっているんですか狛研殿!!私の話を聞いていましたか!?先程、栄殿の研究室の物に触るなと申しましたよね!?」

「…ふが。」

「危ないから今すぐやめてください!これ以上勝手な事をするようなら、狛研殿はもう出禁にしますよ!?」

不動院君は、慌てて叶さんから包丁を取り上げた。

「えぇ〜!?出禁はヤダ!なんだよ、ちょっと凶夜クンを笑わせてあげようとしただけじゃないか!」

笑いどころか、恐怖と混乱しか湧かなかったよ。

「全く…せっかくの包丁を、こんな事に使ってしまって…後で栄殿に怒られても知りませんからね!?」

「いや、女好きの栄君の場合、むしろ女子高生エキスがついた包丁とか言って喜んで使いそうだけどね〜♪」

「詩名殿!!」

「冗談だってば。そんなに怒るなよ不動院君♩」

マイペースな詩名君と、何考えてるのかまるで読めない叶さん…

まともなのは不動院君だけじゃん、このグループ…

なんか、先が思いやられるなぁ。

「…さて、研究室の探索も大方終わった事ですし、そろそろ次の研究室へ行きましょうか。」

「今度は誰の研究室かなぁ。楽しみだなー。」

僕達は、栄君の研究室を後にし、次の研究室に向かった。

 

 

 

 

「うわぁ…ゴージャス…」

次の研究室は、僕や栄君の研究室と比べて、見るからに高級感のある両開きの扉だった。

ドアの表面はダマスク模様に彫られていて、エレガントな雰囲気を醸し出していた。

…あ、察した。

多分、あの人の研究室だろうな。

「おや、これはまた豪勢な…では、開けますね。」

不動院君がドアを開けた。

部屋の中は、白や金、ピンクなどの色で装飾されていて、ゴージャスかつメルヘンチックな雰囲気の部屋だった。

置いてある家具は全て超高級品で、カーペットはドアと同じダマスク模様、カーテンにはこれでもかというほどフリルが装飾されていた。

本棚の中には、礼儀作法の本や、女子が好みそうなメルヘンな本が置かれている。

クローゼットの中にはシルク製の美しいドレスやトゥーシューズなどが入っており、テーブルの上に置いてあるティーカップとティーポットには、お揃いのバラの模様が描かれている。

鏡の前に置いてある化粧台の上の化粧セットはどれも高級品だ。

…わぁ、バラ庭園まであるのか。

扉の時点で察してはいたけど、この豪華な部屋は間違いなくあの人の研究室だろう。

「チェッ。またボクの研究室じゃないのかぁ。ちょっと期待したんだけどな。」

「…えっと…ここは、【超高校級のマドンナ】の研究室でしょうか…?」

「そのようですね。…ッ。」

不動院君は、急に目頭を押さえた。

「あれ?剣クン、どうしたの?」

「…いえ、私、こういった煌びやかなお部屋に入った事がございませんゆえ…少し目が疲れてしまいました。私には、刺激が強すぎましたかね…」

目疲れって…確かに、ゴージャスすぎて目がチカチカするけど…

これでそのダメージって…不動院君、アプリやATMも知らなかったみたいだし、実は箱入り娘ならぬ箱入り息子だったりする?

白鳥さんの研究室でこのクオリティって…ラッセ様の研究室とか、一体どうなってるんだ。

そんなの見せたら、不動院君絶対卒倒しそうだよな…

「さすが麗美ちゃんの研究室だねぇ。キングオブお嬢様って感じ?」

なんだ、その不思議な英語風の言葉は。

「狛研君。それを言うならクイーンオブ、じゃないかい?」

「あ、そっか。麗美ちゃん女の子だもんね。ボク、うっかりしてたなー!」

二人とも、ふざけてないで真面目に探索しようよ…

「ふんふん、部屋に入った時の香りでわかるよ。花の香り?女子ってこういうの好きなのかなぁ。」

「少なくとも、白鳥殿は好みそうですよね。私は、鼻が曲がってしまいそうですが…」

「白鳥君って、そんなに美人なのかい?オイラにはさっぱりわからないけど♫」

「うん、麗美ちゃんはメッチャ美人だよ!それで希望ヶ峰に入れたんだもん!」

「まさに絶世の美女、というべきでしょうか…」

性格はアレだけどね。

「へえ、オイラも、その絶世の美女とやらの顔を拝みたいもんだ。今まで目が見えなくて困った事はあんまりないけど、久々に目が見えるようになりたいって思ったね♬」

詩名君は、ゆっくりとリュートを弾き始めた。

「今夜は、嗚呼…北風が吹きつける…君はどうして去っていくの〜♪」

詩名君は、リュートを弾きながら歌い出した。

ああ、またスイッチが入っちゃったよ。

どうしよう…もう、探索どころじゃなくなっちゃったよ…

するとそこへ…

 

 

「ちょっと!!うるっさいのよ!!あんた達、何勝手に人の研究室に入ってんのよ!!」

 

 

白鳥さんが、研究室の中に入ってきた。

「ご、ごめんなさい…つい、興味本位で…」

「はあ、ホント最悪!私の研究室は、私が一番に見たかったのに!…あんた達、ここにあるものに触ったりしてないでしょうね!?」

「触ってないよー?」

叶さんは、クローゼットの中をゴソゴソと漁りながら答えた。

叶さん…度胸あるなぁ。

「思いっきり触ってんじゃない!!やめなさいよあんた!!人の物に勝手に触るとか、どういう神経してんの!?」

叶さんをクローゼットから引き剥がそうとする白鳥さんに、不動院君が話しかけた。

「…あの、白鳥さん。」

「あ、不動院さん…!」

「貴女が自分の研究室に来たということは、そちらの探索はもうお済みなのですか?」

「え、ええ…まあ…」

 

 

「うっわぁ、楽器弾いたりギャーギャー言ったり…どんなおもしろバンドだよ、キミ達。」

「みんな、お疲れ様。」

「あの…これは一体…」

財原君、穴雲君、癒川さんが研究室の外にいた。

「あ、天理クンに星也クンに治奈ちゃん!おつかれー!」

「皆さん、探索お疲れ様です。私達も今、探索を終えたところなのですよ。」

「そうかい、それはちょうど良かったね。じゃあ、8人で噴水の場所まで行こうか。」

「さんせー!」

「そう、ですね…」

探索を終えた穴雲君グループが加わり、僕達は噴水の前に向かった。

 

 

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